JP2016185914A - キナゾリン誘導体、それを含有する電子デバイス、発光素子および光電変換素子 - Google Patents

キナゾリン誘導体、それを含有する電子デバイス、発光素子および光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率、駆動電圧、耐久寿命の全てを改善した有機薄膜発光素子や、耐熱性に優れ、光電変換効率が高く、暗電流が低減された光電変換素子に適用可能な材料を提供すること。
【解決手段】特定の構造で表されるキナゾリン誘導体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、キナゾリン誘導体、それを含有する電子デバイス、発光素子および光電変換素子に関する。
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する際に発光するという有機薄膜発光素子の研究が、近年活発に行われている。この発光素子には、発光効率の向上、駆動電圧の低下、耐久性の向上などが求められ、中でも、発光効率と耐久寿命の両立が大きな課題となっている。例えば、発光効率、並びに耐久寿命を向上させるために、キナゾリン骨格を有する材料が開発されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、光を電気エネルギーに変換できる光電変換素子においては、近年、有機化合物を用いた光電変換素子の研究がなされている。有機化合物は分子構造により入射する光のうち特定波長領域の光を選択的に吸収できることからカラーフィルターが不要となり、更に吸収係数が高いことから、光利用効率を高くすることが可能である。
有機化合物を用いた光電変換素子としては、具体的には両極に挟まれた光電変換膜にpn接合構造やバルクへテロジャンクション構造を導入した素子構成が知られている。
また、イメージセンサの用途においては光電変換効率の向上や応答速度向上のために外部から電圧を印加することが多いため、外部電界による電極からの正孔または電子の注入による暗電流が発生する。この暗電流の低下を目的として正孔ブロッキング層や電子ブロッキング層を挿入した素子構成も知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開2014−183315号公報 国際公開第2006/104118号 国際公開第2011/014039号 国際公開第2006/049013号 特開2007−088033号公報
従来の技術では発光素子の駆動電圧を十分に下げることは困難であり、また駆動電圧を下げることができたとしても、発光素子の発光効率、耐久寿命が不十分であった。このように、高い発光効率、低駆動電圧、さらに耐久寿命も両立させる技術は未だ見出されていない。
また、光電変換素子においては、特開2007−088033号公報には正孔ブロッキング層として好ましい構造例が挙げられているが、全て対称性の高い分子構造であるため結晶化しやすい構造であり、耐熱性または耐久性の点で課題がある。
そこで本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、発光効率、駆動電圧、耐久寿命の全てを改善した有機薄膜発光素子や、耐熱性に優れ、光電変換効率が高く、暗電流が低減された光電変換素子に適用可能な材料を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表されるキナゾリン誘導体である。
Figure 2016185914
(式中、QおよびQはキナゾリン骨格を含む基を表す。Rは、3価〜6価の置換もしくは無置換のアリーレン基、 または3価〜6価の置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。ただし、Rはカルバゾリレン基になることはない。L〜Lは、それぞれ独立に単結合、核炭素数が3から30のシクロアルキレン基、核炭素数が6から30の置換もしくは無置換のアリーレン基、または核炭素数が3から30の置換もしく無置換のヘテロアリーレン基である。Rは、置換もしくは無置換の芳香族複素環基であって電子受容性窒素を含むもの、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、シアノ基、またはアルキル基である。ただし、Rがキナゾリニル基およびカルバゾリル基になることはない。)
本発明により、発光効率、駆動電圧および耐久寿命がいずれも向上した有機薄膜発光素子、または耐熱性に優れ、光電変換効率が高く、暗電流が低減された光電変換素子を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一例を示す模式断面図。 本発明の光電変換素子の一例を示す模式断面図。 本発明の光電変換素子の一例を示す模式断面図。 本発明の光電変換素子の一例を示す模式断面図。 本発明のイメージセンサの光電変換素子の積層構造の一例を示す模式断面図。 本発明のイメージセンサの光電変換素子の積層構造の一例を示す模式断面図。 本発明のイメージセンサの光電変換素子の積層構造の一例を示す模式断面図。 本発明のイメージセンサの光電変換素子の積層構造の一例を示す模式断面図。 本発明のイメージセンサの光電変換素子の積層構造の一例を示す模式断面図。 本発明のイメージセンサの光電変換素子の積層構造の一例を示す模式断面図。
一般式(1)で表されるキナゾリン誘導体について詳細に説明する。
Figure 2016185914
式中、QおよびQはキナゾリン骨格を含む基を表す。Rは、3価〜6価の置換もしくは無置換のアリーレン基、 または3価〜6価の置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。ただし、Rはカルバゾリレン基になることはない。L〜Lは、それぞれ独立に単結合、核炭素数が3から30のシクロアルキレン基、核炭素数が6から30の置換もしくは無置換のアリーレン基、または核炭素数が3から30の置換もしく無置換のヘテロアリーレン基である。Rは、置換もしくは無置換の芳香族複素環基であって電子受容性窒素を含むもの、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、シアノ基、またはアルキル基である。ただし、Rがキナゾリニル基およびカルバゾリル基になることはない。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。また、以下の説明において例えば炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて6〜40であり、炭素数を規定している他の置換基もこれと同様である。
一方で、核炭素数とは、置換基以外の骨格に含まれる炭素数であるものをいう。例えば、ナフチル基は、ナフタレン環に含まれる炭素数が10であるので、無置換であってもさらに置換基を有していても、核炭素数は10である。
また、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基としては、上述のようなアルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールエーテル基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオランテニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。より好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基である。
ヘテロアリール基とは、フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ナフチリジル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上30以下の範囲である。より好ましくは、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基である。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、メチル基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。
カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基およびホスフィンオキサイド基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。
アリーレン基とは、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フルオレン、フェナントレンなどの芳香族炭化水素基から導かれる2価以上の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。好ましくは、2価もしくは3価のアリーレン基である。アリーレン基としては、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
ヘテロアリーレン基とは、ピリジン、キノリン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノキサリン、キナゾリン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンなどの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基から導かれる2価以上の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。好ましくは2価もしくは3価のヘテロアリーレン基である。ヘテロアリーレン基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2〜30の範囲である。ヘテロアリーレン基としては、具体的には、2,6−ピリジレン基、2,5−ピリジレン基、2,4−ピリジレン基、3,5−ピリジレン基、3,6−ピリジレン基、2,4,6−ピリジレン基、2,4−ピリミジニレン基、2,5−ピリミジニレン基、4,6−ピリミジニレン基、4,6−ピリミジニレン基、2,4,6−ピリミジニレン基、2,4,6−トリアジニレン基、4,6−ジベンゾフラニレン基、2,6−ジベンゾフラニレン基、2,8−ジベンゾフラニレン基、3,7−ジベンゾフラニレン基である。
電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。電子受容性窒素を含む芳香族複素環とは、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、アクリジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、等が挙げられる。更に、電子受容性窒素を含む芳香族複素環は置換基を有していてもよい。好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環が挙げられる。より好ましくは、ピリジン環、キノリン環、フェナントロリン環である。
本発明のキナゾリン誘導体は、キナゾリン骨格を2つ分子内に有する。キナゾリン骨格は、ナフタレン骨格に電子受容性のある窒素原子を2つ有した構造であるため、高い電子親和性を有する。そのため、LUMO準位が深いという性質がある。このキナゾリン骨格が分子内に2つあることで、キナゾリン骨格が1つである場合に比べ、さらにLUMO準位を深くすることができる。
このため本発明のキナゾリン誘導体を発光素子中の電子輸送層に用いた場合には、電極からの良好な電子注入性を示し、発光素子の駆動電圧を低くすることができる。この結果、発光素子の発光効率を向上させることができる。また、素子中の正孔と電子の供給バランスが整うことで、発光素子の長寿命化にも寄与する。
また、キナゾリン骨格を2つ有していることで、高い平面性があり、分子同士がうまく重なるため、高い電荷輸送性を有する。このため本発明のキナゾリン誘導体を、発光素子を構成するいずれかの層に用いた場合に、陰極から発生した電子や陽極から発生した正孔を効率よく輸送できるので、発光素子の駆動電圧を低下させることができる。この結果、発光素子の発光効率を向上させることができる。また、発光素子の長寿命化にも寄与する。
また、キナゾリン骨格は電荷に対する安定性が高く、電子による還元や、正孔による酸化を繰り返し行うことができる。そのため、本発明のキナゾリン誘導体を発光素子に用いた場合に、寿命の向上が可能となる。
キナゾリン骨格を含む基とは、キナゾリン骨格を分子構造内に有する基であり、置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有する場合の好ましい置換基としては、分子量の観点からシアノ基、フェニル基、ピリジル基が好ましい。そのなかでも、合成の容易さからフェニル基が好ましい。さらに、合成の容易さから2つのキナゾリン骨格は、2位、4位、6位のいずれかの位置でR、L、Lのいずれかと連結することが好ましく、6位が最も好ましい。
キナゾリン骨格を含む基の特に好ましい例として、2−フェニル−4−キナゾリル基、2−フェニル−2−キナゾリル基等が挙げられる。これらのフェニル基にはさらにシアノ基が置換していると、LUMO準位をさらに深くすることができるため、より好ましい。
本発明のキナゾリン誘導体のRにおいて、Rは3価〜6価の置換もしくは無置換のアリーレン基、または3価〜6価の置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基である。
ここでいう「価」とは、置換する場合の置換基を含めた結合手の数であり、たとえばRを中心に見た場合、一般式(1)より最低の価数は3であり、Rに置換基が置換した場合、最大で6価となる。
ただし、分子量が大きくなりすぎると昇華時に分解しやすくなる、あるいは合成自体が難しいという理由から、Rは炭素数6〜30の3価のアリーレン基、または炭素数3〜30の3価のヘテロアリーレン基であることが好ましい。
さらに、分子量が大きくなりすぎると、昇華時に分解しやすくなるため、Rは3価のフェニレン基、ピリミジニレン基、およびトリアジニレン基好ましく、熱に安定な3価のフェニレン基が最も好ましい。
〜Lは、それぞれ独立に単結合が好ましく、分子量の観点から核炭素数が3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、核炭素数が6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基、核炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基であることも好ましい。そのなかでも、分子量及び合成上の観点から、単結合およびフェニレン基が好ましい。
は、キナゾリン誘導体の有するLUMO準位を微調整するという観点から、置換もしくは無置換の芳香族複素環基であって電子受容性窒素を含むもの、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることが好ましい。ただし、Rがキナゾリニル基であると、分子の対称性が高くなることで結晶性が高くなり、膜が不安定になるため、キナゾリニル基になることはない。また、Rがカルバゾリル基であると、Rに対して立体的にねじれる構造になりやすく、発光素子駆動時の電圧上昇が大きくなるため、カルバゾリル基になることはない。
さらに、Rは、下記一般式(2)〜(7)のいずれかで表される構造を含む基であることが好ましい。
Figure 2016185914
式中、C〜C34はCH、置換された炭素原子、または窒素原子を表す。C〜C34が置換されている場合の置換基は前記一般式(1)におけるものと同様である。ただし、式(2)についてはC〜Cのうちいずれか一つの位置で、式(3)についてはC〜C14のうちいずれか一つの位置で、式(4)についてはC15〜C24のうちいずれか一つの位置で、式(5)についてはC25〜C34のうちいずれか一つの位置で、Lと連結する。
およびLは、それぞれ独立に単結合、核炭素数3から30のシクロアルキレン基、核炭素6から30の置換もしくは無置換のアリーレン基、核炭素数3から30の置換もしく無置換のヘテロアリーレン基である。R〜R12は核炭素6から30の置換もしくは無置換のアリーレン基、核炭素数3から30の置換もしく無置換のヘテロアリーレン基を表す。
Xは酸素原子または硫黄原子である。
〜R10は隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。但し、一般式(6)についてはR〜R10のうちいずれか一つの位置で、一般式(7)については*およびR11〜R15のうちいずれか一つの位置で、Lと連結する。
ただし、一般式(3)がキナゾリニル基になることはない。
上記の説明のうち、例えばC〜Cのうちいずれか一つの位置でLと連結するとは、C〜Cのうちいずれか一つとLが直接連結することをいう。
また、R〜R10のうちいずれか一つの位置でLと連結するとは、R〜R10の連結している炭素原子のうちいずれか一つとLが直接連結することをいい、*およびR11〜R15のうちいずれか一つの位置でLと連結するとは、一般式(7)中の窒素原子、およびR11〜R15の連結している炭素原子のうちいずれか一つの位置でLと直接連結することをいう。
これらのうち、Rが一般式(2)〜(5)のいずれかで表されることが好ましい。この場合において、窒素原子が少ないほうが昇華時の安定性が増すため、窒素原子は1または2であることが好ましく、更に好ましくはC〜C34が全てCH、または置換された炭素原子であることが好ましい。
また、Rが一般式(7)で表されることにより、分子の正孔耐性が向上するため好ましい。また、Rの。L〜LおよびR11〜R12のうち、少なくとも1つが電子受容性窒素を有する芳香族複素環を有することで、LUMO準位が深くなり、電子注入が容易になるため好ましい。
さらに、LおよびLは分子量の観点から単結合、フェニレン基およびピリジレン基が好ましい。R11およびR12は分子量の観点からフェニル基およびピリジレン基が好ましい。さらに、ピリジレン基のほうが、分子内のHOMO軌道とLUMO軌道の分離が抑制されることで分子内電荷移動に由来する吸収を抑えられる。そのためエネルギーギャップが大きくなることで発光素子を高効率化できるため、より好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
本発明のキナゾリン誘導体の合成には、公知の方法を使用することができる。例えば、R−L−Rで表される化合物にQ−LおよびQ−Lで表される部位を導入する方法がある。
その方法としては、例えば、パラジウム触媒やニッケル触媒下で置換もしくは無置換のハロゲン化キナゾリン誘導体と置換もしくは無置換のボロン酸化、もしくはボロン酸エステル化したR−L−Rとのカップリング反応を用いる方法;パラジウム触媒やニッケル触媒下で置換もしくは無置換のキナゾリンボロン酸またはボロン酸エステル誘導体と置換もしくは無置換のハロゲン化したR−L−Rとのカップリング反応を用いる方法;ハロゲン化したキナゾリン誘導体や、キナゾリンのボロン酸誘導体を用いず、置換もしくは無置換のキナゾリン誘導体と置換もしくは無置換のR−L−Rとの触媒的炭素−水素結合活性化カップリング反応を用いる方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、R〜R、L〜Lそれぞれを連結する方法も同様のカップリング反応を用いる方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、カップリング反応だけではなく、環化反応を用いる場合もある。
本発明のキナゾリン誘導体は、発光素子、光電変換素子、リチウムイオン電池、燃料電池、トランジスタ等の電子デバイスに用いられることが好ましい。本発明のキナゾリン誘導体は、電子デバイスにおいて、電子デバイス材料として用いることが好ましく、特に、発光素子、光電変換素子において、発光素子材料や光電変換素子材料として用いられることが好ましい。
(発光素子材料)
発光素子材料とは、発光素子のいずれかの層に使用される材料を表し、後述するように、正孔輸送層、発光層および電子輸送層から選ばれた層に使用される材料であるほか、電極の保護層(キャップ層)に使用される材料も含む。本発明のキナゾリン誘導体を、発光素子のいずれかの層に使用することにより、高い発光効率が得られ、かつ低駆動電圧および高耐久性の発光素子が得られる。
<発光素子>
次に、本発明の発光素子の実施の形態について詳細に説明する。本発明の発光素子は、陽極と陰極、およびそれら陽極と陰極との間に介在する有機層を有し、該有機層は少なくとも発光層と電子輸送層を有し、該発光層が電気エネルギーにより発光する。
有機層は、発光層/電子輸送層のみからなる構成の他に、1)正孔輸送層/発光層/電子輸送層および2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層、3)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層などの積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよい。また、燐光発光層や蛍光発光層を複数有する積層型であってもよく、蛍光発光層と燐光発光層を組み合わせた発光素子でもよい。さらにそれぞれ互いに異なる発光色を示す発光層を積層することができる。
また、上記の素子構成を中間層を介して複数積層したタンデム型であってもよい。上記の積層構成を中間層を介して複数積層したタンデム型であってもよい。中でも、少なくとも一層は燐光発光層であることが好ましい。上記中間層は、一般的に、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、公知の材料構成を用いることができる。タンデム型の具体例は、例えば4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷発生層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、5)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/電荷発生層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層といった、陽極と陰極の間に中間層として電荷発生層を含む積層構成が挙げられる。中間層を構成する材料としては、具体的にはピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体が好ましく用いられる。
本発明のキナゾリン誘導体は、上記の素子構成において、いずれの層に用いられてもよいが、高い電子注入輸送能、蛍光量子収率および薄膜安定性を有しているため、発光素子の発光層、電子輸送層または中間層に用いることが好ましい。特に、優れた電子注入輸送能を有していることから、電子輸送層または中間層に用いることが好ましい。特に、電子輸送層に好適に用いることができる。
本発明の発光素子において、陽極と陰極は素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものであり、光を取り出すために少なくとも一方は透明または半透明であることが好ましい。通常、基板上に形成される陽極を透明電極とする。
(陽極)
陽極に用いる材料は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料、かつ光を取り出すために透明または半透明であれば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、あるいは、金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど特に限定されるものでないが、ITOガラスやネサガラスを用いることが特に好ましい。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。透明電極の抵抗は素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、20Ω/□以下の低抵抗の基板を使用することが特に好ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
また、発光素子の機械的強度を保つために、発光素子を基板上に形成することが好ましい。基板は、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板が好適に用いられる。ガラス基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。または、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することもできる。さらに、第一電極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えば、プラスチック基板上に陽極を形成しても良い。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法および化学反応法など特に制限を受けるものではない。
(陰極)
陰極に用いる材料は、電子を効率よく発光層に注入できる物質であれば特に限定されない。一般的には白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれらの金属とリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属との合金や多層積層などが好ましい。中でも、主成分としてはアルミニウム、銀、マグネシウムが電気抵抗値や製膜しやすさ、膜の安定性、発光効率などの面から好ましい。特にマグネシウムと銀で構成されると、本発明における電子輸送層および電子注入層への電子注入が容易になり、低電圧駆動が可能になるため好ましい。
さらに、陰極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、シリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などの有機高分子化合物を、保護膜層として陰極上に積層することが好ましい例として挙げられる。また、本発明のキナゾリン誘導体もこの保護膜層(キャップ層)として利用できる。ただし、陰極側から光を取り出す素子構造(トップエミッション構造)の場合は、保護膜層は可視光領域で光透過性のある材料から選択される。これらの電極の作製法は、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど特に制限されない。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送材料の一種または二種以上を積層または混合する方法、もしくは、正孔輸送材料と高分子結着剤の混合物を用いる方法により形成される。また、正孔輸送材料は、電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率良く輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率良く輸送することが好ましい。そのためには適切なイオン化ポテンシャルを持ち、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが要求される。このような条件を満たす物質として、特に限定されるものではないが、例えば、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)、4,4’−ビス(N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミノ)ビフェニル(TBDB),ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD232)といったベンジジン誘導体、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)などのスターバーストアリールアミンと呼ばれる材料群、カルバゾール骨格を有する材料、中でもカルバゾール多量体、具体的にはビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのカルバゾール2量体の誘導体、カルバゾール3量体の誘導体、カルバゾール4量体の誘導体、トリフェニレン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、フラーレン誘導体、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましい。さらにp型Si、p型SiC等の無機化合物も使用できる。本発明のキナゾリン誘導体も、電気化学的安定性に優れているため、正孔輸送材料として用いることができる。
本発明のキナゾリン誘導体は電子注入輸送特性が優れているので、これを電子輸送層に用いた場合、電子が発光層で再結合せず、一部正孔輸送層までもれてしまう懸念がある。そのため正孔輸送層には電子ブロック性の優れた化合物を用いるのが好ましい。中でも、カルバゾール骨格を含有する化合物は電子ブロック性に優れ、発光素子の高効率化に寄与できるので好ましい。さらに上記カルバゾール骨格を含有する化合物が、カルバゾール2量体、カルバゾール3量体、またはカルバゾール4量体骨格を含有することが好ましい。これらは良好な電子ブロック性と、正孔注入輸送特性を併せ持っているためである。さらに、正孔輸送層にカルバゾール骨格を含有する化合物を用いた場合、組み合わせる発光層が後述するリン光発光材料を含んでいることがより好ましい。上記カルバゾール骨格を有する化合物は高い三重項励起子ブロック機能も有しており、リン光発光材料と組み合わせた場合に高発光効率化できるためである。また高い正孔移動度を有する点で優れているトリフェニレン骨格を含有する化合物を正孔輸送層に用いると、キャリアバランスが向上し、発光効率向上、耐久寿命向上といった効果が得られるので好ましい。トリフェニレン骨格を含有する化合物が2つ以上のジアリールアミノ基を有していると、さらに好ましい。上記カルバゾール骨格を含有する化合物、またはトリフェニレン骨格を含有する化合物はそれぞれ単独で正孔輸送層として用いてもよいし、互いに混合して用いてもよい。また本発明の効果を損なわない範囲で他の材料が混合されていてもよい。また正孔輸送層が複数層で構成されている場合は、いずれか1層にカルバゾール骨格を含有する化合物、あるいは、トリフェニレン骨格を含有する化合物が含まれていればよい。
(正孔注入層)
陽極と正孔輸送層の間に正孔注入層を設けてもよい。正孔注入層を設けることで発光素子が低駆動電圧化し、耐久寿命も向上する。正孔注入層には通常正孔輸送層に用いる材料よりもイオン化ポテンシャルの小さい材料が好ましく用いられる。具体的には、上記TPD232のようなベンジジン誘導体、スターバーストアリールアミン材料群が挙げられる他、フタロシアニン誘導体等も用いることができる。また正孔注入層がアクセプター性化合物単独で構成されているか、またはアクセプター性化合物が別の正孔輸送材料にドープされて用いられていることも好ましい。アクセプター性化合物の例としては、塩化鉄(III)、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化アンチモンのような金属塩化物、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ルテニウムのような金属酸化物、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)のような電荷移動錯体が挙げられる。また分子内にニトロ基、シアノ基、ハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有する有機化合物や、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなども好適に用いられる。これらの化合物の具体的な例としては、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F−TCNQ)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(HAT−CN)、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、テトラメチルベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、o−ジシアノベンゼン、p−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、p−シアノニトロベンゼン、m−シアノニトロベンゼン、o−シアノニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1−ニトロナフタレン、2−ニトロナフタレン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9−シアノアントラセン、9−ニトロアントラセン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、C60、およびC70などが挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物やシアノ基含有化合物が取り扱いやすく、蒸着もしやすいことから、容易に上述した効果が得られるので好ましい。好ましい金属酸化物の例としては酸化モリブデン、酸化バナジウム、または酸化ルテニウムがあげられる。シアノ基含有化合物の中では、(a)分子内に、シアノ基の窒素原子以外に少なくとも1つの電子受容性窒素有する化合物、(b)分子内にハロゲンとシアノ基の両方を有している化合物、(c)分子内にカルボニル基とシアノ基の両方を有している化合物、または(d)分子内にハロゲンとシアノ基の両方を有し、さらにシアノ基の窒素原子以外に少なくとも1つの電子受容性窒素を有する化合物が強い電子アクセプターとなるためより好ましい。このような化合物として具体的には以下のような化合物があげられる。
Figure 2016185914
Figure 2016185914
正孔注入層がアクセプター性化合物単独で構成される場合、または正孔注入層にアクセプター性化合物がドープされている場合のいずれの場合も、正孔注入層は1層であってもよいし、複数の層が積層されていてもよい。またアクセプター化合物がドープされている場合に組み合わせて用いる正孔注入材料は、正孔輸送層への正孔注入障壁が緩和できるという観点から、正孔輸送層に用いる化合物と同一の化合物であることがより好ましい。
(発光層)
発光層は単一層、複数層のどちらでもよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。すなわち、本発明の発光素子では、各発光層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。電気エネルギーを効率よく利用し、高色純度の発光を得るという観点からは、発光層はホスト材料とドーパント材料の混合からなることが好ましい。また、ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれでもよい。ドーパント材料は積層されていても、分散されていても、いずれでもよい。ドーパント材料は発光色の制御ができる。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して20重量%以下で用いることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。ドーピング方法は、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
発光材料は、具体的には、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを始めとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。
発光材料に含有されるホスト材料は、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、キナゾリン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。またドーパント材料には、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、トリフェニレン、ペリレン、キナゾリン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体(例えば2−(ベンゾチアゾール−2−イル)−9,10−ジフェニルアントラセンや5,6,11,12−テトラフェニルナフタセンなど)、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどのヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ボラン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベンなどのアミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−(2’−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1−gh]クマリンなどのクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などを用いることができる。
また発光層にリン光発光材料が含まれていてもよい。リン光発光材料とは、室温でもリン光発光を示す材料である。ドーパントしてリン光発光材料を用いる場合は基本的に室温でもリン光発光が得られる必要があるが、特に限定されるものではなく、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)からなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体化合物であることが好ましい。中でも室温でも高いリン光発光収率を有するという観点から、イリジウム、もしくは白金を有する有機金属錯体がより好ましい。リン光発光性のドーパントと組み合わせて用いられるホストとしては、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ピリジン、ピリミジン、トリアジン骨格を有する含窒素芳香族化合物誘導体、ポリアリールベンゼン誘導体、スピロフルオレン誘導体、トルキセン誘導体、トリフェニレン誘導体といった芳香族炭化水素化合物誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体といったカルコゲン元素を含有する化合物、ベリリウムキノリノール錯体といった有機金属錯体などが好適に用いられるが、基本的に用いるドーパントよりも三重項エネルギーが大きく、電子、正孔がそれぞれの輸送層から円滑に注入され、また輸送するものであればこれらに限定されるものではない。また2種以上の三重項発光ドーパントが含有されていてもよいし、2種以上のホスト材料が含有されていてもよい。さらに1種以上の三重項発光ドーパントと1種以上の蛍光発光ドーパントが含有されていてもよい。
好ましいリン光発光性ホストまたはドーパントとしては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016185914
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また、発光層に熱活性化遅延蛍光材料が含まれていてもよい。熱活性化遅延蛍光材料は、一般的に、TADF材料とも呼ばれ、一重項励起状態のエネルギー順位と三重項励起状態エネルギー順位のエネルギーギャップを小さくすることで、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差を促進し、一重項励起子生成確率を向上させた材料である。熱活性化遅延蛍光材料は、単一の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってもいいし、複数の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってよい。用いられる熱活性化遅延蛍光材料は、単一でも複数の材料でもよく、公知の材料を用いることができる。具体的には、例えば、ベンゾニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ジスルホキシド誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ジヒドロフェナジン誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。
本発明のキナゾリン誘導体も、高い発光性能を有することから、発光材料として用いることができる。本発明のキナゾリン誘導体は、青色〜緑色領域(400〜600nm領域)に強い発光を示すことから、青色および緑色発光材料として好適に用いることができる。本発明のキナゾリン誘導体は、高い蛍光量子収率をもつことから、蛍光ドーパント材料として好適に用いられる。また、キナゾリン骨格は高い三重項エネルギー順位を有しており、燐光ホストとしても好適に用いることができる。特に、緑色燐光ホスト、赤色燐光ホストに好適に用いることができる。
本発明において、電子輸送層とは、陰極と発光層との間にある層である。電子輸送層は単層でも複数層であってもよく、陰極もしくは発光層に接していてもいいし、接していなくてもよい。電子輸送層には、陰極からの電子注入効率が高いこと、注入された電子を効率良く輸送すること、発光への電子注入効率が高いことなどが望まれる。そのため電子輸送層は、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質で構成されることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、電子輸送層が陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たすならば、電子輸送能力がそれ程高くない材料で構成されていても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料で構成されている場合と同等となる。したがって、本発明における電子輸送層には、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。
(電子輸送層)
電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体が挙げられるが、駆動電圧を低減し、高効率発光が得られることから、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いることが好ましい。
電子受容性窒素を含む芳香族複素環は、高い電子親和性を有する。電子受容性窒素を有する電子輸送材料は、高い電子親和力を有する陰極からの電子を受け取りやすくし、より低電圧駆動が可能となる。また、発光層への電子の供給が多くなり、再結合確率が高くなるので発光効率が向上する。
電子受容性窒素を含む芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、ピリミドピリミジン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環、フェナンスロイミダゾール環などが挙げられる。
これらの電子受容性窒素を含む芳香族複素環を有する化合物としては、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体およびナフチリジン誘導体などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−tert−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、バソクプロインや1,3−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどのフェナントロリン誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールなどのビピリジン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が、電子輸送能の観点から好ましく用いられる。また、これらの誘導体が、縮合多環芳香族骨格を有していると、ガラス転移温度が向上すると共に、電子移動度も大きくなり発光素子の低電圧化の効果が大きいのでより好ましい。さらに、素子耐久寿命が向上し、合成のし易さ、原料入手が容易であることを考慮すると、縮合多環芳香族骨格はアントラセン骨格、ピレン骨格またはフェナントロリン骨格であることが特に好ましい。上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料を2種以上混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いたりしても構わない。
好ましい電子輸送材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016185914
これら以外にも、国際公開第2004−63159号、国際公開第2003−60956号、Appl. Phys. Lett. 74, 865 (1999)、Org. Electron. 4, 113 (2003)、国際公開第2010−113743号、国際公開第2010−1817号等に開示された電子輸送材料も用いることができる。
また、本発明のキナゾリン誘導体も高い電子注入輸送能を有することから電子輸送材料として好適に用いられる。
本発明のキナゾリン誘導体が用いられる場合には、その各一種のみに限る必要はなく、本発明の複数のキナゾリン化合物を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種類以上を本発明の効果を損なわない範囲で本発明のキナゾリン化合物と混合して用いてもよい。混合しうる電子輸送材料としては、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体、リチウムキノリノール、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体が挙げられる。
上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いても構わない。さらに、2つの電子輸送材料が2層の電子輸送層を構成する場合、一般式(1)で表されるキナゾリン誘導体を発光層に接する層に使用することで高効率化できるため、好ましい。
(ドナー性材料)
また、ドナー性材料を含有してもよい。ここで、ドナー性材料とは電子注入障壁の改善により、陰極または電子注入層からの電子輸送層への電子注入を容易にし、さらに電子輸送層の電気伝導性を向上させる化合物である。
本発明におけるドナー性材料の好ましい例としては、アルカリ金属、アルカリ金属を含有する無機塩、アルカリ金属と有機物との錯体、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する無機塩またはアルカリ土類金属と有機物との錯体などが挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属の好ましい種類としては、低仕事関数で電子輸送能向上の効果が大きいリチウム、ナトリウム、セシウムといったアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウムといったアルカリ土類金属が挙げられる。
また、真空中での蒸着が容易で取り扱いに優れることから、金属単体よりも無機塩、あるいは有機物との錯体の状態であることが好ましい。さらに、大気中での取扱を容易にし、添加濃度の制御のし易さの点で、有機物との錯体の状態にあることがより好ましい。無機塩の例としては、LiO、Li2O等の酸化物、窒化物、LiF、NaF、KF等のフッ化物、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Rb2CO3、Cs2CO3等の炭酸塩などが挙げられる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の好ましい例としては、原料が安価で合成が容易な点から、リチウムが挙げられる。また、有機物との錯体における有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。中でも、アルカリ金属と有機物との錯体が好ましく、リチウムと有機物との錯体がより好ましく、リチウムキノリノールが特に好ましい。これらのドナー性材料を2種以上混合して用いてもよい。
好適なドーピング濃度は材料やドーピング領域の膜厚によっても異なるが、例えばドナー性材料がアルカリ金属、アルカリ土類金属といった無機材料の場合は、電子輸送材料とドナー性材料の蒸着速度比が10000:1〜2:1の範囲となるようにして共蒸着して電子輸送層としたものが好ましい。蒸着速度比は100:1〜5:1がより好ましく、100:1〜10:1がさらに好ましい。またドナー性材料が金属と有機物との錯体である場合は、電子輸送材料とドナー性材料の蒸着速度比が100:1〜1:100の範囲となるようにして共蒸着して電子輸送層としたものが好ましい。蒸着速度比は10:1〜1:10がより好ましく、7:3〜3:7がより好ましい。
(電荷発生層)
また、上記のような本発明のキナゾリン誘導体にドナー性材料がドープされた電子輸送層は、複数の発光素子を連結するタンデム構造型素子における電荷発生層として用いられていてもよい。特に、ドナー性材料としてアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属がドープされるとき電荷発生層として好適に用いることができる。
電子輸送層にドナー性材料をドーピングして電子輸送能を向上させる方法は、薄膜層の膜厚が厚い場合に特に効果を発揮するものである。電子輸送層および発光層の合計膜厚が50nm以上の場合に特に好ましく用いられる。例えば、発光効率を向上させるために干渉効果を利用する方法があるが、これは発光層から直接放射される光と、陰極で反射された光の位相を整合させて光の取り出し効率を向上させるものである。この最適条件は光の発光波長に応じて変化するが、電子輸送層および発光層の合計膜厚が50nm以上となり、赤色などの長波長発光の場合には100nm近くの厚膜になる場合がある。
ドーピングする電子輸送層の膜厚は、電子輸送層の一部分または全部のどちらでも構わない。一部分にドーピングする場合、少なくとも電子輸送層/陰極界面にはドーピング領域を設けることが望ましく、陰極界面付近にドーピングするだけでも低電圧化の効果は得られる。一方、ドナー性材料が発光層に直接接していると発光効率を低下させる悪影響を及ぼす場合があり、その場合には発光層/電子輸送層界面にノンドープ領域を設けることが好ましい。
(電子注入層)
本発明において、陰極と電子輸送層の間に電子注入層を設けてもよい。一般的に電子注入層は陰極から電子輸送層への電子の注入を助ける目的で挿入されるが、挿入する場合は、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いてもよいし、上記のドナー性材料を含有する層を用いてもよい。本発明のキナゾリン誘導体が電子注入層に含まれていてもよい。また電子注入層に絶縁体や半導体の無機物を用いることもできる。これらの材料を用いることで発光素子の短絡を有効に防止して、かつ電子注入性を向上させることができるので好ましい。このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。電子注入層がこれらのアルカリ金属カルコゲナイド等で構成されていれば、電子注入性をさらに向上させることができる点でより好ましい。具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、NaS及びNaSeが挙げられ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF及びBeF等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。さらに有機物と金属の錯体も好適に用いられる。電子注入層に有機物と金属の錯体を用いる場合は膜厚調整が容易であるのでより好ましい。このような有機金属錯体の例としては有機物との錯体における有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、ピリジルフェノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。中でも、アルカリ金属と有機物との錯体が好ましく、リチウムと有機物との錯体がより好ましく、リチウムキノリノールが特に好ましい。
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されないが、通常は、素子特性の点から抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましい。
有機層の厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1〜1000nmであることが好ましい。発光層、電子輸送層、正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるよう選ばれるべきである。
本発明の発光素子は、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイとして好適に用いられる。
マトリクス方式とは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置され、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法は、線順次駆動方法やアクティブマトリクスのどちらでもよい。線順次駆動はその構造が簡単であるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリクスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
本発明におけるセグメント方式とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、このパターンの配置によって決められた領域を発光させる方式である。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。そして、前記マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
本発明の発光素子は、各種機器等のバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が検討されているパソコン用途のバックライトに本発明の発光素子は好ましく用いられ、従来のものより薄型で軽量なバックライトを提供できる。
<光電変換素子>
光電変換素子は、アノードとカソード、およびそれらアノードとカソードとの間に介在する有機層を有し、有機層において光エネルギーが電気的信号に変換される。前記有機層は少なくとも光電変換層を有していることが好ましく、さらに前記光電変換層はp型材料とn型材料を含むことがより好ましい。p型材料は、電子供与性(ドナー性)の材料であり、HOMOのエネルギー準位が浅く、正孔を輸送しやすい。n型材料は、電子吸引性(アクセプター性)の材料であり、LUMOのエネルギー準位が深く、電子を輸送しやすい。p型材料とn型材料は積層されていてもよいし、混合されていてもよい。
有機層は、光電変換層のみからなる構成の他に、1)正孔取出し層/光電変換層、2)光電変換層/電子取出し層、3)正孔取出し層/光電変換層/電子取出し層などの積層構成が挙げられる。電子取出し層とは、光電変換層からカソードへの電子の取出しが容易に行われるように設けられる層であり、通常、光電変換層とカソードとの間に設けられる。正孔取出し層とは、光電変換層からアノードへの正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層であり、通常、アノードと光電変換層との間に設けられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよい。
本発明のキナゾリン誘導体は、上記の光電変換素子において、いずれの層に用いられてもよいが、高い電子親和性および薄膜安定性を有しており、且つ、可視光領域に強い吸収を有しているため、光電変換層に用いることが好ましい。特に、優れた電子輸送能を有していることから、光電変換層のn型材料に用いることが好ましい。また、本発明のキナゾリン誘導体は、特に高い電子親和性を有することから、電子取り出し層にも好適に用いることができる。これにより、光電変換層から陰極への電子取出し効率が高められるため、変換効率を向上させることが可能となる。さらに、一般式(1)のRが一般式(2)〜(7)のいずれかで表される置換基により置換されていることで、ガラス転移温度が向上し、膜の安定性が向上するため好ましい。
光電変換素子は、光センサーに用いることができる。また、本実施形態における光電変換素子は、太陽電池に用いることもできる。
(カソードおよびアノード)
本発明の光電変換素子において、カソードとアノードは素子の中で作られた電子及び正孔を流し、十分に電流を流せるための役割を有するものであり、光を入らせるために少なくとも一方は透明または半透明であることが望ましい。通常、基板上に形成されるカソードを透明電極とする。
カソードは、正孔を光電変換層から効率よく取り出せる材料、かつ光を入らせるために透明であればよい。材料としては酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、インジウム・ガリウム・亜鉛・酸素(IGZO)などの導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケルなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど特に限定されるものではないが、ITOガラスやネサガラスを用いることが特に好ましい。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。透明電極の抵抗は素子で作られた電流を十分流せればよく、素子の光電変換効率の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するので、低抵抗品を使用することが特に好ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。また、ガラス基板はソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが用いられ、また厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質は、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスが好ましく、またSiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも使用できる。さらに、カソードが安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えばプラスチック基板上にカソードを形成しても良い。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法など特に制限を受けるものではない。
アノードは、電子を光電変換層から効率良く取り出せる物質が好ましく、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セシウム、ストロンチウムなどがあげられる。電子取り出し効率をあげて素子特性を向上させるためにはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。さらに、しかし、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多く、例えば、正孔阻止層に微量のリチウムやマグネシウム、セシウム(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)をドーピングして安定性の高い電極を使用する方法が好ましい例として挙げることができる。またフッ化リチウムのような無機塩の使用も可能である。更に電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニア、窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子などを積層することが好ましい。これらの電極の作製法も抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティング、コーティングなど導通を取ることができる方法がよい。また、特開2014−120616号公報に記載されているような、カソード、アノードの両方に透明電極が使用される場合は、IGZOのような低仕事関数の導電性金属酸化物をアノードに使用することで、暗電流の低減につながるため、好ましい。
(光電変換層)
光電変換層とは実際に光電変換材料が形成される層であり、これはp型有機半導体材料とn型有機半導体材料との混合で形成される。この際、該材料は単独でも複数でもよい。光電変換層では光を吸収し、励起子を形成した後、電子と正孔がそれぞれn型有機半導体材料とp型有機半導体材料により、分離される。このように分離された電子と正孔はそれぞれ伝導準位と価電子準位を通して両極まで流され、電気エネルギーを発生させる。
光電変換層を構成する光電変換材料は後述の一般式(1)で表される化合物のほか、以前から光電変換材料として知られていた材料を用いられる。光電変換材料の光吸収波長領域によって、光電変換層の吸収波長が決められるため、用いようとする色に対応する光吸収特性の材料を用いることが好ましい。例えば、緑色の光電変換素子では450nm〜550nmで光を吸収する材料で光電変換層を構成する。また、上述したよう高い光電変換効率を得るために光電変換層を2種以上の材料で構成する場合、それぞれのp型有機半導体材料とn型有機半導体材料のエネルギー準位が正孔と電子を効率よく分離し、電極側に移動できる材料で光電変換層を構成する。
(p型半導体層)
p型有機半導体材料はイオン化ポテンシャルが比較的に小さく、電子供与性があって正孔輸送性化合物であれば、どの有機化合物でも良い。p型有機半導体材料の例としてはナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの 縮合多環芳香族誘導体を有する化合物やその誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フラン誘導体、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、スチリルアミン誘導体、ベンジジン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、 キナクリドン誘導体などを挙げられる。
ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体を挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
(n型半導体層)
n型有機半導体材料は電子親和力が高く、電子輸送性の化合物であれば、どの材料でもよい。n型有機半導体材料の例としては一般式(1)で表される化合物のほか、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、芳香族アセチレン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体を挙げられる。
また分子内にニトロ基、シアノ基、ハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有する有機化合物や、キノン系化合物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物などの酸無水物系化合物、C60、PCBMなどのフラーレンおよびフラーレン誘導体なども挙げられ使用できるが特に限定されるものではない。
(電荷阻止層)
電荷阻止層とは、光電変換層で光電変換された電子および正孔を効率よくかつ安定に電極から取り出すために用いられる層であり、電子を阻止する電子阻止層と正孔を阻止する正孔阻止層とが挙げられる。これらは無機物から構成されても良いし、有機化合物から構成されても良い。さらに、無機物と有機化合物の混合層からなってもよい。
電子阻止層とは、光電変換層で生成された電子がカソード側に流れ、正孔と再結合するのを阻止するための層であり、各層を構成する材料の種類によっては、この層を挿入することにより正孔と電子の再結合が抑制され、光電変換効率が向上する。したがって、電子阻止性材料は光電変換材料よりもLUMOレベルがエネルギー的に高いものがよい。光電変換層からの電子の移動を効率よく阻止できる化合物が好ましく、具体的にはN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどのトリフェニルアミン類、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ジスチリル誘導体、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどが挙げられるが、素子作製に必要な薄膜を形成し、光電変換層から正孔を抽出できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば良い。これらの電子阻止材料は単独でも用いられるが、異なる電子阻止材料と積層または混合して使用しても構わない。
(電子取出し層)
電子取出し層とは、光電変換層で生成された電子をアノード側へ効率よく受け渡すための層である。さらには光電変換層で生成された正孔がアノード側に流れ、電子と再結合するのを阻止するための層である。各層を構成する材料の種類によっては、この層を挿入することにより正孔と電子の再結合が抑制され、光電変換効率が向上する。したがって、電子取出し層に用いられる材料は光電変換材料よりもLUMO準位とHOMO準位が深いものがよい。光電変換層からアノードへの電子の取出しを効率よく行い、さらには正孔の移動を効率よく阻止できる化合物が好ましい。正孔の移動を効率よく阻止できれば、光を照射していない素子に電圧を印加した際に生じるOFF電流を低下させ、暗電流が低減するからである。具体的には一般式(1)で表される化合物の他、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、ビピリジン、ターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、芳香族リンオキサイド化合物などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。また、それぞれ異なる材料を有する二層以上の電子取出し層が積層されていてもよい。
一般式(1)で表される化合物は、少なくとも1つの電子受容性窒素を有する化合物であるため、LUMO準位、HOMO準位が深い。そのため、一般式(1)で表される化合物を電子取出し層に使用することで、有機層もしくは光電変換層からアノードへの電子取り出しを容易にし、光電変換効率を向上させるため、好ましい。
<イメージセンサ>
本発明の光電変換素子はイメージセンサに好適に利用できる。イメージセンサは光学的な映像を電気的な信号に変換する半導体素子である。一般的にイメージセンサは光を電気エネルギーに変換する前述の光電変換素子と電気エネルギーを電気信号に読み出す回路で構成される。イメージセンサの用途によって、複数の光電変換素子を一次元直線または二次元平面に配列することができる。また、モノカラーのイメージセンサの場合は1種の光電変換素子で構成されてもよいが、カラーイメージセンサの場合は、2種以上の光電変換素子で構成され、例えば赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子で構成される。各色の光電変換素子は積層構造を有する、すなわち一つの画素に積層されていてもよいし、横に並んでマトリクス構造で構成されてもよい。
なお、光電変換素子が一つの画素に積層された構造の場合は、図5に示すように、緑色光を検出する光電変換素子32、青色光を検出する光電変換素子33、赤色光を検出する光電変換素子31を順次積層した3層構造でも良く、図6に示すように緑色光を検出する光電変換素子32を上層に全面配置し、赤色光を検出する光電変換素子31、青色光を検出する光電変換素子33をマトリクス構造で形成された2層構造でも良い。この構造は、緑色光を検出する光電変換素子が入射光に対して最も近い層に配置されているものである。各色の積層の順序はこれに限らず、図5とは異なっていても良いが、最上層の光電変換素子が特定色を吸収し、かつ特定色以外の長波長光および短波長光を透過させる色フィルタとしての機能を有する観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
またマトリクス構造の場合は、ベイヤー配列、ハニカム配列、ストライプ状配列、デルタ配列などの配列から選択することができる。また、緑色光を検出する光電変換素子に有機光電変換材料を使用し、赤色光を検出する光電変換素子および青色光を検出する光電変換素子については、従来用いられている無機系の光電変換材料や有機光電変換材料から適宜組み合わせて用いてもよい。
前述のとおり、本発明の光電変換素子材料は緑色領域にシャープな吸収スペクトルを有しているので、光電変換素子において選択的に緑色光を吸収して、赤色光と青色光を透過することができる。そのため、図7のように光電変換素子が縦型に積層された構造の場合は、緑色の光電変換素子において赤色光、青色光の検出ノイズを極めて少なくすることができ、赤色および青色の光電変換素子において極めて高い感度で光を検出することができる。よって色分離性に優れた光電変換素子を提供することができる。各色の積層の順序はこれに限らず、図7とは異なっていても良いが、緑色光以外の光を透過させる観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、青色の光電変換素子の色選択性が優れている場合には、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
また、赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子およびそれらの光電変換素子のうち少なくとも一つは電子取り出し層を供えた構成であってもよい。例としては、図7〜図9のように、各色光電変換素子の間に電子取出し層が挿入されていてもよい。電子取出し層の位置はこれに限らず、最上層または最下層に配置されていても良い。図7〜図9では電子取り出し層は一箇所にのみ設けられているが、二箇所以上に設けてもよい。また、各色の積層の順序はこれに限らず、図7〜9とは異なっていても良いが、緑色光以外の光を透過させる観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、青色の光電変換素子の色選択性が優れている場合には、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
さらに、赤色光を検出する光電変換素子、緑色光を検出する光電変換素子、および青色光を検出する光電変換素子およびそれらの光電変換素子のうち全てに電子取り出し層を供えた構成であってもよい。例としては、図10のように、赤、緑、青全ての光電変換素子の間、もしくは最下層に電子取出し層が配置されている構成が、暗電流を低減できるという観点から好ましい。電子取出し層の位置はこれに限らず、最上層または最下層に配置されていても良い。また、各色の積層の順序はこれに限らず、図7〜9とは異なっていても良いが、緑色光以外の光を透過させる観点から、緑色の光電変換素子を最上層に配置する構成が好ましい。また、青色の光電変換素子の色選択性が優れている場合には、短波長の検出しやすさの観点で、青色の光電変換素子を最上層に配置する構成をとっても良い。
以上のように、本発明のイメージセンサは、2種類以上の光電変換素子で構成され、そのうちの少なくとも1種類の光電変換素子が前述の光電変換素子であることが好ましい。また、その2種類以上の光電変換素子が積層構造を有していることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
合成例1
化合物[6]の合成
9−(3,5−ジクロロフェニル)フェナントレン7.6g、ビス(ピナコラート)ジボロン17.8g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)269mg、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル445mg、酢酸カリウム13.8g、1,4−ジオキサン93mlの混合溶液を窒素置換した後、85℃に加熱した。90分後、室温に冷却した後、水93mlを加え、ろ過した後、真空乾燥することにより、中間体Aの固体を11.6g得た。
次に、中間体A5.0g、4−クロロ−2−フェニルキナゾリン5.2g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)114mg、トリシクロヘキシルホスフィン・テトラフルオロボラン145mg、リン酸三カリウム水溶液34ml、1,4−ジオキサン49mlの混合溶液を窒素置換した後、85℃に加熱した。1時間後、室温に冷却した後、水49mlを加え、ろ過した後、真空乾燥した。この固体を酢酸ブチルで再結晶することにより、化合物[6]4.8gを得た。同定はマススペクトル測定により行った。なお、化合物[6]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約320℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。
Figure 2016185914
下記の実施例において、化合物[1]〜[8]は以下に示す化合物である。
Figure 2016185914
実施例1
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CN6を5nm、正孔輸送層として、HT−1を50nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−1、ドーパント材料D−1をドープ濃度が5重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として化合物[1]を35nmの厚さに蒸着して積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子の1000cd/m時の特性は、駆動電圧4.70V、外部量子効率4.23%であった。また初期輝度を1000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1150時間であった。なお化合物HAT−CN6、HT−1、H−1、D−1は以下に示す化合物である。
Figure 2016185914
実施例2〜8
電子輸送層に表1に記載した化合物を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作成し、評価した。結果を表1に示す。
比較例1〜6
電子輸送層に表1に記載した化合物を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作成し、評価した。結果を表1に示す。なお、ET−1〜ET−6は以下に示す化合物である。
Figure 2016185914
実施例9
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、正孔輸送層として、HT−1を50nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−1、ドーパント材料D−1をドープ濃度が5重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、第1電子輸送層として化合物[1]を25nmの厚さに蒸着して積層した。さらに第2電子輸送層として電子輸送材料にET−7を、ドナー性材料として2E−1を用い、ET−7と2E−1の蒸着速度比が1:1になるようにして10nmの厚さに積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。この発光素子の1000cd/m時の特性は、駆動電圧4.30V、外部量子効率5.02%であった。また初期輝度を1000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1750時間であった。なお、2E−1は以下に示す化合物である。
Figure 2016185914
実施例10〜16
第一電子輸送層に表2に記載した化合物を用いた以外は実施例9と同様にして発光素子を作成し、評価した。結果を表2に示す。
実施例17〜24
第一電子輸送層および第二電子輸送層に表2に記載した化合物を用いた以外は実施例9と同様にして発光素子を作成し、評価した。結果を表2に示す。
比較例7〜13
第一電子輸送層および第二電子輸送層に表2に記載した化合物を用いた以外は実施例9と同様にして発光素子を作成し、評価した。結果を表2に示す。
実施例25
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、正孔輸送層として、HT−2を50nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−2、ドーパント材料D−2をドープ濃度が10重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。さらに電子輸送層として化合物[1]を25nmの厚さに蒸着して積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、マグネシウムと銀を1000nm共蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。この発光素子の1000cd/m時の特性は、駆動電圧4.28V、外部量子効率12.50%であった。また初期輝度を1000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1500時間であった。なおHT−2、H−2、D−2は以下に示す化合物である。
Figure 2016185914
実施例26〜32
電子輸送層として表3に記載した化合物を用いた以外は実施例25と同様にして発光素子を作成し、評価した。結果を表3に示す。
比較例14〜19
電子輸送層として表3に記載した化合物を用いた以外は実施例25と同様にして発光素子を作成し、評価した。結果を表3に示す。
実施例33
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、正孔輸送層として、HT−2を50nm蒸着した。次に、発光層として、第一ホスト材料に化合物[1]、ドーパント材料D−2をドープ濃度が10重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として電子輸送材料にET−7を、ドナー性材料として2E−1を用い、ET−7と2E−1の蒸着速度比が1:1になるようにして35nmの厚さに積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。この発光素子の4000cd/m時の特性は、駆動電圧4.70V、外部量子効率14.10%であった。また初期輝度を4000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1500時間であった。なおH−3、H−4は以下に示す化合物である。
Figure 2016185914
実施例34〜48
発光層として第一ホスト材料および第二ホスト材料に表4記載の化合物を用いた以外は実施例33と同様に発光素子を作成し、評価した。結果を表4に示す。
比較例20〜26
発光層として第一ホスト材料および第二ホスト材料に表4記載の化合物を用いた以外は実施例33と同様に発光素子を作成し、評価した。結果を表4に示す。
実施例49
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断、エッチングを行った。得られた基板をアセトン、”セミコクリーン(登録商標)56”(フルウチ化学(株)製)で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−5Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、電子阻止層としてPEDOT:PSSを30nm蒸着した。次に、光電変換層として化合物D−1と化合物A−1を蒸着速度比1:1で共蒸着した。次に、電子取出し層として化合物[1]を20nm蒸着した。アルミニウムを100nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。
作製した蒸着膜はグローブボックス内で封止を行い、48時間後の膜を目視で観察し、また、ホットプレートで100℃、3.5時間加熱した膜の状態を目視で観察したところ、膜の状態に変化は見られなかった。また、前記の条件で加熱した後のON電流、OFF電流を測定した。なお、ON電流は、白色LED光源(35000ルクス)からの光をITO基板から照射し、素子に−3Vを印加したときの電流値であり、OFF電流は、光を照射していないときに、素子に−3Vを印加したときの電流値である。その結果、ON電流は3.3×10−4mA/cm、OFF電流は3.8×10−8mA/cmであった。また、前記の条件による加熱前後の−3V印加時での光電変換効率は、加熱前で25%、加熱後で25%であった。なお、PEDOT:PSS、D−1、A−1は以下に示す化合物である。
Figure 2016185914
実施例50〜51
電子取出し層として表5記載の化合物を用いた以外は、実施例49と同様にして素子を作成し、評価した。結果を表5に示す。
比較例26
電子取出し層として表5記載の化合物を用いた以外は、実施例49と同様にして素子を作成し、評価した。結果を表5に示す。
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914
Figure 2016185914

Claims (19)

  1. 下記一般式(1)で表されるキナゾリン誘導体。
    Figure 2016185914
    (式中、QおよびQはキナゾリン骨格を含む基を表す。Rは、3価〜6価のアリーレン基、 または3価〜6価のヘテロアリーレン基を表す。ただし、Rはカルバゾリレン基になることはない。L〜Lは、それぞれ独立に単結合、核炭素数が3から30のシクロアルキレン基、炭素数が6から30のアリーレン基、または炭素数が3から30のヘテロアリーレン基である。Rは、置換もしくは無置換の芳香族複素環基であって電子受容性窒素を含むもの、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、シアノ基、またはアルキル基である。ただし、Rがキナゾリニル基およびカルバゾリル基になることはない。)
  2. が炭素数6〜30の3価のアリーレン基、または炭素数3〜30の3価のヘテロアリーレン基である請求項1に記載のキナゾリン誘導体。
  3. が3価のフェニレン基、ピリミジニレン基またはトリアジニレン基である請求項1または2に記載のキナゾリン誘導体。
  4. が3価のフェニレン基である請求項1〜3のいずれかに記載のキナゾリン誘導体。
  5. が下記一般式(2)〜(7)のいずれかで表される構造を含む基である請求項1〜4のいずれかに記載のキナゾリン誘導体。
    Figure 2016185914
    (式中、C〜C34はCH、置換された炭素原子、または窒素原子を表す。C〜C34が置換されている場合の置換基は前記一般式(1)におけるものと同様である。ただし、式(2)についてはC〜Cのうちいずれか一つの位置で、式(3)についてはC〜C14のうちいずれか一つの位置で、式(4)についてはC15〜C24のうちいずれか一つの位置で、式(5)についてはC25〜C34のうちいずれか一つの位置で、Lと連結する。
    およびLは、それぞれ独立に単結合、核炭素数3から30のシクロアルキレン基、核炭素6から30の置換もしくは無置換のアリーレン基、核炭素数3から30の置換もしく無置換のヘテロアリーレン基である。R〜R12は核炭素6から30の置換もしくは無置換のアリーレン基、核炭素数3から30の置換もしく無置換のヘテロアリーレン基を表す。
    Xは酸素原子または硫黄原子である。
    〜R10は隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。但し、一般式(6)についてはR〜R10のうちいずれか一つの位置で、一般式(7)については*およびR11〜R15のうちいずれか一つの位置で、Lと連結する。
    ただし、一般式(3)がキナゾリニル基になることはない。)
  6. が前記一般式(2)〜(5)のいずれかで表され、C〜C34が全てCH、または置換された炭素原子である請求項5に記載のキナゾリン誘導体。
  7. が前記一般式(7)で表される請求項5に記載のキナゾリン誘導体。
  8. が前記一般式(7)で表され、一般式(7)のL〜LおよびR11〜R12のうち、少なくとも1つが電子受容性窒素を有する芳香族複素環を有する請求項5に記載のキナゾリン誘導体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のキナゾリン誘導体を含有する電子デバイス材料。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載のキナゾリン誘導体を含有する発光素子材料。
  11. 陽極と陰極の間に有機層が存在し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、前記有機層に請求項1〜8のいずれか記載のキナゾリン誘導体を含有する発光素子。
  12. 前記有機層が電子輸送層を有し、前記電子輸送層に請求項1〜8のいずれか記載のキナゾリン誘導体を含有する請求項10〜11のいずれか記載の発光素子。
  13. 前記有機層が少なくとも2つ以上の電子輸送層を有し、発光層に接する電子輸送層に請求項1〜8のいずれか記載のキナゾリン誘導体を含有する請求項12記載の発光素子。
  14. 前記発光層に少なくとも1つ以上の三重項発光材料を含有する発光層が存在する請求項12記載の発光素子。
  15. 前記発光層に請求項1〜8のいずれか記載のキナゾリン誘導体を含有する請求項11記載の発光素子。
  16. 請求項1〜8のいずれかに記載のキナゾリン誘導体を含有する光電変換素子材料。
  17. 前記有機層が光電変換層を含み、該光電変換層に前記一般式(1)で表されるキナゾリン誘導体を含有する請求項1〜8のいずれか記載の光電変換素子。
  18. 前記有機層が、第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の光電変換層と一層の電子取り出し層を含み、該電子取り出し層が前記一般式(1)で表される化合物を含有する請求項1〜8のいずれか記載の光電変換素子。
  19. 請求項17〜18のいずれか記載の光電変換素子を含むイメージセンサ。
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