JP2016152239A - 光電変換素子およびそれを用いたイメージセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光電変換効率および暗電流の低下によるON/OFF比が高い光電変換素子を提供すること。
【解決手段】第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の有機層があり、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であって、前記有機層に、分子量が350以上2000以下であって、特定の一般式で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
【選択図】 図10
【解決手段】第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の有機層があり、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であって、前記有機層に、分子量が350以上2000以下であって、特定の一般式で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
【選択図】 図10
Description
本発明は、光電変換素子およびそれを用いたイメージセンサに関するものである。
光を電気エネルギーに変換できる光電変換素子は太陽電池、イメージセンサなどに利用できる。特に、光電変換素子で入射光より発生した電流をCCDやCMOS回路で読み出すイメージセンサが広く用いられている。
従来、光電変換素子を用いたイメージセンサでは光電変換膜を構成する材料として無機物を利用していた。しかし、無機物は色の選択性(特定波長の吸収)が低いため、カラーフィルターを用いて入射光をそれぞれの色(赤、緑および青)を選択的に透過させ、光電変換膜でそれぞれの光吸収をする必要があった。しかし、カラーフィルターを用いると、きめ細かい対象物を撮影した時に対象物のピッチが撮像素子のピッチと干渉し、本来の画像とは異なる画像(モアレ欠陥)が発生する。それを抑制するために光学レンズなどが必要となるが、カラーフィルターと光学レンズにより光利用効率および開口率が低くなる短所がある。
一方、近年、イメージセンサの高解像度要求が高まってきており、画素の微細化が進んでいる。そのため、画素のサイズはより小さくなるが、小さくなることで各画素の光電変換素子に到達する光量が減少するため、感度の低下が問題になる。
これを解決するために、有機化合物を用いた光電変換素子の研究がなされている。有機化合物は分子構造により入射する光のうち特定波長領域の光を選択的に吸収できることからカラーフィルターが不要となり、更に吸収係数が高いことから、光利用効率を高くすることが可能である。この有機化合物を用いた光電変換素子としては、具体的には両極に挟まれた光電変換膜にpn接合構造やバルクへテロジャンクション構造を導入した素子構成が知られている。また、イメージセンサの用途においては光電変換効率の向上や応答速度向上のために外部から電圧を印加することが多いため、外部電界による電極からの正孔または電子の注入による暗電流が発生する。この暗電流の低下を目的として正孔ブロッキング層や電子ブロッキング層を挿入した素子構成も知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
しかしながら、特開2007−088033号公報には正孔ブロッキング層として好ましい構造例が挙げられているが、全て対称性の高い分子構造であり、結晶化しやすい構造であり、耐熱性または耐久性の点で課題がある。また、特開2007−059515号公報についても好ましい構造例として対称性のよい化合物群が記載されているのみであり、高温での熱処理工程の際に結晶化しやすく、透明性が足りない、素子が短絡してしまうなどの課題について言及しているものではない。
そこで本発明は、耐熱性に優れ、光電変換効率が高く、暗電流が低減された光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明は、第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の有機層があり、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であって、前記有機層に、分子量が350以上2000以下であって、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子である。
式中、AおよびBは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。但し、AとBは異なる基である。L2は核炭素数が6〜20で構成される置換もしくは無置換のアリーレン基である。L1およびL3は単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基である。nは1〜3の整数である。ただし、n=1のときは、AおよびBのうち、少なくともどちらかがそれぞれ置換もしくは無置換の縮合芳香族炭化水素基であって核炭素数が9以上であるもの、または置換もしくは無置換の縮合芳香族複素環基であって核炭素数が9以上であるものから選ばれる。
本発明により、耐熱性に優れ、光電変換効率が高く、暗電流が低減された光電変換素子を提供することができる。
<光電変換素子材料>
本発明の光電変換素子は、有機層に、分子量が350以上2000以下であって、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
本発明の光電変換素子は、有機層に、分子量が350以上2000以下であって、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
式中、AおよびBは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。但し、AとBは異なる基である。L2は核炭素数が6〜20で構成される置換もしくは無置換のアリーレン基である。L1およびL3は単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基である。nは1〜3の整数である。ただし、n=1のときは、AおよびBのうち、少なくともどちらかがそれぞれ置換もしくは無置換の縮合芳香族炭化水素基であって核炭素数が9以上であるもの、または置換もしくは無置換の縮合芳香族複素環基であって核炭素数が9以上であるものから選ばれる。
化合物が一般式(1)で表されるかどうか判断する際は、nにおいて、できるだけnが大きくなるようにする。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。また、以下の説明において例えば炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて6〜40であり、炭素数を規定している他の置換基もこれと同様である。
また、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、ハロゲン、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基および−P(=O)R1R2からなる群より選ばれる。R1およびR2が縮合して環を形成してもよい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子が置換したことを意味する。
以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。なお、以下、「置換もしくは無置換」を省略する場合がある。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールエーテル基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオランテニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。より好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基である。
ヘテロアリール基とは、フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基、ビピリジニレン基、ターピリジニレン基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ナフチリジル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上30以下の範囲である。より好ましくは、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基である。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、メチル基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。
カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基およびホスフィンオキサイド基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。
アリーレン基とは、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フルオレン、フェナントレンなどの芳香族炭化水素基から導かれる2価以上の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。好ましくは、2価もしくは3価のアリーレン基である。アリーレン基としては、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
ヘテロアリーレン基とは、ピリジン、ビピリジン基、ターピリジレン基、キノリン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノキサリン、キナゾリン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンなどの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基から導かれる2価以上の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。好ましくは2価もしくは3価のヘテロアリーレン基である。ヘテロアリーレン基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2〜30の範囲である。ヘテロアリーレン基としては、具体的には、2,6−ピリジレン基、2,5−ピリジレン基、2,4−ピリジレン基、3,5−ピリジレン基、3,6−ピリジレン基、2,4,6−ピリジレン基、2,2’−ビピリジニレン基、3,3’−ビピリジニレン基、4,4’−ビピリジニレン基、2,3’−ビピリジニレン基、2,4’−ビピリジニレン基、3,4’−ビピリジニレン基、ターピリジニレン基、2,4−ピリミジニレン基、2,5−ピリミジニレン基、4,6−ピリミジニレン基、4,6−ピリミジニレン基、2,4,6−ピリミジニレン基、2,4,6−トリアジニレン基、4,6−ジベンゾフラニレン基、2,6−ジベンゾフラニレン基、2,8−ジベンゾフラニレン基、3,7−ジベンゾフラニレン基である。
縮合芳香族炭化水素環とは、例えば、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオランテン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。更に、前記縮合芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよい。縮合芳香族炭化水素環の炭素数は特に限定されないが、好ましくは10〜18の範囲である。
単環芳香族複素環とは、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環等が挙げられる。更に、前記単環芳香族複素環は置換基を有していてもよい。
縮合芳香族複素環とは、例えば、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。更に、前記縮合芳香族複素環は置換基を有していてもよい。縮合芳香族複素環の炭素数は特に限定されないが、好ましくは9〜18の範囲である。
核炭素数とは、置換基以外の骨格に含まれる炭素数であるものをいう。例えば、ナフチル基は、ナフタレン環に含まれる炭素数が10であるので、無置換であってもさらに置換基を有していても、核炭素数は10である。
電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。電子受容性窒素を含む芳香族複素環とは、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、アクリジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、等が挙げられる。更に、前記電子受容性窒素を含む芳香族複素環は置換基を有していてもよい。好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環が挙げられる。より好ましくは、ピリジン環、キノリン環、フェナントロリン環である。
一般式(1)で表される化合物において、AおよびBは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。但し、AとBは異なる基である。一般式(1)で表される化合物は、AとBが異なる基であることで、分子が非対称構造となり結晶性が低下し、ガラス転移温度が高くなるため膜の安定性が向上する。
ただし、n=1のときは分子量が小さくなり、結晶性が高くなるため、AおよびBのうち、少なくともどちらかがそれぞれ置換もしくは無置換の縮合芳香族炭化水素基であって核炭素数が9以上であるもの、または置換もしくは無置換の縮合芳香族複素環基であって核炭素数が9以上であるものから選ばれることで、分子が剛直な立体構造になることで結晶性が低くなり、膜の安定性が向上するため好ましい。
また、AとBの少なくとも一方が置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物のLUMO準位が深くなり、光電変換層からアノードへの電子取り出しが容易になるからである。Aが置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることは好ましいが、Bが置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることがさらに好ましい。さらにBとAが窒素原子を含む置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることで、さらにLUMO準位が深くなるため、好ましい。ただし非対称であっても分子量が小さいと結晶性が高くなってしまうため、一般式(1)で表される化合物の分子量は350以上2000以下である。さらに分子量は400以上1000以下が好ましい。
一般式(1)で表される化合物において、L2は核炭素数が6〜20で構成される置換もしくは無置換のアリーレン基であることにより、共役が分子全体に広がりやすく、電子移動度が向上するため好ましい。そのなかでも、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、ピレニレン基、トリフェニレニレン基、ジメチルフルオレニレン基、アントラセニレン基、クリセニレン基、ペリレニレン基、フルオランテニレン基、ベンゾフルオランテニレン基、ベンゾトリフェニレニレン基、ジベンゾクリセニレン基等は平面性が高く、電子移動度が高いため好ましい。
そのなかでも、合成上の簡便さから、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、置換もしくは無置換のフェナントレニレン基、置換もしくは無置換のピレニレン基、置換もしくは無置換のトリフェニレニレン基、置換もしくは無置換のジメチルフルオレニレン基のいずれかで表される基であることが好ましい。
さらにそのなかでも、昇華時の安定性の理由から、置換もしくは無置換のフェニレン基または置換もしくは無置換のナフチレン基であることが好ましく、さらに置換もしくは無置換のフェニレン基が最も好ましい。
一般式(1)で表される化合物において、L1およびL3は昇華時の安定性向上のため、もしくは共役が広がることによる電子移動度向上の観点から単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基である。前述の基のなかでも分子量を大きくしすぎないという観点から、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ピリジニレン基、ピリミジニレン基、トリアジニレン基などが好ましい。これらの基がさらに置換されている場合の置換基としては、分子量を大きくしすぎないメチル基、シアノ基、フェニル基、ピリジル基などが好ましい。さらに、シアノ基やピリジル基のほうが、電子求引性が向上し、光電変換層からアノードへの電子取り出しが容易になる。その結果、光電変換効率を高められるためより好ましい。
nは共役の広がりによる電子移動度向上の観点から、1〜3の整数である。さらに、分子量が大きくなりすぎること、合成上の簡便さから、1または2が好ましい。さらにnが2の場合、L2に同一の基が置換することで、LUMO軌道が分子全体に拡がり、電子移動度が高くなるため、好ましい。一般式(1)のAとBは異なる置換基であるので、nが2であっても、分子の対称性の向上による電子移動度の向上と、膜の安定性の両立が可能となる。
一般式(1)で表される化合物において、Bは下記一般式(2)〜(7)のいずれかで表される基であることが好ましい。
式中、X1〜X56はCH、置換された炭素原子、または窒素原子を表す。ただし、X1〜X8の少なくとも一つ、X9〜X19の少なくとも一つ、X20〜X34の少なくとも一つはそれぞれ窒素原子である。となり合うXi(i=1〜56)同士が縮合して環を形成してもよい。Z1〜Z4はそれぞれ独立にNR3、CR4R5、OまたはSである。R3〜R5は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
また、一般式(2)においてはX1〜X8のうちのいずれか1つの位置でL1と、他のいずれか1つの位置でL3またはBとそれぞれ連結する。一般式(3)においてはX9〜X18のうちのいずれか1つの位置でL1と、他のいずれか1つの位置でL3またはBとそれぞれ連結する。一般式(4)においてはX20〜X30のうちのいずれか1つの位置でL1と、他のいずれか1つの位置でL3またはBとそれぞれ連結する。一般式(5)においてはX35〜X44のうちのいずれか1つの位置でL1と、他のいずれか1つの位置でL3またはBとそれぞれ連結する。一般式(6)においてはX45〜X52またはZ1のうちのいずれか1つの位置でL1と、他のいずれか1つの位置でL3またはBとそれぞれ連結する。一般式(7)においてはX53〜X56またはZ2〜Z4のうちのいずれか1つの位置でL1と、他のいずれか1つの位置でL3またはBとそれぞれ連結する。
炭素原子に置換する場合の置換基として、分子量が大きくなりすぎないという観点から、メチル基、シアノ基、フェニル基、ピリジル基などが好ましい。さらに、シアノ基やピリジル基のほうが、電子求引性が高く、一般式(1)で表される化合物のLUMO準位が深くなる。それにより、光電変換層からアノードへの電子取り出しが容易になり、光電変換効率を高められるためより好ましい。
窒素原子の数は多ければ多いほど電子求引性が増し、一般式(1)で表される化合物のLUMO準位を深くなるため好ましいが、合成の簡便さを考慮すると、一般式(2)においては窒素原子数が2または3が好ましく、一般式(3)においては窒素原子数が1または2が好ましく、一般式(4)においては窒素原子数が2または3が好ましく、一般式(5)においては窒素原子数が0が好ましく、一般式(6)においては窒素原子数が0が好ましく、一般式(7)においては窒素原子数が1または2が好ましい。
置換された炭素原子の置換基、R3〜R5が置換されている場合の置換基としては、分子量を大きくしすぎないという観点から、メチル基、シアノ基、フェニル基、ピリジル基などが好ましい。さらに、シアノ基やピリジル基のほうが、電子求引性が高く、LUMO準位を深くすれば、光電変換層からアノードへの電子取り出しが容易になり、光電変換効率を高められるためより好ましい。また、R3〜R5の好ましい置換基としては、合成の容易さから、フェニル基、ピリジル基が好ましい。
Z1は、電子供与性の小さい酸素原子、硫黄原子であることで、LUMO準位を浅くしないため好ましい。硫黄原子の場合は、硫黄原子上が酸化されていてもよく、オキサイドまたはジオキサイドであってもよく、ジオキサイドであることでLUMO準位を深くできるため、より好ましい。
Z2〜Z4は、電子求引性の高いNR3が好ましく、合成上の観点からはZ2およびZ4がNR3、Z3が炭素原子であるベンズイミダゾール環を形成していることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
<光電変換素子>
図1〜図4に本発明の光電変換素子の例を示す。図1は、第一電極10と第二電極20、およびそれらの間に介在する少なくとも一層の有機層15を有する光電変換素子の例である。該有機層に、光を電気エネルギーに変換する光電変換層が含まれる。以下、第一電極10がカソード、第二電極20がアノードである場合を例に説明する。
図1〜図4に本発明の光電変換素子の例を示す。図1は、第一電極10と第二電極20、およびそれらの間に介在する少なくとも一層の有機層15を有する光電変換素子の例である。該有機層に、光を電気エネルギーに変換する光電変換層が含まれる。以下、第一電極10がカソード、第二電極20がアノードである場合を例に説明する。
このような光電変換素子におけるカソードとアノードの間の光電変換層の構成としては、単独の光電変換素子材料から構成されていても良いが、高い光電変換効率を得るためには2種類以上の光電変換素子材料から構成されることが好ましく、2種類の光電変換素子材料から構成されることがより好ましい。さらに、その2種類が、一方が電子供与性の光電変換素子材料であり他方が電子受容性の光電変換素子材料であることがより好ましい。
ここでいう電子受容性とは、電子親和力が高く、電子を受け取りやすい性質を示す。逆に電子供与性は電子を放出しやすい性質を示す。光電変換層が電子受容性が高いn型有機半導体材料と電子供与性が高いp型有機半導体材料から構成される場合、入射光により光電変換層で生成された励起子が基底状態に戻っていく前に効率よく電子と正孔に分離させることができる。分離された電子と正孔はそれぞれn型有機半導体材料およびp型有機半導体材料を通ってアノードとカソードに流れていくことで高い光電変換効率を得ることができる。
また、カソードとアノードの間には、光電変換層1層のみからなる構成の他に、図2〜図4のように電荷阻止層を挿入してもよい。この電荷阻止層とは、電子または正孔をブロックする機能を有する層であり、カソードと光電変換層との間に挿入される場合は電子阻止層13、アノードと光電変換層との間に挿入される場合は電子取出し層17として機能する。光電変換素子はこれらの層のいずれか一種のみを含んでいても良いし、両方含んでいても良い。
さらに、光電変換層が2種以上の光電変換素子材料から構成される場合、該光電変換層は2種以上の光電変換素子材料が混合された1層でもよいし、それぞれ1種以上の光電変換素子材料からなる層が積層された複数層でもよい。更には、混合層と各々の単独層が混合された構成でも良い。
本発明の光電変換素子は、第一電極と第二電極の間に少なくとも一層の有機層が存在し、光を電気エネルギーに変換する光電変換素子であって、前記有機層、好ましくは有機層に含まれる光電変換層に一般式(1)で表される化合物を含有する。さらに、一般式(1)で表される化合物は、少なくとも1つの電子受容性窒素を有する化合物であるため、LUMO準位が深い。そのため、上記有機層に一層の電子取り出し層を含んだ光電変換素子において、一般式(1)で表される化合物が該電子取出し層に含むことで、有機層もしくは光電変換層からアノードへの電子取り出しを容易にし、光電変換効率を向上させるため、好ましい。
(カソードおよびアノード)
本発明の光電変換素子において、カソードとアノードは素子の中で作られた電子及び正孔を流し、十分に電流を流せるための役割を有するものであり、光を入らせるために少なくとも一方は透明または半透明であることが望ましい。通常、基板上に形成されるカソードを透明電極とする。
本発明の光電変換素子において、カソードとアノードは素子の中で作られた電子及び正孔を流し、十分に電流を流せるための役割を有するものであり、光を入らせるために少なくとも一方は透明または半透明であることが望ましい。通常、基板上に形成されるカソードを透明電極とする。
カソードは、正孔を光電変換層から効率よく取り出せる材料、かつ光を入らせるために透明であればよい。材料としては酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、インジウム・ガリウム・亜鉛・酸素(IGZO)などの導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケルなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど特に限定されるものではないが、ITOガラスやネサガラスを用いることが特に好ましい。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。透明電極の抵抗は素子で作られた電流を十分流せればよく、素子の光電変換効率の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するので、低抵抗品を使用することが特に好ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。また、ガラス基板はソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが用いられ、また厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質は、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスが好ましく、またSiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも使用できる。さらに、カソードが安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えばプラスチック基板上にカソードを形成しても良い。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法など特に制限を受けるものではない。
アノードは、電子を光電変換層から効率良く取り出せる物質が好ましく、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セシウム、ストロンチウムなどがあげられる。電子取り出し効率をあげて素子特性を向上させるためにはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。さらに、しかし、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多く、例えば、正孔阻止層に微量のリチウムやマグネシウム、セシウム(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)をドーピングして安定性の高い電極を使用する方法が好ましい例として挙げることができる。またフッ化リチウムのような無機塩の使用も可能である。更に電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニア、窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子などを積層することが好ましい。これらの電極の作製法も抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティング、コーティングなど導通を取ることができる方法がよい。また、特開2014−120616号公報に記載されているような、カソード、アノードの両方に透明電極が使用される場合は、IGZOのような低仕事関数の導電性金属酸化物をアノードに使用することで、暗電流の低減につながるため、好ましい。
(光電変換層)
光電変換層とは実際に光電変換材料が形成される層であり、これはp型有機半導体材料とn型有機半導体材料との混合で形成される。この際、該材料は単独でも複数でもよい。光電変換層では光を吸収し、励起子を形成した後、電子と正孔がそれぞれn型有機半導体材料とp型有機半導体材料により、分離される。このように分離された電子と正孔はそれぞれ伝導準位と価電子準位を通して両極まで流され、電気エネルギーを発生させる。
光電変換層とは実際に光電変換材料が形成される層であり、これはp型有機半導体材料とn型有機半導体材料との混合で形成される。この際、該材料は単独でも複数でもよい。光電変換層では光を吸収し、励起子を形成した後、電子と正孔がそれぞれn型有機半導体材料とp型有機半導体材料により、分離される。このように分離された電子と正孔はそれぞれ伝導準位と価電子準位を通して両極まで流され、電気エネルギーを発生させる。
光電変換層を構成する光電変換材料は後述の一般式(1)で表される化合物のほか、以前から光電変換材料として知られていた材料を用いられる。光電変換材料の光吸収波長領域によって、光電変換層の吸収波長が決められるため、用いようとする色に対応する光吸収特性の材料を用いることが好ましい。例えば、緑色の光電変換素子では450nm〜550nmで光を吸収する材料で光電変換層を構成する。また、上述したよう高い光電変換効率を得るために光電変換層を2種以上の材料で構成する場合、それぞれのp型有機半導体材料とn型有機半導体材料のエネルギー準位が正孔と電子を効率よく分離し、電極側に移動できる材料で光電変換層を構成する。
(p型半導体層)
p型有機半導体材料はイオン化ポテンシャルが比較的に小さく、電子供与性があって正孔輸送性化合物であれば、どの有機化合物でも良い。p型有機半導体材料の例としてはナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの 縮合多環芳香族誘導体を有する化合物やその誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フラン誘導体、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、スチリルアミン誘導体、ベンジジン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、 キナクリドン誘導体などを挙げられる。
p型有機半導体材料はイオン化ポテンシャルが比較的に小さく、電子供与性があって正孔輸送性化合物であれば、どの有機化合物でも良い。p型有機半導体材料の例としてはナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの 縮合多環芳香族誘導体を有する化合物やその誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フラン誘導体、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、スチリルアミン誘導体、ベンジジン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、 キナクリドン誘導体などを挙げられる。
ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体を挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
(n型半導体層)
n型有機半導体材料は電子親和力が高く、電子輸送性の化合物であれば、どの材料でもよい。n型有機半導体材料の例としては一般式(1)で表される化合物のほか、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、芳香族アセチレン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体を挙げられる。
n型有機半導体材料は電子親和力が高く、電子輸送性の化合物であれば、どの材料でもよい。n型有機半導体材料の例としては一般式(1)で表される化合物のほか、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、芳香族アセチレン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体を挙げられる。
また分子内にニトロ基、シアノ基、ハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有する有機化合物や、キノン系化合物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物などの酸無水物系化合物、C60、PCBMなどのフラーレンおよびフラーレン誘導体なども挙げられ使用できるが特に限定されるものではない。
(電荷阻止層)
電荷阻止層とは、光電変換層で光電変換された電子および正孔を効率よくかつ安定に電極から取り出すために用いられる層であり、電子を阻止する電子阻止層と正孔を阻止する正孔阻止層とが挙げられる。これらは無機物から構成されても良いし、有機化合物から構成されても良い。さらに、無機物と有機化合物の混合層からなってもよい。
電荷阻止層とは、光電変換層で光電変換された電子および正孔を効率よくかつ安定に電極から取り出すために用いられる層であり、電子を阻止する電子阻止層と正孔を阻止する正孔阻止層とが挙げられる。これらは無機物から構成されても良いし、有機化合物から構成されても良い。さらに、無機物と有機化合物の混合層からなってもよい。
電子阻止層とは、光電変換層で生成された電子がカソード側に流れ、正孔と再結合するのを阻止するための層であり、各層を構成する材料の種類によっては、この層を挿入することにより正孔と電子の再結合が抑制され、光電変換効率が向上する。したがって、電子阻止性材料は光電変換材料よりもLUMOレベルがエネルギー的に高いものがよい。光電変換層からの電子の移動を効率よく阻止できる化合物が好ましく、具体的にはN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどのトリフェニルアミン類、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ジスチリル誘導体、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどが挙げられるが、素子作製に必要な薄膜を形成し、光電変換層から正孔を抽出できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば良い。これらの電子阻止材料は単独でも用いられるが、異なる電子阻止材料と積層または混合して使用しても構わない。
(電子取出し層)
電子取出し層とは、光電変換層で生成された電子をアノード側へ効率よく受け渡すための層である。さらには光電変換層で生成された正孔がアノード側に流れ、電子と再結合するのを阻止するための層である。各層を構成する材料の種類によっては、この層を挿入することにより正孔と電子の再結合が抑制され、光電変換効率が向上する。したがって、電子取出し層に用いられる材料は光電変換材料よりもLUMO準位とHOMO準位が深いものがよい。光電変換層からアノードへの電子の取出しを効率よく行い、さらには正孔の移動を効率よく阻止できる化合物が好ましい。正孔の移動を効率よく阻止できれば、光を照射していない素子に電圧を印加した際に生じるOFF電流を低下させ、暗電流が低減するからである。具体的には一般式(1)で表される化合物の他、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、ビピリジン、ターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、芳香族リンオキサイド化合物などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。また、それぞれ異なる材料を有する二層以上の電子取出し層が積層されていてもよい。
電子取出し層とは、光電変換層で生成された電子をアノード側へ効率よく受け渡すための層である。さらには光電変換層で生成された正孔がアノード側に流れ、電子と再結合するのを阻止するための層である。各層を構成する材料の種類によっては、この層を挿入することにより正孔と電子の再結合が抑制され、光電変換効率が向上する。したがって、電子取出し層に用いられる材料は光電変換材料よりもLUMO準位とHOMO準位が深いものがよい。光電変換層からアノードへの電子の取出しを効率よく行い、さらには正孔の移動を効率よく阻止できる化合物が好ましい。正孔の移動を効率よく阻止できれば、光を照射していない素子に電圧を印加した際に生じるOFF電流を低下させ、暗電流が低減するからである。具体的には一般式(1)で表される化合物の他、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、ビピリジン、ターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、芳香族リンオキサイド化合物などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。また、それぞれ異なる材料を有する二層以上の電子取出し層が積層されていてもよい。
一般式(1)で表される化合物は、少なくとも1つの電子受容性窒素を有する化合物であるため、LUMO準位、HOMO準位が深い。そのため、一般式(1)で表される化合物を電子取出し層に使用することで、有機層もしくは光電変換層からアノードへの電子取り出しを容易にし、光電変換効率を向上させるため、好ましい。
<イメージセンサ>
本発明の光電変換素子はイメージセンサに好適に利用できる。イメージセンサは光学的な映像を電気的な信号に変換する半導体素子である。一般的にイメージセンサは光を電気エネルギーに変換する前述の光電変換素子と電気エネルギーを電気信号に読み出す回路で構成される。イメージセンサの用途によって、複数の光電変換素子を一次元直線または二次元平面に配列することができる。また、モノカラーのイメージセンサの場合は1種の光電変換素子で構成されてもよいが、カラーイメージセンサの場合は、2種以上の光電変換素子で構成され、例えば赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子で構成される。各色の光電変換素子は積層構造を有する、すなわち一つの画素に積層されていてもよいし、横に並んでマトリクス構造で構成されてもよい。
本発明の光電変換素子はイメージセンサに好適に利用できる。イメージセンサは光学的な映像を電気的な信号に変換する半導体素子である。一般的にイメージセンサは光を電気エネルギーに変換する前述の光電変換素子と電気エネルギーを電気信号に読み出す回路で構成される。イメージセンサの用途によって、複数の光電変換素子を一次元直線または二次元平面に配列することができる。また、モノカラーのイメージセンサの場合は1種の光電変換素子で構成されてもよいが、カラーイメージセンサの場合は、2種以上の光電変換素子で構成され、例えば赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子で構成される。各色の光電変換素子は積層構造を有する、すなわち一つの画素に積層されていてもよいし、横に並んでマトリクス構造で構成されてもよい。
なお、光電変換素子が一つの画素に積層された構造の場合は、図5に示すように、緑色光を検出する光電変換素子32、青色光を検出する光電変換素子33、赤色光を検出する光電変換素子31を順次積層した3層構造でも良く、図6に示すように緑色光を検出する光電変換素子32を上層に全面配置し、赤色光を検出する光電変換素子31、青色光を検出する光電変換素子33をマトリクス構造で形成された2層構造でも良い。この構造は、緑色光を検出する光電変換素子が入射光に対して最も近い層に配置されているものである。各色の積層の順序はこれに限らず、図5とは異なっていても良いが、最上層の光電変換素子が特定色を吸収し、かつ特定色以外の長波長光および短波長光を透過させる色フィルタとしての機能を有する観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
またマトリクス構造の場合は、ベイヤー配列、ハニカム配列、ストライプ状配列、デルタ配列などの配列から選択することができる。また、緑色光を検出する光電変換素子に有機光電変換材料を使用し、赤色光を検出する光電変換素子および青色光を検出する光電変換素子については、従来用いられている無機系の光電変換材料や有機光電変換材料から適宜組み合わせて用いてもよい。
前述のとおり、本発明の光電変換素子材料は緑色領域にシャープな吸収スペクトルを有しているので、光電変換素子において選択的に緑色光を吸収して、赤色光と青色光を透過することができる。そのため、図7のように光電変換素子が縦型に積層された構造の場合は、緑色の光電変換素子において赤色光、青色光の検出ノイズを極めて少なくすることができ、赤色および青色の光電変換素子において極めて高い感度で光を検出することができる。よって色分離性に優れた光電変換素子を提供することができる。各色の積層の順序はこれに限らず、図7とは異なっていても良いが、緑色光以外の光を透過させる観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、青色の光電変換素子の色選択性が優れている場合には、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
また、赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子およびそれらの光電変換素子のうち少なくとも一つは電子取り出し層を供えた構成であってもよい。例としては、図7〜図9のように、各色光電変換素子の間に電子取出し層が挿入されていてもよい。電子取出し層の位置はこれに限らず、最上層または最下層に配置されていても良い。図7〜図9では電子取り出し層は一箇所にのみ設けられているが、二箇所以上に設けてもよい。また、各色の積層の順序はこれに限らず、図7〜図9とは異なっていても良いが、緑色光以外の光を透過させる観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、青色の光電変換素子の色選択性が優れている場合には、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
さらに、赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子およびそれらの光電変換素子のうち全てに電子取り出し層を供えた構成であってもよい。例としては、図10のように、赤、緑、青全ての光電変換素子の間、もしくは最下層に電子取出し層が配置されている構成が、暗電流を低減できるという観点から好ましい。電子取出し層の位置はこれに限らず、最上層または最下層に配置されていても良い。また、各色の積層の順序はこれに限らず、図7〜図9とは異なっていても良いが、緑色光以外の光を透過させる観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、青色の光電変換素子の色選択性が優れている場合には、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
以上のように、本発明のイメージセンサは、2種類以上の光電変換素子で構成され、そのうちの少なくとも1種類の光電変換素子が前述の光電変換素子であることが好ましい。また、その2種類以上の光電変換素子が積層構造を有していることが好ましい。
実施例1
化合物[1]を用いた光電変換素子を次のように作製した。ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断、エッチングを行った。得られた基板をアセトン、洗浄液”セミコクリーン”(登録商標)56(フルウチ化学(株)製)で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−5Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、電子阻止層としてPEDOT:PSSを30nm蒸着した。次に、光電変換層として化合物D−1と化合物A−1を蒸着速度比1:1で共蒸着した。次に、電子取出し層として化合物[1]を20nm蒸着した。アルミニウムを100nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。
化合物[1]を用いた光電変換素子を次のように作製した。ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断、エッチングを行った。得られた基板をアセトン、洗浄液”セミコクリーン”(登録商標)56(フルウチ化学(株)製)で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−5Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、電子阻止層としてPEDOT:PSSを30nm蒸着した。次に、光電変換層として化合物D−1と化合物A−1を蒸着速度比1:1で共蒸着した。次に、電子取出し層として化合物[1]を20nm蒸着した。アルミニウムを100nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。
作製した蒸着膜はグローブボックス内で封止を行い、48時間後の膜を目視で観察し、また、ホットプレートで100℃、3.5時間加熱した膜の状態を目視で観察したところ、膜の状態に変化は見られなかった。また、前記の条件で加熱した後のON電流、OFF電流を測定した。なお、ON電流は、白色LED光源(35,000ルクス)からの光をITO基板から照射し、素子に−3Vを印加したときの電流値であり、OFF電流は、光を照射していないときに、素子に−3Vを印加したときの電流値である。その結果、ON電流は3.3×10−4mA/cm2、OFF電流は3.8×10−8mA/cm2であった。また、前記の条件による加熱前後の−3V印加時での光電変換効率は、加熱前で27%、加熱後で27%であった。なお、化合物[1]、PEDOT:PSS、D−1、A−1は以下に示す化合物である。
実施例2〜41
電子取出し層に表1に記載した化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作成し、評価した。結果を表1に示す。なお、化合物2〜化合物41は以下に示す化合物である。
電子取出し層に表1に記載した化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作成し、評価した。結果を表1に示す。なお、化合物2〜化合物41は以下に示す化合物である。
比較例1〜7
電子取出し層に表1に記載した化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作成し、評価した。結果を表1に示す。なお、HB−1〜HB−6は以下に示す化合物である。
電子取出し層に表1に記載した化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作成し、評価した。結果を表1に示す。なお、HB−1〜HB−6は以下に示す化合物である。
10 第一電極
13 電子阻止層
15 有機層
17 電子取出し層
20 第二電極
31 赤色光を検出する光電変換素子
32 緑色光を検出する光電変換素子
33 青色光を検出する光電変換素子
40 光
13 電子阻止層
15 有機層
17 電子取出し層
20 第二電極
31 赤色光を検出する光電変換素子
32 緑色光を検出する光電変換素子
33 青色光を検出する光電変換素子
40 光
Claims (15)
- 第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の有機層があり、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であって、前記有機層に、分子量が350以上2000以下であって、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
- 一般式(1)のL2が置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、置換もしくは無置換のフェナントレニレン基、置換もしくは無置換のピレニレン基、置換もしくは無置換のトリフェニレニレン基、置換もしくは無置換のジメチルフルオレニレン基のいずれかで表される請求項1記載の光電変換素子。
- 一般式(1)のL2が置換もしくは無置換のフェニレン基、または置換もしくは無置換のナフチレン基である請求項1〜2のいずれかに記載の光電変換素子。
- 一般式(1)のL2が置換もしくは無置換のフェニレン基である請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。
- 一般式(1)のAが窒素原子を含む置換もしくは無置換のヘテロアリール基で表される基である請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 一般式(1)のBが窒素原子を含む置換もしくは無置換のヘテロアリール基で表される基である請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
- 一般式(1)のnが2である請求項1〜7のいずれか記載の光電変換素子。
- 前記有機層が光電変換層を含み、該光電変換層に前記一般式(1)で表される化合物を含有する請求項1〜8のいずれか記載の光電変換素子。
- 前記有機層が、第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の光電変換層と一層の電子取り出し層を含み、該電子取り出し層が前記一般式(1)で表される化合物を含有する請求項1〜9のいずれか記載の光電変換素子。
- 請求項1〜10のいずれか記載の光電変換素子を含むイメージセンサ。
- 2種類以上の光電変換素子で構成され、そのうちの1種類の光電変換素子が請求項1〜10のいずれか記載の光電変換素子である請求項11記載のイメージセンサ。
- 前記2種類以上の光電変換素子が積層構造である請求項12記載のイメージセンサ。
- 赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子で構成され、それらの光電変換素子のうち少なくとも一つは電子取り出し層を供えた請求項12記載のイメージセンサ。
- 赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子全てに電子取り出し層を供えた請求項14記載のイメージセンサ。
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