JP6861048B2 - 円筒形スパッタリングターゲット、焼結体及び円筒形スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

円筒形スパッタリングターゲット、焼結体及び円筒形スパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、焼結体から構成される円筒形スパッタリングターゲット、焼結体及び円筒形スパッタリングターゲットの製造方法に関する。
従来、スパッタリングターゲットとしては、平板状のターゲット材をバッキングプレートに接合した平板形状のスパッタリングターゲットが一般的に利用されていた。しかし、近年、スパッタリングターゲットの形状を円筒形にすることで、ターゲット材の使用効率を上げることが提案されている。この方法は、円筒形のバッキングチューブと、その外周部に形成された円筒形のターゲット材とからなる円筒形スパッタリングターゲットを用い、バッキングチューブの内側に磁場発生設備と冷却設備を設置して、円筒形スパッタリングターゲットを回転させながらスパッタリングを行うものである。この方法により、ターゲット材の使用効率を60%〜70%にまで高めることができるとされている。
円筒形スパッタリングターゲットに係る文献として、例えば特許文献1に、マグネトロン型回転カソードスパッタリング装置は平板型マグネトロンスパッタリング装置と比較して2倍以上の高いターゲット使用効率が得られるうえ、ターゲットを回転させることで単位面積当たりでより大電力を投入でき、高い成膜速度が得られ製造現場への普及が進んでいる旨が記載されている。
そして、特許文献2には、このマグネトロン型回転カソードスパッタリング装置に用いられるセラミックス焼結体スパッタリングの製造方法としては、円筒形バッキングチューブ外周に直接セラミックスを付着する溶射法が記載されている。また特許文献3には、円筒形バッキングチューブ外周にセラミックス粉末を充填して焼成する熱間静水圧プレス法が記載されている。特許文献2及び3に記載された方法は、装置及び運転コスト多大であるとともに一体であるため円筒形バッキングチューブの再利用が難しく一体である故に材料間の熱膨張歪の影響で容易にひび割れが発生しやすい。
そのため、特許文献4記載のように、原料となるセラミックス粉末を型に入れた後に冷間静水圧プレス(CIP)で円筒形セラミックス体を成形した上でさらに加熱炉で焼成して得た円筒形セラミックス焼結体を円筒形バッキングチューブと低融点低ヤング率のはんだ材で接合する方法が主流となっている。この方法によれば前記溶射法および熱間静水圧プレス法と比べて高密度なセラミックス焼結体が得られ具体的にはIn系低融点はんだ材を使用することで熱膨張歪の影響を受けにくくなり円筒ターゲット材のひび割れの抑制にも効果がみられる。
特表昭58−500174号公報 特開平05−86462号公報 特開平05−230645号公報 特許第3618005号公報
しかしながら、一部のセラミックス焼結体では上述した製造方法をもってしても熱膨張係数が小さく硬く脆いというセラミックス焼結体の性質に起因して、焼結体からなる円筒形ターゲット材とバッキングチューブとの熱膨張係数の差から円筒形スパッタリングターゲットの製造中や保管中およびスパッタリング中に、円筒形ターゲット材にひび割れが発生してしまう問題が生じる。中でもバッキングチューブがステンレスより熱膨張係数の大きい銅や銅合金からなる場合には、さらに焼結体からなる円筒形ターゲット材との熱膨張係数の差が大きくなり、よりひび割れが発生してしまう問題が生じる。
そこで本発明は、製造中や保管中およびスパッタリング中において円筒形ターゲット材のひび割れを確実に抑制できる円筒形スパッタリングターゲット、焼結体及び円筒形スパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、焼結体から構成される円筒形スパッタリングターゲットであって、円筒形のバッキングチューブと、前記円筒形のバッキングチューブの側面に接合された単数又は複数の円筒形のターゲット材とを備え、前記円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目が形成され、前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の該切れ目における接線方向に対して、70°〜80°傾いて形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、熱膨張係数の大きい金属からなる円筒形バッキングチューブを用い
た円筒形スパッタリングターゲットにおいて、製造中や保管中およびスパッタリング中に
発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減できる長尺の円筒形スパッタリング
ターゲットを提供することができる。また、このようにすれば、円筒形のターゲット材を接合する接合層が、円筒形スパッタリングターゲットの外周面上に露出する面積が減少するため、不具合が発生するリスクを低減できる。
このとき、本発明の一態様では、前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の外周面上の切れ目の方向と円筒形のターゲット材の回転軸と平行な外周面上の直線との傾きが0°〜30°傾いて形成されていても良い。
このようにすれば、スパッタリングターゲットは、回転しながらスパッタリングを行うため、切れ目が回転軸と平行に形成されている場合と比べ、瞬間的な同時期にターゲット材が無い面積が減少するため、不具合が発生するリスクを低減できる。
このとき、本発明の一態様では、前記切れ目の外周面側のエッジ部は、R面取又はC面取加工がされていても良い。
このようにすれば、取扱い時のエッジ部の割れや欠けを防止できる。
このとき、本発明の一態様では、前記バッキングチューブは、銅又は銅合金としてもよい。
このようにすれば、特に熱膨張係数の大きい金属からなる円筒形バッキングチューブを用いた円筒形スパッタリングターゲットにおいて、製造中や保管中およびスパッタリング中に発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減できる長尺の円筒形スパッタリングターゲットを提供することができる。
このとき、本発明の一態様では、複数の円筒形のターゲット材が連なって設けられ、前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の円周方向にずらすように配置されていても良い。
このようにすれば、瞬間的な同時期にターゲット材が無い面積が減少するため、不具合が発生するリスクをさらに低減できる。
このとき、本発明の一態様では、前記切れ目は、前記ターゲット材に複数設けてもよい。
このようにすれば、ターゲット材のひび割れをさらに低減できる。また、円筒形バッキングチューブに円筒形のターゲット材を通す必要がなく、円筒形バッキングチューブの側面から円筒形のターゲット材を貼り付けることになるので、取扱いや製造が容易になる。
また、本発明の他の態様では、スパッタリングターゲットを構成する円筒形の焼結体であって、前記円筒形の焼結体の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目が形成され、前記切れ目は、前記円筒形の焼結体の該切れ目における接線方向に対して、70°〜80°傾いて形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、熱膨張係数の大きい金属からなる円筒形バッキングチューブを用いた円筒形スパッタリングターゲットにおいて、製造中や保管中およびスパッタリング中に発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減できる長尺の円筒形スパッタリングターゲットを提供することができる。
また、本発明の他の態様では、円筒形のバッキングチューブの外周面に単数又は複数の円筒形ターゲット材を接合してなる円筒形スパッタリングターゲットの製造方法であって、前記円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目を形成する切れ目形成工程と、前記円筒形のターゲット材の中空部に前記バッキングチューブを同軸に配置する配置工程と、前記円筒形のターゲット材と前記バッキングチューブとの間隙に接合材を充填する充填工程と、前記円筒形のターゲット材と前記円筒形のバッキングチューブとを放冷させることにより前記接合材を冷却し、前記円筒形のターゲット材と前記円筒形のバッキングチューブとを接合する接合工程とを有し、前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の該切れ目における接線方向に対して、70°〜80°傾いて形成されることを特徴とする。
このようにすれば、熱膨張係数の大きい金属からなる円筒形バッキングチューブを用いた円筒形スパッタリングターゲットにおいて、製造中や保管中およびスパッタリング中に発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減できる長尺の円筒形スパッタリングターゲットを提供することができる。
本発明によれば、製造中や保管中およびスパッタリング中に発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減できる長尺の円筒形スパッタリングターゲットを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットの一例を示す側面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットに備わるターゲット材の一例を示す側面図である。 図3(A)、(B)及び(C)は、図2のA−A断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る円筒形スパッタリングターゲットの製造方法の概略を示す工程図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。より具体的に、円筒形のターゲット材の全体の大きさや、これを構成する複数のターゲット材の個数にかかわらず適用することが可能である。ただし、以下では、複数個のターゲット材(外径:151mm、内径:135mm、全長:200mm)を、単一のバッキングチューブ(外径:133mm、全長:1m)の軸方向に並列して接合することにより得られる、円筒形スパッタリングターゲットを例に挙げて説明する。
本発明者は上記問題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、熱膨張係数が小さく硬く脆い円筒形セラミック焼結体と熱膨張係数の大きい金属からなる円筒形バッキングチューブとをIn系低融点はんだにより接合形成した円筒形スパッタリングターゲットにおいてIn系低融点はんだの塑性変形だけでは円筒形セラミックスのひび割れ防止効果として不十分であることを見出した。より具体的には銅または銅合金からなる円筒形バッキングチューブとSn、Znの少なくとも一つを主成分とする円筒形ターゲット材との組み合わせにおいては、はんだ厚みが0.5mm以上1.5mm以下である主成分がインジウムである低融点はんだの塑性変形だけでは熱膨張差による歪を緩和できないため、製造中や保管中およびスパッタリング中にターゲット材のひび割れが起こることを見出した。
このような円筒形ターゲット材のひび割れ問題を解決するためには円筒形ターゲット材に対して円筒形バッキングチューブから受ける応力歪を緩和することが有効である。そこで本発明者は円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目が形成されることで応力歪を緩和することができるとの知見を得た。本発明は、この知見に基づき完成されたものである。
[スパッタリングターゲット]
まず、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットの構成について、図面を使用しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットの一例を示す側面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100は、円筒形のバッキングチューブ102と上記円筒形のバッキングチューブ102の側面に接合された単数又は複数の円筒形のターゲット材101a、101b、101c、101dとを備える。また、ターゲット材101a、101b、101c、101dは接合層(不図示)を介して上記バッキングチューブ102と接続される。そして、上記円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に、それぞれのターゲット材に切れ目103a、103b、103c、103dが形成されることを特徴とする。
(1)バッキングチューブ
(材質等)
本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100に備わるバッキングチューブ102の材質は、円筒形スパッタリングターゲット100の使用時に、接合材が劣化及び溶融しない十分な冷却効率を確保できる熱伝導性があり、スパッタリング時に、放電可能な電気伝導性や、円筒形スパッタリングターゲット100の支持が可能な強度等を備えているものであればよい。例えば、オーステナイト系ステンレス、チタン又はチタン合金、である。また、コスト面、製造効率面から特に銅又は銅合金を使用する要求が増加している。
本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100に備わるバッキングチューブ102は、その大きさによって限定されることはないが、全長がターゲット材よりも長く、外径が100mm以上200mm以下であり、内径が80mm以上180mm以下である。また、厚みは4mm以上20mm以下であり、好ましくは4mm以上10mm以下である。
(2)ターゲット材
(材質)
本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100に備わるターゲット材101a、101b、101c、101dは、上述したように接合層(不図示)を介して上記バッキングチューブ102と接続される。本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100に備わるターゲット材101a、101b、101c、101dとして使用することができる円筒形セラミックス焼結体は、特に限定されることはない。例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)およびチタン(Ti)から選択される少なくとも1種を主成分とする酸化物などから構成される円筒形セラミックス焼結体を使用することができる。
(円筒形のターゲット材に形成された切れ目)
本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100は、円筒形のターゲット材101a、101b、101c、101dの外周面の一端から他端に向けて回転軸L1方向に切れ目103a、103b、103c、103dが形成される。切れ目を設けることによって、上述したように、特に熱膨張係数の差が大きい銅又は銅合金と上記のセラミックスからなる場合にも、製造中や保管中およびスパッタリング中に発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減することができる。
上記の切れ目103a、103b、103c、103dの幅は0.3mm以上1.5mm以下とすることが好ましい。切れ目103a、103b、103c、103dの幅が0.3mm未満では銅または銅合金からなる円筒形のバッキングチューブの場合にIn系低融点はんだが固化してから室温にもどる際の熱収縮によりターゲット材101a、101b、101c、101dの切れ目部分の対向する面同士が接触し分割ターゲット材の欠けの発生原因となる。一方、切れ目103a、103b、103c、103dの幅が1.5mmを超えると、バッキングチューブ102とターゲット材101a、101b、101c、101dを接続するための接合層の表面積が増加するため、接合層の物質がこのスパッタリングターゲットによって形成される膜中に巻き込まれてしまったり、ターゲット表面に存在する突起部に電流が集中しアーキングやノジュールが発生しやすくなったりする。
よって、切れ目103a、103b、103c、103dの幅は、0.3mm以上1.5mm以下とすることにより、分割ターゲット材のひび割れやエッジ部の欠けおよびスパッタリング中のアーキング等の生産性低下の影響を回避することが可能となる。さらに好ましくは、0.5mm以上1.0mm以下である。
ここでは、上述したようにターゲット材が外径151mmを例に説明しているが、切れ目103a、103b、103c、103dの幅は、ターゲット材101a、101b、101c、101dの径に応じて変更される。すなわち、上記の切れ目の幅は、径の増加率又は減少率の分だけ、増加又は減少する。
次に、図2を用いて、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100を詳しく説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットに備わるターゲット材の一例を示す側面図である。
円筒形のターゲット材101の外周面の一端から他端に向けて回転軸L1方向に形成された切れ目103は、円筒形のターゲット材101の回転軸L1方向と平行でも良い。また図2に示すように、外周面に直線的な切れ目を入れる場合においては、切れ目103は円筒形のターゲット材101の外周面上の切れ目の方向L2と円筒形のターゲット材101の回転軸L1と平行な外周面上の直線との傾き(外周面上の切れ目の傾き)θ1を形成しても良い。この外周面上の切れ目の傾きθ1は、0°〜30°とすることが好ましい。さらに好ましは、10°〜20°である。なお0°は、回転軸L1方向と平行となる。
円筒形スパッタリングターゲット100は、ターゲット材101を回転させながらスパッタリングを行う。このため、上記切れ目103がターゲット材101の回転軸L1方向と平行に形成されている場合、瞬間的に同時期にターゲット材のない部分でスパッタリングが行われるためより不具合が発生する可能性がある。そこで、この切れ目103を10°〜20°傾けることで、同時期にスパッタリングされる時の、切れ目から露出される接合層の表面積を減らし、不具合の発生を抑制することができる。
また、同様の理由で、ターゲット材が複数ある場合は、ターゲット材101a、101b、101c、101dの個々の切れ目についても、図1のように切れ目の位置をターゲット材の円周方向にずらし、この切れ目が重ならないよう様に配置することがよい。
可能であれば、複数あるターゲット101a、101b、101c、101dをずらして周方向に1回転するように配置するとよい。例えば、ターゲット材を4個使用してスパッタリングターゲットを作製する場合、ターゲット材の切れ目の位置を円周方向に90°毎にずらして配置するとよい。
次に図3(A)及び(B)を用いて、ターゲット材に形成される切れ目をさらに詳しく説明する。図3(A)及び(B)は、図2のA−A断面図である。図3(A)のように、バッキングチューブ102の側面に接合層105により接合されたターゲット材101に形成される切れ目103は、ターゲット材101の回転軸L1から外周面に対して垂直に形成される。つまり、切れ目103は、ターゲット材の回転軸L1から、ターゲット材101の外周である円の接線L3と垂直に形成される。
ターゲット材101に切れ目103を形成すると外形表面側にエッジ部101gが形成される。図3(A)のように、切れ目103がターゲット材101の回転軸L1から外周面に対して垂直に形成された場合、このエッジ部101gは、90°の角度を有する。このエッジ部101gは、スパッタリング時にこのエッジ部101gに電流が集中してアーキングが発生し、ノジュールの発生原因となることがある。そこで、このエッジ部101gにはR面取加工またはC面取加工が施されていることが好ましい。加工の大きさは、1mm以下、好ましくは0.5mm〜0.2mmの範囲である。また、このエッジ部101gにR面取加工またはC面取加工を施すことは、取扱い時のエッジ部の欠けや割れ等も防止できるので有効である。
また、図3(B)に示すように、切れ目153はターゲット材151の切れ目153における接線L3と切れ目の方向L5との傾きθ2を形成しても良い。この時、切れ目153は円筒形のターゲット材151の回転軸から外周面の方向、つまり切れ目153における接線L3方向に対して、70°〜80°(θ2=70°〜80°)傾いて形成されていることが好ましい。上記のように傾けることで、ターゲット材151を側面から見たときに、ターゲット材151を接合する接合層155が露出する表面積を減少させることができる。そうすることで、露出した接合層155の物質が、このスパッタリングターゲットによって形成される膜中に巻き込まれてしまったり、ターゲット表面に存在する突起部に電流が集中しアーキングやノジュールが発生しやすくなるのを防止できる。
以上では、ターゲット材1個に対し、切れ目が1ヶ所形成する場合を説明してきたが、ターゲット材1個に対し、複数の切れ目を形成してもよい。この場合、切れ目はターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に複数形成される。そうすることで、バッキングチューブとターゲット材との熱膨張率の差がさらに大きい場合にでも、製造中や保管中およびスパッタリング中に発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減でき、長尺の円筒形スパッタリングターゲットを提供することができる。なお切れ目は直線でも曲線でも良い。
(円筒形のターゲット材に形成された切れ目のエッジ部の段差)
次に、図3(C)を用いて円筒形のターゲット材に形成された切れ目のエッジ部の段差について説明する。図3(C)は、図2のA−A断面図である。図3(C)に示すように、ターゲット材201に形成された切れ目203のエッジ部201gと反対側の201g‘との段差H1は1.0mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.4mm以下である。エッジ部の段差H1が1.0mmを超えると、複数のターゲット材のエッジ部に電流が集中してアーキングが発生し、ノジュールの発生原因となるからである。
この場合においても、複数のターゲット材のエッジ部は、R面取加工またはC面取加工がされていることが好ましい。これにより、複数のターゲット材の接合時に、エッジ部が欠けることを効果的に防止することができる。
[焼結体]
本発明の一実施形態に係る焼結体は、スパッタリングターゲットを構成する円筒形の焼結体であって、上記円筒形の焼結体の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目が形成されることを特徴とする。
[円筒形スパッタリングターゲットの製造方法]
次に、円筒形スパッタリングターゲットの製造方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る円筒形スパッタリングターゲットの製造方法の概略を示す工程図である。本発明の一実施形態に係る円筒形スパッタリングターゲットの製造方法は、図4に示すように、切れ目形成工程S1と配置工程S2と充填工程S3と接合工程S4を有する。
切れ目形成工程S1は、焼結され所定の寸法に加工された円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目を形成する工程である。配置工程S2は、上記円筒形のターゲット材の中空部に前記バッキングチューブを同軸に配置する工程である。充填工程S3は、上記円筒形のターゲット材と前記バッキングチューブとの間隙に接合材を充填する工程である。接合工程S4は、円筒形のターゲット材と前記円筒形のバッキングチューブとを放冷させることにより前記接合材を冷却し、前記円筒形のターゲット材と前記円筒形のバッキングチューブとを接合する工程である。
なお、各工程S1〜S4以外、具体的には、CIPにより円筒形セラミックス成形体を成形する工程や、円筒形セラミックス成形体を焼成する工程などは、従来技術と同様であるため、その説明は割愛する。また、上述した円筒形スパッタリングターゲットと重複する記載も省略する。以下工程ごとに説明する。
(1)切れ目形成工程
切れ目形成工程S1は、焼結され所定の寸法に加工された円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目を形成する工程である。このとき、切れ目の幅は、0.3mm以上1.5mm以下とすることが好ましい。また、円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に形成する切れ目は、円筒形のターゲット材の回転軸方向と平行でも良い。また、切れ目は円筒形のターゲット材の回転軸方向と切れ目の方向との傾きを形成しても良い。この時、切れ目は、円筒形のターゲット材の回転軸方向に対して0°〜30°傾いて形成することが好ましい。さらに好ましくは、10°〜20°である。
切れ目はターゲット材の接線と切れ目の方向との傾きを形成しても良い。この時、切れ目は円筒形のターゲット材の回転軸から外周面の方向に対して、70°〜80°傾いて形成されていることが好ましい。さらに円筒形のターゲット材に形成する切れ目のエッジ部の段差が1.0mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.4mm以下である。また、切れ目のエッジ部は、R面取又はC面取り加工されることが好ましい。また、切れ目は1つのターゲット材に対し、複数形成しても良い。複数の切れ目を形成すると、ターゲット材が分かれ、後述する配置工程での配置作業において、ターゲット材を挿入するのではなく、バッキングチューブ側面から貼り付ける様になるので、作業面が容易になり、挿入時の割れ防止も可能となる。また、さらなる熱膨張係数の差が大きい材質にも対応可能である。この時、接合材は、導電性を有する接着剤等を使用してもよい。
切れ目の加工方法としては、円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目を加工することができれば、特に限定されることはない。例えば、薄いカッティング砥石で切断するスライシングマシン、ワイヤーによるワイヤ・ソー等で加工できる。切れ目の幅を変更する場合には、加工刃等を変え、対応すればよい。また、切れ目を円筒形のターゲット材の回転軸方向と切れ目の方向とで傾きを形成させたい場合には、円筒形のターゲット材の回転軸方向に対し、傾きを設けて加工すればよい。さらに切れ目を円筒形のターゲット材の回転軸から外周面に対して傾いて形成させたい場合には、円筒形のターゲット材を円周方向にずらし、加工刃等の侵入角度を変更して加工すればよい。
(2)配置工程
配置工程S2は、円筒形セラミックス焼結体からなるターゲット材の中空部にバッキングチューブを同軸に配置する工程である。まず、ターゲット材として、円筒形セラミックス焼結体を用意する。焼結体は、1個でも良いし複数個でもよい。また、ターゲット材の内周面に対して、めっき処理などによりニッケルや銅からなる下地層を形成したり、超音波はんだごてを用いて、接合材を接合面になじませる濡らし作業を行ったりといった前処理を行なってもよい。円筒形セラミックス焼結体の接合面となる内周面以外の部分に余分な接合材が付着することを防止するため、耐熱性のマスキングテープでマスキングを行ってもよい。
また、ターゲット材は上述したように切れ目が形成している。よって、下記で説明する充填工程での充填時に、切れ目から充填剤が漏れるのを防止するため、切れ目にシリコーンゴム等の耐熱シートを挟み込む。このときのシリコーンゴム等の耐熱シートの厚み、幅は、次工程の充填工程で接合材が漏れない程度の厚み、幅にすればよい。好ましくは、耐熱シートの厚みは、ターゲット材の厚みと同等である。幅は、切れ目の幅と同等もしくは若干厚く設定する。例えば、シリコーンゴムであれば、切れ目の幅より0.1mmから0.3mm厚くすることが好ましい。
バッキングチューブは、X−Yステージによる位置決め可能な架台等に一方の端を固定して設置する。このバッキングチューブに軸方向の端部を耐熱Oリングによって封止し、その後、バッキングチューブにターゲット材の中空部に同軸に配置するとともに、この封止側が下方となるように、ターゲット材とバッキングチューブを直立させる。
そして、バッキングチューブを、ターゲット材の中空部に同軸に、即ち、これらの中心軸が一致した状態で配置する。両者の中心軸がずれた状態で接合すると、得られる円筒形スパッタリングターゲットの外径の中心と内径の中心がずれてしまう。その結果、スパッタリング時の熱負荷により、円筒形スパッタリングターゲットが不均一に膨張し、ターゲット材に割れや剥離が生じるおそれがある。
円筒形セラミックス焼結体からなるターゲット材の中空部にバッキングチューブを同軸に配置するため、例えば、少なくとも1つの固定具をクリアランスに取り付けることにより、クリアランスを維持することが好ましい。これにより、ターゲット材とバッキングチューブのクリアランスの幅を維持することができる。この結果、スパッタリング時の熱負荷によって、ターゲット材に割れや剥離等の不具合が生じることのない円筒形スパッタリ
ングターゲットを得ることができる。
さらに、ターゲット材とバッキングチューブの組み込みでは、複数の固定具をターゲット材の内周面とバッキングチューブの外周面とのクリアランスに等間隔取り付けることが特に好ましい。これにより、クリアランスの幅をより確実に維持することができる。
固定具としては、例えばクリアランスの幅と同等のスペーサーやくさびやシックネスゲージを用いることができる。また、スペーサーは、耐熱性を有する材料であればよく、例えば、Cu材やテフロン(登録商標)などが挙げられる。
さらに、バッキングチューブの同軸上には、ターゲット材が1つ配置されるだけでなく、バッキングチューブの同軸上には、ターゲット材が複数連結されていてもよい。例えば、ターゲット材と隣り合うターゲット材との間には、シリコーンパッキンを介在することでターゲット材が一定間隔で配列されるので、生産効率を向上させることができる。
なお、バッキングチューブを、ターゲット材の中空部に同軸に配置する方法としては、特に制限されることなく、公知の手段を用いることができる。例えば、バッキングチューブを上下左右に微調整できるように多軸ステージを用いて位置決めをすることにより、バッキングチューブを、ターゲット材の中空部に同軸に配置することができる。
(3)充填工程
充填工程S3は、ターゲット材とバッキングチューブとの間隙に接合材を充填する工程である。まず、ターゲット材の外周面を加熱する。加熱の方法は特に限定しないが、バンドヒータ等を用いると取り付け、取外しが簡易である。加熱温度は、予め、その表面温度が接合材の融点以上、好ましくは融点より10℃〜30℃高い温度に設定する。ターゲット材およびバッキングチューブの表面温度が接合材の融点以下では、接合材がターゲット材またはバッキングチューブに接触すると同時に硬化し、十分な量の接合材を流し込むことが困難となる。
その後、上方のクリアランスの開口側から、所定量の溶融した接合材を注入する。接合層に、上述のバッキングチューブと同様にして、上述の熱伝導性等の特性を持たせるためには、接合層の形成に用いる接合材を選定する必要がある。例えば、インジウムを主成分とする接合材は、スズを主成分とする接合材に比べて凝固時の硬度が低い。そのため、インジウムを主成分とする接合材を用いて接合層を形成する場合には、溶融した接合材を注入してから固化するまでの過程において、ターゲット材の割れ等の不具合を効果的に防止することができる。
インジウムを主成分とする接合材を用いて接合層を形成する場合には、インジウムを50質量%以上、好ましくは70質量%〜100質量%、より好ましくは80質量%〜100質量%含有するものを使用する必要がある。特に、インジウムを80質量%以上、好ましくは90質量%〜100質量%含有する低融点接合材を、接合材として用いることが好ましい。このような低融点接合材であれば、原子又は分子間の結合が弱いため軟らかく、冷却固化後の硬度が適切な範囲にあるため、作業性に優れている。また、低融点接合材は、作業性に優れるだけでなく、溶融時の流動性が高いため、巣(鬆)やひけが極めて少ない、均一な接合層を容易に形成することができる。
例えば、インジウムの含有量が100質量%であるインジウム金属を接合材として用いた場合には、インジウム金属の熱伝導率が81.6W/m・Kと熱伝導性に優れることから好ましい。また、インジウム金属は、液化して固化することによりターゲット材とバッキングチューブとを接合する際に、これらを密着性よく接合できることから好ましい。
一方、インジウムの含有量が50質量%未満では、バッキングチューブ側との濡れ性が低いため、そのような接合材を加熱して溶融した接合材を、ターゲット材とバッキングチューブとの間隙に、高い充填性をもって隙間なく注入することができない。
接合材としては、上述したインジウム系低融点接合材の他に、インジウム粉末を含有する樹脂ペースト、導電性樹脂等を用いることができるが、導電性や展延性の観点から、インジウム系低融点接合材が好ましく、融点が130℃〜160℃のインジウム系低融点接合材がより好ましい。なお、インジウム以外の成分については、特に制限されることはなく、例えば、スズ、アンチモン(Sb)、亜鉛等を必要に応じて含有することができる。インジウム以外の成分の含有量は、50質量%未満であり、30質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましい。
なお、長尺の円筒形スパッタリングターゲットを得る手段としては、特に限定されることはなく、公知の手段を用いることができる。たとえば、予め、複数のターゲット材を一定間隔で固定することで複数のターゲット材を構成し、この中空部にバッキングチューブを挿入することで、長尺の円筒形スパッタリングターゲットを得てもよい。また、初めに、長尺のバッキングチューブに第1のターゲット材を挿入して接合させた後、環状テフロンシートなどのスペンサとともに第2のターゲット材を挿入して接合させ、以後、同様の作業を繰り返すことで、長尺の円筒形スパッタリングターゲットを得てもよい。
(4)接合工程
接合工程S4は、ターゲット材とバッキングチューブとを放冷させることにより接合材を冷却し、ターゲット材とバッキングチューブとを接合する工程である。
ターゲット材の表面に熱をかけるのを停止し、室温(20℃)まで冷却する。次いで、接合材が完全に固化して接合層が形成されたことを確認した後、使用したマスキングテープやOリング等を取り除き、円筒形スパッタリングターゲットが得られる。最後に、切れ目から充填剤が漏れることを防止したシリコーンゴム等の耐熱シートを除去する。
次に、本発明の一実施形態に係る円筒形スパッタリングターゲットについて、実施例により詳しく説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
複数のターゲット材を作製するため、外径が155mm、内径が131mm、全長(軸方向の長さ)が204mmのSnOとZnOからなる円筒形セラミックス焼結体を4本用意した。はじめに、これらの円筒形セラミックス焼結体を平面研削盤に設置し、全長が201mmとなるように、その両端面を、番手#140の砥石を用いて粗研削を2回ずつ行った。
次に、粗研削後の円筒形セラミックス焼結体を円筒研削盤に設置し、外径が151mmとなるように、その外周面(スパッタリング面)を、番手#140の砥石を用いて研削した。続いて、この円筒形セラミックス焼結体を内面研削盤に設置し、内径が135mmとなるように、その内周面を、番手#170の砥石を用いて研削した。さらに、この円筒形セラミックス焼結体を、再度、平面研削盤に設置し、全長を200mmに仕上げるため、番手#140の砥石を用いて両端面を0.5mmずつ研削する仕上げ研削を行うとともに、この砥石を用いて、両端面に対してゼロ研削を2回ずつ行い、複数のターゲット材を得た。
最後に、円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目を形成するため、刃厚0.9mmのスライシングマシンにて形成した。この時、切れ目は、円筒形のターゲット材の外周面上の切れ目の方向と円筒形のターゲット材の回転軸と平行な外周面上の直線との傾きを15°として形成した。また、切れ目は、円筒形のターゲット材の接線方向に対して、70°傾いて形成した。複数のターゲット材のそれぞれの外周面と端面にマスキングテープを貼りつけ、さらに切れ目に厚さ1.2mmのシリコーンゴムシートを挟み込んだ後、超音波はんだごてを用いてその内周面にインジウム系はんだを塗布した。
次に、外径133mm、内径123mm、長さ1mの銅合金材のバッキングチューブを用意した。そしてバッキングチューブを直立させ、これに1個のターゲット材を挿入し、ターゲット材とバッキングチューブを加熱した。ターゲット材とバッキングチューブの温度が160℃を超えたところで、これらの間隙に溶融したインジウム系はんだを所定量流し込んだ。なお、このインジウム系はんだは、ターゲット材の内周面に塗布したものと同様である。この状態で室温まで徐冷し、インジウム系はんだが固化したことを確認した後、端面のマスキングテープを剥がした。
続いて、円筒形のバッキングチューブに、厚さが0.5mm、外径が153mm、内径が135mmの環状テフロンシートを挿入し、ターゲット材の端面に密着させた後、ターゲット材を挿入し、環状テフロンシートに密着させた。上記ターゲット材の場合と同様に、ターゲット材とバッキングチューブを加熱し、これらの温度が160℃を超えたところで、溶融したインジウム系はんだを所定量流し込んだ。この状態で室温まで徐冷し、インジウム系はんだが固化したことを確認した後、端面のマスキングテープを剥がした。
以降、同様の作業を繰り返し、ターゲット材をバッキングチューブに接合させた後、複数のターゲット材の間にそれぞれ挿入された環状テフロンシートと当該隙間に挟み込んだシリコンゴムシートを取り外すことで、スパッタリング面の全長が約801.5mmの円筒形スパッタリングターゲットを得た。この時、切れ目は、円筒形のターゲット材の円周方向に90°毎にずらすように配置させた。
上述のようにして得られた円筒形スパッタリングターゲットをマグネトロン型回転カソードスパッタリング装置に取り付け、0.7Paのアルゴン雰囲気中、パワー密度15kW/mの条件でスパッタリングを実施し、3時間連続放電したがこの間アーキングが発生することはなかった。また、このときの切れ目の状態を目視で観察した結果、切れ目部にノジュールが発生していないことが確認された。なお、スパッタリング中のアーキングについては、高速アークおよび低速アークの検知時間を0とし、スパッタリングを開始してから1時間経過した後の10分間当たりのアーキング発生回数を目視カウントすることにより行ったものである。
(比較例1)
円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目を形成しないこと以外は、実施例と同様にして、円筒形スパッタリングターゲットを得た。このようにして得られた円筒形スパッタリングターゲットに対して実施例と同様の評価を行おうとしたところSnOとZnOを成分とする円筒形のターゲット材にひび割れが発生した。よって、スパッタリング実験に至ることができなかった。
原因を調査したところ円筒形バッキングチューブの真円度が低下していることが判明した。室温で保管していた円筒形バッキングチューブの真円度はターゲット材のひび割れが進展するにつれて約0.9からもとの真円度1.0に回復したのである。比較例によれば、熱膨張係数の異なる円筒形バッキングチューブと、円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目のない円筒形のターゲット材とをインジウム系低融点はんだで接合した構成ではひび割れが発生し得るとの問題が明確となった。
以上より、円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目が形成されることで、ノジュールを発生させることなく、製造中や保管中およびスパッタリング中に発生してしまうターゲット材のひび割れを大幅に低減できる長尺の円筒形スパッタリングターゲットを提供することができた。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またスパッタリングターゲット、焼結体及び円筒形スパッタリングターゲットの製造方法の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
100 150 200 円筒形スパッタリングターゲット、101 101a 101b 101c 101d 151 201 円筒形のターゲット材、101g 151g 201g 201g‘ 切れ目のエッジ部、102 円筒形のバッキングチューブ、103 103a 103b 103c 103d 切れ目、105 155、205接合層、
L1 円筒形のターゲット材の回転軸、L2 切れ目の方向、L3 ターゲット材の円の接線、L4 切れ目の方向、L5 切れ目の方向、θ1 θ2 傾き(角度)、H1 エッジ部の段差、
S1 切れ目形成工程、S2 配置工程、S3 充填工程、S4 接合工程

Claims (8)

  1. 焼結体から構成される円筒形スパッタリングターゲットであって、
    円筒形のバッキングチューブと、
    前記円筒形のバッキングチューブの側面に接合された単数又は複数の円筒形のターゲット材とを備え、
    前記円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目が形成され、
    前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の該切れ目における接線方向に対して、70°〜80°傾いて形成されていることを特徴とする円筒形スパッタリングターゲット。
  2. 前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の外周面上の切れ目の方向と円筒形のターゲット材の回転軸と平行な外周面上の直線との傾きが0°〜30°傾いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の円筒形スパッタリングターゲット。
  3. 前記切れ目の外周面側のエッジ部は、R面取又はC面取り加工がされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の円筒形スパッタリングターゲット。
  4. 前記バッキングチューブは、銅又は銅合金からなることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の円筒形スパッタリングターゲット。
  5. 複数の円筒形のターゲット材が連なって設けられ、
    前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の円周方向にずらすように配置されていることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の円筒形スパッタリングターゲット。
  6. 前記切れ目は、前記ターゲット材に複数設けられることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の円筒形スパッタリングターゲット。
  7. スパッタリングターゲットを構成する円筒形の焼結体であって、
    前記円筒形の焼結体の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目が形成され、
    前記切れ目は、前記円筒形の焼結体の該切れ目における接線方向に対して、70°〜80°傾いて形成されていることを特徴とする焼結体。
  8. 円筒形のバッキングチューブの外周面に単数又は複数の円筒形ターゲット材を接合してなる円筒形スパッタリングターゲットの製造方法であって、
    前記円筒形のターゲット材の外周面の一端から他端に向けて回転軸方向に切れ目を形成する切れ目形成工程と、
    前記円筒形のターゲット材の中空部に前記バッキングチューブを同軸に配置する配置工程と、
    前記円筒形のターゲット材と前記バッキングチューブとの間隙に接合材を充填する充填工程と、
    前記円筒形のターゲット材と前記円筒形のバッキングチューブとを放冷させることにより前記接合材を冷却し、前記円筒形のターゲット材と前記円筒形のバッキングチューブとを接合する接合工程とを有し、
    前記切れ目は、前記円筒形のターゲット材の該切れ目における接線方向に対して、70°〜80°傾いて形成されることを特徴とする円筒形スパッタリングターゲットの製造方法。
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