JP2016155791A - 歯磨組成物 - Google Patents
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このような出血の予防又は改善に有効な手段として、口腔内、特に歯ぐきの引き締めが有用であると言われている。歯ぐきを引き締める手段としては、硫酸第二鉄や塩化亜鉛等の多価金属化合物や、タンニン類などの天然収斂剤が有効な手段として知られており(特許文献1:特許第4230536号公報)、その中でも特に多価金属化合物が高い収斂性を有することから、口腔用組成物に配合され、上市されている。
この場合、多価金属化合物のなかでも特に収斂成分として代表的な硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)等のアルミニウム化合物を歯磨組成物に配合すると、発泡成分等が多価金属と塩析してしまい、泡が消失して液垂れが発生し、使用性が低下するという課題が生じ、また、高重合ポリエチレングリコールには収斂性が認められないにもかかわらず、本発明においては、(A)成分に(B)成分を適切量で組み合わせると、収斂感付与効果が増強し、使用後5分経過後も持続する収斂感を与え、かつ、発泡成分であるラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩が配合されていてもブラッシング時に製剤が口から液垂れするのが抑えられ、優れた使用感を付与できる。
なお、特許文献2では、硫酸アルミニウムカリウム等のアルミニウム化合物を含有する歯磨剤組成物に塩化ナトリウムを配合することによって金属味が抑制され良好な使用感を有するものであり、製剤の液垂れについて検討されておらず、高重合ポリエチレングリコールの配合についても何ら言及されていない。
更に、本発明においては、(B)成分の高重合ポリエチレングリコールによって収斂感付与効果が向上し、かつ液垂れ抑制効果が優れるものであり、歯磨組成物の保湿剤、粘稠剤としてのポリエチレングリコールの配合から、(A)、(B)成分の併用による上記格別な作用効果は予測できない。
〔1〕
(A)硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム及び硫酸アルミニウムから選ばれる1種以上のアルミニウム化合物を0.2〜3質量%と、
(B)ブルックフィールド型粘度計で測定した25℃における5W/V%水溶液の粘度が10mPa・s以上であり、かつ前記粘度計で測定した25℃における2W/V%水溶液の粘度が800mPa・s以下である高重合ポリエチレングリコールを0.05〜0.5質量%と
を含有してなることを特徴とする歯磨組成物。
〔2〕
(A)成分のアルミニウム化合物が、硫酸アルミニウムカリウム及び/又は硫酸アルミニウムである〔1〕記載の歯磨組成物。
〔3〕
(A)成分と(B)成分との配合量の割合を示す(A)/(B)が、質量比として1〜20である〔1〕又は〔2〕記載の歯磨組成物。
アルミニウム化合物としては、歯磨組成物としての使用感の点から、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムが好適であり、より好ましくは硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)、硫酸アルミニウムであり、とりわけ硫酸アルミニウムカリウムが好適である。このカリミョウバンは、漬物類や煮物類の保色剤として食品添加物として広く用いられてきたが、最近では、収斂作用や殺菌作用を有する成分として口腔用組成物へ用いられる。
・硫酸アルミニウムカリウム(大明化学工業(株)製、カリミョウバン(水和物))
・硫酸アルミニウムアンモニウム(大明化学工業(株)製、アンモニウムミョウバン)
・硫酸アルミニウム(大明化学工業(株)製)
5W/V%水溶液の粘度が20,000mPa・sを超える場合は、粘度測定が不能となるため、2W/V%水溶液における粘度を採用する。即ち、本発明において、高重合ポリエチレングリコールは、下記(1)又は(2)の粘度物性を有する。
(1)25℃における5W/V%水溶液の粘度が10〜20,000mPa・s
(2)(1)で粘度が20,000mPa・sを超える場合は、25℃における2W/V%水溶液の粘度が800mPa・s以下
本発明において、より好ましい高重合ポリエチレングリコールは、25℃における5W/V%水溶液の粘度が10〜18,000mPa・s、特に30〜10,000mPa・s、とりわけ55〜2,000mPa・sのものである。
本発明では、(B)成分として粘度が上記特定範囲内である高重合ポリエチレングリコールを用いることで、収斂感付与効果が向上し、持続的な収斂感を与え、かつ液垂れ抑制効果が優れ、優れた使用感を与える。
上記5W/V%水溶液の粘度が10mPa・sに満たないと、収斂感付与効果の向上に寄与せず、収斂感付与効果が劣り、上記2W/V%水溶液の粘度が800mPa・sを超えると、歯磨組成物の分散性が悪くなり十分な収斂感が得られないだけでなく、安定性が低下する。
・POLYOX WSR N−10
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:12〜50mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVT、ローターNo.1、回転数50rpm、測定温度25℃、測定時間0.5分)
・POLYOX WSR N−80
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:55〜115mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVT、ローターNo.1、回転数50rpm、測定温度25℃、測定時間0.5分)
・POLYOX WSR N−750
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:1,000〜1,200mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.2、回転数10rpm、測定温度25℃、測定時間1分)
・POLYOX WSR−205
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:4,500〜8,800mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.2、回転数2rpm、測定温度25℃、測定時間5分)
・POLYOX WSR−1105
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:8,800〜17,600mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.2、回転数2rpm、測定温度25℃、測定時間5分)
・POLYOX WSR N−12K
(ダウ・ケミカル社製、2W/V%水溶液の粘度:400〜800mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.1、回転数10rpm、測定温度25℃、測定時間1分)
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩などが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム型等が挙げられ、両性界面活性剤としては、ベタイン型、イミダゾリン型等が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、組成全体の0.5〜5%が好ましい。
なお、本発明では、泡の安定化作用を有するポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン性界面活性剤が配合されていなくても、液垂れを効果的に抑制できるものであり、非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は配合しなくてもよい。
表1〜3に示す組成の歯磨組成物(練歯磨)を常法により調製し、下記方法で評価した。結果を表1〜3に併記した。
専門パネラー10人を用いて官能評価した。ラミネートチューブに充填した試験歯磨組成物をハブラシ上に1cm押出して載せ、普段と同じ方法で3分間の歯磨きを行い、使用中の収斂感について、下記に示す評点基準で判定した。
評点基準:
4点:収斂感を非常に感じる
3点:収斂感を感じる
2点:収斂感をやや感じる
1点:収斂感を全く感じない
10人の判定結果を平均した値を下記に示す基準で評価し、◎及び○の評価が確保されるものを、使用中に適度な収斂性が感じられる歯磨組成物であると判断した。
評価基準:
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
専門パネラー10人を用いて官能評価した。ラミネートチューブに充填した試験歯磨組成物をハブラシ上に1cm押出して載せ、普段と同じ方法で3分間の歯磨きを行い、使用後5分経過時の収斂感について、下記に示す評点基準で判定した。
評点基準:
4点:収斂感を非常に感じる
3点:収斂感を感じる
2点:収斂感をやや感じる
1点:収斂感を全く感じない
10人の判定結果を平均した値を下記に示す基準で評価し、◎及び○の評価が確保されるものを、使用後5分経過時に適度な収斂性が感じられる歯磨組成物であると判断した。
評価基準:
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
専門パネラー10人を用いて官能評価した。ラミネートチューブに充填した試験歯磨組成物をハブラシ上に1cm押出して載せ、普段と同じ方法で3分間の歯磨きを行い、使用中の口からの液垂れについて、下記に示す評点基準で判定した。
評点基準:
4点:全く液垂れしない
3点:わずかに液垂れする
2点:液垂れする
1点:著しく液垂れする
10人の判定結果を平均した値を下記に示す基準で評価し、◎及び○の評価が確保されるものを、使用中に口から液垂れし難く使用感が良好な歯磨組成物であると判断した。
評価基準:
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
(A)硫酸アルミニウムカリウム;大明化学工業(株)製、カリミョウバン(水和物)
(A)硫酸アルミニウム;大明化学工業(株)製
(B)高重合ポリエチレングリコール;
POLYOX WSR N−80
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:85mPa・s(ローターNo.1
、回転数50rpm、測定時間0.5分))
POLYOX WSR N−10
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:35mPa・s(ローターNo.1
、回転数50rpm、測定時間0.5分))
POLYOX WSR N−750
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:1,100mPa・s(ローターN
o.2、回転数10rpm、測定時間1分))
POLYOX WSR N−12K
(ダウ・ケミカル社製、2W/V%水溶液の粘度:420mPa・s(ローターNo.
1、回転数10rpm、測定時間1分))
ポリエチレングリコール#4000
(三洋化成工業社製、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量2,600〜3,8
00)
なお、表中の硫酸アルミニウムカリウムの含有量は、純分換算値である。
Claims (3)
- (A)硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム及び硫酸アルミニウムから選ばれる1種以上のアルミニウム化合物を0.2〜3質量%と、
(B)ブルックフィールド型粘度計で測定した25℃における5W/V%水溶液の粘度が10mPa・s以上であり、かつ前記粘度計で測定した25℃における2W/V%水溶液の粘度が800mPa・s以下である高重合ポリエチレングリコールを0.05〜0.5質量%と
を含有してなることを特徴とする歯磨組成物。 - (A)成分のアルミニウム化合物が、硫酸アルミニウムカリウム及び/又は硫酸アルミニウムである請求項1記載の歯磨組成物。
- (A)成分と(B)成分との配合量の割合を示す(A)/(B)が、質量比として1〜20である請求項1又は2記載の歯磨組成物。
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