JP2016150503A - 室内外用板部材およびテーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】品質を簡便に向上することができる室内外用板部材およびテーブルを提供する。【解決手段】板状に形成された木材から構成され、一方の面と他方の面が木材に形成された年輪6の内側と外側に位置する木板部3と、プラスチック複合材料を含み、年輪の湾曲線11に対向して延びるように一方の面と他方の面に接着される一対の形状拘束部4とを備える。【選択図】図2

Description

この発明は、室内外用板部材およびテーブルに係り、特に、木材から構成される室内外用板部材およびテーブルに関する。
従来から、テーブルおよびドアなどの室内外で用いられる家具および建具において、板状に形成された室内外用板部材が利用されている。室内外用板部材は、その形状および取り付け状態を長期間にわたって維持する必要があり、変形し易く且つ柔らかいといった性質を有する木材を用いて高品質な室内外用板部材を作製することは困難であった。
例えば、木材を板状に形成すると、年輪の湾曲面の凸部側に位置する木表面が収縮すると共に年輪の湾曲面の凹部側に位置する木裏面が伸長し、室内外用板部材に反りが生じるといった問題があった。また、板状に形成された木材は自重により変形し易く、例えば室内外用板部材をテーブルの天板として用いた場合に、室内外用板部材の裏面を脚部により部分的に支持すると、その脚部と脚部の間が下方に変形して室内外用板部材に撓みが生じるといった問題があった。さらに、木材は柔らかい性質を有するため、ビスなどの固定具を用いて室内外用板部材を取り付けると、固定具を差し込んだ部分が変形して固定具が緩み、室内外用板部材の立て付けが悪化するといった問題もあった。このような木材に特有の問題を改善して木材から高品質な室内外用板部材を作製することが求められている。
そこで、室内外用板部材の反りを抑制する技術として、特許文献1には、板状体の繊維方向を互いに直交させて厚み方向に板状体を積層接着した多層構成集成材が提案されている。この多層構成集成材は、繊維方向が互いに直交するように板状体を積層するため、反りおよびねじれを抑制することができる。
特開2001−232609号公報
しかしながら、特許文献1の多層構成集成材は、製造において様々な工程を必要とし、大きな労力を要するといった問題があった。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、品質を簡便に向上することができる室内外用板部材およびテーブルを提供することを目的とする。
この発明に係る室内外用板部材は、板状に形成された木材から構成され、一方の面と他方の面が木材に形成された年輪の内側と外側に位置する木板部と、プラスチック複合材料を含み、年輪の湾曲線に対向して延びるように一方の面と他方の面に接着される一対の形状拘束部とを備えるものである。
また、この発明に係る室内外用板部材は、板状に形成された木材から構成され、一方の面と他方の面を有する木板部と、プラスチック複合材料を含み、一方の面と他方の面の少なくとも1つの辺と平行に延びるように一方の面と他方の面に接着される一対の形状拘束部とを備えるものである。
ここで、一対の形状拘束部は、一方の面と他方の面において、木板部を挟んで互いに対向する位置に配置されることが好ましい。
また、一対の形状拘束部は、一方の面に接着される複数の一面側拘束部と、他方の面に接着される複数の他面側拘束部とからなり、複数の一面側拘束部と複数の他面側拘束部はそれぞれ等間隔に配列することができる。
また、木板部は、スギ材から構成することが好ましい。
また、木板部と一対の形状拘束部を覆うように配置され、外部と内部の間を気体が通過可能な材料から構成された外装シートをさらに備えることができる。
この発明に係る室内外用板部材は、板状に形成された木材から構成された木板部と、プラスチック複合材料を含み、木板部の固定箇所に対応して接着される緩み止め部とを備え、木板部を固定する固定具が、緩み止め部を貫通して木板部内に差し込まれるものである。
この発明に係るテーブルは、上記のいずれかに記載の室内外用板部材と、室内外用板部材を支持する脚部とを備えるものである。
この発明によれば、プラスチック複合材料を含み、木板部に形成された年輪の湾曲線に対向して延びるように一方の面と他方の面に接着される一対の形状拘束部を備えるので、品質を簡便に向上することができる室内外用板部材およびテーブルを提供することが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る室内外用板部材を備えたテーブルの構成を示す斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 緩み止め部を介して固定具が木板部に差し込まれた様子を示す図である。 外装シートを設けたテーブルを示す斜視図である。 木板部に拘束部用溝部と緩み止め部用溝部を形成した様子を示す斜視図である。 木板部に反り拘束部、撓み拘束部および緩み止め部を接着した様子を示す斜視図である。 木板部の反りを示す図である。 木板部の撓みを示す図である。 室内外用板部材に脚部を取り付ける様子を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係るテーブルの変形例を示す図である。 この発明の実施の形態1に係るテーブルの他の変形例を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る室内外用板部材を備えたドアの構成を示す斜視図である。 木板部に対する固定具の緩み難さを検証した実施例を示すグラフである。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る室内外用板部材を備えたテーブルの構成を示す。このテーブルは、板形状を有する室内外用板部材1と、室内外用板部材1の裏面に固定された4つの脚部2とを有する。
室内外用板部材1は、木板部3と、木板部3の表面および裏面に接着される一対の形状拘束部4と、木板部3の裏面に脚部2の固定箇所に対応して接着される緩み止め部5とを有する。
図2に、室内外用板部材1の断面図を示す。木板部3は、板状に形成された木材から構成され、木材に形成された年輪6の外側に木表面7が位置すると共に年輪6の内側に木裏面8が位置する。また、木表面7と木裏面8を接続するように小口面9と木端面10が位置し、小口面9が年輪6を横断するように幅方向Wに延びると共に木端面10が年輪6の延びる長さ方向Lに延びている。このため、小口面9には、年輪6の湾曲線11が木表面7側に凸状となるように形成されている。また、木板部3は、木表面7、木裏面8、小口面9および木端面10がそれぞれ矩形状となるように形成されている。
なお、木板部3は、例えば、スギ材、ヒノキ材、パイン材および合板などの木材から構成することができる。
一対の形状拘束部4は、肉薄に形成され、木板部3の変形する箇所に沿って延びるように木板部3の木表面7と木裏面8に接着剤を介して接着されている。具体的には、一対の形状拘束部4は、年輪6の湾曲線11に対向して延びるように木表面7と木裏面8に接着された一対の反り拘束部12と、木表面7と木裏面8の長辺と平行に延びるように接着された一対の撓み拘束部13とを有する。
反り拘束部12は、温度および湿度などの周囲環境に応じて生じる木板部3の反りを拘束するものである。反り拘束部12は、木表面7と木裏面8にそれぞれ複数配置され、この複数の反り拘束部12が木板部3の互いに対向する縁部の間、すなわち木端面10の間を連続して延びるように形成されると共に長さ方向Lに向かって互いに平行に等間隔で配列されている。また、反り拘束部12は、木表面7と木裏面8において、木板部3を挟んで互いに対向する位置に配置されている。
撓み拘束部13は、自重および外力に応じて生じる木板部3の撓みを拘束するものである。撓み拘束部13は、木表面7と木裏面8にそれぞれ2つ配置され、2つの撓み拘束部13が木板部3の互いに対向する縁部の間、すなわち小口面9の間を連続して延びるように形成されている。また、2つの撓み拘束部13は、互いに平行に配置され、複数の反り拘束部12の両端部に接続されている。
ここで、反り拘束部12と撓み拘束部13は、プラスチック複合材料から構成されている。プラスチック複合材料としては、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics;FRP)などが挙げられ、特に引張力、強度および重さの観点から炭素繊維強化プラスチックおよびガラス繊維強化プラスチックを用いることが好ましい。
なお、反り拘束部12と撓み拘束部13は、木板部3に形成された拘束部用溝部14内に収められ、その表面が木板部3の木表面7および木裏面8と同一平面上に位置される。
緩み止め部5は、木板部3の木裏面8の4隅に配置され、接着剤を介して木板部3に接着されている。図3に示すように、緩み止め部5は、肉薄に形成されて木板部3に形成された緩み止め部用溝部15内に収められており、その表面が木板部3の木裏面8と同一平面上に位置される。
ここで、緩み止め部5は、反り拘束部12および撓み拘束部13と同様に、プラスチック複合材料から構成されている。プラスチック複合材料としては、繊維強化プラスチックなどが挙げられ、特に引張力、強度および重さの観点から炭素繊維強化プラスチックおよびガラス繊維強化プラスチックを用いることが好ましい。
脚部2は、室内外用板部材1を支持するもので、木板部3に固定される根元部分にフランジ16を有し、このフランジ16を介してビスなどの固定具17を木板部3内に差し込むことにより固定されている。この時、固定具17は、緩み止め部5を貫通して木板部3内に差し込まれている。
なお、図4に示すように、木板部3、形状拘束部4および緩み止め部5を覆う外装シート18を配置することが好ましく、これにより形状拘束部4および緩み止め部5を外部から見えないように隠すことができる。
次に、テーブルを製造する方法について説明する。
まず、図5に示すように、木板部3の木表面7と木裏面8に拘束部用溝部14が形成されると共に、木板部3の木裏面8に緩み止め部用溝部15が形成される。続いて、図6に示すように、形状拘束部4の反り拘束部12と撓み拘束部13が、拘束部用溝部14内に収容されて接着剤を介して木板部3に接着される。また、緩み止め部5が、緩み止め部用溝部15内に収容されて木板部3に接着される。この時、反り拘束部12、撓み拘束部13および緩み止め部5を構成するプラスチック複合材料は、幅広い種類の接着剤に対して接着効果が得られ、例えば木板部3に好適に用いられる木工用の接着剤で接着することができる。
ここで、図7に示すように、木板部3の木表面7および木裏面8に反り拘束部12を接着しない場合には、木表面7側が収縮すると共に木裏面8側が伸長するため、木板部3に反りが生じるおそれがある。また、図8に示すように、木板部3の木表面7および木裏面8に撓み拘束部13を接着しない場合には、木板部3が自重により下方に湾曲して撓みが生じるおそれがある。
そこで、上記のように、木板部3の木表面7と木裏面8に反り拘束部12を接着することにより、反り拘束部12が木表面7と木裏面8の両側から木板部3の反りを拘束する。また、木板部3の木表面7と木裏面8に撓み拘束部13を接着することにより、撓み拘束部13が木表面7と木裏面8の両側から木板部3の撓みを拘束する。
この時、反り拘束部12および撓み拘束部13は、木板部3と比較して大きな引張力と強度を有するプラスチック複合材料から構成されている。このため、木板部3の幅方向Wおよび長さ方向Lへの変形が反り拘束部12および撓み拘束部13の大きな引張力と強度により抑制され、木板部3の反りおよび撓みを長期間にわたって抑制することができる。また、プラスチック複合材料は、金属などの剛性が強い素材と比較して軽いため、反り拘束部12および撓み拘束部13を接着しても木板部3に大きな負荷を与えることがなく、木板部3の変形を確実に抑制することができる。
ここで、反り拘束部12および撓み拘束部13は、繊維強化プラスチックから構成することが好ましく、これにより引張力と強度をより高めることができ、反り拘束部12および撓み拘束部13を薄く形成した場合でも一定の引張力と強度を保つことができる。また、繊維強化プラスチックに含まれる繊維材料は、反り拘束部12および撓み拘束部13がそれぞれ延びる方向に一方向に配置することが好ましい。すなわち、反り拘束部12は木板部3の幅方向Wに延びるように繊維材料が配置され、撓み拘束部13は木板部3の長さ方向Lに延びるように繊維材料が配置される。これにより、繊維材料を複数方向に互いに交差するように配置した場合と比較して、多くの繊維材料から反り拘束部12および撓み拘束部13を構成することができ、引張力および強度をさらに高めることができる。
また、反り拘束部12および撓み拘束部13は、木板部3に対して接着剤を介して接着されており、その接着面積に応じて接着力を向上させることができる。このため、反り拘束部12および撓み拘束部13は、表面に凹凸を形成する、いわゆるHi−Grip処理を施すことにより表面積を高めることが好ましく、これにより接着力をさらに向上させることができる。
また、反り拘束部12は、木板部3の長さ方向Lに向かって互いに平行に等間隔で配置されており、これにより少量の反り拘束部12で木板部3の反りを確実に抑制することができる。また、反り拘束部12は、幅方向Wに連続して延びるように形成されており、木板部3の反りを幅方向Wにわたって抑制することができる。
また、撓み拘束部13は、木板部3の幅方向Wに互いに平行に長さ方向Lに連続して延びるように形成されており、これにより少量の撓み拘束部13で木板部3の撓みを確実に抑制することができる。
なお、長さ4m、幅1mおよび厚さ3cmの室内外用板部材1を作製する場合には、例えば、長さ80cmおよび幅5cmの7つの反り拘束部12を長さ方向に60cm間隔で配置すると共に、長さ3.5mおよび幅75cmの2つの撓み拘束部13を幅方向に80cmの間隔で配置することができる。
続いて、図9に示すように、木板部3および形状拘束部4を覆うように外装シート18を設けることで室内外用板部材1が作製され、この室内外用板部材1の4隅に脚部2が取り付けられる。この時、脚部2は、固定具17を木板部3内に差し込むことにより固定されるが、木板部3が柔らかい性質を有する木材から構成されており、固定具17を木板部3に直接差し込むと、その差し込み部分が変形して固定具17に緩みが生じ、脚部2の立て付けが悪化、いわゆるガタツキが生じるおそれがある。そこで、図3に示すように、固定具17が、緩み止め部5を介して木板部3内に差し込まれることにより、固定具17を緩み止め部5に食い込ませて強固に固定することができ、脚部2の固定を長期間にわたって維持することができる。
なお、緩み止め部5は、固定具17のネジ山2つ分以上の厚み、例えば2.5mm以上の厚みを有することが好ましい。これにより、固定具17において1周分以上のネジ山を緩み止め部5に接合させることができ、固定具17が全周にわたって支持されるため、固定具17をより強固に緩み止め部5に固定することができる。
また、緩み止め部5は、木板部3に対して接着剤を介して接着されており、その接着面積に応じて接着力を向上させることができる。このため、緩み止め部5は、表面に凹凸を形成する、いわゆるHi−Grip処理を施すことにより表面積を高めることが好ましく、これにより接着力をさらに向上させることができる。
さらに、緩み止め部5は、繊維強化プラスチックから構成することが好ましく、これにより緩み止め部5に固定具17をより強固に固定することができる。また、繊維強化プラスチックに含まれる繊維材料は、長さが10mm以上であるのが好ましい。また、繊維強化プラスチックに含まれる繊維材料は、一方向ではなく、複数方向に互いに交差するように配置されることが好ましく、これにより緩み止め部5に固定具17をさらに強固に固定することができる。
また、緩み止め部5は、積層構造とすることもできる。例えば、緩み止め部5は、2層構造とし、固定具17を挿入する外側の層を複数方向に互いに交差する繊維強化プラスチックから構成すると共に、木板部3に接する内側の層をフレーク状の短繊維および粒状のペレットなどの繊維強化プラスチックまたはプラスチックから構成することができる。また、緩み止め部5は、3層構造として、固定具17が挿入される外側の層と木板部3に接する内側の層を複数方向に互いに交差する繊維強化プラスチックから構成すると共に、これらの間に配置される中間層をフレーク状の短繊維および粒状のペレットなどの繊維強化プラスチックまたはプラスチックから構成することができる。
本実施の形態によれば、木板部3に反り拘束部12、撓み拘束部13および緩み止め部5を接着するだけで木板部3の反りおよび撓みが拘束されると共に固定具17が木板部3に強固に固定されるため、高品質な室内外用板部材1を簡便に得ることができる。
ここで、木板部3は、一般的に、製造段階においても反りを抑制するために大きな労力を要する。例えば、原木を板状に切断した後に、その木板部を長期間にわたって載置し、木板部に含まれる水分を自然乾燥させることにより、木板部の反りが抑制されている。さらに、乾燥処理後の木板部に反りが生じた場合には、その反り部分を削り取る必要があり、歩留まりが低いといった問題もあった。
そこで、木板部3を製造する早い段階、例えば原木を切断した後の早い段階で木板部3に反り拘束部12を接着することにより、木板部3に長期間の乾燥処理を施すことなく、木板部3に水分が含まれた状態で室内外用板部材1を製造することができ、木板部3の反りを抑制するための労力を大幅に削減することができる。
このようにして、作成されたテーブルは、室内外用板部材1の木板部3が木材から構成されているため、その木材が有する調湿機能により周囲の湿度を一定に調整することができる。ここで、反り拘束部12と撓み拘束部13は、木板部3の全体を覆うことなく、木板部3の反りおよび撓みが生じる箇所に沿って延びるように配置されており、これにより木板部3を構成する木材部分の多くが外側に露出されている。このように、反り拘束部12と撓み拘束部13は、木板部3の調湿機能を妨げることなく反りおよび撓みを抑制することができる。
木板部3を構成する木材としては、高い調湿機能を有するスギ材を用いることが好ましい。このスギ材は、高い調湿機能を有する一方で、変形し易く且つ柔らかいといった性質が顕著な木材、すなわち反り、撓みおよび固定具17の差し込み部分の変形が生じ易い木材である。このため、スギ材は多くの供給があるにも関わらず室内外用板部材1に積極的に用いられてはいなかった。そこで、スギ材から構成された木板部3に反り拘束部12、撓み拘束部13および緩み止め部5を用いることにより、反り、撓みおよび固定具17の緩みを抑制し且つ高い調湿機能を有する室内外用板部材1を得ることができる。
さらに、スギ材は、他の木材と比較して軽いため、室内外用板部材1を軽量化することもできる。
また、外装シート18は、外部と内部の間を気体が通過可能な材料から構成することが好ましい。例えば、木材を薄切りにした突板から形成された外装シート18を用いることができ、これにより木板部3と外部との間で外装シート18を介して気体を流通させることができ、周囲の湿度をより確実に調整することができる。
このように、高い調湿機能を有するテーブルは、オフィス用として用いることができる。オフィスは、一般的に、調湿の大部分を空調機器で行っている。このため、オフィス内に人がいる就業時間内は空調機器が作動されてオフィス内の湿度が一定に調整されているが、就業時間外などに空調機器が停止されるとオフィス内の湿度が悪化し、例えば細菌の増殖を招くおそれがある。そこで、高い調湿機能を有するテーブルをオフィスに設置することにより、オフィス内の調湿を継続的に行うことができる。
なお、上記の実施の形態1では、反り拘束部12と撓み拘束部13は、木板部3の互いに対向する縁部の間を連続して延びるように形成されていたが、木板部3の反りおよび撓みを抑制することができればよく、途中で切断されていてもよい。ただし、反りおよび撓みの拘束力が低下するため、反り拘束部12と撓み拘束部13は連続して延びるように形成されることが好ましい。
また、反り拘束部12と撓み拘束部13は、木板部3の変形が極端に大きくなる部分に連続して延びるように設けることが好ましい。例えば、図10に示すように、木板部3の縁部から中央部側に距離を空けて脚部21が設けられた場合には、木板部3を支持する脚部21の間に大きな撓みが生じるため、脚部21の間を延びるように撓み拘束部22を設けることにより、木板部3の撓みを充分に抑制することができる。
また、上記の実施の形態1では、木板部3は1つの木材から構成されたが、複数の木材を板状に並べて構成することもできる。例えば、図11に示すように、上記の実施の形態の木板部3に換えて、木板部23を配置することができる。この木板部23は、3つの木材24a,24bおよび24cを交互に向きを変えて幅接加工したものである。すなわち、木板部23の両端部に位置する木材24aと木材24cの木表面7は同一方向を向いているのに対して、木材24aと木材24cの間に位置する木材24bは木表面7が反対方向を向くように配置されている。これにより、木板部23の反りを幅方向Wに均一化することができ、木板部3の反りを低減することができる。
実施の形態2
上記の実施の形態1では、室内外用板部材1はテーブルの天板として用いられたが、室内外で用いられる家具および建具などに幅広く用いることができ、これに限られるものではない。例えば、図12に示すように、室内外用板部材をドアに用いることもできる。このドアは、室内外用板部材25と、室内外用板部材25を回動可能に固定する蝶番26と、ドアを開閉するためのドアノブ27とを有する。
室内外用板部材25は、木材から構成された木板部28と、木板部28の木表面および木裏面に年輪の湾曲線に対向して延びるように接着される一対の反り拘束部29と、木板部28の木表面および木裏面にその長辺と平行に延びるように接着される一対の撓み拘束部30と、蝶番26の固定箇所に対応して木板部28に接着される緩み止め部31とを有する。
反り拘束部29および撓み拘束部30により、木板部28の反りおよび撓みを抑制することができる。ここで、木板部28の撓みとは、温度および湿度などの周囲環境に応じて生じる反りを含むものである。また、蝶番26を固定する固定具32が緩み止め部31を介して木板部28内に差し込まれることにより、固定具32を緩み止め部31に強固に固定することができ、固定具32に緩みが生じることを抑制することができる。また、ドアノブ27の固定箇所に新たな緩み止め部33を配置することもでき、ドアノブ27を固定する固定具が緩み止め部33を介して木板部28内に差し込まれることにより、ドアノブ27の固定具に緩みが生じることを抑制することもできる。
このように、木板部28に反り拘束部29、撓み拘束部30および緩み止め部31を接着するだけで木板部28の反りおよび撓みが拘束されると共に固定具32が木板部28に強固に固定されるため、高品質なドアを簡便に得ることができる。特に、玄関に用いられるドアは、外部に露出する外面と室内に露出する内面との間で温度および湿度の差が大きく、木板部28が大きく変形されるおそれがあるが、反り拘束部29および撓み拘束部30により木板部28の変形を確実に抑制することができる。
さらに、ドアは、室内外用板部材25の木板部28が木材から構成されているため、調湿機能を有する。このため、室内にドアを設置することにより、室内の湿度を一定に調整することができる。木板部28を構成する木材としては、高い調湿機能を有するスギ材を用いることが好ましい。
また、室内外用板部材25の内部が木材で満たされているため、ドアを設置した際に音漏れを確実に抑制することができる。ここで、室内外用板部材25の内部を木材で満たすことによりドアが重くなるおそれがあるが、他の木材と比較して軽いスギ材から木板部28を構成することにより、ドアを軽量化することができる。
このように、室内外用板部材1は、室内外で用いられる家具および建具などに幅広く用いることができる。また、家具および建具の他にも、例えば建物の内壁、建物の外壁および棚などに用いることができる。
実際に、木板部に撓み拘束部を接着して木板部の撓み難さを検証した。木板部としては、長さ4000mm、幅390mmおよび厚さ25mmのスギ材で5kN/mmの弾性率を有するものを用いた。撓み拘束部としては、長さ4000mm、幅50mmおよび厚さ1.2mmの炭素繊維強化プラスチックで152kN/mmの弾性率を有するものを用いた。その結果、撓み拘束部を接着していない木板部は最大約25mmの撓みが生じたのに対し、撓み拘束部を接着した木板部にはほとんど撓みが生じなかった。
このことから、木板部に撓み拘束部を接着することにより、木板部の撓みを確実に抑制できることがわかる。
次に、木板部に緩み止め部を接着して固定具の緩み難さを検証した。木板部にはスギ材を用いた。緩み止め部には、繊維長10mmの炭素繊維強化プラスチックと、繊維長50mmの炭素繊維強化プラスチックを用いた。また、固定具には、炭素繊維用ねじ(テーパーねじ)を用いた。緩み止め部を介して固定具を木板部に20mm差し込んだ後、固定具の差し込み方向に対して反対側に引抜強さを変えて固定具を引抜き、固定具が木板部から引き抜かれた時の引抜強さを測定した。
その結果を図13に示す。緩み止め部なしで木板部に直接差し込まれた固定具は1.4kNの引抜強さを加えた時に引き抜かれたのに対して、緩み止め部を介して木板部に差し込まれた固定具は1.5kN以上の引抜強さを加えない限り引き抜かれることはなかった。このことから、緩み止め部を介して固定具を木板部に差し込むことにより、固定具の緩みを確実に抑制できることがわかる。また、繊維長が10mmの緩み止め部に対して、繊維長が50mmの緩み止め部では、固定具に加える引抜強さが1.5kNから2.7kNに大きく上昇した。このことから、緩み止め部の繊維長を長くすることにより、固定具の緩みをさらに確実に抑制できることがわかる。
なお、スギ材より柔らかい材木を想定して、ポリスチレンの発砲体、いわゆる発泡スチロールに緩み止め部を介して固定具を差し込んだところ固定具を発泡スチロールに固定することができた。このことから、スギ材より柔らかい材木から木板部を形成した場合でも緩み止め部を用いて固定具を強固に固定できることがわかった。
1,25 室内外用板部材、2,21 脚部、3,23,28 木板部、4 形状拘束部、5,31,33 緩み止め部、6 年輪、7 木表面、8 木裏面、9 小口面、10 木端面、11 湾曲線、12,29 反り拘束部、13,22,30 撓み拘束部、14 拘束部用溝部、15 緩み止め部用溝部、16 フランジ、17,32 固定具、18 外装シート、24a,24b,24c 木材、26 蝶番、27 ドアノブ、W 幅方向、L 長さ方向。

Claims (8)

  1. 板状に形成された木材から構成され、一方の面と他方の面が木材に形成された年輪の内側と外側に位置する木板部と、
    プラスチック複合材料を含み、前記年輪の湾曲線に対向して延びるように前記一方の面と前記他方の面に接着される一対の形状拘束部とを備える室内外用板部材。
  2. 板状に形成された木材から構成され、一方の面と他方の面を有する木板部と、
    プラスチック複合材料を含み、前記一方の面と前記他方の面の少なくとも1つの辺と平行に延びるように前記一方の面と前記他方の面に接着される一対の形状拘束部とを備える室内外用板部材。
  3. 前記一対の形状拘束部は、前記一方の面と前記他方の面において、前記木板部を挟んで互いに対向する位置に配置される請求項1または2に記載の室内外用板部材。
  4. 前記一対の形状拘束部は、前記一方の面に接着される複数の一面側拘束部と、前記他方の面に接着される複数の他面側拘束部とからなり、前記複数の一面側拘束部と前記複数の他面側拘束部はそれぞれ等間隔に配列される請求項1〜3のいずれか一項に記載の室内外用板部材。
  5. 前記木板部は、スギ材から構成される請求項1〜4のいずれか一項に記載の室内外用板部材。
  6. 前記木板部と前記一対の形状拘束部を覆うように配置され、外部と内部の間を気体が通過可能な材料から構成された外装シートをさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の室内外用板部材。
  7. 板状に形成された木材から構成された木板部と、
    プラスチック複合材料を含み、前記木板部の固定箇所に対応して接着される緩み止め部と
    を備え、
    前記木板部を固定する固定具が、前記緩み止め部を貫通して前記木板部内に差し込まれる室内外用板部材。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の室内外用板部材と、
    前記室内外用板部材を支持する脚部とを備えるテーブル。

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