JP2016155100A - 微量pcb付着廃棄物の洗浄および運搬容器 - Google Patents

微量pcb付着廃棄物の洗浄および運搬容器 Download PDF

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Abstract

【課題】
微量PCBが付着した大型の変圧器等の電気機器を処理場所まで、環境を汚染することなく、効率的に移載および運搬できる運搬容器を実現する。
【解決手段】
微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器が有するインナー容器には、微量PCB付着廃棄物を収容可能である。インナー容器本体の後面部であって上部にはインナー容器本体内に洗浄液を供給するための供給用フランジが、インナー容器本体の後面部であって下部には部インナー容器本体から洗浄液を排出するための排出用フランジが設けられている。インナー容器の内容積は、長手方向長さが4.6mより大で、幅方向長さが2mより大で、高さ方向長さが2.7mより大であり、重量8トンまでの微量PCB付着廃棄物を収容可能である。洗浄および運搬容器をトレーラに載せたまま前記微量PCB付着廃棄物の洗浄を可能にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、過去の使用においてPCBが付着した電気機器等の廃棄物を、洗浄して微量PCBを除去する際に用いる洗浄および運搬容器に関する。
送変電に用いる変圧器等の電気機器では、かつてPCBを絶縁油として使用していた。環境汚染防止の観点から、昭和47年にPCBの製造が中止され、平成13年7月に施行された法律によりPCBを使用していた変圧器等の電気機器は、PCB絶縁油を抜いた後に抜き取ったPCB液を保管することとなった。それとともに、表面にPCBが付着した変圧器容器や変圧器の内部部品は、微量PCBの処理方法が確立されていなかったので、原形をとどめたままで保管されていた。近年この微量PCBについても処理方法が開発され、徐々に変圧器等の電気機器への適用がなされている。
微量PCBが付着した電気機器を処理する場合には、例えば、大型の変圧器を廃棄する場合、その重さが10トン以上にもなると、外形形状が大き過ぎること及び道路運送法上の制限により、PCB処理場へそのままでは運搬することが困難になる。そのため、電気機器を一旦解体および分割して運搬している。その際、容器内壁面や内蔵部品に付着した微量PCBが、運搬中や解体・移載中に外部へ漏洩するのを防止するために、廃棄物となる電気機器を切断や解体により小型化して、容量1m程度の専用の容器に収納し、密閉性を確保して運搬や移載している。
このような微量PCBが付着した電気機器の処理方法及び処理装置の例が、特許文献1〜3に記載されている。特許文献1に記載のPCB封入機器の解体処理方法では、PCBを封入した機器を鋸切断等によって解体処理している。その際、PCBを冷却液として鋸にかけている。
また特許文献2に記載の低濃度PCB含有絶縁油封入機器の処理方法では、大掛かりな処理プラントを不要とするために、PCB絶縁油を抜き取らずにガンマ線を照射させて法定基準以下まで濃度を低下させている。さらに、特許文献3に記載のPCB使用機器の無害化処理システムでは、PCBを抜き取った後に容器および内部部材に残留するPCBを、触媒槽やマイクロ波照射装置、冷却器、保温部材、加熱器、ヒートポンプ等の手段を備えたシステムを構成して処理している。
なお、危険物を運搬するためや外部への漏洩防止または外部からの汚染防止が求められる液体や固体を運搬するための運搬容器の例が、特許文献4〜6に記載されている。
特開2005−95710号公報 特開2010−269283号公報 特開2008−272550号公報 特開2000−7084号公報 特開2011−526231号公報 特開平5−246482号公報
上記特許文献1に記載のPCBを封入した機器の解体方法では、機器を解体するために多大な労力を要するとともに、解体した機器を運搬及び無害化処理することについては開示がない。すなわち、解体した機器も周囲環境を汚染する恐れがあるので、十分な注意を払って処理場まで運搬する必要が生じるが、この運搬については考慮されていない。
また、特許文献2及び3に記載の方法では、処理装置としてガンマ線照射装置やマイクロ波照射装置を必要としている。そのため、柱上変圧器等の比較的小型の電気機器であれば、処理装置の小型化が可能になり処理装置の移動も可能となるが、10トン以上もある大型の変圧器等の場合、照射装置も大型化して変圧器が保管されている場所まで、照射装置を移動することが困難である。さらに、被処理物である変圧器を処理場所まで移動させなければならないが、その移動については、これらの特許文献2,3では考慮されていない。
特許文献4〜6には、危険物等を運搬する際の密封容器について開示されている。しかし、これらは微量PCBが付着した大型の電気機器に関するものではないので、例えば大型の変圧器の場合に、どのように環境汚染を防止して容器内に収容するかについてまでは、考慮されていない。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は微量PCBが付着した大型の変圧器等の電気機器を処理場所まで、環境を汚染することなく、効率的に移載および運搬できる運搬容器を実現することにある。また、この運搬容器を、微量PCBが付着した電気機器の無害化処理の処理装置の一部として利用できるようにして、処理後の電気機器を一般産業廃棄物としてそのまま運搬及び廃棄できるようにすることも目的とする。
上記目的を達成する本発明の特徴は、角型鋼管と鋼板を組み合わせて水密に構成したインナー容器本体と、このインナー容器本体に水密に係合する角型鋼管と鋼板とを組み合わせて構成されたインナー容器上蓋とをパッキンを介して着脱自在に結合して水密性のインナー容器を構成し、前記インナー容器を収納し前記インナー容器よりも高さが低いアウタートレイと前記インナー容器とで構成された微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器において、前記インナー容器には微量PCB付着廃棄物を収容可能であり、前記インナー容器本体の後面部であって上部には前記インナー容器本体内に洗浄液を供給するための供給用フランジが、前記インナー容器本体の後面部であって下部には前記インナー容器本体から洗浄液を排出するための排出用フランジがそれぞれ設けられており、前記インナー容器の内容積は、長手方向長さが4.6mより大で、幅方向長さが2mより大で、高さ方向長さが2.7mより大であり、重量8トンまでの微量PCB付着廃棄物を収容可能であり、前記洗浄および運搬容器をトレーラに載せたまま前記微量PCB付着廃棄物の洗浄を可能にする配管系統を前記供給用フランジおよび前記排出用フランジに連結したことにある。
そしてこの特徴において、前記アウタートレイの後面側下部には、前記インナー容器本体に設けた前記排出用フランジに対応する位置であってアウタートレイの内外面側にアウタートレイ排出用フランジが設けられており、内面側の前記アウタートレイ排出用フランジと前記インナー容器の前記排出用フランジ間を、バタフライ弁を介して接続するフレキシブルジョイントを有し、前記配管系統は分岐管の構成であり、一方の分岐部が外面側の前記アウタートレイ排出用フランジに接続されており、他方の分岐部が前記インナー容器の供給用フランジに接続されており、分岐の元側の残りの配管には、弁を介してカプラーが端部に設けられており、このカプラーを洗浄装置の洗浄液送液配管カプラーに着脱可能とするのがよい。
また上記特長において、前記インナー容器本体の後面側上部および下部に液面計用フランジを、下部にオーバーフロー配管用フランジをそれぞれ設け、前記アウタートレイの下部に液面計用のフランジとオーバーフロー配管用フランジをそれぞれ設け、前記インナー容器本体下部の液面計用フランジと前記アウタートレイの液面計用フランジ間を、バタフライ弁を介してフレキシブルジョイントで接続し、さらに、前記インナー容器本体下部のオーバーフロー配管用フランジと前記アウタートレイのオーバーフロー配管用フランジを、フレキシブルジョイントで接続するのが望ましい。
さらに上記特徴において、前記インナートレイを構成する両側面上部メインフレームよりも低い位置の外表面側に間隔を置いて丸棒のインナー容器側係止手段を複数個設け、前記アウタートレイを構成する両側面上部メインフレームの内面側であって、前記インナー容器側係止手段に対応する位置に溝形鋼のアウタートレイ側係止手段を設け、インナー容器側係止手段の丸棒をアウタートレイ側係止手段の溝形鋼に係止させてアウタートレイの開き防止手段とすることが望ましい。
さらにまた、前記アウタートレイの内周面の複数個所に、上下方向に延びる溝形鋼のインナー容器ガイド手段を設け、前記インナー容器本体を構成する角型鋼管の部分であってその外表面側の上下方向に間隔を置いた位置、かつ前記アウタートレイのインナー容器ガイド手段に対応する位置に、丸棒のインナー容器係止ガイドを設けることが望ましい。
さらにまた、前記インナー容器本体を構成する上端側の角型鋼管からなるフレームの外表面側に、一対の上蓋ガイドとこの一対の上蓋ガイド間に配置されたクランプとからなるセットを複数個設け、前記インナー容器上蓋の下側フレームの外表面であって前記クランプ位置に対応する位置に受け座を設け、前記インナー容器本体と前記前記インナー容器上蓋とを前記上蓋ガイドをガイドとして位置決めするとともに、前記インナー容器本体と前記インナー容器上蓋間にパッキンを配置したのち前記クランプを前記受け座に係止して前記インナー容器を水密に構成するのが望ましい。
さらに、前記インナー容器本体および前記アウタートレイの下面の長手方向中間部に、幅方向に延びる一対の不等辺角型鋼を取り付け、それぞれフォークリフトガイドとしてもよい。
本発明によれば、微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器を、アウタートレイとインナー容器の2重構造とし、アウタートレイが低床トレーラと同程度の床面積を有し、インナー容器にアウタートレイを介して外部の洗浄装置に接続する手段を設けたので、微量PCBが付着した大型の変圧器等の電気機器を処理場所まで、環境を汚染することなく、効率的に移載および運搬できる。また、この運搬容器を、微量PCBが付着した電気機器の無害化処理の処理装置の一部として利用できるので、処理後の電気機器を一般産業廃棄物としてそのまま運搬及び廃棄できる
本発明に係る微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器の一実施例を、トレーラに積載する様子を示す分解斜視図である。 インナー容器が有する容器本体の側面図および上面図、後面図である。 インナー容器が有する上蓋の側面図および底面図、前面図である。 アウタートレイの側面図および上面図、後面図である。 図1に示した容器を構成するアウタートレイとインナー容器を組み合わせて使用する様子を説明する側面図でおよび上面図である。 アウタートレイとインナー容器を組み合わせて使用する様子を説明する後面図および配管部分の詳細を説明する図である。 インナートレイが備えるオーバーフロー制御手段を説明する図である。 容器本体に上蓋を係止するための係止部材の詳細を説明する図である。 アウタートレイの側面開き防止手段の詳細を説明する図である。 アウタートレイ底面に設けたフロートスイッチの斜視図および上面図である。 アウタートレイにインナー容器を収納する際に用いる位置決め手段の詳細を説明する図である。 本発明に係る洗浄および運搬容器を用いて、運搬及び洗浄を実行する手順を説明する図である。 本発明に係る洗浄および運搬容器を用いて、運搬及び洗浄を実行する手順を説明する図である。
以下、本発明に係る微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器(以下、洗浄・運搬容器とも称す)10の一実施例について、図面を用いて説明する。図1は、洗浄・運搬容器10の概略を示す分解斜視図であり、低床トレーラ610を牽引するトレーラ車600に、車載する様子を示す図である。洗浄・運搬容器10は、インナー容器50を構成する箱型のインナー容器本体100と、インナー容器本体100の上面を図示しないパッキンを介して封止するインナー容器上蓋200と、インナー容器本体100の上部を露出して収納する箱型のアウタートレイ300を有している。インナー容器50内には詳細を後述する微量PCBが付着した主として金属製の廃棄物が収納される。
インナー容器本体100の上端周縁部には、洗浄・運搬容器100を低床トレーラ610に固縛して運搬可能とするための固縛用金具149,151が複数個設けられている。一方、低床トレーラ610の両側面部には、進行方向に間隔を置いて複数の固縛具(フック)603が取り付けられている。インナー容器50を低床トレーラに固縛する際は、これらの固縛用金具149,151および固縛具603を用いて、ワイヤ450で固縛する。ワイヤの両端部は係止部452を構成しており、中間部には長さ調整手段451が設けられている。
インナー容器本体100の上下方向中間部であって両側面部には、アウタートレイ300が使用中に変形するのを防止するために、開き防止治具155が複数設けられている。この開き防止治具155の位置に対応するアウタートレイ300の内周上端部には、開き防止治具336が取り付けられている。
アウタートレイ300の内周面であって、両側面および正面(図1では右側面)には、上下方向に延びコの字状の溝を形成するインナー容器収納ガイド333が複数取り付けられている。インナー容器収納ガイド333の位置に対応する位置であって、インナー容器の両側面および正面には、上下方向に間隔を置いて複数の突起からなるインナー容器係止ガイド156が形成されている。インナー容器本体100に形成したガイド156を、アウタートレイ300の内周面に形成したインナー容器収納ガイド333内を滑らせて下ろすことにより、インナー容器50をアウタートレイ300内に位置決めする。
アウタートレイ300の下部には、フォークリフトでアウタートレイ300を運搬可能なように、一対のフォークガイド305が中心間距離約1500mmの間隔で配置されている。同様に、インナー容器本体200の下部にも、一対のフォークガイド105が中心間距離約1500mmの間隔で配置されている。
インナー容器本体200およびアウタートレイ300の後面側(図1では左側)には、複数のフランジ131、351が取り付けられており、インナー容器50内に洗浄液を供給および排出するのに用いられる。ここで、インナー容器本体100の後面左側に上下に配置したフランジ131は、洗浄液の液面を指示する液面計401を取り付けるために設けられている。液面計401の上端に設けたフランジ418は直接インナー容器本体100のフランジ131と接続される。一方、液面計401の下端に設けたフランジ418は、アウタートレイ300に設けたフランジ351に取り付けられている。アウタートレイ300とインナー容器本体100間は、インナー容器本体100側に位置するバタフライ弁420およびフレキシブルジョイント408で接続される。バタフライ弁420は、フレキシブルジョイント408が破損してインナー容器本体からPCBを含む洗浄液が漏洩するのを防止するために設けられている。
インナー容器50に洗浄液を供給するまたは洗浄液を排出する横方向に延びる配管416の一端側には、カプラー404が取り付けられており、ボール弁403を介して分岐配管となっている。分岐配管の一方は、上下方向に延びる配管410であり、この配管410の途中には逆止弁402が介在している。分岐配管410の上端にはフランジ418が取り付けられており、インナー容器本体200に取り付けたフランジ131と直接接続される。この分岐配管410は、洗浄液の供給時に利用される。分岐管の他方の配管415は横方向に延び逆止弁402を介して端部にフランジ418が取り付けられている。フランジ418は、アウタートレイ300のフランジ351に接続される。アウタートレイ300とインナー容器本体100間は、インナー容器本体100側に配置したバタフライ弁420およびフレキシブルジョイント408で接続される。このバタフライ弁420もフレキシブルジョイント408が破損してインナー容器本体100からPCBを含む洗浄液が漏洩するのを防止するために設けられている。配管415は、洗浄液の排出に利用される。逆止弁402は、洗浄液の供給および排出の際に、洗浄液が逆流するのを防止する。ボール弁403は、インナー容器50内に洗浄液を保持するために用いる。
同様に、オーバーフローした洗浄液を排出するための配管417の一端側にはカプラー404が、他端にはフランジ418が取り付けられており、フランジ418はアウタートレイのフランジ351に接続される。アウタートレイ300とインナー容器本体100間は、フレキシブルジョイント408で接続される。
フレキシブルジョイント408の締結作業等のために、アウタートレイ300の後面側であって、フランジ351が設けられた近傍には、矩形状の穴が形成されており、この穴を脱着蓋344,347で封止している。さらに、後面側に取り付けたこれらの配管を固縛時にワイヤ450等から保護するために、アウタートレイ300の後面両端部の下半部には、固縛干渉防止部が設けられている。
次に、各部材の詳細を図2以下により説明する。図2は、インナー容器50を構成するインナー容器本体100の3面図であり、同図(a)はその側面図、同図(b)は後面図、同図(c)はその上面図である。なお上面図では、上下方向中央位置で投影高さを変えている。図3は、インナー容器本体100の上面を覆うインナー容器上蓋200の3面図であり、同図(a)は側面図、同図(b)は底面図、同図(c)は前面図(後面図)である。
インナー容器50は、水密式の6面体密閉構造であり、その外形寸法は長手方向長さが約5m、幅が約2.7m、高さが上蓋200で蓋をした状態で約3mである。また、内径寸法は、長手方向長さが約4.7m、幅が約2m、高さが2.7mである。インナー容器本体100の重量は約6トン、上蓋200の重量は0.85トンである。このように重量物であるため、荷役には、大型のフォークリフトまたはクレーン等の吊下装置を使用可能になっている。
インナー容器本体100では、2本の長さの長い角型鋼管製の側面上部メインフレーム119と、2本の長さの短い角型鋼管製の前・後面メインフレーム121とで枠を形成している。そして角部には上下方向に延びる角型鋼管製のコーナー支柱117が配設されている。コーナー支柱117の下端部には、コーナー支柱117間を長手方向に連結する角型鋼管製の側面下部メインフレーム114と、コーナー支柱117の上下方向中間部間を幅方向に連結する前・後面メインフレーム121とが接続されている。また、前面側のコーナー支柱117の下端間を連結する前面下部メインフレーム115と、背面側のコーナー支柱117の下端間を連結するための一対の後面下部メインフレーム116とが設けられている。後面下部メインフレーム116は、他のメインフレームと同規格の角型鋼管である。これらにより6面体の辺部が形成される。
形成された6面体の辺部の内側面には、天井部を除いて鋼板が溶接されている。すなわち、両側面部には側面板102が、前面部には前面板103が、後面部には後面板103が、そして床面部には床面板101が取り付けられて、水密構造を形成する。側面板102の長手方向ほぼ中央部分には、コーナー支柱117や各メインフレームに用いたのと同じ規格の角型鋼管製の中央縦フレーム122が、側面板の上下方向ほぼ中央部には側面メインフレーム114,119と同規格の角型鋼管製の側面中央メインフレーム120が側面板102の変形を防止するために設けられている。
さらに、側面上部メインフレーム119と側面中央メインフレーム120との間には横方向に延び、側面メインフレーム114,119よりも細いサブフレーム126が設けられている。なお、図示を省略したが、サブフレームは側面中央メインフレーム120と側面下部メインフレーム114との上下方向中間部にも設けられている。また、横方向に延びるメインフレーム114,120,119やサブフレーム126の間に、上下方向に延び長手方向に間隔を置いて、サブフレームと同規格の角型鋼管製のリブ部材が多数取り付けられている。サブフレームおよびリブ部材は、側面板102の変形防止用の補強材として機能する。
後面板104の変形を防止するために、幅方向ほぼ中央部にはサブフレーム122が上部に、下部にサブフレーム123が取り付けられている。下側のサブフレーム123は、後述するフランジ131の取り付けのため、上側のサブフレーム122より長さが短いが、同規格の角型鋼管製である。後面板104の上下方向ほぼ中央部には横方向に延びる上述した前・後面メインフレーム121が、下端部には一対の後面下部メインフレーム116が、フランジ補強部125を挟んで取り付けられている。後面下部メインフレーム116は、各メインフレームと同規格の角型鋼管製である。図示しないが、後面板104においても、多数の角型鋼管製のサブフレームおよびリブ部材がメインフレーム間を上下方向及び左右方向に延びて取り付けられている。
前面板103にも後面板104と同様に、サブフレームやリブ部材が取り付けられて補強されている。ただし、前面板103側にはフランジを取り付ける必要がないので、その構造はより単純な格子状になっている。底面板102の外表面側にも格子状に角型鋼管製のサブフレームやリブ部材が取り付けられて補強されている。また。底面板102の下方には、長手方向中間部に中心間隔約1.5mで幅方向に延びるフォークガイド105が一対設けられている。フォークガイド105は、不等辺の角型鋼管製である。
側面上部メインフレーム119、及び前面板103の上端部と後面板の上端部に位置する前・後面メインフレーム121の外周には、インナー容器上蓋200を取り付けるための、クランプ143が間隔を置いて多数(本実施例では長手方向に5か所、幅方向に3か所)設けられている。クランプ143の両側には、互いに対称に形成された上蓋ガイド143が設けられている。これらクランプおよび上蓋ガイドの詳細は、図7を用いて後述する。
側面上部メインフレーム119、及び前面板103の上端部に位置する前・後面メインフレーム121の外周には、概略円筒形の固縛用金具151が複数個設けられている。また後面板104の上端部に位置する前・後面メインフレーム121の外周には、概略円筒形であって固縛用金具151よりも軸長の長い固縛用金具149が設けられている。固縛用金具151にはワイヤ450が装架されるので、ワイヤにより後面側に配置した配管等が損壊するのを防止するため、固縛用金具149の軸長を長くしている。
各コーナー支柱117の外周面であって後面側を除く部分には、高さ方向に間隔を置いて、丸棒で形成されたインナー容器係止ガイド156が取り付けられている。インナー容器係止ガイド156は、上述したようにインナー容器本体100を、アウタートレイ300に位置決めしながら収容する際のガイドとして利用される。さらに側面板102の外面に取り付けたサブフレームの中で、側面中央メインフレーム120よりも上部に取り付けたサブフレーム126の外面には、開き防止金具156が取り付けられている。開き防止金具の詳細は、図8において後述する。開き防止金具156及び最上部のインナー容器係止ガイド156の高さ位置は、後述するアウタートレイ300の上部メインフレームの位置に合致するよう、設定される。
インナー容器本体200の床面は、幅方向中央に向かって2°弱傾斜しており、洗浄液の排出に適するようになっている。洗浄液が円滑に排出されるよう、インナー容器本体100の内部側であって幅方向中央部かつ最下部には、パイプを半円形に切断した排液受け148が、補強部材125に設けたフランジ131の穴に連通して設けられている。また、床面板101には、内部に収容する微量PCB付着廃棄物30(図10A参照)が運搬中に移動せずに保持できるとともに床面の水平性を維持するために、多数の貫通穴が形成されたC型フレームからなる保持手段137が設けられている。さらに、インナー容器本体200の内周上端部には、複数の吊り具(シャックル)用金具146が取り付けられている。シャックル146は、インナー容器本体100の内部に微量PCB付着機器20を収納する際にワイヤで一時的に仮固定し、荷卸しする際に再びワイヤで吊り上げ作業する、一連の動作を、容易に実行できるために用いられる。インナー容器本体100の後面104付近には、詳細を図6で説明するオーバーフロー制御手段448が設けられている。
後面板104の外面であって上部左側および下部左側には、液面計401取り付け用のフランジ131が、上部右側には洗浄液を供給する配管410用のフランジ131が、それぞれ設けられている。また、下部右側にはオーバーフロー液を排出する配管417用のフランジ131が設けられている。底部中央部には、洗浄液を排出する配管402を取り付けるためのフランジ131が設けられている。なお、洗浄液排出用フランジ131の周辺部分は、補強手段125により補強されている。
インナー容器上蓋200も、インナー容器本体100と同様に、角型鋼管で上下に長方形枠を形成し、角部に配置した角型鋼管製のコーナー支柱208で上下の枠を接続して形成される。具体的には、インナー容器本体100の側面上部メインフレーム119とほぼ同じ長さの側面下部フレーム204と正面フレーム207とを組み合わせて下側の枠を形成し、側面下部フレーム204よりは長さの短い側面上部フレーム206と正面フレームと204を組み合わせた角部にコーナー支柱208を配置して、上下2つの枠とコーナー支柱208で6面体の辺を構成する。ここで、コーナー支柱208の上端部には、運搬容器10にシート等を被せた場合にシート等が破れるのを防止するために面取りが施されている。
側面上部フレーム206の内側下部と側面下部フレーム204の内側上部間を側面板204で覆い、上側の正面フレーム207の内側下部と下側の正面フレーム207の内側上部間を、正面板203で覆う。さらに、側面上部フレーム206の高さ方向中間部と上側の正面フレーム207の高さ方向中間部に、フレーム206、207で形成された枠を覆う上面板201を取り付ける。この構造により、インナー容器上蓋200は、窪みを持つ水密容器を形成する。
インナー容器上蓋200をインナー容器本体100に、NBR(ニトリルゴム)製のスポンジパッキンを介して結合した場合、以下の水密性を有する。すなわち、約1000リットルの水をインナー容器50に供給した後、横倒しにした状態で保持しても、10分程度の間、水漏れがしない。また、外部から雨水等が吹き付けた場合には、インナー容器内に水が侵入しない。さらに、インナー容器50の内部に洗浄液を充填させても洗浄液が漏洩せず、かつインナー容器50が液圧により変形しない。
インナー容器上蓋200の側面には、間隔をおいてこの上蓋を吊り上げるための吊り具218が取り付けられている。また、インナー容器上蓋200の側面下部フレーム204及び前・後面部に配置した下側の正面フレーム207の外側表面には、詳細を図7で説明する係止部材220が間隔を置いて複数設けられている。
インナー容器50の上記変形防止のため、インナー容器上蓋200では、上面板201の上側表面に、上面板201を補強するサブフレームや上面フレーム等が格子状に取り付けられている。格子状に取り付けたサブフレームや上面フレームは角型鋼管製であり、軽量化と高剛性化及び加工性の向上を達成している。また、インナー容器50の内部が負圧になるのを防止するために、インナー容器上蓋200の前・後面板203の上部に、空気抜きドレン手段221を設けている。
なお、インナー容器50を構成するインナー容器本体100およびインナー容器上蓋200の内面は、耐絶縁油性の塗料で塗装されており、洗浄液の仕様においても劣化しないか、もしくは劣化の程度が著しく低いものを用いている。
次に図4を用いて、アウタートレイ300の詳細を説明する。図4は、アウタートレイ300の3面図であり、同図(a)は、アウタートレイ300の側面図、同図(b)は後面図、同図(c)は上面図である。
アウタートレイ300は、インナー容器本体100と同様の構成となっている。すなわち、角型鋼管製の側面上部メインフレーム319と前・後面メインフレーム321とを組み合わせて矩形状の枠を作成する。そして、矩形状の枠の角部に、下方に延びる角型鋼管製のコーナー支柱317を取り付ける。コーナー支柱317の下端部近傍に角型鋼管製の側面下部メインフレーム313、前面下部メインフレーム(図示せず)、後面下部メインフレーム315を取り付けて、6面体の枠組みを形成する。
6面体の枠組みの内面側に、天井部を除いて、底面板301、側面板302、前面板303、後面板304を溶接等で取り付け、水密性の箱を作成する。ここで、アウタートレイ300には、インナー容器50を収納するため、アウタートレイ300の幅方向内側の長さはインナー容器50の幅方向外径長さより長く、アウタートレイ300の長手方向内側の長さはインナー容器50の長手方向外径長さより長くなっている。またアウター容器の高さは、インナー容器50を収容した場合にインナー容器50の上部が上方にはみ出る高さとなっている。
アウター容器300の外表面には、鋼板である底面板301、側面板302、前・後面板303,304の変形を防止し補強するために、リブやフレームが格子状に多数取り付けられている。図5においては、記載を簡略化して、側面中央メインフレーム320と中央縦フレーム322、前面中央縦フレーム323のみを示している。
アウタートレイ300の底面側であって長手方向ほぼ中央部には、幅方向に延びる一対のフォークガイド305が設けられている。フォークガイド305は、不等辺角型鋼管製であり、その中心間距離は約1.5mである。フォークガイド305により、側面からの2方差しが可能になる。アウタートレイ300単体での移動、またはアウタートレイ300にインナー容器50を収容した状態での移動の、いずれの移動をもフォークリフトで可能にしている。
アウタートレイ300の四隅部の底面部には、幅方向外側に延びるドレン配管359が連接されており、アウタートレイ300内に残る液を排出するのに用いられる。また、アウタートレイの後面の両コーナー支柱317の後方に、コーナー支柱317よりも高さが低く長手方向長さが長い固縛干渉防止部材360を設けている。一方の固縛干渉防止部材360には、洗浄液の供給および排出配管416、オーバーフロー配管417に設けたカプラー404との接続を可能にするため、貫通穴が設けられている。
アウタートレイ300の背面側には、インナー容器本体100に取り付けたフランジ131に連通させるために、液面計用、排液用、オーバーフロー用の各フランジ351が取り付けられている。フランジ351は、アウタートレイ300の外表面側だけではなく、内表面側にも設けられており、フレキシブルジョイント408を介してインナー容器本体200のフランジ131に接続される。アウタートレイ300とインナー容器本体100の間にフレキシブルジョイント408を取り付ける作業が容易となるよう、後面板304には大小2種の開口とフランジが設けられており、開口部に脱着可能に取っ手付きの脱着蓋347,344が係止している。脱着蓋347,344をフランジに取り付ける際には、NBR製のスポンジパッキンを介在させて、水密性を保つ。
アウタートレイ300の内周側の3面、すなわち両側面板302の内面と前面板303の内面複数個所には、溝形鋼製のインナー容器収容ガイド333が上下方向に延びて取り付けられている。インナー容器収容ガイド333の上端部は、外側にラッパ状に広がっている。各側面板302の長手方向中間部であって内面上端部には、詳細を図8Aで説明する一対の開き防止治具336が取り付けられている。さらに、アウタートレイ300の底面であって4角部近傍には、詳細を図8Bで説明する洗浄液の漏出検出用のフロートスイッチ370が取り付けられている。
なお、アウタートレイ300の水密性に関しては、インナー容器50をアウタートレイ300内に収容し、インナー容器50とアウタートレイ300間の隙間に水を充填したときに、水漏れとアウタートレイ300の変形を生じさせない、ように規定する。そのため、炭素鋼板製の側面板302、前・後面板303,304、底板301をそれぞれ角型鋼管製のフレームに溶接するとともに、リブとなるサブフレーム等で各面を補強している。
次に、図5A及び図5Bを用いて、インナー容器50をアウタートレイ200に収納した状態を説明する。図5A(a)は、インナー容器50をアウタートレイ100に収納した後の側面図であり、同図(b)はその上面図である。また、図5B(a)は、図5A(a)の後面図であり、アウタートレイ300の一部を破断して示した図であり、同図(b)は右側面図の一部を拡大して示した図である。
上述したように、インナー容器本体100に係止手段440を用いてインナー容器上蓋200が係止される。その際、インナー容器本体100とインナー容器上蓋200間には、例えば厚さ10mm、硬度40のホッティーポリマー製のNBRスポンジゴムパッキンを用いる。
インナー容器上蓋200が係止されたインナー容器50は、ガイド手段444を利用して、アウタートレイ300に収納される。その際、開き防止手段442が係合して、アウタートレイ300の外側への開きが防止される。その後、アウタートレイ300に設けた脱着蓋344,347を外して、フレキシブルジョイント408や液面計401を取り付ける。フレキシブルジョイント408としては、例えばゼンシン(株)製のZ−2000NW防振継手を使用する。液面計401としては、例えばサワダ製作所製の簡易丸ガラス管液面計を使用する。液面計401の可視部は、洗浄・運搬容器10の運搬時を考慮して、フッ素樹脂製とする。液面計401や各種配管を取り付けた後は、脱着蓋344,347を、NBRパッキンを介してフランジに結合する。
次に、インナー容器50及びアウタートレイ200に取り付けた各部品の詳細を図6ないし図9を用いて説明する。図6は、オーバーフロー制御手段448を説明するための図であり、同図(a)はその斜視図、同図(b)は、その一部を断面で示した図である。インナー容器本体100の後面板104の外表面側にはフレキシブルジョイント408接続用のフランジ131が取り付けられている。フランジ131の貫通穴と後面板104に形成した連通穴にニップル135が取り付けられており、このニップル135にエルボ136が螺合している。したがって、エルボ136はニップル135周りに回転可能になっている。
エルボ16のニップル135取付け側とは反対側には長さ約1.8mの配管134が接続されており、配管134の先端部には配管軸に直角に貫通穴134aが形成されている。一方、後面板104の内表面には、半径R(Rは配管134に形成した貫通穴134aの中心までの距離)の位置に、角度θごとにネジ穴付き板132が取り付けられている。ここで、θは10°程度が望ましい。配管134をエルボ16ごと回動させ、必要な洗浄液量高さ位置のネジ穴付き板132のところで、アイボルト133を貫通穴133aに貫通させ、ネジ穴付き板132のネジ穴に螺合させる。この作業は、インナー容器本体100に作業者が入って、手動で実施する。なお、446は洗浄液であり、447は洗浄液447の液面である。
図7は、インナー容器本体100にインナー容器上蓋200を係止させる係止手段440を説明する図であり、同図(a)は係止手段440の斜視図であり、同図(b)は係止手段440を構成するクランプ(係止部材)143の側面図、同図(c)は上蓋ガイド144の側面図である。
係止手段440は、左右対称に形成された一対の上蓋ガイド144と、一対の上蓋ガイド144間に配置されたクランプ143とを有している。上蓋ガイド144は炭素鋼のアングルを加工したもので、ガイド本体部144aの上端部の一辺側を三角形状に切り込んで切欠き部144cを形成し、他辺側をこの切欠き部144cの形状に合わせて曲げて折り曲げ部144bとして傾斜させている。インナー容器上蓋200を、折り曲げ部144bをガイドとしてインナー容器本体100上に位置決め載置させている。先端部の変形を防止するために、切り込み開始部(傾斜開始部)近傍に三角形状の補強板144dを取り付けている。ガイドとして使用するので、上蓋ガイド144は、インナー容器本体100の上側のメインフレーム204,207から突出している。
クランプ143は市販のものであり、例えば、スガツネ工業製(LAMP(商標))のステンレス鋼製ウルトラファスナーおよび受座フックを使用する。具体的には、クランプ受け座220をインナー容器上蓋200の外周面に間隔を置いて多数配置する。クランプ受け座220は、取り付け孔220cが形成された取り付け板220aと、一対のL字型のフック部とから形成されている。一方、ファスナー部は、インナー容器本体100の上側メインフレームの外周に取り付けられる。ファスナー部は、取り付け孔143eが形成された取り付け板143dと、レバー部143aと掛け棒143bとロッド部143cが一体になった本体部とから構成されている。レバー部143aを回動させることによりロッド部143cが上下動し、掛け棒143bが受け座200のL字状のフック部220bに係合する。なお、148はインナー容器上蓋200をインナー容器本体に係止させるときのパッキンである。
図8Aは、アウタートレイ300の開きを防止する開き防止手段442を説明する図である。同図(a)は、開き防止手段442の斜視図であり、同図(b)は開き防止手段442の側面図である。アウタートレイ300の両側面上部メインフレーム319の内周面には、溝形鋼製の開き防止治具336が開口部を上側にして各2個取り付けられている。開き防止治具336の下方には、三角形状の補強板337が開き防止治具336ごとに2枚取り付けられている。
一方、インナー容器本体100のサブフレーム126には、丸棒155とこの丸棒155の両軸端部を保持する端部が円形になった炭素鋼製の平板154とからなる係止治具が取り付けられている。インナー容器50をアウタートレイ300に収納したときに、アウタートレイ300に取り付けた開き防止治具336に丸棒155が嵌り込む位置まで、丸棒155はサブフレーム126から外側に離して配置されている。
図8Bに、アウタートレイ300の底面に配置されるフロートスイッチ370を斜視図(図8B(a))および上面図(図8B(b))で示す。フロートスイッチ370は、洗浄液がインナー容器本体100からアウタートレイ300側に漏洩して、アウタートレイ300とインナー容器本体100間に溜まったことを検出するのに用いる。
フロートスイッチ370は、アウタートレイ300に取り付けネジ374で取り付けられる取り付け部373と、取付け部から上方に延びた一対の支持部376に回動可能に取り付けたブロック部375及びフロート371とを有している。アウタートレイ300に洗浄液が漏出するとフロート371の一端側が床面から浮き上がり、ブロック部375に設けた図示しないセンサが洗浄液の漏出を検出する。検出した信号は、信号ケーブル372を介して図示しない制御装置に送信される。
図9は、アウタートレイ300にインナー容器50を収納する際に用いる位置決め手段の詳細を説明するための図であり、同図(a)はその斜視図、同図(b)はその上面図である。位置決め手段は、インナー容器本体100の上下方向に延びるフレームの外表面に取り付けた丸棒製のインナー容器係止ガイド156と、アウタートレイ300の内壁面に取り付けた溝形鋼製のインナー容器収納ガイド333とから構成される。インナー容器収納ガイド333は、開口部をインナー容器本体100側に向けており、上下方向複数個所でその左右両側を三角形状の収納ガイド補強材337で補強されている。インナー容器収納ガイド333の上端部は上述した通り、左右に「ハ」の字型に開いており、丸棒製のインナー容器係止ガイド156を受け入れ易くしている。なお、インナー容器係止ガイド156は上下方向に複数個所、本実施例では3か所に取り付けられている。最上部に位置するインナー容器係止ガイド156は、インナー容器50をアウタートレイ300に収納したときに、インナー容器収納ガイド333の上端部近傍に位置する。
次に、このように構成した本発明に係る洗浄・運搬容器10の使用例を、図10Aおよび図10Bを用いて説明する。洗浄・運搬容器10は、5段階での使用となり、図10Aおよび図10Bは各使用段階を模式的に説明した図である。図10A(a)は、洗浄よび運搬対象となる微量PCB付着廃棄物10を工場内や保管庫等の保管場所40に保管した状態を示している。この図では、微量PCB付着廃棄物10は大型の変圧器であり、絶縁油としてのPCBはすでに抜き取られており、変圧器の内部に残された鉄心や容器の内表面に微量のPCBが残存している。PCB入り変圧器は昭和47年に製造が停止されたので、製造後40年以上が経過している。
保管場所に保管された微量PCB付着廃棄物10は、場合によっては数10トンにも及び、道路運送ができない大きさとなることもある。そのため、道路運送に適した大きさまで簡易分解する。この簡易分解においては、従来用いられている切断等をできるだけ排除し、分解中に生じる恐れのある有害ガスの発生等を防止する。また、ボルト締結の解除作業等を主作業として作業の簡素化を図っている。なお、本実施例で用いる低床トレーラ610は許容積載荷重が20トンであり、洗浄・運搬容器10の自重が11トン強であるから、微量PCB付着廃棄物10の重量は8トン程度まで低減する必要がある。
図10A(b)は、微量PCB付着廃棄物10を8トン程度までに簡易分解し、その大きさを、長さ4.6m×幅2m×高さ2.7mの許容容積以下にした様子を説明する図である。トレーラ車600には、低床トレーラ610が接続されており、低床トレーラ610の低床部にはその幅いっぱいの大きさのアウタートレイ300が載置されている。アウタートレイ300には、インナー容器50がすでに収納されており、インナー容器50内には、すでに簡易分解により鉄心部のみを取り出された微量PCBが付着した簡易分解品30が収容されている。簡易分解品30をインナー容器本体100内に収容したのち、インナー容器上蓋200を、係止手段440(図7参照)を用いてインナー容器本体100に位置決めし、密閉する。この(b)図では、低床トレーラ610上で簡易分解品30をインナー容器50に収容しているが、当然のことながら、保管場所40の近傍でインナー容器50内に簡易分解品30を収容するようにしてもよい。この場合、インナー容器50をアウタートレイ300に収容したのち、フォークリフトを用いて洗浄・運搬容器10をトレーラ610上に載置するのがよい。
図10B(c)は、トレーラ車600での運搬状態を示す図である。インナー容器本体100の側面上部メインフレーム119等に設けた固縛用金具151と、低床トレーラ610に設けられている固縛具603に、固縛具(ワイヤ)450を装架して洗浄・運搬容器10をトレーラ車600に固定する。この時、アウタートレイは、直接はトレーラ610に固定されないが、インナー容器ガイド手段444及び開き防止手段442により、インナー容器50に位置決めされているので、運搬中に移動する恐れはない。
図10B(d)は、PCBを処理する処理施設場所まで運搬した状態を示す図である。インナー容器50の内部に洗浄液を供給して所定時間洗浄し、簡易分解品30の表面に付着した微量PCBを処理・除去する。そのため、洗浄場所60に設けた洗浄装置80近傍まで、トレーラ車600ごと乗り付ける。洗浄液供給および排出配管と、オーバーフロー配管の先端に取り付けたカプラーを、洗浄装置80から延びる洗浄用接続配管470の先端に取り付けたカブラーと連結する。ボール弁等を操作して、洗浄装置80から所定液量の洗浄液を供給する。洗浄液量は洗浄・運搬容器10の後面側に設けた液面計で確認する。所定の液量が供給されたら、洗浄を開始する。本実施例の場合には、8時間程度連続運転する。洗浄が終了したら、洗浄液供給および排出配管から洗浄液を排出する。これにより、微量PCBはほぼ完全に除去され、廃棄物の許容基準以下となり、一般産業廃棄物としての廃棄が可能になる。なお、本実施例で使用する洗浄液は、平均温度40〜70℃、瞬間最大140℃でインナー容器本体100に供給される。
図10B(e)は、金属廃棄物の廃棄場へ簡易分解品30を運搬する様子を示す図である。微量PCBが簡易分解品30の表面から完全に除去されたので、簡易分解品は洗浄・運搬容器10内に保持されたまま再び運搬されて、金属廃棄場で廃棄される。この一連の運搬及び洗浄作業においては、ひとたびインナー容器50に処理対象である簡易分解品30が収容されると、廃棄場で廃棄するまでインナー容器50を開く必要がなく、PCBがインナー容器50の外部へ漏えいする恐れがない。また、一連の作業中にトレーラ610から洗浄・運搬容器10を積み卸したり、積み替えたりする必要がないので、作業工数を大幅に低減できる。
上記実施例においては、角型鋼管およびアングル材、板材はJIS規格材料であり、炭素鋼材である。また、フランジ、ボルトおよび配管材料はJIS規格品であり、ステンレス鋼材が用いられる。炭素鋼材とステンレス鋼材の溶接には、D309溶接棒(22Cr12Ni材)を使用する。そのため、炭素鋼材に接合されるステンレス鋼材は、ネジ部を除き、炭素鋼材と同じ塗装が施されている。また、フランジ結合部には耐油性および耐熱性に優れるステンレスおよびフッ素樹脂で形成された渦巻き形のセミメタリックガスケットを使用する。
なお、図示しないが雨水対策として、インナー容器をアウタートレイに収納したときにインナー容器周りに形成される空間の上面に、庇を設けて、雨水の侵入を防止した。また、インナー容器上蓋の上面から側面側へ雨水が流れるように、インナー容器上蓋の上側フレームに、横方向に延びる貫通穴を複数個形成した。
10…洗浄・運搬容器、20…微量PCB付着機器(廃棄物)、30…簡易分解品、40…保管場所、50…インナー容器、60…洗浄場所、80…洗浄装置、100…インナー容器本体、101…床面板、102…側面板、103…前面板、104…後面板、105…フォークガイド、114…側面下部メインフレーム、115…前面下部メインフレーム、116…後面下部メインフレーム、117…コーナー支柱、119…側面上部メインフレーム、120…側面中央メインフレーム、121…前・後面メインフレーム、122…中央縦フレーム、123…後面下部縦フレーム、125…フランジ補強部、126…サブフレーム、131…(タップ)フランジ、132…ネジ穴付き板、133…アイボルト、134…オーバーフロー配管、134a…貫通穴、135…ニップル、136…エルボ、137…保持手段、140…排液受け、141…吊り具、143…クランプ(係止部材)、143a…レバー部、143b…掛け棒、143c…ロッド部、143d…取り付け板、143e…ねじ止め穴、144…上蓋ガイド、144a…ガイド本体部、144b…折り曲げ部、144c…切欠き部、144d…補強板、146…吊り具用金具、148…パッキン、149、151…固縛用金具、154…開き防止治具(鋼板)、155…開き防止治具(丸棒)、156…インナー容器係止ガイド、158…貫通穴、200…インナー容器上蓋、201…上面板、202…側面板、203…正面板、204…側面下部フレーム、206…側面上部フレーム、207…正面フレーム、208…コーナー支柱、218…吊り具、220…クランプ受け座(係止部材)、220a…取り付け板、220b…フック部、220c…ねじ止め穴、221…空気抜きドレン手段、300…アウタートレイ、301…床面板、302…側面板、303…前面板、304…後面板、305…フォークガイド、313…側面下部メインフレーム、315…後面下部メインフレーム、317…コーナー支柱、319…側面上部メインフレーム、320…側面中央メインフレーム、321…前・後面メインフレーム、322…側面中央縦フレーム、323…前面中央縦フレーム、333…インナー容器収納ガイド、335…収納ガイド補強材、336…開き防止治具、337…補強板、344、347…脱着蓋、351…(タップ)フランジ、359…ドレン配管、360…固縛干渉防止部、370…フロートスイッチ、371…フロート部、372…信号ケーブル、373…取り付け部、374…取り付けネジ、375…ブロック部、376…支持部、401…液面計、402…逆止弁、403…弁、404…カプラー、408…フレキシブルジョイント、410、415〜417…配管、418…フランジ、420…バタフライ弁、440…係止手段、442…開き防止手段、444…ガイド手段、446…洗浄液、447…洗浄液の液面、448…オーバーフロー制御手段、450…固縛具(ワイヤ)、451…長さ調整手段、452…係止部、470…洗浄用接続配管、600…トレーラ車、603…固縛具(フック)、610…低床トレーラ。

Claims (7)

  1. 角型鋼管と鋼板を組み合わせて水密に構成したインナー容器本体と、このインナー容器本体に水密に係合する角型鋼管と鋼板とを組み合わせて構成されたインナー容器上蓋とをパッキンを介して着脱自在に結合して水密性のインナー容器を構成し、前記インナー容器を収納し前記インナー容器よりも高さが低いアウタートレイと前記インナー容器とで構成された微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器において
    前記インナー容器には微量PCB付着廃棄物を収容可能であり、前記インナー容器本体の後面部であって上部には前記インナー容器本体内に洗浄液を供給するための供給用フランジが、前記インナー容器本体の後面部であって下部には前記インナー容器本体から洗浄液を排出するための排出用フランジがそれぞれ設けられており、
    前記インナー容器の内容積は、長手方向長さが4.6mより大で、幅方向長さが2mより大で、高さ方向長さが2.7mより大であり、重量8トンまでの微量PCB付着廃棄物を収容可能であり、
    前記洗浄および運搬容器をトレーラに載せたまま前記微量PCB付着廃棄物の洗浄を可能にする配管系統を前記供給用フランジおよび前記排出用フランジに連結したことを特徴とする微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器。
  2. 前記アウタートレイの後面側下部には、前記インナー容器本体に設けた前記排出用フランジに対応する位置であってアウタートレイの内外面側にアウタートレイ排出用フランジが設けられており、内面側の前記アウタートレイ排出用フランジと前記インナー容器の前記排出用フランジ間を、バタフライ弁を介して接続するフレキシブルジョイントを有し、前記配管系統は分岐管の構成であり、一方の分岐部が外面側の前記アウタートレイ排出用フランジに接続されており、他方の分岐部が前記インナー容器の供給用フランジに接続されており、分岐の元側の残りの配管には、弁を介してカプラーが端部に設けられており、このカプラーを洗浄装置の洗浄液送液配管カプラーと着脱可能としたことを特徴とする請求項1に記載の微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器。
  3. 前記インナー容器本体の後面側上部および下部に液面計用フランジを、下部にオーバーフロー配管用フランジをそれぞれ設け、前記アウタートレイの下部に液面計用のフランジとオーバーフロー配管用フランジをそれぞれ設け、前記インナー容器本体下部の液面計用フランジと前記アウタートレイの液面計用フランジ間を、バタフライ弁を介してフレキシブルジョイントで接続し、前記インナー容器本体下部のオーバーフロー配管用フランジと前記アウタートレイのオーバーフロー配管用フランジを、フレキシブルジョイントで接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器。
  4. 前記インナートレイを構成する両側面上部メインフレームよりも低い位置の外表面側に間隔を置いて丸棒のインナー容器側係止手段を複数個設け、前記アウタートレイを構成する両側面上部メインフレームの内面側であって、前記インナー容器側係止手段に対応する位置に溝形鋼のアウタートレイ側係止手段を設け、インナー容器側係止手段の丸棒をアウタートレイ側係止手段の溝形鋼に係止させてアウタートレイの開き防止手段としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器。
  5. 前記アウタートレイの内周面の複数個所に、上下方向に延びる溝形鋼のインナー容器ガイド手段を設け、前記インナー容器本体を構成する角型鋼管の部分であってその外表面側の上下方向に間隔を置いた位置、かつ前記アウタートレイのインナー容器ガイド手段に対応する位置に、丸棒のインナー容器係止ガイドを設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器。
  6. 前記インナー容器本体を構成する上端側の角型鋼管からなるフレームの外表面側に、一対の上蓋ガイドとこの一対の上蓋ガイド間に配置されたクランプとからなるセットを複数個設け、前記インナー容器上蓋の下側フレームの外表面であって前記クランプ位置に対応する位置に受け座を設け、前記インナー容器本体と前記前記インナー容器上蓋とを前記上蓋ガイドをガイドとして位置決めするとともに、前記インナー容器本体と前記インナー容器上蓋間にパッキンを配置したのち前記クランプを前記受け座に係止して前記インナー容器を水密に構成したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器。
  7. 前記インナー容器本体および前記アウタートレイの下面の長手方向中間部に、幅方向に延びる一対の不等辺角型鋼を取り付け、それぞれフォークリフトガイドとしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の微量PCB付着廃棄物の洗浄および運搬容器。
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