本発明は例えば水田や畑の圃場土中に縦口路を形成する圃場縦口路形成装置に関するものである。
従来、この種の圃場縦口路形成装置として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を設け、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設してなる構造のものが知られている。
しかして、水田等は表層の耕耘層、その下層の耕盤層、さらに下層の芯土層からなり、この耕耘層、耕盤層及び芯土層に穿入ビームを穿入進行させ、耕盤層を破って圃場土中の上下方向に延びて穿入跡溝を形成し、拡張部材により圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成し、この縦口路及び穿入跡溝の存在により水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することになる。
特許第5266579号公報
特許第4174780号公報
しかしながら上記従来構造の場合、上記穿入跡溝及び上記縦口路は圃場の地表面に比較的小さな断面積のままに開口形成されているから、穿入跡溝及び縦口路の地表面の開口が圃場表面の泥土により閉塞されることがあり、圃場の地表面から土中としての芯土層までの距離が比較的長いこともあって、圃場の排水性及び通気性を低下させることがあるという不都合を有している。
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を設け、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設してなり、上記機枠に圃場の土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置に掘取溝を形成可能なすき部材を設けてなることを特徴とする圃場縦口路形成装置にある。
又、請求項2記載の発明は、上記機枠に圃場面に散在する藁屑等の圃場散在物を側方に排出可能な前処理部材を上記穿入ビームの進行方向前方位置に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記すき部材の進行方向前方位置に上記圃場面に側条溝を溝切可能な側溝切体を設けてなることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の発明は、上記すき部材を作業位置と退避位置とに姿勢変更可能な退避機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記穿入ビームの進行方向前方位置に上記圃場面に予条溝を溝切可能な予溝切体を設けてなることを特徴とするものである。
又、請求項6記載の発明は、上記機枠に圃場面上を転動可能な転輪体を高低調節自在に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項7記載の発明は、上記すき部材の横振れを抑制可能な安定部材を設けてなることを特徴とするものである。
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体の進行に伴い穿入ビームは進行方向に揺振動作しつつ圃場土中に穿入して穿入跡溝を形成し、上記穿入ビームの進行方向後方位置に配置された拡張部材は拡張機構により拡張動作し、穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝を拡張して地表面に開口する縦溝状の縦口路を形成することになり、この際、上記機枠に圃場の土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置に掘取溝を形成可能なすき部材を設けているから、走行機体の進行に伴いすき部材の下部は圃場の土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置に掘取溝を形成することになり、穿入跡溝及び縦口路が掘取溝内に開口することにより穿入跡溝及び縦口路の開口が圃場表面の泥土により閉塞されることを抑制することができ、圃場表面の水は掘取溝を介して穿入跡溝及び縦口路の開口から土中としての芯土層に至ることになり、圃場の地表面から芯土層までの距離も短くなり、それだけ、圃場の排水性及び通気性を良好に保持することができ、水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することができる。
又、請求項2記載の発明にあっては、上記機枠に圃場面に散在する藁屑等の圃場散在物を側方に排出可能な前処理部材を上記穿入ビームの進行方向前方位置に設けてなるから、圃場面に散在する藁屑、株等の圃場散在物を前処理部材により側方に排出することができ、穿入ビームによる穿入跡溝の形成抵抗を軽減することができ、穿入跡溝の形成作業性を向上することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記すき部材の進行方向前方位置に上記圃場面に側条溝を溝切可能な側溝切体を設けてなるから、側溝切体は連れ回り回転しつつ進行してすき部材の進行方向前方位置の圃場面に側条溝を切ることになり、先ず、側溝切体で側条溝を溝切りし、すき部材が溝切りされた側条溝の土を掬い取って側方に排出することになり、すき部材による溝掘抵抗を軽減することができると共に走行機体の牽引力増加を抑制することができ、溝掘作業性を向上することができる。
又、請求項4記載の発明にあっては、上記すき部材を作業位置と退避位置とに姿勢変更可能な退避機構を設けてなるから、不使用時や移動時において、すき部材を作業位置から退避位置に退避させることができ、溝掘作業性を向上することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記穿入ビームの進行方向前方位置に上記圃場面に予条溝を溝切可能な予溝切体を設けてなるから、予溝切体は連れ回り回転しつつ進行して圃場面に予条溝を切り、予条溝の後から穿入ビームが進行方向に揺振動作しつつ穿入して穿入跡溝を形成するから、穿入跡溝の形成抵抗を低減することができ、穿入跡溝の形成作業性を向上することができる。
又、請求項6記載の発明にあっては、上記機枠に圃場面上を転動可能な転輪体を高低調節自在に設けてなるから、機枠の安定走行を図ることができ、又、請求項7記載の発明にあっては、上記すき部材の横振れを抑制可能な安定部材を設けてなるから、安定部材によりすき部材の横振れを抑えることができ、溝掘作業を良好に行うことができる。
本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
本発明の実施の第一形態例の拡大側面図である。
本発明の実施の第一形態例の拡大平面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分縦断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分縦断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
本発明の実施の第一形態例の使用状態の説明平面図である。
本発明の実施の第一形態例の使用状態の拡大横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の使用状態の説明平面図である。
本発明の実施の第二形態例の部分横断面図である。
図1乃至図16は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図15は第一形態例、図16は第二形態例である。
図1乃至図15の第一形態例において、1は走行機体であって、この場合、トラクタが用いられ、図1、図2の如く、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結して構成している。
この場合、上記連結機構2は、図1、図3の如く、上記走行機体1の後部に左右の下部リンク2a・2a、上部リンク2b、吊上リンク2c・2c及び油圧アーム2d・2dからなる三点リンク機構が設けられ、この三点リンク機構により走行機体1に機枠3を連結し、三点リンク機構の油圧アーム2d・2dの上下揺動により機枠3を上下動自在に設けて構成している。
4は穿入ビーム、5は揺振機構であって、この場合、図2、図3、図4の如く、機枠3に揺動アーム6の中程部を支点軸7により揺振動作自在に枢着すると共に機枠3に主軸8を軸受8a・8aにより回転自在に横設し、主軸8を回転駆動する駆動機構9を設け、この場合、図1、図2の如く、駆動機構9として、上記機枠3に上回転軸9a及び下回転軸9bを軸受11・11により横架し、上回転軸9aと下回転軸9bとを歯車機構10により駆動連結し、走行機体1たるトラクタの動力取出軸1aと上回転軸9aとを自在継手12により連結し、下回転軸9bと主軸8とをチェーンからなる伝達機構13により駆動連結し、揺動アーム6と穿入ビーム4との間に偏心輪機構14を介装し、この場合、図7、図8、図9、図10の如く、偏心輪機構14として、上記主軸8の軸受8a・8a間に偏心軸部14aを形成し、偏心軸部14aの中心軸線は主軸8の回転軸線に対して偏心量εだけ偏心し、偏心軸部14aに接続部材14bの上側の軸受14cを嵌合し、接続部材14bの下側の軸受14dに揺動アーム6の基軸6aを嵌挿し、揺動アーム6をガイドロール6b・6b及びガイド片3a・3aにより上下揺動案内し、主軸8の回転により偏心輪機構14を介して揺動アーム6を支点軸7を中心として上下揺振動作させ、揺動アーム6の後端部に穿入ビーム4を上下方向に取付け、穿入ビーム4の下端部に犂体15を取付けると共に、この場合、フック状の連結材16により砲弾状の弾丸体17を連結して構成している。
しかして、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は揺振機構5により進行方向に揺振動作しつつ圃場土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成すると共に、この場合、弾丸体17により暗渠Hを連続して形成することになる。
18は拡張部材、19は拡張機構であって、この拡張部材18は上記穿入ビーム4の進行方向後方位置としての縦口路形成位置Dに配設され、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成可能に設けられ、拡張機構19は、図13の如く、拡張部材18を進行方向後方向きの非拡張位置Kから進行方向側方向き、この場合、進行方向後方向きからθ=略60°振った側方向きの拡張位置Gに間欠的に強制拡張動作させるように構成している。
この場合、上記機枠3の後部に軸受筒体20を縦設し、軸受筒体20に軸状体21を縦回り回動自在に縦設し、軸受筒体20に軸受片体22を形成し、軸状体21の下端部を拡張部材18の上部に取付け、拡張部材18の下部を軸受片体22に支持ピン22aにより回転自在に軸受し、拡張部材18には羽根板状の突状体18aが上下に延びて形成され、又、拡張機構19として、間欠拡張機構19aが用いられ、この場合、上記機枠3に減速機構23を取付け、減速機構23の入力軸23aと主軸8とを継手8bにより連結し、減速機構23の出力軸23bに旋回アーム24を取付け、旋回アーム24に押動ロール25を植設し、軸状体21の上端部に押動ロール25により押圧可能な係合爪部材26を水平突設している。
しかして、図12、図13の如く、主軸8の回転により減速機構23の出力軸23bが回転し、出力軸23bの回転により旋回アーム24が矢印方向に水平旋回し、旋回アーム24の押動ロール25は係合爪部材26を係合押動し、この押動により拡張部材18は強制的に所定角度縦回り回動し、これにより、図13、図15の如く、縦口路Tが拡張形成され、更なる回動により押動ロール25が係合爪部材26から離反すると、拡張部材18の羽根板状の突状体18aは穿入ビーム4の穿入跡溝Sの側面に当接して戻り復帰回動し、拡張部材18の突状体18aは間欠的に所定角度往復回動し、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成することになる。
27はすき部材であって、図2の如く、拡張機構19の進行方向後方位置に配設され、上記機枠3を支持機枠3bと作業機枠3cとにより形成し、支持機枠3bに作業機枠3cを枢着し、作業機枠3cの下部にU状の取付アーム28の先端部を支持軸29により枢着し、作業機枠3cの上部にピン30によりナット体31を回動自在に枢着し、ナット体31に螺杆32を螺着し、ハンドル33の回動によりナット体31を回動して螺杆32を上下動自在に設け、取付アーム28の中程部に螺杆32の下端部をピン30により枢着し、取付アーム28にすき部材27をボルト34により取付けて構成し、すき部材27の先端部は先細削取部27aに形成されるとともに後部は削取土を側方に排出するようにひねった排出部27bに形成されている。
35は前処理部材であって、図2、図5の如く、上記穿入ビーム4の進行方向前方位置に配設され、取付円盤35aと取付円盤35aに放射状に複数個の排出部材35b・・をボルト35cにより取付け、前処理部材35の上方位置に放擲カバー36を配置し、上記駆動機構9により回転駆動するように構成している。
37・38は左右一対の側溝切体であって、上記すき部材27の進行方向前方位置に配設され、図11の如く、外周部に数個の刃部37a・38aが切欠形成され、前記作業機枠3cの下端部に車筒39を取付け、車筒39に車軸40を回転自在に軸受し、車軸40の左右両端部に左右一対の側溝切体37・38を所定間隔を置いて取付けて構成している。
41は退避機構であって、図2の如く、上記すき部材27を作業位置Pと退避位置Qとに姿勢変更可能に構成され、この場合、上記支持機枠3bに作業機枠3cを支点軸41aにより回動自在に枢着し、支持機枠3bに二個の挿通穴41b・41bを形成すると共に作業機枠3cに挿通穴41cを形成し、挿通穴41b・41cに挿通可能な係止ピン41dを形成し、挿通穴41b・41cに係止ピン41dを挿通することにより作業機枠3cを作業位置Pに固定すると共に係止ピン41dを挿通穴41b・41cから抜き取り、係止ピン41dを他の挿通穴41b・41cに挿通することにより作業機枠3cを退避位置Qに引上回動して固定するように構成されている。
42は予溝切体であって、図6の如く、上記機枠3に取付片42aを垂設し、取付片42aに予溝切体42を車軸42bにより回転自在に取付け、穿入ビーム4の進行方向前方位置に予条溝Fを形成するように構成している。
43は転輪体であって、この場合、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム43a・43aを高低調節機構43bにより高低調節自在に配置し、田面等の地表面Mに転輪体43を接地させ、機枠3の安定走行を図るように構成している。
44は安定部材であって、この場合、図14の如く、安定部材44には圃場面aに当接可能な当接板面44a及び掘り取られた掘取溝Uの内側面U1に当接可能な側当接板面44bが形成され、上記取付アーム28の後面に支持片45を突設し、安定部材44に連結片46を形成し、支持片45と連結片46とを連結ピン47により連結し、これにより安定部材44を取付アーム28に若干揺動自在に取付けている。
この実施の第一形態例は上記構成であるから、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は進行方向に揺振動作しつつ圃場土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成し、この場合、犂体15の穿入後方位置の弾丸体17により暗渠Hを連続して形成し、上記穿入ビーム4の進行方向後方位置に配置された拡張部材18は拡張機構19により拡張動作し、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sを拡張して地表面Mに開口する縦溝状の縦口路Tを形成することになり、この際、上記機枠3に圃場面aの土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置Dに掘取溝Uを形成可能なすき部材27を設けているから、走行機体1の進行に伴いすき部材27の下部は圃場面aの土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置Dに掘取溝Uを形成することになり、穿入跡溝S及び縦口路Tが掘取溝U内に開口することにより穿入跡溝S及び縦口路Tの開口が圃場面aの泥土により閉塞されることを抑制することができ、圃場面aの水は掘取溝Uを介して穿入跡溝S及び縦口路Tの開口から圃場土中Wとしての芯土層及び暗渠Hに至ることになり、圃場面aの地表面Mから芯土層及び暗渠Hまでの距離も短くなり、それだけ、圃場の排水性及び通気性を良好に保持することができ、水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することができる。
尚、上記縦口路Tの下端は適宜設定されるが、一般的に暗渠Hに届かない暗渠Hの近接位置に設定されることが望ましく、何故ならば、暗渠Hと縦口路Tとが連通状態であると縦口路Tの内面の土が暗渠H内に流入し、暗渠Hを閉塞することがあるからである。
又、この場合、図5の如く、上記機枠3に圃場面aに散在する藁屑等の圃場散在物Eを側方に排出可能な前処理部材35を上記穿入ビーム4の進行方向前方位置に設けてなるから、圃場面aに散在する藁屑、株等の圃場散在物Eを前処理部材35により側方に排出することができ、この場合、駆動機構9により取付円盤35aが回転駆動され、取付円盤35aに放射状に取付けられた複数個の排出部材35b・・からなる前処理部材35により圃場面aに散在する藁屑、株等の圃場散在物Eを側方に排出することができ、穿入ビーム4による穿入跡溝Sの形成抵抗を軽減することができ、穿入跡溝Sの形成作業性を向上することができ、又、この場合、図11の如く、上記すき部材27の進行方向前方位置に上記圃場面aに側条溝R・Rを溝切可能な左右一対の側溝切体37・38を設けてなるから、側溝切体37・38は連れ回り回転しつつ進行してすき部材27の進行方向前方位置の圃場面aに左右一対の側条溝R・Rを切ることになり、先ず、側溝切体37・38で左右一対の側条溝R・Rを溝切りし、すき部材27が溝切りされた左右一対の側条溝R・R間の土を掬い取って側方に排出することになり、すき部材27による溝掘抵抗を軽減することができると共に走行機体1の牽引力増加を抑制することができ、溝掘作業性を向上することができる。
この場合、上記すき部材27を作業位置Pと退避位置Qとに姿勢変更可能な退避機構41を設け、この場合、図2の如く、上記機枠3を支持機枠3bと作業機枠3cにより形成し、作業機枠3cを支持機枠3bに対して作業位置Pと退避位置Qとに姿勢変更可能な退避機構41を設けているから、不使用時や移動時においては、係止ピン41dを挿通穴41b・41cから抜き取ることにより作業機枠3cを退避位置Qに引上回動させることができ、それだけ作業姿勢及び退避の姿勢変更が容易となって溝掘作業性を向上することができ、又、この場合、上記穿入ビーム4の進行方向前方位置に上記圃場面aに予条溝Fを溝切可能な予溝切体42を設けてなるから、予溝切体42は連れ回り回転しつつ進行して圃場面aに予条溝Fを切り、予条溝Fの後から穿入ビーム4が進行方向に揺振動作しつつ穿入して穿入跡溝Sを形成するから、穿入跡溝Sの形成抵抗を低減することができ、穿入跡溝Sの形成作業性を向上することができる。
又、上記機枠3に圃場面a上を転動可能な転輪体43を高低調節自在に設け、この場合、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム43a・43aを高さ調節機構43bにより高低調節自在に設け、取付アーム43a・43aに転輪体43を配置しているから、田面等の地表面Mに転輪体43を接地させることで、機枠3の安定走行を図ることができ、又、この場合、上記すき部材27の横振れを抑制可能な安定部材44を設けてなるから、安定部材44によりすき部材27の横振れを抑えることができ、溝掘作業を良好に行うことができ、かつ、上記すき部材27の横振れを抑制可能な安定部材44には圃場面aに当接可能な当接板面44a及び掘り取られた掘取溝Uの内側面U1に当接可能な側当接板面44bが形成され、上記取付アーム28の後面に支持片45を突設し、安定部材44に連結片46を形成し、支持片45と連結片46とを連結ピン47により連結し、安定部材44を取付アーム28に若干揺動自在に取付けているから、安定部材44によりすき部材27の横振れを抑えることができ、溝掘作業を良好に行うことができる。
図16の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例においては、左右一対の側溝切体37・38を採用しているが、第二形態例においては、片側一個の側溝切体37としている。
この第二形態例においても、上記第一形態例とほぼ同様の効果を得ることができる。
尚、本発明は上記の形態例に限られるものではなく、走行機体1、連結機構2、揺振機構5、拡張部材18、拡張機構19、すき部材27などは適宜変更して設計されるものである。
又、上記実施の形態例においては、穿入ビーム4の下端部に砲弾状の弾丸体17を連結配置しているが、弾丸体17を配置しない構造とすることもあり、すなわち、暗渠Hを形成しない構造とすることもあり、又、上記実施の形態例においては、上記すき部材27を縦口路形成位置Dとしての穿入ビーム4及び拡張部材18の進行方向後方位置に配置し、上記縦口路Tが形成された縦口路形成位置Dの圃場の土をすき部材27により掬い取って側方に排出して掘取溝Uを形成するように構成しているが、すき部材27を上記拡張部材18の進行方向前方位置に配置し、先ず、上記縦口路Tが形成される縦口路形成位置Dに圃場の土をすき部材27により掬い取って側方に排出して掘取溝Uを形成し、掘取溝Uを形成した後、上記拡張部材18により縦口路Tを形成するように構成することもある。
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
W 圃場土中
S 穿入跡溝
M 地表面
T 縦口路
D 縦口路形成位置
P 作業位置
Q 退避位置
F 予条溝
a 圃場面
U 掘取溝
E 圃場散在物
R 側条溝
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 穿入ビーム
5 揺振機構
18 拡張部材
19 拡張機構
27 すき部材
35 前処理部材
37 側溝切体
38 側溝切体
41 退避機構
42 予溝切体
43 転輪体
44 安定部材
27はすき部材であって、図2の如く、拡張機構19の進行方向後方位置に配設され、上記機枠3を支持機枠3bと作業機枠3cとにより形成し、支持機枠3bに作業機枠3cを枢着し、作業機枠3cの下部にU状の取付アーム28の先端部を支持軸29により枢着し、作業機枠3cの上部にピン30によりナット体31を回動自在に枢着し、ナット体31に螺杆32を螺着し、ハンドル33の回動によりナット体31を回動して螺杆32を上下動自在に設け、取付アーム28の中程部に螺杆32の下端部をピン30aにより枢着し、取付アーム28にすき部材27をボルト34により取付けて構成し、すき部材27の先端部は先細削取部27aに形成されるとともに後部は削取土を側方に排出するようにひねった排出部27bに形成されている。
本発明は例えば水田や畑の圃場土中に縦口路を形成する圃場縦口路形成装置に関するものである。
従来、この種の圃場縦口路形成装置として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を設け、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設してなる構造のものが知られている。
しかして、水田等は表層の耕耘層、その下層の耕盤層、さらに下層の芯土層からなり、この耕耘層、耕盤層及び芯土層に穿入ビームを穿入進行させ、耕盤層を破って圃場土中の上下方向に延びて穿入跡溝を形成し、拡張部材により圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成し、この縦口路及び穿入跡溝の存在により水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することになる。
特許第5266579号公報
特許第4174780号公報
しかしながら上記従来構造の場合、上記穿入跡溝及び上記縦口路は圃場の地表面に比較的小さな断面積のままに開口形成されているから、穿入跡溝及び縦口路の地表面の開口が圃場表面の泥土により閉塞されることがあり、圃場の地表面から土中としての芯土層までの距離が比較的長いこともあって、圃場の排水性及び通気性を低下させることがあるという不都合を有している。
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を設け、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設してなり、上記機枠に圃場の土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置に掘取溝を形成可能なすき部材を設け、該すき部材により掘取溝を形成して上記縦口路を該掘取溝内に開口形成するように構成してなることを特徴とする圃場縦口路形成装置にある。
又、請求項2記載の発明は、上記機枠に圃場面に散在する藁屑等の圃場散在物を側方に排出可能な前処理部材を上記穿入ビームの進行方向前方位置に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記すき部材の進行方向前方位置に上記圃場面に側条溝を溝切可能な側溝切体を設けてなることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の発明は、上記すき部材を作業位置と退避位置とに姿勢変更可能な退避機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記穿入ビームの進行方向前方位置に上記圃場面に予条溝を溝切可能な予溝切体を設けてなることを特徴とするものである。
又、請求項6記載の発明は、上記機枠に圃場面上を転動可能な転輪体を高低調節自在に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項7記載の発明は、上記すき部材の横振れを抑制可能な安定部材を設けてなることを特徴とするものである。
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体の進行に伴い穿入ビームは進行方向に揺振動作しつつ圃場土中に穿入して穿入跡溝を形成し、上記穿入ビームの進行方向後方位置に配置された拡張部材は拡張機構により拡張動作し、穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝を拡張して地表面に開口する縦溝状の縦口路を形成することになり、この際、上記機枠に圃場の土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置に掘取溝を形成可能なすき部材を設け、すき部材により掘取溝を形成して上記縦口路を掘取溝内に開口形成するように構成しているから、走行機体の進行に伴いすき部材の下部は圃場の土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置に掘取溝を形成することになり、穿入跡溝及び縦口路が掘取溝内に開口することにより穿入跡溝及び縦口路の開口が圃場表面の泥土により閉塞されることを抑制することができ、圃場表面の水は掘取溝を介して穿入跡溝及び縦口路の開口から土中としての芯土層に至ることになり、圃場の地表面から芯土層までの距離も短くなり、それだけ、圃場の排水性及び通気性を良好に保持することができ、水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することができる。
又、請求項2記載の発明にあっては、上記機枠に圃場面に散在する藁屑等の圃場散在物を側方に排出可能な前処理部材を上記穿入ビームの進行方向前方位置に設けてなるから、圃場面に散在する藁屑、株等の圃場散在物を前処理部材により側方に排出することができ、穿入ビームによる穿入跡溝の形成抵抗を軽減することができ、穿入跡溝の形成作業性を向上することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記すき部材の進行方向前方位置に上記圃場面に側条溝を溝切可能な側溝切体を設けてなるから、側溝切体は連れ回り回転しつつ進行してすき部材の進行方向前方位置の圃場面に側条溝を切ることになり、先ず、側溝切体で側条溝を溝切りし、すき部材が溝切りされた側条溝の土を掬い取って側方に排出することになり、すき部材による溝掘抵抗を軽減することができると共に走行機体の牽引力増加を抑制することができ、溝掘作業性を向上することができる。
又、請求項4記載の発明にあっては、上記すき部材を作業位置と退避位置とに姿勢変更可能な退避機構を設けてなるから、不使用時や移動時において、すき部材を作業位置から退避位置に退避させることができ、溝掘作業性を向上することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記穿入ビームの進行方向前方位置に上記圃場面に予条溝を溝切可能な予溝切体を設けてなるから、予溝切体は連れ回り回転しつつ進行して圃場面に予条溝を切り、予条溝の後から穿入ビームが進行方向に揺振動作しつつ穿入して穿入跡溝を形成するから、穿入跡溝の形成抵抗を低減することができ、穿入跡溝の形成作業性を向上することができる。
又、請求項6記載の発明にあっては、上記機枠に圃場面上を転動可能な転輪体を高低調節自在に設けてなるから、機枠の安定走行を図ることができ、又、請求項7記載の発明にあっては、上記すき部材の横振れを抑制可能な安定部材を設けてなるから、安定部材によりすき部材の横振れを抑えることができ、溝掘作業を良好に行うことができる。
本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
本発明の実施の第一形態例の拡大側面図である。
本発明の実施の第一形態例の拡大平面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分縦断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分縦断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
本発明の実施の第一形態例の使用状態の説明平面図である。
本発明の実施の第一形態例の使用状態の拡大横断面図である。
本発明の実施の第一形態例の使用状態の説明平面図である。
本発明の実施の第二形態例の部分横断面図である。
図1乃至図16は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図15は第一形態例、図16は第二形態例である。
図1乃至図15の第一形態例において、1は走行機体であって、この場合、トラクタが用いられ、図1、図2の如く、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結して構成している。
この場合、上記連結機構2は、図1、図3の如く、上記走行機体1の後部に左右の下部リンク2a・2a、上部リンク2b、吊上リンク2c・2c及び油圧アーム2d・2dからなる三点リンク機構が設けられ、この三点リンク機構により走行機体1に機枠3を連結し、三点リンク機構の油圧アーム2d・2dの上下揺動により機枠3を上下動自在に設けて構成している。
4は穿入ビーム、5は揺振機構であって、この場合、図2、図3、図4の如く、機枠3に揺動アーム6の中程部を支点軸7により揺振動作自在に枢着すると共に機枠3に主軸8を軸受8a・8aにより回転自在に横設し、主軸8を回転駆動する駆動機構9を設け、この場合、図1、図2の如く、駆動機構9として、上記機枠3に上回転軸9a及び下回転軸9bを軸受11・11により横架し、上回転軸9aと下回転軸9bとを歯車機構10により駆動連結し、走行機体1たるトラクタの動力取出軸1aと上回転軸9aとを自在継手12により連結し、下回転軸9bと主軸8とをチェーンからなる伝達機構13により駆動連結し、揺動アーム6と穿入ビーム4との間に偏心輪機構14を介装し、この場合、図7、図8、図9、図10の如く、偏心輪機構14として、上記主軸8の軸受8a・8a間に偏心軸部14aを形成し、偏心軸部14aの中心軸線は主軸8の回転軸線に対して偏心量εだけ偏心し、偏心軸部14aに接続部材14bの上側の軸受14cを嵌合し、接続部材14bの下側の軸受14dに揺動アーム6の基軸6aを嵌挿し、揺動アーム6をガイドロール6b・6b及びガイド片3a・3aにより上下揺動案内し、主軸8の回転により偏心輪機構14を介して揺動アーム6を支点軸7を中心として上下揺振動作させ、揺動アーム6の後端部に穿入ビーム4を上下方向に取付け、穿入ビーム4の下端部に犂体15を取付けると共に、この場合、フック状の連結材16により砲弾状の弾丸体17を連結して構成している。
しかして、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は揺振機構5により進行方向に揺振動作しつつ圃場土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成すると共に、この場合、弾丸体17により暗渠Hを連続して形成することになる。
18は拡張部材、19は拡張機構であって、この拡張部材18は上記穿入ビーム4の進行方向後方位置としての縦口路形成位置Dに配設され、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成可能に設けられ、拡張機構19は、図13の如く、拡張部材18を進行方向後方向きの非拡張位置Kから進行方向側方向き、この場合、進行方向後方向きからθ=略60°振った側方向きの拡張位置Gに間欠的に強制拡張動作させるように構成している。
この場合、上記機枠3の後部に軸受筒体20を縦設し、軸受筒体20に軸状体21を縦回り回動自在に縦設し、軸受筒体20に軸受片体22を形成し、軸状体21の下端部を拡張部材18の上部に取付け、拡張部材18の下部を軸受片体22に支持ピン22aにより回転自在に軸受し、拡張部材18には羽根板状の突状体18aが上下に延びて形成され、又、拡張機構19として、間欠拡張機構19aが用いられ、この場合、上記機枠3に減速機構23を取付け、減速機構23の入力軸23aと主軸8とを継手8bにより連結し、減速機構23の出力軸23bに旋回アーム24を取付け、旋回アーム24に押動ロール25を植設し、軸状体21の上端部に押動ロール25により押圧可能な係合爪部材26を水平突設している。
しかして、図12、図13の如く、主軸8の回転により減速機構23の出力軸23bが回転し、出力軸23bの回転により旋回アーム24が矢印方向に水平旋回し、旋回アーム24の押動ロール25は係合爪部材26を係合押動し、この押動により拡張部材18は強制的に所定角度縦回り回動し、これにより、図13、図15の如く、縦口路Tが拡張形成され、更なる回動により押動ロール25が係合爪部材26から離反すると、拡張部材18の羽根板状の突状体18aは穿入ビーム4の穿入跡溝Sの側面に当接して戻り復帰回動し、拡張部材18の突状体18aは間欠的に所定角度往復回動し、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成することになる。
27はすき部材であって、図2の如く、拡張機構19の進行方向後方位置に配設され、上記機枠3を支持機枠3bと作業機枠3cとにより形成し、支持機枠3bに作業機枠3cを枢着し、作業機枠3cの下部にU状の取付アーム28の先端部を支持軸29により枢着し、作業機枠3cの上部にピン30によりナット体31を回動自在に枢着し、ナット体31に螺杆32を螺着し、ハンドル33の回動によりナット体31を回動して螺杆32を上下動自在に設け、取付アーム28の中程部に螺杆32の下端部をピン30aにより枢着し、取付アーム28にすき部材27をボルト34により取付けて構成し、すき部材27の先端部は先細削取部27aに形成されるとともに後部は削取土を側方に排出するようにひねった排出部27bに形成されている。
35は前処理部材であって、図2、図5の如く、上記穿入ビーム4の進行方向前方位置に配設され、取付円盤35aと取付円盤35aに放射状に複数個の排出部材35b・・をボルト35cにより取付け、前処理部材35の上方位置に放擲カバー36を配置し、上記駆動機構9により回転駆動するように構成している。
37・38は左右一対の側溝切体であって、上記すき部材27の進行方向前方位置に配設され、図11の如く、外周部に数個の刃部37a・38aが切欠形成され、前記作業機枠3cの下端部に車筒39を取付け、車筒39に車軸40を回転自在に軸受し、車軸40の左右両端部に左右一対の側溝切体37・38を所定間隔を置いて取付けて構成している。
41は退避機構であって、図2の如く、上記すき部材27を作業位置Pと退避位置Qとに姿勢変更可能に構成され、この場合、上記支持機枠3bに作業機枠3cを支点軸41aにより回動自在に枢着し、支持機枠3bに二個の挿通穴41b・41bを形成すると共に作業機枠3cに挿通穴41cを形成し、挿通穴41b・41cに挿通可能な係止ピン41dを形成し、挿通穴41b・41cに係止ピン41dを挿通することにより作業機枠3cを作業位置Pに固定すると共に係止ピン41dを挿通穴41b・41cから抜き取り、係止ピン41dを他の挿通穴41b・41cに挿通することにより作業機枠3cを退避位置Qに引上回動して固定するように構成されている。
42は予溝切体であって、図6の如く、上記機枠3に取付片42aを垂設し、取付片42aに予溝切体42を車軸42bにより回転自在に取付け、穿入ビーム4の進行方向前方位置に予条溝Fを形成するように構成している。
43は転輪体であって、この場合、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム43a・43aを高低調節機構43bにより高低調節自在に配置し、田面等の地表面Mに転輪体43を接地させ、機枠3の安定走行を図るように構成している。
44は安定部材であって、この場合、図14の如く、安定部材44には圃場面aに当接可能な当接板面44a及び掘り取られた掘取溝Uの内側面U1に当接可能な側当接板面44bが形成され、上記取付アーム28の後面に支持片45を突設し、安定部材44に連結片46を形成し、支持片45と連結片46とを連結ピン47により連結し、これにより安定部材44を取付アーム28に若干揺動自在に取付けている。
この実施の第一形態例は上記構成であるから、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は進行方向に揺振動作しつつ圃場土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成し、この場合、犂体15の穿入後方位置の弾丸体17により暗渠Hを連続して形成し、上記穿入ビーム4の進行方向後方位置に配置された拡張部材18は拡張機構19により拡張動作し、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sを拡張して地表面Mに開口する縦溝状の縦口路Tを形成することになり、この際、上記機枠3に圃場面aの土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置Dに掘取溝Uを形成可能なすき部材27を設け、すき部材27により掘取溝Uを形成して上記縦口路Tを掘取溝U内に開口形成するように構成しているから、走行機体1の進行に伴いすき部材27の下部は圃場面aの土を掬い取って側方に排出して縦口路形成位置Dに掘取溝Uを形成することになり、穿入跡溝S及び縦口路Tが掘取溝U内に開口することにより穿入跡溝S及び縦口路Tの開口が圃場面aの泥土により閉塞されることを抑制することができ、圃場面aの水は掘取溝Uを介して穿入跡溝S及び縦口路Tの開口から圃場土中Wとしての芯土層及び暗渠Hに至ることになり、圃場面aの地表面Mから芯土層及び暗渠Hまでの距離も短くなり、それだけ、圃場の排水性及び通気性を良好に保持することができ、水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することができる。
尚、上記縦口路Tの下端は適宜設定されるが、一般的に暗渠Hに届かない暗渠Hの近接位置に設定されることが望ましく、何故ならば、暗渠Hと縦口路Tとが連通状態であると縦口路Tの内面の土が暗渠H内に流入し、暗渠Hを閉塞することがあるからである。
又、この場合、図5の如く、上記機枠3に圃場面aに散在する藁屑等の圃場散在物Eを側方に排出可能な前処理部材35を上記穿入ビーム4の進行方向前方位置に設けてなるから、圃場面aに散在する藁屑、株等の圃場散在物Eを前処理部材35により側方に排出することができ、この場合、駆動機構9により取付円盤35aが回転駆動され、取付円盤35aに放射状に取付けられた複数個の排出部材35b・・からなる前処理部材35により圃場面aに散在する藁屑、株等の圃場散在物Eを側方に排出することができ、穿入ビーム4による穿入跡溝Sの形成抵抗を軽減することができ、穿入跡溝Sの形成作業性を向上することができ、又、この場合、図11の如く、上記すき部材27の進行方向前方位置に上記圃場面aに側条溝R・Rを溝切可能な左右一対の側溝切体37・38を設けてなるから、側溝切体37・38は連れ回り回転しつつ進行してすき部材27の進行方向前方位置の圃場面aに左右一対の側条溝R・Rを切ることになり、先ず、側溝切体37・38で左右一対の側条溝R・Rを溝切りし、すき部材27が溝切りされた左右一対の側条溝R・R間の土を掬い取って側方に排出することになり、すき部材27による溝掘抵抗を軽減することができると共に走行機体1の牽引力増加を抑制することができ、溝掘作業性を向上することができる。
この場合、上記すき部材27を作業位置Pと退避位置Qとに姿勢変更可能な退避機構41を設け、この場合、図2の如く、上記機枠3を支持機枠3bと作業機枠3cにより形成し、作業機枠3cを支持機枠3bに対して作業位置Pと退避位置Qとに姿勢変更可能な退避機構41を設けているから、不使用時や移動時においては、係止ピン41dを挿通穴41b・41cから抜き取ることにより作業機枠3cを退避位置Qに引上回動させることができ、それだけ作業姿勢及び退避の姿勢変更が容易となって溝掘作業性を向上することができ、又、この場合、上記穿入ビーム4の進行方向前方位置に上記圃場面aに予条溝Fを溝切可能な予溝切体42を設けてなるから、予溝切体42は連れ回り回転しつつ進行して圃場面aに予条溝Fを切り、予条溝Fの後から穿入ビーム4が進行方向に揺振動作しつつ穿入して穿入跡溝Sを形成するから、穿入跡溝Sの形成抵抗を低減することができ、穿入跡溝Sの形成作業性を向上することができる。
又、上記機枠3に圃場面a上を転動可能な転輪体43を高低調節自在に設け、この場合、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム43a・43aを高さ調節機構43bにより高低調節自在に設け、取付アーム43a・43aに転輪体43を配置しているから、田面等の地表面Mに転輪体43を接地させることで、機枠3の安定走行を図ることができ、又、この場合、上記すき部材27の横振れを抑制可能な安定部材44を設けてなるから、安定部材44によりすき部材27の横振れを抑えることができ、溝掘作業を良好に行うことができ、かつ、上記すき部材27の横振れを抑制可能な安定部材44には圃場面aに当接可能な当接板面44a及び掘り取られた掘取溝Uの内側面U1に当接可能な側当接板面44bが形成され、上記取付アーム28の後面に支持片45を突設し、安定部材44に連結片46を形成し、支持片45と連結片46とを連結ピン47により連結し、安定部材44を取付アーム28に若干揺動自在に取付けているから、安定部材44によりすき部材27の横振れを抑えることができ、溝掘作業を良好に行うことができる。
図16の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例においては、左右一対の側溝切体37・38を採用しているが、第二形態例においては、片側一個の側溝切体37としている。
この第二形態例においても、上記第一形態例とほぼ同様の効果を得ることができる。
尚、本発明は上記の形態例に限られるものではなく、走行機体1、連結機構2、揺振機構5、拡張部材18、拡張機構19、すき部材27などは適宜変更して設計されるものである。
又、上記実施の形態例においては、穿入ビーム4の下端部に砲弾状の弾丸体17を連結配置しているが、弾丸体17を配置しない構造とすることもあり、すなわち、暗渠Hを形成しない構造とすることもあり、又、上記実施の形態例においては、上記すき部材27を縦口路形成位置Dとしての穿入ビーム4及び拡張部材18の進行方向後方位置に配置し、上記縦口路Tが形成された縦口路形成位置Dの圃場の土をすき部材27により掬い取って側方に排出して掘取溝Uを形成するように構成しているが、すき部材27を上記拡張部材18の進行方向前方位置に配置し、先ず、上記縦口路Tが形成される縦口路形成位置Dに圃場の土をすき部材27により掬い取って側方に排出して掘取溝Uを形成し、掘取溝Uを形成した後、上記拡張部材18により縦口路Tを形成するように構成することもある。
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
W 圃場土中
S 穿入跡溝
M 地表面
T 縦口路
D 縦口路形成位置
P 作業位置
Q 退避位置
F 予条溝
a 圃場面
U 掘取溝
E 圃場散在物
R 側条溝
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 穿入ビーム
5 揺振機構
18 拡張部材
19 拡張機構
27 すき部材
35 前処理部材
37 側溝切体
38 側溝切体
41 退避機構
42 予溝切体
43 転輪体
44 安定部材