JP2016160132A - 誘電体組成物及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】25℃から250℃までの温度領域で比誘電率、比抵抗に優れる誘電体組成物、及びそれを用いた電子部品の提供。
【解決手段】主成分が一般式xBi(M0.5Ti0.5)O3―(1−x)BaTiO3で示され、xは0.03≦x≦0.15、MはMgまたはZnであり、この主成分に対し第1副成分として(BayCa1−y)SiO3、SiO2、MnO2、Co3O4、Bi2O3、Li2O、B2O3、Al2O3から選択される少なくとも1種の化合物を含み、yは0≦y≦1であり、該第1副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第1副成分≦10モルである誘電体組成物。前記組成物に更にV、Nb、又はTaから選択される少なくとも1種の元素を含む第2副成を前記主成分100モルに対し、0.1≦第2副成分≦10モルである誘電体組成物。
【選択図】図1
【解決手段】主成分が一般式xBi(M0.5Ti0.5)O3―(1−x)BaTiO3で示され、xは0.03≦x≦0.15、MはMgまたはZnであり、この主成分に対し第1副成分として(BayCa1−y)SiO3、SiO2、MnO2、Co3O4、Bi2O3、Li2O、B2O3、Al2O3から選択される少なくとも1種の化合物を含み、yは0≦y≦1であり、該第1副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第1副成分≦10モルである誘電体組成物。前記組成物に更にV、Nb、又はTaから選択される少なくとも1種の元素を含む第2副成を前記主成分100モルに対し、0.1≦第2副成分≦10モルである誘電体組成物。
【選択図】図1
Description
本発明は、誘電体組成物に関するものであり、特に車載用のような高温領域で使用される電子部品に関するものである。
積層セラミックコンデンサは、その信頼性の高さやコストの安さから、多くの電子機器に用いられている。その中で、125℃や150℃などの高温での動作を保証しているものがあり、主に車載用で使用されている。これら車載用電子部品は、車内スペースを広げるために、エンジン周囲に近づけて使用される傾向にあり、より高温領域の保障が求められている。また、車載用積層セラミックコンデンサは、小型で大容量であることも求められており、高い比誘電率を有する誘電体組成物を用いることが望まれている。そこで、200℃以上という高温領域でも高い比誘電率を示す誘電体組成物が提案されている。
例えば特許文献1では、ペロブスカイト型誘電体に異なる材料を固溶し、電荷不均一性と構造不均一性を導入した、(1−x)A1B1O3−xA2B2O3、0<x<1、A1、B1、A2、及びB2はそれぞれ、2価、4価、3価、及び3価の金属元素からなる誘電体組成物、また、特許文献2では、反強誘電体から成るコアと、強誘電体又は常誘電体から成るシェルと、を備える誘電体組成物、特許文献3では、KNbO3―BaTiO3の混晶体から成る主成分を有し、副成分としてMn、Siの元素を含む誘電体組成物、非特許文献1では、BaTiO3−Ba(Mg0.5Ti0.5)O3混晶体が提案されている。これらはいずれも強誘電体などを混晶体もしくはコアシェル構造とすることで250℃までの温度領域において高い比誘電率を得ている。
R.Sun et al.Appl Phys A(2011),129.
しかしながら、上記特許文献及び非特許文献に開示された誘電体組成物は、250℃までの温度領域で比誘電率は高いものの、比抵抗は不十分であるという問題点があった。これらは高温領域での比抵抗の劣化が著しく、高温領域で用いた際に温度安定性が失われるという欠点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、25℃から250℃までの温度領域で比誘電率、比抵抗が高い誘電体組成物、及びそれを用いた電子部品を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために、鋭意検討を行った結果、特定組成の誘電体組成物を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記課題を解決する本発明に係る誘電体組成物は、主成分が一般式xBi(M0.5Ti0.5)O3―(1−x)BaTiO3で示され、xは0.03≦x≦0.15、MはMgまたはZnであり、この主成分に対し第1副成分として(BayCa1−y)SiO3、SiO2、MnO2、Co3O4、Bi2O3、Li2O、B2O3、 Al2O3から選択される少なくとも1種の化合物を含み、yは0≦y≦1であり、該第1副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第1副成分≦10モルである。
上記範囲を満たすことにより、25℃〜250℃の温度範囲において1000以上の比較的高い比誘電率と、1E+10Ω cm以上の高い比抵抗が得られる。
本発明の誘電体組成物は、xを0.03≦x≦0.15にすることにより25℃〜250℃の温度範囲において高い比誘電率が得られる。また、第1副成分は主成分を低融点化する元素であり、添加することにより、固相反応時に原料粉の表面エネルギーが低下し、元素の表面拡散が促進されるため、通常の固相反応よりも、反応の進行が速くなり均一な組成が得られやすくなると考えられる。これにより、誘電体組成物に存在していたMgやZn欠陥が減少し、余剰電子の生成が抑えられると考えられるため、25℃〜250℃の温度範囲において高い比抵抗が得られる。
V、Nb、Taから選択される少なくとも1種の元素を含む第2副成分を有し、該第2副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第2副成分≦10モルであることが好ましい。
本発明の誘電体組成物は、上記範囲を満たすことにより、高い高温負荷寿命を得ることができる。第2副成分が主成分のTi及び、MgまたはZnサイトに置換されると陽イオン欠陥を生じる。陽イオン欠陥が酸素欠陥を捕捉するため、酸素欠陥の移動が抑制され、高温負荷寿命が向上すると考えられる。第2副成分が多すぎると構造欠陥が増え高温負荷寿命は低下する。
Rの元素(ただし、Rは希土類元素から選択される少なくとも1種の元素)を含む第3副成分を有し、該第3副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第3副成分≦10モルであることが好ましい。
本発明の誘電体組成物は、上記範囲を満たすことにより、高い高温負荷寿命を得ることができる。第3副成分が主成分のBaサイトに置換されると陽イオン欠陥を生じる。陽イオン欠陥が酸素欠陥を捕捉するため、酸素欠陥の移動が抑制され、高温負荷寿命が向上すると考えられる。第3副成分が多すぎると構造欠陥が増え高温負荷寿命は低下する。
前記第3副成分がY、Gd、Tb、Dy、Hoから選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
本発明の誘電体組成物は、上記範囲を満たすことにより、高い高温負荷寿命を得ることができる。第3副成分が主成分のBaサイトに置換されると陽イオン欠陥を生じる。陽イオン欠陥が酸素欠陥を捕捉するため、酸素欠陥の移動が抑制され、高温負荷寿命が向上すると考えられる。
本発明に係る誘電体組成物からなる、誘電体層を有する電子部品の用途は特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップバリスタ、チップサーミスタなどに有用である。
本発明によれば、25℃から250℃までの温度領域で比誘電率、比抵抗に優れる誘電体組成物、及びそれを用いた電子部品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
積層セラミックコンデンサを例示し説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す。積層セラミックコンデンサ1は誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
誘電体層2の厚みは、特に限定されず、積層セラミックコンデンサ1の用途に応じて適宜決定すれば良い。
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、Pd、Ag、Pd−Ag合金、CuまたはCu系合金が好ましい。なお、Pd、Ag、Pd−Ag合金、CuまたはCu系合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なCuや、Cu系合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
誘電体層2は主成分が一般式xBi(M0.5Ti0.5)O3―(1−x)BaTiO3で示され、xは0.03≦x≦0.15、MはMgまたはZnであり、この主成分に対し第1副成分として(BayCa1−y)SiO3、SiO2、MnO2、Co3O4、Bi2O3、Li2O、B2O3、 Al2O3から選択される少なくとも1種の化合物を含み、yは0≦y≦1であり、該第1副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第1副成分≦10モルである誘電体組成物を用いていることを特徴とする。
次に、図1示す積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を説明する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を塗布して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を説明する。
まず、誘電体組成物を構成する主成分の原料を準備する。本実施形態では、xBi(M0.5Ti0.5)O3―(1−x)BaTiO3、MはMgまたはZnが所望の割合となるように原料を準備し、混合し、800℃以上で熱処理(仮焼成)を実施し、仮焼粉を得ることができる。
原料には、Biや、Mg、Zn、Ti、Baを主として構成する酸化物やその混合物を原料粉として用いることができる。さらには、焼成により上述した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。具体的には、Baの原料としてBaOを用いてもよいし、BaCO3を用いてもよい。
次に、第1副成分の原料も準備する。本実施形態では、(BayCa1−y)SiO3、SiO2、MnO2、Co3O4、Bi2O3、Li2O、B2O3、 Al2O3から選択される少なくとも1種の化合物の原料を準備する。原料としては、特に限定されず、上述した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
第2または3副成分の原料としては、第2または3副成分の酸化物やその混合物を原料粉として用いることができる。さらには、焼成により上述した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。具体的には、Laの原料としてLa2O3用いても良いし、La(OH)3を用いても良い。
この主成分の仮焼粉と副成分の原料粉を混合し、乾燥することにより、誘電体組成物原料を準備する。また、主成分の仮焼粉と副成分の原料粉の混合は、後述する塗料化の際に行っても良い。
この誘電体組成物原料を塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン等の各種有機溶剤から 適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に印刷、積層し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を5℃/時間〜300℃/時間、保持温度を180℃〜500℃、温度保持時間を0.5時間〜24時間とする。また、焼成雰囲気は、空気もしくは還元雰囲気とする。
また、焼成時の保持温度は、1000℃〜1400℃、好ましくは1100℃〜1360℃である。保持温度が上記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量変化率の悪化が生じやすくなる。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を50℃/時間〜500℃/時間、好ましくは200℃/時間〜300℃/時間、温度保持時間を0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜3時間、冷却速度を50℃/時間〜500℃/時間、好ましくは200℃/時間〜300℃/時間とする。
上記した脱バインダ処理において、N2ガスや混合ガス等を加湿するには、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5℃〜75℃程度が好ましい。また、脱バインダ処理及び焼成は、連続して行なっても、独立に行なってもよい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
原料として、BaCO3、Bi2O3、TiO2、MgO、ZnOおよびCo3O4の各粉末を用意した。
これらを組成が表1および表2となるように秤量して、ボールミルにて湿式混合した後、乾燥して各混合粉を得た。そして、これらの混合粉を800℃で仮焼し、仮焼粉を得た。
次いで、上記とは別に、副成分が表1および表2となるように第1〜第3副成分の原料を準備した。なお、第1副成分である(BayCa1−y)SiO3、yは0≦y≦1は、BaCO3、CaCO3、及びSiO2をボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥後、1150℃で空気中で焼成し、さらに、ボールミルにより100時間湿式粉砕することにより製造した。また、これら第1副成分〜第3副成分の添加量は、主成分100モルに対する、添加量である。
次いで、上記仮焼粉と、第1副成分〜第3副成分原料とを、秤量して混合し、乾燥することにより、誘電体組成物原料を準備した。
このようにして得られた誘電体組成物原料:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジブチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを作製した。
また、上記とは別に、Pd粒子:44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
そして、作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが7μmとなるようにグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、内部電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、内部電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理(昇温速度:10℃/時間、保持温度:400℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中)で行い、焼成(昇温速度:200℃/時間、保持温度:1000〜1400℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気:空気中)で行いコンデンサ素子本体を得た。
次いで、得られたコンデンサ素子本体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Ga共晶合金を塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサと同形状の実施例1から実施例35及び比較例1から5の積層セラミックコンデンサを得た。得られた積層セラミックコンデンサのサイズは、いずれも3.2mm×1.6mm×1.2mmであり、誘電体層の厚み5.0μm、内部電極層の厚み1.5μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は10とした。
得られた実施例1から実施例35及び比較例1から比較例6の積層セラミックコンデンサ試料について、比誘電率(εs)、比抵抗を下記に示す方法により測定した。なお、積層セラミックコンデンサ試料における誘電体層の元素組成は、試料作成時の誘電体組成物原料の元素組成とほぼ同じであることを元素分析により確認した。
[比誘電率(εs)]
積層セラミックコンデンサ試料に対し、25℃〜250℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの信号を入力し、静電容量Cを測定した。そして、比誘電率εs(単位なし)を、誘電体層の厚みと、有効電極面積と、測定の結果得られた静電容量Cとに基づき算出した。結果を表1に示す。比誘電率は高いほうが好ましく、1000以上を良好であると判断した。
積層セラミックコンデンサ試料に対し、25℃〜250℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの信号を入力し、静電容量Cを測定した。そして、比誘電率εs(単位なし)を、誘電体層の厚みと、有効電極面積と、測定の結果得られた静電容量Cとに基づき算出した。結果を表1に示す。比誘電率は高いほうが好ましく、1000以上を良好であると判断した。
[比抵抗]
積層セラミックコンデンサ試料に対し、25℃〜250℃において、デジタル抵抗メータ(ADVANTEST社製R8340)にて、測定電圧20V、測定時間60秒の条件で絶縁抵抗を測定した。コンデンサ試料の電極面積および誘電体厚みから比抵抗の値を算出した。比抵抗は高いほうが好ましく1×1010Ωcm以上を良好であると判断した。比抵抗が低いとコンデンサとしては漏れ電流が大きくなり、電気回路において誤動作を起こしてしまう。
積層セラミックコンデンサ試料に対し、25℃〜250℃において、デジタル抵抗メータ(ADVANTEST社製R8340)にて、測定電圧20V、測定時間60秒の条件で絶縁抵抗を測定した。コンデンサ試料の電極面積および誘電体厚みから比抵抗の値を算出した。比抵抗は高いほうが好ましく1×1010Ωcm以上を良好であると判断した。比抵抗が低いとコンデンサとしては漏れ電流が大きくなり、電気回路において誤動作を起こしてしまう。
[高温加速寿命試験(HALT)]
高温加速寿命試験(HALT)は、積層セラミックコンデンサ試料に対し、250℃にて、10V/μmの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を高温負荷寿命と定義した。また、この高温負荷寿命は、10個の積層セラミックコンデンサ試料について行った。本実施例では、34時間以上、好ましくは36時間以上、より好ましくは37時間以上を良好とした。
高温加速寿命試験(HALT)は、積層セラミックコンデンサ試料に対し、250℃にて、10V/μmの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を高温負荷寿命と定義した。また、この高温負荷寿命は、10個の積層セラミックコンデンサ試料について行った。本実施例では、34時間以上、好ましくは36時間以上、より好ましくは37時間以上を良好とした。
表1に示すように、誘電体組成物のBi(M0.5Ti0.5)O3の含有量が0.03以上0.15以下である実施例1から実施例3は、比誘電率1000以上および比抵抗が1E+10Ωcm以上であることが確認できる。誘電体組成物のBi(M0.5Ti0.5)O3の含有量が0または0.2である比較例1および比較例2では、比誘電率が1000未満または比抵抗が1E+10Ωcm未満となり低かった。
実施例1および、実施例4から実施例7より、 Baの置換量yが0以上1以下であるとき、比誘電率および比抵抗が高いことがわかる。実施例1、実施例5、実施例6より、Baの置換量が0.5以上0.9以下であるとき、より比誘電率および比抵抗が高いことがわかる。
また、Ba0.583Ca0.417SiO3の含有量が0.1モル以上10モル以下である実施例1、実施例8、実施例9は、比誘電率1000以上および比抵抗が1E+10Ωcm以上であることが確認できる。Ba0.583Ca0.417SiO3の含有量が0モルまたは15モルである比較例3および、比較例4では、比誘電率が1000未満または比抵抗が1E+10Ωcm未満となり低かった。
Mgの代替物としてZnを用いた実施例10においても実施例1と同様に高い比誘電率および比抵抗が得られることが確認できた。Mgの代替物としてCoを用いている比較例5では、比抵抗が1E+10Ωcm未満となり低かった。
(BayCa1−y)SiO3の代替物として、主成分を低融点化する元素であるSiO2、MnO2、Co3O4、Bi2O3、Li2O、B2O3、 Al2O3を用いた実施例11から実施例18においても実施例1と同様に高い比誘電率および比抵抗が得られることが確認できた。(BayCa1−y)SiO3の代替物としてNiを用いている比較例6では、比抵抗が1E+10Ωcm未満となり低かった。
表2に示すように、Taの含有量が0.1モル以上10モル以下である実施例19から実施例21は、実施例1と比較して高温負荷寿命が高いことが確認できた。Taの含有量が15モルである実施例22は、高温負荷寿命が36時間未満となった。
また、Taの代替物としてV、Nbを用いた実施例23から実施例25においても、実施例20と同様に高い高温負荷寿命が得られることが確認できた。
また、Yの含有量が0.1モル以上10モル以下である実施例26から実施例28は、実施例1と比較して高温負荷寿命が高いことが確認できた。Yの含有量が15モルである実施例29は、高温負荷寿命が37時間未満となった。
Yの代替物としてGd、Tb、Dy、Ho、Laを用いた実施例30から実施例34においても、実施例27と同様に36時間以上の高い高温負荷寿命が得られた。このうちY、Gd、Tb、Dy、Hoを用いた実施例30から実施例33において、37時間以上のより高い高温負荷寿命となった。
実施例1、実施例20、実施例27、および実施例35を比較することで第2副成分と第3副成分はどちらか片方のみ含まれていてもよいし、両方含まれていても高温負荷寿命が高いことがわかる。実施例1では、第2副成分、第3副成分両方とも含まれていないため、高温負荷寿命が低かった。
これらから、誘電体組成物の組成を本発明所定の範囲とすることにより、高い比誘電率と高い比抵抗を得られることが確認できた。
さらに、実施例1の試料について25℃から250℃の範囲で温度を変化させて比抵抗を測定した。測定結果について、比較例3の比抵抗と合わせて図2に示す。
図2より、比較例では250℃付近で比抵抗が劣化しているのに対して、本発明に係る誘電体組成物を有する試料は高い比抵抗を維持していることがわかる。
広範囲な温度領域において、高い比抵抗を有しているため、車載用としてエンジンルーム近傍など高温の環境での用途に適用できる。
1 積層セラミックコンデンサ
2 誘電体層
3 内部電極層
4 外部電極
10 コンデンサ素子本体
2 誘電体層
3 内部電極層
4 外部電極
10 コンデンサ素子本体
Claims (5)
- 主成分が一般式xBi(M0.5Ti0.5)O3―(1−x)BaTiO3で示され、xは0.03≦x≦0.15、MはMgまたはZnであり、この主成分に対し第1副成分として(BayCa1−y)SiO3、SiO2、MnO2、Co3O4、Bi2O3、Li2O、B2O3、 Al2O3から選択される少なくとも1種の化合物を含み、yは0≦y≦1であり、該第1副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第1副成分≦10モルである誘電体組成物。
- V、Nb、Taから選択される少なくとも1種の元素を含む第2副成分を有し、該第2副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第2副成分≦10モルである、請求項1に記載の誘電体組成物。
- Rの元素(ただし、Rは希土類元素から選択される少なくとも1種の元素)を含む第3副成分を有し、該第3副成分が、前記主成分100モルに対して、0.1モル≦第3副成分≦10モルである、請求項1または2に記載の誘電体組成物。
- 前記第3副成分がY、Gd、Tb、Dy、Hoから選択される少なくとも1種の元素であることを特徴とする、請求項3に記載の誘電体組成物。
- 請求項1から4のいずれかに記載の誘電体組成物からなる誘電体層を有する電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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