以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.紙幣出金機の構成]
図1に示すように、紙幣出金機1は、大きく分けて下側の収納ユニット2及び上側の束搬送ユニット4により構成されており、さらに全体を制御する制御部5が組み込まれている。この紙幣出金機1は、その製造時に、下側の収納ユニット2に上側の束搬送ユニット4が取り付けられることにより組み立てられる。この紙幣出金機1は、前側に設けられた出金口32に対し該出金口32と同じ側である前側から出金カセット8が収納筐体6に着脱される前面機として機能する。
制御部5は、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、出金処理等の処理を行う。また制御部5は、内部にRAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1−2.収納ユニットの構成]
収納ユニット2は、直方体状の収納筐体6内に、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれており、紙幣を収納すると共に、利用者に引き渡すべき紙幣を集積して紙幣束を生成する。この収納筐体6内には、4個の出金カセット8(8A、8B、8C及び8D)、搬送部10、鑑別部12、切替部14、集積部16及びリジェクトカセット18が設けられている。
媒体繰出カセットとしての出金カセット8(8A、8B、8C及び8D)は、収納筐体6の前側における上下方向の中央から下側にかけて、互いに積み重なるように取り付けられている。各出金カセット8は、上下方向に短く前後方向に長い扁平な直方体状に形成されており、その内部に、紙面を前後方向に向けて前後方向である収納方向に沿って並んだ状態で、互いの紙幣の紙面が対向するよう該紙幣を収納する。また出金カセット8(8A、8B、8C及び8D)の後側下部には、収納されている紙幣を1枚ずつに分離して繰り出す紙幣放出口38が設けられている。さらに出金カセット8(8A、8B、8C及び8D)内部の後側下部における紙幣放出口38の前側には、収納されている紙幣を1枚ずつに分離して該紙幣放出口38から繰り出すローラ群と、該ローラ群を駆動するアクチュエータとにより構成された繰出部20が設けられている。
各出金カセット8は、収納筐体6に対し前方向へ引き抜かれることにより、該収納筐体6から取り外され、また該収納筐体6に対し位置を合わされ後方向へ押し込まれることにより、該収納筐体6に装着される。すなわち各出金カセット8は、収納筐体6の前面から着脱可能に構成されている。また各出金カセット8は、それぞれに収納される紙幣の金種が予め定められている。以下では、出金カセット8が収納筐体6に装着された状態をカセット装着状態とも呼び、出金カセット8が収納筐体6から取り外された状態をカセット取外し状態とも呼ぶ。
搬送部10は、図示しないローラやベルト、或いはこれらを駆動するモータ等により、紙幣を搬送する経路である搬送路を構成している。この搬送路は、図中に実線で示すように、各出金カセット8の繰出部20と接続され、各出金カセット8の後側を上下方向に沿って進行し、さらに最も上方に位置する出金カセット8Aの上側まで到達するように配設されている。搬送部10は、各出金カセット8の繰出部20から繰り出された紙幣を、短辺に沿う方向を進行方向に沿わせて概ね上方向へ進行させる。また搬送部10は、出金カセット8Aの上側から上方に向かって進行し集積部16まで到達すると共に、切替部14近傍において下方向へ分岐して進行しリジェクトカセット18まで到達する。
鑑別部12は、搬送部10の上側部分に、搬送部10の搬送路に沿って設けられている。この鑑別部12は、内部に複数種類のセンサが組み込まれており、各センサから得られた情報を基に、搬送される紙幣の金種や走行状態等を鑑別し、その鑑別結果を制御部5へ供給する。制御部5は、得られた鑑別結果を基に、各紙幣の搬送先を決定する。具体的に制御部5は、出金すべき正常な紙幣の搬送先を集積部16に、出金すべきで無い紙幣(以下これをリジェクト紙幣と呼ぶ)の搬送先をリジェクトカセット18に、それぞれ決定する。
切替部14は、鑑別部12の前側に配置されており、制御部5の制御に基づき、紙幣に当接して進行方向を変化させるブレード(図中三角形で示す)の傾斜角度を変更することにより、紙幣の進行方向を切り替える。また切替部14は、搬送部10により、後側の鑑別部12、前側の集積部16及び該集積部16の前側のリジェクトカセット18とそれぞれ接続されている。この切替部14は、後方から搬送されてきた紙幣それぞれの進行方向を、制御部5において決定された搬送先に応じて切り替え、集積部16又はリジェクトカセット18へ進行させる。
集積部16は、収納筐体6内における最も上側の後側に位置しており、内部に紙幣を集積する空間である集積空間16Sを形成している。この集積部16は、集積空間16S内に、上面に紙幣を集積するステージ16Tを有している。ステージ16Tは、上下方向に薄い板状に形成されており、前後方向及び左右方向の長さが、紙幣における短辺及び長辺の長さよりもそれぞれ長くなっている。
また集積部16における後側上寄りには、切替部14から搬送されてきた紙幣を集積空間16S内へ放出する放出部16Jが設けられている。このため集積部16は、切替部14から搬送され放出部16Jにより集積空間16S内へ放出された紙幣を、ステージ16T上に集積させる。このときステージ16T上に集積された紙幣は、束状に積み重ねられている。以下では、このように積み重ねられた紙幣を紙幣束とも呼ぶ。
さらにステージ16Tは、図示しないステージ移動機構により上下方向へ移動する。また集積部16の上面には、集積空間16Sに相当する範囲に渡り、上下方向に貫通する集積孔16Hが穿設されている。集積孔16Hにおける前後方向の長さは、ステージ16Tにおける前後方向の長さよりも僅かに長くなっている。この集積孔16Hは、収納筐体6の上面も貫通しており、集積空間16Sと収納筐体6よりも上側の空間とを連通させている。このため集積部16は、ステージ16Tに紙幣束を載置した状態で該ステージ16Tを上方へ移動させることにより、該ステージ16T及び紙幣束を収納筐体6の上面よりも上側まで持ち上げる。
リジェクトカセット18は、収納筐体6内における最も上側の前側、すなわち集積部16の前下側に位置しており、内部に紙幣を収納する収納空間18Sを形成している。この収納空間18Sは、仕切板18Pにより、前上側に位置する取忘れ紙幣収納空間18SLと、後下側に位置するリジェクト紙幣収納空間18SRとに仕切られている。またリジェクトカセット18における後側下寄りには、切替部14から搬送されてきた紙幣をリジェクト紙幣収納空間18SR内へ放出する放出部18Jが設けられている。このためリジェクトカセット18は、切替部14から搬送され放出部18Jによりリジェクト紙幣収納空間18SR内へ放出された紙幣(すなわちリジェクト紙幣)を収納する。
またリジェクトカセット18の上面には、取忘れ紙幣収納空間18SLに相当する範囲に渡り、上下方向に貫通する取込孔18Hが穿設されている。さらに取込孔18Hは、収納筐体6の上面も貫通しており、取忘れ紙幣収納空間18SLと収納筐体6よりも上側の空間とを連通させている。このためリジェクトカセット18は、上方から取忘れ紙幣束が落下してきた場合、この取忘れ紙幣束を取忘れ紙幣収納空間18SL内に収納する。
さらにリジェクトカセット18は、出金カセット8と同様に、収納筐体6に対し前方向へ引き抜かれることにより、該収納筐体6から取り外され、また該収納筐体6に対し位置を合わされ後方向へ押し込まれることにより、該収納筐体6に装着される。
収納筐体6における、後述する束搬送筐体24内の上搬送ベルト26よりも下側部分のうち、大孔部24Hの範囲内には、可動搬送ベルト22が設けられている。可動搬送ベルト22は、後端近傍及び前端近傍にそれぞれ配置されたローラの周囲に掛け回された無端ベルトであり、このローラが回転することにより、上搬送ベルト26の下面と対向する上面を水平方向に沿った前後方向に沿って走行させる。
また可動搬送ベルト22は、駆動機構により、大孔部24Hの範囲内で前後方向へ移動する。例えば可動搬送ベルト22は、後側に移動した場合、大孔部24Hのうち中央付近及び後側を閉鎖し、前側の範囲を開放した状態とする。以下、このとき前側に開放された部分を前通過孔24HFと呼ぶ。また可動搬送ベルト22は、前側に移動した場合、大孔部24Hのうち中央付近及び前側を閉鎖し、後側の範囲を開放した状態とする。以下、このとき後側に開放された部分を後通過孔24HBと呼ぶ。
[1−3.束搬送ユニットの構成]
束搬送ユニット4は、全体として、上下方向に短く前後方向に長い、扁平な直方体状に形成されており、前後方向の長さが収納ユニット2よりも長くなっている。束搬送ユニット4は、直方体状の束搬送筐体24内に、紙幣束を搬送する種々の機構が設けられている。
束搬送筐体24内における上側部分には、上搬送ベルト26が設けられている。上搬送ベルト26は、後端近傍及び前端近傍にそれぞれ配置されたローラの周囲に掛け回された無端ベルトであり、このローラが回転することにより、その下面を水平方向に沿った前後方向に沿って走行させる。説明の都合上、以下では、上搬送ベルト26における下面部分の走行方向を、該上搬送ベルト26の走行方向と見なす。
束搬送筐体24における下面のうち前後方向の中央付近から後側に渡る広い範囲には、大きな孔でなる大孔部24Hが穿設されている。束搬送筐体24内における上搬送ベルト26よりも下側部分のうち、大孔部24Hよりも前側には、出金口搬送ベルト28が設けられている。出金口搬送ベルト28は、後端近傍及び前端近傍にそれぞれ配置されたローラの周囲に掛け回された無端ベルトであり、このローラが回転することにより、上搬送ベルト26の下面と対向する上面を水平方向に沿った前後方向に沿って走行させる。
また可動搬送ベルト22が前方へ移動された状態(図1)において、大孔部24Hのうち閉鎖されずに開放された後通過孔24HBは、集積部16のステージ16Tが上方へ移動された場合、該ステージ16Tにより閉鎖される。このとき束搬送ユニット4内には、上搬送ベルト26と、ステージ16T、可動搬送ベルト22及び出金口搬送ベルト28とにより上下方向から挟まれ水平方向に沿う束搬送路4Yが形成される。
また束搬送ユニット4内には、押出部30が設けられている。押出部30は、その一部を上搬送ベルト26の下面よりも下方に突出させており、図示しない移動機構により、前後方向に沿って、すなわち束搬送路4Yに沿って移動する。すなわち押出部30は、出金方向(前方)へ移動することにより紙幣束の束ずれや紙幣残留等を防止しつつ該紙幣束の後端を押す一方、取込方向(後方)へ移動することにより紙幣束の束ずれや紙幣残留等を防止しつつ該紙幣束の前端を押す。
束搬送筐体24の前端には、束搬送路4Y内を前方へ搬送されてきた紙幣束を利用者に引き渡す出金口32が形成されている。出金口32の近傍には、紙幣束を検知する図示しない出金口センサが設けられている。出金口センサは、所定の検知光を発光する発光素子及びこの検知光を受光する受光素子の組み合わせにより構成された光学センサであり、該検知光の光路を束搬送路4Yと交差させている。この出金口センサは、検知光の受光結果を制御部5に通知する。制御部5は、この受光結果を基に、出金口32に紙幣束があるか否かを判断する。
[1−4.出金カセットの構成]
図2乃至図5に示すように、出金カセット8は、フレーム34内に複数の部品が取り付けられており、内部に紙幣を収納するための収納空間40を形成している。なお以下の出金カセット8の右側面図においては、ステージ駆動スプリング50及びサイドガイド46は図示せず省略する。フレーム34は、金属板により形成され、全体として直方体状に構成されており、内部に直方体状の内部空間36が形成されている。このフレーム34は、後方の下側において、内部空間36とフレーム34の外部とを挿通し紙幣を該内部空間36から搬送部10(図1)へ繰り出す紙幣放出口38が設けられている。この出金カセット8は、フレーム34の後方の下側から紙幣を外部へ繰り出す、下側分離カセットとして機能する。またフレーム34は、後方の上寄りにおいて内部空間36とフレーム34の外部とを挿通し、後述するレバー62を内部空間36内へ突出させるレバー孔部34Hが設けられている。
また内部空間36内には、樹脂成形された成形品である板状のステージ42が設けられている。ステージ42は、左右方向の中央部におけるステージ板部43が前後方向に薄い板状に形成されており、収納空間40を前後に仕切る。またステージ42は、ステージ板部43の左右の両側面における上下の中央付近からそれぞれ左右の外側へ向けて四角柱形状のステージアーム部44L及び44R(以下ではまとめてステージアーム部44とも呼ぶ)が延設されている。ステージ板部43の後端面であり紙幣に当接するステージ板部後面43Sと、ステージアーム部44の後端面であるステージアーム部後面44Sとは、面一となっている。ステージ板部43は、左右方向の長さが、上下方向の長さよりも長く構成されている。
ステージアーム部44は、ステージ板部43の左右方向の外側に設けられ前後方向に延設されたサイドガイド46L及び46R(以下ではまとめてサイドガイド46とも呼ぶ)との間にそれぞれ僅かな隙間を形成しつつ外側まで貫通している。このためステージ42は、サイドガイド46によってステージアーム部44が案内されることにより、前後方向へ自在に移動する。サイドガイド46の後端部には、板状の後方板48が、収納空間40の左右方向の左側から右側に亘って設けられている。後方板48には、ピッカローラ52を前側に露出させる孔部が設けられている。
後端が後方板48に取り付けられた引張ばねでなるステージ駆動スプリング50の前端がステージアーム部44に取り付けられることにより、ステージ42は、後方向である押付方向に付勢力が加えられている。これによりステージ42は、収納空間40に収納された紙幣をピッカローラ52に押し付ける。
このように内部空間36内には、左右がサイドガイド46L及び46Rに挟まれ、後側に後方板48が配置された収納空間40が形成される。収納空間40は、紙幣の紙面を前後方向に向けると共に、その長手方向を、後述するピッカローラ52の軸に沿った幅方向である左右方向に向けた状態、すなわち短手方向を概ね上下方向に向けた状態で、複数の紙幣を前後方向に集積した状態で収容する。
さらにフレーム34内の後側下部には、収納空間40内の紙幣を搬送部10へ受け渡す繰出部20が組み込まれている。繰出部20は、図示しない駆動機構から駆動力が伝達されることにより回転する、ピッカローラ52、フィードローラ54及びゲートローラ56により構成されている。ピッカローラ52(52L及び52R)は、後方板48から収納空間40内に前側の一部分を突出させるようステージ板部43の左右方向の長さよりも短い間隔を空けて該ステージ板部43と対向するよう左右に並び2個設けられており、収納空間40に収納された紙幣のうち最後部に位置する紙幣に当接し右側面視で反時計回りに回転することにより、該紙幣を下側へ繰り出す。フィードローラ54は、ピッカローラ52の下側に左右に並び2個設けられており、ピッカローラ52により繰り出された紙幣に当接し右側面視で反時計回りに回転することにより、該紙幣を紙幣放出口38から搬送部10へ放出させる。ゲートローラ56は、フィードローラ54の前側において対向する位置に左右に並び2個設けられており、回転しないことにより紙幣の重送を防止する。
かかる構成において紙幣出金機1は、顧客へ紙幣束を出金する際、ピッカローラ52及びフィードローラ54を回転させることにより、ステージ42によってピッカローラ52に押し付けられている紙幣のうち最後部に位置する紙幣を1枚ずつ分離して紙幣放出口38を介し搬送部10へ放出する。続いて紙幣出金機1(図1)は、紙幣を搬送部10により上方へ搬送して、鑑別部12により鑑別させる。このとき制御部5は、鑑別部12から得られる鑑別結果を基に、紙幣が出金可能であるか否かに応じて、その搬送先を集積部16又はリジェクトカセット18に決定する。続いて制御部5は、鑑別部12により鑑別された紙幣を、搬送部10により上方及び前方へ搬送して切替部14に到達させる。切替部14は、制御部5の制御に基づき、紙幣それぞれについて決定された搬送先に応じて進行方向を切り替え、集積部16又はリジェクトカセット18へ進行させる。
集積部16は、搬送されてきた紙幣を放出部16Jにより集積空間16S内へ放出し、ステージ16T上に集積させる。このとき集積部16は、集積孔16Hの上方が後側へ移動した可動搬送ベルト22により閉鎖されているため、放出部16Jから放出された紙幣が上方へ舞い上がることを防止し、ステージ16T上に安定的に集積させる。またリジェクトカセット18は、搬送されてきた紙幣を放出部18Jによりリジェクト紙幣収納空間18SR内へ放出して収納させる。
制御部5は、搬送先を集積部16とした紙幣、すなわち集積部16に集積した紙幣の金種及び枚数を逐次集計しており、集計した金額が出金額に到達した段階で、出金カセット8からの紙幣の繰出を中止する。この結果、集積部16のステージ16T上には、出金額の紙幣が束状に集積された紙幣束Wが載置される。
次に制御部5は、可動搬送ベルト22を前方へ移動させることにより集積部16の集積孔16H及び後通過孔24HBを開放すると共に、集積部16のステージ16Tを上方へ移動させることにより、束搬送ユニット4側へ紙幣束Wを受け渡す位置まで該紙幣束Wを持ち上げさせる。このとき制御部5は、ステージ16Tの上面を出金口搬送ベルト28及び可動搬送ベルト22の上面と同等の高さに揃えて、該ステージ16Tにより束搬送路4Yの一部を構成させると共に、該ステージ16T上の紙幣束Wを該束搬送路4Y内に位置させる。
さらに制御部5は、上搬送ベルト26を前方へ走行させると共に押出部30を前方へ移動させることにより、紙幣束Wを束搬送路4Yに沿って前方へ進行させていく。やがて制御部5は、出金口センサからの通知を基に紙幣束Wが出金口32に到達したことを検知すると、上搬送ベルト26の走行を停止する。因みに制御部5は、このときステージ16Tを下方へ移動させて、出金動作を終了する。
[1−5.ストッパ機構の構成]
ピッカローラ52の近傍には、該ピッカローラ52に対するステージ42のステージ板部43の衝突を防止するストッパ機構60が設けられている。ストッパ機構60は、レバー62(62L及び62R)及びストッパ64(64L及び64R)により構成されている。
ストッパ64は、側面視でL字形状であり、収納空間40よりも左右方向の外側、すなわちピッカローラ52の左右方向の外側において、左右方向に2個並んで同じ上下方向の位置に設けられている。ストッパ64は、フレーム34に固定された円筒形状でなるストッパ支点軸66を支点として、時計回り及び反時計回りに、図5(B)に示す退避状態と、図5(A)に示す作動状態とを回動可能に構成されている。以下では、ストッパ64の回動における、ステージ42のステージ板部43とピッカローラ52との衝突を防ぐ作動状態に向かう方向である時計回りを作動方向とも呼び、最後部の紙幣とピッカローラ52との接触を妨げない退避状態に向かう方向である反時計回りを退避方向とも呼ぶ。
ストッパ64は、ストッパ当接部64Tとストッパ力点部64Eとが形成されている。ストッパ当接部64Tは、円筒形状であり作動状態においてストッパ支点軸66から前方、すなわちステージ42のステージアーム部44に向かって水平方向に沿って直線状に延設されている。このストッパ当接部64Tは、作動状態においてステージアーム部後面44Sと平行に対向する平面であるストッパ当接面64Sが形成されている。ストッパ力点部64Eは、板状でありストッパ当接部64Tに対しほぼ90度の角度でストッパ支点軸66から延設されている。ストッパ力点部64Eは、作動状態においてストッパ支点軸66から上方に、レバー62の高さまでほぼ上下方向に沿って延設されている。
後端がフレーム34に取り付けられた引張ばね(図示せず)の前端がストッパ力点部64Eに取り付けられることにより、ストッパ64は、ストッパ支点軸66を支点として図5中時計回りである作動方向に付勢力が加えられている。ストッパ力点部64Eの回動経路上の後方には、フレーム34に固定されたリミッタ(図示せず)が設けられている。このリミッタは、作動状態においてストッパ64におけるストッパ力点部64Eの後方に当接する。このためストッパ64は、作動状態において引張ばねの付勢力により作動方向に付勢されつつ、リミッタに当接することにより、それ以上の作動方向への回動が抑止され、ストッパ当接面64Sがステージアーム部後面44Sと対向する回動位置に位置決めされる。
当接部材としてのレバー62は、棒状であり、搬送部10の搬送路を形成する搬送ガイド(図示せず)における、ストッパ64のストッパ力点部64Eと対向する位置に固定され、レバー孔部34Hを介し出金カセット8に向かって左右に並び2個突出している。このレバー62は、出金カセット8が収納筐体6に取り付けられる際、該出金カセット8と共に後方へ向かって移動するストッパ力点部64Eに当接することにより、作動状態にあるストッパ64を退避方向へ回動させる。そしてレバー62は、出金カセット8が該収納筐体6に取り付けられると、ストッパ64を退避状態へ移行させる。
図2に示すように作動状態においてストッパ64は、ストッパ当接面64Sが、収納空間40の左右外側の両側において、ピッカローラ52の外周面の前端部よりも前方(収納空間40側)へ向かって突出する。これによりストッパ64は、押付方向に沿って移動してきたステージ42にピッカローラ52よりも先に衝突する。
一方図4(B)に示すように退避状態においてストッパ64は、ストッパ当接面64Sが、ピッカローラ52の外周面の前端部よりも後方(収納空間40から離隔する側)に位置する。これによりストッパ64は、押付方向に沿って移動してきたステージ42にピッカローラ52よりも先に衝突せず、該ピッカローラ52に先に当接させる。
[1−6.動作及び効果]
ところで従来、紙幣の入出金を行う紙幣入出金機において、モータ等のステージ駆動機構をカセットに内蔵しステージを駆動するものがあった。これに対し紙幣出金機においては出金のみを行うために、出金カセットに搬送部から紙幣が搬送されることはないため、ピッカローラ52から離隔する方向へステージ42を移動させる必要がない。このため紙幣出金機においては、出金カセット内部にモータ等のステージ駆動機構を有さずにステージ駆動スプリングの付勢力でステージをピッカローラに向かって押し付けることにより、構成を簡素化するものがあった。
そのような紙幣出金機の場合、出金カセット内部の紙幣が空になると、保守員は、該出金カセットを収納筐体から取り外し、ステージを持ちつつステージ駆動スプリングの付勢力に逆らってピッカローラから離隔する方向へ移動させることにより収納空間を広げ、該収納空間に紙幣を装填し、該出金カセットを収納筐体へ装着する。
しかしながらそのような紙幣出金機の場合、ピッカローラから離隔した位置で保守員が誤ってステージを解放してしまった場合、ステージがピッカローラヘ向かって加速して移動し衝突してしまう。このため従来の紙幣出金機では、ステージがピッカローラに衝突した際の衝撃で、ステージ又はピッカローラか、ステージ及びピッカローラの両方かが破損したり変形したりするおそれがあった。このステージ及びピッカローラは分離動作を行う上で重要な部品であるため、破損や変形が発生すると、紙幣出金機は安定した分離動作ができず、信頼性が保てない可能性があった。
これに対し本実施の形態による紙幣出金機1においては、図3(A)に示すカセット装着状態から出金カセット8が取り外され図3(B)に示すようにカセット取外し状態になると、ストッパ64は、レバー62に当接されない状態になるため、作動方向へ回動し作動状態となる。このとき保守員がステージ42を誤って離してしまうと、ステージ42は押付方向に移動し、ステージ板部43がピッカローラ52に衝突することよりも先に、ステージアーム部44がストッパ64のストッパ当接面64Sに衝突する。これにより紙幣出金機1は、ピッカローラ52にステージ42が衝突してしまうことを防ぐことができるため、ピッカローラ52の破損を防止できる。
ここで、図6に示す従来の紙幣出金機の出金カセット1008においては、保守員がステージ42を解放してしまうと、図7に示すようにステージ板部43の中央部分にピッカローラ52が衝突する。このときステージ板部43には、中央部が左右両端側へ引っ張られるような引張力Ftが加わるため、該ステージ板部43は、中央部が前方へ湾曲するように変形し易くなってしまう。
これに対し紙幣出金機1の出金カセット8においては、図8に示すようにステージ板部43の左右両側に設けられたステージアーム部44にストッパ64が衝突する。このときステージ板部43には、中央部が左右両側から圧縮される圧縮力Fcが加わるため、左右の圧縮力Fcが相殺されることとなり、該ステージ板部43は、引張力Ftが加わる場合よりも変形し難い。これにより紙幣出金機1は、ステージ42の破損を抑止できる。
一方紙幣出金機1においては、図4(A)に示すカセット取外し状態から出金カセット8が収納筐体6に装着され図4(B)に示すようにカセット装着状態になると、ストッパ64は、レバー62に当接された状態になるため、退避方向へ回動し退避状態となる。このため収納空間40に収納された紙幣が繰り出されて減少していくと、ステージ42は押付方向に移動し、ステージ板部43はストッパ64に邪魔されずにピッカローラ52に当接することとなる。これにより紙幣出金機1は、ステージ42をピッカローラ52に安定して押し付けることができ、収納空間40に収納された紙幣のうち最後の1枚まで安定的に分離して繰り出すことができる。
また紙幣出金機1は、2個のストッパ64(64L及び64R)を互いに同じ上下方向の位置に設けるようにした。これにより紙幣出金機1は、2個のストッパ64が互いに異なる上下方向の位置に設けられている場合と比べて、ステージ42がストッパ64に衝突した際のステージ板部43の捻じれを抑止することができる。
また紙幣出金機1は、退避状態において収納空間40や紙幣の搬送路に干渉しない位置にストッパ64を配置するようにした。これにより紙幣出金機1は、紙幣を収納空間40に収納する際や、該収納空間40から紙幣を繰り出す際に、ストッパ64が紙幣に干渉しないようにすることができる。
さらに紙幣出金機1は、ストッパ支点軸66からステージアーム部44に向かって水平方向に沿ってストッパ当接部64Tを延設するようにした。これにより紙幣出金機1は、ステージアーム部44がストッパ当接部64Tに衝突した際、該ストッパ当接部64Tが圧縮されるように力を受けつつストッパ支点軸66に力を逃がすことにより、ストッパ64の破損を抑止しつつ、ステージ42の移動を停止させることができる。
以上の構成によれば紙幣出金機1は、紙幣を収納する出金カセット8と、出金カセット8から繰り出され搬送された紙幣を集積する集積部16と、集積部16に集積された紙幣束を搬送して利用者に引き渡す束搬送ユニット4とを設け、出金カセット8は、紙幣を互いに紙面が対向するよう収納する収納空間40と、収納空間40から紙幣放出口38へ向けて紙幣を分離して繰り出すピッカローラ52と、ピッカローラ52に向かって押付方向へ移動し紙幣をピッカローラ52へ押し付けるステージ42と、収納空間40に紙幣が装填され得る状態の場合、押付方向へ移動するステージ42に対しピッカローラ52よりも先に当接する作動状態になる一方、収納空間40に紙幣が装填され得ない状態の場合、ステージ42に当接しないよう退避する退避状態になり分離される紙幣をピッカローラ52に当接させるストッパ機構60とを設けるようにした。
これにより紙幣出金機1は、収納空間40に紙幣を装填する際に保守員の誤操作によりステージ42が押付方向に移動してしまっても、該ステージ42がピッカローラ52に衝突してしまうことを防止できる。
[2.第2の実施の形態]
[2−1.紙幣出金機の構成]
図1に示すように、第2の実施の形態による紙幣出金機101は、第1の実施の形態による紙幣出金機1と比べて、出金カセット108(108A、108B、108C及び108D)が出金カセット8と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。図9及び図11に示すように、出金カセット108は出金カセット8と比べて、ストッパ機構160がストッパ機構60と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。なお図10においては説明の都合上ストッパ機構160は図示せず省略する。また図9においてフレーム34は、説明の都合上破線で示す。
[2−2.ストッパ機構の構成]
図9乃至図11に示すように、ストッパ機構160は、ストッパ機構60と比べて、それぞれストッパ64に代えてストッパ164(164L及び164R)が、レバー62に代えてシャッタ70が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
出金カセット108のフレーム34の内側には、シャッタ支点70Fを支点として図示しない駆動部の駆動力で回動することにより紙幣放出口38を外部に対し開放又は閉鎖させるシャッタ70が設けられている。紙幣出金機1は、カセット取外し状態においては、図10(A)及び図11(A)に示すようにシャッタ70により紙幣放出口38を外部に対し閉鎖させる状態である放出口閉鎖状態とすることにより、内部に収納している紙幣を保護する。一方紙幣出金機1は、カセット装着状態においては、図10(B)及び図11(B)に示すようにシャッタ70を回動させて紙幣放出口38を外部に対し開放させることにより、収納空間40から紙幣を繰り出し得る放出口開放状態にする。
シャッタ70は、収納空間40よりも左右方向の外側、すなわちピッカローラ52の左右方向の外側においてフレーム34に回転可能に軸支された円筒形状でなるシャッタ支点70F(70FL及び70FR)を支点として、時計回り及び反時計回りに、放出口閉鎖状態と放出口開放状態とを回動可能に構成されている。以下では、シャッタ70の回動における、放出口閉鎖状態から放出口開放状態に向かう方向である反時計回りをシャッタ開放方向とも呼び、放出口開放状態から放出口閉鎖状態に向かう方向である時計回りをシャッタ閉鎖方向とも呼ぶ。
シャッタ支点70F(70FL及び70FR)には、それぞれ後方に向かって延びるシャッタアーム70AL及び70AR(以下ではまとめてシャッタアーム70Aとも呼ぶ)が接続されている。またシャッタアーム70Aの後端には、紙幣放出口38の左右方向及び上下方向の長さよりも長い板状のシャッタ板70Pが、該紙幣放出口38の前側を覆うように形成されている。
ストッパ164は、側面視で略L字形状であり、ストッパ64と同様に、収納空間40よりも左右方向の外側における、ステージアーム部44L及び44Rと当接し得る位置において、左右方向に2個並んで同じ上下方向の位置に設けられている。ストッパ164は、ストッパ当接部164Tとストッパ力点部164Eとが形成されている。ストッパ当接部164Tは、円筒形状であり作動状態においてストッパ支点軸166からステージ42のステージアーム部44に向かって水平方向に沿って延設されている。このストッパ当接部164Tは、作動状態においてステージアーム部後面44Sと平行に対向する平面であるストッパ当接面164Sが形成されている。ストッパ力点部164Eは、棒状でありストッパ当接部164Tに対しほぼ130度の角度でストッパ支点軸66から延設されている。ストッパ力点部164Eは、作動状態においてストッパ支点軸66から後方下部に向かって延設されている。
ストッパ力点部164Eは、先端において左右方向内側に突設するストッパ力点部ローラ164ERが設けられており、このストッパ力点部ローラ164ERは、重力によりシャッタアーム70Aの上面に当接している。これによりストッパ164は、シャッタアーム70Aの回動に伴って、ストッパ力点部ローラ164ERを該シャッタアーム70Aの上面に当接させつつ回動する。
かかる構成において、カセット取外し状態においてシャッタ70がシャッタ閉鎖方向へ回動すると、ストッパ164は、図11(A)に示すようにストッパ力点部ローラ164ERがシャッタアーム70Aの上端面に当接しつつ持ち下げられることにより作動方向へ回動し、作動状態となる。このときシャッタ70は放出口閉鎖状態となる。ストッパ164は作動状態においては、ストッパ当接面164Sが、収納空間40の左右外側の両側において、ピッカローラ52の外周面の前端部よりも前方(収納空間40側)へ向かって突出する。これによりストッパ164は、押付方向に沿って移動してきたステージ42にピッカローラ52よりも先に衝突する。
一方、カセット装着状態においてシャッタ70がシャッタ開放方向へ回動すると、ストッパ164は、図11(B)に示すようにストッパ力点部ローラ164ERがシャッタアーム70Aの上端面に当接しつつ持ち上げられることにより退避方向へ回動し、退避状態となる。このときシャッタ70は放出口開放状態となる。ストッパ164は、退避状態においてはストッパ当接面164Sが、ピッカローラ52の外周面の前端部よりも後方(収納空間40から離隔する側)に位置する。これによりストッパ164は、押付方向に沿って移動してきたステージ42にピッカローラ52よりも先に衝突せず、ピッカローラ52に先に当接させる。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において紙幣出金機101は、カセット取外し状態においては、シャッタ閉鎖方向へ回動するシャッタ70に連動してストッパ164を作動方向へ回動させ、図11(A)に示したように作動状態とする。このとき保守員がステージ42を誤って離してしまうと、ステージ42は押付方向に移動し、ステージ板部43がピッカローラ52に衝突することよりも先に、ステージアーム部44がストッパ164のストッパ当接面164Sに衝突する。
これにより紙幣出金機101は、ピッカローラ52にステージ42が衝突してしまうことを防ぐことができるため、ピッカローラ52の破損を防止できる。また紙幣出金機101は、ステージ42がストッパ164に衝突する際、ステージ板部43に対し、左右の両側から中央部に向かう圧縮力Fcを加えるようにすることにより、ステージ42の破損を抑止できる。
一方カセット装着状態において紙幣出金機101は、シャッタ開放方向へ回動するシャッタ70に連動してストッパ164を退避方向へ回動させ、図11(B)に示したように退避状態とする。このため収納空間40に収納された紙幣が繰り出されて減少していくと、ステージ42は押付方向に移動し、ステージ板部43はストッパ164に邪魔されずにピッカローラ52に当接することとなる。これにより紙幣出金機101は、ステージ42をピッカローラ52に安定して押し付けることができ、収納空間40に収納された紙幣のうち最後の1枚まで安定して分離して繰り出すことができる。
また紙幣出金機101は、ストッパ164に作用する重力によりストッパ力点部ローラ164ERが下方向へ落ち作動方向へ回動しようとする該ストッパ164を、シャッタアーム70Aで支えると共に、該シャッタアーム70Aを回動させるだけでストッパ164を回動させるようにした。これにより紙幣出金機101は、ストッパ164を付勢する付勢部材を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができる。
また紙幣出金機101は、紙幣出金機1と比べて、レバー62とレバー孔部34Hとを省略することができるため、紙幣出金機1と同様にピッカローラ52及びステージ42の破損を防止しつつ、さらに簡易な構成とすることができる。
このように紙幣出金機101は、シャッタ70の回動力により、該シャッタ70と連動させてストッパ164を作動方向及び退避方向へ回動させるようにした。これにより紙幣出金機101は、カセット取外し状態において外部から紙幣放出口38を介し収納空間40へアクセスされることをシャッタ70により防止しセキュリティを確保しつつ、簡易な構成でピッカローラ52及びステージ42の破損を防止できる。
その他第2の実施の形態による紙幣出金機110は、第1の実施の形態による紙幣出金機1と同様の作用効果を奏する。
[3.第3の実施の形態]
[3−1.紙幣出金機の構成]
図1に示すように、第3の実施の形態による紙幣出金機201は、第1の実施の形態による紙幣出金機1と比べて、出金カセット208(208A、208B、208C及び208D)が出金カセット8と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。図12及び図13に示すように、出金カセット208は出金カセット8と比べて、ストッパ機構260がストッパ機構60と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
[3−2.ストッパ機構の構成]
ストッパ機構260は、ストッパ機構60と比べて、それぞれストッパ64に代えてストッパ264(264L及び264R)が、レバー62に代えてカセットカバー72が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。なお図12及び図13において、ステージ42及びストッパ264以外の機構は図示せず省略する。
カセットカバー72は、板状であり、上面が開放されたフレーム34の後端部に設けられたカバー支点72Fを支点として回動することにより、内部空間36を外部に対し開放又は閉鎖させる。紙幣出金機201は、カセットカバー72により内部空間36を外部に対し閉鎖させる状態であるカバー閉鎖状態においては、内部に収納している紙幣を保護する。一方紙幣出金機201は、紙幣装填時には保守員にカセットカバー72を開放させ内部空間36を外部に対し開放させる状態であるカバー開放状態とする。以下では、カセットカバー72の回動における、カバー閉鎖状態からカバー開放状態に向かう方向である時計回りをカバー開放方向とも呼び、カバー開放状態からカバー閉鎖状態に向かう方向である反時計回りをカバー閉鎖方向とも呼ぶ。
カセットカバー72における前後方向の中央部分においてストッパ264と対向する位置からは、該ストッパ264へ向かってカバー突起72Tが突設している。
ストッパ264は、ストッパ64と同様に、収納空間40よりも左右方向の外側におけるステージアーム部44L及び44Rと当接し得る位置において、左右方向に2個並んで同じ上下方向の位置に設けられている。ストッパ264は、作動状態においてステージアーム部後面44Sと平行に対向する平面であるストッパ当接面264Sが形成されている。ストッパ264には、下端がフレーム34に取り付けられた圧縮ばねでなるストッパスプリング74の上端が取り付けられることにより、該ストッパ264は、上方向である作動方向に付勢力が加えられている。
ストッパ264の上方には、カセットカバー72のカバー突起72Tが位置している。このカバー突起72Tは、ストッパ264の退避状態において該ストッパ264の上端面に当接する。このためストッパ264は、退避状態において圧縮ばねの付勢力により作動方向に付勢されつつ、カバー突起72Tに当接することにより、それ以上の作動方向への移動が抑止され、図12に示すようにステージアーム部44よりも下方と対向する位置に位置決めされる。
かかる構成において、カセット取外し状態においてカバー開放状態になると、ストッパ264は、図13に示すようにカバー突起72Tが上端面から外れ、ストッパスプリング74の付勢力により上方である作動方向へ移動し、作動状態となる。ストッパ264は、作動状態においては、ストッパ当接面264Sが、収納空間40の左右外側の両側において、ピッカローラ52の外周面の前端部よりも前方(収納空間40側)でありステージアーム部44の移動経路上に位置する。これによりストッパ264は、押付方向に沿って移動してきたステージ42にピッカローラ52よりも先に衝突する。
一方、カバー閉鎖状態になると、ストッパ264は、図12に示すようにカバー突起72Tに上端面を抑えられることにより下方である退避方向へ移動し、退避状態となる。退避状態においてストッパ264は、ステージアーム部44の移動経路上よりも下側にストッパ当接面264Sが位置する。これによりストッパ264は、押付方向に沿って移動してきたステージ42にピッカローラ52よりも先に衝突せず、ピッカローラ52に先に当接させる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、作動状態においてストッパ当接面64Sをピッカローラ52の外周面の前端よりも前方に位置させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばステージ板部後面43Sに対しステージアーム部後面44Sが後方に位置するよう形成されている場合、ステージ板部43がピッカローラ52に衝突するよりも先に、ステージアーム部44がストッパ64に衝突するのであれば、ストッパ当接面64Sはピッカローラ52の外周面の前端よりも後方に位置していても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、ストッパを回動させることにより作動状態及び退避状態を切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、ストッパを上下移動や前後移動させることにより作動状態及び退避状態を切り替えても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、回動するシャッタ70に連動させてストッパ164の作動状態及び退避状態を切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、摺動しつつ上下移動するストッパや、歯車を用い回転移動するレバー等に連動させてストッパ164の作動状態及び退避状態を切り替えても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においてはシャッタ70の回動と連動してストッパ164を回動させ、第3の実施の形態においてはカセットカバー72の回動と連動してストッパ264を回動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣出金機が収納される現金自動支払機の扉の開閉動作や、紙幣出金機が収納される現金自動支払機の扉の鍵を施錠又は解錠する動作等や、ストッパ蓋の鍵を施錠又は解錠する動作等と連動させてストッパを回動させても良い。要は、収納空間40に紙幣が装填され得る状態のときストッパ64が作動状態になり、収納空間40に紙幣が装填され得ない状態のときストッパ64が退避状態になれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、下側分離カセットである出金カセット8、108及び208に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣出金機内部のレイアウトによっては、図14に示すようにフレーム334の後方の上側から紙幣を外部へ繰り出す上側分離カセットである出金カセット308に本発明を適用しても良い。出金カセット308のフレーム334は、後方の上側において紙幣放出口338が設けられている。ピッカローラ352は、後方板48から収納空間40内に前側の一部分を突出させるようステージ板部43の左右方向の長さよりも短い間隔を空けて該ステージ板部43と対向するよう左右に並び2個設けられており、収納空間40に収納された紙幣のうち最後部に位置する紙幣に当接し時計回りに回転することにより、該紙幣を上側へ繰り出す。フィードローラ354(354L及び354R)は、ピッカローラ352の上側に左右に並び2個設けられており、ピッカローラ352により繰り出された紙幣に当接し右側面視で時計回りに回転することにより、該紙幣を紙幣放出口338から搬送部10へ放出させる。ゲートローラ356(356L及び356R)は、フィードローラ354の前側において対向する位置に左右に並び2個設けられており、回転しないことにより紙幣の重送を防止する。
さらに上述した実施の形態においては、2個のストッパ64、164及び264を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、収納空間40に入り込まず且つステージアーム部44と当接する箇所において3個以上の種々の個数のストッパを設けても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、駆動部の駆動力によりシャッタ70を回動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばカセット装着状態においては収納筐体6に設けられた機構にシャッタ70が物理的に接触することにより放出口開放状態となり、カセット取外し状態においては収納筐体6に設けられた機構からシャッタ70が離隔することにより放出口閉鎖状態となるようにしても良い。その場合、シャッタ70を回動させる駆動部を省略できる。
さらに上述した実施の形態においては、2個のストッパ64、164及び264を互いに同じ上下方向の位置に設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、2個のストッパ64、164及び264を互いに異なる上下方向の位置に設けても良い。
さらに上述した実施の形態においては、ステージ駆動スプリング50によりステージ42を押付方向に付勢する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ステージ42は押付方向に付勢されていなくても良い。そのような場合であっても、保守員がステージ42を誤って押付方向に勢いよく移動させてしまった際に、該ステージ42のステージ板部43がピッカローラ52に衝突してしまうことをストッパ64、164及び264により防止できる。
さらに上述した第2の実施の形態においては、シャッタ板70Pが上方へ持ち上がるようシャッタ70を回動させることにより、該シャッタ70をシャッタ開放方向へ移動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、シャッタ板70Pが下方へ持ち下がるようシャッタ70を回動させることにより、該シャッタ70をシャッタ開放方向へ移動させるようにしても良い。その場合、ストッパ164は、ストッパ当接部164Tが上方へ持ち上がるよう回動することにより退避状態となる。
さらに上述した実施の形態においては、紙面を前後方向に向けて前後方向に沿って並んだ状態で収納する出金カセット8、108及び208に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙面を上下方向等、種々の方向に向けて並んだ状態で収納する出金カセットに本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、紙幣を出金する紙幣出金機1、101及び201に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば種々の金券や証券、或いは各種チケットなど、紙葉状の媒体を収納しておき、これを利用者に引き渡す種々の装置に適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、収納空間としての収納空間40と、ピッカローラとしてのピッカローラ52と、ステージとしてのステージ42と、ストッパとしてのストッパ機構60、160及び260とによって、媒体繰出カセットとしての出金カセット8、108及び208を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、種々の構成でなる収納空間と、ピッカローラと、ステージと、ストッパとによって、媒体繰出カセットを構成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、媒体繰出カセットとしての出金カセット8と、集積部としての集積部16と、束搬送部としての束搬送ユニット4と、収納空間としての収納空間40と、ピッカローラとしてのピッカローラ52と、ステージとしてのステージ42と、ストッパとしてのストッパ機構60、160及び260とによって、媒体引渡装置としての紙幣出金機1、101及び201を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体繰出カセットと、集積部と、束搬送部と、収納空間と、ピッカローラと、ステージと、ストッパとによって媒体引渡装置を構成しても良い。