JP2016155235A - ガスバリアフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストが低く、また、優れたバリア性及び高透明性及び密着性を備えるガスバリアフィルムを提供する。
【解決手段】樹脂基材の少なくとも片面に有機層と無機層とが該順に積層されたガスバリアフィルムの製造方法において、樹脂基材上に重合性化合物を含む重合性材料を用いて有機層を形成する工程と、未硬化状態の前記有機層上に水吸着層を形成する工程と、前記水吸着層上に無機層を形成する工程と、前記有機層を硬化する工程、を特徴とするガスバリアフィルムの製造方法である。また、前記水吸着層が粒径1〜100nmのCaO、SrO、BaO粒子または無機層状化合物から選ばれる少なくとも1種からなる層である。
【選択図】図1

Description

本発明は、対象物をガスから保護する際に適用して好適なガスバリアフィルムに関する。
ガスバリアフィルムは、対象物を空気中の湿気、酸素、炭酸ガスなどのガスから保護して品質や性能の劣化を抑制する役割を有しており、食品・医薬品などの包装材料をはじめ、液晶、有機ELなどのエレクトロニクス分野でのガラスの代替としての採用も検討されている。
現在、ガスバリアフィルムの主な種類は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂などの単体フィルム、共押出多層ナイロン(Ny)フィルム、塩化ビニリデン(PVDC)コートやポリビニルアルコール(PVA)コートのウェットコートフィルムなどがある。しかしながら、これらの種類のフィルムは、ガスバリア性が高いものでも水蒸気透過度3g/m2/day程度であり、より高度なガスバリア性を要求される包装材や電子部材としての利用は難しい。
これらの問題を克服するために、例えば、特許文献1では、高分子樹脂基材上に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素などの無機化合物を蒸着した透明なガスバリア性フィルムについて提案がなされている。
さらに、極めて高いバリア性を発現させるために、特許文献2では樹脂基材と無機層、有機層に加えて帯電防止層や硬化樹脂層などの機能層を設けた構造のものが提案されている。
特公昭63−28017号公報 特開2006‐088538号公報
しかし、特許文献2のガスバリアフィルムにおいては、有機層と無機層の密着性が悪いため、高温高湿の環境下におけるバリア性能が十分発揮されないという問題があった。本発明は、上記のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、製造コストが低く、また、優れたバリア性及び高透明性及び密着性を備えるガスバリアフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、樹脂基材の少なくとも片面に有機層と無機層とが該順に積層されたガスバリアフィルムの製造方法において、樹脂基材上に重合性化合物を含む重合性材料を用いて有機層を形成する工程と、未硬化状態の前記有機層上に水吸着層を形成する工程と、前記水吸着層上に無機層を形成する工程と、前記有機層を硬化する工程、を特徴とするガスバリアフィルムの製造方法である。
本発明の請求項2に係る発明は、前記水吸着層が粒径1〜100nmのCaO、SrO、BaO粒子または無機層状化合物から選ばれる少なくとも1種からなる層である、請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記有機層と前記水吸着層と前記無機層が、該順で積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルムの製造方法である。
また、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたガスバリアフィルムである。
本発明によれば、製造コストが低く、また、優れたバリア性及び高透明性及び密着性を備えるガスバリアフィルムを提供することができる。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明のガスバリアフィルムの層構成の一例を示す。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るガスバリアフィルム10は、樹脂基材11、有機層12、水吸着層13、無機層14とからなり、樹脂基材11の片面に、有機層12、水吸着層13、無機層14とを順次積層した構成としている。本発明の実施形態に係るガスバリアフィルムは、より高い水蒸気バリア性を達成するために、樹脂基材11の両面に有機層12、水吸着層13、無機層14を順次積層した構成であってもよい。
樹脂基材11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられる。樹脂基材11の膜厚は、特に限定されないが、実用上6μm〜200μm程度がよく、好ましくは12μm〜125μmがよい。
また、樹脂基材11に積層する側の表面には、樹脂基材11との密着性を高めるために、コロナ処理、プラズマ処理、酸やアルカリによる薬液処理などの処理を行ってもよい。
まず、樹脂基材11上に有機層12を形成する。有機層12の膜厚については特に限定されないが、10nm〜3000nmが好ましい。有機層12の膜厚が薄すぎると、均一な膜厚を得ることが難しく、無機層14の欠陥部を有機層12で補うことができず十分なバリア性能を得ることができず、厚すぎると、外力によってクラックが入りやすくなり、十分なバリア性能を得ることができない。
有機層12の形成方法は、グラビアコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、コンマコートなど種々の公知の塗工方法を用いて単一な塗膜を形成すし、紫外線または電子線で硬化する方法が好ましい。
有機層12を形成する塗液に含まれる重合性化合物としては、紫外線や電子線照射で硬化できる材料を選択する。ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の樹脂組成物が挙げられる。上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、紫外線照射や電子線照射で硬化できる材料であれば、特に制限はない。また樹脂組成物は1種類でもよく、2種類以上組み合わせても選択してもよい。また、有機層12の塗液には、溶剤としてケトン系やエステル系の溶剤を用いることができる。
次に、有機層12を硬化する前に、未硬化状態の有機層12上に水吸着層13を形成する。水吸着層13を形成することにより、外気中の水分を水吸着層13で吸着することができるので、樹脂基材11中への水分の侵入を防ぐことができる。また、有機層12が未硬化の状態で水吸着層13を形成し、有機層12と水吸着層13を一度に硬化することで、有機層12と水吸着層13の層間密着性が高まり、さらには製造コストが低く、優れたバリア性及び高透明性を備えるガスバリアフィルムを得ることができる。
水吸着層13を形成する水吸着剤は、CaO、BaO、SrOの少なくとも1種用いることが好ましい。水吸着層13の膜厚は1〜100nmであれば、バリアフィルムの透明性や十分な水分吸着能力を保つことができる。さらに、ハイドロタルサイトなどの水吸着能力を持つ無機層状化合物を用いることもできる。
次に、形成した水吸着層13上に無機層14を形成する。無機層14は金属化合物から形成される薄膜であり、蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング法、ゾルゲル法などの公知の方法を用いて形成することができる。無機層14に含まれる金属成分は、バリア性能を持つものであればよく、SiやAl、In、Sn、Znなどの金属酸化物や金属窒化物などの無機膜を製膜して形成する。
無機層14の粗さは、1μm角の平均粗さは好ましくは1nm未満である。無機層14の膜厚は、1層の厚さが5〜300nmの範囲内であれば十分なガスバリア性が得られる。また、無機層14は2層以上積層しても構わない。
[実施例1]
(有機層塗液の調整)
ウレタンアクリレート100重量部に対して、
・ジペンタエリスリトールトリアクリレート 50重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50重量部
・光重合開始剤(IRGACURE184) 10重量部
を用意し、これらをメチルエチルケトンを用いて固形分が50wt%となるように調整し、有機層の形成塗液を作成した。
(有機層の塗工工程)
樹脂基材に、片面がコロナ処理されたPETフィルム(膜厚12μm)を使用し、コロナ処理された面にグラビアコートで上記有機層塗液を乾燥膜厚が1μmとなるように塗工した。
(水吸着層の形成と有機層の硬化)
酸化アルミニウム材料を、真空蒸着機を使用して塗工直後の有機層の上に厚さ5nmの蒸着膜層を積層した。その後、一次乾燥として乾燥炉内で25℃10秒間乾燥させ、連続して二次乾燥として乾燥炉内で80℃50秒間乾燥させた後、紫外線照射装置を用いて照射線量300mJ/m2で紫外線照射をおこなうことにより、乾燥後の膜厚が200nmとなるように形成した。
(無機層の積層工程)
元素比O/Siが1.5になるように金属珪素粉末及び二酸化珪素粉末を混合した材料を作製し、真空蒸着機を使用して、水吸着層の上に厚さ50nmの無機層を積層し、ガスバリアフィルムを得た。
[実施例2]
上記実施例1において、水吸着層の厚みを50nmとした点以外は全て実施例1と同様の条件で、PETフィルムに有機層/水吸着層/無機層を形成することでガスバリアフィルムを得た。
[比較例1]
上記実施例1において、水吸着層の厚みを150nmとした点以外は全て実施例1と同様の条件で、PETフィルムに有機層/水吸着層/無機層を形成することでガスバリアフィルムを得た。
[比較例2]
上記実施例1において、水吸着層を形成しなかった点以外は全て実施例1と同様の条件で、PETフィルムに有機層/無機層を形成することでガスバリアフィルムを得た。
[比較例3]
上記実施例1において、有機層を乾燥・硬化後に水吸着層を形成した点以外は全て実施例1と同様の条件で、PETフィルムに有機層/水吸着層/無機層を形成することでガスバリアフィルムを得た。
[ガスバリアフィルムの評価]
(1)水蒸気透過度の測定
高温高湿試験前後の実施例1〜2及び比較例1〜3の樹脂基材/有機層/水吸着層/無機層構成のガスバリアフィルムについて、水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN−W 3/31)により、40℃/90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m2/day)を測定した。
(2)密着強度の測定
ガスバリアフィルムを85℃/85%RH環境下に3000時間置いた。高温高湿試験前後のガスバリアフィルムの表面について、マイクロスクラッチ試験機(レスカ社製 CSR−2000型)を用いて、直径5μmのダイヤモンド圧子を1〜1000mNの範囲で加重印加し、水吸着層の剥離が発生する荷重を測定することで積層体の密着強度を比較した。
(3)光線透過率の測定
上記各積層ガスバリアフィルムを50mm四方に切り出し、分光光度計で波長400〜800nmにおける分光透過率を測定し、その平均値を算出した。
その評価結果と測定結果を表1にまとめて示す。
Figure 2016155235
実施例の結果、優れたバリア性及び高透明性及び密着性を備えるガスバリアフィルムを作製することができた。比較例1においては、水吸着層が厚過ぎるためにフィルムの光線透過率が低下する結果となった。また、水吸着層を形成しなかった比較例2においては、水蒸気透過度が上昇する結果となった。さらに、水吸着層を有機層の硬化後に積層した比較例3においては、高温高湿試験後に密着性を保持できず耐久性が不十分な結果となった。
11・・・樹脂基材
12・・・有機層
13・・・水吸着層
14・・・無機層

Claims (4)

  1. 樹脂基材の少なくとも片面に有機層と無機層とが該順に積層されたガスバリアフィルムの製造方法において、樹脂基材上に重合性化合物を含む重合性材料を用いて有機層を形成する工程と、
    未硬化状態の前記有機層上に水吸着層を形成する工程と、
    前記水吸着層上に無機層を形成する工程と、
    前記有機層を硬化する工程、を特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記水吸着層が粒径1〜100nmのCaO、SrO、BaO粒子または無機層状化合物から選ばれる少なくとも1種からなる層である、請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  3. 前記有機層と前記水吸着層と前記無機層が、該順で積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたガスバリアフィルム。
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