JP2016155891A - ビナフタレン骨格を有する精製エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents

ビナフタレン骨格を有する精製エポキシ樹脂の製造方法 Download PDF

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英樹 森尾
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芳範 河村
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Katsuhiro Fujii
克宏 藤井
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Abstract

【課題】ビナフタレン骨格を有し、さらに溶融粘度が低く、室温でも液体であって、できるだけ全塩素量を低減させたエポキシ樹脂を提供すること。【解決手段】下記式(1)で示す構造を有するビナフタレン骨格含有エポキシ樹脂は溶融粘度が低く、室温でも液体で、作業性と流動性に優れるものであり、更には、下記式(1)で示す構造を有するビナフタレン骨格含有エポキシ樹脂は、該エポキシ樹脂、溶媒及び活性炭を混合し撹拌するという容易な方法で全塩素量の低減が可能であることを見出した。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、ビナフタレン骨格を有する精製エポキシ樹脂の製造方法に関する。
エポキシ樹脂は、一般的に、種々の硬化剤で硬化させることにより、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となる。その為に、エポキシ樹脂は、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。
その中で、ビナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、高屈折、耐熱性、耐水性、低粘性に優れたエポキシ樹脂として、半導体封止材料分野などへの利用に活発な研究開発が行われている。特に半導体封止材分野は、表面実装時の耐ハンダクラック性の向上のため、フィラーを高充填化する配合技術が主流であり、それには、低溶融粘度のエポキシ樹脂が必要とされている。(例えば特許文献1参照)
一方、ビナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂として、例えば、特許文献1及び特許文献2には、下記構造式(2):
Figure 2016155891
で表わされるビナフトールのジグリシジルエーテルが開示されている。しかし、特許文献1には実施例1〜3に記載される上記式(2)のエポキシ樹脂の軟化点が61〜79℃であることが、同様に、特許文献2には実施例に記載の上記式(2)のエポキシ樹脂の軟化点が59〜60℃であることが記載されており、これらを固体として取り扱うとしても軟化点が低く、保管条件によりブロッキングするなどハンドリング性に難があった。一方で液体として取扱う為には溶解作業が必要になるため、使用用途が限定されるといった問題があった。
また近年、電気・電子分野において使用されるエポキシ樹脂としては、耐腐食性や電気的信頼性の観点から全塩素量が少ないエポキシ樹脂が望まれており(例えば特許文献3、特許文献4)、上述した特徴を有したビナフタレン骨格を有したエポキシ樹脂であって、できるだけ全塩素量を低減させたエポキシ樹脂が求められていた。
特開平6−184131号公報 特開2009−29296号公報 特開2015−17165号公報 特開平10−36484号公報
本発明の目的は、ビナフタレン骨格を有し、さらに溶融粘度が低く、室温でも液体であって、できるだけ全塩素量を低減させたエポキシ樹脂を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記式(1)で示す構造を有するビナフタレン骨格含有エポキシ樹脂は溶融粘度が低く、室温でも液体で、作業性と流動性に優れるものであり、更には、下記式(1)で示す構造を有するビナフタレン骨格含有エポキシ樹脂は、該エポキシ樹脂、溶媒及び活性炭を混合し撹拌するという容易な方法で全塩素量の低減が可能であることを見出した。具体的には本発明は以下のものを含む。
[1]以下式(1):
Figure 2016155891

(式中、nは0または1以上の整数を表す)
で表される粗エポキシ樹脂、溶媒及び活性炭を混合する工程を含む上記式(1)で表される精製エポキシ樹脂の製造方法。
[2]
活性炭の使用量が上記式(1)で表される粗エポキシ樹脂100重量部に対して3重量部〜20重量部である[1]記載の精製エポキシ樹脂の製造方法。
[3]
全塩素量が600ppm以下である上記式(1)で表される精製エポキシ樹脂。
本発明によれば、ビナフタレン骨格を有し、室温でも液体である、作業性と流動性に優れた、新規なビナフタレン骨格含有エポキシ樹脂であって、全塩素量が低減されたエポキシ樹脂及びその製造方法を提供することが可能となる。
また、本発明のビナフタレン骨格含有エポキシ樹脂は高屈折率、高アッベ数を示すことから新規な光学系材料として好適に利用されると同時に、全塩素量が低い(例えば600ppm以下である)ので、電気・電子分野においても好適に使用される。
式(1)で表されるジエポキシビナフタレン樹脂(1)の13C−NMR(CDCl)チャートである。 式(1)で表されるジエポキシビナフタレン樹脂(1)の質量分析チャートである。
<粗ジエポキシビナフタレン樹脂の製造方法>
以下式(1)
Figure 2016155891
(式中nは0または1以上の整数である。)
で表わされる粗ジエポキシビナフタレン樹脂は、例えば、アルカリ金属水酸化物存在下、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンとエピハロヒドリンを反応させることにより得られる。
原料として使用する2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンは、市販品を用いてもよく、慣用の方法、例えば、1,1−ビ−2−ナフトールと所定量のエチレンカーボネートまたはエチレンオキサイドとを、不活性溶媒及びアルカリ触媒存在下反応させ2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンとしたものをそのまま用いてもよく、また、前記反応終了後の反応生成物から、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して精製したものを用いてもよい。本発明において原料として使用する2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンの純度は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。
粗ジエポキシビナフタレン樹脂を製造する際に使用するアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示され、その使用量は2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレン1モルに対し通常1.6〜8.0モル、好ましくは3.0〜6.0モルである。アルカリ金属水酸化物は固体であっても水溶液であっても良い。
粗ジエポキシビナフタレン樹脂を製造する際に使用するエピハロヒドリンとしては、具体的には、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等が例示され、その使用量は2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレン1モルに対し通常4〜60モル、好ましくは6〜40モルである。なお、上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂の繰り返し単位数であるnの値(n数)は、エピハロヒドリンの使用量により調整が可能である。すなわち、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンに対してエピハロヒドリンを大過剰に使用すると、nが0の化合物が主成分として得られ、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンに対してエピハロヒドリンの使用量を下げていけば、nが0より大きい化合物の割合を高くすることが可能である。
2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンとエピハロヒドリンとを反応させる際の反応方法としては、例えば、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンとエピハロヒドリンとを反応容器に投入し、溶解混合させた後、20〜120℃、好ましくは40〜90℃でアルカリ金属水酸化物を添加し、その後、20〜120℃、好ましくは40〜90℃で1〜24時間反応させることにより上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂を得ることが出来る。なお、アルカリ金属水酸化物は一括添加しても良いが、所定の反応温度を維持する為、一定時間、例えば1〜10時間かけて滴下等の方法により連続的に添加すること、または、必要量を分割添加することが好ましい。
前記反応を実施する際、アルカリ金属水酸化物の水溶液を使用する場合は、該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加する一方で、反応系を減圧下、または常圧下で還流状態とし、水及び未反応のエピハロヒドリンを留出させた後、留出液を分液し、水は系外へ除去し、エピハロヒドリンは反応系内へと戻すことが好ましい。
前記反応を実施する際、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を用いることが、反応性向上の観点から好ましい。4級アンモニウム塩を使用する場合の使用量は2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレン1モルに対し、通常0.01〜0.50モル、好ましくは0.02〜0.20モル使用する。また、4級アンモニウム塩を使用する場合、通常、アルカリ金属水酸化物を2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンとエピハロヒドリンの溶解混合物に添加する前に添加する。
前記反応後、そのまま上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂を粗ジエポキシビナフタレン樹脂として後述する全塩素量低減工程を実施しても良いが、下記<1>〜<2>に示す後処理工程を適宜施し、粗ジエポキシビナフタレン樹脂とすることが好ましい。
<1>無機分等除去工程及び濃縮工程
前記反応で得られた反応生成物を必要に応じろ過および/または水洗・分液除去し、不溶解分、無機塩、及びアルカリ金属水酸化物を除去する。その後、前記反応においてエピハロヒドリンを大過剰使用した場合、内温100〜150℃、内圧30mmHg以下、好ましくは、10mmHg以下でエピハロヒドリンを除去することが好ましい。
<2>閉環工程
加水分解性ハロゲンの含有量がより少ない粗ジエポキシビナフタレン樹脂とするために、前記反応後の上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂または<1>で示す後処理工程を施した上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂に有機溶媒を添加した後、アルカリ金属水酸化物を添加し、通常20〜120℃で撹拌することにより加水分解性ハロゲンの含有量がより少ない粗ジエポキシビナフタレン樹脂とすることができる。
閉環工程で使用する有機溶媒としては上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂やアルカリ金属水酸化物と反応しないものであればどのようなものでも良く、例えばトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等が例示される。また、閉環工程で使用するアルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが例示され、固体であっても水溶液であっても良いが、好ましくは水溶液が用いられる。また、アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレン1モルに対して通常0.02〜5.0モル、好ましくは0.40〜2.40モルである。本閉環工程は通常0.5〜6時間で実施される。
前記閉環工程終了後、通常、閉環工程で得られた反応物を必要に応じろ過および/または水洗・分液除去を行い副生したタール分や塩を除去する。その後、pHが4.0〜8.0になるよう、リン酸、リン酸ナトリウム、シュウ酸、酢酸等の酸で中和を行う。中和後、水洗・分液除去を繰り返し、必要に応じろ過を行うことによって不溶解分を除去し粗ジエポキシビナフタレン樹脂を含む溶液を得る。また、一旦、減圧下、閉環工程で使用した有機溶媒を留去し粗ジエポキシビナフタレン樹脂を得ても良い。
<3>全塩素量低減工程
上述の通り得られた粗ジエポキシビナフタレン樹脂は下記する全塩素量低減工程を経て精製エポキシ樹脂とする。なお、本発明においては、下記する全塩素量低減工程を経ていない上記式(1)で表されるジエポキシビナフタレン樹脂を粗ジエポキシビナフタレン樹脂と称し、下記する全塩素量低減工程を経たジエポキシビナフタレン樹脂を精製ジエポキシビナフタレン樹脂と称する。
全塩素量低減工程は上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂、溶媒及び活性炭を混合することにより実施される。本工程で使用可能な溶媒としては、粗ジエポキシビナフタレン樹脂が溶解すればよく、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類やメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類が例示される。溶媒の使用量は上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂1重量部に対し通常1.0〜10.0重量部、好ましくは1.5〜3.0重量部である。本溶媒は上述した通り、粗ジエポキシビナフタレン樹脂を得る工程で使用した溶媒をそのまま全塩素量低減工程の溶媒としても良いし、一旦、粗ジエポキシビナフタレン樹脂を得る工程で使用した溶媒の一部または全部を留去した後、新たに溶媒を添加しても良い。
本発明における活性炭は、木材、のこくず、木炭、椰子殻炭、パーム核炭、素灰などを原料とする植物質系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭などを原料とする石炭系、石油残渣、硫酸スラッジ、オイルカーボンなどを原料とする石油系あるいは合成樹脂を原料とするものなどがある。
このような活性炭は、上述した各種のものが市販されているのでそれらのうちから選んで使用すればよい。例えば、フタムラ化学(株)製活性炭(商品名)として太閤S、太閤Y、太閤D、太閤SA1000、太閤K、太閤KA,太閤A、太閤M、太閤P、太閤IP、太閤CB、太閤W、太閤QW、太閤QG、CG48B、CG48BR、CG48A、CG48AR、CW130B、CW130BR、CW130A、CW130AR、CW350BR、CW350AR、CW350SZ、CW480SZ、ヤシ殻銀添着炭、GL830A、GL240A、GM130A、GM240A、SG840、SG840A、SG280P、TG、TA、TS、TMや、日本エンバイロケミカルズ(株)製活性炭(商品名)として粒状白鷺G2c、粒状白鷺G2x、粒状白鷺GH2x、粒状白鷺GM2x、粒状白鷺GS3c、粒状白鷺GH2x、粒状白鷺GS3x、粒状白鷺GTsc、粒状白鷺GTsx、粒状白鷺GS2c、粒状白鷺GS2x、粒状白鷺GAAx、粒状白鷺GOC、粒状白鷺GOX、粒状白鷺APRC、粒状白鷺TAC、粒状白鷺MAC、粒状白鷺XRC、粒状白鷺NCC、粒状白鷺SRCX、白鷺DO−11(木質)、白鷺DO−2(やし殻)、白鷺DO−5(石炭)、粒状白鷺S2x、粒状白鷺X2M、白鷺C、粒状白鷺WH2c、粒状白鷺W2c、粒状白鷺WH2x、球状白鷺X7000H、球状白鷺X7100H、粒状白鷺WH5c、粒状白鷺W5c、球状白鷺X7000H、球状白鷺X7100H、球状白鷺X7000H−3、球状白鷺X7100H−3、粒状白鷺LGK−100、粒状白鷺LGK−400、球状白鷺LGK−700、粒状白鷺WHA、白鷺M、白鷺A、白鷺P、カルボラフィン、強力白鷺、精製白鷺、特製白鷺、粒状白鷺LH2C、粒状白鷺KL、球状白鷺DX7−3、粒状白鷺MAC−W、白鷺FAM、粒状白鷺C2c、粒状白鷺C2x、白鷺エレメントDC、白鷺C−DC、カルボラフィンDC、粒状白鷺DC等が例示される。
活性炭の使用量は、上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂100重量部に対して通常3重量部〜20重量部、好ましくは4重量部〜10重量部である。活性炭はその取扱性の良さから適当な水分(50%程度)を含むものを用いても良いが、水分を含む活性炭を使用する場合、前記の活性炭使用量は活性炭から水分を除いた量(乾燥量)を基準とする。
全塩素量低減工程は通常20〜120℃、好ましくは40〜110℃、より好ましくは60〜100℃で実施される。また、実施時間は通常15分以上実施すればよい。
全塩素量低減工程終了後の処理液はろ過を行い活性炭を系外へと除去した後、例えば加熱減圧下、溶媒を留去することにより精製ジエポキシビナフタレン樹脂が得られる。また、溶媒を一部または全部含んだまま、精製ジエポキシナフタレン樹脂として用いても良い。
<精製ジエポキシビナフタレン樹脂>
以下式(1)
Figure 2016155891
(式中nは0または1以上の整数である。)
で表わされる精製ジエポキシビナフタレン樹脂(以下本発明のジエポキシビナフタレン樹脂と称することもある)の繰り返し単位数であるnの値(n数)は本発明のジエポキシビナフタレン樹脂の用途に併せて任意に選択することができ、n数が単一のものを精製により得ることも可能ではあるが、通常はn数の異なるジエポキシビナフタレン樹脂が混合したものを本発明のジエポキシビナフタレン樹脂として使用する。また、本発明のジエポキシビナフタレン樹脂には中間体であるモノグリシジル体、α−グリコール等の不純物及びn=1のジエポキシビナフタレン樹脂の水酸基にさらにエピクロヒドリンが付加したトリグリシジル体などの少なくとも1つが混合している場合がある。
本発明のジエポキシビナフタレン樹脂のn数は好ましくは0または1〜10の整数、更に好ましくは0または1〜2の整数、最も好ましくは0または1とする。n数が3を超えるものの割合が高くなると、相溶性が悪くなり、組成物とする際に、添加量に制約が生じる等の不都合が生じる場合がある。また、より低粘度のジエポキシビナフタレン樹脂とする為には、n=0である樹脂の割合を通常は65%以上、好ましくは85%以上とする。
本発明のジエポキシビナフタレン樹脂は、吸水率が低く、かつ高温域での弾性率が低い等といった特徴を示すビナフタレン骨格を有しているにもかかわらず、室温で液体であり、さらに溶融粘度が低いといった特徴を示す。たとえば、本発明のジエポキシビナフタレン樹脂の100℃における溶融粘度は50〜200mPa・s、150℃における溶融粘度は、5〜30mPa・sである為、ハンドリング性に優れている。
本発明のジエポキシビナフタレン樹脂は、高耐熱性などの特性を有し、低粘度である為、ハンドリング性にもすぐれており、熱硬化性樹脂原料、硬化剤などにも利用できる。たとえば、本発明のジエポキシビナフタレン樹脂は、そのまま一般的なエポキシ樹脂と同様に用いてもよく、エポキシ(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂原料として用いてもよい。
また、本発明のジエポキシビナフタレン樹脂は全塩素量が低い(例えば600ppm以下、特に400ppm以下である)ので、電気・電子分野においても好適に使用され得る。
本発明のジエポキシビナフタレン樹脂は、通常、硬化剤、必要に応じて希釈剤、硬化促進剤、さらに、必要に応じて、慣用の添加剤(例えば、着色材、安定材、充填剤、帯電防止材、難燃剤など)などを含むエポキシ樹脂組成物としてもよい。該エポキシ樹脂組成物とする際、該エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂成分は本発明のジエポキシビナフタレン樹脂のみで構成してもよく、他のエポキシ樹脂と併用してもよい。
本発明のジエポキシビナフタレン樹脂と併用しうる他のエポキシ樹脂としてはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの他のエポキシ樹脂は、単独又は2種類以上組み合わせてもよい。
本発明のジエポキシビナフタレン樹脂、または該ジエポキシビナフタレン樹脂を含むエポキシ樹脂組成物は、ビナフタレン骨格を有することから吸水率が低く、かつ高温域での弾性率が低い等といった特性を有し、硬化前は低粘度で作業性が良好である為、耐熱性、低粘度の要求される広範囲な分野で用いることができる。具体的には封止材料、積層板、絶縁材料、プリント基板用のソルダーレジスト、カバーレイなどのレジスト材料、カラーフィルター、コーティング剤などのあらゆる電気・電子材料として有用である。また、高屈折、低アッベ数という特性を有することから光学材原料としても有用である。その他、成形材料、接着剤、複合材料、塗料、印刷インキ、光硬化性樹脂原料、感光性樹脂原料などの分野にも用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において各測定値は、次の方法、測定条件に従って測定した。
〔1〕HPLC純度
次の測定条件でHPLC測定を行ったときの面積百分率値をHPLC純度とした。
・装置:(株)島津製作所製「LC−2010AHT」
・カラム:一般財団法人 化学物質評価研究機構製「L−column ODS」
(5μm、4.6mmφ×250mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 254nm
・移動相:A液=30%メタノール、B液=メタノール
・移動相流量:1.0ml/分
移動相グラジエント:B液濃度:30%(0分)→100%(25分後)→100%(35分後)
〔2〕NMR測定
次の測定条件にて13C−NMRを測定した。
・内部標準:テトラメチルシラン
・溶媒:CDCl
・装置:JEOL−ESC400分光計
[3]LC−MS測定
次の測定条件にて分離、質量分析し、目的物を同定した。
・装置:(株)Waters製「Xevo G2 Q−Tof」
・カラム:(株)Waters製「ACQUITY UPLC BEH C18」
(1.7μm、2.1mmφ×100mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 230−800nm
・移動相:A液=超純水、B液=メタノール
・移動相流量:0.3ml/分
移動相グラジエント:B液濃度:60%(0分)→70%(10分後)→100%(12分後)
検出法:Q−Tof
イオン化法:ESI(+)法
Ion Source:電圧(+)2.0kV、温度120℃
Sampling Cone :電圧 10V、ガスフロー50L/h
Desolvation Cas:温度500℃、ガスフロー1000L/h
〔4〕エポキシ当量
自動滴定装置(京都電子製 AT−5100)を用いて、JIS K7236による方法で測定した。
〔5〕溶融粘度
B型粘度計(TOKIMEC INC製、MODEL:BBH)を用いて、ローターHH−1にて、20〜100rpmで100℃及び150℃に加熱して測定した。
〔6〕屈折率及びアッベ数
アッベ屈折計((株)アタゴ製「多波長アッベ屈折計 DR−2M」)を用いて、20℃における屈折率(波長:589nm)及び20℃におけるアッベ数(波長:486、589、656nm)を測定した。なおサンプル調製及び屈折率・アッベ数の算出は以下の方法にて行った。
得られた本発明のジエポキシビナフタレン樹脂をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して10重量%、20重量%及び30重量%溶液を調製し、各溶液について前述の条件にて屈折率及びアッベ数を測定した。次に、得られた3点の測定値から近似曲線を導き、これを100重量%に外挿したときの値を得られた樹脂の屈折率及びアッベ数とした。
〔7〕全塩素量
本発明の全塩素量は、JIS K7243−3:2005による方法で測定した。
<製造例1>
<粗ジエポキシビナフタレン樹脂の合成>
攪拌器、冷却器及び温度計を備えた2Lのガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレン(田岡化学工業(株)製、商品名:TBIS−BNE)200.00g(0.534mol)、エピクロルヒドリン395.35g(4.273mol)を仕込み、テトラブチルアンモニウムブロマイド17.21g(0.053mol)を添加した。その後、60℃に昇温し、粒状水酸化ナトリウム74.14g(1.854mol)を70分かけて分割添加し、同温度で3.5時間攪拌した時点で、HPLCにより反応混合液の分析を行ったところ、原料2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンは0.1%以下であった。得られた反応混合液にトルエンを加えて希釈し、不溶解分を濾過除去した後、濾液を130℃まで加熱、25mmHg減圧下で過剰のエピクロルヒドリン等を留去し、80℃まで冷却後、残留物264.2g対してトルエンを400.0g加え溶解した。このトルエン溶液に、40℃で50%水酸化カリウム水溶液29.97g(0.267mol)を添加し、同温度で2時間撹拌した後、水を加えて、下層を分液除去した。その後、リン酸一ナトリウム・2水和物を加えてpH6.8とした後、水層を分液除去した。次いで、有機層を水で数回洗浄した後、減圧濃縮しトルエンを留去することによって赤色粘稠液体の液体265.82g(見掛収率:102.3%)を得た。
得られた赤色粘稠液体の液体をHPLCにて分析した所、上記式(1)においてn=0のものが88.6%、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンにエピクロヒドリンが1個付加したモノグリシジル体が0.2%、上記式(1)においてn=1のものが1.3%、n=1の水酸基にさらにエピクロヒドリンが付加したトリグリシジル体が5.2%、上記式(1)においてn=2以上のものが0.1%以下含まれていることから、目的とする上記式(1)で表される粗ジエポキシビナフタレン樹脂が生成していることを確認した。得られた粗ジエポキシビナフタレン樹脂の物性を以下に示す。
・エポキシ当量:251g/eq
・溶融粘度;100℃:79mPa・s、150℃:14mPa・s
・屈折率:1.60
・アッベ数:21.7
・全塩素量:1290ppm
得られた粗ジエポキシビナフタレン樹脂の13C−NMR(CDCl)チャートを図1に示す。ここで、115.4〜154.2ppmまではナフタレン骨格の炭素に帰属され、43.9、50.6、69.8ppmはグリシジル基の炭素、71.4、71.7ppmは、エトキシ基の炭素に帰属される。
また、得られた粗ジエポキシビナフタレン樹脂の内、上記式(1)におけるn=0に該当するピークをLC−MSにて分析した結果を図2に示す。本分析におけるジエポキシビナフタレン樹脂の計算値(TOF MS ESI;C3030+Na)は509.1940であり、実測値は509.1955であった。
<実施例1>
<精製ジエポキシビナフタレン樹脂の合成>
攪拌器、冷却器及び温度計を備えた100mLのガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、製造例1で得られた粗ジエポキシビナフタレン樹脂12.26g、トルエンを23.17g仕込み、100℃まで昇温した。完溶していることを確認後、活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、商品名:特製白鷺、乾燥品)1.23gを添加し、同温度で2時間撹拌した。その後、同温度で濾過した後、トルエンで洗浄し、減圧濃縮によりトルエンを留去することにより黄色粘稠液体の上記式(1)で表される精製ジエポキシビナフタレン樹脂11.87g得た。エポキシ当量は253g/eq、全塩素量は350ppmであった。
<実施例2〜実施例4>
表1に示す通り活性炭の種類、添加量を変えた以外は実施例1と同様の操作を行なった。その結果を以下の表1に示す。なお、表中太閤Kはフタムラ化学(株)社製活性炭であり、白鷺Pは日本エンバイロケミカルズ(株)社製活性炭であり、何れも乾燥品を使用した。
Figure 2016155891
<実施例5>
<精製ジエポキシビナフタレン樹脂の合成>
攪拌器、冷却器及び温度計を備えた200mLのガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレン(田岡化学工業(株)製、商品名:TBIS−BNE)7.81g(0.021mol)、エピクロルヒドリン15.44g(0.167mol)を仕込み、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.67g(0.002mol)を添加した。その後、60℃に昇温し、粒状水酸化ナトリウム2.90g(0.073mol)を70分かけて分割添加し、同温度で2.5時間攪拌した時点で、HPLCにより反応混合液の分析を行ったところ、原料2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンは0.1%以下であった。得られた反応混合液にトルエンを加えて希釈し、不溶解分を濾過除去した後、濾液を130℃まで加熱、25mmHg減圧下で過剰のエピクロルヒドリン等を留去し、80℃まで冷却後、残留物(10.1g)にトルエン18.0gを加え溶解し、粗ジエポキシビナフタレン樹脂を含むトルエン溶液を得た。
前記トルエン溶液に、40℃で50%水酸化カリウム水溶液1.17g(0.010mol)を添加し、同温度で2時間撹拌した後、水を加えて、下層を分液除去した。その後、リン酸一ナトリウム・2水和物を加えてpH7.5に中和した後、水層を分液除去した。次いで、有機層を水で数回洗浄し、水層を分液除去した。水洗後の有機層に活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、商品名:特製白鷺、乾燥品)0.39gを添加し、100℃で2時間撹拌した。その後、同温度で濾過した後、トルエンで洗浄し、減圧濃縮によりトルエンを留去することにより黄色粘稠液体の上記式(1)で表される精製ジエポキシビナフタレン樹脂9.98g得た。エポキシ当量は255g/eq、全塩素量は335ppmであった。
<実施例6>
以下表2に示す通り、活性炭の添加量、活性炭添加後の撹拌温度(処理温度)を変化させた以外は実施例5と同様の操作を行なった。その結果を以下表2に示す。
Figure 2016155891
<参考例1>
攪拌器、冷却器及び温度計を備えた100mLのガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:AER260、旭化成イーマテリアルズ(株)製、エポキシ当量:188g/eq、全塩素量:1760ppm)12.66g、トルエンを23.93g仕込み、100℃まで昇温した。完溶していることを確認後、活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、商品名:特製白鷺、乾燥品)0.63gを添加し、同温度で2時間撹拌した。その後、同温度で濾過した後、トルエンで洗浄し、減圧濃縮によりトルエンを留去することにより無色透明粘稠液体のビスフェノールAジグリシジルエーテル12.51g得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は188g/eq、全塩素量は1710ppmであった。
<参考例2〜参考例3>
以下表3に示す構造を有するエポキシ樹脂に対し、表4に示す通り活性炭量を変えた以外は参考例1と同様の操作を行い、得られたエポキシ樹脂の分析を行った。結果を表4に示す。
Figure 2016155891
Figure 2016155891

Claims (3)

  1. 以下式(1)
    Figure 2016155891
    (式中、nは0または1以上の整数を表す)
    で表される粗エポキシ樹脂、溶媒及び活性炭を混合する工程を含む上記式(1)で表される精製エポキシ樹脂の製造方法。
  2. 活性炭の使用量が上記式(1)で表される粗エポキシ樹脂100重量部に対して3重量部〜20重量部である請求項1記載の精製エポキシ樹脂の製造方法。
  3. 全塩素量が600ppm以下である上記式(1)で表される精製エポキシ樹脂。
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