JP2016150306A - エレクトロスプレー装置 - Google Patents

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清人 山本
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Tatsuo Hatakeyama
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Abstract

【課題】マスクが汚染されることを抑制しながら、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを抑制することが可能なエレクトロスプレー装置を提供する。【解決手段】このエレクトロスプレー装置100は、開口部2aの端部2b近傍におけるノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向に沿った第1距離L1を、開口部2aの端部2b近傍以外におけるノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向に沿った第2距離L2よりも小さく設定した状態で、ノズル1が対応する塗布領域200a内で移動しながら溶液材料を噴霧することにより、薄膜201を形成するように構成されている。【選択図】図1

Description

この発明は、エレクトロスプレー装置に関し、特に、ノズルと基板との間に配置されるマスクを備えるエレクトロスプレー装置に関する。
従来、ノズルと基板との間に配置されるマスクを備えるエレクトロスプレー装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、溶液を収容するノズルと、ノズルと基板との間に設けられているマスクとを備えるエレクトロスプレー装置が開示されている。マスクには、開口部が設けられている。そして、このエレクトロスプレー装置では、ノズルから帯電した液滴が、マスクの開口部を介して基板に噴霧されることにより、基板上に薄膜が形成される。
ここで、上記特許文献1のような従来のエレクトロスプレー装置では、平面視において、ノズルが開口部の端部近傍を移動している際、エレクトロスプレー(液滴)がマスクの開口部の端部近傍の部分にかかるため、マスクが汚染されるという不都合があった。
そこで、この不都合を解消するために、エレクトロスプレー(液滴)がマスクの開口部の端部近傍の部分にかからないように、平面視において、ノズルを開口部の端部近傍から内側に移動させた状態で、液滴を基板に噴霧することが考えられる。
特開2011−175921号公報
ここで、上記特許文献1のような従来のエレクトロスプレー装置では、エレクトロスプレーによる円形のスプレー領域のうち、端部近傍の液滴の塗布量が中央部の塗布量に比べて少ない。このため、エレクトロスプレー(液滴)がマスクの開口部の端部近傍の部分にかからないように、平面視において、ノズルを開口部の端部近傍から内側に移動させた状態で、液滴を基板に噴霧した場合、マスクの開口部の端部近傍に対応する部分の薄膜の厚みが他の部分の厚みに比べて小さくなる。すなわち、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、マスクが汚染されることを抑制しながら、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを抑制することが可能なエレクトロスプレー装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるエレクトロスプレー装置は、ノズルから噴霧された溶液材料を、基板に薄膜として堆積させるエレクトロスプレー装置であって、溶液材料に電圧を印加した状態で噴霧するノズルと、ノズルと基板との間に配置されるマスクとを備え、マスクには、基板の溶液材料が塗布される塗布領域に対応するように開口部が設けられており、開口部の端部近傍におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第1距離を、開口部の端部近傍以外におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第2距離よりも小さく設定した状態で、ノズルが対応する塗布領域内で移動しながら溶液材料を噴霧することにより、薄膜を形成するように構成されている。
この一の局面によるエレクトロスプレー装置では、上記のように、開口部の端部近傍におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第1距離を、開口部の端部近傍以外におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第2距離よりも小さく設定することによって、開口部の端部近傍におけるエレクトロスプレーの直径(塗布径)が小さくなるので、エレクトロスプレーがマスクにかかることが抑制される。また、開口部の端部近傍におけるエレクトロスプレーの直径が小さくなることにより、局所的に溶液材料を塗布することができるので、薄膜の厚みを局所的に調整することができる。ここで、スプレーされた溶液材料(薄膜)は、薄膜の中央部から端部に向かって膜厚が小さくなる。一方、マスクの開口部内(塗布領域内)においてスプレーにより形成される薄膜の端部同士が重なるように塗布することにより、所望の膜厚を有する薄膜が形成される。しかしながら、形成された全体の薄膜の最外周部では溶液材料が重ねて塗布されないので、膜厚は小さいままである。これに対して、本発明では、エレクトロスプレーの直径が小さくなることにより、スプレーされた溶液材料(薄膜)の膜厚が小さくなる部分も小さくなる。その結果、マスクが汚染されることを抑制しながら、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを抑制することができる。
上記一の局面によるエレクトロスプレー装置において、好ましくは、ノズルは、平面視において、ノズルから噴霧された溶液材料のスプレーが、マスクにオーバーラップする領域が、オーバーラップしない領域よりも小さくなるように、開口部の端部から内側で、かつ、基板の表面に沿った方向に、所定の距離隔てた端部近傍において、第1距離を第2距離よりも小さく設定した状態で、溶液材料を噴霧することにより、薄膜を形成するように構成されている。このように構成すれば、溶液材料のスプレーがマスクにかかることがより抑制されるので、マスクが汚染されることをより抑制しながら、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを抑制することができる。
上記一の局面によるエレクトロスプレー装置において、好ましくは、ノズルは、平面視において、塗布領域内において渦巻き状に移動しながら溶液材料を噴霧するように構成されており、渦巻き状に移動するノズルの経路のうち最も外側の最外周経路は、開口部の端部近傍に位置し、最外周経路において、ノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第1距離を、最外周経路以外の経路をノズルが移動する場合のノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第2距離よりも小さく設定するように構成されている。このように構成すれば、開口部の周状の端部の全領域においてマスクが汚染されることが抑制されるので、マスクが汚染されることをさらに抑制しながら、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを抑制することができる。
上記一の局面によるエレクトロスプレー装置において、好ましくは、開口部の端部近傍において、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズルの移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方により、薄膜の膜厚を調整するように構成されている。開口部の端部近傍におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第1距離を、開口部の端部近傍以外における第2距離よりも小さく設定することによる膜厚のばらつきを抑制することに加えて、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズルの移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方により、薄膜の膜厚を調整することが行われるので、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることをより抑制することができる。また、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズルの移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方を行うことにより、薄膜の膜厚が大きくなるように調整されるので、比較的膜厚が小さくなりやすい薄膜の外周部において、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを効果的に抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、マスクが汚染されることを抑制しながら、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを抑制することができる。
本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の全体図(図2の300−300線に沿った断面図)である。 本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の塗布領域およびマスクを下方から見た図である。 図2の部分拡大部である。 比較例1によるエレクトロスプレー装置の全体図(図5の500−500線に沿った断面図)である。 比較例1によるエレクトロスプレー装置の塗布領域およびマスクを下方から見た図である。 比較例2によるエレクトロスプレー装置の塗布領域およびマスクを下方から見た図である。 比較例2によるエレクトロスプレー装置によって形成された薄膜を示す図である。 本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置によって形成された薄膜を示す図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[本実施形態]
(エレクトロスプレー装置の構成)
図1および図2を参照して、本実施形態によるエレクトロスプレー装置100の構成について説明する。エレクトロスプレー装置100は、ノズル1から噴霧された溶液材料を、基板200に薄膜201として堆積させるように構成されている。
図1に示すように、エレクトロスプレー装置100は、溶液材料に電圧を印加した状態で噴霧するノズル1を備えている。なお、ノズル1は、基板200の下方(Z2方向側)から上方(Z1方向側)に向かって、溶液材料を噴霧するように構成されている。
また、エレクトロスプレー装置100は、ノズル1と基板200との間に配置されるマスク2を備えている。マスク2は、樹脂などの絶縁部材により形成されている。また、マスク2には、基板200の溶液材料が塗布される塗布領域200aに対応するよう開口部2aが設けられている。図2に示すように、開口部2aは、平面視において(Z軸方向から見て)、略矩形形状を有する。
また、図1に示すように、エレクトロスプレー装置100は、アースプレート3を備えている。アースプレート3には、アースプレート3の下面(Z2方向側の面)に基板200が載置される。また、アースプレート3は、接地されている。これにより、ノズル1とアースプレート3(基板200)との間に電界が生じる。その結果、電圧が印加された溶液材料が基板200に向かって飛行することにより、基板200の表面上に薄膜201が形成される。
ここで、本実施形態では、図1に示すように、開口部2aの端部2b近傍におけるノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向(Z方向)に沿った第1距離L1を、開口部2aの端部2b近傍以外におけるノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向(Z方向)に沿った第2距離L2よりも小さく設定した状態で、ノズル1が対応する塗布領域200a内で移動しながら溶液材料を噴霧することにより、薄膜201を形成するように構成されている。
たとえば、第1距離L1は、第2距離L2に比べて約60%の大きさに設定される。これにより、開口部2aの端部2b近傍(第1距離L1)においてノズル1から噴霧されたエレクトロスプレー4aの直径R1(塗布径)は、開口部2aの端部2b近傍以外(第2距離L2)においてノズル1から噴霧されたエレクトロスプレー4bの直径R2よりも小さく(約2/3)なる。なお、エレクトロスプレー4a(エレクトロスプレー4b)は、略円錐形状を有している。また、ノズル1と基板200との間の第1距離L1が小さすぎる場合、ノズル1から基板200(アースプレート3)に放電が生じる。したがって、第1距離L1は、ノズル1からの放電が生じない距離に設定する必要がある。なお、エレクトロスプレー4aおよび4bは、本発明の「スプレー」の一例である。
また、図3に示すように、ノズル1(ノズル1の中心1a)は、平面視において(Z方向から見て)、ノズル1から噴霧された溶液材料のスプレー(エレクトロスプレー4a)が、マスク2にオーバーラップする領域A1(細かいハッチングの領域)が、オーバーラップしない領域A2(粗いハッチングの領域)よりも小さくなるように、開口部2aの端部2bから内側で、かつ、基板200の表面に沿った方向(X方向、Y方向)に、所定の距離L3(たとえば、約5mm)隔てた端部2b近傍に配置される。そして、ノズル1は、第1距離L1を第2距離L2よりも小さく設定した状態で、溶液材料を噴霧することにより、薄膜201を形成するように構成されている。
なお、開口部2aの端部2b近傍(後述する最外周経路5a)では、エレクトロスプレー4aの一部が、マスク2にかかっている。一方、帯電した溶液材料は、マスク2に蓄積された電荷により反発されるので、マスク2にオーバーラップするエレクトロスプレー4aの全てがマスク2に堆積されずに、一部はマスク2の開口部2aの内側に反発される。
また、図2に示すように、ノズル1は、平面視において、塗布領域200a内において渦巻き状に移動しながら溶液材料を噴霧するように構成されている。具体的には、ノズル1は、平面視において、対応する塗布領域200a内において、外側から内側に渦巻き状に移動しながら移動するように構成されている。詳細には、ノズル1は、平面視において、略矩形形状の開口部2aの角部2c近傍のB1点(角部2cからY1方向およびX2方向に距離L3離間した点)から溶液材料の噴霧を開始する。そして、溶液材料を噴霧しながら、Y1方向に沿って直線的にB2点まで移動する。その後、B2点からB3点にX2方向に沿って直線的に移動する。さらに、B3点からB4点にY2方向に沿って直線的に移動する。その後、B4点からB1点の近傍のB5点(B1点からX2方向側に距離L4隔てた点)に直線的に移動する。そして、塗布領域200aの中央部近傍まで、同様の移動を繰り返す。なお、ノズル1は、平面視において、X方向(Y方向)に隣接する経路5同士の距離がいずれもL4になるように、塗布領域200a内で渦巻き状に移動するように構成されている。なお、本実施形態では、開口部2aの端部2bからの所定の距離L3と、隣接する経路5同士の距離L4とは、略等しい。
ここで、本実施形態では、渦巻き状に移動するノズル1の経路5のうち最も外側の最外周経路5a(図2の経路5のうち点線で示される経路)は、開口部2aの端部2b近傍に位置している。そして、最外周経路5aにおいて、ノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向(Z方向)に沿った第1距離L1を、最外周経路5a以外の経路5b(図2の経路5のうち実線で示される経路)をノズル1が移動する場合のノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向(Z方向)に沿った第2距離L2よりも小さく設定するように構成されている。なお、ノズル1は、最外周経路5aのうちの全てにおいて、ノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向(Z方向)に沿った距離が、第1距離L1に設定されている。
また、本実施形態では、開口部2aの端部2b近傍において、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズル1の移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方により、薄膜201の膜厚を調整するように構成されている。たとえば、最外周経路5aにおいて、形成される薄膜201の膜厚が略均一になるように、シリンジポンプ(図示せず)からの溶液材料の供給量が多くされる。また、形成される薄膜201の膜厚が均一になるように、ノズル1の移動速度が、最外周経路5a以外の経路5bにおける移動速度の約50%〜約80%に低減される。ここで、最外周経路5a以外の経路5bでは、この経路5bにおけるエレクトロスプレー4bに対して、両側に隣接する経路5a(または経路5b)のエレクトロスプレー4a(または4b)が重なるため、その分膜厚が大きくなる。一方、最外周経路5aでは、最外周経路5aにおけるエレクトロスプレー4aに対して、内側に隣接する経路5bのエレクトロスプレー4bのみが重なるため、その分膜厚が小さくなる。そこで、最外周経路5aでは、薄膜の膜厚を大きくするように、溶液材料の吐出量およびノズル1の移動速度が調整されている。なお、本実施形態では、開口部2aの端部2b近傍において、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズル1の移動速度を小さくすることの両方が行われている。
最外周経路5aにおいて、ノズル1に印加される電圧は、最外周経路5a以外の経路5bにおける電圧よりも小さく設定される。たとえば、ノズル1に印加される電圧が、最外周経路5a以外の経路5bにおける電圧の約80%〜約90%に設定される。これにより、ノズル1と基板200との間が近すぎることに起因するテーラーコーン(ノズル1の先端に形成される円錐状の溶液材料)の乱れを抑制することが可能になる。
(比較例1と本実施形態との比較)
次に、図4および図5に示す比較例1によるエレクトロスプレー装置400と比較しながら、マスク2(マスク402)への溶液材料の付着量について行った実験について説明する。
図4に示すように、比較例1によるエレクトロスプレー装置400は、ノズル401と、マスク402と、アースプレート403とを備えている。そして、図5に示すように、比較例1によるエレクトロスプレー装置400では、ノズル401は、平面視において、マスク402の開口部402aの端部402bに沿うように、移動するように構成されている。すなわち、本実施形態のエレクトロスプレー装置100では、図2に示すように、平面視において、マスク2の開口部2aの端部2bから内側で、かつ、基板200の表面に沿った方向に、所定の距離L3隔てた端部2b近傍から溶液材料の塗布が開始されるのに対して、比較例1のエレクトロスプレー装置400では、マスク402の開口部402aの端部402bの直上から溶液材料の塗布が開始される。また、比較例1では、平面視において、エレクトロスプレー405の約1/2以上の領域A3(ハッチングの領域)が、マスク402にオーバーラップする。また、比較例1によるエレクトロスプレー装置400では、ノズル401と、基板404との間の基板404に垂直な方向に沿った距離は、全ての経路406において、一定(第2距離L2、図1参照)である。
そして、溶液材料の塗布が終了した後、比較例1のエレクトロスプレー装置400のマスク402に付着する溶液材料の付着量と、本実施形態のエレクトロスプレー装置100のマスク2に付着する溶液材料の付着量とを測定した。その結果、比較例1のエレクトロスプレー装置400では、塗布領域404aに塗布される全塗布量の約3%〜約4%の量(重量)の溶液材料がマスク402に付着していることが判明した。一方、本実施形態のエレクトロスプレー装置100では、塗布領域200aに塗布される全塗布量の約1%〜約2%の量(重量)の溶液材料がマスク2に付着していることが判明した。その結果、比較例1よりも本実施形態の方が、マスク2の汚染が抑制されることが確認された。
(比較例2と本実施形態との比較)
次に、図6に示す比較例2によるエレクトロスプレー装置600と比較しながら、基板200に形成される薄膜201(薄膜605)の厚みについて行った実験について説明する。
図6に示すように、比較例2によるエレクトロスプレー装置600では、本実施形態のエレクトロスプレー装置100と同様に、マスク602の開口部602aの端部602bから内側で、かつ、基板603の表面に沿った方向に、所定の距離L3隔てた端部602b近傍から、溶液材料の塗布が開始される。一方、比較例2によるエレクトロスプレー装置600では、本実施形態のエレクトロスプレー装置100とは異なり、ノズル601と基板603との間の基板603に垂直な方向に沿った距離は、全ての経路604において、一定(第2距離L2、図1参照)である。
図7に示すように、比較例2によるエレクトロスプレー装置600では、基板603に堆積される薄膜605は、外周部605a(マスク602の開口部602aの端部602bに対応する領域)の厚みt1が、他の領域の厚みt1に比べて著しく小さくなることが判明した。これに対して、図8に示すように、本実施形態によるエレクトロスプレー装置100では、基板200に堆積される薄膜201は、外周部201a(マスク2の開口部2aの端部2bに対応する領域)の厚みt2が、比較例2による薄膜605の厚みt1に比べて、ばらつきが小さくなることが判明した。その結果、比較例2よりも本実施形態の方が、形成される薄膜201の厚みt2のばらつきが抑制されることが確認された。
(本実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態では、上記のように、開口部2aの端部2b近傍におけるノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向に沿った第1距離L1を、開口部2aの端部2b近傍以外におけるノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向に沿った第2距離L2よりも小さく設定する。これにより、開口部2aの端部2b近傍におけるエレクトロスプレー4aの直径R1(塗布径)が小さくなるので、エレクトロスプレー4aがマスク2にかかることが抑制される。また、開口部2aの端部2b近傍におけるエレクトロスプレー4aの直径R1が小さくなることにより、局所的に溶液材料を塗布することができるので、薄膜201の厚みを局所的に調整することができる。ここで、スプレーされた溶液材料(薄膜)は、薄膜の中央部から端部に向かって膜厚が小さくなる。一方、マスク2の開口部2a内(塗布領域内)においてスプレーにより形成される薄膜の端部同士が重なるように塗布することにより、所望の膜厚を有する薄膜201が形成される。しかしながら、形成された全体の薄膜201の最外周部では溶液材料が重ねて塗布されないので、膜厚は小さいままである。これに対して、第1実施形態では、エレクトロスプレー4aの直径R1が小さくなることにより、スプレーされた溶液材料(薄膜)の膜厚が小さくなる部分も小さくなる。その結果、マスク2が汚染されることを抑制しながら、形成される薄膜201の厚みにばらつきが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、平面視において、ノズル1から噴霧された溶液材料のエレクトロスプレー4aが、マスク2にオーバーラップする領域A1(細かいハッチングの領域、図2参照)が、オーバーラップしない領域A2(粗いハッチングの領域、図2参照)よりも小さくなるように、ノズル1を、開口部2aの端部2bから内側で、かつ、基板200の表面に沿った方向に、所定の距離L3隔てた端部2b近傍において、第1距離L1を第2距離L2よりも小さく設定した状態で、溶液材料を噴霧することにより、薄膜201を形成するように構成する。これにより、エレクトロスプレー4aがマスク2にかかることがより抑制されるので、マスク2が汚染されることをより抑制しながら、形成される薄膜201の厚みにばらつきが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、ノズル1を、平面視において、塗布領域200a内において渦巻き状に移動しながら溶液材料を噴霧するように構成する。そして、渦巻き状に移動するノズル1の経路5のうち最も外側の最外周経路5aは、開口部2aの端部2b近傍に位置し、最外周経路5aにおいて、ノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向に沿った第1距離L1を、最外周経路5a以外の経路5bをノズル1が移動する場合のノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向に沿った第2距離L2よりも小さく設定するように構成する。これにより、開口部2aの周状の端部2bの全領域(略矩形形状の開口部2aの全周)においてマスク2が汚染されることが抑制されるので、マスク2が汚染されることをさらに抑制しながら、形成される薄膜201の厚みにばらつきが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、開口部2aの端部2b近傍において、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズル1の移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方により、薄膜201の膜厚を調整する。これにより、開口部2aの端部2b近傍におけるノズル1と基板200との間の基板200に垂直な方向に沿った第1距離L1を、開口部2aの端部2b近傍以外における第2距離L2よりも小さく設定することによる膜厚のばらつきを抑制することに加えて、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズル1の移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方により、薄膜201の膜厚を調整することが行われるので、形成される薄膜201の厚みにばらつきが生じることをより抑制することができる。また、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズル1の移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方を行うことにより、薄膜201の膜厚が大きくなるように調整されるので、比較的膜厚が小さくなりやすい薄膜201の外周部201a(図8参照)において、形成される薄膜の厚みにばらつきが生じることを効果的に抑制することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、開口部の端部近傍におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第1距離を、開口部の端部近傍以外におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第2距離よりも小さく設定するとともに、開口部の端部から内側でかつ基板の表面に沿った方向に所定の距離隔てた端部近傍から溶液材料の噴霧を開始する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、開口部の端部近傍におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第1距離を、開口部の端部近傍以外におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第2距離よりも小さく設定するとともに、開口部の端部の直上において、溶液材料の噴霧を開始してもよい。これにより、開口部の端部の直上において、第1距離が小さくなる分、エレクトロスプレーの直径(塗布径)が小さくなるので、マスクへの溶液材料の付着量を低減することができる。
また、上記実施形態では、ノズルが、平面視において、塗布領域内において外側から内側に渦巻き状に移動する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ノズルが、平面視において、塗布領域内において内側から外側に渦巻き状に移動するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ノズルは、平面視において、塗布領域内において渦巻き状に移動しながら溶液材料を噴霧するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ノズルを、平面視において、塗布領域内において基板の表面に水平な方向(X方向またはY方向、図2参照)に往復移動するように構成してもよい。この場合、開口部の端部近傍におけて、ノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第1距離が、開口部の端部近傍以外におけるノズルと基板との間の基板に垂直な方向に沿った第2距離よりも小さく設定される。
また、上記実施形態では、開口部の端部近傍において、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズルの移動速度を小さくすることの両方により、薄膜の膜厚を調整する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、開口部の端部近傍において、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズルの移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方が行われていてもよい。
また、上記実施形態では、開口部の端部近傍において、膜厚が大きくなるように、溶液材料の吐出量を多くすること、および、ノズルの移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方により、薄膜の膜厚を調整する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、溶液材料の吐出量およびノズルの移動速度は変えずに、膜厚が大きくなるように、ノズルが移動する経路の間隔(基板の表面に水平な方向の間隔)を小さくすることにより、薄膜の膜厚を調整してもよい。
また、上記実施形態では、溶液材料が下方から上方に向かってノズルから噴霧される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、溶液材料が上方から下方に向かってノズルから噴霧されるようにしてもよい。また、溶液材料が横方に向かってノズルから噴霧されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、マスクに1つの開口部が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、マスクに複数の開口部が設けられていてもよい。この場合、各開口部に対応するように、複数のノズルが配置される。
また、上記実施形態では、開口部の端部からの所定の距離L3と、隣接する経路同士の距離L4とが略等しい例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、開口部の端部からの所定の距離L3を隣接する経路同士の距離L4よりも小さくしてもよい。
1 ノズル
2 マスク
2a 開口部
2b 端部
4a、4b エレクトロスプレー(スプレー)
5 経路
5a 最外周経路
5b (最外周経路以外の)経路
100 エレクトロスプレー装置
200 基板
200a 塗布領域
201 薄膜
A1 (オーバーラップする)領域
A2 (オーバーラップしない)領域
L1 第1距離
L2 第2距離
L3 所定の距離

Claims (4)

  1. ノズルから噴霧された溶液材料を、基板に薄膜として堆積させるエレクトロスプレー装置であって、
    溶液材料に電圧を印加した状態で噴霧する前記ノズルと、
    前記ノズルと前記基板との間に配置されるマスクとを備え、
    前記マスクには、前記基板の溶液材料が塗布される塗布領域に対応するように開口部が設けられており、
    前記開口部の端部近傍における前記ノズルと前記基板との間の前記基板に垂直な方向に沿った第1距離を、前記開口部の端部近傍以外における前記ノズルと前記基板との間の前記基板に垂直な方向に沿った第2距離よりも小さく設定した状態で、前記ノズルが対応する塗布領域内で移動しながら溶液材料を噴霧することにより、薄膜を形成するように構成されている、エレクトロスプレー装置。
  2. 前記ノズルは、平面視において、前記ノズルから噴霧された溶液材料のスプレーが、前記マスクにオーバーラップする領域が、オーバーラップしない領域よりも小さくなるように、前記開口部の端部から内側で、かつ、前記基板の表面に沿った方向に、所定の距離隔てた前記端部近傍において、前記第1距離を前記第2距離よりも小さく設定した状態で、溶液材料を噴霧することにより、薄膜を形成するように構成されている、請求項1に記載のエレクトロスプレー装置。
  3. 前記ノズルは、平面視において、前記塗布領域内において渦巻き状に移動しながら溶液材料を噴霧するように構成されており、
    渦巻き状に移動する前記ノズルの経路のうち最も外側の最外周経路は、前記開口部の前記端部近傍に位置し、前記最外周経路において、前記ノズルと前記基板との間の前記基板に垂直な方向に沿った前記第1距離を、前記最外周経路以外の経路を前記ノズルが移動する場合の前記ノズルと前記基板との間の前記基板に垂直な方向に沿った前記第2距離よりも小さく設定するように構成されている、請求項1または2に記載のエレクトロスプレー装置。
  4. 前記開口部の前記端部近傍において、溶液材料の吐出量を多くすること、および、前記ノズルの移動速度を小さくすることのうちの少なくともいずれか一方により、薄膜の膜厚を調整するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
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