JP2016155136A - 2段式圧延機、ロールシフト方法、連続式調質圧延方法及び鋼板 - Google Patents
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(a)ワークロールをバックアップロールで挟む4段式圧延方法、
(b)予めイニシャルクラウンをワークロールに付与しておくロールクラウン方法、
(c)ワークロールを予め板クラウンとは逆方向に曲げておくベンディング方法、
(d)イニシャルクラウンが付与されたロールをその軸方向(被圧延材の幅方向)に移動させるロールシフト方法、
などが知られている。ロールシフト方法においては、ワークロールを移動させる方式や中間ロールを移動させる方式がある。
更に、ロールシフト方法においては、各々の軸方向に逆向きに相対移動することによって各々の間のロールギャップが変化するイニシャルロールカーブで形成された一対のロールを用いる方式も知られている。このロールは、一般にCVCロール(Continuous Variable Crown :連続クラウン可変ロール)と呼称されている。
また、特許文献2には、一対のワークロールをCVCロールで形成した2段式圧延機が開示されている。
そこで、このような調質圧延では、一対のワークロールをCVCロールで形成した圧延機が有効である。
また、上側ロールチョックと下側ロールチョックとの間にワークロールバランサが設けられた機種では上側ワークロールチョックはワークロールバランサに直接接触した状態で支持される。
そこで、本発明者は、2段式圧延機ではロール交換時に使用するロール交換レールがハウジングに設けられていることに着目し、本発明をなした。
本発明の目的は、一対のワークロール間のロールギャップを迅速に変更することが可能な技術を提供することにある。
また、本発明の一態様に係る2段式圧延機において、前記第1及び第2の移動手段は、前記一対の第1及び第2のワークロールチョックの各々に回動自在に設けられた車輪であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る2段式圧延機において、前記ロールシフト装置は、前記第1のワークロール及び前記第2のワークロールを10mm/sec以上200mm/sec以下のシフト速度で相対移動させることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る連続式調質圧延方法は、前述のロールシフト方法を用いて、連続的に鋼板を調質圧延することを特徴としている。
更に、本発明の一態様に係る鋼板は、前述の連続式調質圧延方法により製造されたことを特徴としている。
本実施形態では、本発明に係る2段式圧延機、それを用いたロールシフト方法、連続式調質圧延方法及び鋼板について、図1乃至図11を用いて説明する。
また、図1及び図3では、後述する上側及び下側ワークロール2,3の各々のイニシャルロールカーブを強調して図示しているが、実際のイニシャルロールカーブとは異なっている。
この2段式圧延機1は、図1及び図2に示すように、ハウジング9と、ハウジング9内において上下方向(Z方向)に配設された上側ワークロール2及び下側ワークロール3と、上側ワークロール2の両端部側をそれぞれ個別に回動自在に支持する軸受部としての一対の上側ワークロールチョック4a,4bと、下側ワークロール3の両端部側をそれぞれ個別に回動自在に支持する軸受部としての一対の下側ワークロールチョック5a,5bとを備えている。
また、2段式圧延機1は、後述するハウジング9の天板部9aと一対の上側ワークロールチョック4a,4bとの間に、一対の上側ワークロールチョック4a,4bの各々に対応してそれぞれ個別に配設された一対のプレッシャーブロック7を備えている。
ここで、上側及び下側ワークロール2,3は、本発明の第1及び第2のワークロールに対応する。また、一対の上側ワークロールチョック4a,4bは、本発明の一対の第1のワークロールチョックに対応し、一対の下側ワークロールチョック5a,5bは、本発明の一対の第2のワークロールチョックに対応する。
つまり、一対の上側ワークロールチョック4a,4b及び一対の下側ワークロールチョック5a,5bの各々は、昇降手段10により昇降可能となっている。
上側ワークロール2及び下側ワークロール3の各々は、被圧延材Sの厚さ方向(Z方向)、即ち上下方向に互いに対向して配置されている。この上側及び下側ワークロール2,3の各々は、各々の軸方向(Y方向)に逆向きに相対移動することによって各々の間のロールギャップGが変化するイニシャルロールカーブで形成されている。すなわち、本実施形態の2段式圧延機1は、上側ワークロール2及び下側ワークロール3の各々がCVCロールで形成されている。
車輪16及び車輪取付部材18は一対の下側ワークロールチョック5a,5bに対してそれぞれ2組ずつ設けられている。この2組の車輪16及び車輪取付部材18の各々は、X方向において互いに離間して配置され、対応する下側レール12の上方に車輪16が位置するように配置されている。
昇降手段10は、前述したように、一対の上側ワークロールチョック4a,4bを昇降可能に支持する前述の複数(本実施形態にあっては4つ)のワークロールバランサ8と、一対の下側ワークロールチョック5a,5bを昇降させるとともに一対の下側ワークロールチョック5a,5bを昇降させて一対の上側ワークロールチョック4a,4bを昇降させる前述の一対の圧下シリンダ6と、図5に示すように、一対の圧下シリンダ6を駆動する油圧回路31と、油圧回路31を制御する制御装置40とを備えている。
また、制御装置40は、ポンプ33、第1バルブユニット36、第2バルブユニット37、及び第8配管39hに接続された圧力検出器38に接続されている。制御装置40は、第1バルブユニット36及び第2バルブユニット37のそれぞれの閉止制御及び方向制御を行う。
具体的に述べると、一対の下側ワークロールチョック5a,5の各々を停止させている状態、即ち一対の圧下シリンダ6を停止させている状態では、制御装置40は、第1バルブユニット36及び第2バルブユニット37の双方の停止制御を行う。
図1及び図2は、一対の下側ワークロールチョック5a,5bを昇降手段10の圧下シリンダ6で圧下し、上側及び下側ワークロール2,3に圧下荷重を供給して上側ワークロール2と下側ワークロール3との間を通る被圧延材Sを圧延する圧下状態(圧延状態、具体的には、圧下シリンダ位置が0mmの状態)を示している。一方、図3及び図4は、昇降手段10による一対の下側ワークロールチョック5a,5bへの圧下を解除することで上側及び下側ワークロール2,3への圧下荷重の供給を解除して上側及び下側ワークロール2,3間を開放する開放状態を示している。
そして、一対の上側ワークロールチョック4a,4bの各々においても、ワークロールバランサ8のシリンダロッド8aの先端部及びプレッシャーブロック7に接触した状態で支持されている。また、一対の上側ワークロールチョック4a,4bの各々の車輪15も、上側レール11上に位置し、この上側レール11から離間した状態で配置されている。
そして、一対の上側ワークロールチョック4a,4bの各々においても、ワークロールバランサ8のシリンダロッド8aの先端部及びプレッシャーブロック7から離間し、かつ車輪16を介して上側レール11に乗るようにして支持された状態で、車輪15が上側レール11上を回動しながら走行することによって上側ワークロール2と共にその軸方向(Y方向)に移動する。
そこで、本実施形態の2段式圧延機1は、隙間g1及びg2が広い場合であっても、一対の上側ワークロールチョック4a,4b及び一対の下側ワークロールチョック5a,5bの各々が各々の車輪15,16を介して上側レール11及び下側レール12に個別に支持されるまで短時間で行われるように昇降手段10を構成している。
この際に、高圧流体(作動油)が一対の圧下シリンダ6の各シリンダチューブ6b内に流れ込むから、開放状態からシリンダ位置が0mmになるときにシリンダロッド6aが10mm/sec〜600mm/secの速度で急速に上昇し、シリンダ位置が0mmから圧下状態になるときにやや緩やかな速度でシリンダロッド6aが上昇する。
このように、本実施形態の2段式圧延機1を用いたロールシフト方法は、被圧延材Sの溶接部を通過させるための開放状態52(図7参照)を利用し、この開放状態52の期間中に、上側及び下側ワークロール2,3を各々の軸方向に逆向きに相対移動させて上側及び下側ワークロール2,3間のロールギャップGを被圧延材Sの板クラウンに対応して変更するので、被圧延材Sの溶接部を通過させるための開放状態52とは別に新たに開放状態を設けてロールギャップGを変更する場合と比較して、製造ラインの生産能力を阻害することなく、被圧延材Sの板クラウンに対応して上側及び下側ワークロール2,3間のロールギャップGを変更することができる。
ここで、「溶接点通過時間」は、図12において、2段式圧延機1を被圧延材Sの溶接部Saが通過する際に、溶接部Saを含む被圧延材Sのうちの2段式圧延機1によって圧延されない部分の長さである溶接点不圧部長さLをライン速度Vで除した値である。溶接点不圧部長さLは、予め決定されている被圧延材Sのうち製品として使用されない部分の長さである。
また、ロールシフト装置20による上側ワークロール2及び下側ワークロール3のシフト速度は、10mm/sec以上200mm/sec以下であることが好ましい。当該シフト速度が10mm/secよりも遅いと、ロールギャップ変更時間が、溶接点通過時間よりも長くなってしまうおそれがある。一方、当該シフト速度が、200mm/secよりも速いと、装置の構成上実現することが難しい。
但し、上側ワークロール2及び下側ワークロール3をロールシフト装置20によってシフトする際には、上側ワークロール2及び下側ワークロール3の停止精度として±1mmが必要なので、停止直前はシフト速度が10mm/secとなることがあり得る。
先ず、ロールギャップ変更時間を説明する前に、下側ワークロール3側の車輪16と下側レール12との間の隙間g2及び上側ワークロール2側の車輪15と上側レール11との間の隙間g1について説明する。
隙間g2=(A−B)−φD2/2
そして、2段式圧延機1において、本実施形態のように、昇降手段10によって前述の急速開放及び急速圧下を行なう場合には、ロールギャップ変更時間は、図7に示すように、次のようになる。急速開放及び急速圧下の際の上側ワークロール2又は下側ワークロール3の上下方向移動速度を50mm/secとする。また、上側ワークロール2及び下側ワークロール3のシフト速度は、50mm/secとする。
=150mm/50mm/sec+5sec+150mm/50mm/sec
=11sec
ロールギャップ変更時間=圧下シリンダ開放時間+シフト時間+圧下シリンダ上昇時間=上側ロール側又は下側ロール側の隙間g1又はg2/上側ロール又は下側ロールの上下方向移動速度+シフト時間+上側ロール側又は下側ロール側の隙間g1又はg2/上側ロール又は下側ロールの上下方向移動速度
=150mm/2mm/sec+5sec+150mm/2mm/sec
=155sec
従って、本実施形態のように、2段式圧延機1において、昇降手段10によって前述の急速開放及び急速圧下を行なう場合の方が急速開放及び急速圧下を行なわない場合よりもロールギャップ変更時間が短くなることが理解されよう。
上流の圧延処理で被圧延材Sに生じた板クラウンを矯正して平坦度修正を行う場合には、耳伸び(端伸び)及び腹伸び(中の伸び)などの平坦度不具合の発生を抑制する必要がある。耳伸びは、被圧延材Sの幅方向(Y方向)の中央部に対して端部の伸びが大きくなって端部で波が生じる現象のことである。また、腹伸びは、この耳伸びとは逆の現象で被圧延材Sの幅方向(Y方向)の端部に対して中央部の伸びが大きくなって中央部で波が生じる現象のことである。
耳伸びは、「ロールクラウン」>「板クラウン」の場合に発生する。腹伸びは、「ロールクラウン」<「板クラウン」の場合に発生する。
フラットロールで上側及び下側ワークロールの各々が形成された通常の2段式圧延機では、耳伸び及び腹伸びが発生しない圧延荷重領域62bは約250〜350トン程度に限られていた。これに対し、本実施形態の2段式圧延機1では、ワークロールの撓み量に追随してロールクラウンを増加することができるので、耳伸び及び腹伸びが発生しない圧延荷重領域62bを約100〜500トン程度に拡大することができる。
また、前述の実施形態では、第1及び第2の移動手段として車輪15及び車輪16を用いた場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2の移動手段としては摩擦抵抗が小さいものであれば他のものでもよい。
以上説明したように、本発明に係る2段式圧延機及びロールシフト方法は、一対のワークロール間のロールギャップを迅速に変更することができるという効果を有し、圧延設備内に配備される圧延機及びそれを用いたロールシフト方法に有用である。
Claims (9)
- 各々が被圧延材の厚さ方向に互いに対向して配置され、各々の軸方向に逆向きに相対移動することによって各々の間のロールギャップが変化するイニシャルロールカーブで形成された第1及び第2のワークロールと、
前記第1のワークロールの両端側を個別に支持する一対の第1のワークロールチョックと、
前記第2のワークロールの両端側を個別に支持する一対の第2のワークロールチョックと、
前記第1及び第2のワークロールの各々の軸方向に個別に延在する第1及び第2のレールが支持されたハウジングと、
前記一対の第1のワークロールチョック及び前記一対の第2のワークロールチョックを昇降させる昇降手段と、
前記一対の第1のワークロールチョックの各々に設けられ、かつ前記第1のレール上を移動する第1の移動手段と、
前記一対の第2のワークロールチョックの各々に設けられ、かつ前記第2のレール上を移動する第2の移動手段と、
前記一対の第1及び第2のワークロールチョックの各々が前記第1及び第2の移動手段を介して前記第1及び第2のレールに個別に支持された状態で、前記一対の第1のワークロールチョックと共に第1のワークロールと、前記一対の第2のワークロールチョックと共に第2のワークロールとを各々の軸方向に逆向きに相対移動させるロールシフト装置とを備え、
前記昇降手段は、前記第1及び第2のワークロールに圧下荷重を供給して前記第1及び第2のワークロール間を通る前記被圧延材を圧延する圧下状態から前記第1及び第2のワークロールへの圧下荷重の供給を解除して前記第1及び第2のワークロール間を開放する開放状態に移行する際に、前記第1及び第2のワークロールによる圧下を開放するように前記一対の第1のワークロールチョック及び前記一対の第2のワークロールチョックを下降させ、前記ロールシフト装置によって前記第1のワークロールと前記第2のワークロールとを相対移動させた後に、前記開放状態から再び前記圧下状態に移行する際に、前記第1及び第2のワークロールによって圧下するように前記一対の第1のワークロールチョック及び前記一対の第2のワークロールチョックを上昇させることを特徴とする2段式圧延機。 - 請求項1記載の2段式圧延機において、
前記昇降手段は、前記一対の第1のワークロールチョックを昇降可能に支持する一対のワークロールバランサと、前記一対の第2のワークロールチョックを昇降させるとともに前記一対の第2のワークロールチョックを昇降させて前記一対の第1のワークロールチョックを昇降させる前記一対の圧下シリンダと、該一対の圧下シリンダを駆動する油圧回路と、該油圧回路を制御する制御装置とを備え、前記油圧回路には、該油圧回路に設けられたポンプから吐出する流体を蓄えて前記一対の圧下シリンダに高圧流体を供給するアキュムレータが設けられていることを特徴とする2段式圧延機。 - 請求項1又は2に記載の2段式圧延機において、
前記第1及び第2の移動手段は、前記一対の第1及び第2のワークロールチョックの各々に回動自在に設けられた車輪であることを特徴とする2段式圧延機。 - 請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の2段式圧延機において、
前記第1及び第2のワークロールによる圧下の開放は、前記昇降手段を構成する一対の圧下シリンダのそれぞれのシリンダロッドを、圧下シリンダ位置0mmの位置から前記開放状態に至るまで10mm/sec〜600mm/secの速度で下降させて前記一対の第1のワークロールチョック及び前記一対の第2のワークロールチョックを下降させるものであり、前記第1及び第2のワークロールによる圧下は、前記昇降手段を構成する一対の圧下シリンダのそれぞれのシリンダロッドを、前記開放状態から圧下シリンダ位置0mmの位置まで10mm/sec〜600mm/secの速度で上昇させて前記一対の第1のワークロールチョック及び前記一対の第2のワークロールチョックを上昇させるものであることを特徴とする2段式圧延機。 - 請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の2段式圧延機において、
前記ロールシフト装置は、前記第1のワークロール及び前記第2のワークロールを10mm/sec以上200mm/sec以下のシフト速度で相対移動させることを特徴とする2段式圧延機。 - 請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の2段式圧延機を用いたロールシフト方法であって、
前記第1及び第2のワークロールに圧下荷重を供給して前記第1及び第2のワークロール間を通る前記被圧延材を圧延する圧下状態から前記第1及び第2のワークロールへの圧下荷重の供給を解除して前記第1及び第2のワークロール間を開放する開放状態に移行し、前記第1及び第2のワークロール間を前記被圧延材の溶接部が通過した後、前記開放状態から再び前記圧下状態に移行する一連の動作のうちの前記開放状態の期間中に、前記一対の第1及び第2のワークロールチョックの各々が前記第1及び第2の移動手段を介して前記第1及び第2のレールに個別に支持された状態で、前記一対の第1のワークロールチョックと共に第1のワークロールと、前記一対の第2のワークロールチョックと共に第2のワークロールとを前記ロールシフト装置で各々の軸方向に逆向きに相対移動させて前記第1及び第2のワークロール間のロールギャップを変更することを特徴とするロールシフト方法。 - 請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の2段式圧延機を用いて、連続的に鋼板を調質圧延することを特徴とする連続式調質圧延方法。
- 請求項6に記載のロールシフト方法を用いて、連続的に鋼板を調質圧延することを特徴とする連続式調質圧延方法。
- 請求項7又は8に記載の連続式調質圧延方法により製造されたことを特徴とする鋼板。
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