JP2016153347A - 遷移金属含有炭酸塩化合物、その製造方法、正極活物質の製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

遷移金属含有炭酸塩化合物、その製造方法、正極活物質の製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】円形度が高く、粒度分布が狭い遷移金属含有炭酸塩化合物を製造できる方法の提供。
【解決手段】反応槽40に水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを連続的または断続的に供給する工程、(b)工程(a)を実施しつつ反応槽40に供給された各液を含む混合液を撹拌し、NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を成長させる工程、(c)工程(b)を実施しつつ反応槽40内の遷移金属含有炭酸塩化合物を含む混合液の一部を反応槽40から連続的または断続的に抜き出す工程を有する遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。水溶液A:NiイオンおよびCoイオンのいずれか一方または両方とMnイオンとを含む水溶液。水溶液B:炭酸イオンを含む水溶液。種晶液C:NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む炭酸塩化合物からなり、かつD50が5μm未満である種晶を含む液。
【選択図】図4

Description

本発明は、遷移金属含有炭酸塩化合物、その製造方法、正極活物質の製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の正極に含まれる正極活物質としては、リチウム含有複合酸化物、特にLiCoOがよく知られている。しかし、近年、携帯型電子機器や車載用のリチウムイオン二次電池には、小型化、軽量化が求められ、正極活物質の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の放電容量(以下、単に放電容量とも記す。)のさらなる向上が要求されている。リチウムイオン二次電池の放電容量をさらに高くできる正極活物質としては、LiおよびMnの含有率が高い正極活物質、いわゆるリチウムリッチ系正極活物質が注目されている。
正極活物質は、通常、遷移金属化合物(炭酸塩または水酸化物)いわゆる前駆体と、リチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成して、リチウム含有複合酸化物を得ることによって製造される。前駆体としては、比表面積の大きい正極活物質が得られ、その結果、電池特性が良好なリチウムイオン二次電池が得られる点からは、遷移金属含有炭酸塩化合物が適している。
遷移金属含有炭酸塩化合物は、たとえば、反応槽に、NiイオンおよびCoイオンのいずれか一方または両方とMnイオンとを含む水溶液と、炭酸イオンを含む水溶液とを連続的に供給しつつ、反応槽内の混合液を撹拌して遷移金属含有炭酸塩化合物を析出させると同時に、ろ材を通して混合液を抜き出して遷移金属含有炭酸塩化合物を濃縮し、遷移金属含有炭酸塩化合物の粒子を成長させる方法、いわゆる濃縮法によって製造される。
しかし、濃縮法によって得られた遷移金属含有炭酸塩化合物は、円形度が低いという問題を有する。円形度が低い遷移金属含有炭酸塩化合物を前駆体とすると、円形度が低いリチウム含有複合酸化物が得られる。円形度が低いリチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いると、正極における正極活物質の密度が低くなるため、正極活物質の単位体積あたりのリチウムイオン二次電池の放電容量が不充分となる。
球形に近い遷移金属含有炭酸塩化合物を製造する方法としては、下記の方法が提案されている。
反応槽内の混合液の一部を抜き出して反応槽内に返送する外部循環経路を有する装置を用い、外部循環経路内の流速を1m/秒以上とし、外部循環経路の途中にNiイオンとMnイオンとを含む水溶液、炭酸イオンを含む水溶液等を供給する方法(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の方法によって得られた遷移金属含有炭酸塩化合物は、粒度分布が広い(D90/D10が大きい)という問題を有する。粒度分布が広い遷移金属含有炭酸塩化合物を前駆体とすると、粒度分布が広いリチウム含有複合酸化物が得られる。粒度分布が広いリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質は、粗大粒子が多いため、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工する際の塗工性が悪くなる。また、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工した後、圧延する際に粗大粒子が割れやすく、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が不充分となる。
国際公開第2013/111487号
本発明は、円形度が高く、粒度分布が狭い遷移金属含有炭酸塩化合物を製造できる方法;円形度が高く、粒度分布が狭い遷移金属含有炭酸塩化合物;円形度が高く、粒度分布が狭いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を製造できる方法;リチウムイオン二次電池の放電容量およびサイクル特性を良好にできるリチウムイオン二次電池用正極;放電容量およびサイクル特性が良好なリチウムイオン二次電池の提供を目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1](a)反応槽に、下記水溶液A、下記水溶液Bおよび下記種晶液Cを、それぞれ連続的または断続的に供給する工程と、(b)前記工程(a)を実施しつつ、前記反応槽に供給された下記水溶液A、下記水溶液Bおよび下記種晶液Cを含む混合液を撹拌し、NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を成長させる工程と、(c)前記工程(b)を実施しつつ、前記反応槽内の前記遷移金属含有炭酸塩化合物を含む混合液の一部を、前記反応槽から連続的または断続的に抜き出す工程とを有する、遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
水溶液A:NiイオンおよびCoイオンのいずれか一方または両方とMnイオンとを含む水溶液。
水溶液B:炭酸イオンを含む水溶液。
種晶液C:NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む炭酸塩化合物からなり、かつD50が5μm未満である種晶を含む液。
[2]前記工程(a)において、前記反応槽に、前記水溶液Aおよび前記種晶液Cを同時に供給し、かつ前記水溶液Bを、前記反応槽内の混合液のpHが7〜9の範囲内でかつ変動幅が±0.2となるように、連続的または断続的に供給する、[1]の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
[3]前記工程(b)において、前記遷移金属含有炭酸塩化合物を、D50が5〜15μmになるまで成長させる、[1]または[2]の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
[4]前記工程(b)において、前記反応槽に供給された前記水溶液A、前記水溶液Bおよび前記種晶液Cを含む混合液を、30〜50℃の範囲内でかつ変動幅を±2℃に保持しながら撹拌する、[1]〜[3]のいずれかの遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
[5]前記種晶液Cが、種晶液調製槽に、前記水溶液Aおよび前記水溶液Bをそれぞれ連続的または断続的に供給しつつ、混合液を撹拌し、前記炭酸塩化合物からなる種晶を析出させることによって得られたものである、[1]〜[4]のいずれかの遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
[6]NiCoMn(1−x−y−z)CO(ただし、xは、0.15〜0.5であり、yは、0〜0.33であり、zは、0.33〜0.85であり、x+y+zは、1以下であり、Mは、Mg、Ca、Ba、Sr、Al、Cr、Fe、Ti、Zr、Y、Nb、Mo、Ta、W、CeおよびLaからなる群から選ばれる1つ以上である。)で表され、円形度の50%累積頻度における値が、0.970以上であり、D90/D10が、2〜6である、遷移金属含有炭酸塩化合物。
[7]D50が、5〜15μmである、[6]の遷移金属含有炭酸塩化合物。
[8]リチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を製造する方法であって、(d)前記[1]〜[5]のいずれかの遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法によって得られた遷移金属含有炭酸塩化合物、または前記[6]もしくは[7]の遷移金属含有炭酸塩化合物と、リチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成してリチウム含有複合酸化物を得る工程を有する、正極活物質の製造方法。
[9]前記リチウム含有複合酸化物は、LiαNiCoMn(1−x−y−z)β(ただし、αは、1.1〜1.7であり、xは、0.15〜0.5であり、yは、0〜0.33であり、zは、0.33〜0.85であり、x+y+zは、1以下であり、βは、Li、Ni、Co、MnおよびMの原子価を満足するのに必要な酸素元素(O)のモル数である。)で表される、[8]の正極活物質の製造方法。
[10]前記[8]または[9]の正極活物質の製造方法で得られた正極活物質と、導電材と、バインダとを含む正極活物質層が正極集電体上に形成された、リチウムイオン二次電池用正極。
[11]前記[10]のリチウムイオン二次電池用正極と、負極と、非水電解質とを有する、リチウムイオン二次電池。
本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法によれば、円形度が高く、粒度分布が狭い遷移金属含有炭酸塩化合物を製造できる。
本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物は、円形度が高く、粒度分布が狭い。
本発明の正極活物質の製造方法によれば、円形度が高く、粒度分布が狭いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を製造できる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、リチウムイオン二次電池の放電容量およびサイクル特性を良好にできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、放電容量およびサイクル特性が良好である。
種晶液調製装置の一例を示す概略構成図である。 種晶液調製装置の他の例を示す概略構成図である。 種晶液調製装置の他の例を示す概略構成図である。 本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「D50」は、体積基準で求めた粒度分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積50%径である。
「D10」は、体積基準で求めた粒度分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において10%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積10%径である。
「D90」は、体積基準で求めた粒度分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において90%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積90%径である。
「粒度分布」は、レーザー散乱粒度分布測定装置(たとえば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置等)で測定した頻度分布および累積体積分布曲線から求められる。測定は、粉末を水媒体中に超音波処理等で充分に分散させて行われる。
「円形度」は、粒子の投影像の面積と等しい円の周囲長さXと、粒子の投影像の周囲長さYとの比(X/Y)であり、値は0〜1の範囲となる。円形度が1に近いほど円に近い形状である。円形度は、画像解析法を用いて算出する装置(たとえば、フロー式粒子像分析装置等)によって求められる。
「円形度の50%累積頻度における値」とは、画像中のすべての粒子について円形度を求め、横軸が円形度(0〜1)であり、縦軸が円形度の累積頻度(0〜100%)である分布曲線を作成し、該分布曲線において累積頻度が50%のときの円形度の値を読み取ることによって求める。
「比表面積」は、BET(Brunauer,Emmet,Teller)法によって測定される値である。比表面積の測定では、吸着ガスとして窒素ガスを用いる。
「Li」との表記は、特に言及しない限り当該金属単体ではなく、Li元素であることを示す。Ni、Co、Mn等の他の元素の表記も同様である。
遷移金属含有炭酸塩化合物およびリチウム含有複合酸化物の組成分析は、誘導結合プラズマ分析法(以下、ICPと記す。)によって行う。また、リチウム含有複合酸化物の元素の比率は、初回充電(活性化処理ともいう。)前のリチウム含有複合酸化物における値である。
<遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法>
本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法は、下記工程(a)、下記工程(b)および下記工程(c)を有する。
(a)反応槽に、水溶液A、水溶液Bおよび種晶液C、必要に応じて他の溶液Dを、連続的または断続的に供給する工程。
(b)前記工程(a)を実施しつつ、反応槽に供給された水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを含む混合液を撹拌し、NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を成長させる工程。
(c)前記工程(b)を実施しつつ、反応槽内の遷移金属含有炭酸塩化合物を含む混合液の一部を、反応槽から連続的または断続的に抜き出す工程。
(水溶液A)
水溶液Aは、金属イオンを含む水溶液であり、NiイオンおよびCoイオンのいずれか一方または両方とMnイオンとを含む。
水溶液Aは、必要に応じて、Mg、Ca、Ba、Sr、Al、Cr、Fe、Ti、Zr、Y、Nb、Mo、Ta、W、CeおよびLaからなる群から選ばれる1つ以上の他の金属Mのイオンを含んでいてもよい。
水溶液Aとしては、材料コストが比較的安価であり、優れた粉体特性の正極活物質が得られる点から、Niの硫酸塩およびCoの硫酸塩のいずれか一方または両方とMnの硫酸塩とを水に溶解したものが好ましい。
Niの硫酸塩としては、たとえば、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸ニッケル(II)・七水和物、硫酸ニッケル(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
Coの硫酸塩としては、たとえば、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸コバルト(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
Mnの硫酸塩としては、たとえば、硫酸マンガン(II)・五水和物、硫酸マンガン(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
水溶液AにおけるNiイオン、Coイオン、MnイオンおよびMイオンの比率は、遷移金属含有炭酸塩化合物に含まれるNi、Co、MnおよびMの比率と同じである。
水溶液Aにおける金属イオンの合計の濃度は、0.1〜3mol/kgが好ましく、0.5〜2.5mol/kgがより好ましい。金属イオンの合計の濃度が前記下限値以上であれば、生産性を高くできる。金属イオンの合計の濃度が前記上限値以下であれば、金属イオンを水に充分に溶解できる。
(水溶液B)
水溶液Bは、炭酸イオンを含む水溶液である。
水溶液Bは、遷移金属含有炭酸塩化合物の原料の一つであり、遷移金属含有炭酸塩化合物を析出させるためのpH調整剤としての役割も果たす。
水溶液Bとしては、材料コストが比較的安価であり、水溶液Bを調製しやすい点から、Naの炭酸塩およびKの炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩を水に溶解したものが好ましい。
Naの炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
Kの炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。
炭酸塩としては、安価で、かつ遷移金属含有炭酸塩化合物の粒子径を制御しやすい点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
水溶液Bにおける炭酸イオンの合計の濃度は、0.1〜3mol/kgが好ましく、0.5〜2.5mol/kgがより好ましい。炭酸イオンの合計の濃度が前記範囲内であれば、遷移金属含有炭酸塩化合物を析出させやすい。
(種晶液C)
種晶液Cは、NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む炭酸塩化合物からなり、かつD50が5μm未満である種晶を含む液である。そして、種晶液Cは、種晶が分散媒に分散されてなる。種晶の組成は、本発明の製造方法で得られる遷移金属含有炭酸塩化合物の組成と同じでもよく、異なっていてもよい。種晶の組成は、本発明の製造方法で得られる遷移金属含有炭酸塩化合物の組成と同じであることが好ましい。
種晶のD50は、5μm未満であり、1〜4μmが好ましく、1.5〜3.5μmがより好ましい。種晶のD50が5μm未満であれば、種晶の粒度分布が狭くなり、その結果、種晶が成長して得られる遷移金属含有炭酸塩化合物の粒度分布も狭くなる。さらに、種晶のD50が1μm以上であれば、工程(b)において種晶が粒子径の大きい遷移金属含有炭酸塩化合物に成長しやすい。
種晶液Cの固形分濃度は、1〜50質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましい。固形分濃度が1質量%以上であれば、遷移金属含有炭酸塩化合物の生産性を高くできる。固形分濃度が50質量%以下であれば、液として取り扱いやすい。
(他の溶液D)
他の溶液Dとしては、たとえば、アンモニアまたはアンモニウム塩を含む水溶液が挙げられる。アンモニアまたはアンモニウム塩を含む水溶液は、pHや遷移金属元素の溶解度を調整する働きをする。アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。アンモニアまたはアンモニウム塩は、水溶液Aの供給と同時に混合液に供給することが好ましい。
(溶媒)
水溶液A、水溶液B、および他の溶液Dの溶媒、ならびに種晶液Cの分散媒としては、水が好ましい。硫酸塩および炭酸塩を溶解できれば、水以外の水性媒体を溶媒の全質量に対して、20%を上限として含む混合媒体を溶媒としてもよい。
水以外の水性媒体としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。
(種晶液Cを調製する工程)
種晶液Cは、たとえば、水溶液Aおよび水溶液B、必要に応じて他の溶液Dを混合し、遷移金属イオンと炭酸イオンとを反応させ、NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む炭酸塩化合物からなる種晶を析出させることによって得ることができる。
50が5μm未満の種晶を含む種晶液Cを調製する方法としては、たとえば、下記方法(i)〜(iii)が挙げられる。いずれの方法も、成長する炭酸塩化合物の粒子を粉砕しながらD50が5μm未満の種晶を形成する方法である。
(i)超音波を照射しながら種晶液Cを調製する方法。
(ii)混合液にせん断力を加えるシャフトジェネレータを用いて混合液を撹拌しながら種晶液Cを調製する方法。
(iii)循環式超音波ホモジナイザが途中に設けられた外部循環ラインに混合液を通しながら種晶液Cを調製する方法。
図1は、方法(i)に用いられる種晶液調製装置の一例を示す概略構成図である。
種晶液調製装置1aは、バッフル付きの種晶液調製槽10と、種晶液調製槽10内の混合液を撹拌する二段傾斜パドル型の撹拌翼12付きの撹拌装置と、種晶液調製槽10に水溶液Aを供給する水溶液A供給ライン14と、種晶液調製槽10に水溶液Bを供給する水溶液B供給ライン16と、種晶液調製槽10内の混合液の一部を抜き出した後、種晶液調製槽10内に返送する混合液循環ライン20と、混合液循環ライン20の途中に設けられたポンプ22と、混合液循環ライン20の途中、かつポンプ22よりも下流側に設けられたMF膜モジュール24と、MF膜モジュール24のろ材を通過した液を排出するろ液排出ライン26と、ろ液排出ライン26の途中に設けられたポンプ28と、種晶液調製槽10を外部から加熱する湯浴30と、湯浴30に併設された超音波照射手段(図示略)と、種晶液調製槽10内の混合液を排出する混合液排出ライン(図示略)とを備える。
図2は、方法(ii)に用いられる種晶液調製装置の一例を示す概略構成図である。
種晶液調製装置1bは、バッフル付きの種晶液調製槽10と、種晶液調製槽10内の混合液を撹拌するシャフトジェネレータ32と、種晶液調製槽10に水溶液Aを供給する水溶液A供給ライン14と、種晶液調製槽10に水溶液Bを供給する水溶液B供給ライン16と、種晶液調製槽10内の混合液の一部を抜き出した後、種晶液調製槽10内に返送する混合液循環ライン20と、混合液循環ライン20の途中に設けられたポンプ22と、混合液循環ライン20の途中、かつポンプ22よりも下流側に設けられたMF膜モジュール24と、MF膜モジュール24のろ材を通過した液を排出するろ液排出ライン26と、ろ液排出ライン26の途中に設けられたポンプ28と、種晶液調製槽10を外部から加熱する湯浴30と、種晶液調製槽10内の混合液を排出する混合液排出ライン(図示略)とを備える。
図3は、方法(iii)に用いられる種晶液調製装置の一例を示す概略構成図である。
種晶液調製装置1cは、バッフル付きの種晶液調製槽10と、種晶液調製槽10内の混合液を撹拌する二段傾斜パドル型の撹拌翼12付きの撹拌装置と、種晶液調製槽10に水溶液Aを供給する水溶液A供給ライン14と、種晶液調製槽10に水溶液Bを供給する水溶液B供給ライン16と、種晶液調製槽10内の混合液の一部を抜き出した後、種晶液調製槽10内に返送する混合液循環ライン20と、混合液循環ライン20の途中に設けられたポンプ22と、混合液循環ライン20の途中、かつポンプ22よりも下流側に設けられた循環式超音波ホモジナイザ34と、混合液循環ライン20の途中、かつ循環式超音波ホモジナイザ34よりも下流側に設けられたMF膜モジュール24と、MF膜モジュール24のろ材を通過した液を排出するろ液排出ライン26と、ろ液排出ライン26の途中に設けられたポンプ28と、種晶液調製槽10内の混合液の一部をろ材を通すことなく抜き出す混合液抜出ライン36と、種晶液調製槽10を外部から加熱する湯浴30とを備える。
MF膜モジュール24は、ろ材(中空糸膜、セラミック膜等)を備え、ろ材を通過した種晶を含まない混合液の一部をろ液排出ライン26に送り、ろ材を通過しなかった種晶を含む混合液の残部(濃縮液)を下流側の混合液循環ライン20に戻すものである。
種晶液調製槽10に水溶液Aおよび水溶液Bを供給する際には、炭酸塩化合物からなる種晶が析出しやすく、かつ種晶の粒子径を制御しやすい点から、種晶液調製槽10に水溶液Aおよび水溶液Bをそれぞれ連続的または断続的に添加することが好ましく、少なくとも水溶液Aを連続的に添加することがより好ましい。
種晶液調製槽10内にて水溶液Aおよび水溶液Bを混合する際には、撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌装置の駆動源としては、たとえば、スリーワンモータ等が挙げられる。撹拌装置の撹拌翼としては、図示例のパドル型以外に、たとえば、アンカー型、プロペラ型等の撹拌翼が挙げられる。
したがって、種晶液Cとしては、種晶液調製槽10に、水溶液Aおよび水溶液Bをそれぞれ連続的または断続的に供給しつつ、種晶液調製槽10に供給された水溶液Aおよび水溶液Bを含む混合液を撹拌し、炭酸塩化合物からなる種晶を析出させることによって得られたものが好ましい。
種晶液調製槽10に水溶液Aおよび水溶液Bを供給する際には、種晶液調製槽10にあらかじめイオン交換水、純水、蒸留水等を入れておくことが好ましい。
種晶液調製槽10に水溶液Aおよび水溶液Bを供給する際には、水溶液Bや他の溶液Dを用いて種晶液調製槽10内の混合液のpHを制御することがより好ましい。
種晶液調製槽10内の混合液のpHは、炭酸塩化合物が析出しやすい点から、7〜9が好ましく、7.5〜8.5がより好ましい。
種晶液調製槽10内の混合液のpHの変動幅は、種晶の粒度分布を充分に狭くする点から、±0.2が好ましく、±0.1がより好ましい。
種晶液調製槽10内の混合液の温度は、炭酸塩化合物が析出しやすい点から、20〜70℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。
種晶液調製槽10内の混合液の温度の変動幅は、種晶の粒度分布を充分に狭くする点から、±2℃が好ましく、±1℃がより好ましい。
種晶液調製槽10内にて水溶液Aおよび水溶液Bを混合する際には、種晶の酸化を抑制する点から、窒素ガス雰囲気下またはアルゴンガス雰囲気下で混合することが好ましく、コストの面から、窒素ガス雰囲気下で混合することがより好ましい。
炭酸塩化合物からなる種晶の析出は、種晶液調製槽10内の混合液の一部をろ材を通して抜き出して混合液を濃縮しながら析出させる方法(濃縮法)であってもよく、種晶液調製槽10内の混合液の一部をろ材を用いずに種晶とともに抜き出して種晶の濃度を低く保ちながら析出させる方法(オーバーフロー法)であってもよい。
(製造装置)
図4は、本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図である。
製造装置は、種晶液調製装置1と、種晶液調製装置1にて調製された種晶液Cを貯留する種晶液貯留槽2と、種晶液貯留槽2から供給された種晶液C中の種晶を粒子径の大きい遷移金属含有炭酸塩化合物に成長させる粒子成長装置3と、種晶液調製装置1にて調製された種晶液Cを種晶液貯留槽2に移送する第1の種晶液移送ライン4と、種晶液貯留槽2にて貯留された種晶液Cを粒子成長装置3に移送する第2の種晶液移送ライン5とを備える。
種晶液調製装置1としては、上述した種晶液調製装置1a、種晶液調製装置1b、種晶液調製装置1c等が挙げられる。
粒子成長装置3は、バッフル付きの反応槽40と、反応槽40内の混合液を撹拌する二段傾斜パドル型の撹拌翼42付きの撹拌装置と、反応槽40に水溶液Aを供給する水溶液A供給ライン44と、反応槽40に水溶液Bを供給する水溶液B供給ライン46と、反応槽40に種晶液Cを供給する種晶液C供給ライン48と、反応槽40内の混合液の一部をろ材を通すことなく抜き出す混合液抜出ライン50と、混合液抜出ライン50の途中に設けられたポンプ52と、反応槽40を外部から加熱する加熱手段(図示略)とを備える。
(工程(a))
反応槽40に、水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cをそれぞれ連続的または断続的に供給する。工程(a)においては、上記液に加えて、必要に応じて他の溶液Dを連続的または断続的に供給してもよい。
反応槽40に水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを供給する際には、工程(b)において種晶が粒子径の大きい遷移金属含有炭酸塩化合物に成長しやすく、かつ遷移金属含有炭酸塩化合物の粒子径を制御しやすい点から、反応槽40に水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cをそれぞれ連続的または断続的に添加することが好ましい。中でも、水溶液Aおよび種晶液Cを連続的に添加することがより好ましい。
反応槽40に水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを供給する際には、遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度を高く、かつ粒度分布を狭くしやすい点から、反応槽40に少なくとも水溶液Aおよび種晶液Cを同時に供給することが好ましい。水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを同時に供給することがより好ましい。
反応槽40に水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを供給する際には、反応槽40にあらかじめイオン交換水、純水、蒸留水等を入れておくことが好ましい。
反応槽40に水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを供給する際には、水溶液Bや他の溶液Dを用いて反応槽40内の混合液のpHを制御することがより好ましい。
反応槽40内の混合液のpHは、工程(b)において種晶が粒子径の大きい遷移金属含有炭酸塩化合物に成長しやすい点から、7〜9の所定のpHに保持することが好ましく、7.5〜8.5の所定のpHに保持することがより好ましい。
所定のpHに保持する際の反応槽40内の混合液のpHの変動幅は、遷移金属含有炭酸塩化合物の粒度分布を充分に狭くする点から、±0.2が好ましく、±0.1がより好ましい。
水溶液Aの単位時間あたりの供給量は、生産性と、遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度や粒度分布とのバランスを考慮して、適宜設定すればよい。水溶液Aの単位時間あたりの供給量が多いほど、生産性を高くできる。水溶液Aの単位時間あたりの供給量が少ないほど、遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度を高く、かつ粒度分布を狭くしやすい。
水溶液Bの単位時間あたりの供給量は、反応槽内の混合液のpHが7〜9の範囲内でかつ変動幅が±0.2となるように、適宜設定すればよい。
種晶液Cの単位時間あたりの供給量は、遷移金属含有炭酸塩化合物の目的のD50に応じて、適宜設定すればよい。水溶液Aの単位時間あたりの供給量を基準とし、種晶液Cの単位時間あたりの供給量を増やすと、遷移金属含有炭酸塩化合物のD50が小さくなり、種晶液Cの単位時間あたりの供給量を減らすと、遷移金属含有炭酸塩化合物のD50が大きくなる。
水溶液Aの単位時間あたりの供給量および種晶液Cの単位時間あたりの供給量は、D50のばらつきを少なくする点から、目的のD50の遷移金属含有炭酸塩化合物を得る間は、一定に保つことが好ましい。水溶液Aの単位時間あたりの供給量および種晶液Cの単位時間あたりの供給量の変動幅が大きくなると、遷移金属含有炭酸塩化合物のD50にばらつきが生じる。D50の異なる別ロットの遷移金属含有炭酸塩化合物を引き続き製造する場合は、水溶液Aの単位時間あたりの供給量および種晶液Cの単位時間あたりの供給量のいずれか一方または両方を段階的に変化させてもよい。
(工程(b))
工程(a)を実施しつつ、反応槽40に供給された水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを含む混合液を撹拌し、遷移金属含有炭酸塩化合物を成長させる。遷移金属イオンと炭酸イオンとが反応し、種晶のまわりに遷移金属含有炭酸塩化合物が析出して、種晶が粒子径の大きい遷移金属含有炭酸塩化合物に成長する。遷移金属含有炭酸塩化合物は、D50が5〜15μmになるまで成長させることが好ましい。
反応槽40内にて水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを混合する際に混合液を撹拌することで、遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度を高く、かつ粒度分布を狭くできる。撹拌装置の駆動源としては、たとえば、スリーワンモータ等が挙げられる。撹拌装置の撹拌翼としては、図示例のパドル型以外に、たとえば、アンカー型、プロペラ型等の撹拌翼が挙げられる。
反応槽40内の混合液の温度は、遷移金属含有炭酸塩化合物が析出しやすい点から、20〜70℃の所定の温度に保持することが好ましく、30〜50℃の所定の温度に保持することがより好ましい。
所定の温度に保持する際の反応槽40内の混合液の温度の変動幅は、遷移金属含有炭酸塩化合物の粒度分布を充分に狭くする点から、±2℃が好ましく、±1℃がより好ましい。
反応槽40内にて水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを混合する際には、遷移金属含有炭酸塩化合物の酸化を抑制する点から、窒素ガス雰囲気下またはアルゴンガス雰囲気下で混合することが好ましく、コストの面から、窒素ガス雰囲気下で混合することがより好ましい。
遷移金属含有炭酸塩化合物は、D50が6〜14μmになるまで成長させることがより好ましく、D50が8〜11μmmになるまで成長させることがさらに好ましい。遷移金属含有炭酸塩化合物を、D50が前記範囲内になるまで成長させれば、リチウムイオン二次電池の放電容量を充分に高くできる正極活物質の前駆体として好適に使用できる。
(工程(c))
工程(b)を実施しつつ、反応槽40内の遷移金属含有炭酸塩化合物を含む混合液の一部を、ろ材に通すことなく反応槽40から連続的または断続的に抜き出す。
反応槽40内からの混合液の抜き出しは、たとえば、下記のように行う。
・混合液の単位時間あたりの抜き出し量が、各液(水溶液A、水溶液B、種晶液Cおよび他の溶液D)の単位時間あたりの供給量の合計と同じになるように、混合液を連続的または断続的に抜き出す。
・反応槽40内の混合液の量が、あらかじめ規定された閾値を超えた際に、閾値を超えた分の混合液を連続的または断続的に抜き出す。
・反応槽40からあふれ出した混合液を、そのまま排出する。
抜き出された遷移金属含有炭酸塩化合物は、ろ過または遠心分離によって混合液から分離することが好ましい。ろ過または遠心分離には、加圧ろ過機、減圧ろ過機、遠心分級機、フィルタープレス、スクリュープレス、回転型脱水機等を用いることができる。
遷移金属含有炭酸塩化合物は、不純物イオンを取り除くために、洗浄されることが好ましい。洗浄方法としては、たとえば、加圧ろ過と蒸留水への分散とを繰り返し行う方法等が挙げられる。
洗浄後に、遷移金属含有炭酸塩化合物を乾燥することが好ましい。
乾燥温度は、60〜200℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましい。乾燥温度が前記下限値以上であれば、遷移金属含有炭酸塩化合物を短時間で乾燥できる。乾燥温度が前記上限値以下であれば、遷移金属含有炭酸塩化合物の酸化を抑制できる。
乾燥時間は、1〜300時間が好ましく、5〜120時間がより好ましい。
(作用機序)
以上説明した本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法にあっては、遷移金属イオンを含む水溶液Aおよび炭酸イオンを含む水溶液Bとともに、種晶を含む種晶液Cを供給し、遷移金属イオンと炭酸イオンとを反応させて種晶のまわりに遷移金属含有炭酸塩化合物を析出させているため、新たな核(種晶)の発生を抑えつつ、供給された種晶を粒子径の大きい遷移金属含有炭酸塩化合物に成長させることができる。そのため、遷移金属含有炭酸塩化合物の粒度分布を狭くできる。
また、混合液の一部を、ろ材に通すことなく反応槽から連続的または断続的に抜き出しているため、反応槽内の混合液中の遷移金属含有炭酸塩化合物の濃度を低く保ちながら、種晶を粒子径の大きい遷移金属含有炭酸塩化合物にゆっくりと成長させることができる。そのため、遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度を高くでき、かつ粒度分布をさらに狭くできる。
(他の形態)
なお、本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法は、(a)反応槽に、水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを、それぞれ連続的または断続的に供給する工程と、(b)前記工程(a)を実施しつつ、反応槽に供給された水溶液A、水溶液Bおよび種晶液Cを含む混合液を撹拌し、NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を成長させる工程と、(c)前記工程(b)を実施しつつ、反応槽内の遷移金属含有炭酸塩化合物を含む混合液の一部を、反応槽から連続的または断続的に抜き出す工程とを有する方法であればよく、図示例の装置を用いた製造方法に限定されない。
<遷移金属含有炭酸塩化合物>
本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物は、NiCoMn(1−x−y−z)COで表され、円形度の50%累積頻度における値が、0.970以上であり、D90/D10が、2〜6である。
xは、遷移金属含有炭酸塩化合物に含まれるNiのモル比を示す。xは、0.15〜0.5であり、0.15〜0.45が好ましく、0.2〜0.4がより好ましい。xが前記範囲内であれば、リチウムイオン二次電池の放電容量および充放電効率を高くできる正極活物質を得ることができる。
yは、遷移金属含有炭酸塩化合物に含まれるCoのモル比を示す。yは、0〜0.33であり、0〜0.2が好ましく、0〜0.15がより好ましい。yが前記範囲内であれば、リチウムイオン二次電池の放電容量および充放電効率を高くできる正極活物質を得ることができる。
zは、遷移金属含有炭酸塩化合物に含まれるMnのモル比を示す。zは、0.33〜0.85であり、0.5〜0.8が好ましく、0.5〜0.7がより好ましい。zが前記範囲内であれば、リチウムイオン二次電池の放電容量および充放電効率を高くできる正極活物質を得ることができる。
x、yおよびzの合量(x+y+z)は、1を超えることはない。
遷移金属含有炭酸塩化合物は、必要に応じて他の金属元素Mを含んでいてもよい。他の金属元素Mとしては、Mg、Ca、Ba、Sr、Al、Cr、Fe、Ti、Zr、Y、Nb、Mo、Ta、W、Ce、La等が挙げられる。リチウムイオン二次電池の放電容量を高くできる正極活物質が得られやすい点から、Mg、Al、Cr、Fe、TiまたはZrが好ましい。
遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度の50%累積頻度における値は、0.970以上であり、0.972以上が好ましく、0.975以上がより好ましい。円形度の50%累積頻度における値が前記下限値以上であれば、円形度が高いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を得ることができる。その結果、正極における正極活物質の密度が高くなり、正極活物質の単位体積あたりのリチウムイオン二次電池の放電容量が充分に高くなる。遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度の50%累積頻度における値の上限値は、1である。
遷移金属含有炭酸塩化合物のD90/D10は、2〜6であり、2〜5が好ましく、2.5〜3.5がより好ましい。D90/D10が前記下限値以上であれば、遷移金属含有炭酸塩化合物の製造が容易である。D90/D10が前記上限値以下であれば、遷移金属含有炭酸塩化合物の粒度分布が狭いため、粒度分布が狭いリチウム含有複合酸化物が得られる。粒度分布が狭いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質は、粗大粒子が少ないため、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工する際の塗工性がよくなる。また、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工した後、圧延する際に粗大粒子が割れる頻度が少なくなり、リチウムイオン二次電池のサイクル特性の低下が抑えられる。
遷移金属含有炭酸塩化合物のD50は、5〜15μmが好ましく、6〜14μmがより好ましく、8〜11μmがさらに好ましい。遷移金属含有炭酸塩化合物のD50が前記範囲内であれば、リチウムイオン二次電池の放電容量を充分に高くできる正極活物質を得ることができる。
遷移金属含有炭酸塩化合物の比表面積は、50〜300m/gが好ましく、100〜250m/gがより好ましい。遷移金属含有炭酸塩化合物の比表面積が前記範囲内であれば、リチウム含有複合酸化物の比表面積を好ましい範囲に制御しやすい。なお、遷移金属含有炭酸塩化合物の比表面積は、遷移金属含有炭酸塩化合物を120℃で15時間乾燥した後に測定した値である。
遷移金属含有炭酸塩化合物のタップ密度は、1〜2g/cmが好ましく、1.2〜1.8g/cmがより好ましい。遷移金属含有炭酸塩化合物のタップ密度が前記範囲内であれば、リチウム含有複合酸化物のタップ密度を好ましい範囲に制御しやすい。
本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物は、たとえば、上述した遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法で得ることができる。
(作用機序)
以上説明した本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物にあっては、円形度の50%累積頻度における値が、0.970以上であり、D90/D10が、2〜6であるため、円形度が高く、粒度分布が狭い。また、円形度が高く、粒度分布が狭い上に、特定の組成を有するため、リチウムイオン二次電池の放電容量およびサイクル特性を良好にできる正極活物質を得ることができる。
<正極活物質の製造方法>
本発明の正極活物質の製造方法は、リチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を製造する方法であって、下記工程(d)、下記工程(e)および下記工程(f)を有する。
(d)本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法によって得られた遷移金属含有炭酸塩化合物、または本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物と、リチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成してリチウム含有複合酸化物を得る工程。
(e)必要に応じて、リチウム含有複合酸化物を洗浄する工程。
(f)必要に応じて、リチウム含有複合酸化物の表面に被覆物を形成する工程。
(工程(d))
たとえば、工程(c)で得られた遷移金属含有炭酸塩化合物と、リチウム化合物とを混合し、焼成する。これにより、リチウム含有複合酸化物が得られる。
リチウム含有複合酸化物に含まれるLi、Ni、Co、MnおよびMの比率は、遷移金属含有炭酸塩化合物とリチウム化合物との混合物に含まれるLi、Ni、Co、MnおよびMの比率と同じである。
リチウム化合物としては、炭酸リチウム、水酸化リチウムおよび硝酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、取り扱いの容易性の観点から、炭酸リチウムがより好ましい。
遷移金属含有炭酸塩化合物とリチウム化合物とを混合する方法としては、たとえば、ロッキングミキサ、ナウタミキサ、スパイラルミキサ、カッターミル、Vミキサ等を用いる方法等が挙げられる。
焼成装置としては、電気炉、連続焼成炉、ロータリーキルン等が挙げられる。
焼成時に遷移金属含有炭酸塩化合物は酸化されることから、焼成は、大気下で行うことが好ましく、空気を供給しながら行うことが特に好ましい。
空気の供給速度は、炉の内容積1Lあたりに対して10〜200mL/分が好ましく、40〜150mL/分がより好ましい。
焼成時に空気を供給することによって、遷移金属含有炭酸塩化合物中の遷移金属元素が充分に酸化され、結晶性が高く、かつ目的とする結晶相を有するリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質が得られる。
焼成は、1段焼成であってもよく、仮焼成を行った後に本焼成を行う2段焼成であってもよい。Liがリチウム含有複合酸化物中に均一に拡散しやすい点から、2段焼成が好ましい。
1段焼成の場合の焼成温度は、500〜1000℃であり、600〜1000℃が好ましく、800〜950℃が特に好ましい。
2段焼成の場合の仮焼成の温度は、400〜700℃が好ましく、500〜650℃がより好ましい。
2段焼成の場合の本焼成の温度は、700〜1000℃が好ましく、800〜950℃がより好ましい。
焼成温度が前記範囲内であれば、結晶性の高いリチウム含有複合酸化物が得られる。
焼成時間は、4〜40時間が好ましく、4〜20時間がより好ましい。
焼成時間が前記範囲内であれば、結晶性の高いリチウム含有複合酸化物が得られる。
(工程(e))
Naのような不純物を除去する目的から、リチウム含有複合酸化物を水で洗浄してもよい。
洗浄方法としては、たとえば、リチウム含有複合酸化物と水とを混合し、撹拌する方法が挙げられる。撹拌時間は、0.5〜72時間が好ましい。
リチウム含有複合酸化物を洗浄した後、ろ過によりリチウム含有複合酸化物と水とを分離し、リチウム含有複合酸化物を乾燥することが好ましい。乾燥温度は、50〜110℃が好ましい。乾燥時間は、1〜24時間が好ましい。
乾燥後のリチウム含有複合酸化物をさらに焼成してもよい。焼成温度は、200〜600℃が好ましい。焼成時間は、0.5〜12時間が好ましい。
(工程(f))
リチウム含有複合酸化物の表面に被覆物を形成する方法としては、粉体混合法、気相法、スプレーコート法、浸漬法等が挙げられる。以下、被覆物がAlの化合物である場合について説明する。
粉体混合法とは、リチウム含有複合酸化物とAlの化合物とを混合した後に加熱する方法である。気相法とは、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート等のAlを含む有機化合物を気化し、該有機化合物をリチウム含有複合酸化物の表面に接触させ、反応させる方法である。スプレーコート法とは、リチウム含有複合酸化物にAlを含む溶液を噴霧した後、加熱する方法である。
また、リチウム含有複合酸化物に、Alの化合物を形成するためのAl水溶性化合物(酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等)を溶媒に溶解させた水溶液を接触させた後、加熱して溶媒を除去することで、リチウム含有複合酸化物の表面にAlの化合物を含む被覆物を形成してもよい。
前記リチウム含有複合酸化物は、LiαNiCoMn(1−x−y−z)β(ただし、1.1≦α≦1.7、0.15≦x≦0.5、0≦y≦0.33、0.33≦z≦0.85、x+y+z=1である。βは、Li、Ni、Co、MnおよびMの原子価を満足するのに必要な酸素元素(O)のモル数である。)で表されるものが好ましい。
αは、リチウム含有複合酸化物に含まれるLiのモル比を示す。αは1.1〜1.5が好ましく、1.1〜1.45がより好ましい。αが前記下限値以上であれば、正極活物質を有するリチウムイオン二次電池の放電容量を高くできる。αが前記上限値以下であれば、リチウム含有複合酸化物の表面の遊離リチウム量を減らすことができる。遊離リチウムが多いとリチウムイオン二次電池の充放電効率やレート特性が低下するおそれや、電解液の分解が促進されて分解生成物のガス発生の要因となるおそれがある。
xは、リチウム含有複合酸化物に含まれるNiのモル比を示す。
yは、リチウム含有複合酸化物に含まれるCoのモル比を示す。
zは、リチウム含有複合酸化物に含まれるMnのモル比を示す。
x、yおよびzの範囲は、それぞれ、上述した遷移金属含有炭酸塩化合物におけるx、yおよびzの範囲と同じであり、好ましい範囲も同様である。
x、yおよびzの合量(x+y+z)は、1を超えることはない。
リチウム含有複合酸化物は、必要に応じて他の金属元素Mを含んでいてもよい。他の金属元素Mとしては、上述した遷移金属含有炭酸塩化合物に含まれるMと同じであり、好ましい金属元素も同様である。
βは、Li、Ni、Co、MnおよびMの原子価を満足するのに必要な酸素元素(O)のモル数である。
前記リチウム含有複合酸化物は、空間群C2/mの層状岩塩型結晶構造および空間群R−3mの層状岩塩型結晶構造を有する。空間群C2/mの結晶構造は、リチウム過剰相とも呼ばれる。空間群C2/mの結晶構造を有する化合物としては、Li(Li1/3Mn2/3)O等が挙げられる。空間群R−3mの結晶構造を有する化合物としては、LiMeO(ただし、Meは、Ni、Co、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素である。)等が挙げられる。リチウム含有複合酸化物がこれらの結晶構造を有することは、X線回折測定により確認できる。
上記方法で得られた正極活物質の円形度の50%累積頻度における値は、0.970以上が好ましく、0.972以上がより好ましく、0.975以上がさらに好ましい。円形度の50%累積頻度における値が前記下限値以上であれば、円形度が高いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を得ることができる。その結果、正極における正極活物質の密度が高くなり、正極活物質の単位体積あたりのリチウムイオン二次電池の放電容量が充分に高くなる。リチウム含有複合酸化物の円形度の50%累積頻度における値の上限値は、1である。
上記方法で得られた正極活物質のD90/D10は、2〜6が好ましく、2〜5がより好ましく、2.5〜3.5がさらに好ましい。D90/D10が前記下限値以上であれば、リチウム含有複合酸化物の製造が容易である。D90/D10が前記上限値以下であれば、粒度分布が狭いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を得ることができる。該正極活物質は、粗大粒子が少ないため、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工する際の塗工性がよくなる。また、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工した後、圧延する際に粗大粒子が割れる頻度が少なくなり、リチウムイオン二次電池のサイクル特性の低下が抑えられる。
上記方法で得られた正極活物質のD50は、5〜15μmが好ましく、6〜14μmがより好ましく、8〜11μmがさらに好ましい。正極活物質のD50が前記範囲内にあれば、リチウムイオン二次電池の放電容量を充分に高くできる。
上記方法で得られた正極活物質の比表面積は、0.1〜10m/gが好ましく、0.5〜7m/gがより好ましく、0.5〜5m/gが特に好ましい。正極活物質の比表面積が前記範囲内にあれば、リチウムイオン二次電池の放電容量およびサイクル特性の両方を充分に高くできる。
(作用機序)
以上説明した本発明の正極活物質の製造方法にあっては、前駆体として、円形度が高く、粒度分布が狭い遷移金属含有炭酸塩化合物を用いているため、円形度が高く、粒度分布が狭いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を製造できる。
<リチウムイオン二次電池用正極>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極(以下、本正極と記す。)は、本発明の正極活物質の製造方法で得られた正極活物質を含むものである。具体的には、正極活物質、導電材およびバインダを含む正極活物質層が、正極集電体上に形成されたものである。
導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック等)、黒鉛、気相成長カーボン繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
バインダとしては、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、不飽和結合を有する重合体または共重合体(スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等)、アクリル酸系重合体または共重合体(アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体等)等が挙げられる。
正極集電体としては、アルミニウム箔、ステンレススチール箔等が挙げられる。
本正極は、たとえば、下記の方法によって製造できる。
正極活物質、導電材およびバインダを、媒体に溶解または分散させてスラリを得る。得られたスラリを正極集電体に塗工し、乾燥等により、媒体を除去することによって、正極活物質層を形成する。必要に応じて、正極活物質層を形成した後に、ロールプレス等で圧延してもよい。これにより、本正極を得る。
または正極活物質、導電材およびバインダを、媒体と混練することによって、混練物を得る。得られた混練物を正極集電体に圧延することにより本正極を得る。
(作用機序)
以上説明した本正極にあっては、円形度が高いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を含むため、正極における正極活物質の密度が高くなり、正極活物質の単位体積あたりのリチウムイオン二次電池の放電容量が充分に高くなる。また、粒度分布が狭いリチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を含むため、粗大粒子が少なくなり、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工する際の塗工性がよくなる。また、正極活物質を含むスラリを正極集電体に塗工した後、圧延する際に粗大粒子が割れる頻度が少なくなり、リチウムイオン二次電池のサイクル特性の低下が抑えられる。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池(以下、本電池と記す。)は、本正極を有するものである。具体的には、本正極、負極、および非水電解質を含むものである。
(負極)
負極は、負極活物質を含むものである。具体的には、負極活物質、必要に応じて導電材およびバインダを含む負極活物質層が、負極集電体上に形成されたものである。
負極活物質は、比較的低い電位でリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料であればよい。負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金、リチウム化合物、炭素材料、周期表14族の金属を主体とする酸化物、周期表15族の金属を主体とする酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物等が挙げられる。
負極活物質の炭素材料としては、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等が挙げられる。
負極活物質に使用する周期表14族の金属としては、Si、Snが挙げられ、Siが好ましい。
他の負極活物質としては、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、その他の窒化物等が挙げられる。
負極の導電材、バインダとしては、正極と同様のものを用いることができる。
負極集電体としては、ニッケル箔、銅箔等の金属箔が挙げられる。
負極は、たとえば、下記の方法によって製造できる。
負極活物質、導電材およびバインダを、媒体に溶解または分散させてスラリを得る。得られたスラリを負極集電体に塗布、乾燥、プレスすること等によって媒体を除去し、負極を得る。
(非水電解質)
非水電解質としては、有機溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液;無機固体電解質;電解質塩を混合または溶解させた固体状またはゲル状の高分子電解質等が挙げられる。
有機溶媒としては、非水電解液用の有機溶媒として公知のものが挙げられる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられる。電圧安定性の点からは、環状カーボネート類(プロピレンカーボネート等)、鎖状カーボネート類(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)が好ましい。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
無機固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する材料であればよい。
無機固体電解質としては、窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。
固体状高分子電解質に用いられる高分子としては、エーテル系高分子化合物(ポリエチレンオキサイド、その架橋体等)、ポリメタクリレートエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物等が挙げられる。該高分子化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
ゲル状高分子電解質に用いられる高分子としては、フッ素系高分子化合物(ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等)、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル共重合体、エーテル系高分子化合物(ポリエチレンオキサイド、その架橋体等)等が挙げられる。共重合体に共重合させるモノマとしては、ポリプロピレンオキサイド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
該高分子化合物としては、酸化還元反応に対する安定性の点から、フッ素系高分子化合物が好ましい。
電解質塩は、リチウムイオン二次電池に用いられるものであればよい。電解質塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、CHSOLi等が挙げられる。
正極と負極の間には、短絡を防止するためにセパレータを介在させてもよい。セパレータとしては、多孔膜が挙げられる。非水電解液は該多孔膜に含浸させて用いる。また、多孔膜に非水電解液を含浸させてゲル化させたものをゲル状電解質として用いてもよい。
電池外装体の材料としては、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、樹脂材料、フィルム材料等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池の形状としては、コイン型、シート状(フィルム状)、折り畳み状、巻回型有底円筒型、ボタン型等が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
(作用機序)
以上説明した本電池にあっては、本正極を有するため、放電容量およびサイクル特性が良好である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
例2−2、例2−3および例3〜6は実施例であり、例1および例2−1は比較例である。
(粒子径)
種晶または遷移金属含有炭酸塩化合物を水中に超音波処理によって充分に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(日機装社製、MT−3300EX)により測定を行い、頻度分布および累積体積分布曲線を得ることで体積基準の粒度分布を得た。得られた累積体積分布曲線からD10、D50およびD90を求めた。
(タップ密度)
遷移金属含有炭酸塩化合物のタップ密度(単位:g/cm)は、下式から算出した。下式のVは、タップ後の試料の体積(単位:cm)であり、目盛付きの樹脂製容器(容量:20cm)に試料(遷移金属含有炭酸塩化合物)を量りとり、容器をタッピング装置(セイシン企業社製、KYT−4000K)に取り付け、700回タップを行い、容器内の試料の体積を容器の目盛で読み取った値である。下式のmは、試料の質量(単位:g)であり、樹脂性容器に加えた試料の質量である。
ρ=m/V
(比表面積)
遷移金属含有炭酸塩化合物の比表面積は、比表面積測定装置(マウンテック社製、HM model−1208)を用い、窒素吸着BET法により算出した。脱気は、200℃、20分の条件で行った。
(円形度)
遷移金属含有炭酸塩化合物の円形度比表面積は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA−3000)を用いて測定した。
測定されたすべての粒子の円形度について、横軸が円形度(0〜1)であり、縦軸が円形度の累積頻度(0〜100%)である分布曲線を作成し、該分布曲線において累積頻度が50%のときの円形度の値を読み取った。
(組成分析)
遷移金属含有炭酸塩化合物の組成分析は、プラズマ発光分析装置(SIIナノテクノロジー社製、SPS3100H)により行った。
(例1)
水溶液の調製:
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物を、Ni、CoおよびMnのモル比が表1に示す比になるように、かつNi、CoおよびMnの合計濃度が1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解して水溶液Aを調製した。
炭酸ナトリウムを1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解させ、水溶液Bを調製した。
遷移金属含有炭酸塩化合物の製造:
図4に示す粒子成長装置3を用意した。
2Lのバッフル付きガラス製反応槽40に蒸留水を1.9L入れた。遷移金属含有炭酸塩化合物の製造は、湯浴により反応槽40内の液を30±1℃に保持して行った。
反応槽40内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼42で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で25時間連続的に添加した。
反応槽40の混合液の初期のpHは8.5とし、水溶液Aの添加中は、反応槽40内のpHを8.5±0.1に保つように水溶液Bを添加し、Ni、CoおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を析出させた。
析出反応中は、析出した遷移金属含有炭酸塩化合物が酸化しないように反応槽40内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。析出方法として濃縮法を採用し、反応中に、反応槽40内の液量が2Lを超えないようにろ布を用いて連続的に遷移金属含有炭酸塩化合物を含まない液の抜き出しを行った。水溶液Aの添加開始から25時間後、反応槽40内の混合液の全量を回収した。
得られた遷移金属含有炭酸塩化合物から不純物イオンを取り除くため、加圧ろ過と蒸留水への分散とを繰り返して遷移金属含有炭酸塩化合物の洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が50mS/m未満となった時点で洗浄を終了し、遷移金属含有炭酸塩化合物を120℃で15時間乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
(例2)
水溶液の調製:
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物を、Ni、CoおよびMnのモル比が表1に示す比になるように、かつNi、CoおよびMnの合計濃度が1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解して水溶液Aを調製した。
炭酸ナトリウムを1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解させ、水溶液Bを調製した。
種晶液の調製:
図1に示す種晶液調製装置1aを用意した。
2Lのバッフル付きガラス製種晶液調製槽10に蒸留水を1.9L入れた。種晶液の製造は、湯浴により種晶液調製槽10内の液を30±1℃に保持して行った。
種晶液調製槽10内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼12で撹拌しながら、かつ種晶液調製槽10に超音波を照射しながら、水溶液Aを5g/分で14時間連続的に添加した。
種晶液調製槽10の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aの添加中は、種晶液調製槽10内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、Ni、CoおよびMnを含む炭酸塩化合物(種晶)を析出させた。
析出反応中は、析出した種晶が酸化しないように種晶液調製槽10内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。析出方法として濃縮法を採用し、反応中に、種晶液調製槽10内の混合液の一部を混合液循環ライン20に循環させ、種晶液調製槽10内の液量が2Lを超えないようにMF膜モジュール24を用いて連続的に種晶を含まない液の抜き出しを行った。水溶液Aの添加開始から14時間後、種晶液調製槽10内の混合液の全量を回収し、種晶液Cを得た。得られた種晶液Cの上記結果および固形分濃度を表1に示す。
例2−1:
図4に示す粒子成長装置3を用意した。
2Lのバッフル付きガラス製反応槽40に蒸留水を1.9L入れた。遷移金属含有炭酸塩化合物の製造は、湯浴により反応槽40内の液を30±1℃に保持して行った。
反応槽40内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼42で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で20時間連続的に添加した。
反応槽40の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、Ni、CoおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を析出させた。
析出反応中は、析出した遷移金属含有炭酸塩化合物が酸化しないように反応槽40内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。析出方法としてオーバーフロー法を採用し、反応中に、反応槽内の液量が2Lを超えないように混合液抜出ライン50から混合液を抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始から6〜20時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
例2−2:
例2−1の水溶液Aの最初の添加開始の40時間後から、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを5g/時間で21時間連続的に添加した。
水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、Ni、CoおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
水溶液Aの最初の添加開始から55〜64時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
例2−3:
例2−2の後で、例2−1の水溶液Aの最初の添加開始の61時間後から、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを15g/時間で21時間連続的に添加した。
水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、Ni、CoおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
水溶液Aの最初の添加開始から70〜82時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
(例3)
水溶液の調製:
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物を、NiおよびMnのモル比が表1に示す比になるように、かつNiおよびMnの合計濃度が1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解して水溶液Aを調製した。
炭酸ナトリウムを1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解させ、水溶液Bを調製した。
種晶液の調製:
図2に示す種晶液調製装置1bを用意した。
2Lのバッフル付きガラス製種晶液調製槽10に蒸留水を1.9L入れた。種晶液の製造は、湯浴により種晶液調製槽10内の液を30±1℃に保持して行った。
種晶液調製槽10内の溶液を、シャフトジェネレータ32を用いて7500rpmで撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で22時間連続的に添加した。
種晶液調製槽10の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aの添加中は、種晶液調製槽10内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、NiおよびMnを含む炭酸塩化合物(種晶)を析出させた。
析出反応中は、析出した種晶が酸化しないように種晶液調製槽10内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。析出方法として濃縮法を採用し、反応中に、種晶液調製槽10内の混合液の一部を混合液循環ライン20に循環させ、種晶液調製槽10内の液量が2Lを超えないようにMF膜モジュール24を用いて連続的に種晶を含まない液の抜き出しを行った。水溶液Aの最初の添加開始から14時間後、種晶液調製槽10内の混合液の1191.4gを混合液排出ラインから抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始の22時間後から、シャフトジェネレータ32の回転数を5000rpmに変更し、引き続き、水溶液Aを5g/分で26時間連続的に添加した。
水溶液Aの添加中は、種晶液調製槽10内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、NiおよびMnを含む炭酸塩化合物(種晶)を析出させた。
反応中に、種晶液調製槽10内の混合液の一部を混合液循環ライン20に循環させ、種晶液調製槽10内の液量が2Lを超えないようにMF膜モジュール24を用いて連続的に種晶を含まない液の抜き出しを行った。水溶液Aの最初の添加開始から34時間後、種晶液調製槽10内の混合液の1997.4gを混合液排出ラインから抜き出した。さらに、水溶液Aの最初の添加開始から48時間後、種晶液調製槽10内の混合液の全量を回収し、水溶液Aの最初の添加開始から48時間後のものを種晶液Cとした。得られた種晶液Cの上記結果および固形分濃度を表1に示す。
例3−1:
図4に示す粒子成長装置3を用意した。
2Lのバッフル付きガラス製反応槽40に蒸留水を1.9L入れた。遷移金属含有炭酸塩化合物の製造は、湯浴により反応槽40内の液を30±1℃に保持して行った。
反応槽40内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼42で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを5g/時間で44時間連続的に添加した。
反応槽40の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、NiおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
析出反応中は、析出した遷移金属含有炭酸塩化合物が酸化しないように反応槽40内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。析出方法としてオーバーフロー法を採用し、反応中に、反応槽内の液量が2Lを超えないように混合液抜出ライン50から混合液を抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始から27〜45時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
例3−2:
例3−1の水溶液Aの最初の添加開始の44時間後から、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを15g/時間で43時間連続的に添加した。
水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、NiおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
水溶液Aの最初の添加開始から66〜87時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
例3−3:
例3−2の後で、例3−1の水溶液Aの最初の添加開始の87時間後から、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを25g/時間で30時間連続的に添加した。
水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、NiおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
水溶液Aの最初の添加開始から99〜117時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物および反応槽40内の遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
(例4)
水溶液の調製:
例3と同様にして水溶液Aおよび水溶液Bを調製した。
種晶液の調製:
図3に示す種晶液調製装置1cを用意した。
2Lのバッフル付きガラス製種晶液調製槽10に蒸留水を1.9L入れた。種晶液の製造は、湯浴により種晶液調製槽10内の液を30±1℃に保持して行った。
種晶液調製槽10内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼12で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で69時間連続的に添加した。
種晶液調製槽10の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aの添加中は、種晶液調製槽10内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、NiおよびMnを含む炭酸塩化合物(種晶)を析出させた。
析出反応中は、析出した種晶が酸化しないように種晶液調製槽10内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。反応中に、種晶液調製槽10内の混合液の一部を混合液循環ライン20に循環させ、循環式超音波ホモジナイザ34で処理した。ポンプ28は作動させず、混合液循環ライン20を循環している混合液からの液の抜き出しは行わなかった。析出方法としてオーバーフロー法を採用し、反応中に、種晶液調製槽10の液量が2Lを超えないように混合液抜出ライン36から混合液を抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始から39〜69時間の間にオーバーフローした混合液を回収し、種晶液Cを得た。得られた種晶液Cの上記結果および固形分濃度を表1に示す。
遷移金属含有炭酸塩化合物の製造:
図4に示す粒子成長装置3を用意した。
2Lのバッフル付きガラス製反応槽40に蒸留水を1.9L入れた。遷移金属含有炭酸塩化合物の製造は、湯浴により反応槽40内の液を30±1℃に保持して行った。
反応槽40内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼42で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを66g/時間で42時間連続的に添加した。
反応槽40の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、NiおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
析出反応中は、析出した遷移金属含有炭酸塩化合物が酸化しないように反応槽40内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。また、析出方法としてオーバーフロー法を採用し、反応中に、反応槽内の液量が2Lを超えないように混合液抜出ライン50から混合液を抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始から21〜42時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
(例5)
水溶液の調製:
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物を、NiおよびMnのモル比が表1に示す比になるように、かつNiおよびMnの合計濃度が1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解して水溶液Aを調製した。
炭酸ナトリウムを1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解させ、水溶液Bを調製した。
種晶液の調製:
図3に示す種晶液調製装置1cを用意した。
2Lのバッフル付きガラス製種晶液調製槽10に蒸留水を1.9L入れた。種晶液の製造は、湯浴により種晶液調製槽10内の液を30±1℃に保持して行った。
種晶液調製槽10内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼12で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で69時間連続的に添加した。
種晶液調製槽10の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aの添加中は、種晶液調製槽10内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、NiおよびMnを含む炭酸塩化合物(種晶)を析出させた。
析出反応中は、析出した種晶が酸化しないように種晶液調製槽10内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。反応中に、種晶液調製槽10内の混合液の一部を混合液循環ライン20に循環させ、循環式超音波ホモジナイザ34で処理した。ポンプ28は作動させず、混合液循環ライン20を循環している混合液からの液の抜き出しは行わなかった。析出方法としてオーバーフロー法を採用し、反応中に、種晶液調製槽10の液量が2Lを超えないように混合液抜出ライン36から混合液を抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始から39〜69時間の間にオーバーフローした混合液を回収し、種晶液Cを得た。得られた種晶液Cの上記結果および固形分濃度を表1に示す。
例5−1:
図4に示す粒子成長装置3を用意した。
2Lのバッフル付きガラス製反応槽40に蒸留水を1.9L入れた。遷移金属含有炭酸塩化合物の製造は、湯浴により反応槽40内の液を50±1℃に保持して行った。
反応槽40内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼42で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを30g/時間で92時間連続的に添加した。
反応槽40の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、NiおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
析出反応中は、析出した遷移金属含有炭酸塩化合物が酸化しないように反応槽40内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。また、析出方法としてオーバーフロー法を採用し、反応中に、反応槽内の液量が2Lを超えないように混合液抜出ライン50から混合液を抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始から21〜36時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
例5−2:
例5−1において、水溶液Aの最初の添加開始から63〜75時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
例5−3:
例5−1において、水溶液Aの最初の添加開始から75〜92時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物および反応槽40内の遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
(例6)
水溶液、種晶液の調製:
例3と同様にして水溶液Aおよび水溶液Bを調製した。
例4と同様にして種晶液Cを調製した。
例6−1:
図4に示す粒子成長装置3を用意した。
2Lのバッフル付きガラス製反応槽40に蒸留水を1.9L入れた。遷移金属含有炭酸塩化合物の製造は、湯浴により反応槽40内の液を50±1℃に保持して行った。
反応槽40内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼42で撹拌しながら、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを66g/時間で36時間連続的に添加した。
反応槽40の混合液の初期のpHは8.0とし、水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、NiおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
析出反応中は、析出した遷移金属含有炭酸塩化合物が酸化しないように反応槽40内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。また、析出方法としてオーバーフロー法を採用し、反応中に、反応槽内の液量が2Lを超えないように混合液抜出ライン50から混合液を抜き出した。
水溶液Aの最初の添加開始から21〜36時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
例6−2:
例6−1の水溶液Aの最初の添加開始の36時間後から、水溶液Aを5g/分で、かつ種晶液Cを2倍に希釈したものを66g/時間で30時間連続的に添加した。
水溶液Aおよび種晶液Cの添加中は、反応槽40内のpHを8.0±0.1に保つように水溶液Bを添加し、種晶を成長させて、Ni、CoおよびMnを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を形成した。
水溶液Aの最初の添加開始から45〜66時間の間にオーバーフローした遷移金属含有炭酸塩化合物および反応槽40内の遷移金属含有炭酸塩化合物を回収した。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物を例1と同様にして洗浄し、乾燥させた。得られた遷移金属含有炭酸塩化合物の上記評価の結果を表2に示す。
Figure 2016153347
Figure 2016153347
本発明の製造方法で得られた例2−2〜例6の遷移金属含有炭酸塩化合物は、円形度が高く、粒度分布が狭かった。
従来の濃縮法で得られた例1の遷移金属含有炭酸塩化合物は、粒度分布が狭かったものの、円形度が低かった。
従来のオーバーフロー法で得られた例2−1の遷移金属含有炭酸塩化合物は、粒度分布が広く、円形度が低かった。
本発明の遷移金属含有炭酸塩化合物によれば、リチウムイオン二次電池の放電容量およびサイクル特性を良好にできる正極活物質を得ることができる。
1 種晶液調製装置、1a 種晶液調製装置、1b 種晶液調製装置、1c 種晶液調製装置、2 種晶液貯留槽、3 粒子成長装置、4 第1の種晶液移送ライン、5 第2の種晶液移送ライン、10 種晶液調製槽、12 撹拌翼、14 水溶液A供給ライン、16 水溶液B供給ライン、20 混合液循環ライン、22 ポンプ、24 MF膜モジュール、26 ろ液排出ライン、28 ポンプ、30 湯浴、32 シャフトジェネレータ、34 循環式超音波ホモジナイザ、36 混合液抜出ライン、40 反応槽、42 撹拌翼、44 水溶液A供給ライン、46 水溶液B供給ライン、48 種晶液C供給ライン、50 混合液抜出ライン、52 ポンプ、A 水溶液、B 水溶液、C 種晶液

Claims (11)

  1. (a)反応槽に、下記水溶液A、下記水溶液Bおよび下記種晶液Cを、それぞれ連続的または断続的に供給する工程と、
    (b)前記工程(a)を実施しつつ、前記反応槽に供給された下記水溶液A、下記水溶液Bおよび下記種晶液Cを含む混合液を撹拌し、NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む遷移金属含有炭酸塩化合物を成長させる工程と、
    (c)前記工程(b)を実施しつつ、前記反応槽内の前記遷移金属含有炭酸塩化合物を含む混合液の一部を、前記反応槽から連続的または断続的に抜き出す工程と
    を有する、遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
    水溶液A:NiイオンおよびCoイオンのいずれか一方または両方とMnイオンとを含む水溶液。
    水溶液B:炭酸イオンを含む水溶液。
    種晶液C:NiおよびCoのいずれか一方または両方とMnとを含む炭酸塩化合物からなり、かつD50が5μm未満である種晶を含む液。
  2. 前記工程(a)において、前記反応槽に、前記水溶液Aおよび前記種晶液Cを同時に供給し、かつ前記水溶液Bを、前記反応槽内の混合液のpHが7〜9の範囲内でかつ変動幅が±0.2となるように、連続的または断続的に供給する、請求項1に記載の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
  3. 前記工程(b)において、前記遷移金属含有炭酸塩化合物を、D50が5〜15μmになるまで成長させる、請求項1または2に記載の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
  4. 前記工程(b)において、前記反応槽に供給された前記水溶液A、前記水溶液Bおよび前記種晶液Cを含む混合液を、30〜50℃の範囲内でかつ変動幅を±2℃に保持しながら撹拌する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
  5. 前記種晶液Cが、種晶液調製槽に、前記水溶液Aおよび前記水溶液Bをそれぞれ連続的または断続的に供給しつつ、混合液を撹拌し、前記炭酸塩化合物からなる種晶を析出させることによって得られたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法。
  6. NiCoMn(1−x−y−z)CO(ただし、xは、0.15〜0.5であり、yは、0〜0.33であり、zは、0.33〜0.85であり、x+y+zは、1以下であり、Mは、Mg、Ca、Ba、Sr、Al、Cr、Fe、Ti、Zr、Y、Nb、Mo、Ta、W、CeおよびLaからなる群から選ばれる1つ以上である。)で表され、
    円形度の50%累積頻度における値が、0.970以上であり、
    90/D10が、2〜6である、遷移金属含有炭酸塩化合物。
  7. 50が、5〜15μmである、請求項6に記載の遷移金属含有炭酸塩化合物。
  8. リチウム含有複合酸化物を含む正極活物質を製造する方法であって、
    (d)請求項1〜5のいずれか一項に記載の遷移金属含有炭酸塩化合物の製造方法によって得られた遷移金属含有炭酸塩化合物、または請求項6もしくは7に記載の遷移金属含有炭酸塩化合物と、リチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成してリチウム含有複合酸化物を得る工程
    を有する、正極活物質の製造方法。
  9. 前記リチウム含有複合酸化物は、LiαNiCoMn(1−x−y−z)β(ただし、αは、1.1〜1.7であり、xは、0.15〜0.5であり、yは、0〜0.33であり、zは、0.33〜0.85であり、x+y+zは、1以下であり、βは、Li、Ni、Co、MnおよびMの原子価を満足するのに必要な酸素元素(O)のモル数である。)で表される、請求項8に記載の正極活物質の製造方法。
  10. 請求項8または9に記載の正極活物質の製造方法で得られた正極活物質と、導電材と、バインダとを含む正極活物質層が正極集電体上に形成された、リチウムイオン二次電池用正極。
  11. 請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用正極と、負極と、非水電解質とを有する、リチウムイオン二次電池。
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