JP2016159372A - 球面切削加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】切れ刃の摩耗を均一化することができる球面切削加工方法を提供する。
【解決手段】回転工具により回転駆動される総型のカッター10によって、被削材Wに形成されるボルト締結孔Bのボルト取付座Sを球面形状に切削加工する球面切削加工工程S100であって、回転工具の回転軸P1をボルト締結孔Bの軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜させた状態でカッター10による切削加工を行い、所定角度αは、被削材Wの断面視において、切削加工されたボルト取付座Sの最大径の両端位置の一方M1と、切削加工されたボルト取付座Sとボルト締結孔Bとの接続部における両端位置の他方M2と、を結ぶ線分が被削材Wの表面に対して傾斜している角度とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、球面切削加工方法の技術に関する。
従来、被削材のボルト取付座(被削材のボルトの座面と当接する部分)を球面形状に形成する技術は公知である。ボルト取付座を球面形状に形成することによって、ボルト取付座を小型化することができる。また、従来、ボルト取付座を球面形状に形成する際には、総型(形成される球面形状と略同一形状)の切れ刃を回転させながら移動させて切削加工する切削加工方法が公知である(例えば、特許文献1)。
しかし、特許文献1に代表される従来の球面切削加工方法では、切削抵抗が大きく、切削工具の切れ刃の摩耗に偏りがあるため、加工面にてビビリが発生する場合があった。一方、切削抵抗を小さくするために切れ刃の送り速度を低下させた場合には、加工時間が増加して作業効率が低下する問題が生じるとともに、切れ刃の摩耗も早めるおそれがあった。
実開平04−118969号公報
本発明の解決しようとする課題は、切れ刃の摩耗を均一化することができる球面切削加工方法を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、回転工具により回転駆動される総型の切れ刃によって、被削材に形成されるボルト締結孔のボルト取付座を球面形状に切削加工する球面切削加工方法であって、前記回転工具の回転軸を前記ボルト締結孔の軸線に対して所定角度だけ傾斜させた状態で前記切れ刃による切削加工を行い、前記所定角度は、前記被削材の断面視において、切削加工された前記ボルト取付座の最大径の両端位置の一方と、前記切削加工されたボルト取付座と前記ボルト締結孔との接続部における両端位置の他方と、を結ぶ線分が前記被削材の表面に対して傾斜している角度とするものである。
本発明の球面切削加工方法によれば、切れ刃の摩耗を均一化することができる。
球面切削加工装置の構成を示した側面図。 所定角度αの構成を示した側面図。 球面切削加工工程の流れを示した模式図。
図1を用いて、球面切削加工装置100の構成について説明する。
なお、図1では、球面切削加工装置100の構成を側面視にて模式的に表している。なお、図1では、カッター10によって被削材Wのボルト締結孔Bが形成された部分にボルト取付座Sが切削加工された後の状態を表している。
球面切削加工装置100は、本発明の球面切削加工方法を行うために用いる装置である。球面切削加工装置100は、被削材Wに締結されるボルト(図示略)のボルト取付座Sを球面形状に切削加工するものである。なお、ボルト取付座Sとは、被削材Wのボルト締結孔Bにボルトが締結された際に、被削材Wにおいてボルトの座面が当接する部分である。
被削材Wには表面Fに開口するボルト締結孔Bが形成されており、被削材Wにおけるボルト締結孔Bが開口する部分に、球面切削加工装置100によりボルト取付座Sが切削加工される。
被削材Wにボルト取付座Sが形成された状態では、ボルト取付座Sの底部にボルト締結孔Bが接続されている。また、球面状に形成されるボルト取付座Sは、ボルト取付座Sの中心がボルト締結孔Bの軸線P2上に位置するように形成される。
球面切削加工装置100は、切れ刃としてのカッター10と、ホルダー20と、を備えている。
切れ刃としてのカッター10は、刃部14と、軸部15と、を具備している。刃部14は、先端側を半球面とする円柱形状に形成されている。刃部14は、カッター10の先端側に形成されている。刃部14は、総型(形成されるボルト取付座Sの球面形状と略同一形状)のものである。
軸部15は、カッター10の基端側に形成されている。軸部15は、略円柱形状に形成されている。軸部15がホルダー20の取り付け部25に嵌合されることで、カッター10がホルダー20に取り付けられる。
ホルダー20は、カッター10を支持し、工作機械の回転工具としての回転軸30に取り付けられるものである。ホルダー20の基端側の軸心部には、ホルダー20を回転軸30に装着するための装着部が形成されている。
また、カッター10の軸部15が取り付けられる取り付け部25は、ホルダー20の先端部に形成されている。ホルダー20を介して回転軸30に取り付けられるカッター10は、回転軸30により回転駆動される。
球面切削加工装置100では、被削材Wに対してボルト取付座Sの切削加工を行う際に、カッター10の位置が座標値によって定義され、予め入力された座標値の情報をもとに工作機械に内蔵されたサーボモータ等が駆動されることにより、カッター10が、回転軸30の回転軸P1を中心として回転されながら、ボルト締結孔Bの軸線P2方向へ移動するものとする。
ここで、特記すべき事項として、球面切削加工装置100では、カッター10の回転軸P1をボルト締結孔Bの軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜させた状態で、カッター10が被削材Wの表面Fに向かって移動し、切削加工がされるものとする。
図2を用いて、所定角度αについて説明する。
なお、図2では、回転軸P1が軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜した状態のカッター10によりボルト取付座Sを切削加工している様子を側面視にて模式的に表している。また、図2では、切削加工された被削材Wのボルト取付座Sにカッター10が嵌合している状態を表している。
本実施形態では、所定角度αは、以下のようにして決定されるものとする。
すなわち、被削材Wの断面視において、切削加工されたボルト取付座Sの球面形状の最大径の両端位置、すなわち被削材Wの表面Fにおけるボルト取付座Sの中心を通過する径方向の両端位置をそれぞれ位置M1・M1と定義する。
つまり、ボルト取付座Sの表面Fへの開口部分の周縁部において、ボルト取付座Sの中心を通過する直線と交わる2点を位置M1・M1と定義する。
また、被削材Wの断面視において、ボルト取付座Sのボルト締結孔Bとの接続部におけるボルト締結孔Bの中心を通過する径方向の両端位置をそれぞれ位置M2・M2と定義する。
つまり、ボルト締結孔Bのボルト取付座Sとの接続部分の周縁部において、ボルト締結孔Bの中心を通過する直線と交わる2点を位置M2・M2と定義する。
そして、一側の位置M1(紙面に向かって右側の位置M1)と、他側の位置M2(紙面に向かって左側の位置M2)と、を線分Lで結び、線分Lが被削材Wの表面に対して傾斜している角度を所定角度αとして決定する。
なお、所定角度αを、一側の位置M2(紙面に向かって右側の位置M2)と、他側の位置M1(紙面に向かって左側の位置M1)と、を線分Lで結び、線分Lが被削材Wの表面に対して傾斜している角度を所定角度αとして決定しても良い。
また、被削材Wの断面視において、切削加工されたボルト取付座Sに所定角度αだけ傾斜させたカッター10を嵌合させた状態において、回転軸P1を先端側に延長した場合に、回転軸P1がボルト締結孔Bの最上部の両端位置M2−M2間を通過するように、ボルト取付座Sの形状及び大きさや、ボルト締結孔Bの径を設定することが好ましい。
上述した、回転軸P1がボルト締結孔Bの最上部の両端位置M2−M2間を通過する場合とは、被削材Wの断面視にてボルト取付座Sの径に対しボルト締結孔Bの径が比較的に大きい場合である。このとき、後述する球面切削加工工程S100において、カッター10の刃部14が常に被削材Wとの切削位置を変えながら、被削材Wが加工される。
一方、ボルト締結孔Bの最上部の両端位置M2−M2間を回転軸P1が通過しない場合とは、被削材Wの断面視にてボルト取付座Sの径に対しボルト締結孔Bの径が比較的に小さい場合である。このとき、切削速度が0となる回転軸P1の位置がボルト取付座Sと接するため、正確なボルト取付座Sの形状が得られないおそれがある。
図3を用いて、球面切削加工工程S100の流れについて説明する。
なお、図3では、球面切削加工工程S100の流れを工程順に従って図3(A)〜図3(D)の順で表している。
球面切削加工工程S100は、本発明の球面切削加工方法の実施形態である。球面切削加工工程S100は、球面切削加工装置100を用いて、被削材Wのボルト締結孔Bに締結されるボルトのボルト取付座Sを、被削材Wのボルト締結孔Bが形成された部分に対して球面形状に切削加工する工程である。
図3(A)に示すように、球面切削加工装置100は、カッター10の回転軸P1をボルト締結孔Bの軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜させた状態で、カッター10を回転させつつ被削材Wに近接するように軸線P2に沿って直線的に移動させる。なお、被削材Wには、予めボルト締結孔Bが形成されているものとする。
図3(B)に示すように、球面切削加工装置100により、被削材Wに近接するように移動されたカッター10は、回転を維持しつつ、回転軸P1をボルト締結孔Bの軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜させた状態で、被削材Wの表面Fに当接する。
このとき、被削材Wは、ボルト締結孔Bの縁部の一側SLと他側SRから切削加工が開始される。より具体的には、一側SL(図3(B)では紙面に向かって左側)は、刃部14の回転軸P1から略45°傾斜した位置で切削加工される。一方、他側SRは、刃部14の回転軸P1に近い位置で加工される。
図3(C)に示すように、球面切削加工装置100は、さらに、カッター10の回転軸P1をボルト締結孔Bの軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜させた状態で、カッター10を回転させつつ被削材Wを切削する。
このとき、回転軸P1が軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜されているために、カッター10の刃部14が一側SLと他側SRとに接触する面積(切削する面積)は、それぞれ異なるものとなる。
つまり、一側SLを切削していたカッター10の刃部14の部分は、180°回転後に、一側よりも切削面積の小さい他側SRを切削することになる。そのため、カッター10の刃部14は、発生する切削熱の上昇を抑えながら、刃部14の摩耗(刃部14の損傷)が均一となり、刃部14の寿命が延長される。
図3(D)に示すように、被削材Wの表面の一側SL及び他側SRがそれぞれ球面に加工され、ボルト取付座Sが全体的に球面形状に形成される。その後、球面切削加工装置100は、カッター10の回転軸P1をボルト締結孔Bの軸線P2に対して所定角度αだけ傾斜させた状態で、カッター10を被削材Wから離間するように軸線P2に沿って直線的に移動させる。
なお、本実施形態では、カッター10の回転軸P1の傾斜角度αを、一側の位置M1と、他側の位置M2とを線分Lで結び、線分Lが被削材Wの表面に対して傾斜している角度として決定したが、これに限るものではない。
球面切削加工工程S100の効果について説明する。
球面切削加工工程S100によれば、刃部14の摩耗を均一化することができる。
すなわち、カッター10の回転軸P1をボルト締結孔Bの軸線P2に対して所定角度α だけ傾斜させた状態で、カッター10を回転させつつワークWに向けて直線的に移動させることによって、カッター10の刃部14が一側SLと他側SRとで切削する面積をそれぞれ異なるものとし、発生する切削熱の上昇を抑えながら、刃部14の摩耗(刃部14の損傷)を均一とすることができる。
10 カッター
20 ホルダー
100 球面切削加工装置
S100 球面切削加工工程
B ボルト締結孔
S ボルト取付座
W 被削材

Claims (1)

  1. 回転工具により回転駆動される総型の切れ刃によって、被削材に形成されるボルト締結孔のボルト取付座を球面形状に切削加工する球面切削加工方法であって、
    前記回転工具の回転軸を前記ボルト締結孔の軸線に対して所定角度だけ傾斜させた状態で前記切れ刃による切削加工を行い、
    前記所定角度は、前記被削材の断面視において、切削加工された前記ボルト取付座の最大径の両端位置の一方と、前記切削加工されたボルト取付座と前記ボルト締結孔との接続部における両端位置の他方と、を結ぶ線分が前記被削材の表面に対して傾斜している角度とする、
    球面切削加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108405882A (zh) * 2017-01-20 2018-08-17 株式会社捷太格特 切削加工方法及切削加工装置
CN117680768A (zh) * 2024-02-02 2024-03-12 浙江万里扬股份有限公司杭州分公司 球面专机

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