JP2016152366A - 圧電素子及びその製造方法並びに圧電素子応用デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧電体層の酸素欠損の偏析によって引き起こされる圧電素子の劣化を抑制でき、長期に亘って圧電素子を好適に駆動できる圧電素子を提供する。【解決手段】 基板10上に形成される第1電極60と、第1電極60上に形成され、ABO3型ペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電体層70と、圧電体層70上に形成される第2電極80と、を具備する圧電素子300であって、圧電体層70は、チタン酸ジルコニウム(PZT)を含む第1層75と、チタン酸ジルコン酸ニオブ酸鉛(PZTN)を含む第2層76と、を有しており、第1電極60及び第2電極80のうち印加電圧の低い低電圧側の電極と、第1層75と、の間に、第2層76が配されている。【選択図】 図4

Description

本発明は、圧電素子及びその製造方法並びに圧電素子応用デバイスに関する。
圧電素子は、一般に、電気機械変換特性を有する圧電体層と、圧電体層を挟持する2つの電極と、を有している。このような圧電素子を駆動源として用いたデバイス(圧電素子応用デバイス)の開発が、近年、盛んに行われている。圧電素子応用デバイスの一つとして、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドがある。
圧電体層の材料(圧電材料)としては、例えば、圧電定数の高いチタン酸ジルコン酸鉛(PZT;Pb(Zr,Ti)O)がある。一方、PZTに対しては、鉛(Pb)が圧電体層の焼成工程で揮発しやすいという報告もある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、Pbの揮発・欠損に伴って酸素欠損が生じることや、電極との界面付近に存在する酸素欠損が圧電特性の低下の要因になることが指摘されている。
PZT以外の圧電材料を用いた場合にも、圧電体層に酸素欠損が生じ得ることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、発生した酸素欠損が低電圧側に蓄積されることによって圧電特性が低下することが指摘されている。
このため、特許文献1は、ABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電体層の酸素サイトに窒素をドープしている。また、特許文献2は、圧電素子の劣化が判定されたとき、逆極性の電圧(高周波数を有するとともに、圧電体層が変位することのない電圧)を一定時間印加している。
特開2012−156160号公報(請求項1,段落[0024]) 特開2006−86223号公報(段落[0072],図7)
しかしながら、特許文献1では、窒素をドープする工程が必要となる。また、特許文献2では、逆極性の電圧を印加する所定時間の間、圧電素子の駆動が中断してしまう。特許文献2において圧電素子の駆動中断時間を減少させると、逆極性電圧の印加時間が短くなってしまう。この場合、酸素欠損の偏析(圧電体層の低電圧側への蓄積)を解消できず、圧電素子の寿命が低下してしまう。
このように、窒素をドープする工程を除けば、従来技術のみでは、長期に亘って圧電素子を好適に駆動することが難しい。このような問題は、圧電材料にPZTを用いた場合に限られず、圧電材料にPZT以外の材料を用いた場合にも同様に存在する。また、このような問題は、液体噴射ヘッドに用いられる圧電素子に限られず、他の圧電素子応用デバイスに用いられる圧電素子にも同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、圧電体層の酸素欠損の偏析によって引き起こされる圧電素子の劣化を抑制でき、長期に亘って圧電素子を好適に駆動できる圧電素子の駆動方法及び圧電素子並びに圧電素子応用デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、基板上に形成される第1電極と、前記第1電極上に形成され、ABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電体層と、前記圧電体層上に形成される第2電極と、を具備する圧電素子であって、前記圧電体層は、チタン酸ジルコニウム(PZT)を含む第1層と、チタン酸ジルコン酸ニオブ酸鉛(PZTN)を含む第2層と、を有しており、前記第1電極及び前記第2電極のうち印加電圧の低い低電圧側の電極と、前記第1層と、の間に、前記第2層が配されていることを特徴とする圧電素子にある。
本態様において、PZTを含む第1層は比較的高い圧電定数を有するため、変位特性の観点で有利である。そして、PZTNを含む第2層は、酸素欠損(すなわちプラス電荷)の移動を抑制する機能を有する。更に、PZTN自身、酸素欠損が生じ難い。このため、第1層に生じ得る酸素欠損が低電圧側に引き寄せられるとしても、低電圧側の電極と、第1層と、の間に介在する第2層によって、該酸素欠損の移動を抑制できる。従って、圧電体層の酸素欠損が、電極との界面に偏析することを抑制できる。よって、本態様によれば、圧電体層の酸素欠損の偏析によって引き起こされる圧電素子の劣化を抑制でき、長期に亘って圧電素子を好適に駆動できる。尚、第1電極と第2電極との間に待機電圧が印可されている状態において、電位が低い方の電極を、「低電圧側の電極」とする。
また、前記第2電極は、複数の前記圧電体層に共通に設けられており、該第2電極が、前記低電圧側の電極であることが好ましい。これによれば、第2電極が共通電極として構成され、第2電極と第1層との間に第2層が配された圧電素子となる。よって、かかる圧電素子を、長期に亘って好適に駆動できる。
また、前記第2層は、前記低電圧側の電極とは反対側の電極と、前記第1層と、の間にも配されていることが好ましい。これによれば、第1電極及び第2電極の間で低電圧側及び抗電圧側を切り替えても、低電圧側の電極と、第1層と、の間に、第2層が介在する圧電素子となる。よって、かかる圧電素子を、長期に亘って好適に駆動できる。
また、前記第1層は複数層構造を有しており、前記第2層は、前記第1層の層間にも配されていることが好ましい。これによれば、第2層によって、第1層の層間でも酸素欠損の移動を抑制できる圧電素子となる。よって、かかる圧電素子を、長期に亘ってより好適に駆動できる。
また、前記第2層において、ABO型ペロブスカイト構造のBサイトにおけるニオブ(Nb)量は15〜20モル%であることが好ましい。15モル%より少ないと、酸素欠損の移動を抑制する機能が十分に得られにくくなる。一方、20モル%より大きいと、単一層である第2層が得られにくくなる。従って、Nb量が上記の範囲内であることで、酸素欠損の移動を抑制する機能をより発揮できるようになる。しかも、単一層である第2層を構成して、製造プロセスを簡略化することもできる。
上記課題を解決する本発明の他の態様は、基板上に形成される第1電極と、前記第1電極上に形成され、ABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電体層と、前記圧電体層上に形成される第2電極と、を具備する圧電素子の製造方法であって、前記圧電体層として、チタン酸ジルコニウム(PZT)を含む第1層と、チタン酸ジルコン酸ニオブ酸鉛(PZTN)を含む第2層と、を有する層を形成し、前記第1電極及び前記第2電極のうち印加電圧の低い低電圧側の電極と、前記第1層と、の間に、前記第2層を配することを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる態様によれば、低電圧側の電極と、第1層と、の間に介在する第2層によって、圧電体層の酸素欠損の移動を抑制することができる圧電素子を製造できる。よって、長期に亘って好適に駆動できる圧電素子の製造方法が提供される。
上記課題を解決する本発明の更に他の態様は、上記の何れか一つに記載の圧電素子を具備することを特徴とする圧電素子応用デバイスにある。
かかる態様によれば、低電圧側の電極と、第1層と、の間に介在する第2層によって、圧電体層の酸素欠損の移動を抑制することができる圧電素子応用デバイスとなる。よって、長期に亘って好適に駆動できる圧電素子応用デバイスが提供される。
実施形態1に係る記録装置の概略構成を示す図。 実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図。 実施形態1に係る記録ヘッドの流路形成基板の平面図及び断面図。 実施形態1に係る圧電素子の概略構成を示す断面図。 実施形態1に係る圧電体層のX線回折パターンを示す図。 実施形態1に係る圧電体層のX線回折パターンを示す図。 実施形態1に係る圧電体層の好ましい組成範囲を説明する図。 実施形態1に係る圧電体層のヒステリシス曲線を示す図。 実施形態1に係る圧電体層のヒステリシス曲線を示す図。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造例を説明する図。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造例を説明する図。 他の実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す断面図。 他の実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す断面図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
(実施形態1)
(インクジェット式記録装置)
図1は、インクジェット式記録装置(記録装置)の概略構成を示している。
インクジェット式記録装置Iにおいて、インクジェット式記録ヘッドユニット(ヘッドユニットII)が、カートリッジ2A及び2Bに着脱可能に設けられている。カートリッジ2A及び2Bは、インク供給手段を構成している。ヘッドユニットIIは、複数のインクジェット式記録ヘッド(記録ヘッド)を有しており、キャリッジ3に搭載されている。キャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に、軸方向移動自在に設けられている。これらのヘッドユニットIIやキャリッジ3は、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出可能に構成されている。
駆動モーター6の駆動力は、図示しない複数の歯車及びタイミングベルト7を介し、キャリッジ3に伝達される。これにより、キャリッジ3が、キャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には、搬送手段としての搬送ローラー8が設けられている。搬送ローラー8により、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送される。尚、搬送手段は、搬送ローラーに限られず、ベルトやドラム等であってもよい。
上記のインクジェット式記録ヘッドには、アクチュエーターとして、本実施形態に係る圧電素子が用いられている。このため、以下に詳述するように、インクジェット式記録装置Iを長期に亘って好適に駆動することができる。
(インクジェット式記録ヘッド)
図2は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。図3(a)は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す平面図(圧電素子側から流路形成基板を見た平面図)であり、図3(b)は、図3(a)のA−A′線に準ずる断面図である。
流路形成基板10には、複数の隔壁11が形成されている。隔壁11によって、複数の圧力発生室12が区画されている。すなわち、流路形成基板10には、所定方向(同じ色のインクを吐出するノズル開口21が並設される方向)に沿って圧力発生室12が並設されている。以降、この所定方向を「圧力発生室12の並設方向」又は「第1の方向X」と称し、第1の方向Xと直交する方向を「第2の方向Y」と称する。「第1の方向X」及び「第2の方向Y」は、圧電素子の厚さ方向とも直交している。このような流路形成基板10としては、例えば、シリコン単結晶基板を用いることができる。
流路形成基板10のうち、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側には、インク供給路13と連通路14とが形成されている。インク供給路13は、圧力発生室12の片側を第1の方向Xから絞ることで開口面積が小さく構成されている。また、連通路14は、第1の方向Xにおいて圧力発生室12と略同じ幅を有している。連通路14の外側(第2の方向Yの圧力発生室12とは反対側)には、連通部15が形成されている。連通部15は、マニホールド100の一部を構成する。マニホールド100は、各圧力発生室12の共通のインク室となる。このように、流路形成基板10には、圧力発生室12、インク供給路13、連通路14及び連通部15からなる液体流路が形成されている。
流路形成基板10の一方面側には、例えばSUS製のノズルプレート20が接合されている。ノズルプレート20には、第1の方向Xに沿ってノズル開口21が並設されている。ノズル開口21は、各圧力発生室12に連通している。ノズルプレート20は、接着剤や熱溶着フィルム等によって流路形成基板10に接合することができる。
流路形成基板10の他方面側(上記の一方面側に対向する面側)には、振動板50が形成されている。振動板50は、例えば、流路形成基板10上に形成された弾性膜51と、弾性膜51上に形成された絶縁体膜52と、により構成されている。弾性膜51は、例えば二酸化シリコン(SiO)からなり、絶縁体膜52は、例えば酸化ジルコニウム(ZrO)からなる。ただし、弾性膜51は、流路形成基板10とは別部材でなくてもよい。流路形成基板10の一部を薄く加工し、これを弾性膜として使用してもよい。
絶縁体膜52上には、密着層56(図2〜図3(b)では図示省略、図4(a)を参照)を介して、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80と、を含む圧電素子300が形成されている。密着層は、例えばチタン(Ti)からなり、第1電極60と振動板50との密着性を向上させる機能を有する。ただし密着層56は省略可能である。
圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、保護基板30が接着剤35により接合されている。保護基板30は、マニホールド部32を有している。マニホールド部32により、マニホールド100の少なくとも一部が構成されている。本実施形態のマニホールド部32は、保護基板30を厚さ方向に貫通しており、更に圧力発生室12の幅方向に亘って形成されている。そして、マニホールド部32は、上記のように、流路形成基板10の連通部15と連通している。これらの構成により、各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100が構成されている。
保護基板30には、圧電素子300を含む領域に、圧電素子保持部31が形成されている。圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有している。この空間は、密封されていても密封されていなくてもよい。保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。貫通孔33内には、リード電極90の端部が露出している。
保護基板30上には、信号処理部として機能する駆動回路120が固定されている。駆動回路120は、例えば回路基板や半導体集積回路(IC)を用いることができる。駆動回路120及びリード電極90は、接続配線121を介して電気的に接続されている。駆動回路120は、プリンターコントローラー200に電気的に接続可能である。
このような駆動回路120が、本実施形態の制御手段として機能する。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42からなるコンプライアンス基板40が接合されている。固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっている。従って、マニホールド100の一方面は、可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
(圧電素子)
圧電素子300は、厚さが約0.2μmの第1電極60と、厚さが約3.0μm以下、好ましくは厚さが約0.5〜1.5μmの圧電体層70と、厚さが約0.05μmの第2電極80と、を含む。本実施形態では、電気機械変換特性を有する圧電体層70の変位によって、振動板50及び第1電極60が変位する。すなわち、本実施形態では、振動板50及び第1電極60が、実質的に振動板としての機能を有している。ただし、弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方、又は両方を設けずに、第1電極60のみが振動板として機能するようにしてもよい。流路形成基板10上に第1電極60を直接設ける場合には、第1電極60及びインクが導通しないように、第1電極60を絶縁性の保護膜等で保護することが好ましい。
第1電極60は、圧力発生室12毎に切り分けられている、つまり、第1電極60は、圧力発生室12毎に独立する個別電極として構成されている。第1電極60は、第1の方向Xにおいて、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で形成されている。また、第1電極60は、第2の方向Yにおいて、圧力発生室12よりも広い幅で形成されている。すなわち、第2の方向Yにおいて、第1電極60の両端部は、圧力発生室12に対向する領域より外側まで形成されている。第2の方向Yにおいて、第1電極60の一端部側(連通路14とは反対側)には、リード電極90が接続されている。
圧電体層70は、第1の方向Xに亘って、複数の個別電極(第1電極60)上に設けられている。また、圧電体層70は、第2の方向Yにおいて、圧力発生室12の第2の方向Yの長さよりも広い幅で形成されている。圧電体層70のインク供給路13側の端部(図3(b)の右側端部)は、第2の方向Yにおいて、第1電極60の端部よりも外側まで形成されている。つまり、第2の方向Yにおいて、第1電極60の一端部側は圧電体層70によって覆われている。一方、圧電体層70の他端部(図3(b)の左側端部)は、第2の方向Yにおいて、第1電極60の端部よりも内側にある。つまり、第2の方向Yにおいて、第1電極60の他端部側は圧電体層70によって覆われていない。
第2電極80は、第1の方向Xに亘って、圧電体層70、第1電極60及び振動板50上に連続して設けられている。つまり、第2電極80は、複数の圧電体層70に共通する共通電極として構成されている。このような圧電体層70及び第2電極80により、凹部71が形成されている。凹部71は、第1電極60の間、すなわち、隔壁11に対向する領域にある。第1の方向Xにおいて、凹部71の幅は、隔壁11の幅と略同一、又はそれよりも広い。これにより、振動板50の圧力発生室12の第2の方向Yにおける端部に対向する部分(いわゆる振動板50の腕部)の剛性が抑えられるため、圧電素子300を良好に変位させることができる。尚、これらの態様はあくまで一例であり、かかる態様に本発明は限定されない。
第1電極60及び第2電極80の材料は、白金(Pt)やイリジウム(Ir)等の貴金属が好適である。本実施形態では、第1電極60と第2電極80とは同一材料から構成されている。ただし、第1電極60の材料や第2電極80の材料は、導電性を有する材料であればよい。第1電極60の材料と第2電極80との材料を異ならせてもよい。
このような圧電素子300では、一般的に、何れか一方の電極が共通電極として構成され、他方の電極が個別電極として構成される。上記のように、本実施形態では、第1電極60が個別電極として構成され、第2電極80が共通電極として構成されている。ただし、駆動回路や配線の都合で、第1電極を共通電極として構成し、第2電極を個別電極として構成しても支障はない。
圧電体層70は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT;Pb(Zr,Ti)O)を含む第1層75と、チタン酸ジルコン酸ニオブ酸鉛(PZTN;Pb(Zr,Ti,Nb)O)を含む第2層76と、を有している。何れの層も、一般式ABOで示されるペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電材料を用いて構成されている。
一般式ABOで示されるペロブスカイト構造の複合酸化物は、Aサイトには酸素が12配位しており、Bサイトには酸素が6配位して8面体(オクタヘドロン)をつくっている。PZTでは、AサイトにPbが位置し、Bサイトにジルコニウム(Zr)及びTiが位置している。PZTNでは、AサイトにPbが位置し、Bサイトにジルコニウム(Zr)、Ti及びNbが位置している。
第1層75には、Pb、Zr、Ti以外の元素(Nbを除く)が含まれていてもよい。第2層76には、Pb、Zr、Ti、Nb以外の元素が含まれていてもよい。例えば、第1層75には、Pb、Zr、Ti以外にランタン(La)が含まれていても良い。この場合、第1層75を構成するペロブスカイト構造の複合酸化物は、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)となる。また、第2層76には、Pb、Zr、Ti以外にマグネシウム(Mg)が含まれていても良い。この場合、第2層76を構成するペロブスカイト構造の複合化合物は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Mg,Nb)O)となる。第1層75や第2層76に含まれるPb、Zr、Ti、Nb以外の元素(以下、「他の元素」という)は、ランタンやマグネシウムには限定されず、他の元素であっても良い。
圧電材料には、元素の一部欠損した組成を有する材料、元素の一部が過剰である組成を有する材料、及び元素の一部が他の元素に置換された組成を有する材料も含まれる。第1層75がPZTを主成分とし、第2層76がPZTNを主成分とするという基本的な特性が変わらない限り、欠損や過剰により化学量論の組成からずれた材料や、元素の一部が他の元素に置換された材料も、本発明の範疇に含まれる。第1層75がPZTを主成分とするとは、PZTが、第1層75を構成する元素全体に対して80モル%以上100モル%以下であることを意味する。また、第2層76がPZTNを主成分とするとは、PZTNが、第2層76を構成する元素全体に対して80モル%以上100モル%以下であることを意味する。
ここで、PZTを含む圧電体層を形成する場合、圧電体層の焼成工程で、Pbが揮発しやすい。Pbが揮発すると、電荷のバランスを保つため、圧電体層に酸素欠損(すなわちプラス電荷)が生じる。一方、このような酸素欠損が圧電体層の低電圧側に引き寄せられ、酸素欠損が偏析(圧電体層の低電圧側に蓄積)すると、圧電特性が低下し得るという報告がある。これに対し、本実施形態では、第1層75に生じ得る酸素欠損が低電圧側(例えば第2電極80側)に引き寄せられるとしても、低電圧側の電極と、第1層75と、の間に介在する第2層76によって、該酸素欠損の移動を抑制することができる。尚、第1電極と第2電極との間に待機電圧が印可されている状態において、電位が低い方の電極を、「低電圧側の電極」とする。
図4(a)〜(b)は、本実施形態に係る圧電素子300の概略構成を示す断面図である。このうち、図4(a)は、圧電素子300を第1の方向Xに沿って切断したときに現れる断面図である。図4(b)は、図4(a)の圧電体層70近傍の拡大図である。図4(b)には、酸素欠損(すなわちプラス電荷)の移動も模式的に示してある。
圧電体層70は、第1層75と、第2層76と、を有している。第1層75は、PZTを含んでおり、第1電極60上(第1電極60側)に配されている。PZTは圧電定数が比較的高い。このため、圧電体層70がPZTを含む第1層75を有することで、圧電体層70の変位特性の向上を図ることができる。また、第2層76は、PZTNを含んでおり、第1層75上(第2電極80側)に配されている。PZTNを含む第2層は、酸素欠損(すなわちプラス電荷)の移動を抑制する機能を有する。更に、PZTN自体が、酸素欠損を生じ難いという特性を持つ。
つまり、本実施形態では、低電圧側の電極(例えば第2電極80)と、第1層75と、の間に、第2層76が介在している。このため、図4(b)に示すように、酸素欠損が、低電圧側の電極(ここでは第2電極80)との界面に偏析することを抑制できる。よって、本実施形態によれば、圧電体層70の酸素欠損の偏析によって引き起こされる圧電素子300の劣化を抑制でき、長期に亘って圧電素子300を好適に駆動できる。
第1層75の厚さは、500nm以上2000nm以下とすることが好ましい。第1層75の厚さを上記の範囲とすることで、優れた変位特性が期待できる。また、第2層76の厚さは、50nm以上200nm以下とすることが好ましい。第2層76の厚さを上記の範囲とすることで、優れた変位特性を維持しつつ、酸素欠損の移動を抑制する機能を好適に発揮できる。尚、第2層76が厚すぎると、変位特性の観点で不利となる。このため、第2層76は、第1層75に対して10%以下の厚さにすることが好ましい。
ここで、第2層76におけるNb量について説明する。第2層76において、Bサイトにおける(Bサイトを構成する元素の合計に対する)Nb量は15モル%〜20モル%であることが好ましい。15モル%より少ないと、酸素欠損の移動を抑制する機能が十分に得られにくくなる。一方、20モル%より大きいと、単一層である第2層76が得られにくくなる。従って、Nb量が上記の範囲内であることで、酸素欠損の移動を抑制する機能をより発揮できるようになる。しかも、単一層である第2層76を構成して、製造プロセスを簡略化することもできる。
次に、第2層76におけるZr量(モル%)及びTi量(モル%)について説明する。図5(a)〜(e)は、PZTNのBサイトを構成する元素(Zr、Ti及びNb)の合計に対するNb量を15モル%とし、Zr量(モル%)及びTi量(モル%)を変化させたときのX線回折パターンを示す図である。また、図6(a)〜(e)は、PZTNのBサイトを構成する元素(Zr、Ti及びNb)の合計に対するNb量を20モル%とし、Zr量(モル%)及びTi量(モル%)を変化させたときのX線回折パターンを示す図である。何れの図においても、2θ=38〜39°の付近に、PZTNの(111)面への配向を示すピークがみられ、PZTNは(111)面へ配向していることが分かる。尚、これらの図において、2θ=40°付近のピークは、第1電極60として利用した(111)配向のプラチナによるものであり、2θ=36°付近のピークは、密着層56として使用した酸化チタンによるものである。
図7(a)は、圧電体層70のヒステリシス曲線の一例を示す図である。ヒステリシス曲線において、印加電圧が正で、かつ、分極率がゼロである点を+Vcとし、印加電圧がゼロで、かつ、分極率が正である点を+Prとする。そして、+Vcにおけるヒステリシス曲線の傾きS(+Vc)を、+Prにおけるヒステリシス曲線の傾きS(+Pr)で割った値(S(+Vc)/S(+Pr))を、該ヒステリシス曲線の角型比yとする。
図7(b)は、PZTNのBサイトを構成する元素(Zr、Ti及びNb)の合計に対するNb量が10モル%、15モル%、20モル%であるPZTNのサンプルについて、ZrとTiの合計に対するZrのモル比Zr/(Zr+Ti)と、角型比yと、の関係を示す図である。ペロブスカイト構造の結晶において、同じ(111)配向ならば、結晶系に応じてP−Vヒステリシス特性の傾向が異なる。すなわち、Zr/(Zr+Ti)に対する角型比yの変化は、結晶系に依存する。例えば、正方晶系と菱面体晶系とによって、Zr/(Zr+Ti)に対する角型比yの変化率が異なる。図7(b)では、Nb量が20モル%であるサンプルについて、各結晶系に属する領域のプロットを、2本の直線L1及びL2で近似している。2本の直線L1及びL2の交点P付近が、何れの結晶系にも分類できない相境界(MPB)となる。このようにして、P−Vヒステリシス特性から、MPBを予測することが可能である。
図7(c)は、ジルコン酸鉛(PbZrO)−チタン酸鉛(PbTiO)−ニオブ酸鉛(PbNbO)の組成比を示す状態図である。図中3つの楕円は、PZTNのBサイトを構成する元素(Zr、Ti及びNb)の合計に対するNb量が10%、15%、20モル%であるPZTNのサンプルにおいて、P−Vヒステリシス特性から予測したMPB組成領域を示している。これらの楕円は、図7(b)で説明したL1及びL2の交点P付近の組成に対応する。これらの楕円から、ジルコン酸鉛(PbZrO)−チタン酸鉛(PbTiO)−ニオブ酸鉛(PbNbO)の系において、MPBラインは、図中白抜きの点線で示すように、Zr/(Zr+Ti)=0.52付近にあると考えられる。MPBライン付近の組成では、高い圧電特性が得られることが一般的に知られている。図7(c)に示すように、Nb≦20モル%の範囲では、0.49≦Zr/(Zr+Ti)≦0.55とすれば、相境界(MPB)に近く、圧電特性の高いPZTNを得ることができると考えられる。
ただし、Zr/(Zr+Ti)の値は前記の値に限定されない。図8(a)〜(e)に示すように、例えばNb=15モル%においては、少なくとも、0.40≦Zr/(Zr+Ti)≦0.64の範囲で、良好なヒステリシス性が得られている。また、図9(a)〜(e)に示すように、例えばNb=20モル%においても、0.40≦Zr/(Zr+Ti)≦0.65の範囲で、良好なヒステリシス性が得られている。
(製造方法)
本実施形態に係る圧電素子の製造方法の一例について、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1の製造方法とあわせて説明する。
まず、流路形成基板用ウェハーの表面に、二酸化シリコン等からなる弾性膜51を形成し、この弾性膜51上に、酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜52を形成する。これにより、振動板50を形成する。次いで、絶縁体膜52上に、酸化チタン等からなる密着層56をスパッタリング法や熱酸化等により形成する。そして、図10(a)に示すように、密着層56上に、第1電極60をスパッタリング法や蒸着法等により形成する。
次いで、図10(b)に示すように、第1電極60上に所定形状のレジスト(図示なし)をマスクとして、密着層56及び第1電極60を同時にパターニングする。次に、図10(c)に示すように、密着層56、第1電極60及び振動板50に重なるように圧電体膜74を複数層形成して圧電体層70とする。圧電体膜74は、例えば金属錯体を含む溶液を塗布乾燥し、脱脂することで圧電体膜74を得るMOD法やゾル−ゲル法等の化学溶液法により形成することができる。その他、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、パルス・レーザー・デポジション法(PLD法)、CVD法、エアロゾル・デポジション法等によっても圧電体膜74を形成することができる。
圧電体膜74を化学溶液法で形成する場合の具体的な手順としては、まず、密着層56、第1電極60及び振動板50に、金属錯体を含むMOD溶液やゾルからなる酸化物層形成用組成物(前駆体溶液)を塗布し、圧電体前駆体膜(図示なし)を形成する(塗布工程)。
次いで、塗布した圧電体前駆体膜を所定温度、例えば130℃〜250℃程度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥させた圧電体前駆体膜を所定温度、例えば300℃〜450℃に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。そして、圧電体前駆体膜を所定温度、例えば650〜800℃程度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜74を形成する(焼成工程)。乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。上記の塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程や、塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程を所望の膜厚等に応じて複数回繰り返して、複数層の圧電体膜74からなる第1層75を形成する。
そして、上記の塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程と同様の手順により、単一層の圧電体膜74aからなる第2層76を形成する。第2層76は複数層形成しても構わない。これにより、第1層75及び第2層76を有する圧電体層70を形成する。
その後、圧電体層70を、各圧力発生室12に対応してパターニングする。そして、図10(d)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の一方面側(圧電体層70が形成された面側)に亘って、すなわち、圧電体層70、第1電極60及び振動板50に重なるように第2電極80を形成する。パターニングは、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いることができるが、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングやウェットエッチング等で行うこともできる。
そして、リード電極90(図2等参照)を形成するとともに所定形状にパターニングする。そして、図11(a)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の圧電素子300側に、接着剤を介して保護基板用ウェハー130を接合し、その後、流路形成基板用ウェハー110を所定の厚みに薄くする。次いで、図11(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110にマスク膜53を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図11(c)に示すように、マスク膜53を介して、流路形成基板用ウェハー110をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)する。
その後は、常法に従い、圧電素子300に対応する圧力発生室12や、図2に示すインク供給路13、連通路14及び連通部15等を形成する。そして、流路形成基板用ウェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分をダイシング等により切断・除去する。更に、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対側の面に、ノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合する。また、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合する。そして、流路形成基板用ウェハー110等を一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1とする。
以上説明した本実施形態では、低電圧側の電極(例えば第2電極80)と、第1層75と、の間にPZTNを含む第2層76を設けることによって、PZTを含む第1層75内に生じた酸素欠損の移動を抑制できる。従って、酸素欠損が、電極との界面に偏析することを抑制できる。よって、本態様によれば、圧電体層70の酸素欠損の偏析によって引き起こされる圧電素子300の劣化を抑制でき、長期に亘って圧電素子300を好適に駆動できる。
(実施形態2)
本実施形態の圧電素子は、基本的には第1の実施形態の圧電素子に対して、第2電極と第1層との間だけでなく、第1電極と第1層との間にも第2層が追加的に配されている点が異なる。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。尚、図12(a)及び(b)において、実施形態1と同じ符号を付した部材は、実施形態1と同一の部材を示しているため、適宜説明を省略している。
図12(a)〜(b)は、本実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す断面図である。本実施形態に係る圧電素子300Aは、実施形態1に係る圧電素子300と同様に、第2電極80とPZTを含む第1層75との間に、PZTNを含む第2層76が配されている。そして、第1電極60とPZTを含む第1層75との間にも、PZTNを含む第2層76aが配されている。すなわち、第1層75を挟むように2つの第2層76及び76aが配されており、これら3つの層75,76及び76aによって圧電体層70Aが構成されている。第1電極60側に設けられた第2層76aは、第2電極80側に設けられた第2層76(実施形態1に係る圧電素子300の第2層76)と同じように構成することが可能である。第2層76と第2層76aは、互いに厚みが異なっていてもよいし、互いに異なる組成を有していてもよい。
これによれば、第1電極60及び第2電極80のどちら側が低電圧となっても、酸素欠損の移動を抑制できる。すなわち、第2電極80側が低電圧となった場合は、第2電極側へ酸素欠損が移動しようとするが、このときの酸素欠損の偏析は第2電極80側に設けられた第2層76によって抑制される。第1電極60側が低電圧となった場合は、第1電極側へ酸素欠損が移動しようとするが、このときの酸素欠損の偏析は第1電極60側に設けられた第2層76aによって抑制される。よって、第1電極60と第2電極80との間で低電圧側及び高電圧側を切り替えた場合でも、酸素欠損の偏析を抑制することが可能である。
(実施形態3)
本実施形態の圧電素子は、第1の実施形態の圧電素子に対して、第1層が複数設けられており、隣り合う第1層の間に第2層が追加的に配されている点が異なる。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。尚、図13において、実施形態1と同じ符号を付した部材は、実施形態1と同一の部材を示しているため、適宜説明を省略している。
図13は、本実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す断面図である。本実施形態に係る圧電素子300Bは、PZTを含む第1層75a,75b,75cが複数設けられている(図中では3つ設けられている)。そして、PZTNを含む第2層76bが、隣り合う第1層75aと75bとの間に設けられ、また、PZTNを含む第2層76cが、隣り合う第1層75bと75cとの間に設けられている。すなわち、第1層75a,75b,75cの各層上に、それぞれ、第2層76,76b,76cが配されており、これら6つの層によって圧電体層70Bが構成されている。更に言い換えれば、圧電体層70Bは、第1電極60側から、第1層75c、第2層76c、第1層75b、第2層76b、第1層75a、第2層76が、この順に積層されることによって構成されている。第1層75a,75b,75cの厚みは互いに等しい。第1層75a,75b,75cは、実施形態1の第1層75と同様に構成することが可能である。また、第2層76,76b,76cの厚みは互いに等しい。第2層76,76b,76cは、実施形態1の第1層75と同様に構成することが可能である。複数の第1層75a,75b,75cは、互いに厚みが異なっていてもよいし、互いに異なる組成を有していてもよい。また、複数の第2層76,76b,76cは、互いに厚みが異なっていてもよいし、互いに異なる組成を有していてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明した。しかし、本発明の基本的構成は上記の態様に限定されない。
上記の実施形態では、第2電極80が、複数の圧電体層70に共通に設けられており、該第2電極80が、低電圧側の電極である構成を例示した。しかし、第1電極60をいわゆる共通電極とし、第2電極80をいわゆる共通電極としてもよい。また、第1電極60を低電圧側の電極としてもよい。更に、上記の実施形態1〜3は、互いに組み合わせることが可能である。
上記の実施形態では、流路形成基板10として、シリコン単結晶基板を例示した。しかし、流路形成基板10は前記の例に限定されず、例えば、SOI基板、ガラス等の材料であってもよい。
また、上記の実施形態では、圧電素子応用デバイスの一例として、インクジェット式記録ヘッドを挙げて説明した。しかし、本発明は、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、他の圧電素子応用デバイスに搭載される圧電素子にも適用できる。圧電素子応用デバイスの一例としては、超音波デバイス、モーター、圧力センサー、焦電素子、強誘電体素子などが挙げられる。また、これらの圧電デバイスを利用した完成体、例えば、上記液体等噴射ヘッドを利用した液体等噴射装置、上記超音波デバイスを利用した超音波センサー、上記モーターを駆動源として利用したロボット、上記焦電素子を利用したIRセンサー、強誘電体素子を利用した強誘電体メモリーなども、圧電素子応用デバイスに含まれる。
図面において示す構成要素、すなわち層等の厚さ、幅、相対的な位置関係等は、本発明を説明する上で、誇張して示されている場合がある。また、本明細書の「上」という用語は、構成要素の位置関係が「直上」であることを限定するものではない。例えば、「基板上の第1電極」や「第1電極上の圧電体層」という表現は、基板と第1電極との間や、第1電極と圧電体層との間に、他の構成要素を含むものを除外しない。
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 1 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 インク供給路、 14 連通路、 15 連通部、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 マニホールド部、 33 貫通孔、 35 接着剤、 40 コンプライアンス基板、 41 封止膜、 42 固定板、 43 開口部、 50 振動板、 51 弾性膜、 52 絶縁体膜、 53 マスク膜、 56 密着層、 60 第1電極、 70,70A,70B 圧電体層、 71 凹部、 74,74a 圧電体膜、 75,75a,75b,75c 第1層、 76,76a,76b,76c 第2層、 80 第2電極、 90 リード電極、 100 マニホールド、 300,300A,300B 圧電素子

Claims (7)

  1. 基板上に形成される第1電極と、前記第1電極上に形成され、ABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電体層と、前記圧電体層上に形成される第2電極と、を具備する圧電素子であって、
    前記圧電体層は、チタン酸ジルコニウム(PZT)を含む第1層と、チタン酸ジルコン酸ニオブ酸鉛(PZTN)を含む第2層と、を有しており、
    前記第1電極及び前記第2電極のうち印加電圧の低い低電圧側の電極と、前記第1層と、の間に、前記第2層が配されている
    ことを特徴とする圧電素子。
  2. 前記第2電極は、複数の前記圧電体層に共通に設けられており、
    該第2電極が、前記低電圧側の電極である
    ことを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記第2層は、前記低電圧側の電極とは反対側の電極と、前記第1層と、の間にも配されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子。
  4. 前記第1層は複数層構造を有しており、
    前記第2層は、前記第1層の層間にも配されている
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の圧電素子。
  5. 前記第2層において、ABO型ペロブスカイト構造のBサイトにおけるニオブ(Nb)量は15〜20モル%である
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の圧電素子。
  6. 基板上に形成される第1電極と、前記第1電極上に形成され、ABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電体層と、前記圧電体層上に形成される第2電極と、を具備する圧電素子の製造方法であって、
    前記圧電体層として、チタン酸ジルコニウム(PZT)を含む第1層と、チタン酸ジルコン酸ニオブ酸鉛(PZTN)を含む第2層と、を有する層を形成し、
    前記第1電極及び前記第2電極のうち印加電圧の低い低電圧側の電極と、前記第1層と、の間に、前記第2層を配する
    ことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  7. 請求項1〜5の何れか一項に記載の圧電素子を具備する
    ことを特徴とする圧電素子応用デバイス。
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