JP2016160208A - 化合物、それを含有する発光素子、光電変換素子およびイメージセンサ - Google Patents

化合物、それを含有する発光素子、光電変換素子およびイメージセンサ Download PDF

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裕健 境野
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Abstract

【課題】発光効率、駆動電圧、耐久性の全てを改善した有機薄膜発光素子を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物。
【化1】
Figure 2016160208

【選択図】なし

Description

本発明は、発光素子、光電変換素子、リチウムイオン電池、燃料電池、太陽電池、トランジスタ等の電子デバイスおよびそれに用いられる材料に関する。本発明は、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野に利用可能である。
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する際に発光するという有機薄膜発光素子の研究が、近年活発に行われている。この有機薄膜発光素子は、薄型で、かつ、低駆動電圧下での高輝度発光が可能であることと、蛍光材料を選ぶことにより多色発光が可能であることが特徴であり、注目を集めている。
この分野では、コダック社のC.W.Tangらによって有機薄膜素子が高輝度に発光することが示されて以来、多数の実用化検討がなされており、有機薄膜発光素子は、携帯電話のメインディスプレイなどに採用されるなど着実に実用化が進んでいる。しかし、まだ技術的な課題も多く、発光効率の向上、駆動電圧の低減、耐久性の向上が求められている。中でも素子の発光効率と耐久性の両立は大きな課題となっており、例えば、含窒素複素縮合環を有する材料が開発されている(特許文献1、2)。
国際公開第2007/069847号 国際公開第2012/045384号
しかしながら、従来の技術では素子の駆動電圧を十分に下げることは困難であり、また駆動電圧を下げることができたとしても、素子の発光効率、耐久性が不十分であった。したがって、高発光効率、低駆動電圧、さらには高耐久性を全て満たす技術は未だ見出されていない。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、高発光効率、低駆動電圧、高耐久性の全てを満たす有機薄膜発光素子を提供することを目的とするものである。
前記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 2016160208
〔X(i=1〜9)はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、CRまたはNを表す。
(i=1〜9)は水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、ボリル基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R1011からなる群より選ばれる。ただし、R〜Rの少なくとも1つは水素でない。R10およびR11はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。R〜R11はそれぞれ置換されていてもされていなくてもよい。
一般式(1)で表される化合物の分子量は400以上900以下である。
がアルキル基の場合、1級アルキル基または2級アルキル基である。また、Rがフェニル基の場合、2つのオルト位の置換基のいずれか一方は水素である。〕
本発明により、高発光効率、低駆動電圧、高耐久性の全てを満たす有機薄膜発光素子を提供することができる。
本発明の下記一般式(1)で表される化合物について、以下、詳細に説明する。
Figure 2016160208
(i=1〜9)はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、CRまたはNを表す。
(i=1〜9)は水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、ボリル基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R1011からなる群より選ばれる。ただし、R〜Rの少なくとも1つは水素でない。R10およびR11はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。R〜R11はそれぞれ置換されていてもされていなくてもよい。
一般式(1)で表される化合物の分子量は400以上900以下である。
がアルキル基の場合、一般式(1)の化合物に結合する炭素は少なくとも一つの水素と結合する。また、Rがフェニル基の場合、2つのオルト位の置換基のいずれか一方は水素である。
本発明において、例えば「炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基」とは、アリール基の置換基に含まれる炭素数も含めて6〜40であり、炭素数を規定している他の置換基もこれと同様である。
本発明において、「水素」には重水素も含まれる。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基が置換基を有する場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができる。別途記載がない限り、以下で説明する各基が置換基を有する場合の置換基についても同様である。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルケニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールエーテル基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基などの芳香族炭化水素基を表す。
中でも、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基がより好ましい。
アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基などの、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を表す。
ただし、ナフチリジニル基とは、1,5−ナフチリジニル基、1,6−ナフチリジニル基、1,7−ナフチリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、2,6−ナフチリジニル基、2,7−ナフチリジニル基のいずれかを示す。
中でも、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、フェナントロリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基、キノリニル基である。
また、ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格を含む基もヘテロアリール基として好ましい。ヘテロアリール基は置換基を有していても有していなくてもよい。
ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。アミノ基が置換基を有する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基が挙げられ、中でもアリール基、ヘテロアリール基が好ましい。
アミノ基を−NR1213と表す場合、−NR1213はアリール基またはヘテロアリール基で置換されたアミノ基を表す。R12、R13で表されるアリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ピリジル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ピリジル基、キノリニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、フェナントロリニル基がより好ましい。さらに好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基である。これらの置換基はさらに置換されてもよい。炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、さらに好ましくは6以上30以下の範囲である。なお、本明細書において、R12およびR13はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
−NR1213としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。なお、本発明において、各化学式中の黒丸は他の原子との結合位置を表す。
Figure 2016160208
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ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を表す。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基などのアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基などのアリールシリル基を表す。ケイ素上の置換基はさらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基が挙げられ、中でもアリール基、アリールエーテル基が好ましい。
カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。
ホスフィンオキシド基−P(=O)R1011としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016160208
本発明の化合物は、一般式(1)で表されるとおり、含窒素芳香族縮合環であるピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格を有する。この骨格は電子受容性であり、負電荷を効率的に受け入れることで優れた電子伝導に寄与すると考えられる。また、この骨格は高い平面性と比較的広いπ共役を有するため、分子同士がうまく重なることで、高い電荷輸送性を有すると考えられる。
このため本発明の化合物を、例えば、発光素子の電子輸送層に用いた場合には、電極からの良好な電子注入性や優れた電子輸送性を示し、発光素子の駆動電圧を低くすることができる。その結果、発光素子の発光効率を向上させることができる。また、発光素子の耐久性の向上にも寄与する。
また、ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格は、5員環部分に電子供与性の窒素を有する。この縮環構造内に埋め込まれた電子供与性窒素は、正孔耐久性に寄与すると考えられ、素子の劣化を防ぐことができると考えられる。例えば、正孔阻止層に用いた場合、良好な電子注入性や優れた電子輸送性に加えて、優れた正孔耐久性を示し、発光素子の耐久性を向上することができる。ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−c]キノザリン骨格(例えば[特許文献1]:国際公開第2007/069847号)も同様に5員環部分に電子供与性の窒素を有するが、その位置が異なる。
本発明の化合物が有するピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格はキノリン環の共役系が維持されていることから、優れた電荷耐久性を有すると考えられる。このため、本発明の化合物を発光素子に用いた場合に、発光素子の耐久性の向上が可能となる。
本発明の化合物の持つ優れた電荷輸送性や電荷耐久性は、発光素子に限らず、光電変換素子に用いた場合にも特性の向上に寄与する。
一般式(1)で表される化合物のX〜Xはそれぞれ独立にNでも良い。この場合、ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格の電子受容性がさらに向上し、優れた電子伝導を示す。ただし、同一環内でNの数が過剰に増大すると耐熱性が低下しやすくなる場合があり、特に、X〜Xのうち3つ以上がNの場合、耐熱性が低下しやすくなる。そのため、X〜Xのうち少なくとも2つがCRであることが好ましい。また、XがNである場合も耐熱性が低下しやすくなる場合があるため、XはCRであることが好ましい。なお、X〜Xの一つ以上がNの場合でも、本発明においては、ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格とする。
本発明の化合物において、合成の簡便さから、X〜XはそれぞれCR〜CRであることが好ましく、R〜Rは水素であることがより好ましい。R〜Rが水素であることで、膜中での分子間距離が短くなり、キノリン環が適度に分子間の重なり合いに関与することで、電荷移動を効率的に行いやすくなる。その結果、発光素子の低電圧駆動しやすくなり、発光効率を向上させることができる。また、水素であることで分子量を抑制でき、その結果、昇華温度が低くなり耐熱性がより向上する。
すなわち、本発明の化合物において、優れた電子伝導と耐熱性、および合成の簡便さのバランスから、X〜XがそれぞれCR〜CRであり、XがCRであり、X〜Xのうち少なくとも2つがCRであることがより好ましい。また、耐熱性をより高めるためには、X〜XがCR〜CRであることがさらに好ましい。
一般式(1)で表される化合物のピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格は、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016160208
一般式(1)で表される化合物のピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格の高い平面性と比較的広いπ共役は、電荷輸送性には好適に作用するが、結晶性の高さが課題となる場合がある。そこで、X〜Xの少なくとも1つに置換基を導入することで、分子間におけるπ共役平面の重なりを適度に回避し、結晶性を低下させ、薄膜安定性を向上させることが必須である。薄膜安定性が向上すると、発光素子において長時間駆動しても膜の変質が抑制されるため、耐久性が向上する。
また、置換基の導入によりガラス転移温度を上昇させることができ、薄膜安定性を向上させることができる。
置換基としては、前述のR〜Rとして例示された置換基群、すなわち、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、ボリル基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R1011からなる群が挙げられるが、その中でも置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、−P(=O)R1011、−NR1213が好ましい。これらの置換基は電気化学的安定性が高い置換基であり、これらの置換基を導入することで優れた電気化学的安定性を付与することができる。さらに、これらの置換基は、高温下でも分解しにくい置換基であるため、耐熱性が向上する。耐熱性が向上すると、素子作製時に材料の分解を抑制できるため、耐久性が向上する。さらに、共役が広がる効果もあり、電気化学的安定性や電荷輸送性も向上する。合成の簡便さとのバランスから、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、−NR1213がより好ましい。
本発明の化合物において、X〜XのうちXの位置の置換基は、立体的および電気化学的に大きな効果を発現する。すなわち、XがCRである場合のRを適切に選択することで、電荷輸送性や電気化学的安定性を向上させることができる。
は前述のとおり、R(i=1〜9)として例示された置換基群より選ばれるが、その中でも水素、アルキル基、シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、−NR1213が好ましい。ただし、Rがアルキル基の場合、1級アルキル基または2級アルキル基である。また、Rがフェニル基の場合、2つのオルト位の置換基の少なくとも一つは水素である。Rが、かさ高い基である3級アルキル基や2つのオルト位が両方とも置換されたフェニル基の場合、分子同士の重なりを阻害することから、電荷輸送性が低下し、発光素子の駆動電圧が上昇し、発光効率も低下するためである。また、その結果、発光素子の耐久性も悪化するためである。
は、より好ましくは、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、および−NR1213からなる群から選ばれる。アリール基、ヘテロアリール基、−NR1213は電気化学的安定性が高い置換基であり、これらの置換基を導入することで優れた電気化学的安定性を付与することができる。
は、さらに好ましくは、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。Rが置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、効率的に共役が拡張し、電荷輸送性が向上する。このため本発明の一般式(1)で表される化合物を発光素子の発光層や電子輸送層に用いた場合には、高い電子移動度を示すため駆動電圧を低くすることができる。その結果、発光素子の発光効率を向上させることができる。置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基のうち、合成の容易さの点でより好ましいのは、置換もしくは無置換のアリール基である。一方、置換もしくは無置換のヘテロアリール基は、後述のドナー性化合物との相互作用により特性が向上しやすい点で好ましい。
に置換基を導入することで昇華性、蒸着安定性及び結晶性の低下やガラス転移温度の上昇により膜の安定性を向上させることができる。Rの置換基としては、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、−P(=O)R1011、および−NR1213からなる群から選ばれることが好ましい。これらの置換基を導入することで電気化学的安定性、高い電子親和性、耐熱性を付与することができる。中でも置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、または−NR1213が好ましい。
が置換もしくは無置換のアリール基である場合のアリール基は、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基であることがより好ましく、フェニル基であることがさらに好ましい。Rがフェニル基、ナフチル基の場合、適度なかさ高さにより分子同士の重なりが良好となり、高い電子移動度を示す。フェニル基の場合、その効果が最も大きい。
がフェニル基の場合、Rは下記一般式(2)で表される。
Figure 2016160208
(i=1〜5)はそれぞれ同一でも異なっていても良く、水素、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、−P(=O)R1011、および−NR1213からなる群から選ばれる。ただし、rとrのいずれか一方は水素である。
一般式(2)のr(i=1〜5)が置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基の場合において、置換されている場合の置換基は、上述のR(i=1〜9)として例示された置換基群から選ばれる置換基が好ましく、上述のR(i=1〜9)の各置換基の説明において好ましいとされた置換基がより好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述のR(i=1〜9)として例示された置換基群から選ばれる置換基により置換されていてもよい。
一般式(2)において、rとrのいずれか一方は水素である。rとrが同時に置換された場合、立体的に混み合うために、一般式(1)で表される化合物のひずみが大きくなり、耐熱性が低くなる。また、ひずみが大きくなり、ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格とフェニル基の二面角が大きくなると、分子同士の重なりを阻害するため、電荷輸送性が低下し、発光素子の駆動電圧が上昇し、発光効率も低下する。その結果、発光素子の耐久性も悪化する。
以下に、Rがフェニル基である場合の好ましい置換の例を示す。表中、Arはアリールを示し、HArはヘテロアリールを表す。
Figure 2016160208
Figure 2016160208
が置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合のヘテロアリール基は、ピリジル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、フェナントロリニル基がより好ましい。さらに好ましくはピリジル基、キノリニル基である。
がフェニル基、または、ピリジル基、キノリニル基のうち、合成の容易さ、および耐久性に優れた化合物が得られやすい点から、フェニル基がより好ましい。一方、ピリジル基、キノニリル基は、後述のドナー性化合物との相互作用により特性が向上しやすい点で好ましい。
の置換基が置換もしくは無置換のアリール基の場合、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基が好ましく、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基であることがより好ましく、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基であることがさらに好ましく、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基であることが特に好ましい。
の置換基が置換もしくは無置換のヘテロアリール基の場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、フェナントロリニル基がより好ましい。さらに好ましくは、ピリジル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、フェナントロリニル基であり、ピリジル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、カルバゾリル基が特に好ましい。
が電子受容性窒素を含むことは、電子輸送性が向上するため好ましい。
電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。電子受容性窒素を含む芳香族複素環とは、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、アクリジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、等が挙げられる。更に、前記電子受容性窒素を含む芳香族複素環は置換基を有していてもよい。好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環が挙げられる。より好ましくは、ピリジン環、キノリン環、フェナントロリン環である。
窒素原子が高い電気陰性度を有することから、前記窒素原子と隣接原子との間の多重結合は電子受容的な性質を有する。それゆえ、電子受容性窒素を有するRは、高い電子親和性をもつ。このため本発明の一般式(1)で表される化合物を発光素子の発光層や電子輸送層に用いた場合には、高い電子移動度を示すため駆動電圧を低くすることができる。この結果、発光素子の発光効率を向上させることができる。また、発光素子の耐久性向上にも寄与する。
また、電子受容性窒素は窒素原子上に非共有電子対を有することから金属原子への強い配位性を示す。それゆえ、電子受容性窒素を有するRは強い金属配位性をもつ。このため本発明の一般式(1)で表される化合物を発光素子の電子輸送層に用いた場合には、陰極である金属に配位しやすくなるため、陰極との相互作用が強くなり、陰極からの電子注入性を促進し、発光素子の駆動電圧を低くすることができる。また、本発明の一般式(1)で表される化合物を光電変換素子の電子取り出し層に用いた場合では、陰極への電子取り出しを促進するため、光電変換素子の変換効率やオン−オフ比を向上することができる。
の置換基としてジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、−NR1213を有する本発明の化合物は、正孔に対する耐久性が向上しやすくなることから、特に、発光層や発光層に接する層に好適に用いられる。
本発明の化合物においては、X〜Xのうち少なくとも1つに置換基を導入することも、電荷輸送性や電気化学的安定性の向上に有効である。中でも、R(i=6〜9)の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、および−NR1011からなる群より選ばれることが、好ましい。
本発明の化合物の分子量は、耐熱性や製膜性の観点から、900以下であり、800以下であることが好ましい。より好ましくは700以下であり、さらに好ましくは650以下である。また、一般に分子量が大きいほどガラス転移温度は上昇する傾向にあり、ガラス転移温度が高くなると薄膜安定性が向上する。そのため、分子量は400以上であり、450以上であることが好ましい。より好ましくは、480以上である。
以上より、本発明の化合物は、分子中にピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]キノリン骨格を有し、特定の置換基を有することで、本発明の化合物を、発光素子を構成するいずれかの層に用いた場合に、高発光効率、低駆動電圧および高耐久性をすべて満たす有機薄膜発光素子が可能となる。
一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016160208
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本発明の化合物の合成には、公知の方法を使用することができる。例えば、アリール基やヘテロアリール基の導入の際は、ハロゲン化誘導体とボロン酸あるいはボロン酸エステル化誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−炭素結合を生成する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。同様に、アミノ基やカルバゾリル基の導入の際にも、例えば、パラジウムなどの金属触媒下でのハロゲン化誘導体とアミンあるいはカルバゾール誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−窒素結合を生成する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明の化合物は、発光素子、光電変換素子、リチウムイオン電池、燃料電池、トランジスタ等の電子デバイスに用いられることが好ましい。本発明の化合物は、電子デバイスにおいて、電子デバイス材料として用いることが好ましく、特に、発光素子、光電変換素子において、発光素子材料や光電変換素子材料として用いられることが好ましい。
発光素子材料とは、発光素子のいずれかの層に使用される材料を表し、後述するように、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電荷発生層から選ばれた層に使用される材料であるほか、電極の保護層(キャップ層)に使用される材料も含む。本発明の化合物を、発光素子のいずれかの層に使用することにより、高い発光効率が得られ、かつ低駆動電圧および高耐久性の発光素子が得られる。
光電変換素子材料とは、光電変換素子のいずれかの層に使用される材料を表し、後述するように、正孔取出し層、光電変換層および電子取出し層から選ばれた層に使用される材料である。本発明の化合物を、光電変換素子のいずれかの層に使用することにより、高い変換効率を得られる。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、第一電極と第二電極、すなわち、アノードとカソード、およびそれらアノードとカソードとの間に介在する有機層を有し、有機層において光エネルギーが電気的信号に変換される。前記有機層は少なくとも光電変換層を有していることが好ましく、さらに前記光電変換層はp型材料とn型材料を含むことがより好ましい。p型材料は、電子供与性(ドナー性)の材料であり、HOMOのエネルギー準位が浅く、正孔を輸送しやすい。n型材料は、電子吸引性(アクセプター性)の材料であり、LUMOのエネルギー準位が深く、電子を輸送しやすい。p型材料とn型材料は積層されていてもよいし、混合されていてもよい。
有機層は、光電変換層のみからなる構成の他に、1)正孔取出し層/光電変換層、2)光電変換層/電子取出し層、3)正孔取出し層/光電変換層/電子取出し層などの積層構成が挙げられる。電子取出し層とは、光電変換層からカソードへの電子の取出しが容易に行われるように設けられる層であり、通常、光電変換層とカソードとの間に設けられる。正孔取出し層とは、光電変換層からアノードへの正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層であり、通常、アノードと光電変換層との間に設けられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよい。
本発明の化合物は、本発明の光電変換素子において、いずれの層に用いられてもよいが、高い電子親和性および薄膜安定性を有しており、且つ、可視光領域に強い吸収を有しているため、光電変換層に用いることが好ましい。特に、優れた電子輸送能を有していることから、光電変換層のn型材料に用いることが好ましい。また、本発明の化合物は、特に高い電子親和性を有することから、電子取り出し層にも好適に用いることができる。これにより、光電変換層から陰極への電子取出し効率が高められるため、変換効率を向上させることが可能となる。
本発明の光電変換素子は、例えば、イメージセンサに好適に用いることができる。ここで、イメージセンサとは、光を検出して電荷を発生させ、電気信号に変換することで映像情報を蓄える撮像素子を示す。また、本実施形態における光電変換素子は、太陽電池に用いることもできる。
<発光素子>
次に、本発明の発光素子の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の発光素子は、陽極と陰極、およびそれら陽極と陰極との間に介在する有機層を有し、前記有機層は少なくとも発光層と電子輸送層を有し、前記発光層が電気エネルギーにより発光する。
有機層は、発光層/電子輸送層のみからなる構成の他に、1)正孔輸送層/発光層/電子輸送層および2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層、3)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層などの積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよい。また、リン光発光層や蛍光発光層を複数有する積層型であってもよく、蛍光発光層とリン光発光層を組み合わせた発光素子でもよい。さらにそれぞれ互いに異なる発光色を示す発光層を積層することができる。また、上記の積層構成を、中間層を介して複数積層したタンデム型であってもよい。タンデム型の積層構成の中で少なくとも一層は、リン光発光層であることが好ましい。
前記中間層は、一般的に、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、公知の材料構成を用いることができる。タンデム型の具体例は、例えば4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷発生層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、5)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/電荷発生層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層といった、陽極と陰極の間に中間層として電荷発生層を含む積層構成が挙げられる。
中間層を構成する材料としては、具体的にはピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体が好ましく用いられる。
本発明の化合物は、上記の様々な積層構成において、いずれの層に用いられてもよいが、高い電子注入輸送能、蛍光量子収率および薄膜安定性を有しているため、発光素子の発光層、電子輸送層または電荷発生層に用いることが好ましい。特に、優れた電子注入輸送能を有していることから、電子輸送層または電荷発生層に用いることがより好ましく、電子輸送層に用いることがさらに好ましい。
(陽極および陰極)
本発明の発光素子において、陽極と陰極は素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものであり、光を取り出すために少なくとも一方は透明または半透明であることが好ましい。通常、基板上に形成される陽極を透明電極とする。
陽極に用いる材料は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料であり、かつ光を取り出すために透明または半透明であることが好ましく、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、あるいは、金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど特に限定されるものでないが、ITOガラスやネサガラスを用いることが特に好ましい。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、20Ω/□以下の低抵抗の基板を使用することが特に好ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
また、発光素子の機械的強度を保つために、発光素子を基板上に形成することが好ましい。基板は、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板が好適に用いられる。ガラス基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので、無アルカリガラスの方が好ましい。また、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているので、これを使用することもできる。さらに、第一電極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えば、プラスチック基板上に陽極を形成しても良い。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法および化学反応法など特に制限を受けるものではない。
陰極に用いる材料は、電子を効率よく発光層に注入できる物質であれば特に限定されない。一般的には白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれらの金属とリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属との合金や多層積層などが好ましい。中でも、主成分としてはアルミニウム、銀、マグネシウムが電気抵抗値や製膜しやすさ、膜の安定性、発光効率などの面から好ましい。特にマグネシウムと銀で構成されると、本発明における電子輸送層および電子注入層への電子注入が容易になり、低電圧駆動が可能になるため好ましい。
さらに、陰極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、シリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などの有機高分子化合物を、保護膜層として陰極上に積層することが好ましい。また、本発明の化合物もこの保護膜層(キャップ層)として利用できる。ただし、陰極側から光を取り出す素子構造(トップエミッション構造)の場合は、保護膜層は可視光領域で光透過性のある材料から選択される。これらの電極の作製法は、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど特に制限されない。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送材料の一種または二種以上を積層または混合する方法、もしくは、正孔輸送材料と高分子結着剤の混合物を用いる方法により形成される。また、正孔輸送材料は、電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率良く輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率良く輸送することが好ましい。そのためには適切なイオン化ポテンシャルを持ち、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが要求される。このような条件を満たす物質として、特に限定されるものではないが、例えば、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)、4,4’−ビス(N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミノ)ビフェニル(TBDB),ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD232)といったベンジジン誘導体、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)などのスターバーストアリールアミンと呼ばれる材料群、カルバゾール骨格を有する材料が挙げられる。
中でもカルバゾール多量体、具体的にはビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのカルバゾール2量体の誘導体、カルバゾール3量体の誘導体、カルバゾール4量体の誘導体が好ましく、カルバゾール2量体の誘導体、カルバゾール3量体の誘導体がより好ましく、非対称型のビス(N−アリールカルバゾール)誘導体がさらに好ましい。また、カルバゾール骨格とトリアリールアミン骨格を1つずつ有する材料も好ましい。より好ましくはアミンの窒素原子とカルバゾール骨格の間に連結基としてアリーレン基を有する材料であり、さらに好ましくは下記の一般式(3)および(4)で表される骨格を有する材料である。
Figure 2016160208
(L、Lはアリーレン基であり、Ar〜Arはアリール基である。)
上記化合物の他にも、トリフェニレン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、フラーレン誘導体、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが正孔輸送材料として好ましく使用できる。さらにp型Si、p型SiC等の無機化合物も使用できる。本発明の化合物も、電気化学的安定性に優れているため、正孔輸送材料として用いることができる。
発光素子によっては、発光層に注入された電子の一部が再結合せずに正孔輸送層まで到達し、発光素子の耐久性を悪化させてしまう場合がある。そのため正孔輸送層には電子ブロック性の優れた化合物を用いるのが好ましい。中でも、カルバゾール骨格を含有する化合物は電子ブロック性に優れ、発光素子の高効率化に寄与できるので好ましい。さらに上記カルバゾール骨格を含有する化合物が、カルバゾール多量体あるいは一般式(3)および(4)で表される骨格を有する材料であることが好ましい。カルバゾール多量体骨格を有するものとしては、カルバゾール2量体の誘導体、カルバゾール3量体の誘導体、またはカルバゾール4量体の誘導体が好ましい。より好ましくはカルバゾール2量体の誘導体、カルバゾール3量体の誘導体であり、非対称型のビス(N−アリールカルバゾール)誘導体が特に好ましい。これらは良好な電子ブロック性と、正孔注入輸送特性を併せ持っているためである。さらに、正孔輸送層にカルバゾール骨格を含有する化合物を用いた場合、組み合わせる発光層が後述するリン光発光材料を含んでいることがより好ましい。上記カルバゾール骨格を有する化合物は高い三重項励起子ブロック機能も有しており、リン光発光材料と組み合わせた場合に高発光効率化できるためである。
また高い正孔移動度を有する点で優れているトリフェニレン骨格を含有する化合物を正孔輸送層に用いると、キャリアバランスが向上し、発光効率向上、耐久性向上といった効果が得られるので好ましい。トリフェニレン骨格を含有する化合物が2つ以上のジアリールアミノ基を有していると、さらに好ましい。
上記カルバゾール骨格を含有する化合物、またはトリフェニレン骨格を含有する化合物はそれぞれ単独で正孔輸送層として用いてもよいし、互いに混合して用いてもよい。また本発明の効果を損なわない範囲で他の材料が混合されていてもよい。また正孔輸送層が複数層で構成されている場合は、いずれか1層にカルバゾール骨格を含有する化合物、あるいは、トリフェニレン骨格を含有する化合物が含まれていることが好ましい。
(正孔注入層)
本発明の発光素子は、陽極と正孔輸送層の間に正孔注入層を設けてもよい。正孔注入層を設けることで発光素子が低駆動電圧化し、耐久性も向上する。正孔注入層には通常、正孔輸送層に用いる材料よりもイオン化ポテンシャルの小さい材料が好ましく用いられる。具体的には、上記TPD232のようなベンジジン誘導体、スターバーストアリールアミン材料群が挙げられる他、フタロシアニン誘導体等も用いることができる。また正孔注入層がアクセプター性化合物単独で構成されているか、またはアクセプター性化合物が別の正孔輸送材料にドープされて用いられていることも好ましい。
前記アクセプター性化合物の例としては、塩化鉄(III)、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化アンチモンのような金属塩化物、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ルテニウムのような金属酸化物、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)のような電荷移動錯体が挙げられる。また分子内にニトロ基、シアノ基、ハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有する有機化合物や、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなども好適に用いられる。これらの化合物の具体的な例としては、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F−TCNQ)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(HAT−CN)、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、テトラメチルベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、o−ジシアノベンゼン、p−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、p−シアノニトロベンゼン、m−シアノニトロベンゼン、o−シアノニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1−ニトロナフタレン、2−ニトロナフタレン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9−シアノアントラセン、9−ニトロアントラセン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、C60、およびC70などが挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物やシアノ基含有化合物が取り扱いやすく、蒸着もしやすいことから、容易に上述した効果が得られるので好ましい。好ましい金属酸化物の例としては酸化モリブデン、酸化バナジウム、または酸化ルテニウムがあげられる。シアノ基含有化合物の中では、(a)分子内に、シアノ基の窒素原子以外に少なくとも1つの電子受容性窒素有する化合物、(b)分子内にハロゲンとシアノ基の両方を有している化合物、(c)分子内にカルボニル基とシアノ基の両方を有している化合物、または(d)分子内にハロゲンとシアノ基の両方を有し、さらにシアノ基の窒素原子以外に少なくとも1つの電子受容性窒素を有する化合物、が強い電子アクセプターとなるためより好ましい。このような化合物として具体的には以下のような化合物があげられる。
Figure 2016160208
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正孔注入層がアクセプター性化合物単独で構成される場合、または正孔注入層にアクセプター性化合物がドープされている場合のいずれの場合も、正孔注入層は1層であってもよいし、複数の層が積層されていてもよい。また、アクセプター化合物がドープされている場合に組み合わせて用いる正孔注入材料は、正孔輸送層への正孔注入障壁が緩和できるという観点から、正孔輸送層に用いる化合物と同一の化合物であることがより好ましい。
(発光層)
発光層は単一層、複数層のどちらでもよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。すなわち、本発明の発光素子では、各発光層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。電気エネルギーを効率よく利用し、高色純度の発光を得るという観点からは、発光層はホスト材料とドーパント材料の混合からなることが好ましい。また、ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれでもよい。ドーパント材料は積層されていても、分散されていても、いずれでもよい。
ドーパント材料は発光色の制御ができる。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して20重量%以下で用いることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。ドーピング方法は、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
発光材料は、具体的には、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを始めとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。
発光材料に含有されるホスト材料は、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。
また、ドーパント材料には、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体(例えば2−(ベンゾチアゾール−2−イル)−9,10−ジフェニルアントラセンや5,6,11,12−テトラフェニルナフタセンなど)、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどのヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ボラン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベンなどのアミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−(2’−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1−gh]クマリンなどのクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などを用いることができる。
また、発光層にリン光発光材料が含まれていてもよい。リン光発光材料とは、室温でもリン光発光を示す材料である。ドーパントしてリン光発光材料を用いる場合は基本的に室温でもリン光発光が得られる必要があるが、特に限定されるものではなく、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)からなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体化合物であることが好ましい。中でも室温でも高いリン光発光収率を有するという観点から、イリジウム、もしくは白金を有する有機金属錯体がより好ましい。
リン光発光性のドーパントと組み合わせて用いられるホストとしては、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ピリジン、ピリミジン、トリアジン骨格を有する含窒素芳香族化合物誘導体、ポリアリールベンゼン誘導体、スピロフルオレン誘導体、トルキセン誘導体、トリフェニレン誘導体といった芳香族炭化水素化合物誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体といったカルコゲン元素を含有する化合物、ベリリウムキノリノール錯体といった有機金属錯体などが好適に用いられるが、基本的に用いるドーパントよりも三重項エネルギーが大きく、電子、正孔がそれぞれの輸送層から円滑に注入され、また輸送するものであればこれらに限定されるものではない。また2種以上の三重項発光ドーパントが含有されていてもよいし、2種以上のホスト材料が含有されていてもよい。さらに1種以上の三重項発光ドーパントと1種以上の蛍光発光ドーパントが含有されていてもよい。
好ましいリン光発光性ホストまたはドーパントとしては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016160208
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また、発光層に熱活性化遅延蛍光材料が含まれていてもよい。熱活性化遅延蛍光材料は、一般的に、TADF材料とも呼ばれ、一重項励起状態のエネルギー準位と三重項励起状態エネルギー準位のエネルギーギャップを小さくすることで、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差を促進し、一重項励起子生成確率を向上させた材料である。熱活性化遅延蛍光材料は、単一の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってもいいし、複数の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってよい。用いられる熱活性化遅延蛍光材料は、単一でも複数の材料でもよく、公知の材料を用いることができる。具体的には、例えば、ベンゾニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ジスルホキシド誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ジヒドロフェナジン誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。
本発明の化合物も発光材料として用いることができ、特にりん光ホスト材料として好適に用いられる。
本発明において、電子輸送層とは、陰極と発光層との間にある層である。電子輸送層は単層でも複数層であってもよく、陰極もしくは発光層に接していてもいいし、接していなくてもよい。電子輸送層には、陰極からの電子注入効率が高いこと、注入された電子を効率良く輸送すること、発光への電子注入効率が高いことなどが望まれる。そのため電子輸送層は、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質で構成されることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、電子輸送層が、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たすならば、電子輸送能力がそれ程高くない材料で構成されていても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料で構成されている場合と同等となる。したがって、本発明における電子輸送層には、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体が挙げられるが、駆動電圧を低減し、高効率発光が得られることから、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含む芳香族複素環構造を有する化合物を用いることが好ましい。
電子受容性窒素を含む芳香族複素環は、高い電子親和性を有する。したがって、電子受容性窒素を含む芳香族複素環を有する電子輸送材料は、高い電子親和力を有する陰極からの電子を受け取りやすくし、より低電圧駆動が可能となる。また、発光層への電子の供給が多くなり、再結合確率が高くなるので発光効率が向上する。
電子受容性窒素を含む芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、ピリミドピリミジン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環、フェナンスロイミダゾール環などが挙げられる。ただし、ナフチリジンとは、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、1,8−ナフチリジン、2,6−ナフチリジン、2,7−ナフチリジンのいずれかを示す。
これらの電子受容性窒素を含む芳香族複素環を有する化合物としては、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体およびナフチリジン誘導体などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−tert−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、バソクプロインや1,3−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどのフェナントロリン誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールなどのビピリジン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が、電子輸送能の観点から好ましく用いられる。また、これらの誘導体が、縮合多環芳香族骨格を有していると、ガラス転移温度が向上すると共に、電子移動度も大きくなり発光素子の低電圧化の効果が大きいので、より好ましい。さらに、発光素子の耐久性が向上し、合成のし易さ、原料入手が容易であることを考慮すると、縮合多環芳香族骨格はアントラセン骨格、ピレン骨格またはフェナントロリン骨格であることが特に好ましい。上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料を2種以上混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いたりしても構わない。
好ましい電子輸送材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2016160208
これら以外にも、国際公開第2004−63159号、国際公開第2003−60956号、Appl. Phys. Lett. 74, 865 (1999)、Org. Electron. 4, 113 (2003)、国際公開第2010−113743号、国際公開第2010−1817号等に開示された電子輸送材料も用いることができる。
また、本発明の化合物も高い電子注入輸送能を有することから電子輸送材料として好適に用いられる。さらに、本発明の化合物は高いキャリア耐久性を示すため、発光層に接する電子輸送層としても好適に用いられる。
本発明の化合物が用いられる場合には、その各一種のみに限る必要はなく、本発明の複数の化合物を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種類以上を本発明の効果を損なわない範囲で本発明の化合物と混合して用いてもよい。混合しうる電子輸送材料としては、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体、リチウムキノリノール、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体が挙げられる。
上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いても構わない。また、ドナー性材料を含有してもよい。ここで、ドナー性材料とは電子注入障壁の改善により、陰極または電子注入層からの電子輸送層への電子注入を容易にし、さらに電子輸送層の電気伝導性を向上させる化合物である。
本発明におけるドナー性材料の好ましい例としては、アルカリ金属、アルカリ金属を含有する無機塩、アルカリ金属と有機物との錯体、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する無機塩またはアルカリ土類金属と有機物との錯体などが挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属の好ましい種類としては、低仕事関数で電子輸送能向上の効果が大きいリチウム、ナトリウム、セシウムといったアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウムといったアルカリ土類金属が挙げられる。
また、真空中での蒸着が容易で取り扱いに優れることから、金属単体よりも無機塩、あるいは有機物との錯体の状態であることが好ましい。さらに、大気中での取扱を容易にし、添加濃度の制御のし易さの点で、有機物との錯体の状態にあることがより好ましい。無機塩の例としては、LiO、Li2O等の酸化物、窒化物、LiF、NaF、KF等のフッ化物、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Rb2CO3、Cs2CO3等の炭酸塩などが挙げられる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の好ましい例としては、原料が安価で合成が容易な点から、リチウムが挙げられる。また、有機物との錯体における有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。中でも、アルカリ金属と有機物との錯体が好ましく、リチウムと有機物との錯体がより好ましく、リチウムキノリノールが特に好ましい。これらのドナー性材料を2種以上混合して用いてもよい。
好適なドーピング濃度は材料やドーピング領域の膜厚によっても異なるが、例えばドナー性材料がアルカリ金属、アルカリ土類金属といった無機材料の場合は、電子輸送材料とドナー性材料の蒸着速度比が10000:1〜2:1の範囲となるようにして共蒸着して電子輸送層としたものが好ましい。蒸着速度比は100:1〜5:1がより好ましく、100:1〜10:1がさらに好ましい。またドナー性材料が金属と有機物との錯体である場合は、電子輸送材料とドナー性材料の蒸着速度比が100:1〜1:100の範囲となるようにして共蒸着して電子輸送層としたものが好ましい。蒸着速度比は10:1〜1:10がより好ましく、7:3〜3:7がより好ましい。
また、上記のような本発明の化合物にドナー性材料がドープされた電子輸送層は、複数の発光素子を連結するタンデム構造型素子における電荷発生層として用いられていてもよい。特に、ドナー性材料としてアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属がドープされるとき電荷発生層として好適に用いることができる。
電子輸送層にドナー性材料をドーピングして電子輸送能を向上させる方法は、薄膜層の膜厚が厚い場合に特に効果を発揮するものである。電子輸送層および発光層の合計膜厚が50nm以上の場合に特に好ましく用いられる。例えば、発光効率を向上させるために干渉効果を利用する方法があるが、これは発光層から直接放射される光と、陰極で反射された光の位相を整合させて光の取り出し効率を向上させるものである。この最適条件は光の発光波長に応じて変化するが、電子輸送層および発光層の合計膜厚が50nm以上となり、赤色などの長波長発光の場合には100nm近くの厚膜になる場合がある。
ドーピングする電子輸送層の膜厚は、電子輸送層の一部分または全部のどちらでも構わない。一部分にドーピングする場合、少なくとも電子輸送層/陰極界面にはドーピング領域を設けることが望ましく、陰極界面付近にドーピングするだけでも低電圧化の効果は得られる。一方、ドナー性材料が発光層に直接接していると発光効率を低下させる悪影響を及ぼす場合があり、その場合には発光層/電子輸送層界面にノンドープ領域を設けることが好ましい。
本発明において、陰極と電子輸送層の間に電子注入層を設けてもよい。一般的に電子注入層は陰極から電子輸送層への電子の注入を助ける目的で挿入されるが、挿入する場合は、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いてもよいし、上記のドナー性材料を含有する層を用いてもよい。本発明の化合物も高い電子注入輸送能を有することから、電子注入層に好適に用いられる。また電子注入層に絶縁体や半導体の無機物を用いることもできる。これらの材料を用いることで発光素子の短絡を有効に防止して、かつ電子注入性を向上させることができるので好ましい。このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。電子注入層がこれらのアルカリ金属カルコゲナイド等で構成されていれば、電子注入性をさらに向上させることができる点でより好ましい。具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、NaS及びNaSeが挙げられ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF及びBeF等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。さらに有機物と金属の錯体も好適に用いられる。電子注入層に有機物と金属の錯体を用いる場合は膜厚調整が容易であるのでより好ましい。このような有機金属錯体の例としては有機物との錯体における有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、ピリジルフェノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。中でも、アルカリ金属と有機物との錯体が好ましく、リチウムと有機物との錯体がより好ましく、リチウムキノリノールが特に好ましい。
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されないが、通常は、素子特性の点から抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましい。
有機層の厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1〜1000nmであることが好ましい。発光層、電子輸送層、正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、発光素子の消費電力や耐久性を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるよう選ばれるべきである。
本発明の発光素子は、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイとして好適に用いられる。
マトリクス方式とは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置され、画素の集合で文字や画像を表示する方式である。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法は、線順次駆動方法、アクティブマトリクスのいずれでもよい。線順次駆動はその構造が簡単であるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリクスの方が優れる場合があるので、用途によって使い分けることが必要である。
本発明におけるセグメント方式とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、このパターンの配置によって決められた領域を発光させる方式である。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。前記マトリクス方式による表示とセグメント方式による表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
本発明の発光素子は、各種機器等のバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が検討されているパソコン用途のバックライトに本発明の発光素子は好ましく用いられ、従来のものより薄型で軽量なバックライトを提供できる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
合成例1
化合物[B−1]の合成
2−アミノピリジン9.69g、2−ブロモ−2’−ニトロアセトフェノン25.1g、炭酸水素ナトリウム8.65g、エタノール388mLを混合し、窒素置換した後に加熱還流した。7時間後、室温に冷却した後、反応液をエバポレートし、残留物にクロロホルム200mL、水200mLを加え分液した。水層をクロロホルム100mLで2回抽出した後、先の有機層と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、溶出液の溶媒を減圧留去し、真空乾燥することにより、中間体[a]を18.3g得た。
次に、中間体[a]11.6g、塩化錫・二水和物54.5g、エタノール920mL、を混合し、窒素置換した後に加熱還流した。7時間後、室温に冷却した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて中和し、pHを7に調整した。酢酸エチル700mLを加え、目的物を溶解させた後、不溶成分をろ過により除去した。ろ液を減圧留去により400mL程度まで濃縮した後、水200mlを加え分液した。水層を酢酸エチル200mLで3回抽出した後、先の有機層と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、溶出液を減圧留去し、真空乾燥することにより、中間体[b]を8.14g得た。
Figure 2016160208
次に、中間体[b]3.86g、4−ブロモベンズアルデヒド3.41g、p−トルエンスルホン酸318mg、トルエン225mLを混合し、窒素置換した後に加熱還流した。8時間後、室温に冷却した後、水100mLを加え、析出した固体をろ過し、固体を水50mLで3回洗浄した。ろ過物を真空乾燥することにより得た固体にテトラヒドロフラン500mLを加え、溶解させた後、過マンガン酸カリウム3.50gを加え、室温攪拌した。112時間後、テトラヒドロフラン500mLを加えた後に、不溶物をろ過により除去した。ろ液の溶媒を減圧留去した。得られた固体にヘプタンを加え、加熱還流を2時間行い、室温に冷却後、固体をろ過し、真空乾燥することにより、中間体[c]を5.53g得た。
Figure 2016160208
次に、中間体[c]2.51g、1−ピレンボロン酸1.81g、ジメトキシエタン34.0mL、2M炭酸ナトリウム水溶液6.70mlを混合し、窒素置換した。この混合溶液にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド47.0mgを加え、3時間加熱還流した。室温に冷却した後、水100mlを加え、析出物をろ過した。真空乾燥後、o−キシレン263mLを加えて加熱溶解し、50℃付近まで冷却後、活性炭332mgを加え、1時間加熱還流した。冷却後、シリカパットでろ過した。ろ液の溶媒を留去した後、得られた固体をo−キシレンで再結晶し、得られた固体をろ過し、真空乾燥することにより、化合物[B−1]の淡黄色固体を1.93g得た。同定はマススペクトル測定によりおこなった。
なお、化合物[B−1]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約290℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。
Figure 2016160208
合成例2
化合物[B−18]の合成
中間体[c]2.51g、N−(1,1−ビフェニル−4−イル)ピリジン−4−アミン1.82g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)39.0mg、トリtert−ブチルホスフィン・テトラフルオロボラン39.0mg、ナトリウムtert−ブトキシド0.90g、o−キシレン34.0mLを混合し、窒素置換し、加熱還流した。2時間後、室温に冷却した後、水100mLを添加し、析出した固体をろ過し、得られた固体を水70mLで3回洗浄した。ろ過物をピリジン100mLに加熱溶解した後、活性炭332mgと“QuadraSil”(登録商標)500mgを加え、100℃で1時間攪拌後、室温にてセライトろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去した後、ピリジン/メタノールで再結晶をおこなった。析出した固体をろ過し、固体をo−キシレンで再結晶し、得られた固体をろ過し、真空乾燥することにより、化合物[B−18]の黄色固体を2.71g得た。同定はマススペクトル測定によりおこなった。
なお、化合物[B−18]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約330℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。
Figure 2016160208
合成例3
化合物[B−12]の合成
中間体[c]2.51g、3−アミノピリジン0.31g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)39.0mg、トリtert−ブチルホスフィン・テトラフルオロボラン39.0mg、ナトリウムtert−ブトキシド0.90g、o−キシレン34.0mLを混合し、窒素置換し、加熱還流した。2時間後、室温に冷却した後、水100mLを添加し、析出した固体をろ過し、得られた固体を水70mLで3回洗浄した。ろ過物をピリジン100mLに加熱溶解した後、活性炭332mgと“QuadraSil”(登録商標)500mgを加え、100℃で1時間攪拌後、室温にてセライトろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去した後、ピリジン/メタノールで再結晶をおこなった。析出した固体をろ過し、固体をo−キシレンで再結晶し、得られた固体をろ過し、真空乾燥することにより、化合物[B−12]の黄色固体を2.26g得た。同定はマススペクトル測定によりおこなった。
なお、化合物[B−12]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約350℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。
Figure 2016160208
合成例4
化合物[B−19]の合成
中間体[c]3.41g、ビスピナコラートジボロン2.77g、酢酸カリウム2.68g、1,4−ジオキサン18.0mLを混合し、窒素置換した後、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)105mg、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’、4’、6’−トリイソプロピルビフェニル174mgを加え、1時間加熱還流した。室温に冷却した後、水50mlを加え、析出物をろ過した。固体は水30mLで2回、ヘプタン30mLで2回洗浄した後、真空乾燥することにより、中間体[d]を3.58g得た。
次に、中間体[c]2.51g、中間体[d]3.10g、ジメトキシエタン34.0mL、2M炭酸ナトリウム水溶液6.70mlを混合し、窒素置換した。この混合溶液にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド90.0mgを加え、3時間加熱還流した。室温に冷却した後、水100mlを加え、析出物をろ過した。真空乾燥後、テトラヒドロフラン200mLを加えて加熱溶解し、50℃付近まで冷却後、活性炭332mgを加え、1時間加熱還流した。冷却後、シリカパットでろ過した。ろ液の溶媒を留去した後、得られた固体をo−キシレンで再結晶し、得られた固体をろ過し、真空乾燥することで化合物[B−19]の淡黄色固体を3.15g得た。同定はマススペクトル測定によりおこなった。
なお、化合物[B−19]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約330℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。
Figure 2016160208
合成例5
化合物[B−13]の合成
2−アミノ−5−ブロモピリジン14.19g、2−ブロモー2’−ニトロアセトフェノン20.0g、炭酸水素ナトリウム6.89g、エタノール310mLを混合し、窒素置換した後に加熱還流した。11時間後、室温に冷却した後、反応液をエバポレートし、残留物にクロロホルム200mL、水200mLを加え分液した。水層をクロロホルム100mLで2回抽出した後、先の有機層と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、溶出液の溶媒を減圧留去し、真空乾燥することにより、中間体[e]を18.3g得た。
次に、中間体[e]15.4g、塩化錫・二水和物54.5g、エタノール920mL、を混合し、窒素置換した後に加熱還流した。8時間後、室温に冷却した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて中和し、pHを7に調整した。酢酸エチル700mLを加え、目的物を溶解させた後、不溶成分をろ過により除去した。ろ液を減圧留去により400mL程度まで濃縮した後、水200mlを加え分液した。水層を酢酸エチル200mLで3回抽出した後、先の有機層と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、溶出液を減圧留去し、真空乾燥することにより、中間体[f]を10.6g得た。
次に、中間体[f]5.13g、4−クロロベンズアルデヒド2.59g、p−トルエンスルホン酸318mg、トルエン225mLを混合し、窒素置換した後に加熱還流した。8時間後、室温に冷却した後、水100mLを加え、析出した固体をろ過し、固体を水50mLで3回洗浄した。ろ過物を真空乾燥することにより得た固体にテトラヒドロフラン500mLを加え、溶解させた後、過マンガン酸カリウム3.50gを加え、室温攪拌した。108時間後、テトラヒドロフラン500mLを加えた後に、不溶物をろ過により除去した。ろ液の溶媒を減圧留去した。得られた固体にヘプタンを加え、加熱還流を2時間行い、室温に冷却後、固体をろ過し、真空乾燥することにより、中間体[g]を6.10g得た。
Figure 2016160208
次に、中間体[g]4.10g、3−ピリジンボロン酸1.36g、ジメトキシエタン50.0mL、2M炭酸ナトリウム水溶液10.0mlを混合し、窒素置換した。この混合溶液にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド140mgを加え、3時間加熱還流した。室温に冷却した後、水150mlを加え、析出物をろ過した。真空乾燥後、テトラヒドロフラン200mLを加えて加熱溶解し、50℃付近まで冷却後、活性炭332mgを加え、1時間加熱還流した。冷却後、シリカパットでろ過した。ろ液の溶媒を留去し、得られた固体を真空乾燥することで化合物[h]を3.51g得た。
次に、中間体[h]2.40g、カルバゾール1.08g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)34.0mg、ジ−t−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン42・0mg、ナトリウムtert−ブトキシド0.79g、o−キシレン30.0mLを混合し、窒素置換し、加熱還流した。2時間後、室温に冷却した後、水100mLを添加し、析出した固体をろ過し、得られた固体を水50mLで3回洗浄した。ろ過物をピリジン100mLに加熱溶解した後、活性炭317mgと“QuadraSil”(登録商標)500mgを加え、100℃で2時間攪拌後、室温にてセライトろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去した後、固体をo−キシレンで再結晶し、得られた固体をろ過し、真空乾燥することにより、化合物[B−13]の黄色固体を2.54g得た。同定はマススペクトル測定によりおこなった。
なお、化合物[B−13]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約310℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。
Figure 2016160208
合成例6
化合物[B−9]の合成
中間体[f]2.90g、3−ピリジンカルボキシアルデヒド1.08g、p−トルエンスルホン酸180mg、トルエン127mLを混合し、窒素置換した後に加熱還流した。8時間後、室温に冷却した後、水60mLを加え、析出した固体をろ過し、固体を水30mLで3回洗浄した。ろ過物を真空乾燥することにより得た固体にテトラヒドロフラン300mLを加え、溶解させた後、過マンガン酸カリウム1.98gを加え、室温攪拌した。120時間後、テトラヒドロフラン300mLを加えた後に、不溶物をろ過により除去した。ろ液の溶媒を減圧留去した。得られた固体にヘプタンを加え、加熱還流を2時間行い、室温に冷却後、固体をろ過し、真空乾燥することにより、中間体[i]を2.91g得た。
Figure 2016160208
次に、中間体[i]2.91g、3−フルオランテンボロン酸2.10g、ジメトキシエタン39.0mL、2M炭酸ナトリウム水溶液7.70mlを混合し、窒素置換した。この混合溶液にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド109mgを加え、3時間加熱還流した。室温に冷却した後、水150mlを加え、析出物をろ過した。真空乾燥後、テトラヒドロフラン200mLを加えて加熱溶解し、50℃付近まで冷却後、活性炭385mgを加え、1時間加熱還流した。冷却後、セライトろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去した。得られた固体をo−キシレンで再結晶し、ろ過および真空乾燥することにより、化合物[B−9]の黄色固体を3.08g得た。同定はマススペクトル測定によりおこなった。
なお、化合物[B−9]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約300℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。
Figure 2016160208
下記の実施例において、化合物B−1〜B−17は以下に示す化合物である。なお、化合物B−1〜B−17のうち、上記合成例に挙げられていない化合物の合成は、上記合成例と同様の方法により行うことができる。
Figure 2016160208
実施例1
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を“セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、正孔輸送層として、HT−1を50nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−1、ドーパント材料D−1をドープ濃度が5重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として化合物B−1を35nmの厚さに蒸着して積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子の1000cd/m時の特性は、駆動電圧4.5V、外部量子効率4.6%であった。また初期輝度を1000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1400時間であった。なお化合物HAT−CN、HT−1、H−1、D−1は以下に示す化合物である。
Figure 2016160208
実施例2〜11
電子輸送層に表2に記載した化合物を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
比較例1〜4
電子輸送層に表2に記載した化合物を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、E−1〜E−4は以下に示す化合物である。
Figure 2016160208
実施例12
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を“セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、正孔輸送層として、HT−1を50nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−1、ドーパント材料D−1をドープ濃度が5重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、第1電子輸送層として化合物B−1を25nmの厚さに蒸着して積層した。さらに第2電子輸送層として電子輸送材料に化合物B−1を、ドナー性材料としてリチウムを用い、化合物B−1とリチウムの蒸着速度比が20:1になるようにして10nmの厚さに積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。この発光素子の1000cd/m時の特性は、駆動電圧3.8V、外部量子効率5.5%であった。また初期輝度を1000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1700時間であった。
実施例13〜24
電子輸送層に表3に記載した化合物を用いた以外は実施例12と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表3に示す。なお、ET−1、ET−2は下記に示す化合物である。
Figure 2016160208
比較例5〜10
電子輸送層に表3に記載した化合物を用いた以外は実施例12と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表3に示す。
実施例25
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を“セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、正孔輸送層として、HT−1を50nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−1、ドーパント材料D−1をドープ濃度が5重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。さらに電子輸送層として電子輸送材料に化合物B−1を、ドナー性材料として2E−1を用い、化合物B−1と2E−1の蒸着速度比が1:1になるようにして35nmの厚さに積層した。この電子輸送層は表4では第2電子輸送層として示す。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、マグネシウムと銀を1000nm共蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。この発光素子の1000cd/m時の特性は、駆動電圧4.1V、外部量子効率5.8%であった。また初期輝度を1000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1800時間であった。なお、ET−3、ET−4、2E−1は下記に示す化合物である。
Figure 2016160208
実施例26〜31
電子輸送層、ドナー性材料として表4に記載した化合物を用いた以外は実施例25と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表4に示す。
比較例11〜14
電子輸送層、ドナー性材料として表4に記載した化合物を用いた以外は実施例25と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表4に示す。
実施例32
第1電子輸送層として化合物B−1を25nmの厚さに蒸着して積層し、さらに第2電子輸送層として電子輸送材料に化合物B−1を、ドナー性材料として2E−1を用い、化合物B−1と2E−1の蒸着速度比が1:1になるようにして10nmの厚さに積層した。それ以外は実施例25と同様にして発光素子を作製した。この発光素子の1000cd/m時の特性は、駆動電圧4.2V、外部量子効率5.8%であった。また初期輝度を1000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1900時間であった。
実施例33〜42
電子輸送層、ドナー性材料として表5に記載した化合物を用いた以外は実施例32と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表5に示す。
比較例15〜20
電子輸送層、ドナー性材料として表5に記載した化合物を用いた以外は実施例32と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表5に示す。
実施例43
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を“セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、正孔輸送層として、HT−1を50nm蒸着した。この正孔輸送層は表4では第1正孔輸送層として示す。次に、発光層として、ホスト材料H−2、ドーパント材料D−2をドープ濃度が10重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として化合物B−2を35nmの厚さに蒸着して積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子の4000cd/m時の特性は、駆動電圧4.0V、外部量子効率10.2%であった。また初期輝度を4000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1500時間であった。なおH−2、D−2は以下に示す化合物である。
Figure 2016160208
比較例21
電子輸送層として表6記載の化合物を用いた以外は実施例43と同様に発光素子を作製し、評価した。結果を表6に示す。
実施例44
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を“セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT−CNを5nm、第1正孔輸送層として、HT−1を40nm蒸着した。さらに第2正孔輸送層としてHT−2を10nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−2、ドーパント材料D−2をドープ濃度が10重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として化合物B−2を35nmの厚さに蒸着して積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子の4000cd/m時の特性は、駆動電圧4.0V、外部量子効率13.4%であった。また初期輝度を4000cd/mに設定し、定電流駆動させたところ輝度20%低下する時間は1800時間であった。なお、HT−2は以下に示す化合物である。
Figure 2016160208
実施例45〜47
第2正孔輸送層として表6記載の化合物を用いた以外は、実施例44と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表6に示す。なおHT−3、HT−4、HT−5は以下に示す化合物である。
Figure 2016160208
比較例22〜25
第2正孔輸送層および電子輸送層として表6記載の化合物を用いた以外は、実施例44と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表6に示す。
実施例48、49
発光層のホスト材料および電子輸送層として表7記載の化合物を用いた以外は、実施例44と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表7に示す。
比較例26、27
発光層のホスト材料として表7記載の化合物を用いた以外は、実施例48と同様にして素子を作製し、評価した。結果を表7に示す。なおH−3、H−4は以下に示す化合物である。
Figure 2016160208
Figure 2016160208
Figure 2016160208
Figure 2016160208
Figure 2016160208
Figure 2016160208
Figure 2016160208

Claims (18)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2016160208
    〔X(i=1〜9)はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、CRまたはNを表す。
    (i=1〜9)は水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、ボリル基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R1011からなる群より選ばれる。ただし、R〜Rの少なくとも1つは水素でない。R10およびR11はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。R〜R11はそれぞれ置換されていてもされていなくてもよい。
    一般式(1)で表される化合物の分子量は400以上900以下である。
    がアルキル基の場合、1級アルキル基または2級アルキル基である。また、Rがフェニル基の場合、2つのオルト位の置換基のいずれか一方は水素である。〕
  2. 〜XがそれぞれCR〜CRであり、XがCRであり、X〜Xのうち少なくとも2つがCRである、請求項1記載の化合物。
  3. が置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、および−NR1213からなる群から選ばれ、
    の置換基としてはフッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、−P(=O)R1011、および−NR1213からなる群より選ばれ、
    12およびR13はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である、請求項1または2記載の化合物。
  4. が置換もしくは無置換のアリール基である、請求項3記載の化合物。
  5. が置換もしくは無置換のフェニル基または置換もしくは無置換のナフチル基である、請求項4記載の化合物。
  6. が下記一般式(2)で表される、請求項5記載の化合物。
    Figure 2016160208
    〔r(i=1〜5)はそれぞれ同一でも異なっていても良く、水素、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、−P(=O)R1011、および−NR1213からなる群より選ばれる。rとrのいずれか一方は水素である。〕
  7. が置換もしくは無置換のヘテロアリール基である、請求項3記載の化合物。
  8. がピリジル基またはキノリニル基である、請求項7記載の化合物。
  9. の置換基が置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、または−NR1213である、請求項1〜8のいずれか記載の化合物。
  10. 陽極と陰極の間に発光層を含む複数の有機層を有し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、前記有機層の少なくとも1層に請求項1〜9のいずれか記載の化合物を含有する、発光素子。
  11. 前記有機層に少なくとも電子輸送層が存在し、前記電子輸送層が請求項1〜9のいずれか記載の化合物を含有する、請求項10記載の発光素子。
  12. 前記有機層に2層以上の電子輸送層が存在し、そのうち、発光層に接する層が請求項1〜9のいずれか記載の化合物を含有する、請求項10または11記載の発光素子。
  13. 前記有機層に少なくとも電子注入層が存在し、前記電子注入層が請求項1〜9のいずれか記載の化合物を含有する、請求項10〜12のいずれか記載の発光素子。
  14. 前記有機層に電子輸送層、電子注入層、電荷発生層のいずれか少なくとも1層が存在し、それらの層のうち少なくとも1層がドナー性化合物を含有する、請求項10〜13のいずれか記載の発光素子。
  15. 第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の有機層があり、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であって、前記有機層に請求項1〜9のいずれか記載の化合物を含む、光電変換素子。
  16. 前記有機層が光電変換層を含み、前記光電変換層に前記有機層に請求項1〜9のいずれか記載の化合物を含む、請求項15記載の光電変換素子。
  17. 前記有機層が、第一電極及び第二電極の間に少なくとも一層の光電変換層と一層の電子取り出し層を含み、前記電子取り出し層が前記有機層に請求項1〜9のいずれか記載の化合物を含む、請求項15または16記載の光電変換素子。
  18. 請求項15〜17のいずれか記載の光電変換素子を含む、イメージセンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017088592A (ja) * 2015-11-04 2017-05-25 三星ディスプレイ株式會社Samsung Display Co.,Ltd. 化合物、及びそれを含む有機発光素子
CN107573343A (zh) * 2017-10-25 2018-01-12 长春海谱润斯科技有限公司 一种杂环化合物及其有机发光器件
CN107903264A (zh) * 2017-11-14 2018-04-13 长春海谱润斯科技有限公司 一种吲哚类杂环化合物及其有机发光器件
CN110845501A (zh) * 2018-12-10 2020-02-28 广州华睿光电材料有限公司 一种芳胺化合物及其在有机电子器件上的应用

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