JP2016151409A - ヒートパイプ、並びにヒートパイプを備えたピストン及び吸排気バルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】 往復動する装置への適用が可能なヒートパイプを提供する。
【解決手段】 ヒートパイプ1であって、所定の軸線Aに沿って往復動される本体3と、本体に形成された閉環状の流路2と、流路に封入され、当該ヒートパイプの使用温度範囲において沸点を有する作動流体とを有し、流路は、軸線に沿った一側に設けられ、加熱される受熱部5と、軸線に沿った他側に設けられ、冷却される放熱部6と、軸線に沿って延びる部分を含み、受熱部と放熱部とを接続する第1通路7及び第2通路8と、受熱部、放熱部、第1通路及び第2通路の少なくとも1つに設けられ、当該流路の長さ方向における一方から他方に向かう作動流体の流れよりも逆向きの作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する抵抗要素10とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ヒートパイプ1であって、所定の軸線Aに沿って往復動される本体3と、本体に形成された閉環状の流路2と、流路に封入され、当該ヒートパイプの使用温度範囲において沸点を有する作動流体とを有し、流路は、軸線に沿った一側に設けられ、加熱される受熱部5と、軸線に沿った他側に設けられ、冷却される放熱部6と、軸線に沿って延びる部分を含み、受熱部と放熱部とを接続する第1通路7及び第2通路8と、受熱部、放熱部、第1通路及び第2通路の少なくとも1つに設けられ、当該流路の長さ方向における一方から他方に向かう作動流体の流れよりも逆向きの作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する抵抗要素10とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ヒートパイプ、並びにヒートパイプを備えたピストン及び排気バルブに関する。
ヒートパイプは、流路に封入された作動流体が流路内を移動し、流路の受熱部(蒸発部)で熱を吸収して蒸発し、放熱部(凝縮部)で熱を放出して凝縮することによって、受熱部から放熱部に熱を効率良く移動させることができる。ヒートパイプは、作動流体を受熱部及び放熱部間で輸送する方法によって、ウィック式、サーモサイフォン式、及び自励振動式等に分類されている。ウィック式は表面張力を駆動力とし、サーモサイフォン式は重力を駆動力とし、自励振動式は圧力差を駆動力とする(例えば、特許文献1〜3)。
しかしながら、特許文献1〜3に記載のヒートパイプを、内燃機関のピストンや吸排気バルブ等の比較的高速で往復動(振動)する装置に組み込む場合、作動流体には表面張力や重力、圧力差等によって生じる駆動力よりも大きい慣性力が加わり、作動流体の挙動は慣性力に大きな影響を受けるようになる。そのため、ピストン等の往復動する装置に適用するヒートパイプは、装置の挙動を考慮して作動流体の輸送方法を構築する必要がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、往復動する移動体への適用が可能なヒートパイプを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、ヒートパイプ(1)であって、所定の往復動方向(A)に往復動され、前記往復動方向における一側が加熱され、他側が冷却される本体(3)と、前記本体に形成された閉環状の流路(2)と、前記流路に封入され、当該ヒートパイプの使用温度範囲に沸点を有する作動流体とを有し、前記流路は、前記往復動方向における一側に設けられた受熱部(5)と、前記往復動方向における他側に設けられた放熱部(6)と、前記往復動方向に延びる部分を含み、前記受熱部と前記放熱部とを接続する第1通路(7)及び第2通路(8)と、前記受熱部、前記放熱部、前記第1通路及び前記第2通路の少なくとも1つに設けられ、当該流路の長さ方向における一方から他方に向かう前記作動流体の流れよりも逆向きの前記作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する抵抗要素(10)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、往復動方向に往復動する本体において、往復動方向の一側に受熱部が配置され、他側に放熱部が配置されるため、本体の往復動に伴う慣性力によって作動流体が第1通路及び第2通路を通過して受熱部及び放熱部間を移動する。また、受熱部、第1通路、放熱部、及び第2通路の少なくとも1つに、流路の長さ方向における一方から他方に向かう作動流体の流れよりも逆向きの作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する抵抗要素、すなわち方向性を有する抵抗要素が設けられているため、作動流体は流路の長さ方向における一方から他方へと一方向に流れ、循環する。これにより、第1通路及び第2通路における作動流体どうしの衝突が抑制され、作動流体が円滑に流れる。
また、上記の発明において、前記抵抗要素は、前記第2通路において前記放熱部側から前記受熱部側に向う前記作動流体の流れよりも逆向きの前記作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように、かつ前記第2通路の長さ方向に互いに間隔をおいて前記第2通路に複数配置され、前記第2通路における前記抵抗要素の間隔は、前記受熱部に近いほど大きいとよい。
この構成によれば、放熱部に存在する作動流体の液相が第2通路を円滑に流れ、受熱部に移動し易くなる。第2通路では受熱部に近いほど各抵抗要素の間隔が大きく、抵抗要素間の体積が大きい。そのため、作動流体の液相は、第2通路を受熱部側に移動するほど流路抵抗が小さくなって円滑に流れ易くなる。
また、上記の発明において、前記抵抗要素は、前記第1通路において前記受熱部側から前記放熱部側に向う前記作動流体の流れよりも逆向きの前記作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように、かつ前記第1通路の長さ方向に互いに間隔をおいて前記第1通路に複数配置され、前記第1通路における前記抵抗要素の間隔は、前記受熱部に近いほど大きいとよい。
この構成によれば、受熱部に存在する作動流体の気相が第1通路を円滑に流れるようになる。気相は、圧力差によって第1通路内を移動するため、流路の体積が大きいほど移動し易い。そのため、最も圧力が高くなる受熱部に近いほど、抵抗要素間の距離を大きくして抵抗要素間の体積を大きくすることによって、圧力差が生じ易くなり、気相の流れが円滑になる。
また、上記の発明において、前記抵抗要素は、前記流路の長さ方向における一方から他方にかけて前記流路の断面積を小さくする第1面(10A)と、前記流路の長さ方向における他方から一方にかけて前記流路の断面積を小さくする第2面(10B)とを有し、前記第1面は、前記第2面よりも前記流路の長さ方向に対する角度が小さいとよい。
この構成によれば、簡単な構成で方向性を有する抵抗要素を形成することができる。第1面は流路の長さ方向における一方側を向き、第2面は流路の長さ方向における他方側を向いているため、流路を長さ方向において一方から他方に流れる作動流体は第1面から抵抗を受け、逆方向に流れる作動流体は第2面から抵抗を受ける。第1面は、第2面よりも流路の長さ方向に対する角度が小さいため、作動流体に与える抵抗が第2面よりも小さくなる。
また、上記の発明において、前記抵抗要素は、前記流路内に設けられる筒部材(11)によって形成され、前記筒部材は両端が開口した内孔(11A)を有し、前記第1面は前記内孔の壁面に形成され、前記第2面は前記筒部材の端面に形成されているとよい。
この構成によれば、本体と別部材である筒部材を流路に配置するという簡単構成で、流路に方向性(指向性)を有する抵抗体を設けることができる。
また、本発明の他の側面は、上記の発明に係るヒートパイプ(1)を備えたピストン(31)であって、前記往復動方向(B)に沿った中心軸を有する筒部(41)と、前記筒部の一端に設けられた頭頂部(42)とを有し、前記ヒートパイプの前記本体は、前記筒部及び前記頭頂部によって形成され、前記受熱部は前記頭頂部に配置され、前記放熱部は前記筒部に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、ヒートパイプの作動流体はピストンの往復動によって生じる慣性力によって輸送され、頭頂部の熱を筒部の頭頂部と相反する側に移動させることができる。
また、上記の発明において、前記受熱部は、前記頭頂部において、当該ピストンが設けられる内燃機関(40)の点火プラグ(59)の発火部(59A)との距離が最も近い位置に配置されているとよい。また、上記の発明において、前記受熱部は、前記頭頂部の中央部に配置されているとよい。
この構成によれば、点火プラグを起点とした燃料の燃焼によって頭頂部の内で最も温度が高くなる部分を、ヒートパイプによって冷却することができる。
また、上記の発明において、前記第1通路及び前記第2通路は、前記筒部において前記往復動方向と平行に延びる第1部分(7B、8B)と、前記頭頂部において前記往復動方向と直交する方向に延びる第2部分(7A、8A)とを有するとよい。
この構成によれば、第1通路及び前記第2通路が筒部において往復動方向と平行に延びる第1部分を有するため、その部分の作動流体がピストンの往復動に起因する慣性力を受けて第1通路及び第2通路内を移動し、作動流体が流路内を移動する。また、第1通路及び前記第2通路が頭頂部において往復動方向と直交する方向に延びる部分を有するため、受熱部を頭頂部のうちで最も高温となる部分に配置することができる。
また、上記の発明において、前記受熱部は、前記第1通路及び前記第2通路のそれぞれの前記第2部分のなす角度が鋭角になるように、前記第1通路及び前記第2通路を接続するとよい。
この構成によれば、1つのヒートパイプが占める体積を小さくすることができ、ピストンに複数のヒートパイプを配置することが可能になる。
また、上記の発明において、前記筒部の外周面における前記放熱部と対応する部分に凹設され、周方向に延在して環状をなすリング溝(61)と、前記リング溝に装着され、当該ピストンが受容されるシリンダの内周面と摺接するリング(62)とを更に有するとよい。
この構成によれば、リングを介して筒部の放熱部に対応した部分と、シリンダの内壁との熱交換が促進され、放熱部の放熱(冷却)が促進される。
また、本発明の他の側面は、上記の発明に係るヒートパイプ(1)を備えた吸排気バルブ(48)であって、前記往復動方向に延びる軸部(48A)と、前記軸部の一端に設けられ、内燃機関の燃焼室と排気ポートとの境界部を開閉する傘部(48B)とを有し、前記本体は、前記軸部及び前記傘部によって形成され、前記受熱部は前記傘部に配置され、前記放熱部は前記軸部に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、ヒートパイプの作動流体は吸排気弁の往復動によって生じる慣性力によって輸送され、傘部の熱を軸部の傘部と相反する側に移動させることができる。
また、上記の発明において、前記第1通路及び前記第2通路は、前記往復動方向に延びる軸線を中心とした2重らせんをなすとよい。
この構成によれば、第1通路及び第2通路を長くすることができる。
以上の構成によれば、往復動する移動体への適用が可能なヒートパイプを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るヒートパイプの実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、ヒートパイプ1は、閉環状の流路2が形成された本体3と、流路2に封入された作動流体とを有する。本体3は、アルミニウムや銅、鉄、ステンレス、チタン等の熱伝導率の高い金属から形成されている。作動流体は、ヒートパイプ1の使用温度範囲において沸点を有する媒体であり、例えば、水、エタノール、アンモニア、アセトン等である。
図1に示すように、ヒートパイプ1は、閉環状の流路2が形成された本体3と、流路2に封入された作動流体とを有する。本体3は、アルミニウムや銅、鉄、ステンレス、チタン等の熱伝導率の高い金属から形成されている。作動流体は、ヒートパイプ1の使用温度範囲において沸点を有する媒体であり、例えば、水、エタノール、アンモニア、アセトン等である。
本体3は、所定の往復動方向Aに沿って往復動される機械要素の一部として形成される。本体3は、例えば、内燃機関のピストンや、内燃機関のポペット型の吸排気バルブ等であってよい。本体3の往復動方向Aに沿った一側には加熱源が配置され、他側には冷却源が配置される。
流路2は、本体3における往復動方向Aに沿った一側に設けられた受熱部5と、本体3における往復動方向Aに沿った他側に設けられた放熱部6と、往復動方向Aに沿って延びる部分を含み、受熱部5と放熱部6とを接続する第1通路7及び第2通路8とを有する。本実施形態では、第1通路7及び第2通路8は長さ方向における全域が往復動方向Aと平行に延びる直線状に形成されている。また、受熱部5及び放熱部6はヘアピン形(U字形)に形成されている。流路2は、受熱部5、第1通路7、放熱部6、第2通路8、受熱部5の順序で接続され、連続した循環路を形成する。本実施形態では、受熱部5、第1通路7、放熱部6、及び第2通路8の各横断面は円形に形成されている。なお、他の実施形態では、各横断面は任意の形状に設定されてよい。
受熱部5、放熱部6、第1通路7及び第2通路8の少なくとも1つには、流路2の長さ方向における一方から他方に向かう作動流体の流れよりも逆向きの作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する抵抗要素10が設けられている。すなわち、抵抗要素10は、流体の流れの方向によって流路抵抗の大きさが異なる、方向性を有する抵抗要素である。
図2(A)及び図2(B)に示すように、抵抗要素10は、例えば、流路2の壁面2Aに設けられた凸部又は凹部であり、流路2の長さ方向における一方から他方にかけて前記流路2の断面積を小さくする第1面10Aと、流路2の長さ方向における一方から他方にかけて流路2の断面積を大きくする第2面10Bとを有する。そして、第1面10Aは第2面10Bよりも前記流路2の長さ方向に対する角度が小さく設定されている。図2(A)に示すように、抵抗要素10が凸部を形成する場合、流路2の長さ方向における一方から他方への方向において、第1面10A、第2面10Bの順で設けられる。図2(B)に示すように、抵抗要素10が凹部を形成する場合、流路2の長さ方向における一方から他方への方向において、第2面10B、第1面10Aの順で設けられる。図2(C)及び図2(D)に示すように、第2面10Bに代えて、壁面2A(凹部の場合は壁面2Aと平行な底面)と90°以下の角度をもって対向する第3面10Cを設けてもよい。第3面10Cは、壁面2A(凹部の場合は壁面2Aと平行な底面)に対してオーバーハングする面をなす。以上のような抵抗要素10は、流路2の壁面2Aに一体に形成されてもよく、壁面2Aと別部材に形成されてもよい。抵抗要素10は、壁面2Aの周方向に連続的に形成されてもよく、断続的に形成されてもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る抵抗要素10は、別部材である筒部材11によって形成されている。筒部材11は、流路2に配置され、流路2の流路断面積を小さくする凸部を構成する。筒部材11は、その中心軸が流路2の長さ方向と一致し、その外周面が流路2の内周面と全周にわたって接触するように配置されている。筒部材11の内側に形成された内孔11Aは、両端が開口し、流路2と連続する通路を形成する。
筒部材11の内孔11Aは、流路2の長さ方向における一方から他方にかけて、内孔11Aの内径が漸減する第1面11Bを形成する。第1面11Bはテーパ面に形成されている。筒部材11の他方側の端面は、流路2の長さ方向に対して直交する第2面11Cとなっている。これにより、一方側から筒部材11に流れる流体は第1面11Bに沿って中央側に移動しつつ他方側に円滑に流れることができ、他方側から筒部材11に流れる流体は第2面11Cに衝突して流れが阻害される。このようにして、筒部材11は、方向に応じて異なる流路抵抗を発生する。
本実施形態では、抵抗要素10は第1通路7及び第2通路8に配置されている。第1通路7に配置された筒部材11(抵抗要素10)は、第1面11Bが受熱部5側に配置され、第2面11Cが放熱部6側に配置されている。第1通路7に配置された抵抗要素10は、受熱部5側から放熱部6側に向かう作動流体の流れよりも逆向きの作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する。
第1通路7に設けられた複数の抵抗要素10は、第1通路7の長さ方向に互いに間隔をおいて配置されている。第1通路7において隣り合う抵抗要素10の間隔は、受熱部5に近いほど大きい。これにより、第1通路7において隣り合う抵抗要素10間に形成される体積は、受熱部5に近いほど大きい。
第2通路8に配置された筒部材11(抵抗要素10)は、第1面11Bが放熱部6側に配置され、第2面11Cが受熱部5側に配置されている。第2通路8に配置された抵抗要素10は、放熱部6側から受熱部5側に向かう作動流体の流れよりも逆向きの作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する。
第2通路8に設けられた複数の抵抗要素10は、第2通路8の長さ方向に互いに間隔をおいて配置されている。第2通路8において隣り合う抵抗要素10の間隔は、受熱部5に近いほど大きい。これにより、第2通路8において隣り合う抵抗要素10間に形成される体積は、受熱部5に近いほど大きい。
筒部材11の材質は、任意に選択してよいが、本体3と同じ材質であることが好ましい。本体3は、流路2を通過する分割面によって分割された複数の部材を組み合わせて形成されている。流路2に抵抗要素10を組付けた後に、本体3を構成する各部材を組み合わせることによって、抵抗要素10が配置された閉環状の流路2を本体3の内部に形成することができる。流路2への抵抗要素10の固定は、溶接や凹凸による係合等の公知の手法を適用することができる。
以上のように構成されたヒートパイプ1は、本体3の往復動方向Aに沿った一側が加熱されることによって受熱部5が作動流体の沸点以上の高温となり、他側が放熱する(冷却される)ことによって放熱部6が作動流体の沸点より低い低温となる。これにより、作動流体は、受熱部5において本体3から熱を吸収して蒸発し、放熱部6において本体3に熱を放出して凝縮する。作動流体が蒸発及び凝縮するときには潜熱分の熱量が必要となるため、作動流体は、受熱部5及び放熱部6において本体3と比較的大きな熱量の授受を行うことができる。
本体3は、往復動方向Aに往復動しているため、作動流体には慣性力が働く。第1通路7及び第2通路8では作動流体の液相は慣性力によって往復動方向Aに移動しようとする。このとき、第1通路7には受熱部5から放熱部6に向かう流れよりも逆の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように抵抗要素10が配置され、第2通路8には放熱部6から受熱部5に向かう流れよりも逆の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように抵抗要素10が配置されているため、放熱部6側に存在する主に液相の作動流体は慣性力によって主に第2通路8を通って放熱部6から受熱部5に流れる。受熱部5に存在する主に気相の作動流体は、第2通路8を通って受熱部5に流入する主に液相の作動流体に押されて第2通路8側に流れることができないため、圧力差を駆動力として第1通路7を通って受熱部5から放熱部6に流れる。これにより、作動流体が流路2を一方向に流れ、受熱部5において作動流体の液相が蒸発して本体3から熱を吸収し、放熱部6において作動流体の気相が凝縮して本体3に熱を放出する。以上のように、作動流体によって、本体3の往復動方向Aにおける一側に加えられた熱が、本体3の往復動方向Aにおける他側に輸送される。
第2通路8では受熱部5に近いほど各抵抗要素10の間隔が大きく、抵抗要素10間の体積が大きい。そのため、主に液相の作動流体は、第2通路8を受熱部5側に移動するほど流路抵抗が小さくなって円滑に流れ易くなる。
第1通路7では受熱部5に近いほど各抵抗要素10の間隔が大きく、抵抗要素10間の体積が大きい。そのため、第1通路7における抵抗要素10間の空間は、受熱部5側ほど気相の圧力差が生じ易くなる。圧力が最も高くなる受熱部5に近い部分ほど、抵抗要素10間の体積を大きくすることによって、主に気相の作動流体が第1通路7を通って放熱部6側に移動し易くなる。
(第2実施形態)
図3及び図4を参照してヒートパイプ1を内燃機関30のピストン31に適用した第2実施形態について説明する。図3に示すように、内燃機関30は、シリンダ32が形成されたシリンダブロック33と、シリンダブロック33に結合されたシリンダヘッド34とを有する。シリンダヘッド34のシリンダ32の上端部に対応する部分には燃焼室凹部36が形成されている。ピストン31は、シリンダ32の軸線Bに沿って往復動可能にシリンダ32に受容されている。
図3及び図4を参照してヒートパイプ1を内燃機関30のピストン31に適用した第2実施形態について説明する。図3に示すように、内燃機関30は、シリンダ32が形成されたシリンダブロック33と、シリンダブロック33に結合されたシリンダヘッド34とを有する。シリンダヘッド34のシリンダ32の上端部に対応する部分には燃焼室凹部36が形成されている。ピストン31は、シリンダ32の軸線Bに沿って往復動可能にシリンダ32に受容されている。
ピストン31は、円筒形の筒部41と、筒部41の一端を閉じる円板状の頭頂部42とを有する。ピストン31は、筒部41の中心軸がシリンダ32の軸線Bと同軸になり、頭頂部42が筒部41の燃焼室凹部36側(上側)となるようにシリンダ32に配置される。頭頂部42は、シリンダ32及び燃焼室凹部36と協働して燃焼室44を形成する。頭頂部42の外周面は、筒部41の外周面と連続し、シリンダ32の内周面と対向している。頭頂部42及び筒部41は、例えばアルミニウム合金から形成されている。
燃焼室凹部36には、吸気ポート45及び排気ポート46の一端が開口している。吸気ポート45と燃焼室凹部36との境界部には吸気ポート45を開閉する吸気バルブ47が設けられている。排気ポート46と燃焼室凹部36との境界部には排気ポート46を開閉する排気バルブ48が設けられている。吸気バルブ47及び排気バルブ48を総称して吸排気バルブという。
頭頂部42の外周面には、上端側から順に第1〜第3溝51、52、53が凹設されている。第1〜第3溝51、52、53は、それぞれ周方向に延在し、環状をなす。第1及び第2溝51、52にはコンプレッションリング54が装着され、第3溝53にはオイルリング55が装着されている。
筒部41には、一対のピン孔57が形成されている。各ピン孔57は、筒部41の中心軸と直交する直線に沿って形成され、筒部41を貫通している。ピン孔57には、ピストンピン(不図示)が挿入され、ピストンピンにはコンロンド(不図示)の小端部が回転可能に軸支される。
燃焼室凹部36の中央部には、点火プラグ59の発火部59Aが配置されている。燃料の燃焼は、点火プラグ59の発火部59Aを起点として発生するため、ピストン31の頭頂部42は燃焼によって発生する熱を受けて加熱される。特に、発火部59Aに最も近い位置に配置された頭頂部42の中央部が最も高温になる。
筒部41の外周面であって、シリンダ32の軸線Bに沿った方向において頭頂部42と相反する下端部には、第4溝61が凹設されている。第4溝61は、周方向に延在し、環状をなす。第4溝61には、摺接リング62が装着されている。摺接リング62は、公知のコンプレッションリング等と同様の形状を有し、一部に合口を有する略環状に形成されている。摺接リング62は、熱伝導率が高く、かつ耐摩耗性が高い材料から形成されていることが好ましい。摺接リング62は、横断面が略長方形に形成され、外周面、内周面、上端面、及び下端面を有する。摺接リング62は、外周面においてシリンダ32の内周面に摺接し、上端面又は下端面において第4溝61の上壁及び下壁に接触する。これにより、筒部41は、摺接リング62を介してシリンダ32と熱交換し、筒部41の下端部の放熱(冷却)が促進される。このため、筒部41の下端部は、ピストン31内において比較的低温になる。なお、筒部41の外周面もシリンダ32の内周面に摺接するが、クランク角に応じて接触状態が変化する。一方、摺接リング62は、筒部41とシリンダ32の内周面との接触状態が変化する場合にも、シリンダ32の内周面との摺接を維持することができる。
図3及び図4に示すように、ピストン31には、複数のヒートパイプ1が形成されている。各ヒートパイプ1は、第1実施形態に係るヒートパイプ1と同様の構成を有し、流路2の形状がピストン31に適合するように変更されている。各ヒートパイプ1は、ピストン31の中心軸を中心とした回転対称形に形成されている。ヒートパイプ1は、筒部41及び頭頂部42に形成された閉環状の流路2と、流路2に封入された作動流体とを有する。作動流体は、例えば、水、エタノール、アンモニア、アセトン等であってよい。
流路2は、頭頂部42の中央部に設けられた受熱部5と、筒部41の下端部に設けられた放熱部6と、受熱部5及び放熱部6を接続する第1通路7及び第2通路8を有する。第1通路7及び第2通路8は、頭頂部42内を受熱部5からシリンダ32の軸線Bを中心とした径方向外方に延びる径方向部分7A、8Aと、径方向部分7A、8Aの外端から筒部41内をシリンダ32の軸線Bと平行に延びて放熱部6に接続する軸方向部分7B、8Bとを有する。受熱部5及び放熱部6はヘアピン形に形成されている。特に、受熱部5は、第1通路7及び第2通路8の径方向部分7A、8Aのなす角度が鋭角になるように、ヘアピン形に形成されている。流路2は、受熱部5、第1通路7、放熱部6、第2通路8、受熱部5の順序で接続され、連続した循環路を形成する。本実施形態では、受熱部5、第1通路7、放熱部6、及び第2通路8の各横断面は略長方形に形成されている。なお、各横断面は任意の形状に変更してもよい。
放熱部6は、シリンダ32の軸線Bを中心とした径方向において、第4溝61と対向する部分に配置されている。すなわち、放熱部6は、ピストン31の比較的低温となる部分に配置されている。
第1通路7の軸方向部分7B及び第2通路8の軸方向部分8Bには、第1実施形態と同様に方向性を有する抵抗要素10が複数設けられている。抵抗要素10は、第1通路7の軸方向部分7Bにおいて、受熱部5から放熱部6に向う流れよりも放熱部6から受熱部5に向う流れに対して大きな流路抵抗を発生するように配置されている。また、抵抗要素10は、第2通路8の軸方向部分8Bにおいて、放熱部6から受熱部5に向う流れよりも受熱部5から放熱部6に向う流れに対して大きな流路抵抗を発生するように配置されている。
第1通路7の軸方向部分7Bに設けられた複数の抵抗要素10は、第1通路7の長さ方向(シリンダ32の軸線Bに沿った方向)に互いに間隔をおいて配置されている。第1通路7において隣り合う抵抗要素10の間隔は、受熱部に近いほど大きい。これにより、第1通路7において隣り合う抵抗要素10間に形成される体積は、受熱部5に近いほど大きい。
第2通路8の軸方向部分8Bに設けられた複数の抵抗要素10は、第2通路8の長さ方向(シリンダ32の軸線Bに沿った方向)に互いに間隔をおいて配置されている。第2通路8において隣り合う抵抗要素10の間隔は、受熱部5に近いほど大きい。これにより、第2通路8において隣り合う抵抗要素10間に形成される体積は、受熱部5に近いほど大きい。
ピストン31を構成する筒部41及び頭頂部42は、流路2を通過する分割面によって分割された複数の部材を組み合わせて形成されている。例えば、ピストン31は、筒部41の内周側部分及び頭頂部42の下面側部分を含む第1のピースと、筒部41の外周側部分及び頭頂部42の上面側部分を含む第2のピースとを有し、第2のピースの内側に第1のピースを嵌め込むことによって形成されてもよい。流路2は、第1のピースと第2のピースの接触面(境界面)に形成されるとよい。詳細には、第1のピースの筒部41の内周側部分の外周面及び頭頂部42の下面側部分の上面に流路2の一部を形成する第1の溝を凹設し、第2のピースの筒部41の外周側部分の内周面及び頭頂部42の上面側部分の下面に流路2の一部を形成する第2の溝を凹設し、第1の溝と第2の溝とを整合させて流路2を形成するとよい。抵抗要素10は、第1のピース及び第2のピースを組み合わせる前に、第1の溝又は第2の溝に配置されることによって、ピストン31が形成されたときに閉環状の流路2の内部に配置される。ここで説明した第1のピース及び第2のピースは例示であり、各ピースの個数や形状は、適宜変更することができる。
以上のように構成されたヒートパイプ1を備えたピストン31は、燃料の燃焼により頭頂部42が加熱されることによって受熱部5が作動流体の沸点以上の高温となり、筒部41の下端部が放熱する(冷却される)ことによって放熱部6が作動流体の沸点より低い低温となる。これにより、作動流体は、受熱部5において頭頂部42から熱を吸収して蒸発し、放熱部6において筒部41に熱を放出して凝縮する。
ピストン31は、シリンダ32の軸線Bに沿った方向に往復動しているため、作動流体にはシリンダ32の軸線Bに沿った方向の慣性力が働く。第1通路7の軸方向部分7B及び第2通路8の軸方向部分8Bでは作動流体の液相は慣性力によって軸線Bに沿った方向に移動しようとする。このとき、第1通路7の軸方向部分7Bには受熱部5から放熱部6に向かう流れよりも逆の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように抵抗要素10が配置され、第2通路8の軸方向部分8Bには放熱部6から受熱部5に向かう流れよりも逆の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように抵抗要素10が配置されているため、放熱部6側に存在する主に液相の作動流体は慣性力によって第2通路8を通って放熱部6から受熱部5に流れる。受熱部5に存在する主に気相の作動流体は、第2通路8を通って受熱部5に流入する主に液相の作動流体に押されて第2通路8側への流れが阻止され、圧力差を駆動力として第1通路7を通って受熱部5から放熱部6に流れる。このようにして、作動流体が流路2を一方向に流れ、受熱部5において作動流体の液相が蒸発して本体3から熱を吸収し、放熱部6において作動流体の気相が凝縮して本体3に熱を放出する。これにより、作動流体によって、ピストン31の頭頂部42の熱が、筒部41の下端部に輸送される。
第2通路8の軸方向部分8Bでは受熱部5に近いほど各抵抗要素10の間隔が大きいため、第1実施形態と同様に、作動流体の液相は第2通路8を放熱部6側から受熱部5側に円滑に移動するようになる。また、第1通路7の軸方向部分7Bでは受熱部5に近いほど各抵抗要素10の間隔が大きいため、第1実施形態と同様に、作動流体の気相は第1通路7を放熱部6側から受熱部5側に円滑に移動するようになる。
第1通路7及び第2通路8に径方向部分7A、8Aを設けたため、受熱部5を頭頂部42の最も高温になる部分に配置することができる。頭頂部42において最も高温になる部分は、点火プラグ59とシリンダ32の軸線Bに沿った方向において対向する部分である。点火プラグ59の発火部59Aは燃焼室凹部36の中央部に配置された場合には、頭頂部42の中央部が最も高温となる。第2通路8の径方向部分8Aでは、主に液相の作動流体は軸方向部分8Bを通過したときの慣性力によって、そのまま受熱部5に流れる。第1通路7の径方向部分7Aでは、作動流体の気相は圧力差によって放熱部6側に流れる。
ピストン31は、筒部41の外周面の下端部に、シリンダ32の内周面と摺接する摺接リング62を有するため、筒部41とシリンダ32の内壁との熱交換が促進され、筒部41の放熱(冷却)が効率良く行われる。
第2実施形態に係るピストン31では、第1通路7及び第2通路8の軸方向部分8Bに抵抗要素10を設けた例を示したが、抵抗要素10は第1通路7及び第2通路8の径方向部分7A、8Aや受熱部5、放熱部6に設けられてもよい。また、抵抗要素10は第1実施形態において示したように様々な構成とすることができる。
また、頭頂部42において最も高温となる部分が中央から偏倚している場合には、それに合わせて受熱部5の位置を変更してもよい。
受熱部5をヘアピン形にし、第1通路7及び第2通路8の径方向部分7A、8Aのなす角度が鋭角になるように流路2を形成したため、1つのヒートパイプが占める体積を小さくすることができ、ピストンに複数のヒートパイプを配置することが可能になる。
図5に第2実施形態の変形例を示す。この変形例では、第1通路7及び第2通路8の軸方向部分7B、8Bが中間部にクランク部7C、8Cを有し、クランク部7C、8Cよりも上側(頭頂部42側)の部分である上側部分に対して、クランク部7C、8Cよりも下側の部分である下側部分がシリンダ32の軸線Bを中心とした径方向外側に配置されている。また、第4溝61は、放熱部6よりも筒部41の下端側に形成され、放熱部6と第4溝61に装着された摺接リング62とはシリンダ32の軸線B方向において対応して配置されている。以上のように構成した変形例では、放熱部6と筒部41の外周面との距離を小さくすることができ、筒部41の外周面とシリンダ32の内周面との接触による熱交換によって放熱部6の放熱が促進される。
(第3実施形態)
図3及び図6を参照して本発明のヒートパイプ1を内燃機関30の吸排気バルブ47、48に適用した第3実施形態について説明する。ヒートパイプ1が適用される吸排気バルブ47、48は、図3に示すように、内燃機関30の吸気ポート45を開閉する吸気バルブ47、及び排気ポート46を開閉する排気バルブ48である。吸気バルブ47及び排気バルブ48は、ポペット型の弁であり、同様の構造を有する。以下、排気バルブ48について説明し、吸気バルブ47については排気バルブ48の説明を援用する。
図3及び図6を参照して本発明のヒートパイプ1を内燃機関30の吸排気バルブ47、48に適用した第3実施形態について説明する。ヒートパイプ1が適用される吸排気バルブ47、48は、図3に示すように、内燃機関30の吸気ポート45を開閉する吸気バルブ47、及び排気ポート46を開閉する排気バルブ48である。吸気バルブ47及び排気バルブ48は、ポペット型の弁であり、同様の構造を有する。以下、排気バルブ48について説明し、吸気バルブ47については排気バルブ48の説明を援用する。
図6に示すように、排気バルブ48は、軸部48Aと、軸部48Aの一端に設けられた傘部48Bとを有する。傘部48Bは、排気ポート46と燃焼室44の境界部を開閉する。排気バルブ48は、軸部48Aの軸線Cに沿った方向に往復動可能にシリンダヘッド34に支持されており、排気ポート46と燃焼室44の境界部に設けられた弁座(不図示)に傘部48Bが着座する閉位置と、燃焼室44側に移動して弁座から傘部48Bが離れる開位置との間で往復動する。排気バルブ48は、バルブスプリング(不図示)によって閉位置に付勢され、動弁機構(不図示)によって開位置側に押されたときに開位置に移動する。動弁機構は、クランク軸と同期しており、内燃機関30が4ストローク内燃機関の場合クランク軸が2回転する間に排気バルブ48を閉位置及び開位置の間で一往復させる。
排気バルブ48に設けられるヒートパイプ1は、上記の第1実施形態に係るヒートパイプ1と同様である。ヒートパイプ1の受熱部5は傘部48Bに配置され、放熱部6は軸部48Aに配置されている。第1通路7及び第2通路8は、軸部48A内を軸線Cの方向に沿って延びている。
第1通路7及び第1通路7には、第1実施形態と同様に方向性を有する抵抗要素10が複数設けられている。抵抗要素10は、第1通路7において、受熱部5から放熱部6に向う流れよりも放熱部6から受熱部5に向う流れに対して大きな流路抵抗を発生するように配置されている。また、抵抗要素10は、第2通路8において、放熱部6から受熱部5に向う流れよりも受熱部5から放熱部6に向う流れに対して大きな流路抵抗を発生するように配置されている。
第1通路7に設けられた複数の抵抗要素10は、第1通路7の長さ方向(軸部48Aの軸線Cに沿った方向)に互いに間隔をおいて配置されている。第1通路7において隣り合う抵抗要素10の間隔は、受熱部5に近いほど大きい。
第2通路8に設けられた複数の抵抗要素10は、第2通路8の長さ方向(軸部48Aの軸線Cに沿った方向)に互いに間隔をおいて配置されている。第2通路8において隣り合う抵抗要素10の間隔は、受熱部5に近いほど大きい。
以上のように構成されたヒートパイプ1を備えた排気バルブ48は、燃焼室44側に配置された傘部48Bが燃料の燃焼により加熱されることによって受熱部5が作動流体の沸点以上の高温となり、軸部48Aが放熱することによって放熱部6が作動流体の沸点より低い低温となる。これにより、作動流体は、受熱部5において傘部48Bから熱を吸収して蒸発し、放熱部6において軸部48Aに熱を放出して凝縮する。
排気バルブ48は、軸部48Aの軸線Cに沿った方向に往復動しているため、作動流体には軸部48Aの軸線Cに沿った方向の慣性力が働く。第1通路7及び第2通路8の抵抗要素10は、第1通路7及び第2通路8を流れる作動流体の方向を規制し、第2通路8では主に液相である作動流体が放熱部6から受熱部5に流れ、第1通路7では主に気相である作動流体が受熱部5から放熱部6に流れる。このようにして、作動流体が流路2を一方向に流れ、受熱部5において作動流体の液相が蒸発して本体3から熱を吸収し、放熱部6において作動流体の気相が凝縮して本体3に熱を放出する。これにより、作動流体によって、排気バルブ48の傘部48Bの熱が、軸部48Aに輸送される。
第1及び第2実施形態に関する説明と同様に、第1通路7に設けられた複数の抵抗要素10は、受熱部5に近いほど間隔が大きいため、作動流体の気相が受熱部5から放熱部6に円滑に流れるようになる。また、第2通路8に設けられた複数の抵抗要素10は、受熱部5に近いほど間隔が大きいため、作動流体の液相が放熱部6から受熱部5に円滑に流れるようになる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記の実施形態で示した流路2の形状は例示であり、様々な形状を取ることができる。また、第2実施形態では、ピストン31の筒部41の形状を円筒形としたが、筒部41の形状は様々な形状を適用することができる。例えば、筒部41は、一対のスカート部と、各スカート部の側縁どうしを繋ぐ連結壁部とを有するとよい。スカート部は、その外面が円周面に形成され、シリンダ32の内周面と摺接する。連結壁部は、シリンダ32の内壁から離れて配置され、ピン孔57が形成される。ヒートパイプ1の放熱部6、第1通路7及び第2通路8は、スカート部に配置されるとよい。このように、筒部41がスカート部と連結壁部とを含むようにする場合、第4溝61及び摺接リング62は省略するとよい。
また、第3実施形態では、第1通路7及び第2通路8は軸線Cに沿って直線状に形成されているが、第1通路7及び第2通路8は軸線Cを中心とした2重らせん形状に形成されてもよい。
1 :ヒートパイプ
2 :流路
3 :本体
5 :受熱部
6 :放熱部
7 :第1通路
7A :径方向部分
7B :軸方向部分
8 :第2通路
8A :径方向部分
8B :軸方向部分
8C :クランク部
10 :抵抗要素
10A :第1面
10B :第2面
10C :壁面
11 :筒部材
30 :内燃機関
31 :ピストン
32 :シリンダ
41 :円筒部
42 :頭頂部
44 :燃焼室
47 :吸気バルブ
48 :排気バルブ
48A :軸部
48B :傘部
59 :点火プラグ
59A :発火部
61 :第4溝
62 :摺接リング
A〜C :軸線
2 :流路
3 :本体
5 :受熱部
6 :放熱部
7 :第1通路
7A :径方向部分
7B :軸方向部分
8 :第2通路
8A :径方向部分
8B :軸方向部分
8C :クランク部
10 :抵抗要素
10A :第1面
10B :第2面
10C :壁面
11 :筒部材
30 :内燃機関
31 :ピストン
32 :シリンダ
41 :円筒部
42 :頭頂部
44 :燃焼室
47 :吸気バルブ
48 :排気バルブ
48A :軸部
48B :傘部
59 :点火プラグ
59A :発火部
61 :第4溝
62 :摺接リング
A〜C :軸線
Claims (13)
- ヒートパイプであって、
所定の往復動方向に往復動され、前記往復動方向における一側が加熱され、他側が冷却される本体と、
前記本体に形成された閉環状の流路と、
前記流路に封入され、当該ヒートパイプの使用温度範囲に沸点を有する作動流体とを有し、
前記流路は、前記往復動方向における一側に設けられた受熱部と、前記往復動方向における他側に設けられた放熱部と、前記往復動方向に延びる部分を含み、前記受熱部と前記放熱部とを接続する第1通路及び第2通路と、前記受熱部、前記放熱部、前記第1通路及び前記第2通路の少なくとも1つに設けられ、当該流路の長さ方向における一方から他方に向かう前記作動流体の流れよりも逆向きの前記作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生する抵抗要素とを有することを特徴とするヒートパイプ。 - 前記抵抗要素は、前記第2通路において前記放熱部側から前記受熱部側に向う前記作動流体の流れよりも逆向きの前記作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように、かつ前記第2通路の長さ方向に互いに間隔をおいて前記第2通路に複数配置され、前記第2通路における前記抵抗要素の間隔は、前記受熱部に近いほど大きいことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ。
- 前記抵抗要素は、前記第1通路において前記受熱部側から前記放熱部側に向う前記作動流体の流れよりも逆向きの前記作動流体の流れに対して大きな流路抵抗を発生するように、かつ前記第1通路の長さ方向に互いに間隔をおいて前記第1通路に複数配置され、前記第1通路における前記抵抗要素の間隔は、前記受熱部に近いほど大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒートパイプ。
- 前記抵抗要素は、凸部又は凹部によって形成され、前記流路の長さ方向における一方から他方にかけて前記流路の断面積を小さくする第1面と、前記流路の長さ方向における他方から一方にかけて前記流路の断面積を小さくする第2面とを有し、
前記第1面は、前記第2面よりも前記流路の長さ方向に対する角度が小さいことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載のヒートパイプ。 - 前記抵抗要素は、前記流路内に設けられる筒部材によって形成され、
前記筒部材は両端が開口した内孔を有し、
前記第1面は前記内孔の壁面に形成され、
前記第2面は前記筒部材の端面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のヒートパイプ。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載のヒートパイプを備えたピストンであって、
前記往復動方向に沿った中心軸を有する筒部と、前記筒部の一端に設けられた頭頂部とを有し、
前記ヒートパイプの前記本体は、前記筒部及び前記頭頂部によって形成され、
前記受熱部は前記頭頂部に配置され、
前記放熱部は前記筒部に配置されていることを特徴とするピストン。 - 前記受熱部は、当該ピストンが設けられる内燃機関の点火プラグの発火部との距離が最も近い位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のピストン。
- 前記受熱部は、前記頭頂部の中央部に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のピストン。
- 前記第1通路及び前記第2通路は、前記筒部において前記往復動方向と平行に延びる第1部分と、前記頭頂部において前記往復動方向と直交する方向に延びる第2部分とを有することを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか1つの項に記載のピストン。
- 前記受熱部は、前記第1通路及び前記第2通路のそれぞれの前記第2部分のなす角度が鋭角になるように、前記第1通路及び前記第2通路を接続することを特徴とする請求項9に記載のピストン。
- 前記筒部の外周面における前記放熱部と対応する部分に凹設され、周方向に延在して環状をなすリング溝と、
前記リング溝に装着され、当該ピストンが受容されるシリンダの内周面と摺接するリングとを更に有することを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1つの項に記載のピストン。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載のヒートパイプを備えた吸排気バルブであって、
前記往復動方向に沿って延びる軸部と、前記軸部の一端に設けられ、内燃機関の燃焼室と吸気ポート又は排気ポートとの境界部を開閉する傘部とを有し、
前記ヒートパイプの前記本体は、前記軸部及び前記傘部によって形成され、
前記受熱部は前記傘部に配置され、
前記放熱部は前記軸部に配置されていることを特徴とする吸排気バルブ。 - 前記第1通路及び前記第2通路は、前記往復動方向に延びる軸線を中心とした2重らせんをなすことを特徴とする請求項12に記載の吸排気バルブ。
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WO2024162635A1 (ko) * | 2023-02-03 | 2024-08-08 | 한국과학기술원 | 순환 유도밸브 및 이를 구비한 진동형 히트파이프 |
-
2015
- 2015-02-19 JP JP2015030698A patent/JP2016151409A/ja active Pending
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