JP2016155154A - 溶接補助部材及び該溶接補助部材を用いたスポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接補助部材の設置の安定化を図りつつ、接合材料の劣化を回避することのできる溶接補助部材及び該溶接補助部材を用いたスポット溶接方法を提供する。
【解決手段】板状金属部材である第1の材料の間に炭素繊維強化プラスチックからなる第2の材料を挟んで行われるスポット溶接の導電性溶接補助部材10であって、第2の材料に貫通形成された孔部に装填されて、両側からスポット溶接を可能とする溶接補助部材10において、孔部に装填された状態において孔部の内側面との間に隙間のできる大きさと形状を有する本体部10aと、本体部10aの外側に設けられ、孔部の内側面と本体部10aとを離間させた状態を保持する断熱性、耐熱性及び絶縁性を有する位置保持部材と、を有する溶接補助部材10及びこれを用いたスポット溶接方法である。これにより、第2の材料の品質を劣化させることがなく、高品質で安定したスポット溶接を行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶接補助部材及び該溶接補助部材を用いたスポット溶接方法に関し、特に、異種材料同士をスポット溶接を活用し接合する際に用いられる溶接補助部材及び該溶接補助部材を用いたスポット溶接方法に関する。
導通性のある2枚の材料の間に異種材料を挟んでスポット溶接をするときは、異種材料に孔部を貫通形成し、その孔部に両側の材料と同じく導通性のある材料からなる溶接補助部材を装填し、その孔部の部分で両側からスポット溶接を行う技術が知られている。
この種のスポット溶接では、溶接補助部材が装填された孔部は両側の導通性の材料によって挟まれている状態であり、孔部内に設置されている溶接補助部材の装填状態、すなわち装填位置を確認することはできない。このため、孔部の中心に溶接補助部材が配置されていなかったり、孔部の中心に配置された溶接補助部材が作業の途中でその位置が動いてしまったりすると、スポット溶接が溶接補助部材の中心で行われず、偏った位置で溶融が生じ、溶接後の剛性が低下し、的確性が失われることがある。
特許文献1は、上記のような事情を考慮した技術であり、異種材料に貫通形成された孔部に溶接補助部材をかしめ締結して装填させて行うスポット溶接方法である。この技術によれば、溶接補助部材がかしめ締結して装填された板状の異種材料の両面に鉄を主成分とする一対の板状の材料を積層設置し、その孔部の部分で両側からスポット溶接を行っている。これにより、溶接補助部材の孔部内における位置が安定し、この安定した状態でスポット溶接が行われる。したがって、偏りのない的確な溶接が行われる。
特開2014−104502号公報
しかしながら、上記特許文献1に係る技術においては、導電性の溶接補助部材は異種材料と直接に接触した状態となっている。異種材料を、特に炭素繊維強化プラスチック(以下CFRP)としてこの技術を適用したときに、以下のような問題が生じる。上述の状態で行われるスポット溶接において、両側の材料と溶接補助部材が通電状態になった時に発生する抵抗熱が、直接接触した状態にある異種材料に伝達され、異種材料が発火等をすることで破損したり、異種材料に導通してしまうことがあると溶接の質が低下するおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接補助部材の設置の安定化を図りつつ、接合材料の劣化を回避することのできる溶接補助部材及び該溶接補助部材を用いたスポット溶接方法を提供することにある。
上記目的を解決するため請求項1に係る発明は、
導通性のある第1の材料の間に異種材料である第2の材料を挟んで行われるスポット溶接に用いられる溶接補助部材であって、前記第2の材料に貫通形成された孔部に装填されて、当該孔部の部分で両側から第1の材料相互のスポット溶接を可能とする溶接補助部材において、
導通性のある材料で構成され、前記孔部に装填された状態において前記孔部の内側面との間に隙間のできる大きさと形状を有する本体部と、
該本体部の外側に設けられ、前記孔部の内側面と前記本体部とを離間させた状態を保持する断熱性、耐熱性及び絶縁性を有する位置保持部材と、
を有することを特徴とする。
この構成によれば、前記位置保持部材によって前記本体部の位置は孔部内にしっかりと固定されているため安定した状態でスポット溶接を行うことができる。上記本体部は上記位置保持部材の存在によって上記孔部の内側面から離間した状態にあり、また、位置保持部材は断熱性を有しているため、スポット溶接時に上記本体部上で発生する抵抗熱が第2の材料に伝わることを軽減することができる。これにより第2の材料が昇温して品質が劣化したり、発火等をして破損することを防止することができる。なお、位置保持部材は耐熱性を有しているため、スポット溶接時に発生する抵抗熱によって位置保持部材そのものが発火等をして破損することはない。
さらに、本体部の位置は孔部の内側面と離間した状態であり、また、位置保持部材は絶縁性を有しているので、スポット溶接において前記本体部が通電しているときに、第2の材料に導通して電流が分散することを防止することができる。これにより、溶接の質が低下させることなくスポット溶接を行うことができる。
請求項2に係る溶接補助部材は、請求項1に記載の溶接補助部材において、
前記位置保持部材は発泡材にて形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、発泡材は空隙を多く有しており、断熱性に優れているので、スポット溶接時に本体部で発生する抵抗熱が第2の材料に伝わるのを効果的に防ぐことができる。
請求項3に係るスポット溶接方法は、上記請求項1又は2に記載の溶接補助部材を用いたスポット溶接方法において、
前記第2の材料に孔部を貫通形成する孔部形成工程と、未発泡の発泡剤を前記本体部の外側に設ける発泡剤設け工程と、前記孔部が貫通形成された第2の材料を一方の前記第1の材料の上に積層設置して、前記孔部に前記未発泡の発泡剤を前記本体部の外側に設けたものを装填させる装填工程と、前記未発泡の発泡剤を前記本体部の外側に設けたものが装填された前記第2の材料の上面に他方の前記第1の材料を積層設置して前記溶接補助部材を挟む挟み工程と、前記第2の材料を挟んだ状態の前記第1の材料を積層方向の両側から電極で挟んで加圧した状態で電流を流し、そのときに発生する熱によって前記未発泡の発泡剤を発泡させて発泡材を形成すると同時に、前記第1の材料を相互に溶融接着する溶接工程と、 を有することを特徴とする。
この構成によれば、通常行われるスポット溶接の工程の中で、その際に発生する抵抗熱を利用して発泡剤を発泡させるので、別途に発泡材を製造する工程を設ける必要がなく、スポット溶接の作業の流れの中で効率的に位置保持部材を製造することができる。また、本体部と孔部の内側面との間の隙間の空間で発泡剤が発泡して充満するので、発泡材は、孔部の内側面に密着して形成される。これにより、本体部を孔部の内側面から離間した状態を良好に保持することができ、また、位置保持部材は断熱性、耐熱性及び絶縁性を有しているので、スポット溶接時に前記本体部上で発生する抵抗熱が第2の材料に伝わるのを軽減し、前記本体部の通電時に、第2の材料に導通するのを防止することができる。これにより、第2の材料の品質を劣化させることがなく、安定して高品質な溶接をすることができる。
本発明に係る溶接補助部材及び該溶接補助部材を用いたスポット溶接方法によれば、溶接補助部材を孔部内にしっかりと固定することができ、また、スポット溶接時に発生する抵抗熱による第2の材料の昇温や、第2の材料への電気的導通を防止することができる。
これにより、第2の材料の品質を劣化させることなく安定して高品質なスポット溶接をすることができる。
(A)は、本発明の実施の形態に係る溶接補助部材の斜視図、(B)は同じく、厚さ方向の断面図である。 (A)は、本体部を製造する方法を示す打ち抜き成形前の説明図であり、(B)は同じく、打ち抜き成形後の説明図である。 本体部に発泡剤テープを巻き付ける方法を示す説明図である。 (A)は、第1の材料の上に積層設置された第2の材料の孔部内に未発泡の溶接補助部材を装填させる方法を説明するための装填前の説明図であり、(B)は、同じく、装填後の説明図である。 (A)は、未発泡の溶接補助部材が装填された第2の材料の上面に第1の材料を積層設置して未発泡の溶接補助部材を挟む方法を説明するための部分断面図であり、(B)は、溶接材料を溶融接着する方法を説明するための通電前部分断面図である。 溶接材料を溶融接着させると同時に発泡剤シールを発泡させる方法を説明するための部分断面図である。
以下、本発明に係る溶接補助部材の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の実施に係る溶接補助部材10の構成を示しており、同図(A)は上方から見た斜視図、同図(B)は厚さ方向の断面図である。本実施の形態では、溶接補助部材10は、略円盤状の本体部10aと本体部10aの外側面に装着されている位置保持部材としての発泡材10bから構成されている。本体部10aは、導電性を有する材料によって構成され、例えば、鉄を主成分とする金属材等である。本実施の形態では、第1の材料12−1、12−2と同種の材料によって構成されている。本実施の形態では、本体部10aの外径は、約10mmのものを示している。なお、本体部の厚みは、後述するように第2の材料14の厚みとほぼ同じに設定されている。発泡材10bの材料は、断熱性、耐熱性及び絶縁性を有する合成樹脂発泡体によって構成され、第1の材料12−1、12−2の融点等の種々の条件に応じて選択される。
図2は、溶接補助部材10を製造するための前提となる工程を示しており、同図(A)は、本体部10aを製造する方法を示す打ち抜き成形前の説明図であり、同図(B)は同じく、打ち抜き成形後の説明図である。例えば、穴開け台100上に第1の材料12−1、12−2と同種の材料によって構成される本体部10aの製造用の板状材料110を設置し、パンチ102をそのガイド104とともに下降させる(同図(A))。そして、同図(B)に示すようにパンチ102で板状材料110を打ち抜いて本体部10aを成形する。
図3は、上述において打ち抜き成形された本体部10aに発泡剤テープ16を巻き付ける方法を示す説明図である。穴開け台100の中央部分には上下動可能に受け台106が設置されており、受け台106は、上記打ち抜かれて成形され落下した本体部10aを、その上端面で受ける。本体部10aを載せた状態で受け台106を上昇させることによって、パンチ100とともに本体部102をその両面から挟む。本体部10aを挟んだ状態で、その位置を板状材料110の上面より高い位置で固定する。
そして、その状態でパンチ100と受け台106をともに円周方向の同方向に回転させることによって本体部10aを回転させる。本体部10aを回転させた状態で、その外側面に発泡剤テープ16を巻いて装着させる。なお、本実施の形態では発泡剤テープ16を巻いて装着する例を示したが、発泡剤を塗布してもよい。この発泡剤テープ16を加熱し発泡させることによって発泡材10bを形成し、本実施の形態に係る溶接補助部材10を製造することができる。
以下に、溶接補助部材10を用いた本発明の実施の形態に係るスポット溶接方法について図4〜6に基づいて説明する。
本実施の形態に係るスポット溶接方法は、最終的に導通性のある2枚の第1の材料12−1、12−2の間に異種材料である第2の材料14を挟んでスポット溶接をするものである。第1の材料12−1、12−2は、例えば、導通性のある鉄を主成分とする材料によって構成され、厚みが約0.5mmの板状金属部材である。第2の材料14は、炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRP)によって構成され、厚みが約1.0mmの板状部材である。
初めに、第2の材料14の溶接箇所となる場所に円筒形の貫通孔である孔部18を形成する。孔部18の内径は、約14mmである(孔部形成工程)。
図4(A)は、第1の材料12−2の上に、上述のように予め孔部18の形成された第2の材料14が積層設置されている状態を示している。同図(B)は、上述の状態において、孔部18内に上述した本体部10aの外側面に発泡剤テープ16を巻いて装着させたもの(以下、未発泡の溶接補助部材20)を装填した状態を示している。なお、未発泡の溶接補助部材20の製造工程については上述の通りである(発泡剤設け工程)。
この状態では、未発泡の溶接補助部材20の外径は、孔部18の内径よりも小さい。したがって、この装填作業は簡単に行うことができる(装填工程)。
図5(A)は、孔部18内に未発泡の溶接補助部材20(図4(B))が装填された状態が示されており、第2の材料14の上面には第1の材料12−1が積層設置されている(挟み工程)。
同図(B)及び図6は、接合材料を溶融接着する段階を示している。まず、上述の接合材料を未発泡の溶接補助部材20が装填されている孔部18の中心となる位置で積層方向の両側から2本の電極108−1、108−2で挟んだ状態で加圧する(同図(B))。この状態で電流を流すことによって本体部10a上に抵抗熱が発生し、第1の材料12−1、12−2と本体部10の溶融が開始される。
本実施の形態において特徴的なことは、上述の抵抗熱を利用して本体部10aの外側に巻かれた発泡剤テープ16を加熱して発泡させるようにしたことである。
図6は、溶接材料を溶融接着させると同時に発泡剤シールを発泡させる方法を示している。発泡剤テープ16が本体部10aと孔部18の内側面との間の隙間の空間内で発泡し、本体部10aと孔部18の内側面との隙間を充満させている。これにより、発泡剤を形成するための工程を別途に設ける必要がなく容易に発泡材を形成することができ、本体部10aは、孔部18の内側面から離間した状態を保持することができる。また、発泡材10bは空隙を有するため断熱性に優れており、本体部10aで発生する抵抗熱が第2の材料14に伝わるのを軽減する。これにより、第2の材料14が昇温して品質が劣化するのを防止することができる。
なお、発泡材10bの材料は、スポット溶接時に生じる熱によっては発火しない程度の耐熱性を有するように調製されている。
さらに、発泡材10bは絶縁性を有しているため、本体部10a上で通電している間、第2の材料14に導電し、電流が分散して流れることを防止することができる。この状態で第1の材料12−1、12−2及び本体部10aを溶融させ、この溶融箇所が凝固してナゲット112ができることにより接合材料を接合することができる(溶接工程)。
これにより、第2の材料の品質を劣化させることがなく、高品質で安定したスポット溶接を行うことができる。
なお、本発明は上記実施の形態に示した範囲に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、発泡剤テープ16をスポット溶接時に発生する熱によって孔部18内で発泡させて発泡させたが、予め発泡した状態の発泡材14を本体部10aに装着し、これを孔部18内に嵌合させることでもよい。
また、位置保持部材が発泡材14である例を示したが、これに限られず、断熱性、耐熱性及び絶縁性を有し、本体部10aと孔部18との間の隙間を充填することのできる材料であれば種々の材料のものを用いることができる。
さらに、本実施の形態では、略円盤状の本体部10aの外側面全体に位置保持部材としての発泡材14を設けた例を示したが、本体部10aの形状は略円盤状に限られず、孔部18に納まる大きさであれば種々の形状でもよく、また、位置保持部材は、本体部10aの外側面全体に形成した例を示したが、本体部10aを孔部18内に安定して位置させることのできる構成であれば、本体部10aの外側に部分的に設けることでもよい。
10 溶接補助部材
10a 本体部
10b 発泡材
12−1、12−2 第1の材料
14 第2の材料
16 発泡剤テープ
18 孔部
20 未発泡の溶接補助部材

Claims (3)

  1. 導通性を有する第1の材料の間に異種材料である第2の材料を挟んで行われるスポット溶接に用いられる導電性を有する溶接補助部材であって、前記第2の材料に貫通形成された孔部に装填されて、該孔部の部分で両側から第1の材料相互のスポット溶接を可能とする溶接補助部材において、
    前記孔部に装填された状態において前記孔部の内側面との間に隙間のできる大きさと形状を有する本体部と、
    該本体部の外側に設けられ、前記孔部の内側面と前記本体部とを離間させた状態を保持する断熱性、耐熱性及び絶縁性を有する位置保持部材と、
    を有することを特徴とする溶接補助部材。
  2. 前記位置保持部材は発泡材にて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の溶接補助部材。
  3. 上記請求項1又は2に記載の溶接補助部材を用いたスポット溶接方法において、
    前記第2の材料に孔部を貫通形成する孔部形成工程と、
    未発泡の発泡剤を前記本体部の外側に設ける発泡剤設け工程と、
    前記孔部が貫通形成された第2の材料を一方の前記第1の材料の上に積層設置して、前記孔部に前記未発泡の発泡剤を前記本体部の外側に設けたものを装填させる装填工程と、
    前記未発泡の発泡剤を前記本体部の外側に設けたものが装填された前記第2の材料の上面に他方の前記第1の材料を積層設置して前記溶接補助部材を挟む挟み工程と、
    前記第2の材料を挟んだ状態の前記第1の材料を積層方向の両側から電極で挟んで加圧した状態で電流を流し、そのときに発生する熱によって前記未発泡の発泡剤を発泡させて発泡材を形成すると同時に、前記第1の材料を相互に溶融接着する溶接工程と、
    を有することを特徴とするスポット溶接方法。
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