JP2016158454A - モータおよび電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータおよび電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Shinya Tokizaki
晋也 鴇崎
幸司 吉瀬
Koji Kichise
幸司 吉瀬
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Abstract

【課題】防水機能を備える放熱部のフィルタの寿命をより延長させることが可能なモータおよび電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】防水通風装置10が防水通風フィルタ12と、温度伸長材13と、通風弁14とを含む。温度伸長材13は、モータ内部領域MIRの温度に応じて伸縮可能である。温度伸長材13が伸びたときにのみ通風弁14が開く。通風弁14が開いたときにのみ防水通風フィルタ12に通風し、内扇ファンの回転によりモータ内部領域MIRとモータ内部領域MIRの外側との間で換気可能である。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータおよび電動パワーステアリング装置に関し、特に車両用の電動パワーステアリング装置およびそれに用いられるモータに関するものである。
従来から、たとえば特許第3774624号公報(特許文献1)に示すように、電動パワーステアリング装置用のモータ部とモータ駆動制御装置が一体型になったモータ駆動制御装置が考案されている。モータ部とモータ駆動制御装置が一体型になった構造により、装置の小型化が可能となる。このような一体型モータは、モータ部に駆動電流を供給するパワーモジュールの発熱量が大きいため、モータ駆動制御装置の冷却技術が重要となる。
一方、モータ部については、その内部に生じた発熱を、モータを収納するモータハウジングの表面から自然空冷により冷却させる。このため装置の小型化により自然空冷のための表面積が小さくなれば、モータ部の冷却性能が低下する。これを抑制するため、電動パワーステアリング装置用のモータ部を自然空冷以外の方法により冷却させる技術が必要となる。
たとえば特開2014−100969号公報(特許文献2)においては、モータ内に通風ファンを設けたモータの冷却技術が開示されている。ところが当該公報においては通風ファンを用いて冷却効率の向上を図っているものの、最終的にはモータ部内の発熱をモータハウジングの表面からその外部(外気)に放出している。このためやはり装置の小型化により冷却性能が低下する可能性がある。
そこでたとえば特許4772298号公報(特許文献3)においては、モータハウジングの外部に備えられた熱交換器によりモータの内部(内気)とモータの外気とを熱交換し、この熱交換器により冷却されたモータの内気をモータハウジングの内部に戻すことにより、モータハウジングの内部が冷却される。
特許第3774624号公報 特開2014−100969号公報 特許4772298号公報
たとえば特許4772298号公報においては、熱交換器がモータハウジングに外付けされているため、設備全体が大型化する可能性がある。
一方、たとえば特許4772298号公報のように熱交換器がまずモータハウジングの外部で熱交換した後に冷気をモータハウジングの内部に流す(つまり2段階でモータハウジングの内部を冷却する)場合とは異なり、たとえばモータハウジングの内部に熱交換器が設けられ、モータの内部と外部とを直接換気することにより熱交換する冷却方法もある。この場合はモータハウジングに設けた通風口を用いてモータ部内を放熱する。
しかしその場合、当該装置を搭載する車両の走行時に巻き上げられる塵埃が外気からモータ部内に大量に進入する可能性がある。また雨天時の車両走行時に巻き上げられる水滴がモータ部内に進入する可能性もあり、これらの進入によりモータが損傷等の不具合を来す可能性がある。
したがって通風口を設けたモータでは、通風口に防塵性および防水性を有するフィルタを備える必要がある。しかしながら、通風を続けることによって、次第にフィルタが目詰まりを生じ、モータ内部と外部との間の通風量が低減されてしまう。このため、モータの継続的使用に伴い、モータ部の冷却性能が低下してゆく技術的課題が生じる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、防水機能を備える放熱部のフィルタの寿命をより延長させることが可能なモータおよび電動パワーステアリング装置を提供することである。
本発明のモータは、防水通風装置が防水通風フィルタと、温度伸長材と、通風弁とを含む。温度伸長材は、モータ内部領域の温度に応じて伸縮可能である。温度伸長材が伸びたときにのみ通風弁が開く。通風弁が開いたときにのみ防水通風フィルタに通風し、内扇ファンの回転によりモータ内部領域とモータ内部領域の外側との間で換気可能である。
本発明の電動パワーステアリング装置は、上記モータからなるモータ部と、モータ部の駆動を制御するモータ駆動制御装置部とを備える。
本発明によれば、モータ内部領域の温度が上昇して温度伸長材が延びたときにのみ通風弁が開いてモータ内部領域と外部との間で放熱がされる。このため、常時通風および放熱がされる場合に比べて、防水通風フィルタの寿命を延長させることができる。
本発明によれば、上記のモータとモータ駆動制御装置とが一体となっている。モータ内部領域の放熱は通風弁を介してなされるため、放熱効率を考慮せずに電動パワーステアリング装置全体をいっそう小型化することができる。
実施の形態1の電動パワーステアリング装置の概略断面図である。 図1中の点線で囲まれた領域Aに示す防水通風装置の、通気弁が開いた状態における態様を示す概略断面図である。 図1中の点線で囲まれた領域Aに示す防水通風装置の、通気弁が閉じた状態における態様を示す概略断面図である。 防水通風フィルタの構成を示す概略図である。 実施の形態2の電動パワーステアリング装置の概略断面図である。 図5中の点線で囲まれた領域Bに示す防水通風装置の、通気弁が開いた状態における態様を示す概略断面図である。 図5中の点線で囲まれた領域Bに示す防水通風装置の、通気弁が閉じた状態における態様を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず図1を用いて、本実施の形態の電動パワーステアリング装置100の構成について説明する。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置100は車両(特に自動車)に搭載されるものであり、モータ部MRとモータ駆動制御装置部CRとが互いに密着することにより一体となっている。
ここで、まずモータ部MRの構成について説明する。モータ部MRはモータからなる領域であり、その最外部にモータハウジング1を有している。モータハウジング1はたとえば図1の左右方向に延びる筒形状(たとえば円筒形状)を有する、たとえば一般の金属材料などにより形成された筐体であるが、このような態様に限られない。モータハウジング1に取り囲まれた領域(モータ内部領域MIR)内に以下の各部材を収納している。
具体的には、モータ内部領域MIR内には、固定子鉄心2(固定子)と、回転子鉄心3(回転子)とが配置されている。固定子鉄心2はモータ内部領域MIRの比較的外側の領域に配置されており、そのたとえば表面には固定子巻線4が巻回されている。回転子鉄心3は固定子鉄心2の内側に(固定子鉄心2に囲まれるように)配置されており、その表面の一部には回転子磁石5が取り付けられている。
モータ内部領域MIRをその正面に相当するモータハウジング正面MRF(図1の最も左の面)から平面視したときの中央部には、シャフト6が延びている。シャフト6は図1の左右方向、すなわちモータハウジング側面MRSに沿う方向に延びており、モータ内部領域MIRにおけるシャフト6の外表面に回転子鉄心3が固定され、さらに回転子鉄心3の外側に固定子鉄心2が配置された構成をなしている。モータハウジング側面MRSはモータハウジング1の最表面のうちモータハウジング正面MRFに交差(たとえば直交)する面である。このため回転子鉄心3は、シャフト6を軸として周回することが可能な構成となっている。
たとえば固定子巻線4に交流電流を流すと固定子巻線4に電磁場が発生するが、その電磁場の極性は交流電流の流れる向きにより周期的に時間変化する。一方、回転子磁石5はたとえばN極の永久磁石とS極の永久磁石とが、シャフト6に関する回転角度(位相)がたとえば90°または180°の位置ごとに交互に配置されている。極性が時間変化する固定子巻線4と、回転子磁石5とが回転子鉄心3に対して反発力と吸引力とを交互に繰り返し及ぼす。これにより回転子鉄心3がシャフト6とともに回転する。回転子鉄心3が回転した状態を、ここではモータ部MRの回転動作ということにする。
またモータ内部領域MIR内におけるシャフト6にはファン7が取り付けられており、モータ部MRの回転動作時にはファン7も回転子鉄心3とともに回転する。ファン7はモータハウジング1の内部であるモータ内部領域MIRに配置されるため、内扇ファンと呼称される。このファン7の回転により、モータ内部領域MIRの空気を強制的に流動させることができる。
モータハウジング1には吸気口8および排気口9が形成されている。吸気口8および排気口9はともにモータハウジング1の一部に形成された開口部である。吸気口8は外気をモータ内部領域MIRに取り入れるために形成されており、排気口9はモータ内部領域MIRの空気を外気に排出するために形成されている。このようにモータハウジング1の開口部である吸気口8および排気口9を設けることにより、ファン7の回転による空気の流動に基づき、モータ内部領域MIRの加熱された空気すなわち内気を、モータハウジング1の外側にある空気すなわち外気と交換することが可能となる。したがってモータ内部領域MIRの冷却が促進される。また特にここでは吸気口8を塞ぐように防水通風装置10を有しているが、防水通風装置10については後に詳述する。
吸気口8および排気口9は、モータハウジング1の一部、特にモータハウジング側面MRSの一部に形成される。図1においてはモータハウジング側面MRSのうち図1の上下側の双方に1対の吸気口8および排気口9が形成されているが、このような態様に限られない。つまり吸気口8および排気口9は、モータ内部領域IMRの内気と外気との交換(熱交換)に最低限必要な数、すなわち1つ以上ずつ形成されていればよい。
たとえばモータハウジング正面MRF側(図1のモータ部MRの左側)の領域にはモータ内部領域MIRから延びるシャフト6が突出しているが、この突出したシャフト6に車両のボス10bが固定されている。またボス10bが配置されるモータハウジング正面MRF側の領域には図示されないギヤボックスが配置される。このギヤボックスの配置により吸気および排気が妨げられることから、吸気口8および排気口9は、モータハウジング正面MRFではなくモータハウジング側面MRSに形成されている。
また本実施の形態のモータ部MRにおいては、排気口9はファン7に近い側(図1のシャフト6の延在方向に関する左側)に形成されており、図1の左右方向に関する位置がファン7とほぼ等しい位置に形成されている。これに対し吸気口8は排気口9よりもファン7から遠い側(図1のシャフト6の延在方向に関する右側)に形成されている。このような吸気口8および排気口9の配置は、たとえばファン7の回転によるモータ内部領域MIRの空気の静圧分布に基づき決定される。
これにより、内気と外気との熱交換時における、図1中に矢印で示す空気の流れFは、図1中に示すように、モータ内部領域MIRにおいて図の右側から左側に流れることになる。
次に、モータ駆動制御装置部CRの構成について説明する。モータ駆動制御装置部CRはモータ部MRのモータの駆動を制御する。モータ駆動制御装置部CRは、コネクタ101と、コンデンサ102と、コイル103と、制御回路104と、制御基板105と、ヒートシンク106とを主に有している。
これらのうちコネクタ101は、モータ駆動制御装置部CRを搭載する自動車の車速およびハンドル操作のトルクなどの情報から変換された電気信号を各素子に伝える機能を有している。またコネクタ101は、モータ部MRとモータ駆動制御装置部CRとに電力を供給する機能をも有している。制御回路104は、コンデンサ102、コイル103、スイッチング素子107、回転センサ108などの電子部品が実装された構成を有する回路である。また制御基板105は、回路端子109を通じて制御回路104と接続するための基板である。ヒートシンク106は、スイッチング素子107の発熱を吸熱するための部材である。
モータ駆動制御装置部CRは、自動車の情報から、必要なアシストトルクを演算し、モータ端子110を通じてモータ部MRへ必要な電流を供給する。これにより、モータ部MRは、自動車のハンドル操作をアシストするための適切なトルクを発生することができる。
モータ駆動制御装置部CRを構成する以上の各部材は、駆動制御装置ケース111に取り囲まれるように収納されている。
次に図2〜図4を用いて、防水通風装置10の構成および動作について詳細に説明する。
図2を参照して、防水通風装置10は、モータ内部領域MIRの外部から、モータ内部領域MIR内の少なくとも一部に通じるように配置されている。言い換えれば防水通風装置10は、モータハウジング1の内側からモータハウジング1の外側に達するように延びている。すなわち防水通風装置10は、モータハウジング側面MRSの一部に設けられた開口部としての吸気口8を貫通するように設けられた部材である。なお図2においては吸気口8に防水通風装置10が設置されているが、排気口9に防水通風装置10が設置されてもよい。
図2に示すように、防水通風装置10は、モータハウジング1の内部(モータ内部領域MIR)においてはモータハウジング1の外部に比べてその幅が狭くなっている。具体的にはモータ内部領域MIRにおける防水通風装置10の幅は、吸気口8(および図1の排気口9)の幅とほぼ等しくなっており、モータハウジング1の外部においては防水通風装置10の幅はモータハウジング1の内部よりも広くなっている。また図2の断面図においては防水通風装置10は左右方向に関してほぼ対称な構成となっている。これにより図2の防水通風装置10はT字型の断面形状を有しているが、防水通風装置10の断面形状はこれに限られない。
防水通風装置10は、防水通風装置筐体11と、防水通風フィルタ12と、形状記憶合金バネ13と、通風弁14と、押さえバネ15とを主に有している。
防水通風装置筐体11は防水通風装置10全体の最外部をなす筐体である。防水通風装置筐体11は図2に示すように吸気口8を貫通するように配置されることによりモータハウジング1に嵌挿された態様となっている。
防水通風フィルタ12は、防水通風装置筐体11の一部に設けられた開口部を塞ぐように設けられた部材である。図2においては防水通風フィルタ12は、防水通風装置筐体11の最外部の一部に互いに間隔をあけて2つ形成された開口部のそれぞれに配置されている。しかしこのような態様に限らず、単一の防水通風装置10に設けられる防水通風フィルタ12の数および設置位置は任意である。図1および図2を参照して、防水通風フィルタ12は、防水通風装置10(吸気口8)のみならず排気口9にも(たとえ防水通風装置10が設置されなくても防水通風フィルタ12単独で)配置されることが好ましい。
防水通風装置10における防水通風フィルタ12は、モータ内部領域MIRへの水の進入を十分に抑制できる防水性と、モータ内部領域MIRへの塵埃の進入を十分に抑制できる防塵性と、これを空気が通る(通風の)ための低い通風抵抗性とを有している。また特に排気口9を通る空気はモータ内部領域MIRにて加熱されているため、防水通風フィルタ12には当該加熱された空気の温度に対する耐熱性も要求される。
次に、形状記憶合金バネ13は、防水通風装置筐体11の内部の、特にモータ内部領域MIR内の領域に配置され、その1対の端部のうち一方(図2の下側)の端部は防水通風装置筐体11の内壁面のうち図2の最下部(最内部)に固定されている。形状記憶合金バネ13は、図2の上下方向(モータハウジング1の内部から外部へと延びる方向)に関して伸縮可能な配置となっている。形状記憶合金バネ13は、周囲の温度(たとえばモータ内部領域MIR内の温度)に応じて図2の上下方向に伸縮可能な温度伸長材としての機能を有している。
なお図2においては形状記憶合金バネ13の形状はコイルバネ状であってもよいし、板バネ状、円弧状、L字状であってもよい。
通風弁14は、防水通風装置筐体11の内部の、形状記憶合金バネ13の図2における最上部(最外部)に載置され、形状記憶合金バネ13と一体となるように固定されている。つまり形状記憶合金バネ13の1対の端部のうち他方(図2の上側)の端部は通風弁14の表面に固定されている。
通風弁14は、防水通風装置筐体11の(モータ部MRの)比較的外側の断面形状と同様に、外側における幅が内側よりも広くなったT字型を有していることが好ましい。また通風弁14は、防水通風装置筐体11の内壁面よりも小さい幅および断面積(防水通風装置筐体11よりも小さい体積)を有することにより、通風弁14の表面と防水通風装置筐体11の内壁面との間に空気の通風口16を形成可能な大きさおよび形状を有することが好ましい。通風弁14は形状記憶合金バネ13に固定されるため、形状記憶合金バネ13の図2の上下方向に関する伸縮に応じて図2の上下方向に動くことが可能となっている。
押さえバネ15は、通風弁14の図2における最上部(最外部)に載置され、図2の上下方向に伸縮可能となっている。つまり押さえバネ15の1対の端部のうち一方(図2の下側)の端部は通風弁14の最上部の表面に固定されており、押さえバネ15の1対の端部のうち他方(図2の上側)の端部は防水通風装置筐体11の内壁面のうち最上部(最外部)に固定されている。
図2に示すように、固定子巻線4が形状記憶合金バネ13の外周に巻回された構成を有している。このように形状記憶合金バネ13は固定子巻線4の極近くに配置されるため、形状記憶合金バネ13の周囲は、モータ部MRが駆動し固定子巻線4に電流が流れ発熱することに連動して容易に温度が上がる構成となっている。言い換えれば形状記憶合金バネ13は、モータ部MRが駆動し固定子巻線4を含むモータ内部領域MIRが過剰に発熱した際にこれに連動して温度が上がりやすくなっているが、モータ部MRの非駆動時、およびモータ部MRが冷却を要さない(加熱していない)通常の動作をしているときにおいては温度が上がりにくくなっている。
なお図2においては、固定子巻線4は形状記憶合金バネ13が収納された防水通風装置筐体11を巻回しており、防水通風装置筐体11が固定子巻線4の熱を形状記憶合金バネ13に伝えてその伸縮を制御している。しかしこのような態様に限らず、たとえば固定子巻線4の電流を形状記憶合金バネ13に直接通電し、形状記憶合金バネ13を発熱させることによりその伸縮を制御する態様であってもよい。
次に防水通風装置10の動作について説明する。
図2のように、たとえばモータ部MRの駆動により固定子巻線4が(過剰に)発熱し、形状記憶合金バネ13が伸長すれば、これに固定された通風弁14が図2の上方に移動する。これにより、通風弁14の表面の一部であり、特に通風弁14の図2の左右方向の幅が広い領域の最下部の表面の一部である通風弁表面14aと、これに対向する防水通風装置筐体11の内壁面の一部である筐体内壁面11aとの間に隙間が形成される。この隙間により、防水通風フィルタ12から防水通風装置10内に入った空気の流れFが通るための通風口16が形成される。
通風口16は図2の通風弁14の下側の領域に通じている。そして防水通風装置筐体11の下側の図2の幅が狭い領域の一部には(たとえば1対の)開口部が形成され、その開口部を塞ぐようにモータ内気側通風口17が設けられている。なおモータ内気側通風口17の設置位置は任意である。
防水通風フィルタ12から通風口16を通った空気の流れF(外気)は、モータ内気側通風口17からモータ内部領域MIRの特に固定子鉄心2側に供給される。さらに当該外気は、(図1に詳しく図示されないが)モータ内部領域MIRの各構成要素の隙間により形成される風路を流れることにより、モータ内部領域MIRが冷却される。さらに当該モータ内部領域MIRの空気の流れFは、モータ部MRの駆動により回転するファン7によりモータ内部領域MIRに生じる(大気圧よりも大きな)静圧と大気圧との差により排気口9からモータハウジング1の外側に排出される。このようにして、通風口16により、内気はモータ部MRの外側に、外気はモータ部MRの内側に流れるよう循環する空気の流れFが生じ、モータ部MRの内部と外部との間で熱交換がなされる。
図2の断面図において、通風弁表面14aと筐体内壁面11aとの隙間の幅Wが1mm以上になれば、空気の流れFによるモータ内部領域MIRに対する十分な冷却効果が得られる程度に通風口16の通風抵抗が小さくなる(通風口16における風量が大きくなる)。逆に言えば、仮に図2の幅Wが1mm未満となれば、当該通風口16の通風抵抗が高くなり、モータ内部領域MIRに対する十分な冷却効果が得られなくなる場合がある。
このため、通風口16の幅Wの好ましい値は当該通風口16の断面形状等によって変動する可能性があるものの、ここでは通風口16が形成され通風弁14が開いた状態(熱交換が可能な状態)とは、幅Wが1mm以上になった状態であるものと考える。すなわち後述する図3の態様との比較により、図2のように通風弁14が開いた状態においては、形状記憶合金バネ13が(少なくともその自然長(伸びないときの初期長)に対して)1mm以上伸びていることがわかる。形状記憶合金バネ13および押さえバネ15の張力は、上記のように形状記憶合金バネ13が1mm以上伸長することが可能となるように調整される。
一方、図3を参照して、たとえばモータ部MRが駆動せず固定子巻線4が発熱しないために形状記憶合金バネ13が伸長しない場合には、これに固定された通風弁14は図3の下方に留まる。これにより、通風弁表面14aと筐体内壁面11aとが互いに接触する態様となる。このため、防水通風フィルタ12からモータ内気側通風口17に達するように防水通風装置10内を通る通風口16が遮断され、図2のような空気の流れFは生じ得なくなる。すなわちこの状態においてはモータ部MRの内部と外部との間での熱交換はなされない。
またたとえば固定子巻線4がさほど過剰に発熱しない程度にモータ部MRが動作しており上記の幅Wが1mm未満となる程度に形状記憶合金バネ13が伸びた場合においても、形成される通風口16の幅が狭く十分な通風ができない。このため防水通風フィルタ12を通る空気の流れFの量も少なく、モータ部MRの内部と外部との間での熱交換は十分にはなされない。
以上より、形状記憶合金バネ13が(初期長に対して1mm以上)伸びたときにのみ通風弁14が開き、形状記憶合金バネ13が(初期長に対して1mm以上)伸びていないときには通風弁14は開いていない。そして通風弁14が開いたときにのみ防水通風フィルタ12に通風し、ファン7の回転により、モータ内部領域MIRの内気とモータ内部領域MIRの外側(モータハウジング1の外側の外気)との換気ができる。
なお通風弁14に固定された押さえバネ15は、図2のように通風弁14が開く(通風口16が形成される)ときには縮み、図3のように通風弁14が閉じる(通風口16が形成されない)ときには伸びる。図3の状況においては押さえバネ15が伸びて通風弁14を図の下方に押さえつけることにより、通風口16が形成されなくなる。
以上のように、本実施の形態においては、形状記憶合金バネ13の温度伸長材としての性質を利用し、形状記憶合金バネ13の周囲がある温度以上の場合には形状記憶合金バネ13が伸びることにより通風弁14を動かして開き、ある温度未満の場合には形状記憶合金バネ13が縮むことにより通風弁14を閉じることができる。
ここで、防水通風装置10の各構成要素の材質等について説明する。
まず防水通風装置筐体11は一般の金属材料などにより形成されるが、熱伝導性の高い材料が用いられることが好ましい。防水通風装置筐体11の中に収納される形状記憶合金バネ13は、防水通風装置筐体11の表面に巻回された固定子巻線4の発熱が伝わることにより伸長する。このため、防水通風装置筐体11は形状記憶合金バネ13にスムーズに熱を伝えることが要求される。
なお防水通風装置筐体11は、モータハウジング1と同一材料により形成されることがより好ましい。このようにすれば、モータハウジング1と防水通風装置筐体11との熱膨張係数が等しくなるため、これらの発熱時に熱応力に起因してモータハウジング1の開口部を貫通する防水通風装置筐体11が金属疲労を起こす可能性を低減することができる。
次に防水通風フィルタ12としては、たとえば一般の疎水性素材による多孔膜は通風抵抗が高く、モータ部MRの通風冷却には適さない。一方、不織布フィルムは、不織布を構成する繊維の表面および繊維構造体内部が塵埃の濾過に寄与するため、低い通風抵抗を有しながら、塵埃を高い割合で捕集可能である。
しかし不織布が低い通風抵抗を有するのは、これを構成する複数の繊維間の隙間が大きいためである。つまり仮に防水通風フィルタ12として不織布のフィルタのみが用いられれば、水の進入を抑制することが困難となる。
そこで図4を参照して、本実施の形態の防水通風フィルタ12は、不織布フィルム20を基材として、その一方(図4における上側)の主表面上に防水性繊維網状フィルム21が積層された積層物として形成されることが好ましい。防水性繊維網状フィルム21は、撥水処理が施された繊維により編まれた網状構造を有するフィルムである。撥水処理を施した繊維で編まれた網状構造により、繊維間の空隙の大きさをたとえば水の進入が防げる程度に小さくするなどの制御ができる。このため、防水性繊維網状フィルム21の面内の撥水性のばらつきがなく、防水性繊維網状フィルム21全面の防水性を高めることができる。
不織布フィルム20を構成する繊維材料としては、ポリエステルまたは芳香族ポリアミドが用いられることが好ましい。特に排気口9に設置される防水通風フィルタ12は、モータ内部領域MIRの加熱空気が通風することにより高い耐熱性が要求される観点から、芳香族ポリアミド系材料の不織布フィルム20が用いられることがより好ましい。
本実施の形態の不織布フィルム20は、その厚み方向に関して繊維の密度が低い(粗の)領域と、繊維の密度が高い(密の)領域との繊維密度分布を有することが好ましい。つまり、より高密度の塵埃が含まれる空気が存在する外気側に不織布フィルムの厚み方向に関する粗の面を向けるように、不織布フィルム20(を含む防水通風フィルタ12)が設置されることが好ましい。このようにすれば、防水通風フィルタ12のうちモータハウジング1の外側を向く表面側に塵埃がたまりフィルタ12全体の通風抵抗を著しく増加させる、いわゆるフィルタの表面濾過を抑制することができ、防水通風フィルタ12の長寿命化が図れる。
本実施の形態の不織布フィルム20の通気性(フラジール法 JIS L1096による)は100mL/cm2/s以上であることが好ましい。このようにすれば、モータ内部領域MIRの冷却に十分な通風量を得ることができる。
防水性繊維網状フィルム21を構成する繊維材料としては、ポリエステルまたは芳香族ポリアミドが用いられることが好ましい。特に排気口9に設置される防水通風フィルタ12は、モータ内部領域MIRの加熱空気が通風することにより高い耐熱性が要求される観点から、芳香族ポリアミド系材料の防水性繊維網状フィルム21が用いられることがより好ましい。また本実施の形態の防水性繊維網状フィルム21の通気性(フラジール法 JIS L1096による)は100mL/cm2/s以上であることが好ましい。このようにすれば、モータ内部領域MIRの冷却に十分な通風量を得ることができる。
また防水性繊維網状フィルム21における開口部の大きさを決める、当該フィルムを構成する複数の繊維のうち隣り合う1対の繊維の間隔は、10μm以上であることが好ましい。このようにすれば、モータ内部領域MIRの冷却に十分な通風量を得ることができる。
防水性繊維網状フィルム21の撥水性(スプレー法 JIS L1092による)は、4級以上であることが好ましい。このようにすれば、モータ内部領域MIRの冷却に必要な防水性を十分に得ることができる。
以上のような構成を有する防水通風フィルタ12を通風させることにより、低い通風抵抗を維持しながら、高い防水性および防塵性を確保することができる。
次に、形状記憶合金バネ13は、所定の温度以上の環境下で温度に対して不連続的に寸法または形状が変化する性質を有する任意の材料により形成され得るが、ここでは形状記憶合金バネ13は、形状記憶合金材によるバネである。形状記憶合金材はある温度以上の環境下において形状が変化する性質を有するため、形状記憶合金バネ13は、ある温度以上の環境下において自発的に伸びる性質を有している。
より具体的には、形状記憶合金バネ13を構成する形状記憶合金材は、固体の結晶構造が変化する変態点以上の温度になると結晶構造変化が生じ、これに基づきその形状を回復する性質を有する。結晶構造変化は、温度変化に対して可逆的に実現できる。つまりたとえば形状記憶合金バネ13は温度が上昇すれば伸長し、その後温度が下降すれば収縮して元の長さに戻る。
このような性質を有する形状記憶合金材は、ニッケルチタン合金、ニッケルチタンコバルト合金、ニッケルチタン銅合金からなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。この中でも特に、形状記憶合金バネ13が加熱により伸長して形状変化し始めたり、伸長した後に冷却により元の形状に戻る境界温度としての変態温度を100℃にすることができるニッケルチタン合金が用いられることがより好ましい。
ただし形状記憶合金バネ13を構成する材料としてはこれに限らず、たとえば温度変化による気体液体間の転移および液体固体間の転移などの相変化、または同一相(たとえば固相)における体積変化を利用可能な材料により、温度に応じて伸縮可能な温度伸長材としてのバネ13が形成されてもよい。
形状記憶合金バネ13は温度に対して不連続的に寸法等が変化するため、上記のように温度がたとえば所定温度以上に上がれば図2のWの値がすぐに1mm以上となるように伸長しやすくなる。したがってたとえば図2のWの値が1mm未満となる程度に不十分な伸長をする可能性を低減することができ、所定温度以上の状況下では確実に通気させ、所定温度以下の状況下では通気を確実に遮断するなど、両状況間の切り替えをより明瞭にさせることができる。その結果、防水通風装置10の性能をいっそう高めることができる。
次に、通風弁14は、フッ素系またはシリコーン系の材料により構成されることが好ましい。フッ素系またはシリコーン系の材料は柔軟なゴム状の素材であるため、たとえば図3のように通風弁14が閉まった状態において、通風弁表面14aと筐体内壁面11aとの密着性を良好にさせることができる。このため防水通風装置10は、防水通風フィルタ12に対する不要な通風を防止することができ、たとえば防水通風フィルタ12が常時通風している場合に比べて防水通風フィルタ12を長寿命化させることができる。またフッ素系またはシリコーン系の材料は耐熱性が優れることから、これを通風弁14に用いることにより、防水通風装置10の信頼性が高められる。
次に押さえバネ15は、特に図3のように通風弁14が閉じたときに通風口16に空気の流れFが生じることを抑制することを補助するために配置される。したがって押さえバネ15は、電動パワーステアリング装置100において必須のものではなく、形状記憶合金バネ13の張力如何によっては不要となる場合もある。
また押さえバネ15は、上記の形状記憶合金バネ13を構成する形状記憶合金のように温度に応じて敏感に伸長するような部材ではなく、一般公知の(形状記憶合金ほどには温度に応じて敏感に伸長または変形することのない)鋼材により形成されることが好ましい。
基本的に押さえバネ15は、図2および図3に示すように、防水通風装置10内の中でもモータハウジング1の外側に配置されている。このため特にこれが吸気口8側に設置された場合には、押さえバネ15の周囲には外気が触れ、押さえバネ15の周囲の温度が極度に上がることは少ない。しかし特にたとえばこれが排気口9側に設置された場合には、押さえバネ15の周囲の温度が上昇しやすくなる。このため温度が上昇しても形状記憶合金バネ13のように伸長しない材質にてこれを形成することにより、固定子巻線4の発熱により形状記憶合金バネ13が伸長する際に誤って押さえバネ15が伸長しないようにさせることができる。
モータ内気側通風口17は、金属製の網状フィルタにより形成されることが好ましい。すなわちモータ内気側通風口17は、金属製の微細な部材が複数、格子状に並ぶことにより網状となり、当該微細な部材のうち隣り合う1対の部材の間に形成される隙間を空気が通ることが可能な態様となっている。
これにより、モータ内部領域MIRからモータハウジング1の外部へ電磁場が漏れることが抑制できるため、モータ部MRの駆動パワー(出力)の低下が抑制できる。またモータ部MRからモータ駆動制御装置部CRへの電磁ノイズを抑制することができる。
なおその他の、たとえばファン7の形状、設置位置、素材は特に限定されない。またモータ内部領域MIRにおける各構成要素の隙間による風路の構造を決定する固定子鉄心2および回転子鉄心3の形状および素材についても、特に限定されない。
次に、電動パワーステアリング装置の固有の問題に触れつつ、本実施の形態の作用効果について説明する。
産業用のモータ類と異なり、車両用の電動パワーステアリング装置用のモータ(モータ部)においては、車両のハンドル操作時にのみモータの回転動作が発生する。そのため、通常の動作ではモータ内部領域の温度上昇は緩やかであり、たとえばハンドルを常時回し続けるような稀な動作においてのみモータ部の冷却が必要となる。
しかし、たとえばモータハウジングの開口部に防水通風フィルタを備えただけの冷却方法においては、冷却が不要な上記通常の動作時においても防水通風フィルタに空気の流れが発生し通風される。このことは防水通風フィルタの目詰まりを不要に助長する。また通風冷却による防水通風フィルタの目詰まりは外気の塵埃に起因するため、特に吸気口に取り付けられた防水通風フィルタが目詰まりを起こしやすく、その目詰まりによりフィルタの寿命が短縮されることが問題となる。
また産業用のモータ類と異なり、車両用の電動パワーステアリング装置用のモータ(モータ部)においては、車両の狭い領域に収納されるため、目詰まりによる防水通風フィルタの交換が非常に困難である。このことから防水通風フィルタを長寿命化させ、その交換頻度をなるべく少なくする要請がある。
そこで本実施の形態においては、上記のように防水通風装置10に防水通風フィルタ12と、温度伸長材としての形状記憶合金バネ13と、これに固定された通風弁14とを含む構成としている。そして上記のようにたとえばハンドルを常時回し続けモータ部MRが過剰に発熱するような特殊な動作のときのみに、形状記憶合金バネ13の発熱による伸長を利用して通風弁14を開き防水通風フィルタ12からの通風冷却を可能とする。
これにより本実施の形態においては、通風弁14を動かすための動力および温度を感知するためのセンサを必要とせずに、上記のように簡単な構成で必要な時のみに通風弁14を動作させることができることから、たとえばセンサなどを追加で設置する場合に懸念される装置の大型化を回避することができる。また本実施の形態においては、真に冷却が必要な時のみに通風弁14が開いて防水通風フィルタ12からの通風冷却がなされるため、不要に常時防水通風フィルタ12からの通風がなされる場合に比べて防水通風フィルタ12の目詰まり量を少なくし、その寿命を長くすることができる。なおたとえ上記図2の通風口16の幅Wが1mm未満となる程度に形状記憶合金バネ13が僅かに伸びる場合があったとしても、幅Wが1mm以上伸びる場合に比べて通風口16の風量は非常に少なくなり、防水通風フィルタ12の目詰まり量の増加をある程度抑制することができる。
また図2に示すようにモータ内部領域MIRの冷却が必要で通風弁14が開いているときには、モータ内部領域MIRへの水分および塵埃の進入の抑制は防水通風フィルタ12が担っている。一方、図3に示すようにモータ内部領域MIRの冷却が不要なモータ部MRの通常動作時において、モータ内部領域MIRへの水分および塵埃の進入の抑制は防水通風フィルタ12および通風弁14の2つの部材が担っている。このため、図3に示す通風弁14が閉じられた状態においてはモータ内部領域MIRへの水分および塵埃の進入は二重に抑制される。したがって、本実施の形態においては、モータハウジング側面MRSの一部を開口しそこを貫通するように防水通風装置10が配置されるとはいえ、モータ部MRの防水性および防塵性に係る十分な信頼性が確保できる。
次に、本実施の形態においては、モータ内部領域MIRの発熱の原因となる固定子巻線4の近傍(終端部)に通風弁14を開閉するための形状記憶合金バネ13が配置される態様を有している。このため固定子巻線4の発熱は形状記憶合金バネ13に効率的に伝熱される。したがって固定子巻線4の発熱に基づきモータ内部領域MIRが高温に加熱される前に、素早く通風弁14を開き通風冷却を開始することができる。
以上に述べた構成を有するモータ部MRと、モータ駆動制御装置部CRとを一体化させることにより、電動パワーステアリング装置100を小型化させることができる。
(実施の形態2)
まず図5を用いて、本実施の形態の電動パワーステアリング装置200の構成について説明する。
図5を参照して、電動パワーステアリング装置200の構成は基本的に実施の形態1の電動パワーステアリング装置100と同様であるが、防水通風装置10の代わりに防水通風装置30が設置されている点において、図5は図1と異なっている。
次に図6〜図7を用いて、防水通風装置30の構成および動作について詳細に説明する。
図6を参照して、防水通風装置30は、防水通風装置10と同様に、モータハウジング側面MRSの一部に設けられた開口部としての吸気口8を貫通するように設けられている。そして防水通風装置30は、防水通風装置10と同様に、モータハウジング1の内部(モータ内部領域MIR)においてモータハウジング1の外部に比べてその幅が狭くなっている。しかし図6の断面図においては防水通風装置30は左右方向に関して対称な形状となっておらず、モータハウジング1の外側の領域は内側の領域に比べて左側にのみ広がりその幅が広くなっている。つまり図6において防水通風装置30は、Lの字を上下反転させたような断面形状を有している。
防水通風装置30は、防水通風装置10と同様に、防水通風装置筐体11と、防水通風フィルタ12と、通風弁14と、押さえバネ15とを有しているが、実施の形態1の形状記憶合金バネ13の代わりにバイメタルバネ31を有している。
つまり、通風弁14を開閉するためにこれに固定させる温度伸長材としては、実施の形態1に述べた形状記憶合金を用いたバネ(形状記憶合金バネ13)に限らず、本実施の形態のようにバイメタルを用いたバネ(バイメタルバネ31)が用いられてもよい。この場合も実施の形態1と同様に、防水通風フィルタ12を不要に使用することによるその目詰まりを抑制し、防水通風フィルタ12の寿命を向上させることができる。
バイメタルは、熱膨張係数の異なる金属材料が2種類以上接合された金属の複合材料である。バイメタルは、金属の複合材料としての形状および厚み、ならびにこれを構成する個々の金属材料の組成および厚みを最適化することにより、温度に応じて伸縮および変形するよう制御することができる。
図6のバイメタルバネ31は板状の形状(板バネ状)を有しているが、これは実際には(図示されないが)低熱膨張材料と高熱膨張材料との2つの金属材料が板状に積層された構成を有している。バイメタルバネ31は図6の上下方向(モータハウジング1の内側から外側へと延びる方向)に延びるように配置されている。
具体的には、バイメタルバネ31を構成する低熱膨張材料としてはニッケルと鉄との合金材料が、高熱膨張材料としては銅、ニッケル、亜鉛、マンガン、モリブデンからなる群から複数選択され組み合わされた合金材料が用いられることが好ましい。
このような板バネ状のバイメタルバネ31は、温度上昇による低熱膨張材料と高熱膨張材料との熱膨張率の差により板状部材が反る変形を実現することができる。そのためバイメタルバネ31は、温度上昇を感知するバネとして利用できる。
なお防水通風装置30の防水通風装置筐体11は、モータハウジング1の外側において図6の左側に突出した領域の最も左側の面の一部に1つの開口部が設けられており、当該開口部を塞ぐように防水通風フィルタ12が設けられている。
通風弁14は、バイメタルバネ31の図6の左側(防水通風フィルタ12側)を向く表面上の一部(図6の最も上側の領域)に、バイメタルバネ31と一体となるように固定されている。通風弁14は防水通風装置筐体11が特に図6の左側に突出した領域の内壁面よりも小さい幅および断面積を有することにより、通風弁14の表面と防水通風装置筐体11の内壁面との間に空気の通風口16を形成可能な大きさおよび形状を有することが好ましい。
押さえバネ15は、バイメタルバネ31の図6の右側を向く表面上の一部(図6の最も上側の領域)に固定され、図6の左右方向に伸縮可能となっている。つまり押さえバネ15の1対の端部のうちの一方(図6の左側)の端部はバイメタルバネ31の右側の表面に固定されており、押さえバネ15の1対の端部のうちの他方(図6の右側)の端部は防水通風装置筐体11の内壁面のうち最も右側の領域に固定されている。
その他、たとえば固定子巻線4がバイメタルバネ31(防水通風装置筐体11のうち特に図6の下側の、バイメタルバネ31が収納される領域)の外周に巻回された構成を有する点などは、実施の形態1と同様である。
次に防水通風装置30の動作について説明する。
図6のように、たとえばモータ部MRの駆動により固定子巻線4が(過剰に)発熱すれば、バイメタルバネ31がこれを構成する板材の主表面に沿う方向に関して反るように湾曲する。これにより、通風弁14の通風弁表面14aと、これに対向する防水通風装置筐体11の筐体内壁面11aとの間に隙間が形成される。この隙間により、実施の形態1と同様に通風弁14が開き、防水通風フィルタ12から防水通風装置10内に入った空気の流れFが通るための通風口16が形成される。その後は実施の形態1と同様にファン7の回転などにより、内気はモータ部MRの外側に、外気はモータ部MRの内側に流れるよう循環する空気の流れFが生じ、モータ部MRの内部と外部との間で熱交換がなされる。
なお当該通風口16の断面形状等によって変動する可能性があるものの、ここでは実施の形態1と同様に、図6の断面図における通風弁表面14aと筐体内壁面11aとの隙間の最大幅Wが1mm以上になる程度にバイメタルバネ31が反った状態を、通風弁14が開いた状態(熱交換が可能な状態)と定義する。
一方、図7を参照して、固定子巻線4が発熱せずバイメタルバネ31が反らない場合には、これに固定された通風弁14はその表面がモータハウジング側面MRSに交差(直交)する方向に延び、通風弁表面14aと筐体内壁面11aとが互いに接触する態様となる。このため実施の形態1と同様に通風弁14が閉じ、通風口16が形成されなくなることから熱交換はされなくなる。発熱量が少なく図6の幅Wが十分でない場合も同様である。
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 モータハウジング、2 固定子鉄心、3 回転子鉄心、4 固定子巻線、5 回転子磁石、6 シャフト、7 ファン、8 吸気口、9 排気口、10,30 防水通風装置、10b ボス、11 防水通風装置筐体、11a 筐体内壁面、12 防水通風フィルタ、13 形状記憶合金バネ、14 通風弁、14a 通風弁表面、15 押さえバネ、16 通風口、17 モータ内気側通風口、20 不織布フィルム、21 防水性繊維網状フィルム、31 バイメタルバネ、100 電動パワーステアリング装置、101 コネクタ、102 コンデンサ、103 コイル、104 制御回路、105 制御基板、106 ヒートシンク、107 スイッチング素子、108 回転センサ、109 回路端子、110 モータ端子、111 駆動制御装置ケース、CR モータ駆動制御装置部、F 空気の流れ、MIR モータ内部領域、MR モータ部、MRF モータハウジング正面、MRS モータハウジング側面。

Claims (8)

  1. 固定子と回転子とを取り囲むように配置されたモータハウジングと、
    前記モータハウジングに取り囲まれたモータ内部領域内に配置された内扇ファンと、
    前記モータ内部領域の外部からモータ内部領域内の少なくとも一部に通じるように配置された防水通風装置とを備え、
    前記防水通風装置は、防水通風フィルタと、温度伸長材と、通風弁とを含み、
    前記温度伸長材は、前記モータ内部領域の温度に応じて伸縮可能であり、
    前記温度伸長材が伸びたときにのみ前記通風弁が開き、
    前記通風弁が開いたときにのみ前記防水通風フィルタに通風し、前記内扇ファンの回転により前記モータ内部領域と前記モータ内部領域の外側との間で換気可能である、モータ。
  2. 前記固定子に巻回された固定子巻線が前記温度伸長材の外周に巻回された構成を有する、請求項1に記載のモータ。
  3. 前記温度伸長材は形状記憶合金材によるバネである、請求項1または2に記載のモータ。
  4. 前記温度伸長材はバイメタルによるバネである、請求項1または2に記載のモータ。
  5. 前記防水通風フィルタは、不織布フィルムと防水性繊維網状フィルムとを貼り合わせた積層物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ。
  6. 前記通風弁は、フッ素系またはシリコーン系の材料により構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ。
  7. 前記防水通風装置にはモータ内気側通風口が設けられ、
    前記モータ内気側通風口は金属製の網状フィルタにより構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のモータ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモータからなるモータ部と、
    前記モータ部の駆動を制御するモータ駆動制御装置部とを備える、電動パワーステアリング装置。
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