JP2016153386A - 消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための宿主防御タンパク質(hdp)模倣薬 - Google Patents

消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための宿主防御タンパク質(hdp)模倣薬 Download PDF

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Abstract

【課題】哺乳類における消化管の炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、クローン病、又は過敏性腸症候群、の予防及び/又は治療に有効な医薬化合物の提供。
【解決手段】以下の式で表わされるブリラシジン(PMX−30063)及びデルパランタグ(PMX−60056)から選択される化合物、並びにその薬学的に許容される塩。


【選択図】図1

Description

本発明は、消化管の炎症性疾患の予防および治療における、ブリラシジン(PMX−30063)およびデルパランタグ(PMX−60056)、ならびにその薬学的に許容される塩、およびその薬学的組成物を含む、宿主防御タンパク質(HDP)模倣体の使用に関する。
消化管の炎症性疾患は、その消化管の全てまたは一部の慢性炎症を伴う。消化管の炎症性疾患は、単一疾患ではない。それは、消化管の長期炎症を引き起こす疾患群を表す用語である。そのような状態は、慢性、亜慢性、または急性であり得、その状態に従って軽度、中度、または重度であり得る。多くの疾患が、この包括的用語に含まれる。解剖学的領域に関係なく消化管の全ての部分における消化管の炎症が、この治療に含まれる。活動性疾患の主な症状は、通常、徐々に発症する血液の混じった持続性の下痢である。
消化管は、口、食道、胃、小腸、大腸、結腸、直腸、および肛門から構成される。それは、食物を分解すること、栄養素を抽出すること、ならびに任意の使用不可能な物質および老廃物を除去することに関与する。消化管に沿った任意の箇所の炎症がこの治療プロセスに含まれる。治療は、次のような状態を全て含む。
潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸(結腸)および直腸の最内膜において長期にわたる炎症およびただれ(潰瘍)を引き起こす炎症性腸疾患(IBD)である。主症状は、血便を伴う下痢であり、熱および腹痛を伴うこともある。発症は、潜行性または急性であり得る(軽度60%、中度〜重度25%、劇症15%)。重度の発作は、中毒性巨大結腸として知られる結腸拡張を伴う場合があり、高い罹患率および死亡率を伴う。潰瘍性大腸炎の合併症は、大量出血、狭窄形成、劇症大腸炎(中毒性巨大結腸)、および結腸癌である。潰瘍性大腸炎は、直腸で始まり、近位に進行して結腸の一部または結腸全体のいずれかを巻き込み得る。潰瘍性大腸炎患者の60%〜75%は、S状結腸の近位に疾患を有しない。全大腸炎は、患者の20%において発生する。潰瘍性大腸炎は、毎年100,000人当たり1〜20症例の発生率、および100,000人当たり8〜246症例の有病率を有する。潰瘍性大腸炎は、炎症の箇所および症状の重症度に従い分類される。
・潰瘍性直腸炎−炎症は、肛門(直腸)に最も近い領域に限られ、直腸出血が、この疾患の唯一の兆候であり得る。この形態の潰瘍性大腸炎は、最も軽度である傾向がある。
・潰瘍性直腸S状結腸炎−炎症は、直腸およびS状結腸(結腸の下端)を巻き込む。兆候および症状としては、出血性下痢、腹部痙攣および疼痛、ならびに便意があるにもかかわらず排便できないこと(しぶり)が挙げられる。
・左側結腸炎−炎症は、直腸からS状および下行結腸を通じて上に延びる。兆候および症状としては、出血性下痢、左側の腹部痙攣および疼痛、ならびに意図せぬ体重減少が挙げられる。
・全大腸炎−全大腸炎は、しばしば大腸全体に影響を及ぼし、重度であり得る出血性下痢の発作、腹部痙攣および疼痛、疲労、ならびに著しい体重減少を引き起こす。
・急性重度潰瘍性大腸炎−前名は劇症大腸炎である、この珍しい形態の大腸炎は、結腸全体に影響を及ぼし、激痛、大量の下痢、出血、熱、および摂食不能を引き起こす。
コラーゲン蓄積大腸炎およびリンパ球性大腸炎も炎症性腸疾患と見なされるが、通常、古典的な炎症性腸疾患とは別に扱われる。
クローン病もまた、消化管の内膜の炎症を引き起こす炎症性腸疾患である。クローン病において、炎症は、しばしば罹患組織の深部に広がる。炎症は、消化管の異なる領域、すなわち大腸、小腸、または両方を巻き込み得る。疾患分布の3つの主要なパターンは、回盲部(40%)、小腸(30%)、および結腸(25%)である。食道、胃、および十二指腸を巻き込むことはそれほど一般的ではない。最も一般的な症状は、下痢、腹痛、および体重減少である。この疾患は、しばしば診断前に数ヶ月または数年間存在する。小児では、成長遅延が疾患を示す主要な兆候のうちの1つであり得る。一般に肛門周囲疾患と呼ばれる瘻孔、膿瘍、および裂溝の存在は、潰瘍性大腸炎と区別する要因である。クローン病もまた、潰瘍性大腸炎のような寛解再発性疾患であり、患者の60%超が、10年以内に手術を必要とし、患者の70%が手術の1年以内に内視鏡的再発を有し、患者の50%が4年以内に症状再発を有する。クローン病において、炎症は、より一般に限局性であり、腸壁厚化につながり、浮腫性および線維性になり、腸間膜に脂肪が浸潤するようになり得る。主要な合併症は、狭窄、広範囲の回腸疾患、広範囲の粘膜損傷、瘻孔、尿シュウ酸カルシウム石、および癌腫である一方で、大量出血はあまり一般的ではない。クローン病は、異なる人々において消化管の異なる部分に炎症を伴い得る。最も一般的な罹患領域は、小腸(回腸)の最後の部分および結腸である。炎症は、腸壁に限られることがあり、炎症もしくは瘢痕もしくは両方(線維性狭窄)からの狭窄につながり得るか、または腸壁にトンネルを形成することがある(瘻孔)。狭窄は、遮断(閉塞)につながり得る。閉塞、狭窄、および瘻孔は、潰瘍性大腸炎と関連しない。
過敏性腸症候群(IBS)は、慢性腹痛、膨満、および下痢、または便秘によって特徴付けられる、消化管に影響を及ぼす別の疾患である。IBSは、既知の特異的原因を有しないが、感染またはストレスの後に起こり得る。不治であるが、治療法としては、食事の変更、薬物治療、鍼治療、心理療法、およびペパーミント油のような薬草療法が挙げられる。薬物治療としては、クロザピンもしくはオランザピンのような抗鬱剤、緩下剤、止痢薬、オンダンセトロン、クロザピン、もしくはオンダンセトロンのようなセロトニン拮抗薬(5HT3)、またはセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ヒヨスチアミンもしくはジシクロミンのような鎮痙薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、クエン酸アルベリン薬、およびリファキシミンが挙げられる。IBSは、米国人口の約15%に影響を及ぼしている。
炎症性腸疾患
IBDの正確な原因は、依然として完全に理解されていない。累積証拠は、免疫反応がIBDの病因に長く関与していることを示唆する。
腸内微生物叢は、腸に生息する微生物からなる。宿主と腸内微生物叢との相互作用は、互いに有益であり得るか、または有害であり得、腸の炎症を誘発する。腸内微生物叢と消化器系と関連するリンパ系組織との間の界面における腸上皮は、粘膜免疫反応を形成する際に重要な役割を果たす。腸上皮細胞は、腸内腔から循環への細菌および他の抗原の過剰な侵入に対する物理的障壁である。細菌侵入に対する追加の防御は、杯細胞およびパネート細胞を含む、特殊化上皮細胞からなる。杯細胞は、粘液ならびに上皮修復および炎症の調節に寄与する要因の産生を調節する。パネート細胞は、α−デフェンシンのような抗菌ペプチドを分泌する。腸粘液は上皮を覆い、それによって細菌と上皮細胞との間の接触を制限する。しかしながら、炎症性腸疾患において、炎症反応は、しばしば継続的上皮障害をもたらし、それが浸食、潰瘍形成、およびデフェンシンの産生の減少を引き起こす。その結果は、腸内微生物叢への曝露の増加および炎症反応の増幅である。
腸固有層は、内腔微生物叢の免疫寛容に対する要件と、病原体に対して防御する必要性、内腔微生物叢の過剰な侵入、または両方とのバランスを取る免疫細胞の複雑な集団を含む。活動性炎症性腸疾患の特質は、自然免疫細胞(好中球、マクロファージ、樹状細胞、およびナチュラルキラーT細胞)および適応免疫細胞(T細胞およびB細胞)の固有層への顕著な浸潤である。腸粘膜内のこれらの細胞の数の増加および活性化は、インターロイキン−23−Th17経路のTNF−α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6(IL−6)、インターフェロン−γ(INF−γ)、およびサイトカインの局所レベルを上昇させる。
炎症誘発性サイトカインTNF−αは、IBDにおいて観察されるように、慢性炎症を引き起こす炎症性カスケードにおいて極めて重要な役割を果たすものとして特定された。循環するIL−6のレベルは、クローン病を含むいくつかの炎症性疾患において上昇する。IL−6は、炎症反応の主要な調整因子である。このサイトカインの産生に影響を及ぼすことにより、エフェクターCD4+ T細胞サブセットのバランスを変更し、B細胞抗体の産生を誘導することができる。さらに、IL−6がマクロファージ、好中球、および肥満細胞のような自然細胞から主に産生されることを考慮すると、それは自然系と適応系との間の戦略的架橋である。
IBDに対する根治療法的治療法はない。UCの唯一の治療法は、大腸の外科切除であり、それは生活の質を低下させる。症状を緩和するために、食事および生活様式の変更が重要である。抗炎症性ステロイドが一般に使用されているが、それらは、重度の副作用を誘導する可能性もある。IBDに使用される抗炎症薬の1つは、メサラジンであるが(メサラミンまたは5−アミノサリチル酸としても知られる)、クローン病よりもUCにおいてより効果的である。アザチオプリン、メトトレキサート、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、およびナタリズマブのような免疫調節薬もクローン病に使用される。抗生物質の長期使用は、クローン病に対してある程度効果的であるが、UCにおいては効果的でない。抗生物質の長期使用は、薬物耐性の微生物を発達させる危険性を伴う。一部の個人は、症状の軽減を試みるために、プロバイオティクス、魚油、鍼、またはホメオパシー療法を用いる。消化器系に対する効果に加えて、IBDは栄養素の欠乏、虹彩炎、ブドウ膜炎、皮疹、関節炎、原発性硬化性胆管炎、強直性脊柱炎、壊疽性膿皮症、および結節性紅斑にもつながる可能性がある。炎症性腸疾患は、約140万人の米国人に影響を及ぼし、その好発は、15歳〜30歳の人においてである。
炎症性疾患のための宿主防御タンパク質模倣薬の開発
宿主防御ペプチドは、本来それらの直接抗菌活性について研究され、多面的免疫調節活性を示すことも見出されてきた。HDPにおいて観察される大きな多様性にもかかわらず、それらは通常、親水性および疎水性側鎖が分子の明らかに対向する領域または面に分離する、高度に保存された両親媒性トポロジーを採用する。両親媒性構造を有する分子の例は、マゲイニン2である。マゲイニンは、アフリカツメガエルにおいて最初に発見された[Zasloff M.Magainins,a class of antimicrobial peptides from Xenopus skin:isolation,characterization of two active forms,and partial cDNA sequence of a precursor.PNAS 84:5449−5453(1987)]。
タンパク質およびRNAを含む生体高分子は、一般に、それらの顕著な特性に関与する固有の折り畳み構造を適応させる。最近まで、折り畳みのプロセスは謎と見なされていたが、タンパク質折り畳みの分野として、RNA構造および分子組織が進化し、固有の構造に折り畳む非生体分子を設計する可能性が高くなった。天然タンパク質を模倣するために、調査者は、個々のモノマー単位を順次結合することによってオリゴマーを合成し、全体的に均一の配列および鎖長の均質線状分子を提供した。十分に定義された二次構造に折り畳むオリゴマーは、フォルダマーになった(Hill DJ,et al.,Chem.Rev.2001,101,3893−4012、Horne WS,et al.,Acc.Chem.Res.2008,41,1399−1408、Patch JA,Barron AE,J.Am.Chem.Soc.2003,125,12092−12093)。多くのフォルダマーの合成の構造的簡素性および相対的容易性は、それらが分子認識のための3次元足場として使用されることを可能にする。
アリールアミドポリマーおよびオリゴマーの設計、合成、および抗菌活性の例は、Tew et al.(Tew et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,99,5110−5114)に提示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ブリラシジン(PMX−30063)およびデルパランタグ(PMX−60056)を含むこれらの化合物は、天然に存在する抗菌ペプチドを模倣するように合成された。PMX−30063およびPMX−60056の両方は、空間のHDP構造を模倣する同様の空間トポロジーを有する。
線状および環状ペプチドを用いる多くの研究は、任意の正確な配列ではなく、それらの物理化学的特性が、それらの選択的に膜を破壊する能力に関与するという仮説を強く支持した。したがって、HDP(HDP模倣体)の一連の非ペプチド類似体が開発され、それらの潜在的な抗菌活性について評価された。総負荷および疎水性含有量の両方の最適化は、動物において高度に活性かつ非毒性の化合物の設計に対して特に重要であることが証明された。宿主防御タンパク質(HDP)は、自然免疫系の主要な構成要素であり、急速な微生物殺傷およびその後の免疫調節の二重の役割を果たす。PMX−30063[N4,N6−ビス(2−((R)−ピロリジン−3−イルオキシ)−3−((4−カルバモイルブチル)グアニジン)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリミジン−4,6−ジカルボキサミドテトラヒドロクロリド塩、分子式:C40H50F6N14O6・4HCl、USAN名:ブリラシジン]およびPMX−60056[テトラ−[(L)−リジル−5−アミノ−o−メチルサリチルアミド、分子式:C56H84Cl5N13O12・5HCl]は、薬学的用途のタンパク質に勝る明確な利点を有する、HDPの非ペプチド模倣体である。これらのHDP模倣体は、急速な殺菌活性ならびに抗炎症および免疫調節効果を示した(Som A,Navasa N,Percher A,Scott RW,Tew GN,Anguita.Identification of Synthetic Host Defense Peptide Mimics That Exert Dual Antimicrobial and Anti−Inflammatory Activities.Clin and Vaccine Immunol.2012,19:1784−1791、Scorciapino MA,Rinaldi AC.Antimicrobial peptidomimetics:reinterpreting nature to deliver innovative therapeutics.Patricia Mendez−Samperio.Front.Immunol 2012,Vol 3,Article 171、Peptidomimetics as a new generation of antimicrobial agents:current progress.Infection and Drug Resistance 2014;7:229−237)。潜在的に有害な炎症誘発性反応の正味抑制をもたらす、広範な免疫調節機能がHDPに対して定義された(Hilchie AL,et al.,Nat.Chem.Biol.2013,9,761−768)。それらの多様な免疫調節能力は、炎症誘発性反応および抗炎症反応の調節を含み(Mansour SC,et al.,Trends in Immunology 2014,35,443−450)、自然免疫反応および適応免疫反応の両方において免疫調節因子として作用する(Wong JH,et al Curr Protein Pept Sci.2013,14,504−514)。HDPの抗炎症機能は既知であったが、HDPの作用の分子機序は十分に理解されていなかった。本発明者らは、HDPが、炎症誘発性反応の抑制において、環状AMP/環状GMP経路を通じて機能し得ると仮定した。本発明者らがこの仮説を検証したところ、本明細書に詳述されるように、宿主防御タンパク質(HDP)模倣体PMX−30063およびPMX−60056が、ホスホジエステラーゼ(PDE)をインビトロで阻害することが見出された。ホスホジエステラーゼは、シグナル伝達分子環状AMP/または環状GMPの分解を触媒する酵素のファミリーである。cAMPおよびcGMPは、多くのシグナル伝達プロセスに関与するシクラーゼの大きなファミリーによって産生された偏在的二次メッセンジャーシグナル伝達分子である。
PDE阻害剤は、様々な前臨床モデルにおいて抗炎症活性を示した(Martinez A,Gil C.Expert opinion on therapeutic patents 2014,24,1311−1321)。PDE4は、炎症性免疫調節細胞の全てが、PDE4を発現するだけでなく、これらの細胞の特定の機能が、選択的PDE4阻害剤によって広く阻害されるという事実に起因して特に注目されている。PDE4は、好中球、T細胞、およびマクロファージにおいて発現される優勢なホスホジエステラーゼである。PDE4阻害剤は、好中球の走化性、動員、および活性化を低減し、CD4+およびCD8+T細胞の活性化を阻害し、単球の走化性を阻害する(Tamimi A,et al.Resp.Med 2012,106,319−328)。下記のPMX−30063およびPMX−60056がPDE阻害剤であるという本発明者らによる発見は、本明細書に記載のこれらの化合物が、消化管の炎症性疾患の治療に有用であると予想され、実施例19に論じられるように、臨床研究においてさらに調査されるべきであることを示す。
PMX−30063が、3μM範囲のIC50でPDE4を阻害したことを示す(n=5)。 PMX−60056が、3μM範囲のIC50でPDE4を阻害したことを示す(n=5)。 PMX−30063が、1.5±0.2μMのIC50でPDE3を阻害したことを示す(n=4)。 PMX−60056が、3μMのIC50でPDE3を阻害したことを示す。 PMX−30063が、ラットマクロファージにおいて、LPS誘導のTNF−α産生を阻害したことを示す。 PMX−60056が、ラットマクロファージにおいて、LPS誘導のTNF−α産生を阻害したことを示す。 PMX−30063が、ラットマクロファージのLPS刺激の後、MCP−1の誘導を阻害し、0.5μMでMCP−1レベルが最低でも25%減少したことを示す。 PMX−60056が、ラットマクロファージのLPS刺激の後、MCP−1の誘導を阻害し、0.5μMでMCP−1レベルが最低でも25%減少したことを示す。 ラットマクロファージのLPS刺激の後、12.5μMのPMX−30063濃度でMMP−9レベルの50%減少が観察されたことを示す。 PMX−30063が、ラットマクロファージのLPS刺激の後、IL−6の誘導を阻害し、0.5μMのPMX−30063でIL−6レベルの約50%減少が観察されたことを示す。 PMX−30063を、雄Balb/cマウスにおいて、10mg/kgの経口付与または5mg/kgの静脈内付与に続く血漿および小腸中濃度について評価したとき、静脈内付与されたPMX60073のピーク濃度が、48,415ng/mLであったが、経口(PO)付与された血漿中のピーク濃度は、33.7ng/mLであったことを示す。 PMX−30063を、雄Balb/cマウスにおいて、10mg/kgの経口付与または5mg/kgの静脈内付与に続く血漿および小腸中濃度について評価したとき(研究16009〜12001)、経口投与後に、小腸組織中のピーク濃度は、組織1グラム当たり38,941ngであったことを示す。 図12および13から得られたデータに基づいて計算されたPMX−30063の経口投与に続く腸/血漿中濃度を示す。 インビボ潰瘍性大腸炎モデルにおいて、腸重量は、PMX−30063の直腸投与に続く未処理の対照と比較して、著しくはないが低減した。 PMX−30063の直腸投与に続いて、潰瘍性大腸炎スコアに用量依存性の減少が観察されたが、400mg/kgで治療した動物においてのみ、未処理の対照と比較してスコアが著しく減少したこと、および5−ASAで治療した動物は、著しい有効性を示さなかったことを示す。
本発明は、哺乳類における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療の方法に関し、そのような予防および/または治療を必要とする哺乳類に、治療上有効な量のブリラシジン(PMX−30063)およびデルパランタグ(PMX−60056)から選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一実施形態において、ブリラシジンおよびデルパランタグは、一緒に投与される。別の実施形態において、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、クローン病、または過敏性腸症候群である。別の実施形態において、該化合物は、ブリラシジンまたはデルパランタグ以外の抗生物質と一緒に投与される。
本発明は、治療上有効な量のブリラシジンおよびデルパランタグから選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩およびその薬学的に許容される担体を含む、消化管の炎症性疾患の治療のための薬学的組成物の使用にも関する。疾患としては、限定されないが、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、クローン病、および過敏性腸症候群が挙げられる。一実施形態において、薬学的組成物は、ブリラシジンおよびデルパランタグの両方を含む。別の実施形態において、組成物は、ブリラシジンまたはデルパランタグ、およびブリラシジン以外の抗生物質を含む。別の実施形態において、組成物は、ブリラシジンまたはデルパランタグを含み、ブリラシジン以外の抗生物質と一緒に投与される。
本発明は、患者における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための薬物の調製に使用するための、活性化合物、またはそれを含む薬学的組成物も提供する。一実施形態において、薬学的組成物は、ブリラシジンおよびデルパランタグの両方を含む。別の実施形態において、組成物は、ブリラシジン以外の抗生物質を含む。
ブリラシジンおよびデルパランタグの構造式は、以下に示される。
本発明は、治療上有効な量の上記化合物のうちの1つ以上、または1つ以上のその塩、および薬学的に許容される担体を含む、哺乳類における消化管の炎症性疾患の予防および治療のための薬学的組成物も提供する。好適な組成物としては、限定されないが、経口非吸収性組成物が挙げられる。好適な組成物としては、限定されないが、生理食塩水、水、シクロデキストリン溶液、およびpH3〜9の緩衝液も挙げられる。
化合物ブリラシジンおよびその薬学的に許容される塩を調製するために必要な出発物質は、バルクで市販されている。化合物ブリラシジンおよびその塩は、
a)(R)−(−)−N−Boc−3−ピロリジノールを、カリウムter−ブトキシドの存在下で2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−1,3−ジニトロベンゼンと反応させて、式Iを有する化合物を形成することと、

b)式Iの化合物を、水素の存在下でアルコールおよび遷移金属触媒と反応させて、式IIの化合物を形成することと
c)式IIの化合物およびピリミジン−4,6−ジカルボン酸を、ピリジン中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩の存在下で添加して、式IIIの化合物を形成することと
d)式IIIの化合物を、5−(カルボベンゾキシアミノ)吉草酸と反応させて、式IVの化合物を形成することと

e)得られた式IVの化合物を、アルコール、遷移金属触媒、および水素の存在下で還元して、式Vの化合物を得ることと

f)得られた式Vの化合物を、塩基の存在下でジ−N−Bocピラゾールと反応させて、式VIの化合物を提供することと

式VIの化合物を、酸を使用して脱保護し、PMX−30063(ブリラシジン)を産生することと、必要に応じて、薬学的に許容される塩を調製することと、によって調製される。
化合物デルパランタグおよびその薬学的に許容される塩は、(a)Cbz基を、式VIIの化合物
またはその薬学的に許容される塩から、水素ガスおよび遷移金属触媒を使用して除去し、デルパランタグまたはその薬学的に許容される塩を形成することと、(b)任意に、デルパランタグまたはその薬学的に許容される塩を単離し、必要に応じて化合物デルパランタグから薬学的に許容される塩を調製することと、によって調製される。
ステップa)において使用することができる好適な水素化/水素化分解条件の例としては、合成有機化学の分野において既知の条件が挙げられる。例えば、Hガスおよび遷移金属触媒、例えば、Pd−C(5〜10%)、Pd(OH)、白金族、およびラネーニッケルを使用することができる。この反応は、好適な温度で、例えば、周囲温度(約20〜25℃)または反応混合液中の溶媒が還流状態にある温度までで行うことができる。
PMX−60056、またはその薬学的に許容される塩は、当該技術分野において既知の様々な技法によって単離(精製を含む)され得る。例えば、場合によっては、濾液からの生成物の濾過およびその後の沈降または結晶化によって、反応生成物を単離することが所望され得る。別の例では、場合によって、適切な溶媒または溶媒の混合物、例えば、ジエチルエーテルまたは酢酸エチルでの抽出、および3−メルカプトプロピルエチル硫化シリカゲルのようなシリカゲル上のその後のクロマトグラフィーによって、
または塩化メチル、メタノール、もしくは溶媒の混合物のような適切な溶媒での粉砕によって、反応生成物を単離することが所望され得る。再結晶化は、溶媒を用いて、または溶媒の混合物を用いて行うことができる。いくつかの実施形態において、生成物の単離は、反応生成物からの遷移金属触媒の除去を含み、金属触媒のレベルは、誘導結合プラズマ(ICP)のような好適な方法によって決定することができる。単離された(または精製された)生成物の純度は、好適な方法、例えば、HPLCを使用することによって決定することができる。
出発物質;メチル5−アミノ−2−メトキシ安息香酸およびBoc−Lys(Cbz)−OHは市販されており、化合物式VIIの調製のために商業供給元から容易に得ることができる。
いくつかの実施形態において、ステップa)において使用される式VIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、
c)Boc基を、式VIIIの化合物:

またはその薬学的に許容される塩から除去することによって調製して、式VIIの化合物またはその薬学的に許容される塩を形成することができる。
Boc基の除去は、好適な試薬、例えば、酸(例えば、HPO、TFA、HCl、TsOH、またはHSO)もしくはTMSOTf/2,6−ルチジン、または試薬の溶液を使用することによって、好適な極性またはハロゲン化溶媒、例えば、THF、EtOAc、ジオキサン、ジオキサン、水、またはCHClまたはこれらの溶媒のうちのいずれか2つ以上の混合物中、好適な温度で、例えば、周囲温度(約20〜25℃)で行うことができる。ステップc)の反応生成物は、式VIIの化合物の塩、または酸塩を中和する塩基としてNaOHを用いて中和する、遊離塩基のいずれかとして単離することがでる。
いくつかの実施形態において、ステップc)において使用される式VIIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、
d)式IXの化合物:

またはその薬学的に許容される塩を、式Xの化合物:

またはその薬学的に許容される塩と反応させることによって調製することができる。
ステップd)の反応は、ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)、
2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HBTU)、
O−(7−アザベンゾトリアゾール1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(Py−BOP)、N,N′−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1H−ベンゾトリアゾリウム1−[ビス(ジメチル−アミノ)メチレン]−5−クロロ−ヘキサフルオロリン酸塩(1−),3−オキシド(HCTU)、好適な1,3,5−トリアジン誘導体(例えば、Kaminski,Tetrahedron Letters,1985,26,2901−2904を参照;好適な1,3,5−トリアジン誘導体の例としては、限定されないが、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン;2−クロロ−4,6−ジベンジルオキシ−1,3,5−トリアジン;2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン;2,4−ジクロロ−6−フェノキシ−1,3,5−トリアジン;2,4−ジクロロ−6−ベンジルオキシ−1,3,5−トリアジン;または2,4−ジクロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンが挙げられる)、およびそれらの2つ以上の混合物のような結合試薬の存在下で行うことができる。必要に応じて、ステップd)における結合試薬は、EDACおよびHOBtの混合物、ならびに有機塩基を含み、式VIIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩を形成する。
ステップd)における結合試薬は、反応物質(および/または反応生成物)中に存在する任意のキラル中心のラセミ化を防ぐものから選択される(Konig et al.,Chem.Ber.,1970,103,788を参照;そのような結合試薬としてHOBtを列挙)。結合反応は、好適な塩基の存在下で行うことができる。好適な塩基の例としては、限定されないが、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン、およびイミダゾールが挙げられる。
ステップd)における反応は、極性溶媒のような好適な溶媒、例えば、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン(DCM)もしくはクロロホルム)または好適な溶媒の混合物中、好適な温度で、例えば、周囲温度(20〜25℃))または反応混合物中の溶媒が還流状態にある温度までで行うことができる。ステップd)の反応生成物は、当該技術分野において既知の任意の好適な技法によって単離(精製を含む)することができる。
ステップd)において使用される式Xの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、
e)式IXの化合物:

またはその薬学的に許容される塩を、アンモニアまたはアンモニア産生試薬と反応させて、式XIの化合物:
またはその薬学的に許容される塩を形成することと、
f)Boc基を、式XIの化合物またはその薬学的に許容される塩から除去することによって調製して、式Xの化合物またはその薬学的に許容される塩を形成することができる。
ステップe)の結合反応は、結合試薬および有機塩基の存在下で行われる。好適な結合試薬および有機塩基は、当該技術分野において既知である。
アンモニア(未希釈または水もしくはジオキサンのような溶媒中のいずれか)は、ステップe)において使用され得る。アンモニア産生試薬(例えば、NHCl)が使用され得る。
ステップf)におけるBoc基の除去は、好適な酸試薬(例えば、HPO、TFA、HCl、TsOH、もしくはHSO)または溶媒(HCl−ジオキサン、HCl−酢酸エチル)中の試薬の溶液を使用することによって行うことができる。
本発明において使用される式VIIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、
g)式XIIの化合物:
またはその薬学的に許容される塩を、好適な塩基(例えば、LiOH、NaOH、KOH、Ba(OH))および金属炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、およびCsCO)の存在下で加水分解することによって調製して、式IXの化合物を形成することができる。
本発明において使用される式XIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、
h)式XIIIの化合物:
またはその薬学的に許容される塩を、式XIVの化合物:
またはその薬学的に許容される塩と反応させることによって調製して、式XIIの化合物またはその薬学的に許容される塩を形成することができる。
ステップh)の結合反応は、結合試薬および有機塩基の存在下で行うことができ、好適な結合試薬および有機塩基は、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態において、ステップh)の結合反応は、結合試薬の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、ステップh)の結合試薬は、EDACおよびHOBtの混合物を含む。
いくつかの実施形態において、ステップh)における有機塩基は、NMMである。
本発明において使用される式XIIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、
i)式XVの化合物:
またはその薬学的に許容される塩を、塩基の存在下で加水分解して、式XIVの化合物:
j)Boc基を、式XIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩から除去することによって調製して、式XVの化合物またはその薬学的に許容される塩を形成することができる。Boc基の除去は、1つの好適な試薬または複数の好適な試薬、例えば、酸(例えば、HPO、TFA、HCl、TsOH、もしくはHSO)またはTMSOTf/2,6−ルチジンを使用することによって行うことができる。酸(例えば、TsOH)は、Boc基の除去に使用される。
ステップi)における好適な加水分解塩基の例としては、限定されないが、金属水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、KOH、Ba(OH))および金属炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、およびCsCO)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ステップi)における塩基は、LiOHである。
いくつかの実施形態において、本発明において使用される式XVの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、
k)式XVIの化合物:
またはその薬学的に許容される塩を、式XVIIの化合物:
またはその薬学的に許容される塩と反応させることによって調製して、式XVの化合物またはその薬学的に許容される塩を形成することができる。
いくつかの実施形態において、ステップk)の結合反応は、結合試薬および有機塩基の存在下で行われる。好適な結合試薬および有機塩基は、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態において、ステップk)の結合反応は、結合試薬の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、ステップk)における結合試薬は、EDACおよびHOBtの混合物である。いくつかの実施形態において、ステップk)における有機塩基は、NMMである。
本発明の化合物は、当業者に周知の固相合成手順によって合成することができる(Tew et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,99,5110−5114、Barany et al.,Int.J.Pept.Prot.Res.,1987,30,705−739、Solid−phase Synthesis:A Practical Guide,Kates,S.A.,and Albericio,F.,eds.,Marcel Dekker,New York(2000)、およびDorwald,F.Z.,Organic Synthesis on Solid Phase:Supports,Linkers,Reactions,2nd Ed.,Wiley−VCH,Whinheim(2002)を参照))。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それが説明する値の±5%を意味する。例えば、約100は、95〜105を意味する。
本明細書で使用される場合、「単離された」は、化合物が、例えば、従来技法によって、合成有機化学反応混合物の他の化合物から分離され、精製されることを意味する。
本明細書で使用される場合、「哺乳類」という用語は、齧歯類(すなわち、マウス、ラット、もしくはモルモット)、サル、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、またはヒトを意味する。いくつかの実施形態において、哺乳類はヒトである。
本明細書で使用される場合、「精製された」という用語は、単離されたときに、単離物が、その単離物の少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、または少なくとも99重量%の所望の化合物Iを含有することを含む。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩(複数可)」という表現は、限定されないが、酸性基または塩基性基の塩を含む。塩の好適な例としては、例えば、塩酸およびトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。
いくつかの実施形態において、「薬学的に許容される」という用語は、動物において、より具体的にはヒトにおいて使用するために、連邦もしくは州政府の規制当局によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般に認識される薬局方に列挙されていることを意味する。「担体」という用語は、PMX−30063およびPMX−60056から選択される化合物およびその薬学的に許容される塩(以下、活性化合物とも称される)が一緒に投与される、希釈剤、補助剤、または賦形剤を指す。そのような薬学的担体は、水および油のような液体であり得、石油、動物、植物、または合成起源の液体、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油等を含む。薬学的担体は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素等でもあり得る。加えて、補助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤、および着色剤を使用することができる。ヒトに投与されるとき、活性化合物および薬学的に許容される担体は、滅菌であり得る。化合物が静脈内投与されるとき、水が好適な担体である。生理食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液を、液体担体として、特に注射用溶液に用いることもできる。好適な薬学的担体としては、例えば、デンプン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等の賦形剤も挙げられる。本組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。
本明細書に記載の組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉末、徐放性調合剤、坐薬、エアロゾル、スプレー、または使用に適した任意の他の形態の形態を取り得る。好適な薬学的担体の例は、Remington′s Pharmaceutical Sciences,A.R.Gennaro(Editor)Mack Publishing Coに記載されている。
活性化合物は、ヒトへの投与のために適合された薬学的組成物として日常的手順に従って調合される。典型的に、活性化合物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液として投与される。必要な場合、組成物は可溶化剤を含むこともできる。静脈内投与のための組成物は、注射部位における疼痛を緩和するために、リドカインのような局所麻酔薬を任意に含んでよい。一般に、これらの成分は、別個に、または単位投与形態で一緒に混合されるかのいずれかで、例えば、乾燥凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、活性薬剤の量を示すアンプルまたは小袋のような密閉された容器で供給される。本発明の化合物が注入によって投与される場合、例えば、滅菌製薬等級の水または生理食塩水を含有する注入ボトルで分注することができる。活性化合物が注射によって投与される場合、 滅菌注射液または生理食塩水のアンプルは、成分が投与前に混合され得るように提供することができる。
活性化合物およびそれを含む組成物は、経口投与することができる。経口送達のための化合物および組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、水性もしくは油性懸濁液、顆粒、粉末、乳剤、カプセル、シロップ、またはエリキシル剤の形態であり得る。経口投与された組成物は、1つ以上の任意の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム、またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、冬緑油、またはサクランボのような香味剤、着色剤、および保存剤を含有して、薬学的に味の良い調製物を提供することができる。さらに、錠剤またはピル形態の場合、組成物は、消化管内の崩壊および吸収を遅延させるようにコーティングされ得、それによって長期間にわたって持続的作用を提供する。浸透活性駆動化合物を取り囲む選択的透過性膜も、経口投与される活性化合物に好適である。経口組成物は、例えば、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の標準ビヒクルを含むことができる。そのようなビヒクルは、好適に製薬等級である。
薬学的組成物は、単位投与形態であり得る。そのような形態において、組成物は、適量の活性成分を含有する単位用量に分割することができる。単位投与形態は、包装された調製物であることができ、その包装は、分離量の調製物、例えば、包装された錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末を含む。単位投与形態は、カプセル、小袋、または錠剤自体でもあり得るか、または適切な数のこれらの包装された形態のうちのいずれかであり得る。
以下の比限定例は、本明細書に開示される組成物および方法、ならびに本明細書に開示される化合物の調製を示す。
消化管の炎症性疾患の治療におけるブリラシジンおよびデルパランタグ
化合物ブリラシジン(PMX−30063)およびデルパランタグ(PMX−60056)、および以下で活性化合物とも称される、その薬学的に許容される塩は、消化管の炎症性疾患の治療のために、それらが活性である任意の経路によって、任意の従来の方法で投与され得る。投与は、全身、直腸、または経口であり得る。例えば、投与は、限定されないが、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、経口もしくは口腔、またはデポー注射もしくは埋め込みによってであり得る。故に、これらの化合物の投与形態(単独または他の医薬品と併せてのいずれか)は、限定されないが、舌下、注射(皮下もしくは筋肉内に注射される短時間作用型デポー、埋め込み、およびペレット形態)、または直腸坐薬、子宮内デバイス、ならびにパッチおよびクリームのような経皮形態であり得る。特異的投与経路および用法の選択は、所望の臨床反応を得るために、医師に既知の方法に従って、医師により調整または滴定される。投与される発明の化合物の量は、治療上有効な量である。投与される投与量は、治療される対象の特徴、例えば、治療される特定の動物、年齢、体重、健康状態、併用治療の種類(もしあれば)、および治療頻度に依存し、当業者によって(例えば、医師によって)容易に決定され得る。消化管の炎症性疾患の治療および/または予防において効果的となる、本明細書に記載の化合物の量は、炎症性疾患の性質および重度に依存し、標準臨床技法によって決定することができる。さらに、インビトロまたはインビボアッセイは、最適な投与量範囲を特定するのを助けるように任意に用いられ得る。組成物中に用いられる正確な用量は、投与の形態および障害の深刻度にも依存し、医師および各患者の状況の判断に従って決定されるべきである。しかしながら、経口投与の好適な投与量範囲は、一般に、体重1キログラム当たり約0.001ミリグラム〜約1000ミリグラムである。いくつかの実施形態において、経口用量は、体重1キログラム当たり約0.01ミリグラム〜100ミリグラム、体重1キログラム当たり約0.01ミリグラム〜約70ミリグラム、体重1キログラム当たり約0.1ミリグラム〜約50ミリグラム、体重1キログラム当たり0.5ミリグラム〜約20ミリグラム、または体重1キログラム当たり約1ミリグラム〜約10ミリグラムである。いくつかの実施形態において、経口用量は、体重1キログラム当たり約5ミリグラムである。経口投与の場合、活性化合物は、1錠当たり100mgを含有する錠剤形態、または1〜10mg/mLの濃度に水を溶解することによる液体形態で投与され得る。得られた調合剤は、pH7で無色透明の溶液である。活性化合物は、状態が解決するまで日用量によって付与され得る。直腸投与の場合、25mgまたは50mgが、60mLの滅菌溶液中の停留かん腸として付与される。かん腸は、1日1回就寝時、または1日2回朝および就寝時のいずれかで6週間付与する。ブリラシジン(PMX−30063)およびデルパランタグ(PMX−60056)が単一薬学的組成物で、または同時に投与される場合、2つの化合物の合計日用量は、一般に、単一化合物の日用量について上記の量に相当する。
合計日用量は、単一または分割用量で投与され得る。本発明は、徐放性組成物も包含する。これらの投与量は、約65kg〜70kgの重量を有する平均ヒト対象に基づく。医師は、幼児および高齢者のような体重がこの範囲外の対象のための用量を容易に決定することができる。
活性化合物の一方または両方、および好適な担体を含有する薬学的組成物および/または調合剤は、錠剤、カプセル、小袋、ペレット、ピル、粉末、および顆粒を含むが、これらに限定されない固体投与形態、溶液、粉末、流体乳剤、流体懸濁剤、半固体、軟膏、ペースト、クリーム、ゲルおよびゼリー、および発泡体を含むが、これらに限定されない局所投与形態、ならびに溶液、懸濁剤、乳剤、および乾燥粉末を含むが、これらに限定されない非経口投与形態であることができ、有効な量の本発明の化合物を含む。活性成分が、薬学的に許容される希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、保湿剤、湿潤剤、可溶化剤、保存剤等とともに、そのような調合中に含有され得ることも当該技術分野において既知である。投与のための手段および方法は、当該技術分野において既知であり、熟練者は、指針として様々な薬理学的参考文献を参照することができる(例えば、Modern Pharmaceutics,Banker & Rhodes,Marcel Dekker,Inc.(1979)、およびGoodman & Gilman′s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,6th Edition,MacMillan Publishing Co.,New York(1996))。それらの調製のための薬学的組成物および方法に関する説明は、例えば、′Remington′s Pharmaceutical Sciences′,19th Edition(Mack Publishing Comapny,1995)において見出され得る。
いくつかの実施形態において、活性化合物は、局所鎮痛剤(例えば、リドカイン)を含むが、これに限定されない薬剤とともに使用することができる。活性化合物は、抗生物質と一緒に投与されてもよい。そのような抗生物質の例は、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、バシトラシン、カルベニシリン、セファクロル、セファマンドール、セファゾリン、セフメタゾール、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフスロジン、セフトリアキソン、セファレキシン、セファロスポリンC、セファロチン、セフラジン、クロキサシリン、D−シクロセリン、ジクロキサシリン、D−ペニシラミン、エコナゾール、エタンブトール、リソスタフィン、モキサラクタム、ナフシリン、ニコマイシンZ、ニトロフラントイン、オキサシリン、ペニシリック、ペニシリンG、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン酸、ホスホマイシン、ピペミド酸、ピペラシリン、リストマイシン、およびバンコマイシン;アミカシン、アニソマイシン、アプラマイシン、アジスロマイシン、ブラスチシジンS、ブレフェルジンA、ブチロシン、クロラムフェニコール、クロルテトラシクリン、クリンダマイシン、クロトリマゾール、シクロヘキシミド、デメクロシクリン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、ドキシシクリン、デュラマイシン、エメチン、エリスロマイシン、フシジン酸G418、ゲンタマイシン、ヘルボール酸、ヒグロマイシンB、ジョサマイシン、カナマイシン、キロマイシン、リンコマイシン、メクロシクリン、メパルトリシン、ミデカマイシン、ミノシクリン、ネオマイシン、ネチルミシン、ニトロフラントイン、ノーセオトリシン(nourseothricin)、オレアンドマイシン、オキシテトラシクリン、パロモマイシン、ピューロマイシン、ラパマイシン、リボスタマイシン、リファムピシン、リファマイシン、ロサミシン、シソミシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、テトラシクリン、チアンフェニコール、チオストレプトン、トブラマイシン、ツニカマイシン、チロシン、バイオマイシン、およびバージニアマイシン;カンプトテシン、10−デアセチルバッカチンIII、アザシチジン、7−アミノアクチノマイシンD、8−キノリノール、9−ジヒドロ−13−アセチルバッカチンIII、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アクチノマイシンI、アクチノマイシンV、バフィロマイシンA1、ブレオマイシン、カプレオマイシン、クロモマイシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、シス−ジアンミン白金(II)ジクロリド、クーママイシンA1、L(+)−乳酸、サイトカラシンB、サイトカラシンD、ダカルバジン、ダウノルビシン、ジスタマイシンA、ドキソルビシン、エチノマイシン、エンロフロキサシン、エトポシド、フルメキン、ホルマイシン、フマギリン、ガンシクロビル、グリオトキシン、ロメフロキサシン、メトロニダゾール、ミトラマイシンA、ミトマイシンC、ナリジクス酸、ネトロプシン、ニトロフラントイン、ノガラマイシン、ノナクチン、ノボビオシン、オフロキサシン、オキソリン酸、パクリタキセル、フェナジン、フレオマイシン、ピペミド酸、レベッカマイシン、シネフンギン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スクシニルスルファチアゾール、スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファグアニジンプラム、スルファメタジン、スルファモノメトキシン、スルファニルアミド、スルファキノキサリン、スルファサラジン、スルファチアゾール、トリメトプリム、ツベルシジン、5−アザシチジン、コルジセピン、およびホルマインシンA;2−メルカプトピリジン、4−ブロモカルシマイシンA23187、アラメチシン、アンフォテリシンB、カルシマイシンA23187、クロルヘキシジン、クロトリマゾール、コリスチン、エコナゾール、ヒドロコルチゾン、フィリピン、グリオトキシン、グラミシジンA,グラミシジンC、イオノマイシン、ラサロシドA、ロノマイシンA、モネンシン、N−(6−アミノヘキシル)−5−クロロ−1−ナフタレンスルホンアミド、ナラシン、ニゲリシン、ニシン、ノナクチン、ニスタチン、フェナジン、ピマリシン、ポリミキシンB、DL−ペニシラミン、ポリミキシンB、プラジカンテル、サリノマイシン、スルファクチン、およびバリノマイシン;(+)−ウスニン酸、(±)−ミコナゾール、(S)−(+)−カンプトテシン、1−デオキシマンノジリマイシン、2−ヘプチル−4−ヒドロキシキノリンN−オキシド、コルジセピン、1,10−フェナントロリン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、8−キノリノール、アンチマイシン、アンチパイン、アスコマイシン、アザセリン、バフィロマイシン、セルレニン、クロロキン、シノキサシン、シプロフロキサシン、メバスタチン、コンカナマイシンA、コンカナマイシンC、クメルマイシンA1、L(+)−乳酸、シクロスポリンA、エコナゾール、エンロフロキサシン、エトポシド、フルメキン、ホルマイシンA、フラゾリドン、フサル酸、ゲルダナマイシン、グリオトキシン、グラミシジンA、グラミシジンC、ヘルビマイシンA、インドメタシン、イルガサン、ロメフロキサシン、ミコフェノール酸、ミキソチアゾール、N−(6−アミノヘキシル)−5−クロロ−1−ナフタレンスルホンアミド、ナリジキクス酸、ネトロプシン、ニクロサミド、ニッコマイシン、N−メチル−1−デオキシノジリマイシン、ノガラマイシン、ノナクチン、ノボビオシン、オフロキサシン、オレアンドマイシン、オリゴマイシン、オキソリン酸、ピエリシジンA、ピペミド酸、ラジシコール、ラパマイシン、レベッカマイシン、シネフンギン、スタウロスポリン、スチグマテリン、スクシニルスルファチアゾール、スクシニルスルファチアゾール、スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファグアニジン、スルファメタジン、スルファモノメトキシン、スルファニアルアミド、スルファキノキサリン、スルファサラジン、スルファチアゾール、トリアクシンC、トリメトプリム、およびビネオマイシンA1である。
活性化合物は、クロザピンもしくはオランザピンのような抗鬱剤;緩下剤;止痢薬;オンダンセトロン、クロザピン、もしくはオンダンセトロンのようなセロトニン拮抗薬(5−HT3);セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI);ヒヨスチアミンもしくはジシクロミンのような鎮痙薬;プロトンポンプ阻害薬(PPI);ケイ酸アルミニウムマグネシウム;クエン酸アルベリン薬;リファキシミン;ステロイド、メサラジン(メサラミンまたは5−アミノサリチル酸)のような抗炎症薬;アザチオプリン、メトトレキサート、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、またはナタリズマブのような免疫調節因子と一緒に投与されてもよい。
活性化合物は、注射による、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために調合することができる。化合物は、約15分〜約24時間の期間にわたって皮下的に連続注入により投与することができる。注入用調合剤は、添加される保存剤とともに、単位投与形態で、例えば、アンプルまたは複数回投与容器で提示することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳剤のような形態を取ることができ、また、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤のような調合剤を含有することができる。
経口投与の場合、活性化合物は、これらの化合物を、当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体と合わせることによって容易に調合することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、治療される患者による経口摂取のために、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤等として調合できる。経口使用のための薬学的調製物は、例えば、固体賦形剤を添加すること、得られた混合物を任意に細粉化すること、および必要に応じて好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を処理して錠剤または糖衣錠芯を得ることによって得ることができる。好適な賦形剤としては、限定されないが、乳糖、ショ糖、マンニトール、およびソルビトールを含むが、これらに限定されない糖のような充填剤;限定されないが、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース調製物が挙げられる。必要に応じて、限定されないが、架橋ポリビニルプロリドン、寒天、もしくはアルギニン酸のような崩壊剤、またはアルギニン酸ナトリウムのようなその塩を添加することができる。糖衣錠芯は、好適なコーティングを用いて提供することができる。この目的のため、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、および/または 二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る濃縮された糖溶液を使用することができる。染料または色素を、識別のため、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
経口的に使用され得る薬学的調製物として、限定されないが、ゼラチンで作られた押込嵌めカプセル、ならびに、ゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤で作られた軟性、密封カプセルが挙げられる。押込嵌めカプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、および任意に、安定剤との混合物中に活性成分を含有することができる。軟性カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールのような好適な液体中に溶解または懸濁され得る。加えて、安定剤が添加され得る。経口投与用のすべての調合剤は、かかる投与に適した投与量でなければならない。頬側投与の場合、組成物は、例えば、従来の方法で調合される錠剤またはトローチ剤の形態を取ることができる。
活性化合物は、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような従来の坐薬基質を含有する、坐薬または停留かん腸のような直腸組成物中に調合することもできる。
活性化合物は、デポー調製物として調合することもできる。そのような長時間作用型調合剤は、埋め込みによって(例えば、皮下的または筋肉内)または筋肉内注射によって投与することができる。デポー注射は、約1ヶ月〜約6ヶ月以上の間隔で投与することができる。故に、例えば、化合物は、好適なポリマーもしくは疎水性材料と一緒に(例えば、許容される油中の乳剤として)、またはイオン交換樹脂、または難溶性の誘導体として、例えば、難溶性の塩として調合することができる。
経皮投与において、活性化合物は、例えば、湿布薬に適用され得るか、または生物に連続的に供給される経皮治療システムによって適用され得る。
活性化合物の薬学的組成物は、好適な固体またはゲル相担体または賦形剤を含むこともできる。そのような担体または賦形剤の例としては、限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーが挙げられる。
本発明は、患者における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療において使用するための、本発明の活性化合物、またはそれを含む組成物も提供する。本発明は、消化管の炎症性疾患の予防および/または治療に使用するための、本発明の活性化合物、またはそれを含む組成物も提供する。本発明は、患者における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための薬物の調製に使用するための、本発明の活性化合物、またはそれを含む組成物も提供する。
本発明は、動物における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための方法も提供し、それを必要とする動物に、有効な量の本発明の化合物を投与することを含む。本発明は、動物における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための方法も提供し、それを必要とする動物に、本発明の組成物を投与することを含む。本発明は、消化管の炎症性疾患の予防および治療のための方法も提供し、有効な量の本発明の化合物または塩を動物に投与することを含む。
本発明は、患者における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療において使用するための、活性化合物、またはそれを含む組成物も提供する。本発明は、患者における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための薬物の調製に使用するための、活性化合物、またはそれを含む組成物も提供する。
本明細書に表される構造は、適切な原子価を達成するための必須水素原子を省略し得る。故に、いくつかの例において、炭素原子または窒素原子は、未指定の原子価を有すると思われ得る(すなわち、2つのみの結合を示す炭素原子は、2つの水素原子にも暗示的に結合され、さらに、単一結合が描かれる窒素原子は、2つの水素原子にも暗示的に結合される)。例えば、「−N」は、「−NH」であると当業者によって見なされる。故に、原子価が未指定である本明細書に描かれる任意の構造において、1つ以上の水素原子は、必要に応じて暗示的であり、簡潔にするために省略されているだけである。
PMX−30063(ブリラシジン)およびPMX−60056(デルパランタグ)の抗炎症活性
実施例において論じられる研究は、PMX−30063およびPMX−60056の抗炎症活性を示す:PDE−GloホスホジエステラーゼアッセイにおけるホスホジエステラーゼPDE4の阻害;PDE−GloホスホジエステラーゼアッセイにおけるPDE3の阻害;NR8383ラットマクロファージにおけるリポポリサッカリド(LPS)誘導TNF−α産生のTNF−αの阻害;NR8383ラットマクロファージにおけるLPS誘導単球走化性タンパク質−1(MCP−1)放出の阻害;NR8383ラットマクロファージにおけるLPS誘導マトリックスメタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)放出の阻害(PMX−30063のみ);NR8383ラットマクロファージにおけるLPS誘導IL−6放出の阻害(PMX−30063のみ)。経口投与に続いて、PMX−30063は、小腸によって取り込まれるが、0.5%未満が循環に侵入する。全身毒性の危険性が低い腸上皮の治療に対する大きな利点。インビボ潰瘍性大腸炎モデルにおいて、腸重量は、PMX−30063の直腸投与に続く未処理の対照と比較して、著しくはないが減少した。潰瘍性大腸炎スコアの用量依存的な減少が観察された。
本発明者らは、PMX−30063およびPMX60056は、HDP模倣体として、炎症誘発性反応の抑制において、環状AMP/環状GMP経路を通じて機能し得ると仮定する。PDE4は、好中球、T細胞、およびマクロファージにおいて発現された優勢ホスホジエステラーゼであり、PDE4阻害剤は、好中球の走化性、動員、および活性化を低減し、CD4+およびCD8+T細胞の活性化を阻害し、単球の走化性を阻害する。したがって、PDE4は、潰瘍性大腸炎およびクローン病に関与し得る様々な主要エフェクター細胞に対して広範囲の抗炎症効果を有する。PDE3阻害剤の使用は、患者の炎症性疾患に臨床的有益性を提供することができることも認識されている。PDE3およびPDE4の阻害剤を合わせることは、いずれかのPDE単独で阻害することと比較して、より大きな有益性を提供することが示された(Rieder et al.PLoS One 2013 2013;8(2):e56867.doi:10.1371/journal.pone.0056867.Epub 2013 Feb 28)。
方法
本出願の一部である図面を参照して、実施例に言及される研究方法に関する論考が以下に記載される。
図1の方法.PDE4のホスホジエステラーゼ阻害アッセイを、PMX−30063を使用して行った。PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイ(Promega,Madison,WI,USAカタログ番号V1361)を、8ngのPDE4B、1μMのcAMP基質、およびPMX−30063を使用して行った。化合物およびPDE4B(BPS Biosciences,San Diego,CA)を混合し、室温で15分間プレインキュベートした。基質を添加し、反応を室温で7分間インキュベートした。データは、発光ユニット(RLU)として示される。
図2の方法.PDE4のホスホジエステラーゼ阻害アッセイを、PMX−60056を使用して行った。PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイ(Promega,Madison,WI,USAカタログ番号V1361)を、8ngのPDE4B(BPS Biosciences,San Diego,CA)、1μMのcAMP基質、およびPMX−30063を使用して行った。化合物およびPDE4Bを混合し、室温で15分間プレインキュベートした。基質を添加し、反応を室温で7分間インキュベートした。データは、発光ユニット(RLU)として示される。
図3の方法.PDE3のホスホジエステラーゼ阻害アッセイを、PMX−30063を使用して行った。PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイ(Promega,Madison,WI,USAカタログ番号V1361)を、製造者の指示に従って、2.75ngのPDE3A、1μMのcAMP基質、およびPMX−30063を使用して行った。化合物およびPDE3Aを混合し、室温で15分間プレインキュベートした。基質を添加し、反応を室温で7分間インキュベートした。データは、発光ユニット(RLU)として示される。
図4の方法.PDE3のホスホジエステラーゼ阻害アッセイを、PMX−60056を使用して行った。PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイ(Promega,Madison,WI,USAカタログ番号V1361)を、製造者の指示に従って、2.75ngのPDE3A、1μMのcAMP基質、およびPMX−60056を使用して行った。化合物およびPDE3Aを混合し、室温で15分間プレインキュベートした。基質を添加し、反応を室温で7分間インキュベートした。データは、発光ユニット(RLU)として示される。
図5の方法.TNF−αアッセイを、PMX−30063を使用して行った。NR8383(CRL−2192,ATCC,Manassas,VA)ラットマクロファージ細胞を、PMX−30063で45分間前処理し、続いて大腸菌(Sigma,St.Louis,MO)からの1μg/mLのリポ多糖(LPS)で8時間処理した。上清中のTNF−α濃度を、ELISAにより、製造者の指示に従って、ラットTNF−αに対して特異的な免疫アッセイキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して決定した。
図6の方法.TNF−αアッセイを、PMX−60056を使用して行った。NR8383ラットマクロファージ細胞を、PMX−60056で45分間前処理し、続いて大腸菌(Sigma,St.Louis,MO)からの1μg/mLのLPSで8時間処理した。上清中のTNF−α濃度を、ELISAにより、製造者の指示に従って、ラットTNF−αに対して特異的な免疫アッセイキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して決定した。
図7の方法.MCP−1アッセイを、PMX−30063を使用して行った。ラットマクロファージ(NR8383)を、示される濃度のPMX−30063で45分間前処理し、続いて大腸菌(Sigma,St.Louis,MO)からの1μg/mLのLPSで8時間処理した。8時間後、ELISAによるMCP−1測定のために上清を回収した。MCP−1を、製造者の指示に従って、免疫測定キットを使用して測定した(Thermo Scientific,Rockford,IL)。
図8の方法.MCP−1アッセイを、PMX−60056を使用して行った。ラットマクロファージ(NR8383)を、示される濃度のPMX30063で45分間前処理し、続いて大腸菌(Sigma,St.Louis,MO)からの1μg/mLのLPSで8時間処理した。8時間後、ELISAによるMCP−1測定のために上清を回収した。MCP−1を、製造者の指示に従って、免疫測定キットを使用して測定した(Thermo Scientific,Rockford,IL)。
図9の方法.MMP−9アッセイを、PMX−30063を使用して行った。ラットマクロファージ(NR8383)を、示される濃度のPMX−30063で45分間前処理し、続いて大腸菌(Sigma,St.Louis,MO)からの1μg/mLのLPSで8時間処理した。8時間後、ELISAにより、製造者の指示に従って、免疫測定キット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用するMMP9測定のために、上清を回収した。
図10の方法.IL−6放出アッセイを、PMX−30063を使用して行った。ラットマクロファージ(NR8383)を、示される濃度のPMX−30063で45分間前処理し、続いて大腸菌(Sigma,St.Louis,MO)からの1μg/mLのLPSで8時間処理した。8時間後、ELISAにより、製造者の指示に従って、免疫測定キット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用するIL−6測定のために、上清を回収した。
図11の方法.PMX−30063を、雄Balb/cマウスにおいて、経口(PO)または静脈内(IV)投与に続く血漿中濃度について評価した(研究16009〜12001)。試験物品、PMX−30063を、塩形態に対して補正したが、純度に対しての調整は行わなかった。PMX−30063を、半量の水に溶解に溶解し、次に半量の2X生理食塩水を添加して、経口投与のための1mg/mLの正味濃度をもたらした。得られた配合物は、無色透明の溶液であり(pH7)、投与されるまで室温で保管した。配合溶液は、投与が完了するまで無色透明であった。投与溶液中のPMX−30063の濃度は、HPLC−UVにより95.5%の精度で確認された。
受領時に約4〜7週齢の体重18.0g〜21.9gの計60匹の雄Balb/cマウスをこの研究に使用した。試験物品、PMX−30063を、単回ボーラス投与によって、10mL/kg中10mg/kgで経口投与、または5mL/kg容量中5mg/kgで静脈内投与した。
グループ1〜2の場合、各グループの3匹のマウスを、投与後5分、15分、30分、1、2、4、8、および24時間の各時点で採血に使用した。血液試料(少なくとも300μL/試料)を、適切な時点での二酸化炭素吸入による安楽死の後、心穿刺によって回収した。試料をK−EDTAを含む管に入れ、次に約8,000rpmで6分間4℃で遠心分離し、得られた血漿を分離して約−80℃で凍結保存した。
薬物動態(PK)分析は、Medicilon Preclinical Research(Shanghai)LLCによって行われた。PKパラメータは、研究責任者により、試験種の平均濃度−時間データから試験物品に対して決定された。WinNonlin(商標)Professional 5.2の非コンパートメントモジュールを使用して、パラメータを計算した。任意のBLQ(血漿の場合LLOQ=2.5ng/mLおよび小腸の場合LLOQ=500ng/g)を、「0」の値と置き換え、これらの置き換えられた値を用いて、平均値およびその標準偏差(SD)を計算した。
血漿試料(50μL)を遠心分離管に移し、次に250μLのIS溶液(50ng/mLのカルベジロール)をそれに添加した。1分間渦流し、15,000rpmで5分間遠心分離した後、100μLアリコートの上清をガラスオートサンプラーバイアルに移した。
図12の方法.PMX−30063を、雄Balb/cマウスにおいて、経口(PO)または静脈内(IV)投与(PO)に続く組織分布の程度についても評価した(研究16009〜12001)。PMX−30063を調製し、図11に記載のとおり投与した。各動物の内容物を含む小腸を採取し、動物ごと、組織ごとに管に入れた。内容物を含む小腸試料を、ドライアイス中で凍結させ、次に生体分析まで−80℃で保管した。全ての試料を、研究番号、動物番号、マトリックス、および回収時点、および回収日のような詳細な情報とともにラベル付した。さらに、研究のために得られたが、研究に用いられていない余剰動物を、内容物を含む小腸の回収に使用した。次に、得られた内容物を含む小腸試料を、この研究において、生体分析法および試料生体分析の開発に適用した。生体分析的分析を、試料上でLC−MS/MSによって行った。
小腸の内容物を分析するために、小腸試料を、生理食塩水を添加することによって均質化した(1g小腸:5mL生理食塩水)。小腸ホモジネート(50μL)を管に移し、250μLの内部標準(IS)希釈標準溶液(50ng/mLのカルベジロール)を各試料に添加した。1分間渦流し、15,000rpmで5分間遠心分離した後、100μLアリコートの上清をガラスオートサンプラーバイアルに移した。
図13の方法.PMX−30063の経口投与に続く腸/血漿中濃度比を、図11および12から得られたデータに基づいて計算した。比率対時間が示される。
図14の方法.PMX−30063を、潰瘍性大腸炎(UC)モデルにおける有効性について評価した。Balb/cマウスを24時間断食させた。200μLの4%酢酸を直腸に注入することによって、潰瘍性大腸炎を誘導した。4日後、1日1回4日間、100mg/kg、200mg/kg、または400mg/kgのいずれかでPMX−30063を用いて直腸内的に動物を処理した。別のグループの動物は、5−ASA(5−アミノサリチル酸またはエサラミン)で処理され、別のグループは処理を受けなかった。初回投与の7日後、5cmの腸を冷たい生理食塩水中で洗浄し、次に計量した。
図15の方法.PMX−30063を、潰瘍性大腸炎(UC)モデルにおける有効性について評価した。Balb/cマウスを24時間断食させた。200μLの4%酢酸を直腸に注入することによって、潰瘍性大腸炎を誘導した。4日後、1日1回4日間、100mg/kg、200mg/kg、または400mg/kgのいずれかでPMX−30063を用いて直腸内的に動物を処理した。別のグループの動物は、5−ASA(5−アミノサリチル酸またはエサラミン)で処理され、別のグループは処理を受けなかった。初回投与の7日後、結腸を潰瘍性大腸炎について視覚的に審査し、以下の表に従って採点した。
本明細書に開示される発明が、より効率良く理解され得るために、実施例が以下に提供される。当然のことながら、これらの実施例は、単なる例示目的であり、いかなる方法においても本発明を制限するものと見なされない。これらの実施例全体にわたる標準技法は、特に指定のない限り、市販の試薬を使用して行った。実施例に記載のとおり試験されたブリラシジンおよびデルパランタグは、それらそれぞれの供給元により、それぞれ実施例1および2に記載の方法によって、2012年10月26日に出願された米国特許出願第13/661,466号および2013年1月15日に発行された米国特許第8,354,556号におけるそれぞれの開示に基づいて調製された。ブリラシジンは、Johnson Matthey Pharma Services(Devens,Massachusetts)から得られ、デルパランタグは、Ricerca Biosciences(Concord,Ohio)から得られた。
次の省略形は、共通溶媒に使用されている:THF、テトラヒドロフラン;DMA、ジメチアセトアミド;DMSO、ジメチルスルホキシド;DMF、ジメチルホルムアミド;EtOAc、酢酸エチル;TFA、トリフルオロ酢酸;DCM、ジクロロメタン;MTBE、t−ブチルメチルエーテル。
実施例1:ブリラシジン(PMX−30063)の調製
スキーム−1:PMX−30063の調製のための合成法
ステップ1:N−Boc−3−ピロリジノール(2.2kg)を、テトラヒドロフラン(11.2kg)中に溶解し、10°Cに冷却する。次に、カリウムtert−ブトキシド(1.5kg)を添加し、続いてt−ブチルメチルエーテル(5.1kg)中の2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−1,3−ジニトロベンゼン(3.0kg)の溶液を添加する。得られた混合液を10〜17°Cで16時間攪拌し、次にt−ブチルメチルエーテル(10.7kg)および水(15.6kg)を添加する。有機層を分離し、塩水で洗浄して蒸発乾燥させる。エタノール/水で2回の結晶化の粗生成物は、2.17kg(46.3%)の(R)−3−(2,6−ジニトロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル()を生じ、予想されるHPLC純度は約96.4%である。
ステップ2:2.2kgの化合物を、メタノール(6.1kg)に溶解し、次に5% Pd−C(294g)を窒素下で添加する。得られた反応混合液を、水素下10〜15psiで98時間攪拌する。反応進行をHPLCによって監視する。反応混合液をセライトパッドを通じて濾過し、濾液を濃縮して1.715kg(89.5%)の(R)−3−(2,6−ジアミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4)を生じ、予想されるHPLC純度は約96.2%である。
ステップ3:化合物(1.6kg)を、ピリジン中の1−[(3−(ジメチルアミノ)−プロピル)]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.29kg)の存在下で、不活性雰囲気下、周囲温度でピリミジン−4,6−ジカルボン酸(383g)と結合する。25時間後、反応混合液を水(92kg)に希釈し、固体を分離して濾過によって回収し、37〜40°Cで乾燥させて、粗化合物を、酢酸エチル/ヘプタンで3回の粉砕によって精製する。収率:1.34kg(70%)、予想される純度:約87.5%。
ステップ4:1.69kgの無水ピリジン中の1.07kgのDMAP溶液を、氷浴で0℃に冷却する。1050gの塩化チオニルを徐々に添加し、温度を15℃以下に保つ。溶液が5℃に達すると、5−N−(カルボベンゾキシアミノ)吉草酸(2.2kg)を添加し、温度を15℃以下に保つ。溶液を5℃に冷却し、続いて化合物5(2.5kg)を添加して、温度が室温に上がる前に22分間攪拌を続ける。得られた反応混合液を21時間攪拌し、次に酢酸エチル(17.3kg)を添加する。有機層を1,2N水酸化ナトリウム、次に塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。有機層を分離し、蒸発乾燥させ、トルエンでの粉砕で得られた残基は、粗化合物6を生じ、それをメタノール/酢酸エチルを溶出液として使用し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。化合物6を、ジクロロメタン/トルエン混合液からの再結晶化によってさらに精製する。収率:1.47kg(30%)、予想されるHPLC純度:約97.6%。
ステップ5および6:化合物6(1.47kg)を、メタノール(11.6kg)に溶解し、次に10% Pd−C(143g)を窒素雰囲気下で添加する。得られた反応混合液を、水素下、周囲圧力で2.5時間攪拌し、次に触媒を濾過によって除去する。濾液に、1N HCl(2L)、トリエチルアミン(420g)、およびジ−boc−グアニルピラゾール(0.70g)を順次添加する。得られた反応混合液を、室温で102分間攪拌する。次に、それを蒸発させ、酢酸エチル(10.7kg)で希釈する。有機層を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、蒸発乾燥させる。粗化合物8を、1.9kgのシリカゲルおよび酢酸エチル/ジクロロメタンからメタノール/ジクロロメタンを用いて、カラムクロマトグラフィーによって精製する。収率:1.19kg(62.3%)、予想されるHPLC純度:約96.4%。
ステップ7:化合物8(1.17kg)を酢酸エチル((21.5kg)に溶解し、281gの水を添加する。HClガスをこの溶液に添加する一方で、温度を45°C以下に保つ。5時間後、反応が完了したことが認められる。固体(PMX−30063、ブリラシジン)を濾過によって回収する。PMX−30063のさらなる精製を、上記固体の粉砕によって、メタノール/THFを用いて行う。収率:696g(84.1%)、予想されるHPLC純度:約98.6%。
実施例2:デルパランタグの調製:
スキーム2:PMX−60056の調製のための合成戦略
ステップ1:化合物11の調製
14.0Lの(ジクロロメタン)中の化合物9(1665g、4.379mol、1.0等量)、化合物10(817g、4.51mol、1.03等量)、およびN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(651g、4.82mol、1.1等量)混合液を、NMM(N−メチルモルホリン)(885g、8.76mol、2.0等量)で処理し、続いてN−(3−ジメチアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩(923g、4.82mol、1.10等量)を少量ずつ添加する。反応を20℃で行い、その反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を標準抽出手順によって処理して、化合物11(2192g、92.1%収率)を得る。HPLC分析は、化合物11の純度が約97〜98%であることを示すと予想される。キラルHPLC方法は、化合物11のエナンチオマー純度が、ステップ1の間に維持される(化合物9から)ことを示すと予想される。望ましくないエナンチオマーが検出されることは予想されない。
ステップ2A:化合物13の調製
化合物1〜3(1250g、2.30mol)、THF(13.8L)、およびメタノール(9.4L)の混合液を10℃に冷却し、水中の5%溶液として送達される水酸化リチウムの4モル等量を30分かけて滴下処理する。反応混合液を攪拌しながら室温まで温め、その進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液のpHを水性HClで中和し、部分的に濃縮し、水性HClで酸性化して、酢酸エチルで抽出する。化合物1〜4(1175g、96.5%収率)が得られ、それらのHPLC分析は、約96%の純度を示すと予想される。キラルHPLC方法は、化合物13のエナンチオマー純度が、ステップ2Aの間に維持される(化合物11から)ことを示すと予想される。望ましくないエナンチオマーが検出されることは予想されない。
ステップ2B:化合物12の調製
DCM(15.0L)中の化合物1〜3(2556g、4.70mol)の溶液を、p−トルエンスルホン酸(1073g、5.6mol、1.2等量)で処理し、混合液を40℃に加熱する。反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を室温に冷却し、重炭酸ナトリウム水溶液で処理し、次に標準抽出手順によって処理して、化合物12(2065g、99%収率)を得る。この生成物の純度は、HPLC分析によって約96.4%であると予想される。
ステップ3:化合物14の調製
クロロホルム(17.6L)中の化合物12(1030g、2.32mol、1.05等量)、HOBt(601g、4.45mol、2.0等量)、およびNMM(670g、6.63mol、3.0等量)の混合液を、クロロホルム(2.0L)中のEDAC(511g、2.65mol、1.2等量)溶液で処理する。この混合液を、クロロホルム(4.2L)中の化合物13(1170g、2.21mol、1.0等量)およびNMM(337g、3.33mol、1.5等量)の溶液の滴下添加によって処理して、得られた反応混合液を20〜25℃で攪拌する。反応進行を、インプロセスHPLC法によって監視する。反応が完了した後、反応混合液を標準抽出手順によって処理する。得られた固相発泡体は、超過重量およびHPLC分析によって約88%の純度を示す。得られた固相発泡体は、ヘプタン/EtOAcからの結晶化にさらされる。化合物14(1287g、61%収率)が得られ、HPLC分析によって決定されるその純度は、約97.2%であると予想される。
ステップ4:化合物15の調製
化合物14(2516g、2.63mol)、THF(16.6L)、およびメタノール(10.9L)の混合液を10℃に冷却し、水中の5%溶液として送達されるLiOHの4モル等量を45分かけて滴下処理する。反応混合液を攪拌しながら室温まで温め、その反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を水性HClで中和し、部分的に濃縮し、水性HClで酸性化して、EtOAcで抽出する。化合物15(定量的収量、2813gの粗生成物)が得られ、HPLC分析によって決定されるその純度は、約-94.7%であると予想される。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップで直接使用する。
ステップ5:化合物16の調製
クロロホルム(13.0L)中の化合物15[上記ステップ4において調製された1490gの粗生成物、1297g(1.38mol)の純化合物15に相当するものであると仮定される]の溶液を10℃に冷却し、1分量のクロロギ酸エチル(302g、2.78mol、2.0等量)で処理し、続いて内部温度を監視しながらDIEA(357g、2.76mol、2.0等量)を滴下添加する。反応混合液を、攪拌しながら周囲温度まで温める。反応進行を、ジオキサン中0.5Mのアンモニアによって急冷された試料のHPLC分析によって反応性混合無水中間物への完全な変換を示すように監視し、化合物16の形成および化合物15の消費について評価する。酸15の無水中間物への完全な変換後、反応混合液を0℃に冷却し、内部温度を監視しながら発泡器を通じてアンモニアガス(151g、8.8mol、6.4等量)で処理する。反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を水で急冷し、標準抽出手順によって処理する。化合物16(定量的収量、1322gの粗生成物)が得られ、HPLC分析によって決定されるその純度は、約93.2%であると予想される。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップで直接使用する。
ステップ6:化合物17の調製
DCM(4.4L)中の化合物16(上記ステップ5において調製された1322gの粗生成物、1298g(1.38mol)の純化合物16に相当するものであると仮定される)の溶液を0℃に冷却し、内部温度を約10℃以下に維持しながら、トリフルオロ酢酸(2.1L、28mol、20等量)で滴下処理する。反応混合液を、攪拌しながら周囲温度まで温める。反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を−20℃に急速冷却し、次に水(9.6L)およびDCM(4.5L)中のNaOH(22等量)の急速攪拌された−5℃の混合液に30分かけて添加することによって急冷する。添加速度は、混合液の内部温度が約10℃以下で維持されるようにする。急冷した反応混合液を標準抽出手順によって処理して、化合物17(1152g、99%収率)を生じ、HPLC分析によって決定されるその純度は、約85.0%であると予想される。
ステップ7:化合物18の調製
クロロホルム(17.9L)中の化合物15(981g、1.04mol、1.00等量)、化合物17(894g、1.06mol、1.02等量)、およびHOBt(288g、2.1mol、2.0等量)の混合液を、クロロホルム(2.2L)中のEDAC(240g、1.25mol、1.2等量)溶液で処理し、続いてNMM(161g、1.6mol、1.5等量)を添加する。反応混合液を20〜25℃で攪拌し、その反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を標準抽出手順によって処理して、化合物18(定量的収量、1840gの粗生成物)を固体として得る。粗生成物18の純度は、HPLC分析によって80.0%であることが決定されると予想される。粗生成物は、2−プロパノール/メタノールからの第1の再結晶化にさらされ、続いてクロロホルム/2−プロパノールからの第2の再結晶化にさらされて、精製された化合物18(1280g、69.8%収率)を生じ、HPLC分析によって決定されるその純度は、約95.1%であると予想される。
ステップ8:化合物19の調製
DCM(3.1L)、THF(3.1L)、およびリン酸(5323g、85%、46.2mol、65等量)の混合液を調製し、ステップ7において調製された精製化合物18(1248g、0.707mol)を30分かけて少量ずつ添加する。反応混合液を20〜25℃で攪拌し、その反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を水性NaOHで急冷し(反応混合液のpHを8〜9に調整する)、標準抽出手順によって処理して、化合物19(定量的収量、1323gの粗生成物)を得る。粗生成物の純度は、HPLC分析によって約90.5%であることが決定されると予想される。粗生成物19を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。この精製プロセスは、粗生成物19の1グラム当たり30gのシリカゲル(230〜400メッシュ)を使用する。1%メタノール/DCMから10%メタノール/DCM(勾配で)を溶出溶媒として使用する。クロマトグラフィーの後、460g(39%)の精製化合物19が得られる。HPLC分析によって決定される精製化合物19の純度は、約97.5%であると予想される。
ステップ9:デルパランタグ(PMX−60056)の調製
ステップ8によって調製された精製化合物19(417g、0.251mol)、炭素上の10重量%パラジウム(167g)、メタノール(16.7L)、およびHCl(5.0等量、7.2重量%水溶液中)の混合液は、70psiの圧力で水素ガスにさらされる。反応混合液を25℃で攪拌し、その反応進行をインプロセスHPLCによって監視する。反応が完了した後、反応混合液を濾過し、アセトニトリルで共蒸留によって濃縮して、固体生成物を得て、それをtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)中でスラリー状にして濾過し、乾燥させてデルパランタグを得る。収率:300g(91%)(ペンタHClとして)、予想されるHPLC純度:約97.9%
デルパランタグの精製:
不純なデルパランタグ(274g、0.209mol)をメタノール(13.9L)に溶解し、その後に28gの3−メルカプトプロピルエチル硫化シリカゲルで処理して、90分間攪拌する。この混合液を濾過し、アセトニトリルでの共蒸留によって濃縮して、固体生成物を得て、それをMTBE中でスラリー状にし、濾過して乾燥させる。この精製プロセスを、前に得られた精製生成物(266g、0.203mol)上で再度繰り返すと、第2の精製プロセスは、219gのデルパランタグをもたらす。予想されるHPLC純度:97.9%、Pd含有量:2.7ppm。
実施例3:PMX−30063はPDE4Aを阻害する
ホスホジエステラーゼ4型(PDE4)は、好中球、T細胞、およびマクロファージ中に発現された優勢ホスホジエステラーゼである。PDE阻害剤は、ほぼ全ての炎症性細胞において、広い範囲の抗炎症効果を示す。PDE4阻害剤は、cAMP上のPDE4の分解作用を妨げ、それによってタンパク質キナーゼのリン酸化を媒介するcAMPレベルの細胞内レベルを増加させる。PDE4阻害剤は、好中球の走化性、動員、および活性化を低減し、CD4+およびCD8+T細胞の活性化を阻害し、単球の走化性を阻害する。したがって、PDEの阻害は、消化管の炎症性疾患のような炎症性疾患において治療効果を有すると予想される。PMX−30063がPDE4ホスホジエステラーゼを阻害することができるかどうかを検証するために、PDE4の阻害アッセイを、PMX−30063を使用して行った。PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイを、図1について記載の方法に従って、8ngのPDE4B、1μMのcAMP基質、およびPMX−30063を使用して行った。データは、発光ユニット(RLU)として示される。
PMX−30063は、3μM範囲のIC50でPDE4を阻害した(n=5)(図1)。これは、PDEを阻害するHDP模倣体の最初の報告である。様々な動物モデルにおいて、PDE4の阻害は、顕著な抗炎症効果を示すため、PMX−30063によるPDE4の阻害は、消化管の炎症性疾患に関与する様々な主要エフェクター細胞に対して広範囲の抗炎症効果を有し得る。
実施例4:PMX−60056はPDE4Aを阻害する
PMX−30063がPDE4を阻害したため、PMX−60056をPDE4活性の阻害について同様にアッセイすることも決定した。したがって、PDE4のホスホジエステラーゼ阻害アッセイを、PMX−60056を用いて行った。
PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイを、図2について記載の方法に従って、8ngのPDE4B、1μMのcAMP基質、およびPMX−60056を使用して行った。データは、発光ユニット(RLU)として示される。
PMX−60056は、3μM範囲のIC50でPDE4を阻害した(n=5)(図2)。様々な動物モデルにおいて、PDE4の阻害は、顕著な抗炎症効果を示すため、PMX−60056によるPDE4の阻害は、消化管の炎症性疾患に関与する様々な主要エフェクター細胞に対して広範囲の抗炎症効果を有し得る。
実施例5:PMX−30063はPDE3Aを阻害する
ホスホジエステラーゼは、シグナル伝達分子環状AMP/または環状GMPの分解を触媒する酵素のファミリーである。cAMPおよびcGMPは、多くのシグナル伝達プロセスに関与するシクラーゼの大きなファミリーによって産生された偏在的二次メッセンジャーシグナル伝達分子である。本発明者らは、HDPが、炎症誘発性反応の抑制において、環状AMP/環状GMP経路を通じて機能し得ると仮定した。PDE3阻害剤は、細胞内cAMP/cGMP濃度の増加につながる、cAMPおよびcGMPの両方の分解を妨げる。したがって、PDE3のホスホジエステラーゼ阻害アッセイを、PMX−30063を用いて行った。
PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイを、図3について記載の方法に従って、2.75ngのPDE3A、1μMのcAMP基質、およびPMX−30063を使用して行った。化合物およびPDE3Aを混合し、室温で15分間プレインキュベートした。基質を添加し、反応をインキュベートした。
PMX−30063は、1.5±0.2μM範囲のIC50でPDE3を阻害した(n=4)(図3)。したがって、PMX−30063は、PDE3およびPDE4阻害剤の両方として単一分子で作用する。PDE4およびPDE3阻害の機能を合わせて、PMX−30063は、抗菌薬および抗炎症薬として機能することができる。追加のおよび/または相乗効果は、複数のPDEが同時に阻害されるときにもたらされる(Rieder et al.PLoS One 2013 2013;8(2):e56867.doi:10.1371/journal.pone.0056867.Epub 2013 Feb 28)。これは、消化管の炎症性疾患において起こるような炎症を抑えると予想される。
実施例6:PMX−60056はPDE3Aを阻害する
PMX−30063がPDE3を阻害したため、PMX−60056をPDE3活性の阻害について同様にアッセイすることも決定した。したがって、PDE3のホスホジエステラーゼ阻害アッセイを、PMX−60056を用いて行った。PDE−Gloホスホジエステラーゼアッセイを、図4について記載の方法に従って、2.75ngのPDE3A、1μMのcAMP基質、およびPMX−60056を使用して行った。化合物およびPDE3Aを混合し、室温で15分間プレインキュベートした。基質を添加し、反応をインキュベートした。
PMX−60056は、3uM範囲のIC50でPDE3を阻害した(図4)。したがって、PMX−60056は、PDE3およびPDE4阻害剤の両方として単一分子で作用する。PDE4およびPDE3阻害の機能を合わせて、PMX−60056は、抗菌薬および抗炎症薬として機能することができる。追加のおよび/または相乗効果は、複数のPDEが同時に阻害されるときにもたらされる。これは、消化管の炎症性疾患において起こるような炎症を抑えると予想される。
実施例7:PMX−30063はTNF−αを阻害する
腸固有層は、内腔微生物叢の免疫寛容に対する要件と、病原体に対して防御する必要性、内腔微生物叢の過剰な侵入、または両方とのバランスを取る免疫細胞の複雑な集団を含む。活動性炎症性腸疾患の特質は、自然免疫細胞(好中球、マクロファージ、樹状細胞、およびナチュラルキラーT細胞)および適応免疫細胞(T細胞およびB細胞)の固有層への顕著な浸潤である。腸粘膜内のこれらの細胞の数の増加および活性化は、インターロイキン−23−Th17経路のTNF−α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6(IL−6)、インターフェロン−γ(INF−γ)、およびサイトカインの局所レベルを上昇させる。
炎症誘発性サイトカインTNF−αは、消化管の炎症性疾患において慢性腸炎症を引き起こす炎症性カスケードにおいて極めて重要な役割を果たすものとして特定された。TNF−αは、消化管の炎症性疾患における好中球炎症の主要メディエーターである。抗TNF−α抗体は、この炎症性プロセスを緩和することを示した。TNF−α阻害剤は、免疫細胞を産生するTNF−αのアポトーシスを誘導し、これらの細胞および他の細胞から種々の下流炎症誘発性サイトカインの産生を低減することを示した。故にその阻害は、消化管の炎症性疾患の複数の構成要素を標的とする可能性を有する。したがって、TNF−α阻害アッセイを、PMX−30063を用いて行った。
TNF−α阻害アッセイは、図5について記載の方法に従って行った。NR8383ラットマクロファージ細胞を、PMX−30063で45分間前処理し、続いて1μg/mLのLPSで8時間処理した。上清中のTNF−α濃度を、ELISAにより、ラットTNF−αに対して特異的な免疫アッセイキット(R&D Systems)を使用して決定した。
PMX−30063は、NR8383ラットマクロファージ(CRL−2192、ATCC)において、0.5μMのPMX−30063で約50%だけLPS誘導のTNF−α産生を阻害した(図5)。抗炎症性HDPとして、PMX−30063は、TNFαのレベルを低減し、それが消化管の炎症性疾患の治療に非常に効果的であり得る。
実施例8:PMX−60056はTNF−αを阻害する
PMX−30063がTNF−αを阻害したため、PMX−60056をTNF−α活性の阻害について同様にアッセイすることも決定した。TNF−α阻害アッセイは、図6について記載の方法に従って行った。NR8383ラットマクロファージ細胞(CRL−2192、ATCC)を、PMX−60056で45分間前処理し、続いて1μg/mLのLPSで8時間処理した。上清中のTNF−α濃度を、ELISAにより、ラットTNF−αに対して特異的な免疫アッセイキット(R&D Systems)を使用して決定した。
PMX−60056は、NR8383ラットマクロファージにおいて、62.5nMのPMX−60056で50%超だけLPS誘導のTNF−α産生を阻害した(図6)。抗炎症性HDPとして、PMX−60056は、TNFαのレベルを低減し、その活性は、消化管の炎症性疾患の治療に非常に効果的であり得る。
実施例9:PMX−30063は単球走化性タンパク質−1を阻害する
MCP−1は、樹状細胞、マクロファージ、内皮細胞、および線維芽細胞を含む種々の細胞によって産生され、その発現は、IL−1およびTNF−αのような炎症性刺激への曝露の後に上方制御される。MCP−1は、単球特異的走化性因子として最初は特定されたが、後にT細胞、肥満細胞、好塩基球、およびナチュラルキラー細胞に作用することが示された。MCP−1の上昇は、クローン病および潰瘍性大腸炎を有する患者からの粘膜組織において、また大腸炎の実験モデルにおいても観察される。MCP−1がC−Cケモカイン受容体2型(CCR2)に結合し、MCP−1がT細胞および単球移動を誘導することができるため、このケモカインは、消化管の炎症性疾患においてこれらの細胞の動員に寄与し、炎症反応の誘導に重要な役割を果たす。したがって、MCP−1阻害アッセイを、PMX−30063を用いて行った。
MCP−1阻害アッセイは、図7について記載の方法に従って行った。NR8383ラットマクロファージ細胞CRL−2192、ATCC)を、PMX−30063で45分間処理したとき、8時間のLPS(1μg/mL)刺激の後にMCP−1誘導の強い阻害を観察した(図7)。
PMX−30063の場合、0.5μMで最低でも25%のMCP−1レベルの減少が観察された。これらの結果は、PMX−30063の強力な抗炎症効果をさらに示す。
実施例10:PMX−60056は単球走化性タンパク質−1を阻害する
PMX−30063がMCP−1を阻害したため、PMX−60056をMCP−1活性の阻害について同様にアッセイすることも決定した。MCP−1阻害アッセイは、図8について記載の方法に従って行った。NR8383ラットマクロファージ細胞(CRL−2192、ATCC)を、PMX−60056で45分間前処理したとき、8時間のLPS(1μg/mL)刺激の後にMCP−1誘導の強い阻害を観察した(図8)。
PMX−60056の場合、0.5μMで最低でも25%のMCP−1レベルの減少が観察された。これらの結果は、PMX−60056の強力な抗炎症効果をさらに示す。
実施例11:PMX−30063はマトリックス−メタロプロテイナーゼ−9を阻害する
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP−9)は、消化管の炎症性疾患のような炎症性疾患の病因に関与することが示された。MMPの不適切な発現および過剰な活性は、消化管の炎症性疾患に関連する組織破壊プロセスに関与していた。慢性炎症は、エラスターゼ、プロテアーゼ、インターロイキン−8(IL−8)、ロイコトリエンB−4(LTB4)、TNFα、および炎症性の高い細胞を誘引するMMPのような炎症誘発性および破壊性メディエーターを放出する炎症性細胞によって組織化される[Gueders,M.M.,Foidart,J.M.,Noel,A.& Cataldo,D.D.Matrix metalloproteinases(MMPs)and tissue inhibitors of MMPs in the respiratory tract:potential implications in asthma and other lung diseases.European Journal of Pharmacology 533,133〜144,(2006)、Hurst,J.R.& Wedzicha,J.A.The biology of a chronic obstructive pulmonary disease exacerbation.Clinics in chest medicine 28,525−536,(2007)]。これらの炎症誘発性サイトカインは、長期周期の慢性炎症につながる。したがって、MMP−9阻害アッセイを、PMX−30063を用いて行った。
MMP−9阻害アッセイは、図9について記載の方法に従って行った。PMX−30063で45分間前処理し、続いて8時間LPS(1μg/mL)誘導したNR8383ラットマクロファージ細胞CRL−2192、ATCC)の上清からMMP−9活性のレベルを決定した。
12.5μM濃度のPMX−30063でMMP−9レベルの50%減少が観察された(図9)。これらの結果は、PMX−30063の強力な抗炎症効果をさらに示す。
実施例12:PMX−30063はIL−6誘導を阻害する
腸固有層は、内腔微生物叢の免疫寛容に対する要件と、病原体に対して防御する必要性、内腔微生物叢の過剰な侵入、または両方とのバランスを取る免疫細胞の複雑な集団を含む。活動性炎症性腸疾患の特質は、自然免疫細胞(好中球、マクロファージ、樹状細胞、およびナチュラルキラーT細胞)および適応免疫細胞(T細胞およびB細胞)の固有層への顕著な浸潤である。腸粘膜内のこれらの細胞の数の増加および活性化は、インターロイキン−23−Th17経路のTNF−α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6(IL−6)、インターフェロン−γ(INF−γ)、およびサイトカインの局所レベルを上昇させる。
IL−6の産生に影響を及ぼすことは、エフェクターCD4+T細胞サブセットのバランスを変更し、B細胞抗体の産生を誘導することができる。さらに、IL−6がマクロファージ、好中球、および肥満細胞のような自然細胞から主に産生されることを考慮すると、それは自然系と適応系との間の戦略的架橋である。IL−6は、慢性炎症において重要な役割を担うことが示された。循環するIL−6のレベルは、クローン病を含むいくつかの炎症性疾患において上昇する。IL−6の発現は、炎症部位において強化され、IL−6およびIL−6シグナル伝達の遮断は、消化管の炎症性疾患のような炎症性疾患のモデルにおける予防および治療に有効である。したがって、IL−6誘導の阻害アッセイを、PMX−30063を用いて行った。
IL−6誘導の阻害アッセイは、図10について記載の方法に従って行った。PMX−30063を用いて8時間の前処理は、NR8383ラットマクロファージ(CRL−2192、ATCC)において、0.5μMのPMX−30063で約50%だけLPS(1μg/mL)誘導のIL−6産生を阻害し(図10)、その活性は、消化管の炎症性疾患の治療に非常に効果的であり得る。
PMX−30063およびPMX−60056の抗炎症活性の要約(図1〜10)
抗炎症薬として、PMX−30063は、TNF−α、MCP−1、MMP−9、およびIL−6のレベルを低減した。PMX−60056もまた、TNF−αおよびMCP−1のレベルを低減した。PMX−30063およびPMX−60056の抗炎症機能は、いくつかの炎症誘発性経路を低減すること、および環状ヌクレオチドの細胞内濃度およびそのシグナル伝達経路を調節することによって媒介され得、結果として消化管の炎症性疾患のような慢性炎症性疾患における無数の生物学的反応に影響を及ぼす。
インビボ分布研究は、経口的に付与されたPMX−30063が、主に小腸内に残留することを示す。
実施例13:マウスへの静脈内投与または経口投与に続く血漿中のPMX−30063の濃度
PMX−30063の投与に続く血漿中への分布の程度を評価するために、図11について記載の方法に従って、雄Balb/cマウスにおいて(研究16009〜12001)、10mg/kgのPO付与または5mg/kgのIV付与に続くPMX−30063血漿中濃度を測定する研究を行った。
IVまたはPO投与に続くPMX−30063の血漿中濃度対時間曲線が示される(図11)。IV付与されたPMX−30063のピーク濃度は、48,415±7803ng/mLであったが、PO付与されたとき、血漿中のピーク濃度は33.7±8.56ng/mLであった。これは、経口投与される0.1%未満のPMX−30063が循環に侵入し、それが全身毒性の危険性を大幅に低減することを示す。
実施例14:マウスへの経口投与に続く小腸内のPMX−30063の濃度
10mg/kgのPO投与に続く小腸内のPMX−30063の濃度は、図12について記載の方法に従って行った。1時間で小腸内の濃度は、38,941±4703ng/グラムの組織でピークに達した(図12)。これは、PMX−30063が経口付与されるとき、小腸組織に侵入し、それが局所レベルでその抗炎症効果を発揮し得ることを示す。
実施例15:PMX−30063の経口投与に続く腸対血漿中濃度の比
PMX−30063の経口投与に続く腸対血漿中濃度の比は、図13について記載の方法に従って、図11および12から得られたデータに基づいて計算した。
最初の1時間に、これらの比は2243〜4323の範囲であり、0.1%未満のPMX−30063が経口投与に続いて最初に循環に侵入することを示す。4時間にわたって、依然として0.5%未満が、経口投与に続いて循環に侵入する(図13)。
PMX−30063の静脈内投与および経口投与に続く雄マウスの血漿および小腸中のPMX−30063の薬物動態パラメーターは、以下の表に示される。これらのデータもまた、血中の総曝露(AUC)が、経口投与時に0.5%未満であることを示す。

図11、図12、図13、および表は、経口投与によって、PMX−30063が、小腸内の組織によって取り込まれるが、0.5%未満が循環に侵入することを示し、これは腸上皮の治療に対して大きな利点を提供し、全身毒性の危険性が低い。
実施例16:潰瘍性大腸炎モデルにおけるインビボ腸重量に対するPMX−30063の影響
PMX−30063を、図14について記載の方法に従って、潰瘍性大腸炎(UC)モデルにおけるインビボ有効性について評価した。つまり、UCは、4%酢酸を直腸に注入することによって誘導された。4日後、1日1回5日間、100mg/kg、200mg/kg、または400mg/kgのいずれかでPMX−30063を用いて直腸内的に、もしくは5−ASAを用いて動物を処理したか、または処理しなかった。
腸重量は、未処理の対照と比較して、400mg/kg容量で17%だけ著しく低減した(p=0.02)(図14、以下の表)。UCが組織の炎症を引き起こすため、腸重量はPMX−30063での処理時に減少すると予想された。
実施例17: PMX−30063は潰瘍性大腸炎モデルにおいてインビボ有効性を示した
PMX−30063を、図15について記載の方法に従って、潰瘍性大腸炎(UC)モデルにおける有効性について評価した。
動物における潰瘍性大腸炎スコアの用量依存的な減少が観察された(図15)。100mg/kgのPMX−30063での処理は、UCスコアの中央値を33%低減し、200および400mg/kgではUCスコアを67%さらに低減したが、有意ではなかった(以下の表)。5−ASAで処理した動物においても、UCスコアは67%低減したが、有意ではなかった。最大体重減少は、全てのグループの中で12%であった。
したがって、この予備研究は、直腸内付与されたPMX−30063が、潰瘍性大腸炎の臨床症状を軽減することにおいて効果的であり得る一方で、良好な耐容性を示すことを示唆した。PMX−30063は、HDP模倣体として、炎症誘発性反応の抑制において、環状AMP/環状GMP経路を通じて機能し得ると仮定する。PDE4は、好中球、T細胞、およびマクロファージにおいて発現された優勢ホスホジエステラーゼであり、PDE4阻害剤は、好中球の走化性、動員、および活性化を低減し、CD4+およびCD8+T細胞の活性化を阻害し、単球の走化性を阻害する。したがって、PDE4は、潰瘍性大腸炎、クローン病、および他の炎症性腸疾患に関与し得る様々な主要エフェクター細胞に対して広範囲の抗炎症効果を有する。
生物学的データの要約
要約すれば、抗炎症活性を示し、PMX−30063(ブリラシジン)は、TNF−α、MCP−1、MMP−9、およびIL−6のレベルを低減した。PMX−60056(デルパランタグ)もまた、TNF−αおよびMCP−1のレベルを低減した。PMX−30063およびPMX−60056の抗炎症機能は、いくつかの炎症誘発性経路を低減すること、および環状ヌクレオチドの細胞内濃度およびそのシグナル伝達経路を調節することによって媒介され得、結果として消化管の炎症性疾患のような慢性炎症性疾患における無数の生物学的反応に影響を及ぼす。
PMX−30063は、抗菌効果および抗炎症効果の両方を有するため、感染および炎症の両方が存在するときに使用することができる。感染がないときに、炎症を治療するために使用することもできる。PMX−60056は、感染および炎症の両方が存在するときに、PMX−30063または別の抗生物質と一緒に使用され得る。感染は存在しないが炎症が存在するとき、または炎症に対して予防を提供するために、PMX−30063および/またはPMX−60056が使用され得る。炎症をもたらし得る感染に対するPMX−30063および/またはPMX−60056の使用は、炎症を防ぎ、したがって慢性細菌コロニー化と、炎症と、上皮損傷との間の潜在的な悪循環を断つことができる予防を提供する。PMX−30063およびPMX−60056は、慢性炎症を阻害することにおいて限られた有効性を有し、疾患の病理を逆転せず、疾患の長期進行を開始し、駆動する要因の修正に失敗する現在の治療法とは異なり、消化管の炎症性疾患の誘導および進行を防ぐ能力を有する。
実施例18:提案される臨床研究
活動的な軽度〜中度の潰瘍性直腸炎(UP)または潰瘍性直腸S状結腸炎(UPS)を有する対象における寛解の誘導のために直腸的に投与されたブリラシジン(PMX−30063)の有効性および安全性を評価する第2相非盲検多施設研究。
登録のためのスクリーニングの時点で、内視鏡的登録基準を満たす対象は、有効性結果の分析における今後の潜在的使用のために得られた2つの直腸生検および2つのS状結腸生検を有する(生検の結果は登録に必要ではない)。全ての対象は、経直腸的に投与されるブリラシジンを受け取る。治療群への割り当ては、各参加施設において順次行われる。ランダム化は行われない。任意の一施設において、登録された対象の50%以下がUPSを有し得る。
停留かん腸としての注射用水(WFI)中のPMX−30063(ブリラシジン)は、A)60mL中25mgの用量で1日1回就寝時、B)60mL中50mgの用量で1日1回就寝時、C)60mL中25mgの用量で1日2回朝および就寝時、またはD)60mL中50mgの用量で1日2回朝および就寝時に6週間直腸的に投与される。概念研究の証拠として、各治療群に対して約10名の対象を研究に登録する。この研究の間、適格対象は、以前に確立された経口5−ASA治療を1日当たり最大4.8グラムの用量で維持することが許される。身体検査、バイタルサイン、実験室試験、ならびにAEおよび併用薬の記録を含む、定期的な安全性の監視を、研究の間に行う。
主な目的は、修正Mayo疾患活動性指数(MMDAI)スコアに基づいて、活動的なUPまたはUPSを有する対象において、経直腸的に投与されるPMX−30063で6週間の治療後の臨床的および内視鏡的寛解の頻度を評価することである。主な有効性尺度は、寛解を達成する患者の割合であり、内視鏡スコア1以下、直腸出血スコア=0、および6週目のMMDAIの排便回数サブスケールにおけるベースラインからの改善または変化なしとして定義される。
二次目的は、経直腸的に投与されるときのブリラシジンの安全性を評価すること、およびこの適応において後続試験(複数可)に対する統計的検出力を推定することである。主要な二次転帰としては、次が挙げられる。
・臨床反応を有する対象の割合
・直腸出血MMDAIサブスケールスコア0を達成する対象の割合
・6週目に1未満の内視鏡MMDAIサブスケールスコアを有する対象の割合
・糞便カルプロテクチンの変化
・血清C反応タンパク質(CRP)の変化
・血清IL−6の変化
・健康に関連する生活の質(QOL)の改善
・薬物動態データ

Claims (10)

  1. 哺乳類における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療の方法であって、そのような予防および/または治療を必要とする前記哺乳類に、治療上有効な量のPMX−30063(ブリラシジン)およびPMX−60056(デルパランタグ)から選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
  2. 前記消化管の炎症性疾患の治療のための薬学的組成物の使用であって、前記組成物が、治療上有効な量のPMX−30063(ブリラシジン)およびPMX−60056(デルパランタグ)から選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩およびその薬学的に許容される担体を含む、使用。
  3. 患者における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための薬物の調製に使用するための、PMX−30063(ブリラシジン)およびPMX−60056(デルパランタグ)、ならびにその薬学的に許容される塩の活性化合物、またはそれを含む薬学的組成物。
  4. 前記疾患が、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、クローン病、または過敏性腸症候群である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記疾患が、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、クローン病、または過敏性腸症候群である、請求項2に記載の使用。
  6. 患者における消化管の炎症性疾患の予防および/または治療のための薬物の調製に使用するための、PMX−30063(ブリラシジン)およびPMX−60056(デルパランタグ)、ならびにその薬学的に許容される塩、またはそれを含む薬学的組成物。
  7. 前記化合物が、抗生物質と一緒に投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記組成物が、PMX−30063(ブリラシジン)以外の抗生物質も含む、請求項2に記載の使用。
  9. 前記疾患が、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、クローン病、または過敏性腸症候群である、請求項7に記載の方法。
  10. 前記疾患が、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、クローン病、または過敏性腸症候群である、請求項8に記載の使用。
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