JP2016160227A - ソフトカプセル皮膜の製造方法及びソフトカプセル皮膜 - Google Patents

ソフトカプセル皮膜の製造方法及びソフトカプセル皮膜 Download PDF

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Abstract

【課題】ゼラチンを使用しないソフトカプセル皮膜の製造方法を提供する。
【解決手段】ソフトカプセル皮膜の製造方法を、ポリビニルピロリドン及びイオタカラギーナンを含有し、ゼラチンを含有しない皮膜原液を調製し、ロータリーダイ式成形装置により、前記皮膜原液をフィルム化すると共にヒートシールすることによりソフトカプセル皮膜を製造する構成とする。イオタカラギーナンの割合は、ポリビニルピロリドン100重量部に対して24重量部〜30重量とすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゼラチンを使用しないソフトカプセル皮膜の製造方法、及び、該製造方法により製造されるソフトカプセル皮膜に関するものである。
ゼラチンは、優れたフィルム形成能と、常温に近い温度変化により可逆的にゾル・ゲル変化する性質(ゲル化能)とを兼ね備えた特異な物質である。そのため、ロータリーダイ式製造装置で製造される過程で、フィルムをヒートシールさせることが必要なソフトカプセルの皮膜基剤として、ゼラチンが多用されている。
しかしながら、ゼラチンは牛や豚などの動物の皮、骨、腱などを処理して得られる誘導タンパク質の一種であるため、狂牛病(牛海綿状脳症)対策や宗教上の理由などにより敬遠される傾向がある。そのため、ゼラチンを使用しないソフトカプセル皮膜が、従前より要請されており、本出願人も過去に複数の提案を行っている(例えば、特許文献1,2参照)。
これらの技術は、フィルム形成能とゲル化能とをそれぞれ異なる物質に負担させるものであり、特許文献1の技術では、フィルム形成剤としてヒドロキシプロピル化デキストリンと酸化澱粉を使用し、ゲル化剤として加工ユーケマ藻類及びファーセルランの少なくとも一方を使用している。また、特許文献2の技術では、フィルム形成剤として酸処理または塩の存在下で湿式加熱処理されたもち種トウモロコシ澱粉を使用し、ゲル化剤としてイオタカラギーナンを使用している。
本発明は、このようなゼラチンを使用しないソフトカプセル皮膜の選択の自由度を、更に高めることを目的としてなされたものである。
特許第5021263号公報 特許第5334727号公報
本発明は、上記のように、ゼラチンを使用しないソフトカプセル皮膜の製造方法、及び、該製造方法により製造されるソフトカプセル皮膜の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるソフトカプセル皮膜の製造方法は、「ポリビニルピロリドン及びイオタカラギーナンを含有し、ゼラチンを含有しない皮膜原液を調製し、ロータリーダイ式成形装置により、前記皮膜原液をフィルム化すると共にヒートシールすることによりソフトカプセル皮膜を製造する」ものである。
「ポリビニルピロリドン」(第十六改正日本薬局方では「ポピドン」)は、1−ビニル−2−ピロリドンの直鎖重合物であり、分子量及び粘度が異なる複数の製品が市販されている。一般的な高分子物質とは異なり水溶性であり、粘稠な水溶液となる。食品分野での使用として、欧米では、ビタミン・ミネラル錠剤の結合剤、ビタミン・ミネラル液体濃縮物の安定化剤、合成甘味料錠剤の結合剤、液状甘味料の結晶化防止剤、生鮮かんきつ果実のコーティング剤、ビールの清澄剤、白ワイン・果実ジュース・食酢の色調安定化剤等としての使用が認められている。日本国内ではこれまで、医薬分野において医薬用錠剤の結合剤やコーティング剤、分散剤・懸濁化剤として、化粧品分野においてクリームやスプレーの結合剤などとして使用されていたところ、平成26年の食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正により、カプセル・錠剤等通常の食品の形態でない食品に対して、食品衛生法第10条に規定される添加物として新たに指定された。以下では、ポリビニルピロリドンを単に「PVP」と称することがある。
本発明者らは、我が国ではこれまで食品に使用されていなかったポリビニルピロリドンをフィルム形成剤として使用し、イオタカラギーナンをゲル化剤として使用することにより、ゼラチンに代替して(ゼラチンを使用することなく)、実用的なフィルム形成性及びヒートシール性を備えるソフトカプセル皮膜を、ロータリーダイ式成形装置により製造できることを見出し、本発明に至ったものである。
本発明にかかるソフトカプセル皮膜の製造方法は、上記構成において、「前記皮膜原液におけるイオタカラギーナンの割合は、ポリビニルピロリドン100重量部に対して24重量部〜30重量部である」ものとすることができる。
検討の結果、詳細は後述するように、皮膜原液におけるイオタカラギーナンの割合は、フィルム形成性とヒートシール性の双方に影響を及ぼすことが分かった。皮膜原液におけるイオタカラギーナンの割合を上記範囲とすることにより、フィルム形成性及びヒートシール性の双方に優れるソフトカプセル皮膜を、製造することができる。
本発明にかかるソフトカプセル皮膜の製造方法は、上記構成において、「前記皮膜原液はポリビニルピロリドンとして、K値が27〜32のポリビニルピロリドンとK値が81〜97のポリビニルピロリドンとを4:1〜6:1の質量比で含有する」ものとすることができる。
「K値」は、分子量との相関性のあるパラメータであり、相対粘度ηrevの測定をもとに、次のフィケンチャー(Fikentscher)の式により求められる。
K=(1.5logηrev−1)/(0.15+0.003c)+
(300clogηrev+(c+1.5logηrev1/2/(0.15c+0.003c
式中、ηrevは、水の動粘度に対するPVP溶液の動粘度の比であり、cは溶液100mL中のPVP(脱水物換算)の質量(g)である。ここで、ηrevは、第十六改正日本薬局方が粘度測定法として定める第1法毛細管粘度計法によって測定される。
詳細は後述するように、K値の異なるPVPを上記範囲の割合で混合することにより、皮膜原液が流延に適した粘度を有し、フィルム形成性に優れるソフトカプセル皮膜を製造することができる。
本発明にかかるソフトカプセル皮膜の製造方法は、上記構成において、「前記皮膜原液におけるポリビニルピロリドンの割合は、ポリビニルピロリドンと水との合計に対して35質量%〜40質量%である」ものとすることができる。
詳細は後述するように、PVP溶液の濃度を上記の範囲とすることにより、皮膜原液が流延に適した粘度を有し、フィルム形成性に優れるソフトカプセル皮膜を製造することができる。
次に、本発明にかかるソフトカプセル皮膜は、「ロータリーダイ式成形装置で成形されたことにより形成された継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜であって、ポリビニルピロリドン及びイオタカラギーナンを含有し、ゼラチンを含有しない」ものである。また、この構成に加え、「イオタカラギーナンの割合は、ポリビニルピロリドン100重量部に対して24重量部〜30重量部である」ものとすることができる。
これは、上述のソフトカプセル皮膜の製造方法により製造されるソフトカプセル皮膜である。ゼラチンを使用していないことにより、広い範囲の需要者に受け容れられ易いソフトカプセル皮膜として、新たな選択肢を提供することができる。
以上のように、本発明の効果として、ゼラチンを使用しないソフトカプセル皮膜の製造方法、及び、該製造方法により製造されるソフトカプセル皮膜を、提供することができる。
以下、本発明の一実施形態であるソフトカプセル皮膜の製造方法、及び、該製造方法により製造されるソフトカプセル皮膜について説明する。
本実施形態のソフトカプセル皮膜は、ロータリーダイ式成形装置で成形されたことにより形成された継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜であって、ポリビニルピロリドン及びイオタカラギーナンを含有し、ゼラチンを含有しないものである。また、ソフトカプセル皮膜におけるイオタカラギーナンの割合は、ポリビニルピロリドン100重量部に対して24重量部〜30重量部である。
このようなソフトカプセル皮膜、及び、該ソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルは、ポリビニルピロリドンとイオタカラギーナンを、可塑剤と共に水に溶解して皮膜原液を調製し、ロータリーダイ式成形装置を用いて成形することにより、得ることができる。なお、可塑剤としては、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ポリエチレングリコール等を、単独又は併用して使用することができる。
本実施形態では、皮膜原液はポリビニルピロリドンとして、K値が27〜32のポリビニルピロリドンとK値が81〜97のポリビニルピロリドンとを4:1〜6:1の質量比で含有すると共に、皮膜原液におけるポリビニルピロリドンの割合は、ポリビニルピロリドンと水との合計に対して35質量%〜40質量%である。また、皮膜原液におけるイオタカラギーナンの割合は、ポリビニルピロリドン100重量部に対して24重量部〜30重量部である。
ロータリーダイ式成形装置は、一般的に、皮膜原液をフィルム状に成形するキャスティングドラムと、外表面に成形鋳型が形成された一対のダイロールと、ダイロール間に配された内容物充填用のくさび状セグメントと、セグメント内に内容物を圧入すると共にセグメントの先端から内容物を押し出すポンプとを主に具備している。
成形の工程では、まず、皮膜原液が、キャスティングドラムの表面に流延され、ゲル化することによりフィルム化される。次に、形成されたフィルムの二枚が、セグメントに沿って一対のダイロール間に送入される。そして、一対のダイロールの相反する方向への回転に伴い、二枚のフィルムがヒートシールされて上方に開放したソフトカプセル皮膜が形成されると、この中にセグメントから押し出された内容物が充填される。これと同時に、二枚のフィルムが上部でヒートシールされ、閉じた内部空間に内容物が充填されたソフトカプセルが形成される。つまり、皮膜原液がフィルム化されヒートシールされることにより、内部に閉じた空間を有するソフトカプセル皮膜が製造されるのと同時に、ソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセルが製造される。製造されたフトカプセル皮膜は、外表面にヒートシールによる周方向の継ぎ目を有している。
なお、「内容物」としては、医薬成分、健康食品成分、栄養補助成分などの目的物質を、油脂または油状物質に溶解または懸濁させたもの、或いは、上記の目的物質自体が油状やペースト状であるものを、特に限定なく使用することができる。
次に、本実施形態のソフトカプセル皮膜の製造方法において、皮膜原液を上記組成とした根拠について説明する。
まず、ポリビニルピロリドンのフィルム形成能を評価するために、K値が14〜16のポリビニルピロリドン(以下、「K15−PVP」と称する)、K値が27〜32のポリビニルピロリドン(以下、「K30−PVP」と称する)、及び、K値が81〜97のポリビニルピロリドン(以下、「K90−PVP」と称する)の粉末を、それぞれ水に溶解して40質量%の水溶液とした試料E−1,E−2,E−3について、粘度を測定すると共にフィルム形成性について評価した。
粘度は、B型粘度計を使用し(No.4ローター,回転速度30rpm)、温度90℃で測定した。また、フィルム形成性は、PVPの水溶液をシャーレに適量採り、温度50℃で24時間乾燥させて得られるフィルムが、割れない場合をフィルム形成性に優れるとして「○」と、そうでない場合を「×」と評価した。結果を表1に示す。
Figure 2016160227
表1に示すように、K15−PVPを使用した試料E−1、K30−PVPを使用した試料E−2は、フィルム化は可能であったが、そのフィルムは割れやすいものであった。PVPの濃度を40質量%より高めた場合も、皮膜の割れやすさは変わらなかった。そのため、K15−PVP、及びK30−PVPから得られるフィルムは、フィルム強度が不十分であると考えられた。また、K15−PVPは水溶液の粘度が非常に低いため、フィルムの厚さも不十分であった。一方、K90−PVPを使用した試料E−3は、B型粘度計では測定できないほど粘度が高過ぎ、取り扱いが困難であった。
そこで、フィルム強度が不十分であるK30−PVPに、より重合度の高いK90−PVPを混合することにより、フィルムの強度を高められるのではないかと考え、K30−PVPとK90−PVPとを異なる割合で混合し、合わせてPVPの濃度を40質量%とした試料E−4〜E−8について、上記と同様に粘度の測定とフィルム形成性の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2016160227
表2に示すように、K30−PVPとK90−PVPとの質量比が1:1である試料E4は水溶液の粘度が高過ぎて取り扱いが困難であったが、質量比が3:1〜7:1の試料E−5〜E−8は、取り扱い易い粘度と実用的なフィルム形成性を有していた。そのため、K30−PVPとK90−PVPとを併用することにより、PVPをソフトカプセル皮膜のフィルム形成剤として使用できると考えられた。
そこで、PVPと水に、更にゲル化剤としてのイオタカラギーナンと可塑剤としてのグリセリンを加えて皮膜原液を調製し、ヒートシール性も含めて検討を行った。まず、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)を40質量%に固定すると共に、イオタカラギーナン及びグリセリンの割合を、皮膜原液の全質量に対してそれぞれに8質量%及び15質量%とし、K30−PVPとK90−PVPとの質量比を1:1〜7:1の範囲で変化させた試料S−1〜S−7について、フィルム形成性とヒートシール性の評価を行った。フィルム形成性は、キャスティングドラムに流延する際のハンドリングがし易く、形成されたフィルムが粘着することなくキャスティングドラムからはがれ易いと共に、フィルムに割れがなく適度な弾性(引張応力に対して元に戻る復元性)を有している場合を「○」と、そうでない場合を「×」と評価した。ヒートシール性は、フィルム形成性の評価が「○」であった試料について、ロータリーダイ式成形装置を使用して1万個のソフトカプセル成形を行い、ソフトカプセル皮膜から内容物の漏れがないソフトカプセルの個数が、全数の95%以上であった場合を「◎」と、90%以上95%未満であった場合を「○」と、90%未満の場合を「×」と評価した。その結果を表3に示す。なお、ソフトカプセル皮膜に充填する内容物としては、植物油を使用した。また、PVPの濃度がPVPと水との合計に対するPVPの質量%として40質量%の場合、皮膜原液の全質量に対するPVPの割合は30.8質量%である。
Figure 2016160227
表3に示すように、フィルム形成性が良好な範囲は、PVPのみで検討した場合(表2)より狭く、K30−PVPとK90−PVPとの質量比が4:1〜6:1の範囲の試料S−4〜S−6で良好であった。試料S−1〜S−3はフィルムがキャスティングドラムからはがれ難くフィルム厚さも不均一であった。試料S−7は、フィルムの弾性が不十分であった。以上のことから、イオタカラギーナンは、フィルム形成性にも影響を及ぼすと考えられた。また、フィルム形成性が良好な試料S−4〜S−6は、ヒートシール性においても良好であり、イオタカラギーナンの割合が上記の値の場合は、フィルム形成性を良好にすることができれば、ヒートシール性も良好であると考えられた。以上の検討により、K30−PVPとK90−PVPとを併用したPVPとイオタカラギーナンとを皮膜基材とすることにより、ゼラチンに代替して、フィルム形成性及びヒートシール性に優れるソフトカプセル皮膜を製造できることが分かった。
なお、併用するPVPがK15−PVPとK90−PVPの場合は、表4に示すように、実用的なフィルム形成性を有する皮膜は得られなかった。表4の試料S−11〜S−14は、表3の試料と同様に、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)を40質量%に固定すると共に、イオタカラギーナン及びグリセリンの割合を、皮膜原液の全質量に対してそれぞれ8質量%及び15質量%とした上で、K15−PVPとK90−PVPとの質量比を1:1〜5:1の範囲で変化させた試料である。試料S−11,S−12はフィルムがキャスティングドラムからはがれ難く、試料S−13,S−14のフィルムはキャスティングドラムからはがれ易いものの、脆く割れやすく強度が不十分であった。
Figure 2016160227
次に、PVP濃度の好適な範囲について検討した結果を示す。K30−PVPとK90−PVPとの質量比を、表3に示した結果においてフィルム形成性及びヒートシール性の双方において良好であった試料S−4〜S−6における中間値である5:1(試料S−5)に固定すると共に、イオタカラギーナン及びグリセリンの割合を、上記と同様に皮膜原液の全質量に対してそれぞれ8質量%及び15質量%とした上で、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)を30質量%〜50質量%の範囲で変化させた試料S−21〜S−25について、上記と同様にフィルム形成性及びヒートシール性を評価した。その結果を表5に示す。なお、試料S−21〜S−25におけるPVP濃度を、皮膜原液の全量に対する質量%とした場合は、順に23.1質量%、27.0質量%、30.8質量%、34.7質量%、38.5質量%である。
Figure 2016160227
表5に示すように、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)が35質量%〜40質量%の試料S−22、S−23(S−5と同一)でフィルム形成性が良好であり、この範囲でヒートシール性も良好であった。これよりPVP濃度の低い試料S−21はフィルムが脆く割れ易いものであり、PVP濃度の高い試料S−24,S−25はフィルムがキャスティングドラムからはがれ難いものであった。
次に、イオタカラギーナンの割合の好適な範囲について、検討した結果を示す。まず、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)が、好適な範囲の上限値の40質量%である試料S−23(S−5)の組成を基準とし、イオタカラギーナンのみを増減させた組成の試料S−31〜S−35について、上記と同様にフィルム形成性及びヒートシール性を評価した。ここで、試料S−23(S−5)におけるイオタカラギーナンの割合(皮膜原液の全量に対して8質量%)は、PVP100重量部に対して26重量部である。試料S−31〜S−35では、PVP100重量部に対して22重量部〜34重量部の範囲で、イオタカラギーナンの割合を変化させた。結果を表6に示す。
Figure 2016160227
表6に示すように、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)が40質量%で、K30−PVPとK90−PVPとの質量比が5:1のとき、PVP100重量部に対してイオタカラギーナンの割合が24重量部〜30重量部の範囲でフィルム形成性が良好であり、この範囲でヒートシール性も良好であった。この範囲より、イオタカラギーナンの割合の小さい試料S−31はフィルムが脆く割れ易いものであり、イオタカラギーナンの割合の大きい試料S−34,S−35は皮膜原液の濃度が高く流延の際のハンドリングがし難いものであった。
更に、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)が、好適な範囲の下限値の35質量%である試料S−22の組成を基準とし、イオタカラギーナンのみを増減させた組成の試料S−41〜S−45について、上記と同様にフィルム形成性及びヒートシール性を評価した。ここで、試料S−22におけるイオタカラギーナンの割合(皮膜原液の全量に対して8質量%)は、PVP100重量部に対して30重量部である。試料S−41〜S−45では、表6の場合と同様に、PVP100重量部に対して22重量部〜34重量部の範囲で、イオタカラギーナンの割合を変化させた。結果を表7に示す。
Figure 2016160227
表7に示すように、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)が35質量%で、K30−PVPとK90−PVPとの質量比が5:1のとき、PVP100重量部に対してイオタカラギーナンの割合が24重量部〜34重量部の範囲でフィルム形成性が良好であり、この範囲でヒートシール性も良好であった。この範囲よりイオタカラギーナンの割合の小さい試料S−41は、フィルムが脆く割れ易いものであった。
以上のことから、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)が35質量%〜40質量%の範囲では、イオタカラギーナンの割合の好適な範囲はPVP100重量部に対して24重量部〜30重量部であると言える。ただし、これは、K30−PVPとK90−PVPとの質量比が5:1の場合の結果である。そこで、K30−PVPとK90−PVPとの質量比の好適な範囲4:1〜6:1の下限値及び上限値について、それぞれPVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)の範囲が35質量%〜40質量%で、イオタカラギーナンの割合がPVP100重量部に対して24重量部〜30重量部の範囲のときに、フィルム形成性及びヒートシール性が良好であるかを確認した。その結果を表8に示す。
Figure 2016160227
表8に示した八つの試料S−51〜S−58は、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)の上限値40質量%と下限値35質量%の一方、K30−PVPとK90−PVPとの質量比の上限値6:1と下限値4:1の一方、PVP100重量部に対するイオタカラギーナンの割合の上限値30重量部と下限値24重量部の一方を、組み合わせたものである。表8から分かるように、何れの試料においても、フィルム形成性及びヒートシール性は良好であった。従って、K30−PVPとK90−PVPとを質量比4:1〜6:1の範囲で混合すると共に、PVPの濃度(PVPと水との合計に対するPVPの質量%)を35質量%〜40質量%とし、イオタカラギーナンの割合をPVP100重量部に対して24重量部〜30重量部とした皮膜原液から、フィルム形成性及びヒートシール性に優れるソフトカプセル皮膜を製造することができると言うことができる。
なお、試料S−5の組成を基準として、グリセリンの割合のみを増減させた試料S−61〜S−64について、上記と同様にフィルム形成性及びヒートシール性を評価したところ、表9に示すように、PVP100重量部に対してグリセリンが44重量部〜54重量部の範囲でフィルム形成性が良好であり、その範囲でヒートシール性も良好であった。この範囲より、グリセリンの割合が小さい試料S−61は均一なフィルムが形成されず、グリセリンの割合が大きい試料S−64は弾性が不十分であった。
Figure 2016160227
また、上記ではゲル化剤がイオタカラギーナンであったが、その他の種類のゲル化剤の使用可能性についても検討を加えた。ゲル化剤の種類を除いて試料S−5と同一組成であり、ゲル化剤がそれぞれカッパカラギーナンである試料S−71、ネイティブジェランガムである試料S−72、脱アシル化ジェランガムである試料S−73、及び寒天である試料S−74について、上記と同様にフィルム形成性及びヒートシール性を評価した。表10に示すように、ゲル化剤がカッパカラギーナン、ネイティブジェランガム、脱アシル化ジェランガム、及び寒天の場合は、実用的なフィルム形成性を有していなかった。従って、フィルム形成剤としてK30−PVPとK90−PVPとを混合したPVPを使用する場合のゲル化剤は、イオタカラギーナンが適していると考えられた。
Figure 2016160227
次に、本実施形態のソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルについて、崩壊性と付着性とを評価した結果を示す。崩壊性は、ロータリーダイ式成形装置によって製造したオーバル型5番のソフトカプセルを、2日間乾燥させた製造直後と、50℃の温度で2週間保存した後(常温での6カ月の保存に相当)、50℃の温度で4週間保存した後(常温での12カ月の保存に相当)について、崩壊性試験を行って評価した。崩壊性試験は、第十六改正日本薬局方の規定に則って行い、20分以内に崩壊した場合を「○」と、それ以外を「×」と評価した。本実施形態のソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルとしては、試料S−5の皮膜原液から製造されたものを使用した。
付着性は、次のように評価した。30個のソフトカプセルを容積50mLのガラス瓶に入れて密栓し、温度40℃、相対湿度75%で24時間保存した。その後、開栓したガラス瓶を10cmの高さで上下反転させ、全てのソフトカプセルが瓶から落下した場合を、付着がないとして「○」と評価し、それ以外を「×」と評価した。加えて、製造直後のソフトカプセルについて、第十六改正日本薬局方の規定に則り、乾燥減量を測定した。
また、対比のために、従来の非ゼラチン製ソフトカプセルとして特許文献2の技術で製造されたソフトカプセル(R−1)と、従来のゼラチン製ソフトカプセル(R−2)についても、同様に、崩壊性及び付着性の評価、乾燥減量の測定を行った。その結果を、表11に示す。
Figure 2016160227
表11に示すように、本実施形態のソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルS−5は、特許文献2の技術で製造されたソフトカプセルR−1と同様に、崩壊性は良好であり、従来のゼラチン製ソフトカプセルR−2に比べて、経時的な崩壊性の低下(崩壊遅延)が抑制されていた。また、ソフトカプセルS−5は従来のソフトカプセルR−1,R−2より乾燥減量が大きく、ソフトカプセル皮膜の水分含有率が大きいと考えられるにも関わらず、高温多湿の環境での保存後に付着はみられなかった。
以上のように、本実施形態のソフトカプセル皮膜の製造方法によれば、ゼラチンを使用することなく、フィルム形成性及びヒートシール性に優れるソフトカプセル皮膜を、ロータリーダイ式成形装置によって製造することができる。そして、製造されたソフトカプセル皮膜は崩壊性に優れ、経時的な崩壊遅延が抑制されていると共に、容器との付着やカプセル同士の付着も抑制されている。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、皮膜原液及び皮膜原液から製造されるソフトカプセル皮膜には、着色料や香料など、他の添加剤を添加することができる。

Claims (6)

  1. ポリビニルピロリドン及びイオタカラギーナンを含有し、ゼラチンを含有しない皮膜原液を調製し、
    ロータリーダイ式成形装置により、前記皮膜原液をフィルム化すると共にヒートシールすることによりソフトカプセル皮膜を製造する
    ことを特徴とするソフトカプセル皮膜の製造方法。
  2. 前記皮膜原液におけるイオタカラギーナンの割合は、ポリビニルピロリドン100重量部に対して24重量部〜30重量部である
    ことを特徴とする請求項1に記載のソフトカプセル皮膜の製造方法。
  3. 前記皮膜原液はポリビニルピロリドンとして、K値が27〜32のポリビニルピロリドンとK値が81〜97のポリビニルピロリドンとを4:1〜6:1の質量比で含有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のソフトカプセルの製造方法。
  4. 前記皮膜原液におけるポリビニルピロリドンの割合は、ポリビニルピロリドンと水との合計に対して35質量%〜40質量%である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載のソフトカプセルの製造方法。
  5. ロータリーダイ式成形装置で成形されたことにより形成された継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜であって、
    ポリビニルピロリドン及びイオタカラギーナンを含有し、ゼラチンを含有しない
    ことを特徴とするソフトカプセル皮膜。
  6. イオタカラギーナンの割合は、ポリビニルピロリドン100重量部に対して24重量部〜30重量部である
    ことを特徴とする請求項5に記載のソフトカプセル皮膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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