JP2016154178A - 静電チャック用部材及びその製造方法 - Google Patents

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弘訓 釘本
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宣浩 日▲高▼
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Abstract

【課題】高い誘電率を示し、面内で均一に大きな吸着力を発揮し得る静電チャック用部材、及びその製造方法を提供する。【解決手段】半径Rの試料載置面を有し、少なくとも、前記試料載置面を構成する部分がサマリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物を含有し、前記複合酸化物のX線回折プロファイルに基づく(110)面の相対ピーク強度が40%以上であり、前記試料載置面における、中心からR/6までの前記複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1と外周からR/6までの前記複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D2との内外粒径比(D1/D2)が0.6〜1.2である静電チャック部材及びその製造方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、静電チャック用部材及びその製造方法に関する。
半導体製造工程において使用されるCVD装置、スパッタリング装置等の成膜装置、あるいは微細加工を施すためのエッチング装置等においては、ウェハを保持するためにチャック装置が用いられる。
このチャック装置としては、従来真空チャック方式やメカニカルクランプ方式が採用されてきたが、近年の半導体製造プロセスの高度化に伴い、半導体ウェハを静電引力により吸着する静電チャック方式が用いられるようになってきている。この静電チャック方式は、ウェハ平面度の矯正や均熱等の面において、従来の真空チャック方式やメカニカルクランプ方式に比べ優れた特性を発揮する。静電チャックの動作特性としては、電圧を印加している間は大きな吸着力を発生して被吸着物の落下等を防止し、電圧印加を解除したならば直ちに吸着力を小さくして被吸着物を容易に取り外し得ることが望ましい。
また、IC、LSI、VLSI等の半導体装置の製造ラインには、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス、及びこれらのプラズマを用いる工程がある。これらの工程では、静電チャックにより固定された半導体ウエハに対して、例えば、ドライエッチング、プラズマエッチング、クリーニング等の処理が実施される。これらの処理には、CF、SF、HF、NF、F等のフッ素系ガスや、Cl、SiCl、BCl、HCl等の塩素系ガス、これらのガスのプラズマ等が使用される。これらの腐食性ガスやプラズマは腐食性が高いため、これらの腐食性ガスやプラズマによる静電チャックを構成する静電チャック用部材の腐食が問題となっている。
従来は、静電チャック用部材に用いる耐食性材料として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAl12、以下、YAGと略す)や、酸化イットリウム以外の希土類酸化物をYAGに添加したもの等が使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2004−315308号公報 特開2011−151336号公報 特開2012−94826号公報
特許文献1〜3に記載されている耐食性部材は、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対して高い耐腐食性を有する。
しかし、今後の半導体製造工程におけるチャック装置としては、試料載置部の耐電圧を高める必要があり、そのためには誘電層を厚くすることが有効であるが、面内で均一に大きな吸着力を得ようとすると誘電率を高める必要がある。
そこで、本発明は、高い誘電率を示し、面内で均一に大きな吸着力を発揮し得る静電チャック用部材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、まず、誘電率がさらに高い耐食性材料として、サマリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物に着目した。しかし、この複合酸化物を、静電チャック用部材の試料載置面を構成する材料に単に適用しても、面内における誘電率のばらつきが見られることがあった。この原因について解析したところ、複合酸化物の焼成体を作製する際の焼成時に、焼成体表面の内側と外側との温度分布差により、反応による粒成長の度合いに分布が生じるため、面内で比誘電率に差が生じることを突き止めた。そしてこれによって、静電チャック部材の試料載置面として使用する際には、試料載置面内で吸着力がばらつくことがわかった。
上記知見をもとに本発明者らは、鋭意検討の結果、下記本発明に想到し当該課題を解決できることを見いだした。
[1] 半径Rの試料載置面を有し、少なくとも、前記試料載置面を構成する部分がサマリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物を含有し、前記複合酸化物のX線回折プロファイルに基づく(110)面の相対ピーク強度が40%以上であり、前記試料載置面における、中心からR/6までの前記複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1と外周からR/6までの前記複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D2との内外粒径比(D1/D2)が0.6〜1.2である静電チャック部材。
[2] 前記複合酸化物の結晶構造が、斜方晶系結晶、三方晶系結晶、及び単斜晶系結晶からなる群から選択される少なくとも1種である[1]に記載の静電チャック部材。
[3] 前記複合酸化物の相対密度が97%以上である[1]又は[2]に記載の静電チャック部材。
[4] 前記複合酸化物の焼成体の40Hz以上の周波数領域における誘電率が20以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の静電チャック部材。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の静電チャックの製造方法であって、
(A)少なくとも、酸化アルミニウム粉体及び酸化サマリウム粉体を溶媒中に分散させてなるスラリーを調製するスラリー調製工程と、
(B)前記スラリーを乾燥させた後、その乾燥温度よりも高温で、後の焼成工程における焼成温度よりも低温で仮焼する仮焼工程と、
(C)前記仮焼して得られた仮焼粉末を造粒し顆粒とした後、該顆粒から所定形状の成型体を得る成型工程と、
(D)前記成型体を焼成して焼成体とする焼成工程と、
を順次含む静電チャックの製造方法。
本発明によれば、高い誘電率を示し、面内で均一に大きな吸着力を発揮し得る静電チャック用部材、及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る内外粒径比の測定箇所の例についての概略を説明する説明概略図である。
以下、本発明の静電チャック部材及びその製造方法について説明する。ここで、本明細書において、「X〜Y」(X,Y:任意の数)との表現は、特に断らない限り、「X以上Y以下」を意味する。
[静電チャック部材]
本発明の静電チャック部材は、半径Rの試料載置面を有し、少なくとも、この試料載置面を構成する部分(以下、「試料載置部」ということがある)がサマリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物を含有する。
本発明に係る静電チャック部材は例えば、試料載置部の背面(試料載置面とは反対側)に静電吸着用内部電極層と、この静電吸着用内部電極層を埋設する接着剤層と、絶縁性材料層とをこの順に有する構成となっている。ここで、試料載置面は、試料を静電吸着し、これを脱離する面である。そして、試料載置部は、この試料載置面を有する板状体等であることが好ましい。
試料載置部に含まれる複合酸化物のX線回折プロファイルに基づく(110)面の相対ピーク強度は40%以上であり、40〜100%であることが好ましく、50〜80%であることがより好ましい。相対ピーク強度が40%未満であると、複合酸化物における(110)面の配向度が低いため誘電率が低くなり、十分な吸着力と耐電圧が得られない。
相対ピーク強度を40%以上とするには、焼成工程において少なくとも一軸以上の加圧をしながら焼成すればよい。
ここで、「X線回折プロファイルに基づく(110)面の相対ピーク強度」とは、複合酸化物に属するSmAlO化合物の斜方晶系結晶における(020)面を100%とした時の(110)面の相対ピーク強度をいう。
また、本発明に係る試料載置面におけて、その中心からR/6までの複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1と外周からR/6までの複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D2との内外粒径比(D1/D2)は0.6〜1.2となっている。
内外粒径比が0.6未満であると、中心部の吸着力が低下するためシリコンウエハに反りが生じ、1.2を超えると、外周部の吸着力が低下するため、同様にシリコンウエハに反りが生じる。内外粒径比は、0.7〜1.1であることが好ましく、0.8〜1.0であることがより好ましい。
ここで、「中心からR/6までの複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1」は、図1に示すように、半径Rの試料載置面10の中心Cから半径R/6までの領域10A内から任意に10箇所を抽出し、1箇所に付き100個の粒子の粒径を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、1000個の粒子径の平均値として計算して求める。
また、「外周からR/6までの複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1」は、図1に示すように、中心から半径5R/6の円からさらに外周側にある領域10B内の任意に10箇所を抽出し、1箇所に付き100個の粒子の粒径を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、1000個の粒子径の平均値として計算して求める。
また、複合酸化物の結晶構造としては特に限定されないが、斜方晶系結晶、三方晶系結晶、及び単斜晶系結晶からなる群から選択される少なくとも1種であることが誘電率に優れるため好ましい。なかでも、斜方晶系の結晶構造がより好ましい。
複合酸化物としては、ペロブスカイト型構造(SmAlO)を含むことが好ましい。サマリウムおよびアルミニウムを含み、好ましくはペロブスカイト型構造を有する酸化物であれば、他の元素を含んでもよい。しかし、この酸化物は、酸化物を構成する原子がサマリウム、アルミニウムおよび酸素で大部分占められる酸化物であることが好ましい。
上記酸化物におけるサマリウム:アルミニウム(モル比)の範囲は、73:27〜35:65であることが好ましく、65:35〜40:60であることがより好ましく、60:40〜45:55であることがさらに好ましい。上記酸化物におけるサマリウム:アルミニウム(モル比)の範囲が73:27〜35:65であると、上記酸化物の主要な構造をペロブスカイト型構造にすることができる。
試料載置部における上記酸化物の割合は、80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましく、95体積%以上であることがさらに好ましい。耐食性部材における上記酸化物の割合が80体積%以上であると、試料載置部の誘電率を高くすることができるとともに、電界を印加したときの静電チャックの吸着力を強くし、電界の印加を停止したときの静電チャックの残留吸着力を弱くすることができる。
複合酸化物を焼結して得られる焼成体の相対密度は97%以上であることが好ましく、97.5%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましい。97%以上であることで、表面開気孔部分からの粒子の脱離によるパーティクル(発塵)の発生や反応性ガスプラズマに対する耐食性の低下を抑えることができる。
複合酸化物の焼成体の体積抵抗値は、室温(例えば25℃)において1×1013Ω・cm以上であることが好ましく、1×1014Ω・cm以上であることがより好ましい。体積抵抗値が1×1013Ω・cm以上であることで、リーク電流によりシリコンウエハとセラミックス誘電体にダメージが与えられるのを防ぐことができる。また、残留吸着力の発生を抑制することができる。
複合酸化物の焼成体の40Hz以上の周波数領域における誘電率(例えば25℃)は20以上であることが好ましく、20〜40がより好ましい。誘電率が20以上であることで十分な吸着力が得られる。
また、焼成体の誘電正接(tanδ)は40Hz以上の周波数領域において0.1以下であることが好ましく、0.06以下がより好ましい。40Hz以上の周波数領域において0.1以下であると、半導体製造工程におけるプラズマエッチング処理中に発熱することがなく、温度上昇による吸着力のバラツキや破損を抑えることができる。
複合酸化物の焼成体を厚さ1mmに加工し、アルミナセラミックス/電極/焼成体の構成で接着し、試料載置面(焼成体の表面)温度25℃にて2.0kVの電圧を印加した際の静電吸着力は、静電チャックとしての実用性を考慮すると、30torr以上であることが好ましく、30〜60torrであることがより好ましい。
また焼成体を厚さ1mmに加工し、アルミナセラミックス/電極/焼成体の構成で接着し、試料載置面(焼成体の表面)温度25℃にて2.0kVの印加電圧を60秒間付与した後、電圧の印加を解除してその直後に測定した残留吸着力は、静電チャックとしての実用性を考慮すると、10torr以下であることが好ましく、7torr以下であることがより好ましい。
本発明の静電チャック部材は、高い誘電率を示し、面内で均一に大きな吸着力を発揮し得るものであるが、特に試料載置面の径(半径R)が大きいものに対してもその効果が得られる。例えば、半径Rは、50〜250mmであることが好ましく、100〜200mmであることがより好ましい。
また、試料載置部の厚みは0.1〜5mmであることが好ましく、0.3〜2mmであることがより好ましい。
[静電チャック部材の製造方法]
本発明の静電チャック部材の製造方法は、
(A)少なくとも、酸化アルミニウム粉体及び酸化サマリウム粉体を溶媒中に分散させてなるスラリーを調製するスラリー調製工程と、
(B)スラリーを乾燥させた後、その乾燥温度よりも高温で、後の焼成工程における焼成温度よりも低温で仮焼する仮焼工程と、
(C)仮焼して得られた仮焼粉末を造粒し顆粒とした後、該顆粒から所定形状の成型体を得る成型工程と、
(D)成型体を焼成して焼成体とする焼成工程と、
を順次含む。また、(D)焼成工程の後に(E)アニール処理工程を設けてもよい。
(A)スラリー調製工程:
原料粉末である酸化アルミニウム粉末と酸化サマリウム粉末の一次粒子の平均粒径は、0.01〜1.0μm程度であることが好ましい。0.01〜1.0μm程度であることで、ハンドリングの低下を防ぎ、焼結性が悪化、密度の低下を防止するとともに、焼成体中の粒子径が大きくなることによる腐食性ガス又はそのプラズマ中での劣化をも有効に防ぐことができる。それぞれの原料粉末は、市販のものを使用することができる。
原料粉末を混合してスラリーとするためには溶媒が使用される。溶媒としては特に制限はなく、例えば、水、アルコール類等が挙げられる。また、原料粉末の混合には分散剤を用いてもよい。分散剤としては特に制限はなく、粉末表面に吸着し分散効率を上げるものが使用されるが、金属不純物を低減するため、対イオンとして金属イオンを含まないものが好ましい。分散剤は異なる粉末同士のヘテロ凝集を防止する意味でも添加されることが好ましい。
原料粉末の混合には、分散機を用いるのが効率的である。分散機の使用により粒子表面への分散剤の吸着効率が向上すると共に、異なる粉末同士の均一な混合が可能となる。分散機は特に制限はなく、例えば、超音波、遊星ボールミル、ボールミル、サンドミル等のメディアを用いた分散機や、超高圧粉砕分散機等のメディアレス分散機を好適に用いることができる。上記メディアレス分散機は分散時のコンタミの混入が少なく、半導体製造装置用の静電チャックの用途には特に有利である。
(B)仮焼工程:
本工程では、スラリー調製工程で得られたスラリーから、フィルタープレス、遠心分離、及びフィルター濾過等の方法により、固体成分と液体成分とを分離する。ケーキ状の固体成分は、その後、真空乾燥等により、溶媒を完全に除去し粉末状とする。乾燥温度は70〜400℃程度とすることが好ましい。
得られた粉末は焼成炉を用いて、乾燥温度よりも高温で、後の焼成工程における焼成温度よりも低温で仮焼する。例えば、700℃〜1200℃の温度(好ましくは800〜1100℃)で、2時間〜10時間(好ましくは3〜8時間)、仮焼する。これよりAlとSmを反応させた、サマリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物粉末(仮焼粉末)が得られる。
上記仮焼温度を700℃以上とすることで十分に反応を進行させることができ、1200℃以下とすることで反応と共に進行し得る粒成長を抑制し、次の成形工程において成形体の密度低下と強度低下を抑えることができる。
なお、仮焼粉末の比表面積は、1m/g〜100m/gが好ましい。1m/g以上であることで成形体と焼成体の密度低下を防ぐことができる。100m/g以下であることで粒子同士の接触面積が小さくなることが防がれ、成形体の強度を良好に維持できる。
次に、ボールミルにより仮焼粉末を粉砕する。ボールミル及びポットの材質は、セラミックス製が好ましい。樹脂製では仮焼粉末により削れるため粉砕効率が悪い。さらに、不純物の低減の理由から、高純度のアルミナが好ましい。ボール径は、特に限定されないが、粉砕効率の観点より粒径0.01mm〜50mmの単一ボールもしくは複合して用いてもよい。粒径が0.01mm以上であれば粉砕力が小さいということはなく粗大粒子を良好に粉砕できる。また、粒径が50mm以下であれば所望の微細粒子径まで粉砕することができる。粉砕した仮焼粉末は、公知の方法により分級する。
上記のような仮焼工程では、主に原料粉末の反応が進行する。そして後の工程(焼成工程)で焼結が行われる。このように反応と焼結の工程をそれぞれ分けることにより、未反応Smと未反応Al量を低減することができ、結果として誘電率の向上した静電チャック部材とすることができる。
(C)成型工程:
本工程では、(B)工程で得られた仮焼粉末を再度スラリー化した後、造粒して顆粒とし、さらにこの顆粒から所定形状の成型体を得る。
仮焼粉末を再度スラリー化するには、(A)スラリー調製工程と同様の操作を実施すればよい。
スラリーから顆粒形状に造粒する方法は、特に限定されず、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、噴霧乾燥造粒法等の公知の造粒法が挙げられ、造粒装置としては、例えばスプレードライヤー等が好適に用いられる。造粒後の顆粒の平均粒径は、30μm〜100μmの範囲であることが好ましい。顆粒の平均粒径は、光学顕微鏡を用い、100個の粒子について最大径を測定し、その平均として求める。
こうして得られた顆粒を周知の成型手段により所定の形状に成型した後、大気中、不活性雰囲気中あるいは真空中にて、50〜600℃程度にて脱脂を行うことが好ましい。
なお、所定の形状としては、例えば、円筒形、円柱形といった形状が挙げられる。
(D)焼成工程:
本工程では、(C)工程で得られた成型体を焼成して焼成体とする。
不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1800℃にて1〜3時間程度焼成することにより、97%以上の相対密度を有する緻密な焼成体を作製することができる。焼成温度が1300℃以上とすることで焼結を良好に進行させることができる。また、1800℃以下とすることで溶解が起こるのを防ぐことができる。
焼成工程における焼成は、ホットプレスにより加圧しつつ所定の温度に加熱する処理であることが好ましい。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ホットプレスにおける一軸加圧圧力により、(110)面の相対ピーク強度を制御し高めることにより、誘電率が向上することを知見した。そして、誘電率の向上により、誘電層の厚みを厚くすることができ、耐電圧を改善させることができる。
一軸加圧力としては、10MPa〜40MPaが好ましく、20MPa〜30MPaがより好ましい。10MPa以上とすることで所望の密度が得られ、結晶成長面の制御もしやすい。40MPa以下とすることでホットプレスの炭素冶具の消耗を抑えることができる。
ホットプレスにおける一軸加圧力で複合酸化物の結晶相を制御することにより、誘電率と吸着力を向上させることができる。
以上のような工程を経て、さらに公知の工程を適宜経ることで本発明に係る静電チャック部材が製造される。特に、上記製造工程を経て得られる静電チャック部材は、大型の焼成体における内外の温度分布により生じていた反応ムラが改善されているため、面内の誘電率及び吸着力がより均一に改善されている。また、ホットプレスでは粒成長を制御することにより、段階的に反応と粒成長を制御し、未反応原料の低減と焼成体(特に大型)の面内の内外に発生する特性のばらつきを抑制することができる。
なお、より良好な静電チャック部材を得るために、下記のような(E)アニール処理工程を(D)工程の後に設けてもよい。
(E)アニール処理工程:
本工程では、(D)工程で得られた焼成体を大気中でアニール処理を行う。アニール処理温度は1000℃〜1600℃が好ましく、1200〜1400℃がより好ましい。処理時間は2〜10時間が好ましく、5〜10時間がより好ましい。
アニール処理温度が1000℃以上であることで酸素欠陥をなくすことができ、1600℃以下であることでサマリウムの欠陥の発生を抑制し、可動電荷の発生により体積抵抗値及びtanδの増加するのを防ぐことできる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
各例における諸特性は以下に示す方法に従って測定した。
(1)焼成体の相対密度
アルキメデス法により、実施例および参考例で得られた耐食性部材の密度を測定し、下記式により求めた理論密度で、測定した密度を割り算して相対密度を算出した。
単位胞重量(g)=酸化サマリウムアルミニウム結晶相の各単位胞重量×各結晶相のmol%
単位胞体積(cm)=酸化サマリウムアルミニウム結晶相の各単位胞体積×各結晶相のmol%
理論密度(g/cm)=単位胞重量/単位胞体積
なお、酸化サマリウムアルミニウムの各結晶相%のmol%は、原料粉体の仕込み量から算出した。
(2)焼成体における結晶相の同定
粉末X線回折法により、実施例および参考例で得られた耐食性部材の結晶相の同定を行った。粉末X線回折には、X線回折装置(PANalytical社製、X’Pert PRO MPD)を使用した。
X線回折プロファイルに基づく、SmAlO化合物の(110)面の相対ピーク強度は、バックグラウンドを除去した後、(020)面のピーク強度を100%とした際の相対ピーク強度比として算出した。
(3)焼成体の誘電率、誘電正接
40Hzの周波数領域における誘電率(25℃)と誘電正接を、測定機器としてAgilent社製、機種名「Agilent 4294A プレシジョン・インピーダンス・アナライザー」を用いて測定した。実施例および参考例で得られた焼成体は60mm××60mm×1mmに加工した物を用いた。
(4)固有体積抵抗値
固有体積抵抗値(25℃)は3端子法にて測定した。測定機器としてアドバンテスト社製、機種名「デジタル超高抵抗/電流計R83040A」を用いて、印加電圧500V、保持時間60秒での電流値から、換算して求めた。焼成体は60mm×60mm×1mmに加工したものを用いた。
(5)焼成体の吸着力と残留吸着力
・吸着力
実施例および参考例で得られた耐食性部材を厚さ1.0mmに加工し、加工した耐食性部材とアルミナセラミックスとの間に電極を埋設した接着層を形成して静電チャックを作製した。静電チャックの試料載置面温度を25℃にし、2.0kVの電圧を電極に60秒間印加して、1インチのシリコンウエハを静電チャックに真空中(<0.5Pa)で吸着させた。そして、1インチのシリコンウエハに対する吸着力を測定した。測定はロードセルを用いた引き剥がしにより行い、そのとき発生した最大引き剥がし応力を吸着力とした。
・残留吸着力
実施例および参考例で得られた耐食性部材を厚さ1.0mmに加工し、加工した耐食性部材とアルミナセラミックスとの間に電極を埋設した接着層を形成して静電チャックを作製した。静電チャックの試料載置面温度を25℃にし、2.0kVの電圧を電極に60秒間印加して、1インチのシリコンウエハを静電チャックに真空中(<0.5Pa)で吸着させた。その後、電圧の印加を停止し、電圧の印加を停止した直後の1インチのシリコンウエハに対する残留吸着力を測定した。測定はロードセルを用いた引き剥がしにより行い、そのとき発生した最大引き剥がし応力を残留吸着力とした。
なお、(5)吸着力・残留吸着力の測定は、直径300mmの焼成体の中心部及び周辺部において実施した。ここで、中心部とは中心点(図1における点C)及び中心点から0°、90°、180°、270°の方向で、50mmの距離にある位置(図1における点D〜G)であり、周辺部とは中心点から0°、90°、180°、270°の方向で外周から50mmの距離にある位置(図1における点J〜M)とした。
また、(1)相対密度、(2)結晶相の同定、(3)誘電率・誘電正接、および(4)固有体積抵抗値は中心で測定した。
(6)内外粒径比
「中心からR/6までの複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1」は、図1に示すように、半径Rの試料載置面10の中心Cから半径R/6までの領域10A内から任意に10箇所を抽出し、1箇所に付き100個の粒子の粒径を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、1000個の粒子径の平均値として計算して求めた。
また、「外周からR/6までの複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1」は、図1に示すように、中心から半径5R/6の円からさらに外周側にある領域10B内の任意に10箇所を抽出し、1箇所に付き100個の粒子の粒径を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、1000個の粒子径の平均値として計算して求めた。
これらの値から、内外粒径比であるD1/D2を求めた。
(実施例1)
(A)スラリーの調製工程:
市販(大明化学工業(株)製、型番:TM−5D)の平均粒径が0.1μmの酸化アルミニウム(Al)粉末と、市販(日本イットリウム(株)製、型番:N−SM3CP)の平均粒径が0.1μmの酸化サマリウム(Sm)粉末を表1の原料モル比となるように秤量した。
次に原料粉末(Sm+Al)に対して5質量%の分散剤を添加し、水を溶媒として撹拌と超音波処理を行い、予備分散を行った。分散剤としては中京油脂社製、型番;D−735を用いた。この予備分散液をボールミル装置で分散・粉砕処理を行い、スラリーを調製した。
(B)仮焼工程:
上記スラリーについてフィルタープレスを用いて濾過し、ケーキ状の固体物を採取した。ケーキ状の固体物は真空乾燥器を用いて110℃、10時間の乾燥を行い溶媒を完全に除去した。次いで、乾燥した混合粉末を焼成炉を用いて1000℃、2時間で焼成することにより反応させサマリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物粉末(仮焼粉末)とした。
(C)成型工程:
前記複合酸化物粉末をボールミルにより再度スラリー化し、スプレードライヤーにて造粒し顆粒とした。次いでこの顆粒を周知の成型手段により所定形状に成型した。その後、この成型体を500℃、大気中で4時間加熱して脱脂処理を行った。
(D)焼成工程:
ホットプレスを用いてアルゴン中で、1500℃、2時間加圧焼成し、焼成体を得た。この際の加圧力は20MPaとした。
(E)アニール処理工程:
得られた焼成体を大気中で1400℃、10時間加熱処理(アニール処理)を行った。
得られた焼成体は(1)〜(5)の評価を行った。得られた焼成体の特性を表1に示す。
(実施例2)
(D)焼成工程において加圧力を10MPaとした以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
(D)焼成工程において加圧力を30MPaとした以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
(D)焼成工程において加圧力を40MPaとした以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
(E)アニール処理工程においてアニール温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
(A)スラリーの調製工程において酸化サマリウムと酸化アルミニウムの原料モル比を70:30に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
(A)スラリーの調製工程において酸化サマリウムと酸化アルミニウムの原料モル比を40:60に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(参考例1)
(B)仮焼工程を除いた以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(参考例2)
(D)焼成工程において加圧力を0MPa(常圧焼結)とした以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(参考例3)
(A)スラリーの調製工程において酸化サマリウムと酸化アルミニウムの原料モル比を80:20に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(参考例4)
(A)スラリーの調製工程において酸化サマリウムと酸化アルミニウムの原料モル比を30:70に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜7では、相対密度は97%以上で緻密化していた。また、比誘電率と吸着力は高い値を示し、中心部と周辺部での差は小さかった。
実施例1〜7では、固有体積抵抗値は1×1015Ω・cm以上であり高抵抗を示した。残留吸着力は問題ないレベルであった。
なお、実施例5では、アニール温度の低下により、複合酸化物焼成体中に酸素欠陥・金属が残留し、固有体積抵抗値の低下およびtanδの増加に繋がった。吸着力は増加する一方で、残留吸着力が発生していた。
一方、参考例1では周辺部の吸着力に問題は無いが、中心部では低い結果となった。すなわち、仮焼工程を省くことにより、周辺部におけるSmとAlの反応が不十分であり、未反応原料が残留し、低誘電率・低吸着力となったものと推測される。
参考例2では、(110)面の相対ピーク強度が低く、低誘電率・低吸着力を示した。常圧焼結では、(110)面の配向度が低下するためであると考えられる。
参考例3,4も、相対ピーク強度が低く、低誘電率・低吸着力を示した。

Claims (5)

  1. 半径Rの試料載置面を有し、
    少なくとも、前記試料載置面を構成する部分がサマリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物を含有し、
    前記複合酸化物のX線回折プロファイルに基づく(110)面の相対ピーク強度が40%以上であり、
    前記試料載置面における、中心からR/6までの前記複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D1と外周からR/6までの前記複合酸化物を構成する粒子の平均粒径D2との内外粒径比(D1/D2)が0.6〜1.2である静電チャック部材。
  2. 前記複合酸化物の結晶構造が、斜方晶系結晶、三方晶系結晶、及び単斜晶系結晶からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の静電チャック部材。
  3. 前記複合酸化物の相対密度が97%以上である請求項1又は2に記載の静電チャック部材。
  4. 前記複合酸化物の焼成体の40Hz以上の周波数領域における誘電率が20以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電チャック部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電チャックの製造方法であって、
    (A)少なくとも、酸化アルミニウム粉体及び酸化サマリウム粉体を溶媒中に分散させてなるスラリーを調製するスラリー調製工程と、
    (B)前記スラリーを乾燥させた後、その乾燥温度よりも高温で、後の焼成工程における焼成温度よりも低温で仮焼する仮焼工程と、
    (C)前記仮焼して得られた仮焼粉末を造粒し顆粒とした後、該顆粒から所定形状の成型体を得る成型工程と、
    (D)前記成型体を焼成して焼成体とする焼成工程と、
    を順次含む静電チャックの製造方法。
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