JP2016156085A - スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のターゲット部材同士の間の隙間(分割部)から露出する基材の構成材料が、形成される薄膜にバッキングプレートの構成材料の混入を防止できる分割スパッタリングターゲットの製造方法の提供。
【解決手段】ターゲット部を所定の間隔をおいて配置することにより形成される分割部に対応する領域における基材の表面の凹凸部の凹部の表面に主にInまたはIn合金を介在させ、基材の分割部に対応する領域の表面をEPMAで分析した場合に、InまたはIn合金の領域を観察面積に対して面積比率が40%以上80%以下とする分割スパッタリングターゲットの製造方法。
【選択図】図2B

Description

本発明は、スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。特に、バッキングプレートまたはバッキングチューブに接合されたセラミックス分割スパッタリングターゲットに関する。
酸化物半導体を成膜するためのターゲット部材は、セラミックスであるため、大面積のターゲット部材を製造することは困難である。一方、スパッタされる酸化物半導体の薄膜の面積は大きくなる傾向にある。そこで、スパッタリングターゲットとしては、バッキングプレートまたはバッキングチューブ(以下、単に「基材」という。)に複数のターゲット部材を接合させることにより、スパッタされる酸化物半導体の薄膜の面積の増加に対応している。
一般的に、複数のターゲット部材を基材に接合させる場合、ターゲット部材同士の間は一定の間隔をあけて配置する。ターゲット部材を隙間なく配置してバッキングプレートに接合すると、スパッタ中の熱によりターゲット部材が伸縮し、ターゲット部材同士がぶつかるなどして割れや欠けが生じてしまうおそれがあるためである。一方、ターゲット部材間の隙間は、本来スパッタされるべきターゲット部材が存在しない。したがって、基材の構成材料がスパッタされるなどの問題を発生させ、所望の組成の薄膜が成膜できないという問題が存在する。
先行文献1には、複数のターゲット部材を基材に接合したスパッタリングターゲットにおいて、ターゲット部材同士の隙間を低融点ハンダで間隔深さの10%〜70%の厚みで被覆し、これにより基材の構成材料がスパッタされることを防止するという技術が開示されている。しかし、この先行技術文献1の技術では、低融点ハンダが間隔深さの10%〜70%の厚みで存在させるため、結果的に、ターゲット部材の表面近くまで低融点ハンダが存在することになる。このような状態で存在する低融点ハンダは、ターゲット部材同士の間隙において基材がむき出しの場合における基材の構成材料よりもスパッタされ易いことから、所望の組成の薄膜を成膜するという課題を十分に解決しているとは言えなかった。
特許第4961515号公報
本発明の課題は、複数のターゲット部材を基材に接合して得られる分割スパッタリングターゲットにおいて、ターゲット部材同士の間の隙間から露出する基材の構成材料またはバッキングプレートまたはバッキングチューブの構成材料をスパッタさせないためにターゲット部材同士の隙間に存在させる充填部材の構成材料がスパッタされることを防止しつつ、所望の組成の薄膜を成膜することを可能とすることである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の構成の分割スパッタリングターゲットを見出した。すなわち、基材は、一般的に、Ti(チタン)またはCu(銅)などで構成される。TiまたはCuは、焼結体との濡れ性が悪い。しかしながら、基材表面をサンドブラストで荒らした後、InまたはIn合金を接合材として基材と焼結体であるターゲット部材とを接合させると接着性が高まる。ここにおいて、ターゲット部材同士の間隙(以下、「分割部」という。)における基材表面には、サンドブラストにより凹凸が形成されるところ、バッキングプレートまたはバッキングチューブの分割部に対応する領域の表面において、InまたはIn合金の領域を凹凸面を利用して調整することで、基材の構成材料はもちろん、基材の構成材料をスパッタさせないために基材の表面を覆う充填部材などがスパッタされる確率を減少させることが可能となることを見出した。
すなわち、そもそも分割部に対応する位置の基材部分は、ターゲット部材に比べてターゲット部材の厚み分、奥まった位置に存在するため、スパッタされる確率はターゲット部材に比べて少ない。そこで、基材の分割部に対応する領域の凹凸面の主として凹部にInまたはIn合金を介在させることで、InまたはIn合金を、基材の表面とほぼ同じ高さ(基材に凹凸部を形成する前の基材の表面とほぼ同じ高さ、または基材の凹凸部の凸部とほぼ同じ高さ)の範囲内に存在させて、バッキングプレートまたはバッキングチューブの構成材料がスパッタされることを防止つつ、基材の構成材料がスパッタされないようにするためのInまたはIn合金自体がスパッタされる確率を減少させることが可能となる。
さらには、InまたはIn合金を基材の凹凸部の主として凹部に存在させることで、基材とInまたはIn合金の接合面が基材の表面を覆うInまたはIn合金の表面積に比して広くなることから、InまたはIn合金を強固に基材に接合させることが可能となる。したがって、基材の分割部に対応する領域に存在するInまたはIn合金がスパッタされることにより、InまたはIn合金が掘られてInまたはIn合金の厚みが薄くなり基材から脱落することを防止することが可能となる。
本発明によれば、複数のターゲット部材を基材に接合して得られる分割スパッタリングターゲットにおいて、複数のターゲット部材同士は基材の表面に互いに所定の間隔をおいて配置されることにより形成される分割部に対応する領域における基材の表面は凹凸部を有し、凹凸部の表面にはInまたはIn合金が存在し、前記InまたはIn合金が存在する領域は、基材の分割部に対応する領域の表面をEPMAで分析した場合に、観察面積に対して面積比率が40%以上である分割スパッタリングターゲットが提供される。
In合金が存在する領域は、基材の分割部に対応する領域の表面をEPMAで分析した場合に、観察面積に対して面積比率が40%以上80%以下であることが望ましい。
所定の間隔は、0.2mm以上0.4mm以下であることが望ましい。
InまたはIn合金は、Inを90%以上含有していることが望ましい。
一般的に、複数のターゲット部材が接合される基材は、TiまたはCuを含有する。しかしながら、基材を構成する元素はターゲット部材の組成と異なるものであれば、本発明にかかる分割スパッタリングターゲットは有効であるため、基材を構成する元素TiまたはCuに限定されない。
本発明によれば、複数のターゲット部材を基材に接合して得られる分割スパッタリングターゲットにおいて、分割部から露出する基材の構成材料または基材の構成材料をスパッタさせないために基材の分割部に対応する領域に存在させる充填部材の構成材料がスパッタされることを防止しつつ、所望の組成の薄膜を成膜することを可能となる。
本発明の実施形態に係る円筒形スパッタリングターゲット材と円筒形基材とを接合材を用いて接合させるためのボンティング工程を説明するための概略図である。 本発明の実施形態に係る分割スパッタリングターゲットにおいて、図2Bの断面箇所を示す図である。 本発明の実施形態に係る分割スパッタリングターゲットのバッキングプレート、またはバッキングチューブの凹凸部の凹部に接合材が残留していることを示す概略図である。 実施例1にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域におけるInのEPMA分析結果を示す図である。 実施例1にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域におけるTiのEPMA分析結果を示す図である。 実施例2にかかる分割スパッタリングターゲットの分割部に対応する領域におけるInのEPMA分析結果を示す図である。 実施例2にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域におけるTiのEPMA分析結果を示す図である。 実施例3にかかる分割スパッタリングターゲットの分割部に対応する領域におけるInのEPMA分析結果を示す図である。 実施例3にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域におけるTiのEPMA分析結果を示す図である。 比較例1にかかる分割スパッタリングターゲットの分割部に対応する領域におけるInのEPMA分析結果を示す図である。 比較例1にかかる分割スパッタリングターゲットの分割部に対応する領域におけるTiのEPMA分析結果を示す図である。 比較例2にかかる分割スパッタリングターゲットの分割部に対応する領域におけるInのEPMA分析結果を示す図である。 比較例2にかかる分割スパッタリングターゲットの分割部に対応する領域におけるTiのEPMA分析結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る複数のターゲット部材を基材に接合して得られる分割スパッタリングターゲット及びその製造方法について説明する。但し、本発明の複数のターゲット部材を基材に接合して得られる分割スパッタリングターゲット及びその製造方法は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、円筒形スパッタリングターゲット材とバッキングチューブとを接合材を用いて接合させるためのボンティング工程を説明する概略図である。図2は、本発明の実施形態に係る分割スパタリングターゲットのバッキングチューブの表面を示す概略図である。図1及び図2に沿って本発明にかかる分割スパッタリングターゲットを説明する。
複数の円筒形スパッタリングターゲット材1、バッキングチューブ4、及び接合材3を用意する。円筒形スパッタリングターゲット材1及びバッキングチューブ4の外径、内径、及び長さについて、特に制限はない。ただし、円筒形スパッタリングターゲット材1の内径とバッキングチューブ4の外径は、円筒形スパッタリングターゲット材1とバッキングチューブ4の間で形成されるキャビティの幅を規定し、キャビティに充填される接合材の厚みを規定するため、接合材の厚みが所望の厚みとなるように調整する。
円筒形スパッタリングターゲット材1はセラミック焼結体からなり、例えば、インジウム、スズ及び酸素からなるITO焼結体(Indium Tin Oxide)、亜鉛、アルミニウム及び酸素からなるAZO焼結体(Aluminium Zinc Oxide)、インジウム、亜鉛及び酸素からなるIZO焼結体(Indium Zinc Oxide)、TiO等の焼結体である。ただし、本発明にかかる円筒形スパッタリングターゲットの円筒形スパッタリングターゲット材はセラミック焼結体であれば、上記組成に限定されない。
バッキングチューブ4としては、種々の材質が使用可能であるが、一例として、銅(Cu)、チタン(Ti)またはこれらの元素が複数含まれる金属をあげることができる。
接合材3としては、例えば、低融点のインジウム(In)またはInを含むIn合金の半田材が挙げられる。In合金の場合、融点及び熱伝導性などを考慮すると、Inは少なくとも90%以上含有するIn合金が望しい。
まず、用意したバッキングチューブ4の表面を、Inと濡れ性のよいアルミナ、ジルコニア、SiC等によりサンドブラストで荒らすことにより、凹凸を形成する。凹凸の形状は特に制約はないが、表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で1.8μm以上5μm以内とするのが望ましい。算術平均粗さ(Ra)で5μmよりも大きくすると、接合材3を円筒形スパッタリングターゲット材1とバッキングチューブ4との間に均一に挿入させにくくなる、均一に挿入させるのに時間がかかるなどの問題が生じるためである。一方、算術平均粗さ(Ra)で1.8μmよりも小さいと、InまたはIn合金の接合面がバッキングチューブの表面を覆うInまたはIn合金の表面積に比して十分に広くできず、InまたはIn合金が、スパッタ時に脱落するおそれが生じるおそれがあるためである。
次に、複数の円筒形スパッタリングターゲット材1を、バッキングチューブ4に各中心軸が一致するように配置し固定する。隣接する円筒形スパッタリングターゲット材1の間には、環状のテフロン(登録商標)のスペーサーを用いて一定の隙間(図1の符号2)が確保される。
円筒形スパッタリングターゲット材1同士の間(隙間)は、0.2mm以上0.4mm以内が望ましい。0.2mmよりも狭いとスパッタ時に円筒形スパッタリングターゲット材1が熱膨張を起こし、円筒形スパッタリングターゲット材1同士がぶつかって、割れや欠けの原因となるためである。一方、4mmよりも広いと、スパッタ時に円筒形スパッタリングターゲット材が存在しない領域がスパッタされる可能性が高まる問題が生じるためである。
円筒形スパッタリングターゲット材1の内径とバッキングチューブ4の外径で形成されるキャビティは、接合材3の厚みを規定する。円筒形スパッタリングターゲット材1の内径とバッキングチューブ4の外径で形成されるキャビティは、望ましくは、0.5mm〜2.0mmである。0.5mmより狭いと液相の接合材が流れにくくなり接合不良を引き起こす。一方、2.0 mmよりも厚いと、熱伝導率の低下などを引き起こし、スパッタ時の異常放電などの原因となりうる。
次に、ヒーター(図示せず)を用いて円筒形スパッタリングターゲット材1及びバッキングチューブ4を各々157℃以上まで加熱し、円筒形スパッタリングターゲット材1の内周面とバッキングチューブ4の外周面の間に溶融させた接合材3を流し込む。このとき、157℃以上で保持し、徐々に温度を低下させて接合材3を固化させることにより円筒形スパッタリングターゲット材1をバッキングチューブ4に接合させる。
上記の方法で複数の円筒形スパッタリングターゲット材1をバッキングチューブ4に接合させた後、円筒形スパッタリングターゲット材1同士の間(分割部)に挿入していたスペーサーを取り除く。スペーサーを挿入していても接合材3は分割部に侵入してくるため、次に、分割部の底部(バッキングチューブ4の表面であって分割部に対応する領域)に付着している接合材3を除去する作業を行う。
分割部の底部に付着した接合材3の一部除去作業は、バッキングチューブ4が100℃〜120℃前後に温められた状態で行われる。本発明によれば、分割部の底部に付着した接合材3は、バッキングチューブ4に形成された凹凸の凹部に少なくとも一部残留させる必要があるため、ある程度耐熱性を有する硬質プラスチックで作製された治具で取り除くことが望ましい。
従来、分割部の底部に付着した接合材3の除去作業は、ステンレス、またはカッターの刃のような炭素工具鋼で先端を鋭利に加工した治具で行われていた。このような治具で分割部の底部に付着した接合材3の除去を行うと、分割部の底部が一部削られ、凹面にあった接合材3も全て除去できるためである。しかしながら、本願発明は、接合材3をあえて全部除去しない。硬質プラスチックで作製された治具を用いれば、分割部の凹凸面を傷つけることなく、分割部の底面の表層部分に付着した接合材3を除去しつつ、分割部の凹部に接合材3を残すことが可能となる。
また、ある程度耐熱性を有する硬質プラスチックで作製された治具が望ましい理由は、分割部の底部に付着した接合材3の除去作業は、バッキングチューブ4が100℃〜120℃前後に温められた状態で行われるためである。望ましい樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂が挙げられる。しかしながら、これらに限定されない。
図2は、ある程度耐熱性を有する硬質プラスチックで作製された治具でバッキングチューブ4の基材の分割部に対応する領域に形成された凹凸部の表面に存在する接合材3を取り除きつつ凹部に一部残留させている状態を示す。このように、本発明においては、接合材3を取り除きつつ、あえて主として凹部に接合材3を残留させることで、凸部に接合材3に付着していてもほぼ基材の表面とほぼ同じ高さ(基材に凹凸部を形成する前の基材の表面とほぼ同じ高さ、または基材の凹凸部の凸部とほぼ同じ高さ)に存在させることが可能となる。
分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域において、あえて接合材であるInまたはIn合金を残すことにより、形成されたInまたはIn合金が存在する領域は、分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域のEPMA(使用した装置:エネルギー分散型X線分析装置(日本電子製JED−2200F)))で分析した場合、観察面積に対して40%以上80%以下とするのが望ましい。40%未満であると、基材の材料が表出することでスパッタされた膜への汚染(基材を構成するTiまたはCu成分などの混入)される可能性が高くなるためである。一方、以下に示す実施例1の実験結果によれば96%であってもスパッタされた膜への汚染は抑えられているが、上限としては80%以下が望ましい。観察面積に対して80%以下であれば、基材の表面を覆うInまたはIn合金が、基材の表面とほぼ同じ高さの位置に確実に存在させていると評価でき、InまたはIn合金自体がスパッタされる確率を抑えることができるためである。
(実施例1)
実施例1にかかる分割スパッタリングターゲットでは、主としてTiからなるバッキングチューブ4の分割部の底部に付着している接合材3をポリイミド樹脂からなる治具で一部除去した。図3A及びBは、実施例1にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域のEPMA分析結果であって、図3AはInの分析結果であり、図3BはTiの分析結果である。図3Bでは、Tiが存在する領域がわずかではあるが確認できる。したがって、In合金は基材の表面の凹凸部の主として凹部に存在しており、In合金は、基材の表面とほぼ同じ高さ(基材に凹凸部を形成する前の基材の表面とほぼ同じ高さ、または基材の凹凸部の凸部とほぼ同じ高さ)の範囲内に存在しているといえる。InのEPMA分析によれば、接合材3であるIn合金が存在する領域は、観察面積に対して95.35%であった。
(実施例2)
実施例2にかかる分割スパッタリングターゲットでは、主としてTiからなるバッキングチューブ4の分割部の底部に付着している接合材3をポリイミド樹脂からなる治具で一部除去した。図4A及びBは、実施例2にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域のEPMA分析結果である。図4AはInの分析結果であり、図4BはTiの分析結果である。InのEPMA分析によれば、接合材3であるIn合金が存在する領域は、観察面積に対して74.75%であった。
(実施例3)
実施例3にかかる分割スパッタリングターゲットでは、主としてTiからなるバッキングチューブ4の分割部の底部に付着している接合材3をポリイミドアミド樹脂からなる治具で一部除去した。図5A及びBは、実施例3にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域のEPMA分析結果である。図5AはInの分析結果であり、図5BはTiの分析結果である。InのEPMA分析によれば、接合材3であるIn合金が存在する領域は、観察面積に対して44.65%であった。
(比較例1)
比較例1にかかる円筒形スパッタリングターゲットでは、主としてTiからなるバッキングチューブ4の分割部の底部に付着している接合材3をステンレスからなる治具で一部除去した。図6A及びBは、比較例1にかかる分割スパッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域のEPMA分析結果である。図6AはInの分析結果であり、図6BはTiの分析結果である。InのEPMA分析によれば、接合材3であるIn合金が存在する領域は、観察面積に対して8.11%であった。
(比較例2)
比較例2にかかる円筒形スパッタリングターゲットでは、主としてTiからなるバッキングチューブ4の分割部の底部に付着している接合材3をステンレスからなる治具で一部除去した。図7A及びBは、比較例2にかかる分割スッタリングターゲットの基材の分割部に対応する領域のEPMA分析結果である。図7AはInの分析結果であり、図7BはTiの分析結果である。InのEPMA分析によれば、接合材3であるIn合金が存在する領域は、観察面積に対して0.76%であった。
(実施例及び比較例の評価)
下記表1は、実施例1〜3及び比較例1〜2の分割スパッタリングターゲットについて、評価試験を行った結果をまとめたものである。
(表1)
評価試験は、ターゲットの分割部分に対向した位置に縦横がそれぞれ30cmサイズのガラス基板を設置し、3、000nm厚さの膜を成膜し、成膜後、膜を塩酸で溶解した後、ICP−AESによる不純物分析を実施することにより行った。
表1に示すように、実施例1〜3の分割スパッタリングターゲットでは、バッキングチューブ4のTi成分の混入は5ppmよりも少ない結果となった。一方、比較例1の分割スパッタリングターゲットでは、バッキングチューブ4のTi成分の混入は10ppmであり、比較例2の分割スパッタリングターゲットは、バッキングチューブ4のTi成分の混入は20ppmであった。
本発明によれば、複数のターゲット部材を基材に接合して得られる分割スパッタリングターゲットにおいて、ターゲット部材同士の間の隙間(分割部)から露出する基材の構成材料がスパッタされて、形成される薄膜に基材の構成材料が混入することを効果的に防止できる。さらには、基材の構成材料をスパッタさせないためにターゲット部材同士の隙間(分割部)に存在させる接合材をバッキングプレートの表面の主として凹部に介在させるため、接合材がスパッタされる可能性を極力低くしつつ、所望の組成の薄膜を成膜することが可能となる。
なお、本実施形態では、基材が円筒形のものに関して説明したが、本発明は、複数のターゲット部材をバッキングプレートに接合して得られる分割スパッタリングターゲットであれば、基材がバッキングプレートで、スパッタリングターゲット材の形状が板状のものであっても同様に適用することを妨げない。
また、板状のスパッタリングターゲット材を接合させる一般的な製造方法において、基材が円筒形のものに関して説明した上記製造方法に基づき、バッキングプレートのターゲット部材が接合される側の表面に凹凸部を形成し、凹凸部が形成されたバッキングプレートにInまたはIn合金を介してターゲット部材を接合し、硬質プラスチックで作製された治具でバッキングプレートの分割部に対応する領域に形成された凹凸部の表面に存在する接合材3を取り除きつつ、あえて主として凹部に接合材3を残留させることにより、本発明にかかる分割スパッタリングターゲット(基材がバッキングプレートのもの)も製造できる。
本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 円筒形スパッタリングターゲット材
2 スペーサー
3 接合材
4 バッキングチューブ

Claims (5)

  1. 複数の円筒形スパッタリングターゲット部材をバッキングチューブに接合して得られる分割スパッタリングターゲットにおいて、
    前記複数の円筒形スパッタリングターゲット部材の各々は前記バッキングチューブに所定の間隔をおいて配置され、
    前記複数の円筒形スパッタリングターゲット部材を前記所定の間隔をおいて配置することにより形成される分割部におけるバッキングチューブの表面は凹凸部を有し、
    前記凹凸部の表面にはIn合金またはInが存在し、
    前記In合金またはInが存在する領域は、前記バッキングチューブの分割部に対応する領域の表面をEPMAで分析した場合に、観察面積に対して面積比率が40%以上80%以下であることを特徴とする分割スパッタリングターゲット。
  2. 前記所定の間隔は、0.2mm以上0.4mm以下であることを特徴する請求項1に記載の分割スパッタリングターゲット。
  3. 前記In合金は、Inを90%以上含有していることを特徴する請求項1又は2に記載の分割スパッタリングターゲット。
  4. 前記凹凸部の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で1.8μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  5. 前記バッキングチューブは、TiまたはCuを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに1項に記載の分割スパッタリングターゲット。
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