JP2016161360A - タイヤ溝の深さ測定方法 - Google Patents

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【課題】精度の高いタイヤ溝の深さを効率的に得ることができるタイヤ溝の深さ測定方法を提供する。
【解決手段】レーザ変位計を用いたタイヤ溝の深さ測定方法であって、タイヤのトレッド面に対して所定の方向から入射光を照射しこの入射光に対する所定の角度の反射光を受光部で受光してタイヤ溝の深さのデータを取得する基準データ取得工程と、タイヤに対する受光部の相対的な位置を基準データ取得工程における受光部の位置から入射光を挟んで反転させた位置にしてタイヤ溝の深さのデータを取得する反転データ取得工程と、基準データ取得工程で得られた基準データと反転データ取得工程で得られた反転データとを照合し基準データ及び反転データの一方にレーザ変位計の測定方式に起因する欠損データがあった場合その欠損データに代えて基準データ及び反転データの他方のデータを採用し基準データと反転データとを合成するデータ合成工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ表面の溝の深さを測定するタイヤ溝の深さ測定方法に関する。
タイヤの摩耗状態を確認するために、タイヤ溝の深さを測定することが行われている。タイヤ溝の深さの測定方法として、溝深さを測定する専用の測定器(デプスゲージ)を用いたり、タイヤにレーザ光を照射し、そのタイヤからの反射光を受光部で計測するレーザ変位計を用いたりすることが挙げられる。レーザ変位計を用いたタイヤ溝の深さ測定方法は、受光部で受光する反射光の位置の変化を利用して、タイヤと受光部との間の距離を計測し、タイヤ溝の深さを決定するものである(例えば、特許文献1)。
特開平5−256738号公報
デプスゲージでの測定は、測定者によってタイヤ溝に対するゲージの挿入方向や挿入深さなどにばらつきが生じ、測定位置が異なり易い。また、測定者によってゲージの読み取りに差が生じ易い。よって、デプスゲージでの測定では、測定者によって測定結果が変わり易く、測定精度が低い。さらに、デプスゲージでの測定では、タイヤの全周に亘る測定に時間がかかるため、効率が悪い。
一方、レーザ変位計での測定は、測定者による測定差を低減でき、タイヤ全周に亘る測定であっても効率的に行うことができる。しかし、レーザ変位計の測定方式やタイヤ溝の形状などによって、レーザ変位計における受光部で反射光を受光できず、測定データに欠落が生じてタイヤ溝の深さを適切に測定できない場合がある。例えば、三角測距方式のレーザ変位計を用いて、タイヤを回転させた状態でタイヤ溝の深さを測定するにあたり、レーザ変位計の発光部と受光部とをタイヤのほぼ周方向に離れて配置し、発光部からの入射光と異なる方向に反射する反射光を受光部で受光する場合を考える。このとき、タイヤ溝がタイヤの周方向にほぼ直角に形成されている横溝の場合、タイヤ溝の底部で反射された反射光が、タイヤ溝を形成する側壁部に遮られ、受光部まで到達しないことがある。そうすると、受光部で計測したデータに欠落が発生してしまい、測定精度が低下する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、精度の高いタイヤ溝の深さを効率的に得ることができるタイヤ溝の深さ測定方法を提供することにある。
本発明のタイヤ溝の深さ測定方法は、レーザ変位計を用いて、タイヤ表面の溝の深さを測定するタイヤ溝の深さ測定方法であって、基準データ取得工程と、反転データ取得工程と、データ合成工程と、を備える。基準データ取得工程は、タイヤのトレッド面に対して所定の方向から入射光を照射し、この入射光に対する所定の角度の反射光を受光部で受光して、前記タイヤ溝の深さのデータを取得する。反転データ取得工程は、前記タイヤに対する前記受光部の相対的な位置を、前記基準データ取得工程における前記受光部の位置から入射光を挟んで反転させた位置にして、前記タイヤ溝の深さのデータを取得する。データ合成工程は、前記基準データ取得工程で得られた基準データと、前記反転データ取得工程で得られた反転データとを照合し、前記基準データ及び前記反転データの一方に前記レーザ変位計の測定方式に起因する欠損データがあった場合、その欠損データに代えて前記基準データ及び前記反転データの他方のデータを採用し、前記基準データと前記反転データとを合成したデータを前記タイヤ溝の深さとする。
上記タイヤ溝の深さ測定方法の一例として、前記基準データ取得工程及び前記反転データ取得工程では、前記タイヤをその回転軸の回りで回転させながら、前記タイヤの周方向全周に亘ってデータを取得し、前記基準データ及び前記反転データの少なくとも一方において前記タイヤの幅方向に基準点となる位置を選択し、前記基準点が周方向に全て合うように幅方向のデータを再配列する補正を行う幅方向補正工程を備え、前記データ合成工程では、前記幅方向補正工程で得られた補正後のデータを照合に用いることが挙げられる。
上記タイヤ溝の深さ測定方法の一例として、前記基準データ取得工程及び前記反転データ取得工程では、前記タイヤをその回転軸の回りで回転させながら、前記タイヤの周方向全周に亘ってデータを取得し、前記基準データ及び前記反転データの少なくとも一方において前記タイヤの径方向に基準点となる位置を選択し、前記基準点が周方向全周に亘って一定となるように径方向のデータを補正する径方向補正工程を備え、前記データ合成工程では、前記径方向補正工程で得られた補正後のデータを照合に用いることが挙げられる。
上記タイヤ溝の深さ測定方法の一例として、前記基準データ取得工程及び前記反転データ取得工程では、前記タイヤをその回転軸の回りで回転させながら、前記タイヤの周方向全周に亘ってデータを取得し、前記基準データ及び前記反転データの各々において前記タイヤの周方向に基準点となる位置を選択し、前記基準データにおける基準点と前記反転データにおける基準点とが合うように周方向のデータを補正する周方向補正工程を備え、前記データ合成工程では、前記周方向補正工程で得られた補正後のデータを照合に用いることが挙げられる。
上記タイヤ溝の深さ測定方法の一例として、さらに、再現補正工程を備えることが挙げられる。再現補正工程では、前記データ合成工程で得られた合成データと、前記基準データ及び前記反転データから選択した一方の選択データとを用いて、タイヤ溝の深さプロファイルは前記合成データを利用し、前記タイヤ溝以外のタイヤ表面の凹凸プロファイルは前記選択データを利用して、再現データを作成する。
上記タイヤ溝の深さ測定方法に用いることができるタイヤ溝の深さ測定装置は、タイヤをその回転軸の回りで回転可能な回転機構と、レーザ変位計と、反転部と、記憶部と、データ合成部と、を備える。レーザ変位計は、前記タイヤのトレッド面に対して所定の方向から入射光を照射する発光部と、前記入射光に対する所定の角度の反射光を受光する受光部と、を有する。反転部は、前記タイヤに対する前記受光部の相対的な位置を、前記入射光を挟んで反転可能である。記憶部は、前記レーザ変位計によって取得した前記タイヤ溝の深さの基準データと、前記基準データを取得したときの前記受光部の位置を前記反転部によって反転してから取得した前記タイヤ溝の深さの反転データと、を記憶する。データ合成部は、前記基準データ及び前記反転データにおいて、前記基準データに前記レーザ変位計の測定方式に起因する欠損データがあった場合、その欠損データに代えて前記反転データを採用し、前記基準データと前記反転データとを合成した合成データを作成する。
上記タイヤ溝の深さ測定方法は、基準データに欠損データがあったとしても、その欠損データが確認されたタイヤ溝の位置に対応する反転データが欠損していなければ、基準データの欠損データを反転データによって補完することができる。よって、基準データと反転データのそれぞれにおいて欠損データが発生しても、基準データと反転データとを合成することで、互いに補完し合うことができ、精度の高いタイヤ溝の深さを得ることができる。これは、基準データを取得する際に用いた受光部と、反転データを取得する際に用いた受光部とが、タイヤ溝から見て入射光を挟んで互いに反転させた位置にあるためである。つまり、タイヤ溝の深さは、そのタイヤ溝から見て、入射光を挟んで対向する異なる方向でそれぞれ測定を行っているためである。
上記タイヤ溝の深さ測定方法は、一つの受光部(レーザ変位計)を用いたとしても、この一つの受光部を、タイヤ溝から見て入射光を挟んで反転させることで、そのタイヤ溝から見て入射光を挟んで対向する異なる方向でそれぞれ測定できるため、構造が簡易である。
上記タイヤ溝の深さ測定方法として、基準データ取得工程で得られた基準データや、反転データ取得工程で得られた反転データを補正した補正データを用いて合成データを作成することで、測定に伴いタイヤがずれるなどして生じた誤差を補正することができ、精度の高いタイヤ溝の深さを得ることができる。
上記タイヤ溝の深さ測定方法として、再現補正工程を備えることで、タイヤ溝の深さプロファイルは欠損データが削除されると共に、タイヤ溝以外のタイヤ表面は凹凸プロファイルを備える再現データを得ることができ、タイヤの摩耗形態を把握することができる。
上記タイヤ溝の深さ測定装置は、一つの受光部(レーザ変位計)を用いたとしても、この一つの受光部を、タイヤ溝から見て入射光を挟んで反転させることが容易であり、そのタイヤ溝から見て入射光を挟んで対向する異なる方向でそれぞれ測定できる。
実施形態1に係るタイヤ溝の深さ測定方法で用いるタイヤ溝深さ測定装置を示す概略構成図である。 図1におけるレーザ変位計とタイヤ溝とを拡大した拡大図であり、(a)は反射光を受光できる場合を示し、(b)は反射光を受光できない場合を示す。 実施形態1に係るタイヤ溝の深さ測定方法の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係るタイヤ溝の深さ測定方法における幅方向補正工程の一例を示す概略説明図である。 実施形態1に係るタイヤ溝の深さ測定方法における径方向補正工程の一例を示す概略説明図である。 実施形態1に係るタイヤ溝の深さ測定方法における周方向補正工程の一例を示す概略説明図である。 実施形態1に係るタイヤ溝の深さ測定方法における再現補正工程の一例を示す概略説明図である。
以下、図面を参照して、レーザ変位計を用いて、タイヤ表面の溝の深さを測定する本発明のタイヤ溝の深さ測定方法を具体的に説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。
≪実施形態1≫
・全体構成
実施形態1のタイヤ溝の深さ測定方法は、基準データ取得工程と、反転データ取得工程と、基準データ取得工程で得られた基準データと反転データ取得工程で得られた反転データとを合成するデータ合成工程と、を備える。基準データ取得工程は、タイヤのトレッド面に対して所定の方向から入射光を照射し、この入射光に対する所定の角度の反射光を受光部で受光して、タイヤ溝の深さのデータを取得する工程である。反転データ取得工程は、タイヤに対する受光部の相対的な位置を、基準データ取得工程における受光部の位置から入射光を挟んで反転させた位置にして、タイヤ溝の深さのデータを取得する工程である。本実施形態1のタイヤ溝の深さ測定方法の主たる特徴とするところは、基準データ取得工程で用いる受光部と、反転データ取得工程で用いる受光部とを、タイヤ溝から見て入射光を挟んで互いに反転させた位置とすることと、基準データと反転データとを合成したデータをタイヤ溝の深さとする、ことにある。以下、まず図1,2に基づいてタイヤ溝深さ測定装置について説明し、その後に図3〜図7に基づいて上記装置を用いたタイヤ溝の深さ測定方法について説明する。
〔タイヤ溝深さ測定装置〕
タイヤ溝深さ測定装置1は、図1に示すように、タイヤ100をその回転軸の回りで回転可能な回転機構10と、タイヤ100に入射光21L(レーザ光)を照射する発光部21及びその反射光22Lを受光する受光部22を有するレーザ変位計20と、タイヤ100に対する受光部22の相対的な位置を変える反転部30と、レーザ変位計20によって取得したタイヤ溝110の深さのデータ(基準データ及び反転データ)を記憶する記憶部60と、基準データと反転データとを合成するデータ合成部70と、を備える。本実施形態1のタイヤ溝深さ測定装置1の主たる特徴とするところは、反転部30を備えることと、この反転部30によってタイヤ溝110から見て入射光21Lを挟んで互いに反転させた位置にある受光部22によって取得した基準データと反転データとを合成するデータ合成部70を備えること、にある。以下、構成要素ごとに詳細に説明する。
・回転機構
回転機構10は、タイヤ100が取り付けられるリムを有するホイール11と、ホイール11の中心に連結されてタイヤ100を回転可能に軸支する回転軸12と、その回転軸12を回転可能に駆動する駆動源(図示せず)と、タイヤ100の回転数(回転速度)を検出するロータリーエンコーダ13と、を備える。回転軸12は、タイヤ100の中心軸と同軸である。つまり、回転機構10に取り付けられたタイヤ100は、そのタイヤ100のトレッド面の外側面が、回転軸12の中心からほぼ等距離となる。駆動源によって回転軸12が回転されることで、回転機構10に取り付けられたタイヤ100は、その中心軸の回りで回転される。タイヤ100の回転は、ロータリーエンコーダ13によって経時的に測定される。タイヤ溝110の深さは、後述するレーザ変位計20によって経時的に測定されているため、特定の時間におけるタイヤ溝110の深さのデータと、タイヤ100の回転角とから、そのタイヤ溝110のデータがタイヤ100の周方向のどの位置の溝であるかを特定できる。タイヤ溝110の深さと、そのタイヤ溝110の位置とのデータは、後述する記憶部60に記憶している。タイヤ100は、その全周に亘ってタイヤ溝110の深さを測定するため、回転機構10は、タイヤ100を360°回転するように制御される。
・レーザ変位計
レーザ変位計20は、タイヤ100のトレッド面に対して所定の方向から入射光21Lを照射する発光部21と、入射光21Lに対して所定の角度で反射する反射光22Lを受光する受光部22と、を有する。ここで、入射光21Lに対する反射光22Lの角度とは、入射光21Lの光軸に対する反射光22Lの光軸の反射角のことである(図1では、入射光21L及び反射光22Lは、光軸のみを示す)。反射光22Lは、入射光21Lに対して所定の角度を有し、入射光21Lと異なる向きに反射される。受光部22は、複数の受光素子で構成されている。発光部21からその反射位置までの距離の違いにより、入射光21Lに対する反射光22Lの角度が変わる。この反射光22Lの角度の違いにより、受光素子の受光位置が変化する。その受光素子の受光位置から三角測距により、発光部21からタイヤ表面までの距離を演算することができる。
本例では、上記三角測距方式を応用した二次元レーザ変位計を用いる。二次元レーザ変位計は、この変位計と対象物(タイヤ100)との間の距離と、対象物(タイヤ100)の幅を同時に測定できる。二次元レーザ変位計20を用いると、タイヤ100に対してその幅方向に一定の領域に亘って入射光21Lが照射されることになる。よって、二次元レーザ変位計を用いることで、タイヤ100の全幅におけるタイヤ溝110の深さを効率的に測定できる。
本例では、発光部21は、タイヤ100が取り付けられる回転機構10の回転軸12を通るように配置され、受光部22は、入射光21Lに対してタイヤ100の周方向に所定の角度(ここでは約20°)で反射される反射光22Lを受光できるように配置されている。また、発光部21及び受光部22は、それぞれ一つずつ配置されている。
このレーザ変位計20で測定されるタイヤ溝110の深さのデータは、タイヤ100の幅方向及び周方向に対応した二次元配列のデータ群で構成される。
上記三角測距方式のレーザ変位計を用いた場合、タイヤ溝110の底部110bで反射した反射光22Lが受光部22まで到達できず、そのタイヤ溝110の深さを適切に測定できないという問題が生じる場合がある。この現象について図2を参照して説明する。ここでは、タイヤ110は、反時計回り(矢印方向)に回転している。まず、図2(a)に示すように、入射光21Lがある特定のタイヤ溝110の底部110bのうちタイヤ100の回転方向の前方側(図2(a)の左側)に照射された場合、反射光22Lはタイヤ溝110の開口部を通過して受光部22に到達する。つまり、タイヤ溝110の底部110bのうち上記前方側における深さは測定できる。一方、図2(b)に示すように、タイヤ100が回転し、上記特定のタイヤ溝110の底部110bへの入射光21Lの照射位置が、タイヤ100の回転方向の後方側(図2(b)の右側)に変化した場合、反射光22Lはタイヤ溝110を形成する側壁部に遮られ、受光部22に到達できない。つまり、タイヤ溝110の底部110bのうち上記後方側における深さは測定できない。以上より、上記特定のタイヤ溝110には、図2(b)に示すように、深さを測定可能な領域Mと測定不可能な領域Nとが存在することになる。領域Mにおける深さのデータは実数値で取得し、領域Nにおける深さのデータはエラー又はゼロ値などの欠損データとして取得する。この領域M,Nは、発光部21と受光部22との位置関係(入射光21Lに対する反射光22Lの角度)や、タイヤ溝110の幅や深さなどによって変わる。
タイヤ溝110のうち、深さを測定可能な領域Mと測定不可能な領域Nとが存在する溝は、主に、タイヤ100の周方向にほぼ直角に溝が形成される横溝112である。タイヤ100の周方向に溝が形成される縦溝111(図6を参照)は、その溝を形成する側壁部は反射光22Lを遮ることがないため、測定不可能な領域は実質的には存在しない。
・反転部
反転部30は、タイヤ100に対する受光部22の相対的な位置を、入射光21Lを挟んで反転可能な機構である。反転部30は、発光部21を反転可能に軸支する反転軸31と、反転軸31を中心に受光部22(レーザ変位計2)を180°反転可能に駆動する駆動源(図示せず)と、を備える。反転軸31は、発光部21と回転機構10の回転軸12とを結ぶ直線上に沿って配置されている。反転部30によって受光部22を反転することで、図1に示すように、ある特定のタイヤ溝110に対して、入射光21Lを挟んで対向する方向に反射する反射光22Lを検知することができる。そのため、反転前の受光部22(太点線で示す)で測定できなかった領域N(図2(b)を参照)を、反転後の受光部22(一点鎖線で示す)で測定することができる。つまり、反転前の受光部22で測定した結果欠損データとして取得した領域Nの深さは、反転後の受光部22で測定した結果の実数値で取得することができる。ただし、反転後の受光部22を用いた場合、三角測距方式のレーザ変位計に起因して測定できない領域が存在するメカニズムによって、深さを測定可能な領域M’と測定不可能な領域N’とが存在する。この領域M’,N’は、反転前の受光部22を用いた場合の領域M,Nを180°回転させた領域となる。よって、反転前の受光部22では測定不可能な領域Nのデータ(欠損データ)を、反転後の受光部22で測定可能な領域M’のデータで補うことができ、反転後の受光部22では測定不可能な領域N’のデータ(欠損データ)を、反転前の受光部22で測定可能な領域Mのデータで補うことができる。ただし、発光部21と受光部22との位置関係や、タイヤ溝110の幅や深さなどによって、反転前後のいずれの受光部22で測定してもデータが欠落する領域が生じる場合がある。
・記憶部
記憶部60は、レーザ変位計20によって取得したタイヤ溝110の深さのデータ(基準データ及び反転データ)を記憶する。基準データは、反転前の受光部22で測定して得られたデータであり、反転データは、基準データを取得したときの受光部22の位置を反転部によって反転した反転後の受光部22で測定して得られたデータである。記憶部60は、具体的には、レーザ変位計20によって取得したタイヤ溝110の深さのデータを記憶すると共に、回転機構10のロータリーエンコーダ13によって検出されたそのタイヤ溝110の位置を記憶する。
記憶部60は、レーザ変位計20によって取得したデータ(生データ)を記憶するし、後述する補正部によって補正された補正データやデータ合成部によって合成された合成データなどの加工データも記憶する。
・データ合成部
データ合成部70は、基準データ及び反転データにおいて、基準データ及び反転データの一方にレーザ変位計20に起因する欠損データがあった場合、その欠損データに代えて基準データ及び反転データの他方のデータを採用し、基準データと反転データとを合成した合成データを作成する。このデータ合成部の具体的な処理については、後述するタイヤ溝の深さ測定方法の説明の際に詳述する。
・補正部
レーザ変位計20によって取得した基準データ及び反転データ(加工していない生データ)は、測定による誤差(回転機構10によるタイヤ100の回転ずれなどに起因するものなど)や、タイヤの半径方向の振れ(RRO:ラジアルランナウト)やタイヤの横方向(軸方向)の振れ(LRO:ラテラルランナウト)による誤差が生じる。よって、基準データ及び反転データにおいて生じた誤差を補正する補正部80を備えることが好ましい。補正部80は、タイヤ100の幅方向に生じた誤差を補正する幅方向補正部81と、タイヤ100の径方向に生じた誤差を補正する径方向補正部82と、タイヤ100の周方向に生じた誤差を補正する周方向補正部83と、を備える。データ合成部70では、幅方向補正部81、径方向補正部82、周方向補正部83の少なくとも一つの補正部によって補正された基準データと、補正された反転データとを合成する。また、補正部は、データ合成部70で得られた合成データを基に、タイヤ100の状態(特にタイヤ溝110以外の表面状態)を再現する再現補正部84を備える。各補正部の具体的な処理については、後述するタイヤ溝の深さ測定方法の説明の際に詳述する。
・その他
レーザ変位計20によって取得したデータや、補正部80で補正したデータ、データ合成部70で合成したデータなどを画像処理して画像データを作成する画像処理部(図示せず)を備えることができる。レーザ変位計20によって取得した基準データと反転データとは、タイヤ溝110から見て入射光21Lを挟んで互いに反転させた位置にある受光部22で測定した値であるため、そのまま画像データとすると互いに左右反転した画像となる。よって、画像データを作成する場合、画像処理部に左右反転部を備え、基準データ又は反転データのいずれかを幅方向の中心軸を基準として左右反転することが好ましい。また、レーザ変位計20によって取得したデータや、補正部で補正したデータ、データ合成部で合成したデータ、画像処理部で処理した画像などを表示する表示部90を備えることができる。上記補正部80、データ合成部70、画像処理部や、記憶部60は、コンピュータ内に組み込まれ、このコンピュータに表示部90が接続されている形態が挙げられる。
〔タイヤ溝の深さ測定方法〕
上記タイヤ溝深さ測定装置1を用いて、タイヤ100のタイヤ溝110の深さを測定する方法について説明する。本実施形態1のタイヤ溝の深さ測定方法は、以下の基準データ取得工程と、反転データ取得工程と、データ合成工程と、を備える。また、本実施形態1では、基準データ取得工程で得られた基準データや反転データ取得工程で得られた反転データを補正する補正工程を備える。本例では、タイヤ100のタイヤ溝110は、幅方向中心を挟んで周方向に並列して形成された二本の縦溝111,111と、縦溝111,111の外方側にタイヤ100の周方向にほぼ直角に形成される複数の横溝112,…と、を備え(図6を参照)、これらのタイヤ溝110の深さを測定する例を説明する。以下に、各工程の具体的な処理を説明する。
・基準データ取得工程
基準データ取得工程は、タイヤ100のトレッド面に対して所定の方向から入射光21Lを照射し、この入射光21Lに対する所定の角度の反射光22Lを受光部22で受光して、タイヤ溝110の深さのデータを取得する工程である。基準データ取得工程では、タイヤ100を回転機構10に取り付けて、タイヤ100をその中心軸回りに回転した状態で測定しており、タイヤ100の幅方向及び周方向に対応した二次元配列のデータ群を取得している。
本例では、入射光21Lをタイヤ100が取り付けられた回転機構10の回転軸12を通るように照射し、入射光21Lに対してタイヤ100の周方向に所定の角度で反射される反射光22Lを受光部22で受光して測定を行った。
・反転データ取得工程
反転データ取得工程は、タイヤ100に対する受光部22の相対的な位置を、基準データ取得工程における受光部22の位置から入射光21Lを挟んで反転させた位置にして、タイヤ溝110の深さのデータを取得する工程である。反転データ取得工程でも、タイヤ100を回転機構10に取り付けて、タイヤ100をその中心軸回りに回転した状態で測定しており、タイヤ100の幅方向及び周方向に対応した二次元配列のデータ群を取得している。
反転データ取得工程では、タイヤ100に対する受光部22の相対的な位置を、基準データ取得工程における受光部22の位置から反転させる。この反転には、上記タイヤ溝深さ測定装置1における反転部30を用いる。反転部30によって、反転軸31を中心にして受光部22を180°回転することで、受光部22の配置を容易に反転することができる。受光部22の配置を変えることで、測定対象であるタイヤ100は回転機構10に取り付けたままとできるため、タイヤ100の付け替え作業を省略でき、付け替えによって生じる位置ずれを防止できる。
タイヤ100の回転方向は、基準データ取得工程におけるタイヤ100の回転方向と同方向でもよいし、逆方向としてもよい。反転データを取得するタイヤ100の周方向の開始位置は、基準データを取得するタイヤ100の周方向の開始位置と合わせることが挙げられる。両データの取得開始位置を合わせることで、後述するデータ合成工程において、基準データと反転データとを合成し易い。タイヤ100にその周方向にボルトなどの基準点201,202を設ける場合(図6を参照、詳細は後述する)、データ合成工程では、このボルトを合わせることで基準データと反転データとを対応した位置で合成できるため、データ取得工程でそのデータの取得開始位置を合わせる必要はない。
・データ合成工程
データ合成工程は、基準データ取得工程で得られた基準データと、反転データ取得工程で得られた反転データとを照合し、基準データと反転データとを合成したデータをタイヤ溝の深さとする工程である。基準データと反転データとを合成する際、基準データ及び反転データの一方にレーザ変位計の測定方式に起因する欠損データがあった場合、その欠損データに代えて基準データ及び反転データの他方のデータを採用する。
基準データと反転データとの合成方法として二つのパターンが挙げられる。一つ目のパターンは、基準データ及び反転データの一方を基礎とした合成データを作成する形態である。一つ目のパターンの手順を、例えば基準データを基礎とする場合で説明する。基準データにおける深さのデータに欠損データ(エラー又はゼロ値で示される)があった場合、その欠損データのタイヤ溝110の位置に対応する反転データを上記欠損データに代えて採用する(置き換える)。このとき、その採用する反転データが実数値である場合も、欠損データである場合もある。よって、欠損データを反転データに置き換えたとしても、基準データの欠損データが実数値となる場合も、欠損データのままである場合もある。いずれにしても、この一つ目のパターンでは、合成データは、基準データのうち欠損データのみが反転データとなったデータであり、欠損データ以外の実数値は基準データである。基礎とするデータとして、反転データを用いてもよい。
二つ目のパターンは、基準データ及び反転データについて、基準データ及び反転データの一方に欠損データがあった場合、その欠損データに代えて基準データ及び反転データの他方のデータを採用し、基準データ及び反転データの双方が実数値である(双方が欠損データでない)場合、基準データと反転データとの平均値を採用する形態である。二つ目のパターンは、基準データと反転データとをタイヤ溝110の位置ごとに照合し、基準データと反転データの双方が実数値であれば、その平均値をその照合したタイヤ溝110の位置におけるタイヤ溝110の深さとして合成データを作成する。基準データと反転データの一方に欠損データがあった場合、基準データと反転データの他方が欠損データでなければその値を採用する。基準データと反転データの双方が欠損データであった場合は、そのタイヤ溝110の位置における深さは欠損データとする。
・補正工程
レーザ変位計20によって取得した基準データ及び反転データ(加工していない生データ)は、測定による誤差(回転機構10によるタイヤ100の回転ずれなどに起因するものなど)や、タイヤのRROやLROによる誤差が生じる。よって、基準データ及び反転データの各々について、誤差を補正する補正工程を備えることが好ましい。補正工程は、タイヤ100の幅方向に生じた誤差を補正する幅方向補正工程と、タイヤ100の径方向に生じた誤差を補正する径方向補正工程と、タイヤ100の周方向に生じた誤差を補正する周方向補正工程と、を備える。上述したデータ合成工程では、幅方向補正工程、径方向補正工程、周方向補正工程の少なくとも一つの補正工程を行うことで補正された基準データと、同じく補正された反転データとを合成することが好ましい。また、データ合成工程で得られた合成データを基に、タイヤ100の状態を再現する再現補正工程を備えることが好ましい。各補正工程は、必須ではなく、どの補正工程も行わなくてもよく、いずれか一つの補正工程を行ってもよいし、いくつかの補正工程を組み合わせて行ってもよい。
補正工程を備える場合のタイヤ溝の深さ測定方法の流れを、図3のタイヤ溝の深さ測定方法の手順を示すフローチャートを参照して説明する。まず、基準データ取得工程によって、基準データを取得する(S1)。この基準データは記憶部60に記憶される。この基準データについて、補正を行う(幅方向補正工程、径方向補正工程)。補正を行うにあたり、補正の基準点を設定する(S2)。補正の基準点については、後述する幅方向補正工程及び径方向補正工程で詳述する。この基準点を基に、上記基準データを補正し、補正有の基準データを作成する(S3)。この補正した基準データは記憶部60に記憶される。次に、反転データ取得工程によって、反転データを取得する(S4)。この反転データは記憶部60に記憶される。この反転データについても、補正を行う(幅方向補正工程、径方向補正工程)。補正を行うにあたり、基準データの補正と同様に、補正の基準点を設定する(S5)。この基準点を基に、上記反転データを補正し、補正有の反転データを作成する(S6)。この補正した反転データは記憶部60に記憶される。上記の補正有の基準データと補正有の反転データとを合成するにあたり、補正を行う(周方向補正工程)。補正を行うにあたり、合成の基準となる基準点を設定する(S7)。補正の基準点については、後述する周方向補正工程で詳述する。この基準点を基に、データ合成工程によって、補正有の基準データと補正有の反転データとを合成する(S8)。この補正した合成データは記憶部60に記憶される。最後に、合成データについて、タイヤのタイヤ溝以外の表面状態を、基準データや反転データにおいて補正を行う前の状態へ再現する補正を行う(再現補正工程)。この補正を行うにあたり、再現元のデータ(基準データか反転データか)を設定する(S9)。この設定したデータを基に、合成データのタイヤ溝以外の表面状態を試験対象であるタイヤ100の表面状態に再現した再現データを作成する(S10)。この補正した再現データは記憶部60に記憶される。以下に、各補正工程の詳細を説明する。
・・幅方向補正工程
幅方向補正工程は、タイヤ100の幅方向におけるデータのずれを補正する工程である。この幅方向の補正を行うにあたり、基準データ取得工程及び反転データ取得工程では、タイヤ100を回転させながらタイヤ100の全周に亘ってデータを取得する。そして、基準データ及び反転データの少なくとも一方において、タイヤ100の幅方向に基準点となる位置を選択し、基準点が周方向に全て合う(揃う)ように幅方向のデータを再配列する補正を行う。この基準点として、タイヤ100の周方向に形成された縦溝111(図6を参照)を利用することができる。縦溝111は、通常、タイヤ100の周方向に、真っ直ぐに形成されている。よって、タイヤ100を周方向に展開すると、縦溝111は真っ直ぐに配置されるはずである。しかし、タイヤ100の取付誤差や回転時のタイヤ100のブレによって幅方向にずれが生じた場合、周方向に展開した縦溝111は、真っ直ぐにはならない。そこで、この周方向に展開した縦溝111に着目し、この縦溝111が真っ直ぐになるように補正することで、タイヤ100の幅方向におけるデータのずれを補正する。この幅方向補正工程は、基準データ及び反転データの少なくとも一方のデータに対して行えばよく、双方のデータに対して行うことが好ましい。
幅方向補正工程を行うにあたり、基準点として縦溝111の設定を行う。この設定として、複数の縦溝111がある場合、いずれの縦溝111を基準点として用いるかを選択することが挙げられる。この基準点の設定によって、選択された縦溝111の特定のデータ、例えば、タイヤ溝110の開口縁の対向する角部を構成する2点(ここでは、後述するP,Pn+1:nは正の自然数)が基準点として抽出される。この基準点は、幅方向補正や、後述する径方向補正に利用する。
以下に、図4(矢印Tは周方向、矢印Wは幅方向を示す)を参照して、幅方向補正工程における処理を説明する。図4の右図は、左図に示すタイヤ100の周方向に沿って任意に選択した位置(ここでは例として三点選択)における縦溝111の横断面図である。図4の右図の左側は補正前の縦溝111を示し、右側は補正後の縦溝111を示す。タイヤ100が幅方向にずれた場合、図4の右図の左側に示すように各縦溝111の中心線が真っ直ぐにならない。そこで、各位置の縦溝111について、底部110bから上がり勾配の変わる位置P11−P12,P21−P22,P31−P32が基準点として抽出されると、それらの各中心線A,A,Aが導かれる。図4の右図の右側に示すように、各中心線A,A,Aを一直線として、それに伴ってタイヤ100の周方向のデータが再配列されることで、補正が行われる。他に、位置P11,P21,P31を一直線としてもよいし、位置P12,P22,P32を一直線としてもよい。
ここでは、基準点として、タイヤ100の周方向に形成された縦溝111を利用する例を説明したが、タイヤ100とは独立した部材を用いることもできる。例えば、タイヤ100の側縁に円盤状の基準板を配置した状態でタイヤ100を回転させることが挙げられる。この基準板の表面や各部を基準点として設定すればよい。
・・径方向補正工程
径方向補正工程は、タイヤ100の径方向におけるデータのずれを補正する工程である。この径方向の補正を行うにあたり、基準データ取得工程及び反転データ取得工程では、タイヤ100を回転させながらタイヤ100の全周に亘ってデータを取得する。そして、基準データ及び反転データの少なくとも一方において、タイヤ100の径方向に基準点となる位置を選択し、基準点が周方向全周に亘って一定となるように径方向のデータを補正する。この基準点として、タイヤ100の周方向に形成された縦溝111(図6を参照)を利用することができる。縦溝111は、通常、タイヤ100の周方向に、真っ直ぐに形成されている。具体的には、図5に示すように、タイヤ溝111の底部110bから上がり勾配の変わる位置P11−P12を結ぶ線部と、P11−P12の中心線Aとの交点と、発光部21(レーザ変位計20)との距離hを見ている。タイヤ100が真円で、回転機構10の回転軸12に適正に取り付けられていれば、上記距離hは、タイヤ100の周方向に一定となるはずである。しかし、タイヤ100の取付誤差、回転時のタイヤ100のブレ、タイヤのRROやLROによる誤差などによって径方向にずれが生じた場合、上記距離hが、タイヤ100の周方向に一定とならない。そこで、この距離hに着目し、この距離hが一定となるように補正することで、タイヤ100の径方向におけるデータのずれを補正する。この径方向補正工程は、基準データ及び反転データの少なくとも一方のデータに対して行えばよく、双方のデータに対して行うことが好ましい。
以下に、図5(矢印Tは周方向、矢印Dは径方向を示す)を参照して、径方向補正工程における処理を説明する。図5の下図は、上図に示すタイヤ100の周方向に沿って任意に選択した位置(ここでは例として三点選択)における縦溝111の横断面図である。図5の下図の上側は補正前の縦溝111を示し、下側は補正後の縦溝111を示す。タイヤ100が径方向にずれた場合、図5の下図の上側に示すように受光部21からタイヤ100までの距離hが一定とならない(h≠h≠h)。そこで、図5の下図の下側に示すように、例えば、任意に選択した位置での距離(ここではh)が基準点として抽出されると、周方向の異なる位置での距離(位置P21−P22を結ぶ線部と、P21−P22の中心線Aとの交点による距離hや、位置P31−P32を結ぶ線部と、P31−P32の中心線Aとの交点による距離h)が距離hとなるように補正が行われる。例えば、測定値(hやh)から距離hを減じ、その測定位置と同じ幅方向に並ぶ測定値からその差分を減じてデータを再配列することで補正が行える。それにより、h=h’=h’=h’とできる。なお、詳しくは後述するが、この補正により、横溝112の深さは補正後のデータから把握できるが、タイヤ100の周方向に同データを見れば、レーザ変位計20からの横溝112以外のタイヤ100の表面までの距離は実質的に一定となる(図7の上図を参照)。
・・周方向補正工程
周方向補正工程は、タイヤ100の周方向におけるデータのずれを補正する工程である。データ合成工程において、基準データと反転データとを合成するにあたり、各データは独立して取得していることから、位相がずれている。そこで、周方向補正工程では、基準データと反転データとの位相を合わせる。位相を合せることで、基準データと反転データのお互いの合成位置が合う。この周方向の補正を行うにあたり、基準データ取得工程及び反転データ取得工程では、タイヤ100を回転させながらタイヤ100の全周に亘ってデータを取得する。そして、基準データ及び反転データの各々において、タイヤ100の周方向に基準点となる位置を選択し、基準データにおける基準点と反転データにおける基準点とが合うように周方向のデータを補正する。この基準点として、タイヤ100の周方向に形成された縦溝111(図6を参照)にボルト201,202を設けることが挙げられる。周方向の補正は、具体的には、基準データのボルトの位置と、反転データのボルトの位置とが対応するように両データの位相を合わせて合成を行う。
周方向補正工程を行うにあたり、基準点としてボルト201,202の設定を行う。基準点は周方向の1点を選択すればよいが、2点以上指定することで、より正確な周方向の補正が可能になる。
以下に、図6(上下方向の矢印Tは周方向を示す)を参照して、周方向補正工程における処理を説明する。図6の上図は、補正前の基準データを画像処理した基準データ画像2Aと、補正前の反転データを画像処理した反転データ画像2Bを示す。基準データ画像2A及び反転データ画像2Bにおいて、横溝112のハッチング部分が欠損データを示している。基準データ画像2Aと反転データ画像2Bは、位相が異なっており、各ボルト201,202の位置がずれている。図6の下図は、補正後の基準データを画像処理した基準データ画像2A’と、補正後の反転データを画像処理した反転データ画像2B’を示す。ボルト201,202が基準点として設定されているため、基準データ画像2A’と反転データ画像2B’は、各ボルト201,202の位置を対応させて位相が合うように補正が行われる。この位相を合わせた状態で、基準データを基データとして照合及び合成が行われると、基準データ画像2A(2A’)の欠損データが反転データ画像2B(2B’)の有効データによって補完された合成データ画像2Cが得られる。ここでは、説明の便宜上、全ての欠損データが補完される例を示したが、本来は、発光部21と受光部22との位置関係や、タイヤ溝110の幅や深さなどによって、合成データには欠損データが残ったままとなる場合がある。その場合でも、合成を行わない場合に比べれば、欠損データの生じる領域を狭小化することができる。
・再現補正工程
以下に、図7(左右方向の矢印Tは周方向を示す)を参照して、再現補正工程について説明する。上述した各補正工程を行った基準データ及び反転データを合成した合成データは、本来のタイヤ100の状態を補正して得られているため、通常、タイヤ溝110以外の表面状態が本来のタイヤ100の状態と異なる。例えば図7の上図(タイヤ100の周方向に沿って配置される横溝112の横断面図)に示すように、合成データを画像処理した合成データ画像2Cは、タイヤ溝110の欠損データは補完されているが、上記径方向補正工程を行ったことによって、タイヤ溝110以外の表面状態が凹凸のない平面となっている。本来のタイヤ100の表面状態は、補正前の基準データ又は反転データを画像処理した補正前基準(反転)データ画像2Dのように、凹凸のある面となっている(図7の中図)。この補正前基準(反転)データ画像2Dでは、タイヤ溝110には欠損データ領域Emが存在する。そこで、再現補正工程では、主に上記径方向補正工程で行った処理と逆の処理を行い、タイヤ溝110の欠損データは補完したままで、タイヤ溝110以外の表面状態を本来のタイヤ100の状態とした再現データ画像2Eを作成する(図7の下図)。
再現補正工程を行うにあたり、再現元データとして、基準データか反転データかの選択を行う。本例では、基準データを選択している。この再現元データの設定によって、選択されたデータにおいて、例えば、タイヤ溝110の開口縁の対向する角部を構成する2点(ここでは、後述するQ,Qn+1:nは正の自然数)が基準点として抽出される。具体的には、各横溝112の底部110bから上がり勾配の変わる位置Q11及びQ12が基準点として抽出されると、その位置を基点として、横溝112の値は合成データ画像2Cを用い、それ以外の表面の値は補正前基準データ画像2Dを用いて、再現データ画像2Eを作成する。そうすることで、タイヤ100の表面状態を本来のタイヤ100の状態に再現することができ、ヒールアンドトウ摩耗やフェザーエッジ摩耗などの摩耗形態の把握が可能となる。タイヤ溝110の深さを測定するだけであれば、この再現補正工程は省略できる。
・効果
本実施形態1のタイヤ溝の深さ測定方法は、基準データに欠損データがあったとしても、その欠損データが確認されたタイヤ溝110の位置に対応する反転データが欠損していなければ、基準データの欠損データを反転データによって補完することができる。よって、基準データと反転データのそれぞれにおいて欠損データが発生しても、基準データと反転データとを合成することで、互いに補完し合うことができ、精度の高いタイヤ溝の深さを得ることができる。これは、基準データを取得する際に用いた受光部22と、反転データを取得する際に用いた受光部22とが、タイヤ溝110から見て入射光21Lを挟んで互いに反転させた位置にあるためである。つまり、タイヤ溝110の深さは、そのタイヤ溝110から見て、入射光21Lを挟んで対向する異なる方向でそれぞれ測定を行っているためである。
本実施形態1のタイヤ溝の深さ測定方法は、タイヤ溝110から見て入射光21Lを挟んで互いに反転させるだけで、容易に合成データを得ることができるため、一つの受光部22(レーザ変位計2)で測定可能であり、構造が簡易でありながら、精度の高いタイヤ溝の深さを効率的に得ることができる。
本実施形態1のタイヤ溝の深さ測定方法は、基準データ取得工程で得られた基準データや、反転データ取得工程で得られた反転データを補正した補正データを用いて合成データを作成することで、測定に伴いタイヤがずれるなどして生じた誤差を補正することができ、精度の高いタイヤ溝の深さを得ることができる。
≪実施形態2≫
実施形態1では、基準データを取得する際に用いた受光部22と、反転データを取得する際に用いた受光部22とを、タイヤ溝110から見て入射光21Lを挟んで互いに反転させた位置とする方法として、反転部30を用いる例を説明した。この他に、タイヤ100を付け替えることで、タイヤ溝110から見て入射光21Lを挟んで受光部22を互いに反転させることができる。タイヤ100を付け替える際は、回転機構10の回転軸12に対してタイヤ100の表裏を逆転して付け替える。この方法であれば、受光部22(レーザ変位計2)を動かす必要がないため、回転部30を省略できる。
本発明のタイヤ溝の深さ測定方法は、タイヤ表面の溝の深さを測定することによるタイヤの摩耗状態の確認に好適に利用できる。
1 タイヤ溝深さ測定装置
10 回転機構 11 ホイール 12回転軸 13 ロータリーエンコーダ
20 レーザ変位計
21 発光部 21L 入射光 22 受光部 22L 反射光
30 反転部 31反転軸
60 記憶部
70 データ合成部
80 補正部
81 幅方向補正部 82 径方向補正部 83 周方向補正部
84 再現補正部
90 表示部
100 タイヤ
110 タイヤ溝 111 縦溝 112 横溝
110b 底部
201,202 ボルト(基準点)
2A,2A’ 基準データ画像 2B,2B’ 反転データ画像
2C 合成データ画像
2D 補正前基準データ画像 2E 再現データ画像
Em 欠損データ領域

Claims (1)

  1. レーザ変位計を用いて、タイヤ表面の溝の深さを測定するタイヤ溝の深さ測定方法であって、
    タイヤのトレッド面に対して所定の方向から入射光を照射し、この入射光に対する所定の角度の反射光を受光部で受光して、前記タイヤ溝の深さのデータを取得する基準データ取得工程と、
    前記タイヤに対する前記受光部の相対的な位置を、前記基準データ取得工程における前記受光部の位置から入射光を挟んで反転させた位置にして、前記タイヤ溝の深さのデータを取得する反転データ取得工程と、
    前記基準データ取得工程で得られた基準データと、前記反転データ取得工程で得られた反転データとを照合し、前記基準データ及び前記反転データの一方に前記レーザ変位計の測定方式に起因する欠損データがあった場合、その欠損データに代えて前記基準データ及び前記反転データの他方のデータを採用し、前記基準データと前記反転データとを合成したデータを前記タイヤ溝の深さとするデータ合成工程と、を備えるタイヤ溝の深さ測定方法。
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