JP2016153178A - 制御装置およびコンピュータプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】濃度ムラを起こすことなく、搬送量のばらつきに起因するバンディングを抑制する。
【解決手段】制御装置は、第1の搬送状態での搬送処理と、第1の個数のノズルを用いるパス処理と、を含む第1の印刷処理と、第1の搬送状態より搬送精度が低い第2の搬送状態での搬送処理と、第1の個数より少ない第2の個数のノズルを用いるパス処理と、を含む第2の印刷処理と、第1の印刷処理と第2の印刷処理との間に、搬送処理と、第2の個数以上で第1の個数より少ない個数のノズルを用いるパス処理と、を含む第1の中間印刷処理と、を印刷実行部に実行させる。第1の中間印刷処理は、第1の勾配が第1の印刷処理より大きく、かつ、第2の勾配が第1の印刷処理と同じである勾配付記録率を用いる第1パス処理と、前第1の勾配が第2の印刷処理と同じであり、かつ、第2の勾配が第1の印刷処理より大きな勾配付記録率を用いる第2パス処理と、を含む。
【選択図】 図12

Description

本明細書は、用紙を搬送する搬送機構と、搬送方向に沿って並ぶ複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、を備える印刷実行部に印刷を実行させる制御に関する。
搬送機構によって搬送される用紙上に、複数個のノズルからインクを吐出して、印刷を行うプリンタが知られている。このようなプリンタでは、用紙の搬送量のばらつきに起因して、印刷画像にバンディングと呼ばれる不具合が発生する場合がある。
特許文献1には、印刷に用いられる各ノズルの搬送方向の位置に応じて、各ノズルのドットの記録率を変更する技術が開示されている。この技術では、搬送方向の位置が中央近傍のノズルの記録率が最大とされ、搬送方向の位置が両端に近いノズルほど記録率が低くされている。また、用紙の端部を印刷する際に用いられるノズル数が、用紙の中央部を印刷する際に用いられるノズル数より少なくされている。これによって、印刷画像にバンディングが発生する不具合が抑制される。
特開2007−185941号公報
しかしながら、上記技術では、用いられるノズル数が少ない端部への印刷と、用いられるノズル数が多い中央部への印刷と、の間の移行時の印刷をどのように行うかについて、十分な工夫がなされているとは言えなかった。このために、この移行時に印される領域に濃度のムラが発生する可能性があった。
本明細書は、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる技術を開示する。
本明細書に開示された技術は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]用紙を搬送方向に搬送するための搬送機構と、前記搬送方向に沿って並ぶ複数個のノズルであって、インクを吐出してドットを形成するための前記複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを主走査方向に移動させる主走査を実行するための主走査機構と、を備え、前記主走査を行いつつ用紙上に前記ドットを形成するパス処理によって印刷を行う印刷実行部に、用紙上の部分領域を複数回の前記パス処理を用いて印刷するマルチパス印刷を実行させる印刷制御装置であって、
前記搬送機構を用いて第1の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、第1の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の印刷処理部と、
前記第1の印刷処理より後に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第2の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第2の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第2の印刷処理部と、
前記第1の印刷処理と前記第2の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第2の個数以上で前記第1の個数より少ない個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の中間印刷処理部と、
を備え、
前記パス処理にて用いられる各ノズルのドットの記録率は、前記印刷ヘッドにおける各ノズルの前記搬送方向の位置に応じて、記録率が最大となる最大位置から前記搬送方向の上流に向かって第1の勾配で小さくなり、前記最大位置から前記搬送方向の下流に向かって第2の勾配で小さくなる勾配付記録率であり、
前記第1の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理より大きく、かつ、前記第2の勾配が前記第1の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第1パス処理と、前記第1パス処理の後に実行される第2パス処理であって、前記第1の勾配が前記第2の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第1の印刷処理より大きな前記勾配付記録率を用いる前記第2パス処理と、を含む、印刷制御装置。
上記構成によれば、パス処理にて勾配付記録率が用いられる。この結果、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制することができる。さらに、第1の印刷処理と第2の印刷処理との間に実行される第1の中間印刷処理にパス処理は、第1の勾配が第1の印刷処理より大きく、かつ、第2の勾配が第1の印刷処理と同じである勾配付記録率を用いる第1パス処理と、第1パス処理の後に実行される第2パス処理であって、第1の勾配が前記第2の印刷処理と同じであり、かつ、第2の勾配が第1パス処理より大きな勾配付記録率を用いる第2パス処理と、を含む。この結果、用いられるノズル数が比較的多い第1の印刷処理から、用いられるノズル数が比較的少ない第2の印刷処理への移行時に、全体のドット記録率のばらつきを抑制することができる。したがって、移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。以上のように、上記構成によれば、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
[適用例2]適用例1に記載の印刷制御装置であって、
前記搬送機構は、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の上流側で用紙を保持する第1の保持部と、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流側で用紙を保持する第2の保持部と、を備え、
前記第1の搬送状態は、前記第1の保持部と前記第2の保持部とによって用紙が保持される状態であり、
前記第2の搬送状態は、前記第1の保持部によって用紙が保持されず、前記第2の保持部によって用紙が保持される状態である、印刷制御装置。
上記構成によれば、第1の保持部と第2の保持部とによって用紙が保持された状態から、第1の保持部によって用紙が保持されず、第2の保持部によって用紙が保持された状態への移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例3]適用例1または2に記載の印刷制御装置であって、さらに、
前記第1の印刷処理より前に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第3の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第3の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第3の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第3の印刷処理部と、
前記第3の印刷処理と前記第1の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第3の個数より多く前記第1の個数以下である個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の中間印刷処理を実行する第2の中間印刷処理部と、
を備え、
前記第2の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第3の印刷処理より小さく、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第3パス処理と、前記第3パス処理の後に実行される第4パス処理であって、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理より小さな前記勾配付記録率を用いる前記第4パス処理と、を含む、印刷制御装置。
上記構成によれば、第3の印刷処理と第1の印刷処理との間に実行される第2の中間印刷処理は、第1の勾配が第3の印刷処理より小さく、かつ、第2の勾配が第3の印刷処理と同じである勾配付記録率を用いる第3パス処理と、第3パス処理の後に実行される第4パス処理であって、第1の勾配が第3パス処理と同じであり、かつ、第2の勾配が第3パス処理より小さな勾配付記録率を用いる第4パス処理と、を含む。この結果、用いられるノズル数が比較的少ない第3の印刷処理から、用いられるノズル数が比較的多い第1の印刷処理への移行時に、全体のドット記録率がばらつきことを抑制することができる。したがって、移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例4]適用例3に記載の印刷制御装置であって、
前記搬送機構は、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の上流側で用紙を保持する第1の保持部と、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流側で用紙を保持する第2の保持部と、を備え、
前記第1の搬送状態は、前記第1の保持部と前記第2の保持部とによって用紙が保持される状態であり、
前記第3の搬送状態は、前記第1の保持部によって用紙が保持され、前記第2の保持部によって用紙が保持されない状態である、印刷制御装置。
上記構成によれば、第1の保持部と第2の保持部とによって用紙が保持された状態から、第1の保持部によって用紙が保持されず、第2の保持部によって用紙が保持された状態への移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例5]適用例1〜4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第1の中間印刷処理は、n回(nは2以上の整数)の前記第1パス処理と、n回の前記第1パス処理の後に実行されるn回の前記第2パス処理を含み、
n回の前記第1パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第1の勾配は、順次に大きくなり、
n回の前記第2パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第2の勾配は、順次に大きくなる、印刷制御装置。
[適用例6]適用例5に記載の印刷制御装置であって、
前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(2×n)回の前記パス処理を用いて印刷する印刷である、印刷制御装置。
上記構成によれば、(2×n)回のパス処理を用いて印刷するマルチパス印刷において、移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例7]適用例1〜4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(3×n)回(nは1以上の整数)の前記パス処理を用いて印刷する印刷であり、
前記勾配付記録率は、前記第1の勾配を有する上流側のノズルと前記第2の勾配を有する下流側のノズルとの間の複数個のノズルに対する記録率が、前記搬送方向の位置に拘わらずに最大の均一部を含み、
前記第1の中間印刷処理は、n回の前記第1パス処理と、n回の前記第1パス処理の後に実行されるn回の前記第2パス処理と、n回の前記第1パス処理とn回の前記第2パス処理との間に実行されるn回の第5パス処理であって、前記第1の勾配と前記第2の勾配とがn回目の前記第1パス処理と同じであり、前記均一部の前記搬送方向の長さがn回目の前記第1パス処理より小さい前記勾配付記録率を用いる前記第5パス処理と、を含む、印刷制御装置。
上記構成によれば、(3×n)回のパス処理を用いて印刷するマルチパス印刷において、移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例8]適用例5〜7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
n回の前記第1パス処理と、n回の前記第2パス処理と、を含む前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理にて、ドットの形成に用いられるノズルの個数は、順次に等量ずつ減少する、印刷制御装置。
上記構成によれば、移行時に印刷される領域の濃度のムラを適切に低減することができる。
[適用例9]適用例1〜8のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記印刷実行部は、前記印刷ヘッドのノズルが形成されたノズル形成面のうち、第1のノズルが形成された部分に対向し、用紙を支持する用紙支持部と、前記ノズル形成面のうち、前記第1のノズルより下流側の第2のノズルが形成された部分に対向し、用紙支持部より前記ノズル形成面から離れた非用紙支持部と、を備え、
前記第1の印刷処理で用いられる前記第1の個数のノズルは、前記第1のノズルと前記第2のノズルとを含み、
前記第2の印刷処理で用いられる前記第2の個数のノズルは、前記第1のノズルを含まず、前記第2のノズルを含み、
前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理では、上流端の位置が順次に下流側に変更されることによって、ドットの形成に用いられるノズルの個数が順次に減少する、印刷制御装置。
上記構成によれば、用紙の搬送方向の上流端を、第2の印刷処理によって印刷する際に、用紙支持部にインクが付着することを抑制できる。
[適用例10]適用例1〜8のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記印刷実行部は、前記印刷ヘッドのノズルが形成されたノズル形成面のうち、第1のノズルが形成された部分に対向し、用紙を支持する用紙支持部と、前記ノズル形成面のうち、前記第1のノズルより上流側の第3のノズルが形成された部分に対向し、用紙支持部より前記ノズル形成面から離れた非用紙支持部と、を備え、
前記第1の印刷処理で用いられる前記第1の個数のノズルは、前記第1のノズルと前記第3のノズルとを含み、
前記第2の印刷処理で用いられる前記第2の個数のノズルは、前記第1のノズルを含まず、前記第3のノズルを含み、
前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理では、下流端の位置が順次に上流側に変更されることによって、ドットの形成に用いられるノズルの個数が順次に減少する、印刷制御装置。
上記構成によれば、用紙の搬送方向の上流端を、第2の印刷処理によって印刷する際に、用紙支持部にインクが付着することを抑制できる。
[適用例11]適用例1〜10のいずれかに記載の印刷制御装置であって、さらに、
前記印刷ヘッドの複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する基本ドット形成情報に基づき、前記第1の印刷処理にてドットの形成に用いる前記第1の個数のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第1のドット形成情報を取得する取得部と、
前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第1の中間印刷処理にてドットの形成に用いる複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第2のドット形成情報を生成する生成部と、
を備え、
前記第1の印刷処理部は、前記第1のドット形成情報を用いて、前記第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させ、
前記第1の中間印刷処理部は、前記第2のドット形成情報を用いて、前記第1の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる、印刷制御装置。
[適用例12]適用例11に記載の印刷制御装置であって、
前記取得部は、前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第1のドット形成情報を生成することによって、前記第1のドット形成情報を取得する、印刷制御装置。
上記構成によれば、基本ドット形成情報に基づき、各印刷処理用のドット形成情報が取得される。すなわち、基本ドット形成情報を記憶するだけで、適切なドット形成情報を生成することができる。例えば、第1のドット形成情報が基本ドット形成情報であれば、第1のドット形成情報を記憶するだけで、適切な第2のドット形成情報を生成することができる。さらに、第2のドット形成情報のほうが第1のドット形成情報より用いられるノズル数が少ないため、適切な第2のドット形成情報を生成することができる。第1のドット形成情報が基本ドット形成情報と異なれば、基本ドット形成情報を用いて、第1のドット形成情報と第2のドット形成情報を適切に生成することができる。
[適用例13]用紙を搬送方向に搬送するための搬送機構と、前記搬送方向に沿って並ぶ複数個のノズルであって、インクを吐出してドットを形成するための前記複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを主走査方向に移動させる主走査を実行するための主走査機構と、を備え、前記主走査を行いつつ用紙上に前記ドットを形成するパス処理によって印刷を行う印刷実行部に、用紙上の部分領域を複数回の前記パス処理を用いて印刷するマルチパス印刷を実行させる印刷制御装置であって、
前記搬送機構を用いて第1の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、第1の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の印刷処理部と、
前記第1の印刷処理より前に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第3の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第3の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第3の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第3の印刷処理部と、
前記第3の印刷処理と前記第1の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第3の個数より多く前記第1の個数以下である個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる中間印刷処理部と、
を備え、
前記パス処理にてドットの形成に用いられる各ノズルのドットの記録率は、前記印刷ヘッドにおける各ノズルの前記搬送方向の位置に応じて、記録率が最大となる最大位置から前記搬送方向の上流に向かって第1の勾配で小さくなり、前記最大位置から前記搬送方向の下流に向かって第2の勾配で小さくなる勾配付記録率であり、
前記第2の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第3の印刷処理より小さく、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第3パス処理と、前記第3パス処理の後に実行される第4パス処理であって、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理より小さな前記勾配付記録率を用いる前記第4パス処理と、を含む、印刷制御装置。
上記構成によれば、パス処理にて勾配付記録率が用いられる。この結果、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制することができる。さらに、第3の印刷処理と第1の印刷処理との間に実行される第2の中間印刷処理は、第1の勾配が第3の印刷処理より小さく、かつ、第2の勾配が第3の印刷処理と同じである勾配付記録率を用いる第3パス処理と、第3パス処理の後に実行される第4パス処理であって、第1の勾配が第3パス処理と同じであり、かつ、第2の勾配が第3パス処理より小さな勾配付記録率を用いる第4パス処理と、を含む。この結果、用いられるノズル数が比較的少ない第3の印刷処理から、用いられるノズル数が比較的多い第1の印刷処理への移行時に、全体のドット記録率がばらつきことを抑制することができる。したがって、移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。以上のように、上記構成によれば、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
[適用例14]適用例13に記載の印刷制御装置であって、さらに、
前記搬送機構は、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の上流側で用紙を保持する第1の保持部と、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流側で用紙を保持する第2の保持部と、を備え、
前記第1の搬送状態は、前記第1の保持部と前記第2の保持部とによって用紙が保持される状態であり、
前記第3の搬送状態は、前記第1の保持部によって用紙が保持され、前記第2の保持部によって用紙が保持されない状態である、印刷制御装置。
上記構成によれば、第1の保持部と第2の保持部とによって用紙が保持された状態から、第1の保持部によって用紙が保持されず、第2の保持部によって用紙が保持された状態への移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例15]適用例13または14に記載の印刷制御装置であって、
前記第2の中間印刷処理は、k回(kは2以上の整数)の前記第3パス処理と、k回の前記第3パス処理の後に実行されるk回の前記第4パス処理と、を含み、
k回の前記第3パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第1の勾配は、順次に小さくなり、
k回の前記第4パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第2の勾配は、順次に小さくなる、印刷制御装置。
[適用例16]適用例15に記載の印刷制御装置であって、
前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(2×k)回の前記パス処理を用いて印刷する印刷である、印刷制御装置。
上記構成によれば、(2×k)回のパス処理を用いて印刷するマルチパス印刷において、移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例17]適用例13または14に記載の印刷制御装置であって、
前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(3×k)回(kは1以上の整数)の前記パス処理を用いて印刷する印刷であり、
前記勾配付記録率は、前記第1の勾配を有する上流側のノズルと前記第2の勾配を有する下流側のノズルとの間の複数個のノズルに対する記録率が、前記搬送方向の位置に拘わらずに最大の均一部を含み、
前記第2の中間印刷処理は、k回の前記第3パス処理と、k回の前記第3パス処理の後に実行されるk回の前記第4パス処理と、k回の前記第3パス処理とk回の前記第4パス処理との間に実行されるk回の第6パス処理であって、前記第1の勾配と前記第2の勾配とがk回目の前記第4パス処理と同じであり、前記均一部の前記搬送方向の長さがk回目の前記第3パス処理より長い前記勾配付記録率を用いる前記第6パス処理と、を含む、印刷制御装置。
上記構成によれば、(3×k)回のパス処理を用いて印刷するマルチパス印刷において、移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
[適用例18]適用例15〜17のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
k回の前記第3パス処理と、k回の前記第4パス処理と、を含む前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理にて、ドットの形成に用いられるノズルの個数は、順次に等量ずつ増加する、印刷制御装置。
上記構成によれば、移行時に印刷される領域の濃度のムラを適切に低減することができる。
[適用例19]適用例13〜18のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記印刷実行部は、前記印刷ヘッドのノズルが形成されたノズル形成面のうち、第4のノズルが形成された部分に対向し、用紙を支持する用紙支持部と、前記ノズル形成面のうち、前記第4のノズルより下流側の第5のノズルが形成された部分に対向し、用紙支持部より前記ノズル形成面から離れた非用紙支持部と、を備え、
前記第1の印刷処理で用いられる前記第1の個数のノズルは、前記第4のノズルと前記第5のノズルとを含み、
前記第3の印刷処理で用いられる前記第3の個数のノズルは、前記第4のノズルを含まず、前記第5のノズルを含み、
前記第2の中間印刷処理の複数回の前記パス処理では、上流端の位置が順次に上流側に変更されることによって、ドットの形成に用いられるノズルの個数が順次に増加する、印刷制御装置。
上記構成によれば、用紙の搬送方向の下流端を、第3の印刷処理によって印刷する際に、用紙支持部にインクが付着することを抑制できる。
[適用例20]適用例13〜19のいずれかに記載の印刷制御装置であって、さらに、
前記印刷ヘッドの複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する基本ドット形成情報に基づき、前記第1の印刷処理にてドットの形成に用いる前記第1の個数のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第1のドット形成情報を取得する取得部と、
前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第2の中間印刷処理にてドットの形成に用いる複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第3のドット形成情報を生成する生成部を備え、
前記第1の印刷処理部は、前記第1のドット形成情報を用いて、前記第1の印刷処理を実行し、
前記第2の中間印刷処理部は、前記第3のドット形成情報を用いて、前記第2の中間印刷処理を実行する、印刷制御装置。
[適用例21]適用例20に記載の印刷制御装置であって、
前記取得部は、前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第1のドット形成情報を生成することによって、前記第1のドット形成情報を取得する、印刷制御装置。
上記構成によれば、基本ドット形成情報に基づき、各印刷処理用のドット形成情報が取得される。すなわち、基本ドット形成情報を記憶するだけで、適切なドット形成情報を生成することができる。例えば、第1のドット形成情報が基本ドット形成情報であれば、第1のドット形成情報を記憶するだけで、適切な第3のドット形成情報を生成することができる。さらに、第3のドット形成情報のほうが第1のドット形成情報より用いられるノズル数が少ないため、適切な第2のドット形成情報を生成することができる。第1のドット形成情報が基本ドット形成情報と異なれば、基本ドット形成情報を用いて、第1のドット形成情報と第3のドット形成情報を適切に生成することができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現可能であり、例えば、印刷装置の制御装置、印刷データの生成方法、印刷方法、これらの装置および方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
実施例におけるプリンタ600の構成を示すブロック図。 印刷ヘッド240の概略構成を示す図。 搬送機構210の概略構成を示す図。 制御処理のフローチャートである。 搬送経路と印刷制御について説明する図。 印刷データ生成処理のフローチャートである。 ドットパターンデータについて説明する図。 パスデータの生成について説明する図。 4パス印刷について説明する図。 第1実施例の通常制御の下流端から中央部の印刷のヘッド位置を示す図。 第1実施例の通常制御の下流端から中央部の印刷の用紙Mの位置を示す図。 第1実施例の通常制御の下流端から中央部の印刷の勾配付記録率を示す図。 第1実施例の通常制御の中央部から上流端の印刷のヘッド位置を示す図。 第1実施例の通常制御の中央部から上流端の印刷の用紙Mの位置を示す図。 第1実施例の通常制御の中央部から上流端の印刷の勾配付記録率を示す図。 第1実施例の特別制御の中央部から上流端の印刷のヘッド位置を示す図。 第1実施例の特別制御の中央部から上流端の印刷の用紙Mの位置を示す図。 第1実施例の特別制御の中央部から上流端の印刷の勾配付記録率を示す図。 第2実施例の通常制御の中央部から上流端の印刷のヘッド位置を示す図。 第2実施例の通常制御の下流端から中央部の印刷の用紙Mの位置を示す図。 第2実施例の通常制御の下流端から中央部の印刷の勾配付記録率を示す図。 第3実施例の通常制御の下流端から中央部の印刷のヘッド位置を示す図。 第3実施例の通常制御の下流端から中央部の印刷の勾配付記録率を示す図。 第3実施例の通常制御の中央部から上流端の印刷のヘッド位置を示す図。 第3実施例の通常制御の中央部から上流端の印刷の勾配付記録率を示す図。 変形例の勾配付記録率の一例を示す図。 変形例の勾配付記録率の一例を示す図。
A.第1実施例:
A−1.印刷装置の構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、実施例におけるプリンタ600の構成を示すブロック図である。プリンタ600は、インクのドットを用紙上に形成することによって、印刷を行うインクジェットプリンタである。プリンタ600は、プリンタの全体を制御する制御装置100と、印刷実行部としての印刷機構200と、を備えている。
制御装置100は、コントローラーとしてのCPU110と、DRAMなどの揮発性記憶装置120と、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性記憶装置130と、液晶ディスプレイなどの表示部140と、液晶ディスプレイのパネルと重畳されたタッチパネルやボタンなどを含む操作部150と、パーソナルコンピュータ(図示省略)などの外部装置との通信のための通信インタフェースを含む通信部160と、を備えている。
揮発性記憶装置120には、CPU110が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域125が設けられている。不揮発性記憶装置130には、プリンタ600を制御するためのコンピュータプログラムPGと、後述する印刷データ生成処理で用いられる基本ドットパターンデータDPDと、が格納されている。
コンピュータプログラムPGは、プリンタ600の出荷時に予め不揮発性記憶装置130に格納されている。なお、コンピュータプログラムPGは、DVD−ROMなどに格納された形態や、サーバからダウンロードする形態で提供され得る。CPU110は、コンピュータプログラムPGを実行することによって、後述するプリンタ600の制御処理を実現する。基本ドットパターンデータDPDは、例えば、コンピュータプログラムPGに組み込まれており、コンピュータプログラムPGとともに提供される。
印刷機構200は、制御装置100のCPU110の制御に従って、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各インクを吐出して印刷を行うことができる。印刷機構200は、搬送機構210と、主走査機構220と、ヘッド駆動回路230と、印刷ヘッド240と、を備えている。搬送機構210は、図示しない搬送モータを備え、搬送モータの動力で用紙を、所定の搬送経路で搬送する。本実施例では、後述するように、搬送機構210は、2個のトレイ、即ち、上側トレイUT(図示省略)と下側トレイBT(図示省略)とに収容された用紙を、それぞれ異なる搬送経路で搬送することができる。主走査機構220は、図示しない主走査モータを備え、主走査モータの動力で印刷ヘッド240を主走査方向に往復動(主走査とも呼ぶ)させる。ヘッド駆動回路230は、主走査機構220が印刷ヘッド240の主走査を行っている最中に、印刷ヘッド240に駆動信号DSを供給して、印刷ヘッド240を駆動する。印刷ヘッド240は、駆動信号DSに従って、搬送機構210によって搬送される用紙上にインクを吐出してドットを形成する。ここで、主走査を行いつつ用紙上にドットを形成する処理をパス処理とも呼ぶ。制御装置100のCPU110は、搬送機構210を用いて用紙を搬送方向に搬送する搬送処理と、パス処理と、を繰り返し印刷機構200に実行させることによって、印刷を実現する。
図2は、印刷ヘッド240の概略構成を示す図である。印刷ヘッド240のノズル形成面241(−Z側の面)には、上述したC、M、Y、Kの各インクを吐出するノズル列NC、NM、NY、NKが形成されている。各ノズル列は、複数個のノズルNZ(例えば、数100個)を含んでいる。複数個のノズルNZは、搬送方向の位置が互いに異なり、搬送方向に沿って所定のノズル間隔NTで並ぶ。なお、図2以降の図において、+Y方向は、用紙の搬送方向(副走査方向)を示しており、X方向は、主走査方向を示している。各ノズル列に含まれる複数個のノズルNZのうち、搬送方向の下流端即ち図2の+Y側の端に位置するノズルNZを最下流ノズルNZdとも呼び、搬送方向の上流端、即ち図2の−Y側の端に位置するノズルNZを最上流ノズルNZuとも呼ぶ。ここで、1個の特定のノズルNZ(例えば、ノズルNZ1とする)から、他の1個の特定のノズルNZ(例えば、ノズルNZ2とする)までの搬送方向の長さを、ノズルNZ1〜ノズルNZ2までのノズル長とも呼ぶ。最上流ノズルNZuから最下流ノズルNZdまでのノズル長を総ノズル長Dとも呼ぶ(図2)。以下では、+Y側を、単に、下流側とも呼び、−Y側を、単に、上流側とも呼ぶ。また、+Y側の端を、単に、下流端とも呼び、−Y側の端を、単に、上流端とも呼ぶ。
図3は、搬送機構210の概略構成を示す図である。図3(A)に示すように、搬送機構210は、用紙台211と、用紙を保持して搬送するための上流ローラ対217と、下流ローラ対218と、複数個の押さえ部材216と、を備えている。
上流ローラ対217は、印刷ヘッド240よりも上流側(−Y側)に設けられ、下流ローラ対218は、印刷ヘッド240よりも下流側(+Y側)に設けられている。上流ローラ対217は、図示しない搬送モータによって駆動される駆動ローラ217aと、駆動ローラ217aの回転に従って回転する従動ローラ217bと、を含む。同様に、下流ローラ対218は、駆動ローラ218aと従動ローラ218bとを含む。なお、従動ローラに代えて、板部材を採用し、駆動ローラと板部材とによって用紙を保持する構成を採用しても良い。
用紙台211は、上流ローラ対217と、下流ローラ対218との間の位置であって、かつ、印刷ヘッド240のノズル形成面241と対向する位置に配置されている。複数個の押さえ部材216は、上流ローラ対217と、印刷ヘッド240と、の間に配置されている。
図3(B)、図3(C)には、用紙台211と複数個の押さえ部材216との斜視図が示されている。図3(B)は、用紙Mが支持されていない状態を示し、図3(C)は、用紙Mが支持された状態を示している。用紙台211は、複数個の高支持部材212と、複数個の低支持部材213と、平板214と、傾斜部215と、備えている。
平板214は、主走査方向(X方向)と搬送方向(+Y方向)とにほぼ平行な板部材である。平板214の上流端は、印刷ヘッド240の上流端よりも上流側の位置にあり、上流ローラ対217の近傍に位置している。傾斜部215は、平板214の下流側に位置し、下流に向かって高くなるように傾斜した板部材である。傾斜部215の端部は、印刷ヘッド240の下流端よりも下流側の位置にあり、下流ローラ対218の近傍に位置している。平板214のX方向の長さは、搬送される用紙MのX方向の長さより所定量だけ長い。これによって、用紙MのX方向(主走査方向)の両端に余白を残さないように、用紙MのX方向の両端まで印刷可能な縁なし印刷を実行した場合に、用紙MのX方向の両端より外側に吐出されるインクを平板214で受けることができる。
複数個の高支持部材212と複数個の低支持部材213は、平板214上に、X方向に沿って交互に並んでいる。即ち、各低支持部材213は、該低支持部材に隣接する2個の高支持部材212の間に配置されている。各高支持部材212は、Y方向に沿って延びるリブである。各高支持部材212の上流端は、平板214の上流端に位置している。各高支持部材212の下流端は、平板214のY方向の中央部に位置している。各高支持部材212の下流端は、印刷ヘッド240の複数個のノズルNZが形成されている領域NAのY方向の中央部に位置していると言うこともできる。各低支持部材213のY方向の両端の位置は、高支持部材212のY方向の両端の位置と同じである。
複数個の押さえ部材216は、複数個の低支持部材213の+Z側の位置に配置されている。複数個の押さえ部材216のX方向の位置は、複数個の低支持部材213のX方向の位置と同じである。即ち、各押さえ部材216のX方向の位置は、該押さえ部材に隣接する2個の高支持部材212の間に位置している。複数個の押さえ部材216は、下流に向かうほど低支持部材213に近づくように傾斜した板部材である。複数個の押さえ部材216の下流端は、印刷ヘッド240の上流端と、上流ローラ対217と、の間に位置している。
複数個の高支持部材212と複数個の低支持部材213と複数個の押さえ部材216は、下流ローラ対218よりも上流ローラ217対に近い位置に配置されており、上流ローラ対217と下流ローラ対218との間のうち、上流ローラ対217側に設けられていると言うことができる。
図3(C)に示すように、用紙Mの搬送時には、複数個の高支持部材212と、複数個の低支持部材213は、印刷面とは反対側の面Mb側から、用紙Mを支持し、複数個の押さえ部材216は、印刷面Ma側から、用紙Mを支持する。各高支持部材212が用紙Mを支持する位置(即ち、各高支持部材212の+Z側の面212a(図3(A))の位置)は、各低支持部材213が用紙Mを支持する位置(即ち、各低支持部材213の+Z側の面213a(図3(A))の位置)よりも+Z側に位置している。換言すれば、各高支持部材212が用紙Mを支持する位置と、印刷ヘッド240のノズル形成面241を含む平面と、の距離LZ1は、各低支持部材213が用紙Mを支持する位置と、ノズル形成面241を含む平面と、の距離LZ2より短い。
そして、各高支持部材212が用紙Mを支持する位置は、各押さえ部材216が用紙Mを支持する位置(即ち、各押さえ部材216の下流端の−Z側の部分216a(図3(A))よりも+Z側に位置している。換言すれば、各高支持部材212が用紙Mを支持する位置と、印刷ヘッド240のノズル形成面241を含む平面と、の距離LZ1は、各押さえ部材216が用紙Mを支持する位置と、ノズル形成面241を含む平面と、の距離LZ3より短い。
このために、複数個の高支持部材212と、複数個の低支持部材213と、複数個の押さえ部材216と、によって、用紙Mは、X方向に沿って波状に変形された状態に支持される(図3(C))。そして、用紙Mは、波状に変形された状態で、搬送方向(+Y方向)に搬送される。用紙Mを波状に変形させると、Y方向に沿った変形に対する用紙Mの剛性を高めることができる。
ここで、平板214のうち、支持部材212、213より下流側の部分ATは、支持部材212、213より、印刷ヘッド240のノズル形成面241から離れているので、平板214に沿って搬送される用紙Mを下方から支持しない。部分ATを非支持部ATとも呼ぶ。本実施例では、支持部材212、213は、ノズル形成面241のうち、最上流ノズルNZuを含む上流側の略半分のノズルが形成された部分と対向している。非支持部ATは、ノズル形成面241のうち、最下流ノズルNZdを含む下流側の略半分のノズルが形成された部分と対向している。この非支持部ATは、縁なし印刷のときに、用紙M上に吐出されないインクを受けるインク受けとして機能する。
A−2.制御処理の概要
制御装置100のCPU110は、ユーザからの印刷指示に基づいて、印刷機構200に印刷を実行させる制御処理を実行する。図4は、制御処理のフローチャートである。
S10では、CPU110は、ユーザから操作部150を介して所定の印刷指示を取得する。印刷指示は、印刷対象の画像データを指定する指示と、印刷に用いるべき用紙Mを収容しているトレイ(上側トレイUTまたは下側トレイBT)を指定する指示と、を含む。
S15では、CPU110は、後述する通常制御及び特別制御の中から1種類の印刷制御を選択する。具体的には、CPU110は、ユーザによって上側トレイUTが指定された場合には、用紙Mを搬送する搬送経路の種類として上経路を特定し、下側トレイBTが指定された場合には、搬送経路の種類として下経路を特定する。上経路および下経路については後述する。そして、CPU110は、搬送経路の種類として上経路が特定された場合には、印刷制御として特別制御を選択し、下経路が特定された場合には、印刷制御として通常制御を選択する。この理由は、後述する。
S20では、CPU110は、ユーザによって指定された画像データを不揮発性記憶装置130から取得し、該画像データに対してラスタライズ処理を実行して、複数個の画素を含む対象画像を表すビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、具体的には、RGB値によって画素ごとの色を表すRGB画像データである。RGB値に含まれる3個の成分値、即ち、R値、G値、B値は、例えば、256階調の階調値である。
S25では、CPU110は、RGB画像データに対して色変換処理を実行して、CMYK画像データを生成する。CMYK画像データは、CMYKの4つの色成分の階調値(以下、CMYK値とも呼ぶ)で画素ごとの色を表す画像データである。色変換処理は、例えば、RGB値とCMYK値との対応関係を規定したルックアップテーブルを用いて行われる。
S30では、CPU110は、CMYK画像データに対してハーフトーン処理(例えば、誤差拡散法、ディザ法等の処理)を実行して、ドットの形成状態を画素ごと、かつ、インクの色ごとに表すドットデータを生成する。ドットデータに含まれる各画素の値は、例えば、2種類のドットの形成状態を示す2個の値、具体的には、「ドット有り」を示す「1」と、「ドット無し」を示す「0」と、のうちのいずれかである。これに代えて、ドットデータに含まれる各画素の値は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」、「ドット無し」の4種類のドットの形成状態を示す4個の値のいずれかであってもよい。
S35では、CPU110は、S15で選択された1種類の印刷制御(即ち、通常制御または特別制御)と、S30で生成されたドットデータと、に基づいて、印刷データを生成する。印刷データは、搬送経路の種類(即ち、上経路または下経路)を示す経路情報RDと、搬送量データFDと、複数個のパスデータPD(1)〜PD(m)(mは、パス処理の回数)と、を含む。1個のパスデータは、1回のパス処理に対応する。1個のパスデータは、複数個のノズルNZのそれぞれについて、1個のラスタラインデータを対応付けたデータである。1個のラスタラインデータは、1個のノズルに対応する主走査方向に沿った複数個の画素を含む1本のラスタラインについて、画素ごとにドットの形成状態を規定したデータである。例えば、図4の1パス目のパスデータPD(1)の1行目のラスタラインデータは、ノズル番号が「N1」であるノズルNZに対応するラスタライン内の複数個の画素のそれぞれについて、「ドット有り」を示す「1」と、「ドット無し」を示す「0」と、のいずれかが規定されている。搬送量データFDは、m回のパスの前に行われる用紙の搬送処理における搬送量をそれぞれ示すm個の値を含んでいる。印刷データ生成処理については、さらに、後述する。
S40では、CPU110は、生成された印刷データに基づいて、印刷機構200を制御することによって、印刷機構200に印刷を実行させる。この結果、画像が用紙に印刷される。
以上の説明から解るように、本実施例では、CPU110を含む制御装置100が印刷制御装置の例であり、印刷機構200が印刷実行部の例である。これに代えて、プリンタ600に接続されたパーソナルコンピュータなどの端末装置が、上述したS10〜S35の処理を実行することによって印刷データを生成し、当該印刷データをプリンタ600に供給することによって、プリンタ600に印刷を実行させても良い。この場合には、端末装置が印刷制御装置の例であり、プリンタ600が印刷実行部の例である。
A−3. 搬送経路と印刷制御
図5は、搬送経路と印刷制御について説明する図である。図5(A)には、搬送経路が上経路である場合の説明図が示されている。(A1)は、上経路を通って、上側トレイUTの用紙Mが、用紙M上に印刷が行われる前に、印刷ヘッド240の近傍まで搬送された状態を示す。用紙Mは、上流ローラ対217によって保持されている。そして、用紙Mのうち、上流ローラ対217よりも下流側に位置する部分は、平板214に沿って左方向に伸びており、上流ローラ対217よりも上流側に位置する部分は、上側トレイUTから用紙Mをガイドするガイド部材GUに沿って右上方向に伸びている。即ち、この状態では、用紙Mが凹状に曲げられるので、上経路での搬送では、用紙Mが凹上に変形することが解る。
(A2)は、通常制御によって用紙Mが搬送される様子を示し、(A3)は、特別制御によって用紙Mが搬送される様子を示す。(A2)、(A3)に示すように、用紙Mの上流端部への印刷は、用紙Mの上流端が押さえ部材216の部分216aより下流側に移動して、用紙Mが下流ローラ対218のみによって保持されている状態で行われる。搬送経路が上経路である場合には、この状態で、用紙Mは、凹状に変形している。
詳細は後述するが、通常制御では、用紙Mの上流端の近傍部分(上流端部とも呼ぶ)の印刷が実行される際に、後述の大搬送量で用紙Mが搬送されることなく、比較的小さな搬送量で用紙Mが搬送される。このために、(A2)に示すように、通常制御では、用紙Mの上流端部への印刷時において、用紙Mのうち、下流ローラ対218よりも上流側に位置する部分の搬送方向の長さが、特別制御より長い。この結果、用紙Mが凹状に変形すると、(A2)の破線の丸C1内に示すように、用紙Mの上流端の上方への変形量が大きくなり、印刷中の印刷ヘッド240のノズル形成面241と、用紙Mの上流端と、が接触し得る。この場合には、ノズル形成面241のインクが用紙Mに付着して、用紙Mが汚れる可能性が高くなる。
一方、詳細は後述するが、特別制御では、用紙Mの上流端部の印刷が実行される際に、大搬送量で用紙Mが搬送される。このために、(A3)に示すように、特別制御では、用紙Mの上流端部への印刷時において、用紙Mのうち、下流ローラ対218よりも上流側に位置する部分の搬送方向の長さが、通常制御より短い。この結果、用紙Mの上流端(即ち右端)の変形量が小さくなる。この結果、用紙Mが凹状に変形しても、(A3)の破線の丸C2内に示すように、用紙Mの上流端の上方への変形量が比較的小さくなり、印刷中の印刷ヘッド240のノズル形成面241と、用紙Mの上流端と、の接触を抑制できる。したがって、ノズル形成面241のインクが用紙Mに付着して、用紙Mが汚れる可能性を抑制できる。
以上の説明から解るように、用紙Mの汚れを避けるために、搬送経路が上経路である場合には、本実施例では、図4のS15にて、通常制御ではなく、特別制御が選択される。
図5(B)には、搬送経路が下経路である場合の説明図が示されている。(B1)は、下経路を通って、上側トレイUTの用紙Mが、用紙M上に印刷が行われる前に、印刷ヘッド240の近傍まで搬送された状態を示す。用紙Mは、上流ローラ対217によって保持されている。そして、用紙Mのうち、上流ローラ対217よりも下流側に位置する部分は、平板214に沿って左方向に伸びており、上流ローラ対217よりも上流側に位置する部分は、下側トレイBTから用紙Mをガイドするガイド部材GBに沿って下方向に伸びている。即ち、この状態では、用紙Mが凸状に曲げられるので、上経路での搬送では、用紙Mが凸状に変形することが解る。
(B2)は、通常制御によって用紙Mが搬送される様子を示し、(B3)は、特別制御によって用紙Mが搬送される様子を示す。(B2)、(B3)に示すように、用紙Mの上流端部への印刷は、用紙Mの上流端が押さえ部材216の部分216aより下流側に移動して、用紙Mが下流ローラ対218のみによって保持されている状態で行われる。搬送経路が下経路である場合には、この状態で、用紙Mは、凸状に変形している。
上述したように、通常制御では、用紙Mの上流端部への印刷時において、用紙Mのうち、下流ローラ対218よりも上流側に位置する部分の搬送方向の長さが、特別制御より長い。しかしながら、用紙Mが凸状に変形しているので、(B2)の破線の丸C3内に示すように、用紙Mの上流端は上方へは変形せず、印刷中の印刷ヘッド240のノズル形成面241と、用紙Mの上流端と、が接触し難い。
一方、特別制御では、用紙Mの上流端部への印刷時において、用紙Mのうち、下流ローラ対218よりも上流側に位置する部分の搬送方向の長さが、通常制御より短い。さらに、用紙Mが凸状に変形しているので、(B3)の破線の丸C4内に示すように、用紙Mの上流端は上方へは変形せず、印刷中の印刷ヘッド240のノズル形成面241と、用紙Mの上流端と、が接触し難い。このように、搬送経路が下経路である場合には、通常制御であっても特別制御であっても、用紙Mが汚れる可能性は低い。
しかしながら、詳細は後述するが、特別制御では、大搬送量での用紙の搬送の前後において、通常制御の搬送量より、さらに、小さな搬送量での搬送が複数回行われる。このために、用紙Mの上流端が、支持部材212、213によって下方から支持されていない状態で実行されるパス処理の回数が通常制御より多くなる。この結果、用紙Mの上端が安定しないことに起因して発生する印刷画像内のラスタラインの位置ずれが、発生しやすい。この結果、上流端近傍の印刷画像においてバンディングが目立つ可能性がある。このために、通常制御であっても特別制御であっても、用紙Mが汚れる可能性は低い場合には、通常制御を選択することが、バンディングを抑制する観点からは好ましい。
以上の説明から解るように、バンディングを抑制するために、搬送経路が下経路である場合には、本実施例では、図4のS15にて、特別制御ではなく、通常制御が選択される。
A−4.印刷データ生成処理
図4のS35の印刷データ生成処理について、さらに、説明する。図6は、印刷データ生成処理のフローチャートである。
S100では、CPU110は、基本ドットパターンデータDPDを、不揮発性記憶装置130から取得する。図7は、ドットパターンデータについて説明する図である。図7(A)には、基本ドットパターンデータDPDの一部分が図示されている。基本ドットパターンデータDPDは、総ノズル長D分の複数個のノズルNZのそれぞれについて、1個のラインドットパターンデータを対応付けたデータである。1個のラインドットパターンデータは、1個のノズルに対応する主走査方向に沿った複数個の画素を含む1本のラスタラインについて、ドットの形成を許容するか否かを画素ごとに規定するデータである。例えば、図7(A)の基本ドットパターンデータDPDの1行目のラインドットパターンデータは、ノズル番号が「N1」であるノズルNZに対応するラスタライン内の複数個の画素のそれぞれについて、ドットの形成を許容することを示す値「1」と、ドットの形成を許容しないことを示す値「0」と、のいずれかが、画素ごとに記録されている。換言すれば、ラインドットパターンデータは、対応するノズルNZについて、用紙M上においてドットの形成が許容される主走査方向の位置と、ドットの形成が許容されない主走査方向の位置と、を規定している。
図7(B)には、1個の色成分(例えば、シアン)のノズル列(例えば、ノズル列NC)の複数個のノズルNZ分の基本ドットパターンデータDPDを概念的に示す図である。図7(B)の左側には、ノズル列における搬送方向に沿ったノズル位置と、当該ノズル位置にあるノズルNZの記録率DRが示されている。ノズルNZの記録率DRは、該ノズルNZに対応するラスタラインについて、画素の総数に対するドットの形成が許容される画素の比率を示している。ノズルNZに対応するラインドットパターンデータの「1」の個数NM1と、「0」の個数NM0と、を用いて、該ノズルNZの記録率DRは、NM1/(NM1+NM0)で表される。各ラインドットパターンデータでは、対応するノズルNZについて予め規定された記録率に従った個数の「1」の値が、分散して配置されている。
基本ドットパターンデータDPDにおいて、記録率DRが最大値R2となるノズルNZ(以下、最大記録率ノズルとも呼ぶ)は、ノズル列の搬送方向の中心に位置するノズルNZcである。記録率DRが最小値R1となるノズルNZ(以下、最小記録率ノズルとも呼ぶ)は、ノズル列の最上流ノズルNZuと最下流ノズルNZdである。
基本ドットパターンデータDPDにおいて、記録率DRは、印刷ヘッド240における各ノズルNZの副走査方向(用紙の搬送方向)の位置に応じて、連続的に変化する。例えば、搬送方向の位置に対する記録率DRの連続的な変化を図示した場合に(例えば、図7(B))、記録率DRは、最大記録率ノズルより上流側の上流側勾配部Euと、最大記録率ノズルより下流側の下流側勾配部Edと、を有する。最大記録率ノズルより上流側の上流側勾配部Euでは、記録率DRは、最大記録率ノズルの位置から上流に向かって所定の勾配で直線的に小さくなっている。最大記録率ノズルより下流側の下流側勾配部Edでは、記録率DRは、最大記録率ノズルの位置から下流に向かって所定の勾配で直線的に小さくなっている。このように、ノズルの搬送方向の位置に対する記録率DRの変化が勾配を有しているので、本実施例で用いられる記録率DRを勾配付記録率DRとも呼ぶ。
ここで、記録率DRの勾配は、図7(B)のように、上流側勾配部Euおよび下流側勾配部Edを示す線と、搬送方向のノズルの位置に拘わらずに記録率DRが一定であると仮定した場合の記録率DRを示す線CLと、の間の鋭角の角度θd、θuを用いて表すことができる。より具体的には、上流側勾配部Euの記録率DRの勾配は、図7(B)に示すように鋭角θuで表される。以下、上流側勾配部Euの記録率DRの勾配を上流側勾配θuとも呼ぶ。下流側勾配部Edの記録率DRの勾配は、図7(B)に示すように鋭角θdで表される。以下、下流側勾配部Edの記録率DRの勾配を下流側勾配θdとも呼ぶ。基本ドットパターンデータDPDでは、下流側勾配θdと上流側勾配θuとは等しい(θu=θd)。以下、θu、θdの値が大きいほど、勾配が大きいことを意味し、θu、θdの値が小さいほど勾配が小さいことを意味する。
また、記録率DRが規定されているノズルのうち、最大記録率ノズルから上流端のノズルまでのノズル長、即ち、上流側勾配部Euのノズル長を上流側ノズル長NLuとも呼ぶ。同様に、記録率DRが規定されているノズルのうち、最大記録率ノズルから下流端のノズルまでのノズル長、即ち、下流側勾配部Edのノズル長を下流側ノズル長NLdとも呼ぶ。図7(B)の基本ドットパターンデータDPDでは、全てのノズルについて記録率DRが規定されており、最大記録率ノズルは、搬送方向の中心のノズルNZcである。したがって、上流側ノズル長NLuは、ノズルNZcから最上流ノズルNZuまでのノズル長であり、下流側ノズル長NLdは、ノズルNZcから最下流ノズルNZdまでのノズル長である。即ち、基本ドットパターンデータDPDでは、上流側ノズル長NLuと下流側ノズル長NLdとは等しく(NLu=NLd)、上流側ノズル長NLuと下流側ノズル長NLdとの和は、総ノズル長Dと等しい(D=NLu+NLd)。
なお、記録率DRが規定されている全てのノズルの記録率DRの平均値を平均記録率DRavと呼ぶ。用紙上の部分領域をp回(pは、2以上の整数)のパス処理を用いて印刷するマルチパス印刷では、平均記録率DRavは、(100/p)で表される(単位は%)。本実施例のマルチパス印刷は、後述するように、4パス印刷(p=4)であるので、平均記録率DRavは、25%である。記録率DRの最小値R1、最大値R2は、例えば、R1=(DRav−ΔDR)、R2=(DRav+ΔDR)であり、本実施例では、例えば、R1=5%、R2=45%である(DRav=25%、ΔDR=20%)。
図6のS105では、CPU110は、印刷時に実行されるm回のパス処理の中から、注目パス処理を選択する。パス処理の回数mは、通常制御と特別制御との間で異なり得る。
S110では、CPU110は、注目パス処理のためのドットパターンデータDPDaを、基本ドットパターンデータDPDに基づいて生成する。例えば、注目パス処理で用いられる記録率DRが、基本ドットパターンデータDPDの記録率DRと同じである場合には、基本ドットパターンデータDPDの記録率DRが、ドットパターンデータDPDaとしてそのまま用いられる。そして、注目パス処理で用いられる記録率DRが、基本ドットパターンデータDPDの記録率DRとは異なる場合には、基本ドットパターンデータDPDを用いて、注目パス処理で用いられる記録率DR従うドットパターンデータDPDaが生成される。具体的には、CPU110は、先ず、注目パス処理でドットの形成に用いられる複数個の使用ノズルと、最大記録率ノズルと、を特定する。複数個の使用ノズルと最大記録率ノズルとは、パス処理ごとに予め決定されている。また、複数個の使用ノズルと最大記録率ノズルとは、詳細は後述するが、通常制御と特別制御との間で異なっている。複数個の使用ノズルと最大記録率ノズルとによって、注目パス処理で用いられる記録率DRを特定することができる。図7(C)には、注目パス処理で用いられる記録率DRの一例を示す図である。図7(C)の例では、ノズルNZeが、注目パス処理で用いられる複数個の使用ノズルのうちの上流端のノズルである。従って、この注目パス処理では、最下流ノズルNZdからノズルNZeまでのノズルNZが、使用ノズルであり、ノズルNZeから最上流ノズルNZuまでのノズルNZが、不使用ノズルである。使用ノズルのうちの上流端のノズルから下流端のノズルまでのノズル長を使用ノズル長とも呼ぶ。
この注目パス処理の最大記録率ノズルは、ノズルNZmである。図7(C)に示すように、この注目パス処理の最大記録ノズルNZmは、ノズル列の搬送方向の中心のノズルNZcとは異なるノズルであり、最下流ノズルNZdからノズルNZeまでの複数個の使用ノズルの搬送方向の中心のノズルとも異なるノズルである。したがって、この注目パス処理の下流側ノズル長NLdと上流側ノズル長NLuとは互いに異なっている。また、この注目パス処理の下流側ノズル長NLdおよび上流側ノズル長NLuは、基本ドットパターンデータDPDの下流側ノズル長NLdおよび上流側ノズル長NLuより短い。
ここで、図7(B)、図7(C)から解るように、勾配付記録率の下流側ノズル長NLdが長いほど、下流側勾配θdは小さく、下流側ノズル長NLdが短いほど、下流側勾配θdは大きい。同様に、勾配付記録率の上流側ノズル長NLuが長いほど、上流側勾配θuは小さく、上流側ノズル長NLuが短いほど、上流側勾配θuは大きくなる。また、勾配付記録率において、上流側ノズル長NLuが下流側ノズル長NLdより長い場合には(NLu>NLd)、上流側勾配θuは下流側勾配θdより小さくなる(θu<θd)。同様に、勾配付記録率において、上流側ノズル長NLuが下流側ノズル長NLdより短い場合には(NLu<NLd)、上流側勾配θuは下流側勾配θdより大きくなる(θu>θd)。そして、勾配付記録率において、上流側ノズル長NLuと下流側ノズル長NLdとが等しい場合には(NLu=NLd)、上流側勾配θuと下流側勾配θdとは等しくなる(θu=θd)。
この注目パス処理を含む全てのパス処理において、最大記録ノズルの記録率DRは、最大値R2であり、基本ドットパターンデータDPDの記録率DRの最大値R2と等しい。また、全てのパス処理において、複数個の使用ノズルのうちの最上流のノズルと、最下流のノズルと、の記録率DRは、最小値R1であり、基本ドットパターンデータDPDの記録率DRの最小値R1と等しい。そして、全てのパス処理において、記録率DRは、最大記録ノズルNZmの位置から上流および下流に向かって直線的に小さくなる。
CPU110は、基本ドットパターンデータDPDに含まれるノズル長D分のラインドットパターンデータから、特定数分のラインドットパターンデータを間引くことによって、注目パス処理のドットパターンデータDPDaを生成する。具体的には、基本ドットパターンデータDPDの下流側ノズル長NLdおよび上流側ノズル長NLuを、NLd(0)、NLu(0)とし、注目パス処理のドットパターンデータDPDaの下流側ノズル長NLdおよび上流側ノズル長NLuを、NLd(t)、NLu(t)とする。基本ドットパターンデータDPDの上流側ノズル長NLu(0)分のラインドットパターンデータから、{NLu(0)−NLu(t)}個分のラインドットパターンデータを間引くことによって、ドットパターンデータDPDaの上流側ノズル長NLu(t)分のラインドットパターンデータが生成される。そして、基本ドットパターンデータDPDの下流側ノズル長NLd(0)分のラインドットパターンデータから、{NLd(0)−NLd(t)}個分のラインドットパターンデータを間引くことによって、ドットパターンデータDPDaの下流側ノズル長NLd(t)分のラインドットパターンデータが生成される。この結果、注目パス処理の使用ノズル長UD(NLu(t)+NLu(t))分のラインドットパターンデータを含むドットパターンデータDPDaが生成される。
S120では、CPU110は、図4のS30にて生成されたドットデータの中から、注目パス処理に対応する部分ドットデータを選択する。即ち、注目パス処理の複数個の使用ノズルに対応する複数個のラスタライン分の部分ドットデータPDoが選択される。S120では、CPU110は、S110で生成されたドットパターンデータDPDaと、S110で選択された部分ドットデータPDoと、を用いて、注目パス処理のパスデータを生成する。
図8は、パスデータの生成について説明する図である。図8(A)には、注目パス処理のドットパターンデータDPDaの一例が示されている。図8(B)には、注目パス処理の部分ドットデータPDoの一例が示されている。図8(C)には、図8(A)のドットパターンデータDPDaと、図8(B)の部分ドットデータPDoと、に基づいて生成されるパスデータPDが示されている。ドットパターンデータDPDaに含まれる複数個の値と、部分ドットデータPDoに含まれる複数個の画素の値と、は、一対一に対応している。CPU110は、ドットパターンデータDPDaの各画素の値と、部分ドットデータPDoの対応する画素の値と、の積を算出し、その積の値を、パスデータの各画素の値とすることによって、パスデータを生成する。この結果、部分ドットデータPDoの各画素の値のうち、ドットパターンデータDPDaにおいてドットの形成が許容されている画素の値は、パスデータにおいて、部分ドットデータPDoの画素の値に、維持される。そして、部分ドットデータPDoの各画素の値のうち、ドットパターンデータDPDaにおいてドットの形成が許容されていない画素の値は、部分ドットデータPDoの画素の値に拘わらずに、「0」(即ち、「ドット無し」)にされる。
S125では、CPU110は、全てのパス処理(即ち、m回のパス処理)について、処理したか否かを判断する。未処理のパス処理がある場合には(S125:NO)、CPU110は、S105に戻って、未処理のパス処理を注目パス処理として選択する。全てのパス処理について処理した場合には(S125:YES)、S130にて、CPU110は、生成されたm個のパスデータに、m回のパス処理の前に行われるm回の搬送処理の搬送量を示す搬送量データFDと、搬送経路の種類を示す経路情報RDと、を含む制御データを付加することによって、印刷データを生成する。この結果、図4のS15にて選択された印刷制御(通常制御または特別制御)で印刷を印刷機構200に実行させるための印刷データが生成される。
A−5. 印刷
次に、印刷機構200による印刷について説明する。CPU110は、図4のS40にて、印刷データに基づいて、印刷機構200に、搬送処理とパス処理とを交互に繰り返し実行させることによって、用紙M上に画像を印刷する。1回の搬送処理では、搬送機構210は、搬送量データFDに規定された搬送量だけ用紙Mを搬送する。1回のパス処理では、用紙Mが停止した状態で、主走査機構220が印刷ヘッド240(図1、図2)を主走査方向(X方向)に1回移動させる。1回のパス処理では、印刷ヘッド240の移動中に、ヘッド駆動回路230(図1)が、パスデータに基づく駆動信号DSを印刷ヘッド240に供給して、印刷ヘッド240の複数個のNZからインクを吐出させる。
本実施例では、用紙M上の部分領域、例えば、搬送方向の幅が使用ノズル長と等しい部分領域を、4回のパス処理を用いて印刷する4パス印刷が実行される。図9は、本実施例の4パス印刷について説明する図である。本実施例では、例えば、図9(A)に示すq本のラスタラインRL(1)〜RL(q)のそれぞれを、m回のパス処理のうちの4回のパス処理を用いて印刷する4パス印刷が実行される。この場合には、隣接する2個のラスタラインの間隔は、ノズル間隔NTと等しくなる。
これに代えて、図9(B)に示すように、奇数番目のラスタラインRL(1)〜RL(2q−1)のそれぞれを、奇数回目の(m/2)回のパス処理のうちの2回のパス処理を用いて印刷し、偶数番目のラスタラインRL(2)〜RL(2q)のそれぞれを、偶数回目の(m/2)回のパス処理のうちの2回のパス処理を用いて印刷する4パス印刷が実行されても良い。図9(B)の4パス印刷は、図9(A)の4パス印刷の各搬送処理の搬送量をノズル間隔NTの半分(NT/2)だけずらせば良い。図9(B)の4パス印刷では、隣接する2個のラスタラインの間隔は、(NT/2)となる。また、図9(A)の4パス印刷で1個のラスタラインに形成可能なドットの個数をL個とすると、図9(A)の4パス印刷で1個のラスタラインに形成可能なドットの個数は、(L/2)個となる。
また、本実施例の印刷は、印刷領域PAU110の4つの端に余白を残さないように用紙Mの4つの端まで印刷可能な、いわゆる縁なし印刷である。
A−5−1. 通常制御
次に、通常制御での印刷について、下流端から中央部の印刷と、中央部から上流端の印刷とに分けて、それぞれ説明する。
(下流端から中央部の印刷)
図10は、通常制御において、用紙Mの下流端から、搬送方向の中央部(以下、単に、中央部と呼ぶ)の領域が印刷される際の印刷ヘッドの位置(以下、ヘッド位置と呼ぶ)をパス処理ごとに示す図である。各ヘッド位置は、用紙Mの下流端を、図10の破線で示す位置とした場合における搬送方向の位置を示している。各ヘッド位置を示す枠の搬送方向の長さは、印刷ヘッド240のノズル形成領域NAの搬送方向の長さ、即ち、総ノズル長Dを示している。ヘッド位置は、上方に示すパス番号1〜14のパス処理に対応している。図10のパス番号1〜14のパス処理は、印刷開始から1〜14回目のパス処理である。s回目(sは1以上の整数)のパス処理をパス処理P(s)と表現する。
なお、1回目(s=1)の搬送処理は、用紙Mを初期位置まで搬送する処理、即ち、1回目のパス処理時の用紙Mの位置まで用紙Mを搬送する処理である。s回目(2≦s≦m)の搬送処理は、(s−1)回目のパス処理と、s回目のパス処理と、の間に、実行される搬送処理である。s回目の搬送処理を搬送処理F(s)と表現する。図10に示すように、搬送処理F(2)〜F(10)の搬送量は、「5d」であり、搬送処理F(11)〜F(14)の搬送量は、「15d」である。ここで、長さdは、ノズル長Dの1/60の長さである(D=60d)。図10に示すように、搬送処理が実行される度に、ヘッド位置は、用紙Mに対して搬送方向の反対方向(−Y方向)に移動することが解る。
本実施例では、上述したように、縁なし印刷が実行されるので、印刷領域PAは、用紙Mより僅かに大きな領域である。このために、図10において、印刷領域PAの下流端は、用紙Mの下流端より僅かに下流側に位置している。
図10の各ヘッド位置を示す枠内のハッチングされた領域は、印刷ヘッド240に形成された複数個のノズルNZ(図2)のうちの使用ノズルが位置する使用ノズル領域を示している。ハッチングされた使用ノズル領域の搬送方向の長さは、使用ノズル長を示している。使用ノズル領域に付された値(例えば、20d、30d)は、使用ノズル長を示している。使用ノズル長が長いほど、使用ノズルの個数が多いことを意味している。なお、パス処理P(1)〜P(3)の使用ノズルのうち、印刷領域PAの下流端より下流側のノズルには、上述した記録率DRが規定されるもののドットを形成しないことを示すドットデータが割り当てられるので、印刷領域PAの下流端より下流側のノズルは、実際には、ドットを形成しない。
図11は、用紙Mの下流端から中央部の領域が印刷される際の印刷ヘッド240に対する用紙Mの位置をパス処理ごとに示す図である。図11に示すように、搬送処理が実行される度に、用紙Mは、印刷ヘッド240に対して搬送方向(+Y方向)に移動することが解る。図11の用紙Msの位置は、s回目のパス処理が実行される際の用紙Mの位置を示す。図11には、パス処理P(1)〜P(12)に対応する12個の位置にある用紙M1〜M12が図示されている。図11の用紙M1〜M12上のハッチングされた領域は、対応するパス処理によって印刷される用紙上の印刷領域を示している。図11のハッチングされた領域は、図10のハッチングされた使用ノズルの位置に対応している。
図11の位置Y1、Y6は、それぞれ、上流ローラ対217、下流ローラ対218によって用紙が保持される搬送方向の位置である。位置Y2は、複数個の高支持部材212と複数個の押さえ部材216とによって用紙が保持される搬送方向の位置である。ここで、印刷ヘッド240より上流側の位置Y2、Y1にて、用紙を保持する上流ローラ対217、複数個の高支持部材212、複数個の押さえ部材216の全体を、上流側保持部とも呼ぶ。また、印刷ヘッド240より下流側の位置Y6にて、用紙を保持する下流ローラ対218を、下流側保持部とも呼ぶ。上流側保持部は、印刷ヘッド240より上流側で用紙を保持する部材であり、下流保持部は、印刷ヘッド240より下流側で用紙を保持する部材である。
また、位置Y3、Y5は、それぞれ、印刷ヘッド240の最上流ノズルNZu、最下流ノズルNZdの搬送方向の位置である。位置Y4は、複数個の高支持部材212と複数個の低支持部材213との下流側の端の位置である。
CPU110は、搬送方向に搬送される用紙Mに対して、用紙Mの下流側から順次に印刷を行う。CPU110は、用紙Mの下流端の近傍の領域の印刷に続いて、用紙Mの中央部に対する印刷を実行する。
印刷開始(即ち、搬送処理F(1)の開始)からパス処理P(6)までの用紙Mの下流端の近傍を印刷する処理を下流端部印刷処理DPと呼ぶ(図10)。下流端部印刷処理DPでは、図11に示すように、用紙は、上流ローラ対217によって保持され、かつ、複数個の高支持部材212と複数個の押さえ部材216とによって保持されている。また、用紙は、下流ローラ対218によって保持されていない。この保持状態を保持状態S1とも呼ぶ(図11)。また、下流端部印刷処理DPは、使用ノズル長20dのパス処理P(1)〜P(6)を含む。下流端部印刷処理DPは、保持状態S1で実行される搬送量5dの搬送処理F(2)〜F(6)を含む。
下流端部印刷処理DPでは、上述したように縁なし印刷を行うために、用紙Mの下流端より下流にもインクが吐出される。用紙Mの下流端より下流に吐出されたインクが、用紙を支持する支持部材212、213に付着すると、インクが用紙Mにも付着して用紙Mが汚れる可能性がある。したがって、用紙Mの下流端より下流にインクを吐出し得るノズルは、インクが支持部材212、213に付着しないように、用紙を支持しない非支持部ATと対向するノズルであることが好ましい。このために、下流端部印刷処理DPで用いられる使用ノズル長20d分のノズルは、下流側の一部のノズルとされている。即ち、下流端部印刷処理DPで用いられる使用ノズル長20d分のノズルは、最下流ノズルNZdを含み、最上流ノズルNZuを含まない。
搬送処理F(11)から始まる用紙の中央部を印刷する処理を中央部印刷処理MPと呼ぶ(図10)。中央部印刷処理MPでは、図11に示すように、用紙は、上流ローラ対217によって保持され、かつ、複数個の高支持部材212と複数個の押さえ部材216とによって保持されている。さらに、用紙は、下流ローラ対218によって保持されている。この保持状態を保持状態S2とも呼ぶ(図11)。また、中央部印刷処理MPは、使用ノズル60dのパス処理P(11)〜P(14)を含む(図10)。中央部印刷処理MPは、保持状態S2で実行される搬送量15dの搬送処理F(11)〜F(14)を含む。中央部印刷処理MPにおける搬送量15dは、総ノズル長Dの1/4の長さであり、4パス印刷の均等搬送量HMである。均等搬送量HMは、均等の搬送量で4パス印刷などのマルチパス印刷を実行する場合の搬送量の最大値、換言すれば、総ノズル長D分のノズルを使用して、均等の搬送量でマルチパス印刷を実行する場合の搬送量である。
中央部印刷処理MPのパス処理P(11)〜P(14)では、総ノズル長D(=60d)分のノズルが使用ノズルとして用いられる。即ち、中央部印刷処理MPでは、非支持部ATとZ方向に対向する位置に形成されたノズルと、支持部材212、213とZ方向に対向する位置に形成されたノズルと、を含むノズル群を用いて、パス処理が行われる。
下流端部印刷処理DPの保持状態S1は、用紙が下流ローラ対218で保持されていないので、中央部印刷処理MPの保持状態S2より用紙の搬送精度が低い。このために、保持状態S1で実行される下流端部印刷処理DPの搬送処理F(2)〜F(6)では、搬送量のばらつきに起因するラスタラインの位置ずれを抑制するために、中央部印刷処理MPのF(11)〜F(14)の搬送量15dより小さな搬送量5dが用いられる。このために、下流端部印刷処理DPのパス処理P(1)〜P(6)の使用ノズル長20dは、中央部印刷処理のパス処理P(11)〜P(14)の使用ノズル長60dより短い。換言すれば、下流端部印刷処理DPのパス処理P(1)〜P(6)の使用ノズルの個数は、中央部印刷処理のパス処理P(11)〜P(14)の使用ノズルの個数より少ない。
下流端部印刷処理DPと、中央部印刷処理MPと、の間の印刷処理、本実施例では、搬送処理F(7)からパス処理P(10)までの印刷処理を、下流側の中間印刷処理DIPと呼ぶ。下流側の中間印刷処理DIPのパス処理P(7)〜P(10)の使用ノズル長30d、40d、50d、60dは、下流端部印刷処理DPの使用ノズル長20dより長く、中央部印刷処理MPの使用ノズル長60d以下である(図10)。換言すれば、下流側の中間印刷処理DIPのパス処理P(7)〜P(10)の使用ノズルの個数は、下流端部印刷処理DPの使用ノズルの個数より多く、中央部印刷処理MPの使用ノズルの個数以下である。
これらの4回のパス処理P(7)〜P(10)の使用ノズル長は、パス番号が増加するに連れて(即ち、処理順が後になるに連れて)、直前のパス処理の使用ノズル長より等量ずつ、具体的には、10dずつ長くなる。より具体的には、パス処理P(7)〜P(10)の使用ノズルのうち、下流端のノズルは、いずれも同じノズル(最下流ノズルNZd)であり、上流端のノズルは、パス番号が増加するに連れて、順次に、上流側に10dずつ移動している。換言すれば、これらの4回のパス処理P(7)〜P(10)の使用ノズルの個数は、パス番号が増加するに連れて、等量ずつ、具体的には、10d分のノズル数ずつ多くなる。4パス印刷では、下流側の中間印刷処理DIPの使用ノズル長の増加量10dは、中央部印刷処理MPの使用ノズル長60dと、下流端部印刷処理DPの使用ノズル長20dと、の差分40dを4で割った値である。
中央部印刷処理MPの途中で、図11の例では、搬送処理F(9)が実行されるときに、用紙の保持状態は、保持状態S1から保持状態S2に移行する。したがって、搬送処理F(7)、F(8)は保持状態S1で行われ、搬送処理F(10)は、保持状態S2で行われる。
図12は、下流端から中央部の印刷のパス処理の勾配付記録率を示す図である。図12(A)〜(E)の実線は、本実施例の勾配付記録率を示す。図12(B)〜(D)の破線は、中間印刷処理DIPのパス処理P(7)〜P(10)についての比較例の勾配付記録率を示す。比較例の勾配付記録率は、上流側ノズル長NLuと下流側ノズル長NLdとが互いに等しい勾配付記録率である。換言すれば、比較例の勾配付記録率は、上流側勾配θuと下流側勾配θdとが互いに等しい勾配付記録率である。なお、パス処理P(s)の勾配付記録率を勾配付記録率DR(s)と表現する。
図12(A)の下流端部印刷処理DPのパス処理P(1)〜P(6)の勾配付記録率DR(1)〜DR(6)は、使用ノズル長20d分のノズルについて規定されている。勾配付記録率DR(1)〜DR(6)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdは、互いに等しい値10dである(NLu=NLd=10d)。したがって、勾配付記録率DR(1)〜DR(6)では、上流側勾配θuと、下流側勾配θdと、は互いに等しい。
図12(E)の中央部印刷処理MPのパス処理P(11)〜P(14)の勾配付記録率DR(11)〜DR(14)は、使用ノズル長60d分、即ち、総ノズル長D分のノズルについて規定されている。勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdは、互いに等しい値30dである(NLu=NLd=30d)。したがって、勾配付記録率DR(11)〜DR(14)では、上流側勾配θuと、下流側勾配θdと、は互いに等しい。また、勾配付記録率DR(11)〜DR(14)では、上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdが、図12(A)の下流端部印刷処理DPの勾配付記録率DR(1)〜DR(6)より長い。したがって、勾配付記録率DR(11)〜DR(14)では、上流側勾配θuと下流側勾配θdが、図12(A)の下流端部印刷処理DPの勾配付記録率DR(1)〜DR(6)より小さい。また、図12(E)から解るように、勾配付記録率DR(11)〜DR(14)は、図7(B)の基本ドットパターンデータDPDの記録率DRと同じである。
図12(B)、(C)の下流側の中間印刷処理DIPの最初の2回のパス処理P(7)、P(8)の勾配付記録率DR(7)、DR(8)は、パス処理P(1)〜P(6)の使用ノズル長20dより10d、20dだけそれぞれ長い使用ノズル長30d、40dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(7)、DR(8)の下流側ノズル長NLdは、図12(A)の勾配付記録率DR(1)〜DR(6)の下流側ノズル長NLdと等しい。したがって、勾配付記録率DR(7)、DR(8)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(1)〜DR(6)の下流側勾配θdと同じである。
勾配付記録率DR(7)、DR(8)の上流側ノズル長NLuは、図12(A)の勾配付記録率DR(1)〜DR(6)の上流側ノズル長NLu(10d)より10d、20dだけそれぞれ長い20d、30dである。したがって、勾配付記録率DR(7)、DR(8)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(1)〜DR(6)の上流側勾配θuより小さい。勾配付記録率DR(8)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(7)の上流側勾配θuより小さい。
勾配付記録率DR(7)の上流側ノズル長NLuは、図12(E)の中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側ノズル長NLuより短い。したがって、勾配付記録率DR(7)の上流側勾配θuは、図12(E)の勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側勾配θuより大きい。勾配付記録率DR(8)の上流側ノズル長NLuは、図12(E)の勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側ノズル長NLuと等しい。したがって、勾配付記録率DR(7)の上流側勾配θuは、図12(E)の勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側勾配θuと同じである。
勾配付記録率DR(7)、DR(8)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより長い。したがって、勾配付記録率DR(7)、DR(8)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより小さい。そして、勾配付記録率DR(7)、DR(8)の最大記録率ノズルの位置は、図12(B)、(C)に示す破線の比較例と比較すると解るように、搬送方向の中心より下流側に位置している。
図12(D)、(E)の下流側の中間印刷処理DIPの最後の2回のパス処理P(9)、P(10)の勾配付記録率DR(9)、DR(10)は、パス処理P(8)の使用ノズル長40dより10d、20dだけそれぞれ長い使用ノズル長50d、60dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(9)、DR(10)の下流側ノズル長NLdは、図12(A)の勾配付記録率DR(1)〜DR(6)、および、図12(B)、(C)の勾配付記録率DR(7)、DR(8)の下流側ノズル長NLd(10d)より10d、20dだけそれぞれ長い20d、30dである。したがって、勾配付記録率DR(9)、DR(10)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(1)〜DR(8)の下流側勾配θdより小さい。勾配付記録率DR(10)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(9)の下流側勾配θdより小さい。
勾配付記録率DR(10)の下流側ノズル長NLdは、中央部印刷処理MPのパス処理P(11)〜P(14)の勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の下流側ノズル長NLd(30d)と等しい。したがって、勾配付記録率DR(10)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の下流側勾配θdと同じである。
勾配付記録率DR(9)、DR(10)の上流側ノズル長NLuは、図12(C)の勾配付記録率DR(8)、および、図12(E)の勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側ノズル長NLu(30d)と等しい。したがって、勾配付記録率DR(9)、DR(10)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(8)、DR(11)〜DR(14)の上流側勾配θuと同じである。
勾配付記録率DR(9)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより長い。したがって、勾配付記録率DR(9)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより小さい。そして、勾配付記録率DR(9)の最大記録率ノズルの位置は、図12(D)に示す破線の比較例と比較すると解るように、搬送方向の中心より下流側に位置している。
図12(E)に示すように、下流側の中間印刷処理DIPの最後のパス処理P(10)の勾配付記録率DR(10)と、中央部印刷処理MPの最初のパス処理P(11)の勾配付記録率DR(11)とは、同一である。
以上の説明から解るように、上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdの観点から見ると、下流端部印刷処理DPの最後のパス処理P(6)から下流側の中間印刷処理DIPの最後のパス処理P(10)までの勾配付記録率DR(6)〜DR(10)は、パス番号が増加するに連れて、以下のように変化する。先ず、下流側ノズル長NLdが変化せず、上流側ノズル長NLuだけが10dずつ2回に亘って長くされる。この結果、上流側ノズル長NLuが、中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側ノズル長NLuと同じにされる。その後に、上流側ノズル長NLuが変化せず、下流側ノズル長NLdだけが10dずつ2回に亘って長くされる。この結果、下流側ノズル長NLdが、中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の下流側ノズル長NLdと同じにされる。これによって、下流側の中間印刷処理DIPの最後のパス処理P(10)の勾配付記録率DR(10)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdは、中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(11)〜DR(14)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdと同じにされる。
このように、下流側の中間印刷処理DIPは、上流側ノズル長NLuが下流端部印刷処理DPより長く、かつ、下流側ノズル長NLdが下流端部印刷処理DPと同じである勾配付記録率DR(7)、DR(8)を用いる2回のパス処理P(7)、P(8)と、パス処理P(7)、P(8)の後に実行され、上流側ノズル長NLuが中央部印刷処理MPと同じであり、かつ、下流側ノズル長NLdが下流端部印刷処理DPより長い勾配付記録率DR(9)、DR(10)を用いる2回のパス処理P(9)、P(10)と、を含む。そして、2回のパス処理P(7)、P(8)で用いられる勾配付記録率DR(7)、P(8)の上流側ノズル長NLuは、パス番号が増加するに連れて、順次に長くなり、2回のパス処理P(9)、P(10)で用いられる勾配付記録率DR(9)、DR(10)の前記第2の勾配は、パス番号が増加するに連れて、順次に長くなる。
また、上流側勾配θuおよび下流側勾配θdの観点から見ると、勾配付記録率DR(6)〜DR(10)は、パス番号が増加するに連れて、以下のように変化する。先ず、下流側勾配θdが変化せず、上流側勾配θuだけが2回に亘って小さくされ、上流側勾配θuが、中央部印刷処理MPの最初のパス処理P(11)の上流側勾配θuと同じにされる。その後に、上流側勾配θuが変化せず、下流側勾配θdだけが2回に亘って小さくされて、下流側勾配θdが、中央部印刷処理MPの最初のパス処理P(11)の下流側勾配θdと同じにされる。この結果、下流側の中間印刷処理DIPの最後のパス処理P(10)の上流側勾配θuおよび下流側勾配θdは、中央部印刷処理MPの最初のパス処理P(11)の上流側勾配θuおよび下流側勾配θdと同じにされる。
このように、下流側の中間印刷処理DIPは、上流側勾配θuが下流端部印刷処理DPより小さく、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理DPと同じである勾配付記録率DR(7)、DR(8)を用いる2回のパス処理P(7)、P(8)と、パス処理P(7)、P(8)の後に実行され、上流側勾配θuが中央部印刷処理MPと同じであり、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理DPより小さな勾配付記録率DR(9)、DR(10)を用いる2回のパス処理P(9)、P(10)と、を含む。そして、2回のパス処理P(7)、P(8)で用いられる勾配付記録率DR(7)、P(8)の上流側勾配θuは、パス番号が増加するに連れて、順次に小さくなり、2回のパス処理P(9)、P(10)で用いられる勾配付記録率DR(9)、DR(10)の下流側勾配θdは、パス番号が増加するに連れて、順次に小さくなる。
以上のような勾配付記録率が用いられることによって、本実施例の通常制御の印刷は、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
図10を参照してより詳しく説明する。図10の右側には、図10の各パス処理のヘッド位置に対応して、上述した勾配付記録率が図示されている。図10の右側に実線で示された勾配付記録率は、パス番号が奇数であるパス処理(奇数パスとも呼ぶ)の勾配付記録率であり、破線で示された勾配付記録率は、パス番号が偶数であるパス処理(偶数パスとも呼ぶ)の勾配付記録率である。
図10の右側で円CRで囲んだ搬送方向の位置には、用紙Mにおいて、一のパス処理の使用ノズルの下流端のノズルNZと、他のパス処理Pの使用ノズルの上流端のノズルNZと、が位置する。このために、円CRで囲んだ位置では、搬送量のばらつきに起因して、ラスタライン間の間隔がばらつきやすい。このために、円CRで囲んだ位置では、バンディングが発生しやすい。本実施例では、勾配付記録率を用いているので、円CRで囲んだ位置において形成されるドットのうち、一のパス処理の使用ノズルの下流端のノズルNZと、他のパス処理Pの使用ノズルの上流端のノズルNZと、によって形成されるドットの割合が小さくなる。この結果、円CRで囲んだ位置のバンディングを目立ち難くすることによって、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
そして、本実施例では、上述したように、上流側勾配θuや下流側勾配θd、および、上流側ノズル長NLuや下流側勾配θdが工夫された勾配付記録率が用いられている。この結果、例えば、図10の右側の区間A1に示すように、パス処理P(5)の勾配付記録率DR(5)の上流側勾配θuを有する部分PRaと、パス処理P(7)の勾配付記録率DR(7)の下流側勾配θdを有する部分PRbと、同じ区間に位置している。これらの2個の部分PRa、PRbは、勾配(傾きの大きさ)が互いに等しく、傾きの方向(上流に向かって小さくなるか、下流に向かって小さくなるか)が互いに異なる。このために、これらの2個の部分PRa、PRbの記録率DRの和は、区間A1内の全ての位置で一定値になる。区間A2に位置する勾配付記録率DR(7)の上流側勾配θuを有する部分PRcと、勾配付記録率DR(9)の下流側勾配θdを有する部分PRdについても同様である。また、図示は省略するが、偶数パスの勾配付記録率(図10右側の破線)についても同様である。したがって、図10の右側に示すように、奇数パスの記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(50%)に維持され、偶数パスの記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(50%)に維持されている。これによって、全てのパス処理の記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(100%)に維持されている。この結果、全てのラスタラインに印刷可能なドットの個数を、搬送方向の位置に拘わらずに、一定に維持できる。
図10の右側には、図12(B)〜(C)に破線で示す比較例の勾配付記録率を用いた場合の奇数パスの合計の記録率が図示されている。仮に、下流側の中間印刷処理DIPにて、このような単純な勾配付記録率を用いると、図10に示すように、奇数パスの合計の記録率が搬送方向の位置によって変化し、一定にならない。図の煩雑を避けるために、図示を省略するが、比較例の勾配付記録率を用いると、奇数パスの合計の記録率も一定にならず、その結果、全てのパス処理の記録率の合計値も一定にならない。しがたって、比較例では、下流端部印刷処理DPから中央部印刷処理MPへ移行する領域において、ラスタラインに印刷可能なドットの個数が一定にならず、当該領域において濃度のムラが発生する。
本実施例では、下流端部印刷処理DPから中央部印刷処理MPへ移行する領域において実行される下流側の中間印刷処理DIPにて、先ず、勾配付記録率の上流側勾配θuだけが小さくされ、その後に、下流側勾配θdだけが大きくされる。換言すれば、先ず、上流側ノズル長NLuだけが長くされ、その後に、下流側ノズル長NLdだけが長くされる。この結果、パス処理の記録率の合計値を一定に近づけることができる。そして、より具体的には、上流側ノズル長NLuが2回に亘って等量ずつ長くされ、その後に下流側ノズル長NLdが2回に亘って等量ずつ長くされる。この結果、全てのパス処理の記録率の合計値を一定とすることができる。したがって、下流端部印刷処理DPから中央部印刷処理MPへ移行する領域にて、ラスタラインに印刷可能なドットの個数を、搬送方向の位置に拘わらずに、一定に維持できるので、当該領域における濃度のムラの発生を抑制できる。以上の説明から解るように、本実施例によれば、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。また、奇数パスの記録率DRの合計値と、偶数パスの記録率DRの合計値と、を、搬送方向の位置に拘わらずに、それぞれ同じ一定値(50%)に維持することができるので、図9(B)のように、奇数番目のラスタラインのそれぞれを、2回の奇数パスで印刷し、偶数番目のラスタラインのそれぞれを、2回の偶数パスを用いて印刷する4パス印刷が実行される場合であっても、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
また、下流端部印刷処理DPは、上流側保持部(本実施例では、図3(A)の上流ローラ対217、複数個の高支持部材212、複数個の押さえ部材216の全体)によって用紙が保持され、下流側保持部(本実施例では、図3の下流ローラ対218)によって用紙が保持されない状態S1(図11)で行われる。そして、中央部印刷処理MPは、上流側保持部と下流側保持部とによって用紙が保持される状態S2(図11)で行われる。この結果、このような用紙の搬送状態の移行時、即ち、状態S1から状態S2への移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
本実施例では、下流端部印刷処理DPの使用ノズル(図10、図12(A))は、支持部材212、213と対向する位置に形成されたノズル(例えば、最上流ノズルNZu)を含まず、非支持部ATと対向する位置に形成されたノズル(例えば、最下流ノズルNZd)を含む。そして、中央部印刷処理MPの使用ノズル(図10、図12(E))は、支持部材212、213と対向する位置に形成されたノズル(例えば、最上流ノズルNZu)と、非支持部ATと対向する位置に形成されたノズル(例えば、最下流ノズルNZd)と、の両方を含んでいる。そして、上述したように、下流側の中間印刷処理DIPのパス処理P(7)〜P(10)では、使用ノズルの上流端の位置が順次に上流側に変更されることによって、使用ノズルの個数が順次に増加する。この結果、用紙の下流端を下流端部印刷処理DPによって縁なし印刷する際に、支持部材212、213にインクが付着することを抑制できる。したがって、用紙Mの汚れを抑制できる。
(中央部から上流端の印刷)
図13は、通常制御において、用紙Mの中央部から上流端の領域が印刷される際のヘッド位置をパス処理ごとに示す図である。各ヘッド位置は、用紙Mの上流端を、図13の破線で示す位置とした場合における搬送方向の位置を示している。ヘッド位置は、上方に示すパス番号16〜26のパス処理P(16)〜P(26)に対応している。
図13に示すように、搬送処理F(16)〜F(21)の搬送量は、「15d」であり、搬送処理F(22)〜F(26)の搬送量は、「5d」である。
本実施例では、上述したように、縁なし印刷が実行されるので、図13において、印刷領域PAの上流端は、用紙Mの上流端より僅かに上流側に位置している。
図10と同様に、図13の各ヘッド位置を示す枠内のハッチングされた領域は、使用ノズルが位置する使用ノズル領域を示し、使用ノズル領域に付された値(例えば、20d、30d)は、使用ノズル長を示している。なお、パス処理P(23)〜P(26)の使用ノズルのうち、印刷領域PAの上流端より上流側のノズルには、上述した記録率DRが規定されるもののドットを形成しないことを示すドットデータが割り当てられるので、印刷領域PAの上流端より上流側のノズルは、実際には、ドットを形成しない。
図14は、通常制御において、用紙Mの中央部から上流端の領域が印刷される際の印刷ヘッド240に対する用紙Mの位置をパス処理ごとに示す図である。図14には、パス処理P(16)〜P(26)に対応する11個の位置にある用紙M16〜M26が図示されている。図11と同様に、図14の用紙M16〜M26上のハッチングされた領域は、対応するパス処理によって印刷される用紙上の印刷領域を示している。
CPU110は、搬送方向に搬送される用紙Mの中央部の印刷に続いて、用紙Mの上流流の近傍の領域の印刷を実行する。図13のパス処理P(17)は、中央部印刷処理MPの最後のパス処理P(17)である。
通常制御の搬送処理F(22)から最後のパス処理P(26)までの用紙Mの上流端の近傍を印刷する処理を上流端部印刷処理UPaと呼ぶ(図13)。上流端部印刷処理UPaでは、図14に示すように、用紙は、上流ローラ対217によって保持されず、かつ、複数個の高支持部材212と複数個の押さえ部材216とによって保持されていない。また、用紙は、下流ローラ対218によって保持されている。この保持状態を保持状態S4とも呼ぶ(図14)。また、上流端部印刷処理UPaは、使用ノズル長20dのパス処理P(22)〜P(26)を含む。上流端部印刷処理UPaは、保持状態S4で実行される搬送量5dの搬送処理F(22)〜F(26)を含む。
上流端部印刷処理UPaでは、縁なし印刷を行うために、用紙Mの上流端より上流にもインクが吐出される。用紙Mの上流端より下流に吐出されたインクが、用紙を支持する支持部材212、213に付着すると、インクが用紙Mにも付着して用紙Mが汚れる可能性がある。したがって、用紙Mの上流端より上流にインクを吐出し得るノズルは、インクが支持部材212、213に付着しないように、用紙を支持しない非支持部ATと対向するノズルであることが好ましい。このために、上流端部印刷処理UPaで用いられる使用ノズル長20d分のノズルは、下流端部印刷処理DPと同様に、下流側の一部のノズルとされている。即ち、上流端部印刷処理UPaで用いられる使用ノズル長20d分のノズルは、最下流ノズルNZdを含み、最上流ノズルNZuを含まない。
上流端部印刷処理UPaでは、用紙が上流側保持部218、212、213、216で保持されていないので、中央部印刷処理MPの保持状態S2より用紙の搬送精度が低い。このために、保持状態S4で実行される上流端部印刷処理UPaの搬送処理F(22)〜F(26)では、搬送量のばらつきに起因するラスタラインの位置ずれを抑制するために、中央部印刷処理MPの搬送処理F(16)〜F(17)の搬送量15dより小さな搬送量5dが用いられる。このために、上流端部印刷処理UPaのパス処理P(22)〜P(26)の使用ノズル長20dは、中央部印刷処理のパス処理P(16)、P(17)の使用ノズル長60dより短い。換言すれば、上流端部印刷処理UPaのパス処理P(22)〜P(26)の使用ノズルの個数は、中央部印刷処理のパス処理P(16)、P(17)の使用ノズルの個数より少ない。
通常制御において、中央部印刷処理MPと、上流端部印刷処理UPaと、の間の印刷処理、本実施例では、搬送処理F(18)からパス処理P(21)までの印刷処理を、上流側の中間印刷処理UIPaと呼ぶ。上流側の中間印刷処理UIPaのパス処理P(18)〜P(21)の使用ノズル長50d、40d、30d、20dは、上流端部印刷処理UPaの使用ノズル長20d以上であり、中央部印刷処理MPの使用ノズル長60dより短い(図13)。換言すれば、上流側の中間印刷処理UIPaのパス処理P(18)〜P(21)の使用ノズルの個数は、上流端部印刷処理UPaの使用ノズルの個数以上で、中央部印刷処理MPの使用ノズルの個数より少ない。
これらの4回のパス処理P(18)〜P(21)の使用ノズル長は、パス番号が増加するに連れて、直前のパス処理の使用ノズル長より等量ずつ、具体的には、10dずつ短くなる。より具体的には、パス処理P(18)〜P(21)の使用ノズルのうち、下流端のノズルは、いずれも同じノズル(最下流ノズルNZd)であり、上流端のノズルは、パス番号が増加するに連れて、順次に、下流側に10dずつ移動している。換言すれば、これらの4回のパス処理P(18)〜P(21)の使用ノズルの個数は、パス番号が増加するに連れて、等量ずつ、具体的には、10d分のノズル数ずつ少なくなる。4パス印刷では、上流側の中間印刷処理UIPaの使用ノズル長の減少量10dは、中央部印刷処理MPの使用ノズル長60dと、上流端部印刷処理UPaの使用ノズル長20dと、の差分40dを4で割った値である。
中央部印刷処理MPの途中で、図13の例では、搬送処理F(18)が実行されるときに、用紙の保持状態は、保持状態S2から、保持状態S3に移行する。保持状態S3は、用紙が、上流ローラ対217によって保持されず、かつ、複数個の高支持部材212と複数個の押さえ部材216とによって保持され、かつ、下流ローラ対218によって保持されている状態である。さらに、中央部印刷処理MPの途中で、図13の例では、搬送処理F(19)が実行されるときに、用紙の保持状態は、保持状態S3から、保持状態S4に移行する。したがって、搬送処理F(20)、F(21)は、保持状態S4で行われる。
図15は、通常制御における中央部から上流端の領域の印刷のパス処理の勾配付記録率を示す図である。図15(A)の中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(16)、DR(17)は、図12(E)を参照して上述したとおりである。
図15(E)の上流端部印刷処理UPaのパス処理P(22)〜P(26)の勾配付記録率DR(22)〜DR(26)は、図12(A)の下流端部印刷処理DPの勾配付記録率DR(1)〜DR(6)と同じである。即ち、勾配付記録率DR(22)〜DR(26)は、使用ノズル長20d分のノズルについて規定されている。勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdは、互いに等しい値10dである(NLu=NLd=10d)。したがって、勾配付記録率DR(22)〜DR(26)では、上流側勾配θuと、下流側勾配θdと、は互いに等しい。
図15(B)、(C)の上流側の中間印刷処理UIPaの最初の2回のパス処理P(18)、P(19)の勾配付記録率DR(18)、DR(19)は、パス処理P(16)、P(17)の使用ノズル長60dより10d、20dだけそれぞれ短い使用ノズル長50d、40dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(18)、DR(19)の下流側ノズル長NLdは、図15(A)の勾配付記録率DR(16)、DR(17)の下流側ノズル長NLdと等しい。したがって、勾配付記録率DR(18)、DR(19)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(16)、DR(17)の下流側勾配θdと同じである。
勾配付記録率DR(18)、DR(19)の上流側ノズル長NLuは、図15(A)の勾配付記録率DR(16)、DR(17)の上流側ノズル長NLu(30d)より10d、20dだけそれぞれ短い20d、10dである。したがって、勾配付記録率DR(18)、DR(19)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(16)、DR(17)の上流側勾配θuより大きい。勾配付記録率DR(19)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(18)の上流側勾配θuより大きい。
勾配付記録率DR(18)の上流側ノズル長NLuは、図15(E)の上流端部印刷処理UPaの勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側ノズル長NLuより長い。したがって、勾配付記録率DR(18)の上流側勾配θuは、図15(E)の勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側勾配θuより小さい。勾配付記録率DR(19)の上流側ノズル長NLuは、図15(E)の勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側ノズル長NLuと等しい。したがって、勾配付記録率DR(19)の上流側勾配θuは、図15(E)の勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側勾配θuと同じである。
勾配付記録率DR(18)、DR(19)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより短い。したがって、勾配付記録率DR(18)、DR(19)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより大きい。そして、勾配付記録率DR(18)、DR(19)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心より上流側に位置している。
図15(D)、(E)の上流側の中間印刷処理UIPaの最後の2回のパス処理P(20)、P(21)の勾配付記録率DR(20)、DR(21)は、パス処理P(19)の使用ノズル長40dより10d、20dだけそれぞれ短い使用ノズル長30d、20dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(20)、DR(21)の下流側ノズル長NLdは、図15(A)の勾配付記録率DR(16)、DR(17)、および、図15(B)、(C)の勾配付記録率DR(18)、DR(19)の下流側ノズル長NLd(30d)より10d、20dだけそれぞれ短い20d、10dである。したがって、勾配付記録率DR(20)、DR(21)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(16)〜DR(19)の下流側勾配θdより大きい。勾配付記録率DR(21)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(20)の下流側勾配θdより大きい。
勾配付記録率DR(21)の下流側ノズル長NLdは、上流端部印刷処理UPaのパス処理P(22)〜P(26)の勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の下流側ノズル長NLd(10d)と等しい。したがって、勾配付記録率DR(21)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の下流側勾配θdと同じである。
勾配付記録率DR(20)、DR(21)の上流側ノズル長NLuは、図15(C)の勾配付記録率DR(19)、および、図15(E)の勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側ノズル長NLu(10d)と等しい。したがって、勾配付記録率DR(20)、DR(21)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(19)、DR(22)〜DR(26)の上流側勾配θuと同じである。
勾配付記録率DR(20)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより短い。したがって、勾配付記録率DR(20)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより大きい。そして、勾配付記録率DR(20)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心より上流側に位置している。
図15(E)に示すように、上流側の中間印刷処理UIPaの最後のパス処理P(21)の勾配付記録率DR(21)と、上流端部印刷処理UPaの最初のパス処理P(22)の勾配付記録率DR(22)とは、同一である。
以上の説明から解るように、上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdの観点から見ると、中央部印刷処理MPの最後のパス処理P(17)から上流側の中間印刷処理UIPaの最後のパス処理P(21)までの勾配付記録率DR(17)〜DR(21)は、パス番号が増加するに連れて、以下のように変化する。先ず、下流側ノズル長NLdが変化せず、上流側ノズル長NLuだけが10dずつ2回に亘って短くされる。この結果、上流側ノズル長NLuが、上流端部印刷処理UPaの勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側ノズル長NLuと同じにされる。その後に、上流側ノズル長NLuが変化せず、下流側ノズル長NLdだけが10dずつ2回に亘って短くされる。この結果、下流側ノズル長NLdが、上流端部印刷処理UPaの勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の下流側ノズル長NLdと同じにされる。これによって、上流側の中間印刷処理UIPaの最後のパス処理P(21)の勾配付記録率DR(21)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdは、上流端部印刷処理UPaの勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdと同じにされる。
換言すれば、上流側の中間印刷処理UIPaは、上流側ノズル長NLuが中央部印刷処理MPより短く、かつ、下流側ノズル長NLdが中央部印刷処理MPと同じである勾配付記録率DR(18)、DR(19)を用いて実行される2回のパス処理P(18)、P(19)と、パス処理P(18)、P(19)の後に実行され、上流側ノズル長NLuが上流端部印刷処理UPaと同じであり、かつ、下流側ノズル長NLdが中央部印刷処理MPより短い勾配付記録率DR(20)、DR(21)を用いて実行される2回のパス処理P(20)、P(21)と、を含む。そして、2回のパス処理P(18)、P(19)で用いられる勾配付記録率DR(18)、DR(19)の上流側ノズル長NLuは、順次に短くなり、2回のパス処理P(20)、P(21)で用いられる勾配付記録率DR(20)、DR(32)の下流側ノズル長NLdは、順次に短くなる。
また、上流側勾配θuおよび下流側勾配θdの観点から見ると、勾配付記録率DR(6)〜DR(21)は、パス番号が増加するに連れて、以下のように変化する。先ず、下流側勾配θdが変化せず、上流側勾配θuだけが2回に亘って大きくされる。この結果、上流側勾配θuが、上流端部印刷処理UPaの勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側勾配θuと同じにされる。その後に、上流側勾配θuが変化せず、下流側勾配θdだけが2回に亘って大きくされる。この結果、下流側勾配θdが、上流端部印刷処理UPaの勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の下流側勾配θdと同じにされる。これによって、上流側の中間印刷処理UIPaの最後のパス処理P(21)の勾配付記録率DR(21)の上流側勾配θuおよび下流側勾配θdは、上流端部印刷処理UPaの勾配付記録率DR(22)〜DR(26)の上流側勾配θuおよび下流側勾配θdと同じにされる。
換言すれば、下流側の中間印刷処理DIPは、上流側勾配θuが中央部印刷処理MPより大きく、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理MPと同じである勾配付記録率DR(18)、DR(19)を用いて実行されるパス処理P(18)、P(19)と、パス処理P(18)、P(19)の後に実行され、上流側勾配θuが上流端部印刷処理UPaと同じであり、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理MPより大きな勾配付記録率DR(20)、DR(21)を用いて実行されるパス処理P(20)、P(21)と、を含む。そして、2回のパス処理P(18)、P(19)で用いられる勾配付記録率DR(18)、DR(19)の上流側勾配θuは、順次に大きくなり、2回のパス処理P(20)、P(21)で用いられる勾配付記録率DR(20)、DR(32)の下流側勾配θdは、順次に大きくなる。
以上のような勾配付記録率が用いられることによって、本実施例の通常制御の印刷は、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
図13を参照してより詳しく説明する。図13の右側には、図13の各パス処理のヘッド位置に対応して、上述した勾配付記録率が図示されている。図13の右側に実線で示された勾配付記録率は、奇数パスの勾配付記録率であり、破線で示された勾配付記録率は、偶数パスの勾配付記録率である。
本実施例では、勾配付記録率を用いているので、上述したように、一のパス処理の使用ノズルの下流端のノズルNZと、他のパス処理Pの使用ノズルの上流端のノズルNZと、が位置する用紙M上の位置に、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
そして、本実施例では、上述したように、上流側勾配θuや下流側勾配θd、および、上流側ノズル長NLuや下流側勾配θdが工夫された勾配付記録率が用いられているので、図13の右側に示すように、奇数パスの記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(50%)に維持され、偶数パスの記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(50%)に維持されている。その結果、全てのパス処理の記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(100%)に維持されている。この結果、全てのラスタラインに印刷可能なドットの個数を、搬送方向の位置に拘わらずに、一定に維持できる。例えば、単純な勾配付記録率を用いると、図10の下流端から中央部の印刷と同様に、奇数パスの記録率DRの合計値や偶数パスの記録率DRの合計値、引いては全てのパスの記録率DRの合計値が、中央部印刷処理MPから上流端部印刷処理UPaに移行する領域において一定値にならない。本実施例では、当該領域においてもこれらの記録率DRの合計値を一定に維持することができる。以上の説明から解るように、本実施例によれば、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
また、中央部印刷処理MPは、上流側保持部と下流側保持部とによって用紙が保持される状態S2(図14)で行われる。そして、上流端部印刷処理UPaは、上流側保持部(本実施例では、図3(A)の上流ローラ対217、複数個の高支持部材212、複数個の押さえ部材216の全体)によって用紙が保持されず、下流側保持部(本実施例では、図3の下流ローラ対218)によって用紙が保持される状態S4(図14)で行われる。この結果、このような用紙の搬送状態の移行時、即ち、状態S2から状態S4への移行時に印刷される領域の濃度のムラを低減することができる。
本実施例では、上流端部印刷処理UPaの使用ノズル(図13、図15(E))は、支持部材212、213と対向する位置に形成されたノズル(例えば、最上流ノズルNZu)を含まず、非支持部ATと対向する位置に形成されたノズル(例えば、最下流ノズルNZd)を含む。そして、中央部印刷処理MPの使用ノズル(図13、図15(A))は、支持部材212、213と対向する位置に形成されたノズル(例えば、最上流ノズルNZu)と、非支持部ATと対向する位置に形成されたノズル(例えば、最下流ノズルNZd)と、の両方を含んでいる。そして、上述したように、上流側の中間印刷処理UIPaのパス処理P(18)〜P(21)では、使用ノズルの上流端の位置が順次に下流側に変更されることによって、使用ノズルの個数が順次に減少する。この結果、用紙Mの上流端を上流端部印刷処理UPaによって縁なし印刷する際に、支持部材212、213にインクが付着することを抑制できる。したがって、用紙Mの汚れを抑制できる。
さらに、中央部印刷処理MPで用いられる勾配付記録率DR(11)〜DR(17)は、図7(B)の基本ドットパターンデータDPDの勾配付記録率と同じである。そして、下流側および上流側の中間印刷処理DIP、UIPa、UIPbの勾配付記録率(例えば、DR(7)〜DR(9)、DR(18)〜DR(21))は、基本ドットパターンデータDPDの勾配付記録率とは異なる。このために、図6の印刷データ生成処理にて説明したように、中間印刷処理DIP、UIPa、UIPbの勾配付記録率に従ったドットパターンデータDPDaは、中央部印刷処理MPで用いられる勾配付記録率に従った基本ドットパターンデータDPDを用いて、生成される。この結果、全ての勾配付記録率についてドットパターンデータを予め不揮発性記憶装置130に記憶する必要がないので、不揮発性記憶装置130の容量を節約できる。さらに、使用ノズル長が比較的長い中央部印刷処理MP用の基本ドットパターンデータDPDを用いて、使用ノズル長が比較的短い中間印刷処理DIP、UIPa、UIPb用のドットパターンデータDPDaが生成される。この結果、基本ドットパターンデータDPDを間引くだけで、適切な中間印刷処理DIP、UIPa、UIPb用のドットパターンデータDPDaを生成することができる。
なお、以上の説明から解るように、上流側の中間印刷処理UIPaのパス処理P(18)、P(19)は、第1パス処理の例であり、パス処理P(20)、P(21)は、第2パス処理の例である。また、下流側の中間印刷処理DIPのパス処理P(7)、P(8)は、第3パス処理の例であり、パス処理P(9)、P(10)は、第4パス処理の例である。また、基本ドットパターンデータDPDは、基本ドット形成情報および第1のドット形成情報の例である。そして、上流側の中間印刷処理UIPaの勾配付記録率DR(18)〜DR(21)に従うドットパターンデータDPDaは、第2のドット形成情報の例であり、下流側の中間印刷処理DIPの勾配付記録率DR(7)〜DR(9)に従うドットパターンデータDPDaは、第3のドット形成情報の例である。
A−5−1. 特別制御
次に、特別制御での印刷について説明する。特別制御では、下流端から中央部の印刷が、通常制御と同じであり、中央部から上流端の印刷が、通常制御とは異なる。以下、通常制御とは異なる特別制御の中央部から上流端の印刷について説明する。
(中央部から上流端の印刷)
図16は、特別制御において、用紙Mの中央部から上流端の領域が印刷される際のヘッド位置をパス処理ごとに示す図である。図16には、上方に示すパス番号16〜28のパス処理P(16)〜P(28)に対応するヘッド位置が示されている。
図10、図13と同様に、図16の各ヘッド位置を示す枠内のハッチングされた使用ノズル領域に付された値(例えば、60d、20d)は、使用ノズル長を示している。なお、パス処理P(26)〜P(28)の使用ノズルのうち、印刷領域PAの上流端より上流側のノズルには、上述した記録率DRが規定されるもののドットを形成しないことを示すドットデータが割り当てられるので、印刷領域PAの上流端より上流側のノズルは、実際には、ドットを形成しない。
図17は、特別制御において、用紙Mの中央部から上流端の領域が印刷される際の印刷ヘッド240に対する用紙Mの位置をパス処理ごとに示す図である。図17には、パス処理P(16)〜P(28)に対応する13個の位置にある用紙M16〜M28が図示されている。図11、図14と同様に、図17の用紙M16〜M28上のハッチングされた領域は、対応するパス処理によって印刷される用紙上の印刷領域を示している。
図16、図17に示すように、搬送処理F(16)〜F(17)の搬送量は、「15d」であり、搬送処理F(18)〜F(21)の搬送量は、「2d」である。搬送処理F(22)の搬送量は、「54d」であり、搬送処理F(22)は、上述した大搬送量での搬送処理である。搬送処理F(23)〜F(25)の搬送量は、「2d」であり、搬送処理F(26)〜F(28)の搬送量は、「5d」である。
特別制御の搬送処理F(23)から最後のパス処理P(28)までの用紙Mの上流端の近傍を印刷する処理を、上流端部印刷処理UPbと呼ぶ(図16)。上流端部印刷処理UPbでは、図17に示すように、用紙Mの保持状態は、上述した保持状態S4である。
上流端部印刷処理UPbでは、縁なし印刷を行うために、上流端部印刷処理UPbの使用ノズルは、上述した通常制御の上流端部印刷処理UPaと同様に、下流側の一部のノズルとされている。即ち、上流端部印刷処理UPbで用いられる使用ノズルは、最下流ノズルNZdを含み、最上流ノズルNZuを含まない。
特別制御において、中央部印刷処理MPと、上流端部印刷処理UPbと、の間の印刷処理、本実施例では、搬送処理F(18)からパス処理P(22)までの印刷処理を、上流側の中間印刷処理UIPbと呼ぶ。上流側の中間印刷処理UIPbのパス処理P(18)〜P(22)の使用ノズル長は、中央部印刷処理MPの使用ノズル長60dより小さい(図16)。換言すれば、上流側の中間印刷処理UIPbのパス処理P(18)〜P(22)の使用ノズルの個数は、中央部印刷処理MPの使用ノズルの個数より少ない。
これらのパス処理P(18)〜P(22)のうち、大搬送量54dでの搬送処理F(22)の前の4回のパス処理P(18)〜P(21)の使用ノズル長は、パス番号が増加するに連れて、直前のパス処理の使用ノズル長より等量ずつ、具体的には、13dずつ短くなる。即ち、パス処理P(18)〜P(21)の使用ノズル長は、それぞれ、47d、34d、21d、8dである。より具体的には、パス処理P(18)〜P(21)の使用ノズルのうち、上流端のノズルは、いずれも同じノズル(最上流ノズルNZu)であり、下流端のノズルは、パス番号が増加するに連れて、順次に、上流側に13dずつ移動している。換言すれば、これらの4回のパス処理P(18)〜P(21)の使用ノズルの個数は、パス番号が増加するに連れて、等量ずつ、具体的には、13d分のノズル数ずつ少なくなる。大搬送量54dでの搬送処理F(22)の前の4回の搬送処理F(18)〜P(21)の搬送量は、2dである。
このように、大搬送量54dでの搬送処理F(22)の前に、4回の比較的小さな搬送量2dでの搬送処理F(18)〜P(21)を行いつつ、パス処理P(18)〜P(21)の使用ノズル長を、順次に短くすることによって、印刷できないラスタラインが発生しないように、大搬送量54dでの搬送処理F(22)を行うことが可能になる。
搬送量2dでの搬送処理F(18)が実行されるときに、用紙の保持状態は、保持状態S2から保持状態S3に移行する。そして、大搬送量54dでの搬送処理F(22)が実行されるときに、用紙の保持状態は、保持状態S3から保持状態S4に移行する。即ち、大搬送量54dでの搬送処理F(22)が実行されるときに、用紙が印刷ヘッド240の上流側と下流側の両方が保持された状態から、下流側だけが保持された状態に移行する。このように、大搬送量54dでの搬送処理F(22)を行うことによって、保持状態S4での印刷時において、用紙Mのうち、下流ローラ対218よりも上流側に位置する部分の長さを、特別制御より短くすることができる。
大搬送量54dでの搬送処理F(22)の後の3回の搬送処理、即ち、上流端部印刷処理UPbの最初の3回のF(23)〜P(25)は、比較的小さな搬送量2dで行われる。これによって、大搬送量54dでの搬送処理F(22)後に、印刷できないラスタラインが発生することを防ぐことができる。また、大搬送量54dでの搬送処理F(22)の後の4回のパス処理の使用ノズル長は、順次に長くされる。即ち、上流側の中間印刷処理UIPbの最後のパス処理P(22)と、上流端部印刷処理UPbの最初の3回のパス処理P(23)〜P(25)の使用ノズル長は、パス番号が増加するに連れて、直前のパス処理の使用ノズル長より等量ずつ、具体的には、3dずつ長くなる。従って、パス処理P(23)〜P(25)の使用ノズル長は、それぞれ、11d、14d、17d、20dである。
その後に、上流端部印刷処理UPbの搬送量5dの搬送処理F(26)〜F(28)と、使用ノズル長20dのパス処理P(26)〜P(28)と、が行われる。
なお、図14に示すように、用紙Mの上流端が、支持部材212、213によって下方から支持されていない状態、即ち、用紙Mの上流端が位置Y4より下流側にある用紙位置(図14のM22〜M26)で実行されるパス処理の回数は、通常制御では、5回である。これに対して、図17に示すように、特別制御では、このような状態(図17のM22〜M28)で実行されるパス処理の回数は、7回であり、上述したように、通常制御より多いことが解る。
図18は、特別制御における中央部から上流端の領域の印刷のパス処理の勾配付記録率を示す図である。図18(A)の中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(16)、DR(17)は、図12(E)を参照して上述したとおりである。
図18(B)、(C)の上流側の中間印刷処理UIPbの最初の2回のパス処理P(18)、P(19)の勾配付記録率DR(18)、DR(19)は、パス処理P(16)、P(17)の使用ノズル長60dより13d、26dだけそれぞれ短い使用ノズル長47d、34dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(18)、DR(19)の下流側ノズル長NLdは、図18(A)の勾配付記録率DR(16)、DR(17)の下流側ノズル長NLdと等しい。したがって、勾配付記録率DR(18)、DR(19)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(16)、DR(17)の下流側勾配θdと同じである。
勾配付記録率DR(18)、DR(19)の上流側ノズル長NLuは、図18(A)の勾配付記録率DR(16)、DR(17)の上流側ノズル長NLu(30d)より13d、26dだけそれぞれ短い17d、4dである。したがって、勾配付記録率DR(18)、DR(19)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(16)、DR(17)の上流側勾配θuより大きい。勾配付記録率DR(19)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(18)の上流側勾配θuより大きい。
勾配付記録率DR(18)、DR(19)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより短い。したがって、勾配付記録率DR(18)、DR(19)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより大きい。そして、勾配付記録率DR(18)、DR(19)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心より上流側に位置している。
図18(D)〜(E)の上流側の中間印刷処理UIPbの次の2回のパス処理P(20)、P(21)の勾配付記録率DR(20)、DR(21)は、パス処理P(19)の使用ノズル長34dより13d、26dだけそれぞれ短い使用ノズル長21d、8dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(20)、DR(21)の下流側ノズル長NLdは、図18(A)の勾配付記録率DR(16)、DR(17)、および、図18(B)、(C)の勾配付記録率DR(18)、DR(19)の下流側ノズル長NLd(30d)より13d、26dだけそれぞれ短い17d、4dである。したがって、勾配付記録率DR(20)、DR(21)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(16)〜DR(19)の下流側勾配θdより大きい。勾配付記録率DR(21)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(20)の下流側勾配θdより大きい。
勾配付記録率DR(20)、DR(21)の上流側ノズル長NLuは、図18(C)の勾配付記録率DR(19)の上流側ノズル長NLu(4d)と等しい。したがって、勾配付記録率DR(20)、DR(21)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(19)の上流側勾配θuと同じである。
勾配付記録率DR(20)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより短い。したがって、勾配付記録率DR(20)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより大きい。そして、勾配付記録率DR(20)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心より上流側に位置している。
勾配付記録率DR(21)では、上流側ノズル長NLuは、下流側ノズル長NLdと等しい。したがって、勾配付記録率DR(21)では、上流側勾配θuは、下流側勾配θdと同じである。そして、勾配付記録率DR(20)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心に位置している。
図18(F)、(G)の2回のパス処理、即ち、上流側の中間印刷処理UIPbの最後のパス処理P(22)と上流端部印刷処理UPbの最初のパス処理P(23)との勾配付記録率DR(22)、DR(23)は、パス処理P(21)の使用ノズル長8dより3d、6dだけそれぞれ長い使用ノズル長11d、14dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(22)、DR(23)の下流側ノズル長NLdは、図18(E)の勾配付記録率DR(21)の上流側ノズル長NLuと等しい。したがって、勾配付記録率DR(22)、DR(23)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(21)の上流側勾配θuと同じである。
勾配付記録率DR(22)、DR(23)の上流側ノズル長NLuは、図18(E)の勾配付記録率DR(21)の下流側ノズル長NLd(4d)より3d、6dだけそれぞれ長い7d、14dである。したがって、勾配付記録率DR(22)、DR(23)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(21)の下流側勾配θdより小さい。勾配付記録率DR(23)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(22)の上流側勾配θuより小さい。
勾配付記録率DR(22)、DR(23)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより長い。したがって、勾配付記録率DR(22)、DR(23)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより小さい。そして、勾配付記録率DR(22)、DR(23)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心より下流側に位置している。
図18(H)、(I)の上流端部印刷処理UPbの最後の2回のパス処理P(24)、P(25)の勾配付記録率DR(25)、DR(25)は、パス処理P(23)の使用ノズル長14dより3d、6dだけそれぞれ長い使用ノズル長17d、20dのノズルについて規定されている。
勾配付記録率DR(24)、DR(25)の下流側ノズル長NLdは、図18(F)、(G)の勾配付記録率DR(22)、DR(23)の下流側ノズル長NLd(4d)より3d、6dだけそれぞれ長い7d、10dである。したがって、勾配付記録率DR(24)、DR(25)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(22)〜DR(23)の下流側勾配θdより小さい。勾配付記録率DR(25)の下流側勾配θdは、勾配付記録率DR(24)の下流側勾配θdより小さい。
勾配付記録率DR(24)、DR(25)の上流側ノズル長NLuは、図18(G)の勾配付記録率DR(23)の上流側ノズル長NLu(10d)と等しい。したがって、勾配付記録率DR(24)、DR(25)の上流側勾配θuは、勾配付記録率DR(23)の上流側勾配θuと同じである。
勾配付記録率DR(24)では、上流側ノズル長NLuが、下流側ノズル長NLdより長い。したがって、勾配付記録率DR(24)では、上流側勾配θuが、下流側勾配θdより小さい。そして、勾配付記録率DR(24)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心より下流側に位置している。
勾配付記録率DR(25)では、上流側ノズル長NLuは、下流側ノズル長NLdと等しい。したがって、勾配付記録率DR(25)では、上流側勾配θuは、下流側勾配θdと同じである。そして、勾配付記録率DR(25)の最大記録率ノズルの位置は、搬送方向の中心に位置している。
以上のような勾配付記録率が用いられることによって、本実施例の特別制御の印刷は、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
図16には、各パス処理のヘッド位置に対応して、上述した勾配付記録率が図示されている。図16の右側に実線で示された勾配付記録率は、奇数パスの勾配付記録率であり、破線で示された勾配付記録率は、偶数パスの勾配付記録率である。
本実施例では、勾配付記録率を用いているので、上述したように、一のパス処理の使用ノズルの下流端のノズルNZと、他のパス処理Pの使用ノズルの上流端のノズルNZと、が位置する用紙M上の位置に、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
そして、本実施例では、上述したように、上流側勾配θuや下流側勾配θd、および、上流側ノズル長NLuや下流側勾配θdが工夫された勾配付記録率が用いられているので、図16の右側に示すように、奇数パスの記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(50%)に維持され、偶数パスの記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(50%)に維持されている。その結果、全てのパス処理の記録率DRの合計値が、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(100%)に維持されている。この結果、全てのラスタラインに印刷可能なドットの個数を、搬送方向の位置に拘わらずに、一定に維持できる。以上の説明から解るように、本実施例によれば、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
B.第2実施例:
第2実施例として、通常制御の中央部から上流端の印刷の別の例を説明する。図19は、第2実施例の通常制御において、用紙Mの中央部から上流端の領域が印刷される際のヘッド位置をパス処理ごとに示す図である。図20は、第2実施例の通常制御において、用紙Mの中央部から上流端の領域が印刷される際の印刷ヘッド240に対する用紙Mの位置をパス処理ごとに示す図である。図21は、第2実施例の通常制御における中央部から上流端の領域の印刷のパス処理の勾配付記録率を示す図である。
図13〜図15の第1実施例の通常制御の中央部から上流端の印刷と異なる点を中心に説明する。図20に示すように、第2実施例の用紙台211bは、高支持部材212、213に代えて、中央支持部TPcと、上流支持部TPuと、上流非支持部ATuと、下流非支持部ATdと、を備えている。上流非支持部ATuと下流非支持部ATdとの上面は、中央支持部TPcと上流支持部TPuとの上面より、ノズル形成面241との距離が離れている。このために、用紙台211bに沿って搬送される用紙Mは、中央支持部TPcと上流支持部TPuとの上面とによって下方から支持され、上流非支持部ATuと下流非支持部ATdとによっては支持されない。この上流非支持部ATuと下流非支持部ATdは、縁なし印刷のときに、用紙M上に吐出されないインクを受けるインク受けとして機能する。
上流非支持部ATuは、ノズル形成面241のうち、最上流ノズルNZuを含む上流側の一部のノズルが形成された部分と対向する。下流非支持部ATdは、ノズル形成面241のうち、最下流ノズルNZdを含む下流側の一部のノズルが形成された部分と対向する。中央支持部TPcは、下流非支持部ATdと上流非支持部ATuとの間に位置し、ノズル形成面241のうち、搬送方向の中心のノズルNZcを含む搬送方向の中央部の一部のノズルが形成された部分と対向する。このように、第2実施例の用紙台211bは、上流側と下流側の両方にインク受けとして機能する部分を備えている。第2実施例では、用紙Mの下流端から中央部の印刷は、下流非支持部ATdを、下流端を印刷する際のインク受けとして用いて、第1実施例と同様に実行される。第2実施例では、通常制御における用紙Mの中央部から上流端の印刷は、上流非支持部ATuを、上流端を印刷する際のインク受けとして用いて、以下に説明するように行われる。
第2実施例の上流側の中間印刷処理UIPcのパス処理P(18)〜P(21)、および、上流端部印刷処理UPcのパス処理P(22)〜P(26)の使用ノズルは、第1実施例と異なり、最上流ノズルNZuを含む。具体的には、上流側の中間印刷処理UIPcのパス処理P(18)〜P(21)では、使用ノズルの下流端の位置が、パス番号が増加するに連れて、上流側に変更されることによって、使用ノズル長が第1実施例と同様に、10dずつ短くなる(図19)。そして、上流端部印刷処理UPcのパス処理P(22)〜P(26)の使用ノズルは、上流側の中間印刷処理UIPcの最後のパス処理P(21)の使用ノズルと同じである(図19)。
第2実施例の上流側の中間印刷処理UIPcの搬送処理F(18)〜F(21)の搬送量は、第1実施例と異なり、5dである。第2実施例の他の搬送処理の搬送処理は、第1実施例と同じである(図19、図20)。
図21に示すように、第2実施例のパス処理P(16)〜P(26)の勾配付記録率DR(16)〜P(26)の形状は、第1実施例と同じである。即ち、勾配付記録率DR(16)〜P(26)の上流側勾配θu、下流側勾配θd、上流側ノズル長NLu、下流側ノズル長NLdは、第1実施例と同じである。ただし、第2実施例の勾配付記録率DR(18)〜P(26)は、上述した最上流ノズルNZuを含む使用ノズルについて規定されている。
以上説明した第2実施例の通常制御の印刷によれば、第1実施例の通常制御の印刷と同様に、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
さらに、本実施例では、上流端部印刷処理UPcの使用ノズル(図19、図21(A))は、中央支持部TPcと対向する位置に形成されたノズル(例えば、ノズルNZc)を含まず、上流非支持部ATuと対向する位置に形成されたノズル(例えば、最上流ノズルNZu)を含む。そして、中央部印刷処理MPの使用ノズル(図19、図21(A))は、中央支持部TPcと対向する位置に形成されたノズル(例えば、ノズルNZc)と、上流非支持部ATuと対向する位置に形成されたノズル(例えば、最上流ノズルNZu)と、の両方を含んでいる。そして、上述したように、上流側の中間印刷処理UIPcのパス処理P(18)〜P(21)では、使用ノズルの下流端の位置が順次に上流側に変更されることによって、使用ノズルの個数が順次に減少する。この結果、用紙Mの上流端を上流端部印刷処理UPcによって縁なし印刷する際に、中央支持部TPcにインクが付着することを抑制できる。したがって、用紙Mの汚れを抑制できる。
C.第3実施例:
第3実施例では、4パス印刷に代えて、用紙M上の部分領域を3回のパス処理を用いて印刷する3パス印刷が実行される。通常制御の3パス印刷について以下に説明する。
(下流端から中央部の印刷)
図22は、第3実施例の通常制御において、用紙Mの下流端から中央部の領域が印刷される際のヘッド位置をパス処理ごとに示す図である。図23は、第3実施例の通常制御における下流端から中央部の領域の印刷のパス処理の勾配付記録率を示す図である。
図22の印刷開始(即ち、搬送処理F(1)の開始)からパス処理P(5)までの印刷処理は、用紙Mの下流端部を印刷する下流端部印刷処理DPdである。下流端部印刷処理DPdは、使用ノズル長15dのパス処理P(1)〜P(5)を含む。下流端部印刷処理DPdは、保持状態S1(図11等)で実行される搬送量5dの搬送処理F(2)〜F(5)を含む。
図22の搬送処理F(9)からパス処理P(12)までの印刷処理は、用紙Mの中央部を印刷する中央部印刷処理MPdである。中央部印刷処理MPdは、使用ノズル長60dのパス処理P(9)〜P(12)を含む。中央部印刷処理MPdは、保持状態S2(図11等)で実行される搬送量20dの搬送処理F(9)〜F(12)を含む。
搬送処理F(6)からパス処理P(8)までの印刷処理は、下流端部印刷処理DPdと、中央部印刷処理MPdと、の間に実行される下流側の中間印刷処理DIPdである。中間印刷処理DIPdの3回のパス処理P(6)〜パス処理P(8)は、パス番号が増加するに連れて、使用ノズルの上流端の位置が等量ずつ(具体的には15dずつ)上流側に変更されることによって、使用ノズル長が直前のパス処理の使用ノズル長より等量ずつ長くなる。3パス印刷では、使用ノズル長の増加量15dは、中央部印刷処理MPdの使用ノズル長60dと、下流端部印刷処理DPdの使用ノズル長15dと、の差分45dを3で割った値である。下流側の中間印刷処理DIPdの1個の搬送処理の途中で、用紙の保持状態は、状態S1から状態S2に移行する。
第3実施例の全ての勾配付記録率は、例えば、図23(A)に示すように、上流側勾配部Euと、下流側勾配部Edと、の間に、記録率DRが最大値50%で一定となる均一部Ecを有している。均一部Ecは、複数個の最大記録率ノズルが位置している部分であり、搬送方向のノズルの位置に拘わらずに記録率DRが最大に維持される部分である、と言うことができる。換言すれば、本実施例の勾配付記録率は、搬送方向の位置に対する勾配付記録率DRの連続的な変化を図示した場合に(例えば、図23(A))、均一部Ecと、均一部Ecの上流側の上流側勾配部Euと、均一部Ecの下流側の下流側勾配部Edと、を有している。均一部Ecの搬送方向の長さを均一ノズル長NLcと呼ぶ。
図23(A)の下流端部印刷処理DPdのパス処理P(1)〜P(5)の勾配付記録率DR(1)〜DR(5)は、使用ノズル長15d分のノズルについて規定されている。勾配付記録率DR(1)〜DR(5)では、均一ノズル長NLcと、上流側ノズル長NLuと、下流側ノズル長NLdと、は互いに等しく、それぞれ5dである。
図23(D)の中央部印刷処理MPdのパス処理P(9)〜P(12)の勾配付記録率DR(9)〜DR(12)は、使用ノズル長60d分、即ち、総ノズル長D分のノズルについて規定されている。勾配付記録率DR(9)〜DR(12)では、均一ノズル長NLcと、上流側ノズル長NLuと、下流側ノズル長NLdと、は互いに等しく、それぞれ20dである。
図23(B)の下流側の中間印刷処理DIPdのパス処理P(6)の勾配付記録率DR(6)では、上流側ノズル長NLuが、勾配付記録率DR(1)〜DR(5)より15dだけ長くなる。勾配付記録率DR(6)の均一ノズル長NLcおよび下流側ノズル長NLdは、勾配付記録率DR(1)〜DR(5)の均一ノズル長NLcおよび下流側ノズル長NLdと同じである。したがって、勾配付記録率DR(6)では、上流側勾配θuが、勾配付記録率DR(1)〜DR(5)より小さくなる。
図23(C)の下流側の中間印刷処理DIPdのパス処理P(7)の勾配付記録率DR(7)では、均一ノズル長NLcが、勾配付記録率DR(6)より15dだけ長くなる。勾配付記録率DR(7)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdは、勾配付記録率DR(6)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdと同じである。
図23(D)の下流側の中間印刷処理DIPdのパス処理P(8)の勾配付記録率DR(8)では、下流側ノズル長NLdが、勾配付記録率DR(7)より15dだけ長くなる。勾配付記録率DR(8)の上流側ノズル長NLuおよび均一ノズル長NLcは、勾配付記録率DR(7)の上流側ノズル長NLuおよび均一ノズル長NLcと同じである。図23(D)から解るように、勾配付記録率DR(8)は、中央部印刷処理MPdのパス処理P(9)〜P(12)の勾配付記録率DR(9)〜DR(12)と同じである。
以上の説明から解るように、上流側勾配θuおよび下流側勾配θdの観点から見ると、下流端部印刷処理DPdの最後のパス処理P(5)から下流側の中間印刷処理DIPdの最後のパス処理P(8)までの勾配付記録率DR(5)〜DR(8)は、パス番号が増加するに連れて、以下のように変化する。先ず、下流側勾配θdと均一ノズル長NLcが変化せず、上流側勾配θuだけが小さくなる。この結果、上流側勾配θuが、中央部印刷処理MPdの勾配付記録率DR(9)〜DR(12)の上流側勾配θuと同じにされる。その後に、上流側勾配θuおよび下流側勾配θdが変化せず、均一ノズル長NLcだけが15dだけ長くなる。この結果、均一ノズル長NLcが、中央部印刷処理MPdの勾配付記録率DR(9)〜DR(12)の均一ノズル長NLcと同じにされる。最後に、上流側勾配θuと均一ノズル長NLcが変化せず、下流側勾配θdだけが小さくなる。この結果、下流側勾配θdが、中央部印刷処理MPdの勾配付記録率DR(9)〜DR(12)の下流側勾配θdと同じにされる。これによって、下流側の中間印刷処理DIPdの最後のパス処理P(8)の勾配付記録率DR(8)の上流側勾配θu、下流側勾配θd、および、均一ノズル長NLcは、中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(9)〜DR(12)の上流側勾配θu、下流側勾配θd、および、均一ノズル長NLcと同じにされる。
このように、第3実施例の下流側の中間印刷処理DIPdは、上流側勾配θuが下流端部印刷処理DPdより小さく、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理DPdと同じである勾配付記録率DR(6)を用いて実行される1回のパス処理P(6)と、パス処理P(6)の後に実行され、上流側勾配θuが中央部印刷処理MPdと同じであり、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理DPdより小さな勾配付記録率DR(8)を用いて実行される1回のパス処理P(8)と、1回のパス処理P(6)と1回のパス処理P(8)との間に実行され、上流側勾配θuと下流側勾配θdとがパス処理P(8)と同じであり、均一ノズル長NLcがパス処理P(6)より長い勾配付記録率DR(7)を用いるパス処理P(7)と、を含む。
以上のような勾配付記録率が用いられることによって、本実施例の通常制御の印刷は、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
図22には、各パス処理のヘッド位置に対応して、上述した勾配付記録率が図示されている。図22の右側において、実線は、勾配付記録率DR(3t−2)(tは1以上の整数)を示し、破線は、勾配付記録率DR(3t−1)を示し、一点破線は、勾配付記録率DR(3t)を示す。これらの勾配付記録率の合計値は、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(100%)に維持されることが解る。
(中央部から上流端の印刷)
図24は、第3実施例の通常制御において、用紙Mの中央部から上流端の領域が印刷される際のヘッド位置をパス処理ごとに示す図である。図25は、第3実施例の通常制御における中央部から上流端の領域の印刷のパス処理の勾配付記録率を示す図である。
図24の搬送処理F(17)からパス処理P(20)までの印刷処理は、用紙Mの上流端部を印刷する上流端部印刷処理UPdである。上流端部印刷処理UPdは、使用ノズル長15dのパス処理P(17)〜P(20)を含む。上流端部印刷処理UPdは、保持状態S4(図14等)で実行される搬送量5dの搬送処理F(17)〜F(20)を含む。
図24のパス処理P(13)は、上述した中央部印刷処理MPdの最後のパス処理である。
搬送処理F(14)からパス処理P(16)までの印刷処理は、上流端部印刷処理UPdと、中央部印刷処理MPdと、の間に実行される上流側の中間印刷処理UIPdである。中間印刷処理UIPdの3回のパス処理P(14)〜パス処理P(16)は、パス番号が増加するに連れて、使用ノズルの上流端の位置が等量ずつ(具体的には15dずつ)下流流側に変更されることによって、使用ノズル長が直前のパス処理の使用ノズル長より等量ずつ短くなる。3パス印刷では、使用ノズル長の減少量15dは、中央部印刷処理MPdの使用ノズル長60dと、上流端部印刷処理UPdの使用ノズル長15dと、の差分45dを3で割った値である。上流側の中間印刷処理UIPdの搬送処理の途中で、用紙の保持状態は、状態S2から状態S4に移行する。
図25(A)の中央部印刷処理MPdの勾配付記録率DR(12)、DR(13)は、図23(D)を参照して上述したとおりである。図25(D)の上流端部印刷処理UPdの勾配付記録率DR(17)〜DR(20)は、図23(A)を参照して上述した下流端部印刷処理DPdの勾配付記録率DR(1)〜DR(5)と同じである。
図25(B)の上流側の中間印刷処理UIPdのパス処理P(14)の勾配付記録率DR(14)では、上流側ノズル長NLuが、勾配付記録率DR(13)より15dだけ短くなる。勾配付記録率DR(14)の均一ノズル長NLcおよび下流側ノズル長NLdは、勾配付記録率DR(13)の均一ノズル長NLcおよび下流側ノズル長NLdと同じである。したがって、勾配付記録率DR(14)では、上流側勾配θuが、勾配付記録率DR(13)より大きくなる。
図25(C)の上流側の中間印刷処理UIPdのパス処理P(15)の勾配付記録率DR(15)では、均一ノズル長NLcが、勾配付記録率DR(14)より15dだけ短くなる。勾配付記録率DR(15)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdは、勾配付記録率DR(15)の上流側ノズル長NLuおよび下流側ノズル長NLdと同じである。
図25(D)の上流側の中間印刷処理UIPdのパス処理P(16)の勾配付記録率DR(16)では、下流側ノズル長NLdが、勾配付記録率DR(15)より15dだけ短くなる。勾配付記録率DR(16)の上流側ノズル長NLuおよび均一ノズル長NLcは、勾配付記録率DR(15)の上流側ノズル長NLuおよび均一ノズル長NLcと同じである。図25(D)から解るように、勾配付記録率DR(16)は、中央部印刷処理MPdのパス処理P(13)の勾配付記録率DR(13)と同じである。
以上の説明から解るように、上流側勾配θuおよび下流側勾配θdの観点から見ると、中央部印刷処理MPdの最後のパス処理P(13)から上流側の中間印刷処理UIPdの最後のパス処理P(16)までの勾配付記録率DR(13)〜DR(16)は、パス番号が増加するに連れて、以下のように変化する。先ず、下流側勾配θdと均一ノズル長NLcが変化せず、上流側勾配θuだけが大きくなる。この結果、上流側勾配θuが、上流端部印刷処理UPdの勾配付記録率DR(17)〜DR(19)の上流側勾配θuと同じにされる。その後に、上流側勾配θuおよび下流側勾配θdが変化せず、均一ノズル長NLcだけが15dだけ短くされる。この結果、均一ノズル長NLcが、上流端部印刷処理UPdの勾配付記録率DR(17)〜DR(19)の均一ノズル長NLcと同じにされる。最後に、上流側勾配θuと均一ノズル長NLcが変化せず、下流側勾配θdだけが大きくされる。この結果、下流側勾配θdが、上流端部印刷処理UPdの勾配付記録率DR(17)〜DR(19)の下流側勾配θdと同じにされる。これによって、上流側の中間印刷処理UIPdの最後のパス処理P(16)の勾配付記録率DR(16)の上流側勾配θu、下流側勾配θd、および、均一ノズル長NLcは、上流端部印刷処理UPdの勾配付記録率DR(17)〜DR(19)の上流側勾配θu、下流側勾配θd、および、均一ノズル長NLcと同じにされる。
このように、第3実施例の上流側の中間印刷処理UIPdは、上流側勾配θuが中央部印刷処理MPdより大きく、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理MPdと同じである勾配付記録率DR(14)を用いて実行される1回のパス処理P(14)と、パス処理P(14)の後に実行され、上流側勾配θuが上流端部印刷処理UPdと同じであり、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理MPdより小さな勾配付記録率DR(16)を用いて実行される1回のパス処理P(16)と、1回のパス処理P(14)と1回のパス処理P(16)との間に実行され、上流側勾配θuと下流側勾配θdとがパス処理P(14)と同じであり、均一ノズル長NLcがパス処理P(14)より短い勾配付記録率DR(15)を用いるパス処理P(15)と、を含む。
以上のような勾配付記録率が用いられることによって、本実施例の通常制御の印刷は、濃度のムラを引き起こすことなく、用紙の搬送量のばらつきに起因して発生するバンディングを抑制できる。
図22には、各パス処理のヘッド位置に対応して、上述した勾配付記録率が図示されている。図22の右側において、実線は、勾配付記録率DR(3t−2)(tは1以上の整数)を示し、破線は、勾配付記録率DR(3t−1)を示し、一点破線は、勾配付記録率DR(3t)を示す。これらの勾配付記録率の合計値は、搬送方向の位置に拘わらずに、一定値(100%)に維持されることが解る。
なお、以上の説明から解るように、第3実施例の上流側の中間印刷処理UIPdのパス処理P(14)は、第1パス処理の例であり、パス処理P(16)は、第2パス処理の例であり、パス処理P(15)は、第5のパス処理の例である。また、第3実施例の下流側の中間印刷処理DIPdのパス処理P(6)は、第3パス処理の例であり、パス処理P(8)は、第4パス処理の例であり、パス処理P(7)は、第6パス処理の例である。
D.変形例:
(1)上記第1実施例の通常制御では、用紙上の部分領域をp回(pは、2以上の整数)のパス処理を用いて印刷するマルチパス印刷の一例として、4パス印刷が行われるが、pの値が異なる他のマルチパス印刷が行われても良い。
例えば、2パス印刷や6パス印刷が行われても良い。一般的に、パス回数pが偶数(2×k)(kは1以上の整数)で表されるマルチパス印刷が行われる場合には、通常制御の下流側の中間印刷処理は、上流側勾配θuが下流端部印刷処理より小さく、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理と同じである勾配付記録率を用いるk回の第3パス処理と、k回の第3パス処理の後に実行され、上流側勾配θuが中央部印刷処理と同じであり、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理より小さな勾配付記録率を用いるk回の第4パス処理と、を含むことが好ましい。そして、kが2以上の整数である場合には、k回の第3パス処理で用いられる勾配付記録率の上流側勾配θuは、パス番号が増加するに連れて、順次に小さくなり、k回の第4パス処理で用いられる勾配付記録率の下流側勾配θdは、パス番号が増加するに連れて、順次に小さくなることが好ましい。例えば、2パス印刷では、下流側の中間印刷処理は、1回の第3パス処理と1回の第4パス処理を含むことが好ましい。4パス印刷では、第1実施例で説明したように、下流側の中間印刷処理は、2回の第3パス処理と2回の第4パス処理を含むことが好ましい。そして、6パス処理では、下流側の中間印刷処理は、3回の第3パス処理と3回の第4パス処理を含むことが好ましい。
また、一般的に、パス回数pが偶数(2×n)(nは1以上の整数)で表されるマルチパス印刷が行われる場合には、通常制御の上流側の中間印刷処理は、上流側勾配θuが中央部印刷処理より大きく、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理と同じである勾配付記録率を用いるn回の第1パス処理と、n回の第1パス処理の後に実行され、上流側勾配θuが上流端部印刷処理と同じであり、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理より大きな勾配付記録率を用いるn回の第2パス処理と、を含むことが好ましい。そして、nが2以上の整数である場合には、n回の第1パス処理で用いられる勾配付記録率の上流側勾配θuは、パス番号が増加するに連れて、順次に大きくなり、n回の第2パス処理で用いられる勾配付記録率の下流側勾配θdは、パス番号が増加するに連れて、順次に大きくなることが好ましい。例えば、2パス印刷では、上流側の中間印刷処理は、1回の第1パス処理と1回の第2パス処理を含むことが好ましい。4パス印刷では、第1実施例で説明したように、上流側の中間印刷処理は、2回の第1パス処理と2回の第2パス処理を含むことが好ましい。そして、6パス印刷では、上流側の中間印刷処理は、3回の第1パス処理と3回の第2パス処理を含むことが好ましい。
(2)上記第3実施例では、用紙上の部分領域をp回(pは、2以上の整数)のパス処理を用いて印刷するマルチパス印刷の一例として、3パス印刷が行われるが、pの値が異なる他のマルチパス印刷が行われても良い。例えば、6パス印刷が行われても良い。
一般的に、パス回数pが偶数(3×k)(kは1以上の整数)で表されるマルチパス印刷が行われる場合には、通常制御の下流側の中間印刷処理は、上流側勾配θuが下流端部印刷処理より小さく、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理と同じである勾配付記録率を用いるk回の第3パス処理と、k回の第3パス処理の後に実行され、上流側勾配θuが中央部印刷処理と同じであり、かつ、下流側勾配θdが下流端部印刷処理より小さな勾配付記録率を用いるk回の第4パス処理と、k回の第3パス処理とk回の第4パス処理との間に実行され、上流側勾配θuと下流側勾配θdとがk回目の第3パス処理と同じであり、均一ノズル長NLcがk回目の前記第3パス処理より長い勾配付記録率を用いるk回の第6パス処理と、を含むことが好ましい。例えば、3パス印刷では、第3実施例で説明したように、下流側の中間印刷処理は、1回の第3パス処理と1回の第4パス処理と1回の第6パス処理とを含むことが好ましい。6パス印刷では、下流側の中間印刷処理は、2回の第3パス処理と2回の第4パス処理と2回の第6パス処理とを含むことが好ましい。
また、一般的に、パス回数pが偶数(3×n)(nは1以上の整数)で表されるマルチパス印刷が行われる場合には、通常制御の上流側の中間印刷処理は、上流側勾配θuが中央部印刷処理より大きく、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理と同じである勾配付記録率を用いるn回の第1パス処理と、n回の第1パス処理の後に実行され、上流側勾配θuが上流端部印刷処理と同じであり、かつ、下流側勾配θdが中央部印刷処理より大きな勾配付記録率を用いるn回の第2パス処理と、n回の第1パス処理とn回の第2パス処理との間に実行され、上流側勾配θuと下流側勾配θdとがn回目の第1パス処理と同じであり、均一ノズル長NLcがn回目の前記第1パス処理より短い勾配付記録率を用いるn回の第5パス処理と、を含むことが好ましい。例えば、3パス印刷では、第3実施例で説明したように、上流側の中間印刷処理は、1回の第1パス処理と1回の第2パス処理と1回の第5パス処理とを含むことが好ましい。6パス印刷では、上流側の中間印刷処理は、2回の第1パス処理と2回の第2パス処理と2回の第5パス処理とを含むことが好ましい。
(3)上記第1実施例では、中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(11)〜DR(17)は、基本ドットパターンデータDPDの勾配付記録率(図7(B))と同じであるので、中央部印刷処理MPのパス処理P(11)〜P(17)で用いるドットパターンデータDPDaとして、基本ドットパターンデータDPDがそのまま用いられている。中央部印刷処理MPの勾配付記録率DR(11)〜DR(17)が、基本ドットパターンデータDPDの勾配付記録率(図7(B))とは異なる場合には、図6のS110にて、基本ドットパターンデータDPDに基づいて、中央部印刷処理MPのパス処理P(11)〜P(17)で用いるドットパターンデータDPDaが生成されても良い。例えば、中央部印刷処理MPのパス処理P(11)〜P(17)が、総ノズル長Dより短い使用ノズル長である場合には、基本ドットパターンデータDPDが間引かれて、中央部印刷処理MPのパス処理P(11)〜P(17)で用いるドットパターンデータDPDaが生成されても良い。
(4)上記第1実施例では、比較的使用ノズル長が短い印刷処理(具体的には、下流端部印刷処理DPや上流端部印刷処理UPa、UPb)は、搬送精度が比較的低い保持状態S1、S4で用紙が搬送される場合に実行され、比較的使用ノズル長が長い印刷処理(具体的には、中央部印刷処理MP)は、搬送精度が比較的高い保持状態S2で用紙が搬送される場合に実行される。これに代えて、比較的使用ノズル長が短い印刷処理は、搬送精度が比較的低い他の状態で用紙が搬送される場合に実行され、比較的使用ノズル長が長い印刷処理は、搬送精度が比較的高い他の状態で用紙が搬送される場合に実行されても良い。例えば、搬送精度は、搬送速度が比較的速い場合に、搬送速度が比較的遅い場合より低い傾向がある。このために、比較的使用ノズル長が短い印刷処理は、比較的速い搬送速度で用紙が搬送される場合に実行され、比較的使用ノズル長が長い印刷処理は、比較的遅い搬送速度で用紙が搬送される場合に実行されても良い。この場合であっても、比較的使用ノズル長が短い印刷処理と、比較的使用ノズル長が長い印刷処理と、の間に、上述した中間印刷処理DIP、UIPa、UIPbと同様の中間印刷処理が行われることが好ましい。
(5)図26は、変形例の勾配付記録率DR(16)〜DR(26)の一例を示す図である。この勾配付記録率DR(16)〜DR(26)は、図15の第1実施例の通常制御における中央部から上流端の領域の印刷時の勾配付記録率DR(16)〜DR(26)に代えて、用いられ得る。図26の勾配付記録率DR(16)〜DR(26)の上流側勾配部Euは、上流に向かって記録率DRが直線的に低下せず、途中に平坦部Ftuを有している。図26の勾配付記録率DR(16)〜DR(26)の下流側勾配部Edは、下流に向かって記録率DRが直線的に低下せず、途中に平坦部Ftdを有している。このように、勾配付記録率DRは、必ずしも上流および下流に向かって直線的に低下していなくても良い。例えば、勾配付記録率DRの下流側勾配部Edは、上に凸な曲線であり、上流側勾配部Euは、下に凸な曲線であっても良い。この場合には、下流側勾配部Edの下流側勾配θdや、上流側勾配部Euの上流側勾配θuは、曲線の平均勾配(平均角度)で表される。
(6)図27は、変形例の勾配付記録率の一例を示す図である。この勾配付記録率のように、上流側勾配部Euでは、記録率は、上流に向かって全体として小さくなっていれば良く、局所的には、規則的あるいは不規則な増加や減少を含んでいても良い。この場合には、上流側勾配部Euの上流側勾配θuは、搬送方向の位置に対する記録率の変化を直線で近似し、当該近似直線Luの角度θuを用いて表すことができる。同様に、下流側勾配部Edでは、記録率は、下流に向かって全体として小さくなっていれば良く、局所的には、規則的あるいは不規則な増加や減少を含んでいても良い。この場合には、下流側勾配部Edの下流側勾配θdは、搬送方向の位置に対する記録率の変化を直線で近似し、当該近似直線Ldの角度θdを用いて表すことができる。同様に、均一部Ecでは、記録率は、搬送方向の位置に拘わらずに、全体として略最大であれば良く、局所的には、規則的あるいは不規則な増加や減少を含んでいても良い。例えば、均一部Ecでは、搬送方向の位置に対する記録率の変化を直線で近似し、当該近似直線Lcが略最大値で、略一定であれば良い。
(7)上記第1実施例では、搬送機構210の上流側保持部は、上流ローラ対217によって位置Y1で用紙を保持し、支持部材212、213と押さえ部材216とによって、位置Y2で用紙を保持している。搬送機構210の上流側保持部は、支持部材212、213と押さえ部材216とを含まず、上流ローラ対217のみによって用紙を保持しても良い。
(8)なお、上記各実施例において、通常制御と特別制御との切り替えは、行われなくても良い。例えば、常に、通常制御での印刷が行われても良い。
(9)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
100...制御装置、110...CPU、120...揮発性記憶装置、125...バッファ領域、130...不揮発性記憶装置、140...表示部、145...適用例、150...操作部、156...適用例、160...通信部、200...印刷機構、210...搬送機構、211...用紙台、211b...用紙台、212...高支持部材、213...低支持部材、214...平板、216...押さえ部材、217...上流ローラ対、218...下流ローラ対、220...主走査機構、230...ヘッド駆動回路、240...印刷ヘッド、600...プリンタ

Claims (23)

  1. 用紙を搬送方向に搬送するための搬送機構と、前記搬送方向に沿って並ぶ複数個のノズルであって、インクを吐出してドットを形成するための前記複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを主走査方向に移動させる主走査を実行するための主走査機構と、を備え、前記主走査を行いつつ用紙上に前記ドットを形成するパス処理によって印刷を行う印刷実行部に、用紙上の部分領域を複数回の前記パス処理を用いて印刷するマルチパス印刷を実行させる印刷制御装置であって、
    前記搬送機構を用いて第1の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、第1の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の印刷処理部と、
    前記第1の印刷処理より後に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第2の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第2の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第2の印刷処理部と、
    前記第1の印刷処理と前記第2の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第2の個数以上で前記第1の個数より少ない個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の中間印刷処理部と、
    を備え、
    前記パス処理にて用いられる各ノズルのドットの記録率は、前記印刷ヘッドにおける各ノズルの前記搬送方向の位置に応じて、記録率が最大となる最大位置から前記搬送方向の上流に向かって第1の勾配で小さくなり、前記最大位置から前記搬送方向の下流に向かって第2の勾配で小さくなる勾配付記録率であり、
    前記第1の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理より大きく、かつ、前記第2の勾配が前記第1の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第1パス処理と、前記第1パス処理の後に実行される第2パス処理であって、前記第1の勾配が前記第2の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第1の印刷処理より大きな前記勾配付記録率を用いる前記第2パス処理と、を含む、印刷制御装置。
  2. 請求項1に記載の印刷制御装置であって、
    前記搬送機構は、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の上流側で用紙を保持する第1の保持部と、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流側で用紙を保持する第2の保持部と、を備え、
    前記第1の搬送状態は、前記第1の保持部と前記第2の保持部とによって用紙が保持される状態であり、
    前記第2の搬送状態は、前記第1の保持部によって用紙が保持されず、前記第2の保持部によって用紙が保持される状態である、印刷制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の印刷制御装置であって、さらに、
    前記第1の印刷処理より前に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第3の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第3の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第3の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第3の印刷処理部と、
    前記第3の印刷処理と前記第1の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第3の個数より多く前記第1の個数以下である個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の中間印刷処理を実行する第2の中間印刷処理部と、
    を備え、
    前記第2の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第3の印刷処理より小さく、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第3パス処理と、前記第3パス処理の後に実行される第4パス処理であって、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理より小さな前記勾配付記録率を用いる前記第4パス処理と、を含む、印刷制御装置。
  4. 請求項3に記載の印刷制御装置であって、
    前記搬送機構は、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の上流側で用紙を保持する第1の保持部と、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流側で用紙を保持する第2の保持部と、を備え、
    前記第1の搬送状態は、前記第1の保持部と前記第2の保持部とによって用紙が保持される状態であり、
    前記第3の搬送状態は、前記第1の保持部によって用紙が保持され、前記第2の保持部によって用紙が保持されない状態である、印刷制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
    前記第1の中間印刷処理は、n回(nは2以上の整数)の前記第1パス処理と、n回の前記第1パス処理の後に実行されるn回の前記第2パス処理を含み、
    n回の前記第1パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第1の勾配は、順次に大きくなり、
    n回の前記第2パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第2の勾配は、順次に大きくなる、印刷制御装置。
  6. 請求項5に記載の印刷制御装置であって、
    前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(2×n)回の前記パス処理を用いて印刷する印刷である、印刷制御装置。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
    前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(3×n)回(nは1以上の整数)の前記パス処理を用いて印刷する印刷であり、
    前記勾配付記録率は、前記第1の勾配を有する上流側のノズルと前記第2の勾配を有する下流側のノズルとの間の複数個のノズルに対する記録率が、前記搬送方向の位置に拘わらずに最大の均一部を含み、
    前記第1の中間印刷処理は、n回の前記第1パス処理と、n回の前記第1パス処理の後に実行されるn回の前記第2パス処理と、n回の前記第1パス処理とn回の前記第2パス処理との間に実行されるn回の第5パス処理であって、前記第1の勾配と前記第2の勾配とがn回目の前記第1パス処理と同じであり、前記均一部の前記搬送方向の長さがn回目の前記第1パス処理より小さい前記勾配付記録率を用いる前記第5パス処理と、を含む、印刷制御装置。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
    n回の前記第1パス処理と、n回の前記第2パス処理と、を含む前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理にて、ドットの形成に用いられるノズルの個数は、順次に等量ずつ減少する、印刷制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
    前記印刷実行部は、前記印刷ヘッドのノズルが形成されたノズル形成面のうち、第1のノズルが形成された部分に対向し、用紙を支持する用紙支持部と、前記ノズル形成面のうち、前記第1のノズルより下流側の第2のノズルが形成された部分に対向し、用紙支持部より前記ノズル形成面から離れた非用紙支持部と、を備え、
    前記第1の印刷処理で用いられる前記第1の個数のノズルは、前記第1のノズルと前記第2のノズルとを含み、
    前記第2の印刷処理で用いられる前記第2の個数のノズルは、前記第1のノズルを含まず、前記第2のノズルを含み、
    前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理では、上流端の位置が順次に下流側に変更されることによって、ドットの形成に用いられるノズルの個数が順次に減少する、印刷制御装置。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
    前記印刷実行部は、前記印刷ヘッドのノズルが形成されたノズル形成面のうち、第1のノズルが形成された部分に対向し、用紙を支持する用紙支持部と、前記ノズル形成面のうち、前記第1のノズルより上流側の第3のノズルが形成された部分に対向し、用紙支持部より前記ノズル形成面から離れた非用紙支持部と、を備え、
    前記第1の印刷処理で用いられる前記第1の個数のノズルは、前記第1のノズルと前記第3のノズルとを含み、
    前記第2の印刷処理で用いられる前記第2の個数のノズルは、前記第1のノズルを含まず、前記第3のノズルを含み、
    前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理では、下流端の位置が順次に上流側に変更されることによって、ドットの形成に用いられるノズルの個数が順次に減少する、印刷制御装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の印刷制御装置であって、さらに、
    前記印刷ヘッドの複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する基本ドット形成情報に基づき、前記第1の印刷処理にてドットの形成に用いる前記第1の個数のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第1のドット形成情報を取得する取得部と、
    前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第1の中間印刷処理にてドットの形成に用いる複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第2のドット形成情報を生成する生成部と、
    を備え、
    前記第1の印刷処理部は、前記第1のドット形成情報を用いて、前記第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させ、
    前記第1の中間印刷処理部は、前記第2のドット形成情報を用いて、前記第1の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる、印刷制御装置。
  12. 請求項11に記載の印刷制御装置であって、
    前記取得部は、前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第1のドット形成情報を生成することによって、前記第1のドット形成情報を取得する、印刷制御装置。
  13. 用紙を搬送方向に搬送するための搬送機構と、前記搬送方向に沿って並ぶ複数個のノズルであって、インクを吐出してドットを形成するための前記複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを主走査方向に移動させる主走査を実行するための主走査機構と、を備え、前記主走査を行いつつ用紙上に前記ドットを形成するパス処理によって印刷を行う印刷実行部に、用紙上の部分領域を複数回の前記パス処理を用いて印刷するマルチパス印刷を実行させる印刷制御装置であって、
    前記搬送機構を用いて第1の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、第1の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の印刷処理部と、
    前記第1の印刷処理より前に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第3の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第3の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第3の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第3の印刷処理部と、
    前記第3の印刷処理と前記第1の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第3の個数より多く前記第1の個数以下である個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる中間印刷処理部と、
    を備え、
    前記パス処理にてドットの形成に用いられる各ノズルのドットの記録率は、前記印刷ヘッドにおける各ノズルの前記搬送方向の位置に応じて、記録率が最大となる最大位置から前記搬送方向の上流に向かって第1の勾配で小さくなり、前記最大位置から前記搬送方向の下流に向かって第2の勾配で小さくなる勾配付記録率であり、
    前記第2の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第3の印刷処理より小さく、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第3パス処理と、前記第3パス処理の後に実行される第4パス処理であって、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理より小さな前記勾配付記録率を用いる前記第4パス処理と、を含む、印刷制御装置。
  14. 請求項13に記載の印刷制御装置であって、さらに、
    前記搬送機構は、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の上流側で用紙を保持する第1の保持部と、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流側で用紙を保持する第2の保持部と、を備え、
    前記第1の搬送状態は、前記第1の保持部と前記第2の保持部とによって用紙が保持される状態であり、
    前記第3の搬送状態は、前記第1の保持部によって用紙が保持され、前記第2の保持部によって用紙が保持されない状態である、印刷制御装置。
  15. 請求項13または14に記載の印刷制御装置であって、
    前記第2の中間印刷処理は、k回(kは2以上の整数)の前記第3パス処理と、k回の前記第3パス処理の後に実行されるk回の前記第4パス処理と、を含み、
    k回の前記第3パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第1の勾配は、順次に小さくなり、
    k回の前記第4パス処理で用いられる前記勾配付記録率の前記第2の勾配は、順次に小さくなる、印刷制御装置。
  16. 請求項15に記載の印刷制御装置であって、
    前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(2×k)回の前記パス処理を用いて印刷する印刷である、印刷制御装置。
  17. 請求項13または14に記載の印刷制御装置であって、
    前記マルチパス印刷は、用紙上の前記部分領域を、(3×k)回(kは1以上の整数)の前記パス処理を用いて印刷する印刷であり、
    前記勾配付記録率は、前記第1の勾配を有する上流側のノズルと前記第2の勾配を有する下流側のノズルとの間の複数個のノズルに対する記録率が、前記搬送方向の位置に拘わらずに最大の均一部を含み、
    前記第2の中間印刷処理は、k回の前記第3パス処理と、k回の前記第3パス処理の後に実行されるk回の前記第4パス処理と、k回の前記第3パス処理とk回の前記第4パス処理との間に実行されるk回の第6パス処理であって、前記第1の勾配と前記第2の勾配とがk回目の前記第4パス処理と同じであり、前記均一部の前記搬送方向の長さがk回目の前記第3パス処理より長い前記勾配付記録率を用いる前記第6パス処理と、を含む、印刷制御装置。
  18. 請求項15〜17のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
    k回の前記第3パス処理と、k回の前記第4パス処理と、を含む前記第1の中間印刷処理の複数回の前記パス処理にて、ドットの形成に用いられるノズルの個数は、順次に等量ずつ増加する、印刷制御装置。
  19. 請求項13〜18のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
    前記印刷実行部は、前記印刷ヘッドのノズルが形成されたノズル形成面のうち、第4のノズルが形成された部分に対向し、用紙を支持する用紙支持部と、前記ノズル形成面のうち、前記第4のノズルより下流側の第5のノズルが形成された部分に対向し、用紙支持部より前記ノズル形成面から離れた非用紙支持部と、を備え、
    前記第1の印刷処理で用いられる前記第1の個数のノズルは、前記第4のノズルと前記第5のノズルとを含み、
    前記第3の印刷処理で用いられる前記第3の個数のノズルは、前記第4のノズルを含まず、前記第5のノズルを含み、
    前記第2の中間印刷処理の複数回の前記パス処理では、上流端の位置が順次に上流側に変更されることによって、ドットの形成に用いられるノズルの個数が順次に増加する、印刷制御装置。
  20. 請求項13〜19のいずれかに記載の印刷制御装置であって、さらに、
    前記印刷ヘッドの複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する基本ドット形成情報に基づき、前記第1の印刷処理にてドットの形成に用いる前記第1の個数のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第1のドット形成情報を取得する取得部と、
    前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第2の中間印刷処理にてドットの形成に用いる複数個のノズルのそれぞれについて、ドットの形成が許容される前記主走査方向の位置とドットの形成が許容されない前記主走査方向の位置とを前記勾配付記録率に従って規定する第3のドット形成情報を生成する生成部を備え、
    前記第1の印刷処理部は、前記第1のドット形成情報を用いて、前記第1の印刷処理を実行し、
    前記第2の中間印刷処理部は、前記第3のドット形成情報を用いて、前記第2の中間印刷処理を実行する、印刷制御装置。
  21. 請求項20に記載の印刷制御装置であって、
    前記取得部は、前記基本ドット形成情報に基づいて、前記第1のドット形成情報を生成することによって、前記第1のドット形成情報を取得する、印刷制御装置。
  22. 用紙を搬送方向に搬送するための搬送機構と、前記搬送方向に沿って並ぶ複数個のノズルであって、インクを吐出してドットを形成するための前記複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを主走査方向に移動させる主走査を実行するための主走査機構と、を備え、前記主走査を行いつつ用紙上に前記ドットを形成するパス処理によって印刷を行う印刷実行部に、用紙上の部分領域を複数回の前記パス処理を用いて印刷するマルチパス印刷を実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記搬送機構を用いて第1の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、第1の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の印刷機能と、
    前記第1の印刷処理より後に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第2の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第2の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第2の印刷機能と、
    前記第1の印刷処理と前記第2の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第2の個数以上で前記第1の個数より少ない個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の中間印刷機能と、
    をコンピュータに実現させ、
    前記パス処理にて用いられる各ノズルのドットの記録率は、前記印刷ヘッドにおける各ノズルの前記搬送方向の位置に応じて、記録率が最大となる最大位置から前記搬送方向の上流に向かって第1の勾配で小さくなり、前記最大位置から前記搬送方向の下流に向かって第2の勾配で小さくなる勾配付記録率であり、
    前記第1の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理より大きく、かつ、前記第2の勾配が前記第1の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第1パス処理と、前記第1パス処理の後に実行される第2パス処理であって、前記第1の勾配が前記第2の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第1の印刷処理より大きな前記勾配付記録率を用いる前記第2パス処理と、を含む、コンピュータプログラム。
  23. 用紙を搬送方向に搬送するための搬送機構と、前記搬送方向に沿って並ぶ複数個のノズルであって、インクを吐出してドットを形成するための前記複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを主走査方向に移動させる主走査を実行するための主走査機構と、を備え、前記主走査を行いつつ用紙上に前記ドットを形成するパス処理によって印刷を行う印刷実行部に、用紙上の部分領域を複数回の前記パス処理を用いて印刷するマルチパス印刷を実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記搬送機構を用いて第1の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、第1の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第1の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第1の印刷機能と、
    前記第1の印刷処理より前に、前記搬送機構を用いて前記第1の搬送状態より搬送精度が低い第3の搬送状態で用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第1の個数より少ない第3の個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第3の印刷処理を前記印刷実行部に実行させる第3の印刷機能と、
    前記第3の印刷処理と前記第1の印刷処理との間に、前記搬送機構を用いて用紙を搬送する処理と、前記印刷ヘッドの前記複数個のノズルのうち、前記第3の個数より多く前記第1の個数以下である個数のノズルを用いる前記パス処理と、を含む第2の中間印刷処理を前記印刷実行部に実行させる中間印刷機能と、
    をコンピュータに実現させ、
    前記パス処理にてドットの形成に用いられる各ノズルのドットの記録率は、前記印刷ヘッドにおける各ノズルの前記搬送方向の位置に応じて、記録率が最大となる最大位置から前記搬送方向の上流に向かって第1の勾配で小さくなり、前記最大位置から前記搬送方向の下流に向かって第2の勾配で小さくなる勾配付記録率であり、
    前記第2の中間印刷処理は、前記第1の勾配が前記第3の印刷処理より小さく、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理と同じである前記勾配付記録率を用いる第3パス処理と、前記第3パス処理の後に実行される第4パス処理であって、前記第1の勾配が前記第1の印刷処理と同じであり、かつ、前記第2の勾配が前記第3の印刷処理より小さな前記勾配付記録率を用いる前記第4パス処理と、を含む、コンピュータプログラム。
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