JP2016150989A - 蛍光体セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透過性が良好であり、再現性に優れる蛍光体セラミックスの製造方法を提供すること。【解決手段】蛍光体セラミックスの製造方法は、蛍光体材料および有機粒子を含有する蛍光体組成物を用意する工程と、蛍光体組成物を焼成する工程とを備え、有機粒子の平均粒子径が3.4μm以上であり、蛍光体材料および前記有機粒子の合計含有量に対する、有機粒子の含有量が1.5体積%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体セラミックスの製造方法に関する。
光半導体装置などの発光装置は、一般的に、青色光を発光するLED(発光ダイオード素子)と、青色光を黄色光に変換でき、LEDの上に設けられる蛍光体層とを備えている。発光装置は、LEDから発光され、蛍光体層を透過した青色光と、蛍光体層において青色光の一部が波長変換された黄色光との混色によって、白色光を発光する。
このような蛍光体層としては、例えば、セラミック材料からなる変換素子が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、セラミック材料の理論的な固体状態の密度の97%以上の密度を有し、変換素子内の孔は、実質的に250nm〜2900nmの間の径を有する変換素子が開示されている。
特許文献1の変換素子は、ナノオーダーの微小な孔を有することにより、幅広い視野角での透過性を改善している。
特許5049336号
しかるに、特許文献1の変換素子では、ナノオーダーの孔径を有する孔を製造する必要があるが、セラミックである変換素子の製造(高温焼結過程)時に、セラミックの結晶が成長するため、ナノオーダーの孔は消失し易い。すなわち、特許文献1の変換素子では、ナノオーダーの孔が消失したり消失しなかったりするので、その孔の大きさの調整が難しく、再現性に劣るという不具合が生じる。
また、ナノオーダーの孔径が、変換素子内部に多量に形成されると、透明性が低下するという不具合も生じている。
本発明の目的は、透過性が良好であり、再現性に優れる蛍光体セラミックスの製造方法を提供することにある。
本発明の蛍光体セラミックスの製造方法は、蛍光体材料および有機粒子を含有する蛍光体組成物を用意する工程と、前記蛍光体組成物を焼成する工程とを備え、前記有機粒子の平均粒子径が3.4μm以上であり、前記蛍光体材料および前記有機粒子の合計含有量に対する、前記有機粒子の含有量が1.5体積%以上であることを特徴としている。
本発明の蛍光体セラミックスの製造方法では、前記蛍光体セラミックスにおいて、孔径が3.0μm未満である空孔の体積割合が、1.5体積%以下であることが好適である。
本発明の蛍光体セラミックスの製造方法では、焼成前の蛍光体組成物が平均粒子径3.4μm以上の有機粒子を所定量含有するので、焼成時においてセラミックスの結晶の成長により空孔が消滅することを抑制できる。よって、確実に所望の空孔を所望の体積割合で製造することができる。そのため、透過性が良好な蛍光体セラミックスを、再現性良く製造することができる。したがって、本発明の製造方法は、歩留まりが良く、生産性に優れる。
本発明の蛍光体セラミックスの一実施形態を製造する工程を示す工程図であって、図1Aは、グリーンシート作製工程、図1Bは、焼成工程を示す。 図2は、図1Bに示す蛍光体セラミックスを用いて、光半導体装置の一実施形態を製造する工程を示す工程図であって、図2Aは蛍光接着シート作製工程、図2Bは蛍光接着シート配置工程、図2Cは接着工程を示す。 図3は、実施例において、蛍光体セラミックスの空孔を測定する方法の模式図を示す。
図1Aおよび図1Bにおいて、図1Aおよび図1Bの紙面上下方向を「上下方向」(第1方向、厚み方向)とし、紙面上側が上側であり、紙面下側が下側である。また、図1Aおよび図1Bの紙面左右方向を「面方向」(第2方向、第1方向に直交する方向)とし、紙面右方向が面方向一方側であり、図1Aおよび図1Bの紙面左方向が面方向他方側である。図Aおよび図1B以外の図についても、図1Aおよび図1Bの方向を基準する。
1.蛍光体セラミックスの製造方法
図1Bを参照して、本発明の蛍光体セラミックスの製造方法の一実施形態に係る蛍光体セラミックスプレート1の製造方法について説明する。
蛍光体セラミックスプレート1は、図1Bに示すように、蛍光体材料のセラミックス(焼成体)から板状に形成されており、蛍光体を含有している。
蛍光体セラミックスプレート1に含有される蛍光体は、波長変換機能を有しており、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体、青色光を赤色光に変換することのできる赤色蛍光体などが挙げられる。
黄色蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca)SiO;Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu(バリウムオルソシリケート(BOS))などのシリケート蛍光体、例えば、(Y、Gd、Ba、Ca)(Al、Si、Ge、B、P、Ga)12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、TbAl12:Ce(TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)などのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体などが挙げられる。赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN:Eu、CaSiN:Euなどの窒化物蛍光体などが挙げられる。
次に、蛍光体セラミックスプレート1を製造する方法について、図1A〜図1Bを参照して説明する。
蛍光体セラミックスプレート1の製造方法は、例えば、グリーンシート作製工程(図1A参照)、および、焼成工程(図1B)を備える。以下、各工程を詳述する。
グリーンシート作製工程では、蛍光体材料および有機粒子を含有する蛍光体組成物を焼成する。好ましくは、図1Aに示すように、蛍光体組成物を含有するスラリー(蛍光体組成物スラリー)を、剥離基材9の上面に塗布および乾燥する。これによって、グリーンシート4を得る。
蛍光体組成物スラリーは、蛍光体材料および有機粒子を含有する蛍光体組成物と、溶媒とを含有する。すなわち、蛍光体組成物スラリーは、蛍光体材料、有機粒子および溶媒を含有する。
蛍光体材料は、上記の蛍光体を構成する原材料であって、蛍光体に応じて適宜選択される。蛍光体材料としては、例えば、蛍光体を構成する金属単体、その金属酸化物、金属窒化物などが挙げられる。具体的には、蛍光体としてYAl12:Ceを形成する場合は、蛍光体材料としては、例えば、酸化イットリウムなどのイットリウム含有化合物、酸化アルミニウムなどのアルミニウム含有化合物、酸化セリウムなどのセリウム含有化合物などの金属酸化物が挙げられる。蛍光体材料は、例えば、粒子状に形成されている。
蛍光体材料の純度は、例えば、99.0質量%以上、好ましくは、99.9質量%以上である。これにより、蛍光体セラミックスプレート1に含まれる不純物を低減することができる。
有機粒子は、蛍光体セラミックスプレート1に所定の空孔を形成するために蛍光体組成物に含有される。
有機粒子の材料としては、焼成工程時に完全に熱分解される材料であればよく、例えば、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
有機粒子の平均粒子径は、3.4μm以上であり、好ましくは、4.0μm以上である。また、上限は、例えば、25.0μm以下、好ましくは、20.0μm以下、より好ましくは、8.0μm以下である。有機粒子の平均粒子径が上記下限を下回ると、グリーンシート4を焼成し、蛍光体セラミックスプレート1を製造する際に、蛍光体セラミックスプレート1の結晶が空孔内部に向って過度に成長し、空孔を消失させるおそれがある。一方、有機粒子の平均粒子径が上記上限を上回ると、大空孔が多量に蛍光体セラミックスプレート1内部に形成され、蛍光体セラミックスプレート1の透過性、強度などが低下するおそれがある。また、蛍光体セラミックスプレート1内に含まれる不純物が増加するおそれがある。
有機粒子の平均粒子径は、例えば、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、「LS13 320」)を用いて、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
有機粒子の含有割合は、蛍光体材料と有機粒子の合計含有量に対して、例えば、1.5体積%以上、好ましくは、2.0体積%以上であり、また、例えば、12.0体積%以下、好ましくは、10.0体積%以下、より好ましくは、8.0体積%以下である。
有機粒子の含有割合を上記範囲内にすることにより、蛍光体セラミックスプレート1内に形成される空孔の体積割合を適切な範囲に調節することができる。
蛍光体組成物には、必要に応じて、さらにバインダー樹脂を含有することができる。
バインダー樹脂は、グリーンシート4の作製に用いられる公知のバインダー樹脂を使用すればよく、例えば、アクリル系ポリマー、ブチラール系ポリマー、ビニル系ポリマー、ウレタン系ポリマーなどが挙げられる。好ましくは、アクリル系ポリマーが挙げられる。
バインダー樹脂の含有割合は、蛍光体材料100体積部に対して、例えば、5体積部以上、好ましくは、15体積部以上であり、また、例えば、120体積部以下、好ましくは、80体積部以下、より好ましくは、60体積部以下である。
蛍光体組成物には、必要に応じて、さらに分散剤、可塑剤、焼結助剤などの公知の添加剤を含有することができる。
蛍光体組成物スラリーに含有される溶媒としては、例えば、水、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、トルエン、プロピオン酸メチル、メチルセルソルブなどの有機溶媒が挙げられる。
溶媒の含有割合は、蛍光体組成物スラリーにおいて、例えば、1〜30質量%である。
蛍光体組成物スラリーは、上記成分を上記割合で配合し、ボールミルなどで湿式混合することにより調製される。すなわち、蛍光体組成物スラリーが用意される。
なお、この際、上記成分を一括で湿式混合してもよい。また、有機粒子を除く成分を湿式混合して第1スラリーを調製し、次いで、その第1スラリーに有機粒子を湿式混合することにより、蛍光体組成物スラリーを調製してもよい。
剥離基材9としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、例えば、ポリカーボネートフィルム、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、例えば、ポリスチレンフィルム、例えば、アクリルフィルム、例えば、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどの樹脂フィルムなどが挙げられる。さらに、例えば、銅箔、ステンレス箔などの金属箔も挙げられる。好ましくは、樹脂フィルム、さらに好ましくは、ポリエステルフィルムが挙げられる。剥離基材9の表面には、剥離性を高めるため、必要により剥離処理が施されている。
剥離基材9の厚みは、例えば、取扱性、コストの観点から、例えば、10〜200μmである。
蛍光体組成物スラリーを剥離基材9に塗布する方法としては、ドクターブレードコート、グラビアコート、ファウンテンコート、キャストコート、スピンコート、ロールコートなどの公知の塗布方法が挙げられる。
乾燥時間は、例えば、20℃以上、好ましくは、50℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。
乾燥時間は、例えば、1分以上、好ましくは、2分以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、5時間以下である。
このようにして得られるグリーンシート4は、蛍光体セラミックスプレート1の焼結前セラミックスであって、板状に形成されている。
その後、図1Aの仮想線に示すように、剥離基材9をグリーンシート4から剥離する。
なお、グリーンシート4は、所望の厚みを得るために、複数(複層)のグリーンシート4を熱ラミネートによって積層することにより形成することもできる。
グリーンシート4の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。
焼成工程では、図1Bに示すように、グリーンシート4を焼成する。これによって、蛍光体セラミックスプレート1を得る。
焼成温度は、例えば、1300℃以上、好ましくは、1500℃以上であり、また、例えば、2000℃以下、好ましくは、1800℃以下である。
焼成時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、8時間以下である。
焼成は、常圧下で実施してもよく、また、減圧下または真空下で実施してもよい。
また、焼成における昇温速度は、例えば、0.5〜20℃/分である。
上記焼成(本焼成)の前に、バインダー樹脂や分散剤などの有機成分を熱分解および除去するために、電気炉を用いて、空気中、例えば、600〜1300℃で予備加熱し、脱バインダー処理を実施してもよい。
焼成(バインダー処理を実施する場合は、焼成およびバインダー処理)を通じて、有機粒子が焼成し、蛍光体セラミックスプレート1に空孔が形成される。
このようにして得られる蛍光体セラミックスプレート1は、板状に形成されている。
蛍光体セラミックスプレート1の厚みTは、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。
蛍光体セラミックスプレート1において、孔径が3.0μm未満である空孔(以下、「小空孔」とも称する。)の、蛍光体セラミックスプレート1に占める体積割合は、例えば、15.0体積%以下、好ましくは、1.5体積%以下である。小空孔の体積割合が上記上限以下であると、蛍光体セラミックスプレート1の透明性が優れる。なお、小空孔の孔径の下限は、例えば、0.3μm以上である。
蛍光体セラミックスプレート1は、好ましくは、孔径が3.0μm以上12.0μm以下である空孔(以下、「中空孔」とも称する。)を有する。
蛍光体セラミックスプレート1に占める中空孔の体積割合の下限は、例えば、0.5体積以上、好ましくは、1.5体積%以上、より好ましくは、2.0体積%以上であり、また、例えば、9.5体積%以下、好ましくは、8.0体積%以下である。
中空孔の体積割合が上記範囲内とすることにより、蛍光体セラミックスプレート1の透過性および散乱性を向上させることができる。
蛍光体セラミックスプレート1に占める大空孔の体積割合は、例えば、12.0体積%以下、好ましくは、9.0体積%以下である。なお、大空孔の孔径の上限は、例えば、30.0μm以下である。
空孔の孔径は、空孔の最大長さであって、蛍光体セラミックスプレート1の切断表面を、レーザー顕微鏡(装置名:レーザーテック、VL2000D、対物レンズ20倍、倍率1800倍)を用いて、孔径を観察することにより測定される。
空孔の体積は、上記空孔の孔径(空孔の最大長さ)を空孔の直径として、真球換算することにより算出される。
空孔の平均孔径は、例えば、2.5μm以上、好ましくは、3.0μm以上、より好ましくは、3.5μm以上であり、また、例えば、20.0μm以下、好ましくは、16.0μm以下、より好ましくは、10.0μm以下である。
蛍光体セラミックスプレート1は、好ましくは、下記の式を満たす。
V ≦ 1.30×(−log T)
Vは、孔径が3.0μm未満である空孔(小空孔)の体積割合(%)を示す。Tは、蛍光体セラミックスプレート1の厚さ(mm)を示す。
これにより、厚さが十分厚いときの過剰な空孔の発生を低減させ、蛍光体セラミックスプレート1の透過性、強度などの低下を抑制することができる
蛍光体セラミックスプレート1は、好ましくは、下記(1)〜(3)の少なくとも1つの要件を満たす。
(1)ナトリウム元素が、67ppm以下、好ましくは、50ppm以下である。
(2)マグネシウム元素が、23ppm以下、好ましくは、20ppm以下である。
(3)鉄元素が、21ppm以下、好ましくは、15ppm以下、より好ましくは、10ppm以下である。
上記元素は、例えば、ICP−MS分析により測定することができる。
上記元素は、不純物であり、上記不純物を上記上限以下とすることにより、量子効率に優れる。また、不純物は結晶成長時の起点となり得るため、不純物の含有量を低減させることにより、結晶成長の再現性にも優れる。
そして、この蛍光体セラミックスプレート1の製造方法によれば、特定の粒子径の有機粒子を特定の含有量で含有する蛍光体組成物を用意し、蛍光体組成物からグリーンシートを形成し、焼成する。そのため、焼成時においてセラミックスの結晶の成長により空孔が消滅することを抑制できる。よって、確実に所望の空孔を所望の体積割合で製造することができる。
また、得られる蛍光体セラミックスは、比較的大きな空孔(例えば、中空孔)を備えているため、透過性に優れる。
したがって、この製造方法では、透過性が良好な蛍光体セラミックスを、再現性良く製造することができるので、この製造方法は、歩留まりが良く、生産性に優れる。
このような蛍光体セラミックスプレート1は、光半導体装置8の部品として単独で商取引の対象となる。
2.光半導体装置の製造方法
次に、蛍光体セラミックスプレート1の製造方法に引き続いて、光半導体装置8の一実施形態を製造する方法について、図2A〜図2Cを参照して説明する。
光半導体装置8の製造方法の一実施形態は、例えば、蛍光接着シート作製工程(図2A参照)、蛍光接着シート配置工程(図2B参照)、および、接着工程(図2C参照)を備える。
蛍光接着シート作製工程では、図2Aに示すように、蛍光体セラミックスプレート1に接着層2を積層させる。
接着層2は、蛍光体セラミックスプレート1の上面(一方面)全面に配置されており、接着剤組成物からシート状に形成されている。
接着剤組成物としては限定的でないが、例えば、シリコーン系、アクリル系などの感圧接着剤組成物、例えば、シリコーン系、エポキシ系などの熱硬化型接着剤組成物、例えば、ガラスやセラミックなどの無機系接着剤組成物が挙げられる。好ましくは、量産性、耐久性、耐熱性の観点から、シリコーン系組成物が挙げられる。
接着層2の厚みは、感圧接着性の観点から、例えば、5μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、熱伝導性の観点から、100μm以下、より好ましくは、50μm以下である。
接着層2を蛍光体セラミックスプレート1の上面に積層するには、具体的には、接着剤組成物がワニスとして調製される場合には、ワニスを蛍光体セラミックスプレート1の下面全面に、例えば、バーコータなど、公知の塗布方法によって塗布する。これによって、接着剤組成物の皮膜を形成する。続いて、必要により、溶媒を留去する。
あるいは、ワニスを離型シートなどの表面に塗布して皮膜を形成し、その皮膜を必要により溶媒を留去した後、剥離シートから蛍光体セラミックスプレート1に転写することもできる。
これによって、蛍光体セラミックスプレート1、および、その上に積層される接着層2を備える蛍光接着シート6を得る。蛍光接着シート6は、蛍光体セラミックスプレート1および接着層2からなり、光半導体素子5を含まず、光半導体装置8の部品として単独で商取引の対象となる。
蛍光接着シート配置工程では、図2Bに示すように、光半導体素子5が実装された基板7と、蛍光接着シート6とを対向配置する。すなわち、光半導体素子5と接着層2とが向かい合うように、基板7と蛍光接着シート6とを間隔を隔てて対向配置する。
基板7は、平面視において光半導体素子5より大きい平板状に形成されている。基板7は、例えば、シリコン基板、セラミック基板、ポリイミド樹脂基板、金属基板に絶縁層が積層された積層基板などの絶縁基板からなる。基板7の上面には、電極を含む導体パターン(図示せず)が形成されている。
光半導体素子5は、例えば、青色光を発光する素子(具体的には、青色LED)であり、基板7の電極(図示せず)に対して、例えば、フリップチップ実装またはワイヤボンディング接続によって、接続される。なお、光半導体素子5が基板7にワイヤボンディング接続される場合には、光半導体素子5に接着する蛍光接着シート6は、ワイヤーを避ける(迂回する)形状に形成される。
接着工程では、図2Cに示すように、蛍光接着シート6を光半導体素子5に貼着する。
具体的には、蛍光体セラミックスプレート1を、接着層2を介して、光半導体素子5の上面に感圧接着する。
蛍光接着シート6と光半導体素子5との貼り合わせは、常温(具体的には、20〜25℃)で実施する。必要により、蛍光接着シート6を、例えば、30〜150℃に加熱して実施することもできる。
これによって、接着層2によって蛍光体セラミックスプレート1が接着された光半導体装置8を得る。
つまり、光半導体装置8は、基板7と、基板7に実装される光半導体素子5と、光半導体素子5の上に形成される接着層2と、接着層2の上に配置され、光半導体素子5と対向配置される蛍光体セラミックスプレート1とを備える。
なお、光半導体素子5が青色LEDである場合には、光半導体装置8を白色発光装置として得る。
その後、必要により、図2Cの仮想線で示すように、封止層3を光半導体装置8に設けることもできる。封止層3は、光半導体素子5および蛍光接着シート6を被覆するように、基板7の上に配置されている。
封止層3は、封止樹脂組成物から形成されている。封止樹脂組成物は、光半導体素子5の埋設および封止に用いられる公知の透明性樹脂を含み、透明性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂なども挙げられる。
封止層3を光半導体装置8に設ける方法としては、例えば、封止層3を光半導体装置8に直接形成する方法、封止層3を別の剥離シートなどに形成した後、その封止層3を、ラミネータ、熱圧着などによって、その剥離シートから光半導体装置8に転写する方法などが挙げられる。
そして、光半導体装置8の製造方法では、再現性の優れる蛍光体セラミックスプレート1を用いるため、歩留まりが良く、生産性に優れる。また、透過性の良好な蛍光体セラミックスプレート1を用いるため、光半導体素子5から発光される光の透過性を向上させることができる。そのため、光半導体装置8の発光効率の低下を抑制できる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
(実施例1)
酸化イットリウム粒子(純度99.99質量%、lot:N−YT4CP、日本イットリウム社製)11.34g、酸化アルミニウム粒子(純度99.99質量%、品番「AKP−30」、住友化学社製)8.577g、および、酸化セリウム粒子(純度99.99質量%)0.087gからなる蛍光体材料の粉末を調製した。
調製した蛍光体材料の粉末20gと、水溶性バインダー樹脂(「WB4101」、Polymer Inovations,Inc社製)とを、固形分の体積比率が60:40となるように混合し、さらに蒸留水を加えてアルミナ製容器に入れ、直径3mmのジルコニアボールを加えて24時間、ボールミルにより湿式混合することで、蛍光体の原料粒子のスラリーを調製した。
次いで、調製したスラリーに、有機粒子(ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径3.5μm)を、蛍光体材料粉末と有機粒子との合計含有量に対して、3.0体積%となるように添加して、さらに湿式混合して、蛍光体組成物スラリーを得た。
次いで、得られた蛍光体組成物スラリーを、PETフィルム上にドクターブレード法によりテープキャスティングして70℃、5分にて乾燥し、厚み90μmのグリーンシートを得た。その後、グリーンシートをPETフィルムから剥離した。
次いで、グリーンシートを20mm×20mmのサイズに切り出した。切り出したグリーンシートを2枚作製し、この2枚のグリーンシートを2軸ホットプレスを用いて熱ラミネートすることにより、グリーンシート積層体を作製した。
次いで、作製したグリーンシート積層体を、電気マッフル炉にて、大気中、1℃/分の昇温速度で1200℃まで加熱し、バインダー樹脂などの有機成分を分解除去する脱バインダー処理を実施した。その後、高温環境炉にグリーンシート積層体を移し、還元雰囲気下で、5℃/分の昇温速度で1750℃まで加熱し、その温度で5時間焼成することにより、厚み(T)120μmの、YAl12:Ceからなる蛍光体セラミックスプレートを製造した。
実施例2
有機粒子(ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径3.5μm)を3.0体積%添加する代わりに、有機粒子(ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径4.0μm)を1.5体積%添加した以外は、実施例1と同様にして、蛍光体セラミックスプレートを製造した。
実施例3
有機粒子(ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径3.5μm)を3.0体積%添加する代わりに、有機粒子(ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径25.0μm)を10.0体積%添加した以外は、実施例1と同様にして、蛍光体セラミックスプレートを製造した。
比較例1
有機粒子(ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径3.5μm)を3.0体積%添加する代わりに、有機粒子(ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径2.5μm)を4.0体積%添加した以外は、実施例1と同様にして、蛍光体セラミックスプレートを製造した。
(孔径の体積の算出)
各実施例および各比較例の蛍光体セラミックスプレートを面方向(厚み方向と直交方向、水平方向)に切断し、その切断表面(面方向)を、レーザー顕微鏡(装置名:レーザーテック、VL2000D、対物レンズ20倍、倍率:1800倍)を用いて、孔径を観察した。その後、さらに0.5μm間隔で面方向に切断していき、合計15面(厚み方向7.5μm)の切断表面を観察した。このとき、切断表面に観察される各空孔のうち同一空孔においては、15面の切断表面のうちの最大長さを各空孔の孔径(面方向)とした(図3参照。)。
各空孔を、孔径が3.0μm未満の空孔(小空孔)と、3.0μm以上12.0μm以下の空孔(中空孔)と、12.0μm超過の空孔(大空孔)とに区分けし、それぞれを真球換算にて空孔体積を計算し、区分けした空孔の総体積を算出した。算出した総体積を、蛍光体セラミックスプレートの体積(空孔を測定した部分、空孔も含む)で除することにより、孔径の体積割合(面方向)を求めた。
また、蛍光体セラミックスプレートの厚み方向に切断し、その切断表面(厚み方向)についても、上記と同様に15面分を観察し、上記と同様の方法にて、孔径の体積割合(厚み方向)を求めた。
孔径の体積割合(面方向)および孔径の体積割合(厚み方向)の平均を、本発明の蛍光体セラミックスプレートの孔径の体積割合とした。結果を表1に示す。
(平均孔径の算出)
上記で算出した各空孔の孔径から、各空孔の孔径の平均(各空孔の孔径の合計/空孔の数)を求めた。なお、孔径(面方向)の平均と孔径(厚み方向)の平均との平均を、平均孔径とした。結果を表1に示す。
(透過率)
各実施例および各比較例の蛍光体セラミックスプレートについて、分光光度計(紫外可視近赤外分光光度計V−670、日本分光社製)を用いて任意の3点で全光線透過率(波長800nm)を測定し、3点の平均値を透過率とした。結果を表1に示す。
(透過率再現性)
各実施例および各比較例の蛍光体セラミックスプレートを同様の方法で、それぞれ
20枚作製し、20枚の透過率を測定し、ばらつきを算出した。
透過率差が2.0%以内である場合を○と評価し、透過率差が2.0%を超過する場合を×と評価した。結果を表1に示す。
(不純物の測定)
各実施例および各比較例の蛍光体セラミックスプレートのNa元素、Mg元素およびFe元素の不純物をICP−MS分析により測定した。結果を表1に示す。
(量子効率の測定)
各実施例および比較例の蛍光体セラミックプレートの量子効率を、量子効率測定システム(大塚電子社製、「QE2100」)にて測定した。結果を表1に示す。
Figure 2016150989
1 蛍光体セラミックスプレート

Claims (2)

  1. 蛍光体材料および有機粒子を含有する蛍光体組成物を用意する工程と、
    前記蛍光体組成物を焼成する工程と
    を備え、
    前記有機粒子の平均粒子径が3.4μm以上であり、
    前記蛍光体材料および前記有機粒子の合計含有量に対する、前記有機粒子の含有量が1.5体積%以上であることを特徴とする、蛍光体セラミックスの製造方法。
  2. 前記蛍光体セラミックスにおいて、孔径が3.0μm未満である空孔の体積割合が、1.5体積%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体セラミックスの製造方法。
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