JP2016146451A - 冷却器付き半導体装置 - Google Patents

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亮太郎 岡本
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Abstract

【課題】本明細書は、冷却器付き半導体装置に関し、冷却器の冷媒流路に通じる開口とそれを塞ぐ金属板との間の密封性を高める技術を提供する。【解決手段】本明細書が開示する冷却器付き半導体装置2は、半導体モジュール8、冷却器本体7、金属板5、シール材10を備えている。半導体モジュール8は、半導体素子6を収容している。冷却器本体7は、一側面の内側に冷媒流路FLが設けられているとともに、その一側面に冷媒流路に通じる開口7aが設けられている。金属板5は、一方の面が開口7aを塞いでおり、他方の面が半導体モジュール8と接している。シール材10は、開口の周囲で冷却器本体7の表面と金属板5の間に挟まれている。シール材10は、金属板5に対向する面に、開口7aを囲む2本の突条を有している。金属板5には、2本の突条の間に形成される溝に嵌合する別の突条9が設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、冷却器付き半導体装置に関する。特に、液体冷媒を使った冷却器を伴う半導体装置に関する。
特許文献1に、冷却器付き半導体装置の一例が開示されている。特許文献1では、半導体装置を半導体ユニットと称している。その半導体ユニット(半導体装置)は、半導体素子を樹脂でモールドしており、樹脂モールド部(半導体モジュール)の一側面にヒートシンク(金属板)が備えられている。樹脂モールド部は、冷媒が流れる流路に通じる開口を有する流路ケース(冷却器本体)と組み合わされている。ヒートシンクが流路ケースの開口を塞いでいる。即ち、ヒートシンクの一方の面は樹脂モールド部内で半導体素子と熱的に接触しており、他方の面が冷媒の流路の開口を塞いでいる。開口周囲の流路ケースの表面とヒートシンクの間には、開口を一巡するようにシール材が配置されている。ヒートシンクのシール材と対向する位置に、先端が尖った突条が設けられている。突条はシール材と対向しつつシール材に沿って開口を一巡している。半導体ユニットを流路ケースに固定すると、突条がシール材の表面に食い込み、ヒートシンクとシール材の間がしっかりと封止される。
特開2010−27735号公報
特許文献1の冷却器付き半導体装置では、流路の開口を封止するシール材にヒートシンクの尖った突条が食い込む。それゆえ、シール材に過度な応力が生じてシール材が歪む虞がある。シール材が歪むと開口の封止の信頼性が低下する。本明細書は、一方の面が半導体モジュールに接しており他方の面が冷媒の流路に通じる開口を塞いでいる金属板を有する半導体装置(冷却器付き半導体装置)に係り、金属板による開口の封止の信頼性を高める技術を提供する。
本明細書が開示する冷却器付き半導体装置は、半導体素子を収容している半導体モジュールと、冷却器本体と、金属板と、シール材を備えている。冷却器本体は、その一側面の内側に冷媒流路が設けられているとともに、その一側面に、冷媒流路に通じる開口が設けられている。金属板は、一方の面が冷却器本体の開口を塞いでおり、他方の面が半導体モジュールと接している。シール材は、開口の周囲の本体表面と金属板との間に挟まれている。そのシール材は、金属板に対向する面と冷却器本体に対向する面の一方に、開口を囲む2本の突条を有している。そして、金属板と冷却器本体のうちその2本の突条と対向する側に、その2本の突条の間に形成される溝に嵌合する別の突条が設けられている。2本の突条と別の突条が嵌合することで、開口の封止の信頼性が向上する。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の半導体装置の斜視図である。 金属板の裏面の斜視図である。 図1のIII−III線に沿った断面図である。 シール材周辺の部分拡大断面図である(シール材と金属板が離れている状態)。 シール材周辺の部分拡大断面図である(シール材と金属板が接合している状態)。 比較例のシール材の断面図である。 別の比較例のシール材の断面図である。
図面を参照して実施例の冷却器付き半導体装置2を説明する。以下、説明を簡単にするため、「冷却器付き半導体装置2」を単に「半導体装置2」と称する。図1に、半導体装置2の斜視図を示す。半導体装置2は、半導体素子6を封止した半導体モジュール8に冷却器が取り付けられたデバイスである。図1では、半導体モジュール8と冷却器本体7を分離して描いてある。
半導体モジュール8は、半導体素子6を樹脂で封止したパッケージ3と、そのパッケージ3の一面に取り付けられた絶縁板4を備える。パッケージ3の側面には半導体素子6の電極と導通している端子が設けられているが、図ではその端子の図示を省略している。絶縁板4にはグリス(不図示)を挟んで金属板5が取り付けられている。後述するように、金属板5は、半導体素子6の熱を放出するヒートシンクの役割を果たす。
冷却器本体7も樹脂で作られており、その内部に液体冷媒が流れる冷媒流路FLが形成されている。冷媒流路FLは、冷却器本体7の表面7bの内側に設けられている。その表面7bには、冷媒流路FLに通じる開口7aが設けられている。開口7aは、半導体モジュール8の対向面の輪郭よりもやや小さい大きさである。
冷却器本体7の別の側面に冷媒入口7cが設けられており、冷媒流路FLを挟んで冷媒入口7cの反対側には冷媒出口7dが設けられている。冷媒入口7cには不図示の冷媒供給管が接続され、冷媒出口7dには不図示の冷媒排出管が接続される。冷媒入口7cから供給された冷媒は、図中の座標系のY軸に沿って流れ、冷媒出口7dから排出される。冷媒は液体であり、水、あるいは、LLC(Long Life Coolant)が好ましい。
図2に示すように、金属板5の冷媒流路FLに面している側には複数のフィン21が設けられている。図2は、図1とは座標系の向きが異なることに留意されたい。また、図3に、図1に記したIII−III線に沿った断面図を示す。半導体モジュール8が冷却器本体7と組み合わされると、複数のフィン21は、冷媒流路FLの中に位置することになる。複数のフィン21も図中のY軸方向に沿って延びている。即ち、フィン21は、冷媒の流れ方向に沿って延びることになる。半導体素子6の熱は、主に複数のフィン21を通じて液体冷媒へと伝達される。なお、図3には、半導体モジュール8と金属板5の間にグリス22が塗布されていることが示されている。
図1−図3を参照して、開口7aと金属板5との間の封止について説明する。冷却器本体7の表面7bには、開口7aを囲むように、シール材10が配置されている。半導体モジュール8が冷却器本体7と組み合わされる際、シール材10を挟んで金属板5が開口7aを塞ぐ。別言すれば、シール材10は、開口7aの周囲の本体表面7bと金属板5の間に挟まれる。シール材10により、金属板5と開口7aとの間の水密性が確保される。
金属板5は、典型的にはアルミニウムで作られており、シール材10は、例えば、シリコンゴムで作られている。また、半導体モジュール8と冷却器本体7は、それらの積層方向に圧縮荷重を受けており、その圧縮荷重により、金属板5と開口7aとの間の封止が確保されている。圧縮荷重を加える構造は図示を省略しているが、例えば、パッケージ3にボルト挿通用のリブが設けられており、そのリブと冷却器本体7がボルトで相互に固定され、圧縮荷重が加えられる。
シール材10には開口7aを囲む2本の突条が設けられており、金属板5の側には、別の突条9が設けられている。シール材側の2本の突条をシール側突条12(符号は図4参照)と称し、金属板5の突条を金属板側突条9と称する。2本のシール側突条12の間に形成される溝に金属板側突条9が嵌合し、開口7aと金属板5の間の水密性が高い信頼性で確保される。
図4と図5に、シール材10の周辺の部分拡大断面図を示す。図4と図5では、半導体モジュール8の図示は省略している。図4では、金属板5をシール材10から離して描いてある。なお、シール材10が開口7aを囲んでいる様子は図1を参照されたい。シール材10は、基部10aが冷却器本体7の表面7bに取り付けられている。基部10aの金属板5と対向する面に2本の突条(シール側突条12)が形成されている。2本のシール側突条12の間に溝13が形成される。金属板5のシール材10と対向する側には別の突条(金属板側突条9)が形成されている。金属板側突条9の断面の輪郭形状は、溝13の断面の輪郭形状と同じである。従って、金属板5が開口7aを塞ぐように冷却器本体7に取り付けられると、シール側突条12の上面が金属板5の表面5aに面接触し、溝13の側面13bが金属板側突条9の側面9bと面接触し、溝13の底面13cが金属板側突条9の頭頂面9aと面接触する。図5に、2本のシール側突条12と金属板側突条9とがぴったりと面接触している状態が示されている。2本のシール側突条12は、平行であり、図5の状態が、開口7aを囲むシール材10のいずれの断面でも実現されている。それゆえ、開口7aと金属板5の間の水密性が高い信頼性で確保される。
図5に示す矢印太線は、金属板側突条9を含む金属板5に加わる荷重(面圧)を示している。図4と図5に示す構造は、広い面積で2本のシール側突条12と金属板側突条9が面接触するので、面圧が均等に小さくなる。別言すれば、図4と図5に示す構造は、シール材10に偏った局所的な集中荷重が加わり難く、シール材10において内部クラックの発生や圧縮永久歪の増加が抑制される。即ち、図4と図5の構造は、水密性の信頼性が高い。
特に、図4、図5の構造では、溝の側面13b(即ち、2本のシール側突条12の内側の側面)が傾斜しており、これに対応して金属板側突条9の側面9bも傾斜している。傾斜している面同士が面接触し、それらの面に作用する荷重の方向は、金属板5の垂直方向(冷却器本体の表面7bの垂直方向)に対して角度をなす。荷重の方向が分散することも、開口7aと金属板5の間の封止性を高めることに寄与する。
また、金属板側突条9が2本のシール側突条12の間の溝に嵌合する構造は、金属板5の横方向の位置決めに貢献する。なお、「横方向」とは、図中の座標系のX軸方向であり、冷却器本体7の表面7bに平行な方向を意味する。
比較例を図6と図7に示す。図6と図7に示す矢印太線も、図5と同様に、金属板側突条を含む金属板に加わる荷重(面圧)を示している。図6の比較例は、シール材110は2本のシール側突条112を有するが、シール材110と対向する金属板105は平坦である。それゆえ、金属板105をシール材110に押し当てると、2本のシール側突条112の間に空隙Sp1が生じる。図6の構造は、シール材110と金属板105との間の接触面積が実施例の場合と比較して小さくなり、シール材110と金属板105の間に作用する面圧が大きくなる(図5の矢印太線よりも長い図6の矢印太線が、面圧が大きいことを表している)。また、図6の構造は、金属板105の横方向の位置を規制する突起が無いので、金属板105のシール材110に対する横方向の位置決め精度が低い。さらに、図6の構造は、2本のシール側突条112の側面が拘束されないので、シール側突条112が横方向に振れ易くなる。
図7の比較例は、シール材210は突条を有しておらず、基部210aの金属板205と対向する面が平坦である。一方、金属板205には、突条209が設けられている。この構造では、金属板205をシール材210に押し当てると、突条209に荷重されて基部210aの中央が窪み、結果的に、基部210aの頭頂部の両側に突条213が形成される。但し、この構造では、突条209の先端に荷重が集中し、クラックが発生する可能性が高まる。図6の矢印太線よりもさらに大きい図7の中央の矢印太線が、面圧がより一層大きいことを表している。なお、金属板205の突条213が当接する部位にも面圧が生じるが、その面圧は、突条209に対して作用する面圧よりも小さい。また、突条209の両側に空隙Sp2が生じ、シール材210と金属板205の接触面積が減少し、封止性能が損なわれる。
以上のとおり、図1−図5に示した実施例の半導体装置2における封止構造は、図6と図7に示した比較例の構造と比較して水密性の信頼性が高い。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。図1−図5に示した封止構造は、上記した利点のほか、次の利点も有する。実施例の封止構造は、図4、図5に示すように、シール材10を横切る方向(図中のY軸方向)においてシール材10と金属板5が接触する長さが長い。このことは、仮にシール材10と金属板5との間に異物が挟まっても、異物が小さければ、水密性を維持できることを意味する。即ち、実施例の封止構造は、シール材10と金属板5との間の異物に対して堅牢である。
金属板側突条9は、アルミプレートなどの金属板をプレス加工することで形成することができる。一方、シール材10は、冷却器本体7と一体となった液状射出成形ゴムで作ることが好ましい。液状射出成形(LIM:Liquid Injection Molding)は、液状シリコーンの射出成形技術の一つであり、精密な形状を大量生産するのに適している。また、液状射出成形加工を採用することで、金属板側突条9との接触状態を良好に保つための形状設計の自由度が拡がるとともに、シール材10と冷却器本体7の界面からの冷媒漏れを防止することができる。さらに、液状射出成形加工を採用することで、シール材10の組み付け自由度の向上が期待できる。
実施例の半導体装置2では、樹脂製の冷却器本体7にシール材10を取り付け、シール材の金属板5と対向する面に2本の突条(シール側突条)を設けた。これとは逆に、金属板にシール材を取り付け、シール材の冷却器本体と対向する面に2本の突条を設けてもよい。その場合、冷却器本体の側に、2本の突条の間の溝に嵌合する別の突条を設ける。冷却器本体は樹脂製であるため、別の突条は、冷却器本体を射出成形する際に同時に形成することが可能である。
半導体装置2のパッケージ3が封止する半導体素子6は、トランジスタ、ダイオード、コンデンサなど、どのような種類の半導体素子であってもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:半導体装置(冷却器付き半導体装置)
3:パッケージ
4:絶縁板
5:金属板
6:半導体素子
7:冷却器本体
7a:開口
7b:表面
8:半導体モジュール
9:金属板側突条
10:シール材
10a:基部
12:シール側突条
13:溝
21:フィン
22:グリス

Claims (1)

  1. 半導体素子を収容している半導体モジュールと、
    一側面の内側に冷媒流路が設けられているとともに、当該一側面に前記冷媒流路に通じる開口が設けられている冷却器本体と、
    一方の面が前記開口を塞いでおり、他方の面が前記半導体モジュールと接している金属板と、
    前記開口の周囲で冷却器本体の表面と前記金属板の間に挟まれているシール材と、
    を備えており、
    前記シール材は、前記金属板に対向する面と前記冷却器本体に対向する面の一方に、前記開口を囲む2本の突条を有しており、
    前記金属板と前記冷却器本体のうち、前記2本の突条と対向する側に、前記2本の突条の間に形成される溝に嵌合する別の突条が設けられていることを特徴とする冷却器付き半導体装置。
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