JP2016160993A - 軸受装置 - Google Patents

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晋也 新崎
Shinya Nizaki
晋也 新崎
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【課題】軸受の回転を抑制しつつ、軸受円弧部の一部への荷重の集中を抑制する。【解決手段】ブシュ10(軸受)は、軸方向に垂直な断面が円弧形状を有する円弧部11と、円弧部11の円弧の一端から延び、軸方向に垂直な断面において円弧部11の外接円の外側に出た部分を有する回転抑制部12および回転抑制部13を有する。蓋32は基材部321および脚部322を有する。脚部322は、ブシュ10と接している。【選択図】図4

Description

本発明は軸受装置に関する。
車両のステアリング装置において、ステアリングシャフトの可動コラム部材を支持する軸受として、円筒ではなく円弧形状の軸受を用いる技術が知られている(例えば特許文献1および2)。一般に円弧形状の軸受を用いた場合、軸の円周方向の力が加わると、軸受が容易に回転すなわち位置ずれしてしまうという問題がある。これに対し特許文献1および2では、樹脂製の軸受の外周面に大きな凸部を、ハウジングにこれと噛み合う凹部を、それぞれ設け、この凸部および凹部の噛み合わせにより軸受の回転を防止している。
特開2013−67310号公報 特開2013−67313号公報
特許文献1および2の技術においては、凸部の先端がハウジングと接している場合には軸受に対する荷重が凸部近傍に集中し、凸部の先端がハウジングと接していない場合には荷重が凸部以外の部分に集中するという問題があった。
これに対し本発明は、軸受の回転を抑制しつつ、軸受円弧部の一部への荷重の集中を抑制する技術を提供する。
本発明は、開口を有し、軸を収容するハウジングと、前記ハウジングに固定され、前記軸を支持し、非円筒形状を有する軸受と、前記開口を覆った状態で前記軸受と接する蓋とを有する軸受装置を提供する。
前記ハウジングは、前記軸受を固定する位置における前記軸に垂直な断面において、内周面が円弧面および当該円弧面の端部から当該円弧面の外接円の外側に延びる非円弧面を有し、前記蓋は、前記開口を覆う基材部と、前記基材部から前記非円弧面に沿って延び、前記軸受と接する脚部とを有してもよい。
前記軸受は、前記円弧面に沿った形状の円弧部を有し、前記脚部は、前記円弧面と前記非円弧面との境界において前記軸受と接してもよい。
前記軸受は、前記円弧面に沿った形状の円弧部と、前記非円弧面に沿った形状の非円弧部とを有し、前記脚部は、前記非円弧面において前記軸受と接してもよい。
前記ハウジングは、前記軸受を固定する位置における前記軸に垂直な断面において、内周面が円弧面および当該円弧面の端部から当該円弧面の外接円の外側に延びる非円弧面を有し、前記軸受は、前記円弧面に沿った形状の円弧部と、前記非円弧面に沿った形状の非円弧部とを有し、前記蓋は、前記非円弧部の前記開口側の端部において前記軸受と接してもよい。
前記蓋は、平板形状を有してもよい。
前記蓋は、前記ハウジング側の面に凹部を有し、前記非円弧部の端部は、前記凹部に嵌め合わされてもよい。
本発明によれば、軸受の回転を抑制しつつ、軸受円弧部の一部への荷重の集中を抑制することができる。
一実施形態に係るステアリング装置1の外観を示す図 ステアリング装置1の断面図 ブシュ10の外観を示す図 ブシュ10のIV−IV断面図 蓋32の実施例1を示す図 蓋32の実施例2を示す図 蓋32の実施例3を示す図 蓋32の実施例4を示す図
図1は、一実施形態に係るステアリング装置1の外観を示す図である。ステアリング装置1は、一実施形態に係るブシュ10(軸受の一例)を用いた軸受装置の一例であり、例えば自動車に用いられる。なお、軸受装置とは、軸受を用いた装置をいう。ステアリング装置1は、ステアリングシャフト20、ハウジング30、テレスコピック機構40、およびチルト機構50を有する。
ステアリングシャフト20は、ステアリングホイール(図示略)の回転をステアリングギヤボックス(図示略)に伝達する。ハウジング30は、ステアリングシャフト20を収容する。テレスコピック機構40は、ステアリングホイールの、前後方向(ステアリングシャフト20の軸方向。図の左右方向)の位置を調整する機構である。チルト機構50は、ステアリングホイールの、上下方向(ステアリングシャフト20の軸方向と直交する方向。図の上下方向)の位置を調整する機構である。テレスコピック機構およびチルト機構は、例えば、モータ(図示略)により駆動される。
テレスコピック機構40は、可動コラム41を有する。可動コラム41は、インナーチューブ411(図1では不図示)およびアウターチューブ412を有する。インナーチューブ411は、内部にステアリングシャフト20を収容する。インナーチューブ411は軸受(図示略)を介してステアリングシャフト20を支持する。ステアリングシャフト20は、インナーチューブ411に対して相対的に回転可能である。しかし、ステアリングシャフト20とインナーチューブ411とは相対的に前後方向には移動(スライド)しない。アウターチューブ412は、内部にインナーチューブ411を収容する。インナーチューブ411とアウターチューブ412とは相対的に回転しないが、相対的に前後方向には移動(スライド)する。すなわち、ステアリングホイールの操作によるステアリングシャフト20の回転に対し、インナーチューブ411およびアウターチューブ412は回転しない。インナーチューブ411およびステアリングシャフト20がアウターチューブ412に対して前後方向に移動(スライド)することによって、ステアリングホイールの前後方向の位置が調整される。
図2(A)は、ステアリング装置1のA−A断面図であり、図2(B)は、ステアリング装置1のB−B断面図である。ハウジング30は、ハウジング本体31および蓋32を有する。ハウジング本体31は、ブシュ10を介してインナーチューブ411およびステアリングシャフト20を支持している。インナーチューブ411はブシュ10すなわちハウジング30に対し回転しないので、ブシュ10は回転しない軸を支持しているといえる。ハウジング本体31の上部(ステアリングシャフト20から見てブシュ10と反対側)は開口している。蓋32は、この開口を覆っている。
蓋32は、複数箇所(この例では2箇所)の孔を有する。孔にはピン33が挿入されている。ピン33とインナーチューブ411との間には、ワッシャ35が設けられている。ワッシャ35には、バネ34により荷重が与えられている。すなわち、インナーチューブ411およびステアリングシャフト20は、バネ34により上から押さえつけられている。バネ34は、例えば皿バネである。ワッシャ35は、例えば金属または樹脂で形成される。蓋32の詳細については後述する。
この例で、バネ34とブシュ10とは、軸方向(前後方向)において同じ位置に設けられている。このようにバネ34と軸方向において同じ位置に設置するためには、円筒形状のブシュを用いることはできない。ブシュ10をU字形状とすることにより、バネ34とブシュ10とを同位相とすることが可能となる。そのため、可動コラム41の全長を短くすることができ、ひいてはテレスコピック機構40を小さく構成することが可能となる。また、インナーチューブ411およびステアリングシャフト20をしっかりと支持するため、ブシュの摺動範囲は180°程度確保することが求められる。しかし、外周が円弧形状のブシュを用いたのでは、ハウジング本体31に対してブシュが回転してしまい、ブシュの位置ずれが起こる可能性がある。そこで本実施形態のブシュ10は、U字形状を採用している。
図3は、ブシュ10の外観を示す図であり、図4は、ブシュ10のIV−IV断面図である。ブシュ10は、円弧部11、回転抑制部12、および回転抑制部13を有する。円弧部11、回転抑制部12、および回転抑制部13は、金属で一体形成されている。金属は、単体金属でも合金でもよく、さらに、全体が単一の層で形成されていても、多層構造(例えばバイメタル)を有していてもよい。
さらに、ブシュ10の摺動面には、バインダー樹脂および添加物を含むコーティング層が形成されてもよい。バインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、例えば、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、およびフェノール樹脂の少なくとも1種を用いることができる。添加物は、例えば、固体潤滑剤を含む。固体潤滑剤は、摩擦特性を改善するために添加される。固体潤滑剤は、例えば、グラファイト、MoS2、WS2、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、h−BN、CF、およびSB23のうち少なくとも1種を含む。
円弧部11は、軸方向に垂直な断面における外周面が円弧を描く部分である。回転抑制部12および回転抑制部13は、この断面における外周面が、円弧部11の外接円の外側に出る部分を有する形状を有する。この例で、回転抑制部12および回転抑制部13は直線形状を有する直線部である。ブシュ10のサイズはステアリングシャフト20等のサイズに応じて設計されるが、一例として、円弧部11の内周の半径dは20〜30mm、回転抑制部12および回転抑制部13の長さLは1mm〜10mmである。
回転抑制部12および回転抑制部13の長さは、半径dの5%を超えることが好ましい。ステアリングシャフト20に振動が入力された場合、摩擦によりブシュ10に微小な回転荷重が入力される。入力された回転荷重よりもブシュ10の降伏点が大きい場合、ブシュ10の回転抑制効果が得られる。回転抑制効果を得るための回転抑制部12および回転抑制部13の長さは使用条件等により異なるが、本願発明者らのコンピュータシミュレーションの一つの結果によれば、回転抑制部12および回転抑制部13の長さが半径dの5%以上であれば一定の回転抑制効果が得られることがわかった。
回転抑制部12および回転抑制部13は、ハウジング本体31に張力を与え、ハウジング本体31に固定されやすくするため、外側に向かって開いている。すなわち、円弧部11の端部間の距離よりも、回転抑制部12と回転抑制部13との間の距離の方が広い。
図5は、蓋32の実施例1を示す図である。図5は、軸方向に垂直な断面を示している。以下の図も同様である。この例で、蓋32は、平板形状を有している。ブシュ10の回転抑制部12および回転抑制部13は、ハウジング30の内周面のうち、軸方向に垂直な断面が円弧形状を有さない面(非円弧面)に沿って開口まで延びている。ブシュ10は、ハウジング30の開口部において蓋32と接している。この例によれば、蓋32の形状を平板形状とすることができ、後述するように脚部を設けると比較して蓋の製造コストを低減することができる。
図6は、蓋32の実施例2を示す図である。この例で、蓋32は、基材部321および脚部322を有する。基材部321は、この断面においてハウジング30の開口を覆う形状を有している。脚部322は、基材部321から、ハウジング30の内周面に沿って底面に向かって(すなわちブシュ10に向かって)延びている。脚部322は、ハウジング30の内周面の途中でブシュ10と接している。この例によれば、脚部322の長さを適切に設計することにより、図5の例よりも強い力でブシュ10を抑えることができる。
図7は、蓋32の実施例3を示す図である。実施例3は、実施例2の変形である。この例で、ブシュ10は回転抑制部12および回転抑制部13を有しておらず、円弧部11のみを有している。蓋32の脚部322は、円弧部11の端部まで延びており、円弧部11の端部においてブシュ10と接している。この例によれば、図6の例と比較してブシュ10の製造コストを低減することができる。
図8は、蓋32の実施例4を示す図である。この例で、蓋32は脚部322を有しておらず、代わりに凹部(穴)323を有している。ブシュ10の回転抑制部12および回転抑制部13は、ハウジング30からはみ出す長さを有している。凹部323は、回転抑制部12および回転抑制部13に相当する位置に設けられている。回転抑制部12および回転抑制部13は、凹部323にはめ込まれる。この例によれば、凹部323の位置により、ハウジング30に対するブシュ10の位置を決めることができる。図5〜7の例では、ハウジング30に対するブシュ10の位置を決めるため、ハウジング30の内周面に凸部(図示略)を設け、この凸部に合わせてブシュ10を嵌め合わせることが好ましい。これに対し図8の例によれば、ハウジング30の内周面に位置決めのための凸部を設ける必要がなく、ハウジング30の加工を省略することができる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
蓋32は、必ずしもハウジング30の全長に渡って開口を覆っている必要はなく、ハウジング30の上部の開口の少なくとも一部を覆っていればよい。
回転抑制部12および回転抑制部13の長さ(軸方向に垂直な断面における、円弧部11の端部からの長さ)は、異なっていてもよい。この場合において、回転抑制部12および回転抑制部13の少なくとも一方の長さがゼロであってもよい。すなわち、回転抑制部12および回転抑制部13の少なくとも一方が省略されてもよい。この場合、脚部322の長さは、回転抑制部12および回転抑制部13の長さに合わせて設計される。
回転抑制部12および回転抑制部13の形状は実施形態で説明した直線形状に限定されない。ブシュ10の回転を抑制できる形状であれば、軸方向に垂直な断面における外周面の形状は直線でなく、円弧形状、または凹凸を有する形状(波形、ノコギリ型等)であってもよい。
円弧部11の形状は実施形態で例示したものに限定されない。実施形態では、円弧の中心角が180°である例を示した。しかし、円弧部11の円弧の中心角は、180°より小さくてもよいし、大きくてもよい。
ステアリング装置1の具体的構造は、実施形態で説明したものに限定されない。さらに、ブシュ10の用途はステアリング装置に限定されず、どのような装置に利用されてもよい。ブシュ10は上部が開放されているので、特に、図2で例示したように、軸に荷重をかける位置(バネ33が設けられている位置)と軸を支持する位置(ブシュ10が設けられている位置)が重なる構造を採用することができるので、このような構造の装置に好適である。
1…ステアリング装置
10…ブシュ
11…円弧部
12…回転抑制部
13…回転抑制部
20…ステアリングシャフト
30…ハウジング
31…ハウジング本体
32…蓋
321…基材部
322…脚部
323…凹部
33…ピン
34…バネ
35…ワッシャ
40…テレスコピック機構
41…可動コラム
411…インナーチューブ
412…アウターチューブ
50…チルト機構

Claims (7)

  1. 開口を有し、軸を収容するハウジングと、
    前記ハウジングに固定され、前記軸を支持し、非円筒形状を有する軸受と、
    前記開口を覆った状態で前記軸受と接する蓋と
    を有する軸受装置。
  2. 前記ハウジングは、前記軸受を固定する位置における前記軸に垂直な断面において、内周面が円弧面および当該円弧面の端部から当該円弧面の外接円の外側に延びる非円弧面を有し、
    前記蓋は、
    前記開口を覆う基材部と、
    前記基材部から前記非円弧面に沿って延び、前記軸受と接する脚部と
    を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
  3. 前記軸受は、前記円弧面に沿った形状の円弧部を有し、
    前記脚部は、前記円弧面と前記非円弧面との境界において前記軸受と接する
    ことを特徴とする請求項2に記載の軸受装置。
  4. 前記軸受は、
    前記円弧面に沿った形状の円弧部と、
    前記非円弧面に沿った形状の非円弧部と
    を有し、
    前記脚部は、前記非円弧面において前記軸受と接する
    ことを特徴とする請求項2に記載の軸受装置。
  5. 前記ハウジングは、前記軸受を固定する位置における前記軸に垂直な断面において、内周面が円弧面および当該円弧面の端部から当該円弧面の外接円の外側に延びる非円弧面を有し、
    前記軸受は、
    前記円弧面に沿った形状の円弧部と、
    前記非円弧面に沿った形状の非円弧部と
    を有し、
    前記蓋は、前記非円弧部の前記開口側の端部において前記軸受と接する
    ことを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
  6. 前記蓋は、平板形状を有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の軸受装置。
  7. 前記蓋は、前記ハウジング側の面に凹部を有し、
    前記非円弧部の端部は、前記凹部に嵌め合わされる
    ことを特徴とする請求項5に記載の軸受装置。
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