《第1実施形態》
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態では、共用車両管理装置を、複数のユーザが複数のステーションに配置された複数の共用車両を共用するカーシェアリングシステムを管理運営する共用車両管理システムに適用した例を用いて説明する。本実施形態のカーシェアリングシステムは、一のステーションから借り出した共用車両を、他のステーションへ返却することが許される、いわゆる乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムである。なお、各ステーションは、共用車両を駐車させることができ、共用車両の貸出及び返却を行ったり、利用されていない共用車両を待機させたりできる場所であり、カーシェアリングシステムのために予め用意した駐車場などが挙げられる。
ここで、図1は、本実施形態の共用車両管理装置100を備えた共用車両管理システム1000において、ユーザが共用車両を利用する方法の一例を示す概要図である。本実施形態の共用車両管理システム1000では、ユーザが、ユーザ端末装置400Xを操作することで、共用車両管理装置100が管理する複数のステーションの中から、共用車両の貸出しを所望するステーション(出発ステーション)を選択し、選択した出発ステーションで待機している共用車両の利用予約を行う。たとえば、図1に示す場面において、ユーザU2が、出発ステーションとしてステーションST1を選択し、ステーションST1に停車している共用車両V1の予約を要求した場合には、ステーションST1には、現在利用可能な共用車両V1が待機しているので、共用車両管理装置100は、ユーザU2による共用車両V1の利用予約を受付ける。これにより、ユーザU2は、共用車両V1の予約を完了し、ステーションST1にて、共用車両V1に乗車することで、共用車両V1の利用を開始することができる。この際には、併せて、任意のステーションを、共用車両を利用後に返却するためのステーション(帰着ステーション)として設定してもよい。あるいは、ユーザは、共用車両の利用予約をした後、所望のタイミングで、この帰着ステーションを設定してもよい。これにより、ユーザは、予約した共用車両に乗車して共用車両を利用できるようになり、その後、利用した共用車両を、設定した帰着ステーションに返却することで、乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムを利用できるようになっている。
また、図1に示す場面において、ユーザU2が、ユーザ端末装置400Xを用いて、出発ステーションとしてステーションST2を選択し、ステーションST2の共用車両を利用予約する場面について説明する。この場合、ステーションST2には、現在は共用車両が待機しておらず、共用車両の貸出を行うことができない状態である。ただし、図1に示す場面において、ユーザU1が共用車両V2を利用しており、ユーザU1が共用車両V2を返却する帰着ステーションとしてステーションST2を設定しているため、ユーザU1が共用車両V2をステーションST2に返却した後に、ステーションST2から共用車両V2を貸出すことが可能となる。 この場合、ユーザU2は、ユーザ端末装置400Xを用いて、出発ステーションとしてステーションST2を選択することで、ステーションST2から共用車両の利用を求める利用要求が共用車両管理装置100に送信される。そして、共用車両管理装置100は、ユーザU2から送信された利用要求に応じて、ステーションST2には現在利用可能な共用車両が存在せず、ステーションST2からは共用車両の貸出を行うことができない旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信する。この際、共用車両管理装置100は、併せて、他のユーザ(ユーザU1)によりステーションST2に共用車両V2が返却され、ステーションST2にて共用車両の貸出が可能となる予想時刻の情報を送信してもよい。そして、本実施形態では、共用車両管理装置100は、ユーザU1によりステーションST2に共用車両V2が返却された際には、ユーザU2に対して、ステーションST2に共用車両V2が返却され、ステーションST2から共用車両V2が貸出可能になった旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信することができる。
また、本実施形態では、ユーザが出発ステーションの利用を予約すると、共用車両管理装置100は、他のユーザが重複して同じ共用車両を利用しないように、出発ステーションにおいて共用車両の確保を行う。これにより、ユーザが共用車両の予約を完了してから、ユーザが共用車両の利用を実際に開始するまでの時間は、共用車両が稼働できない状態となり、この時間が長いほど、ステーションの稼働率は低下してしまうこととなる。そのため、本実施形態では、ユーザが共用車両の予約を完了してから、共用車両の利用を実際に開始するまでに所定の許容時間を設け、この許容時間内にユーザが共用車両の利用を開始しない場合には、予約の取り消しや、課金などの処理を行う。しかしながら、特に、稼働率の高いステーションでは、共用車両を利用しようとするユーザの数は多く、許容時間内にユーザが共用車両の利用を開始する場合でも、ユーザが共用車両の予約を完了してから、ユーザが共用車両の利用を実際に開始するまでの時間、すなわち、共用車両が稼働していない時間を短縮し、ステーションの稼働率を高めることが重要となる。
そこで、本実施形態において、共用車両管理装置100は、許容時間内にユーザが共用車両の利用を開始する場合に、ユーザが共用車両の予約を完了してから、ユーザが共用車両の利用を実際に開始するまでの時間が短いほど、あるいは、ステーションの稼働率が高いほど、インセンティブ特典を高く算出し、算出したインセンティブ特典をユーザに提示する。そして、ユーザが出発ステーションで共用車両の利用を実際に開始した際に、算出したインセンティブ特典をユーザに付与する。たとえば、図1に示す場面例において、ユーザU2がステーションST1を利用する際に、ユーザが共用車両の予約を完了してから、ユーザが共用車両の利用を実際に開始するまでの時間が短いほど、ユーザが共用車両を利用する利用金額をより減額することで、ユーザにインセンティブを付与することができる。これにより、共用車両が稼働していない時間の短縮を図ることができ、その結果、出発ステーションの稼働率を向上することが可能となる。
次に、本実施形態に係る共用車両管理システム1000について説明する。図2は、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000を示す構成図である。図2に示すように、共用車両管理システム1000は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1〜Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1〜200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置400X〜400Z(以下、ユーザ端末装置400Xと総称することもある)と、を有する。本実施形態の共用車両管理システム1000を構成する、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Zの台数は限定されない。
共用車両管理装置100、車載装置200V1〜200Vn及びユーザ端末装置400X〜400Zは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、共用車両の予約プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Xは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、各ユーザが所望するステーションで共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付ける入力装置410と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。
ユーザ端末装置400Xの入力装置410としては、たとえば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。表示装置430としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置410と兼用することができる。ユーザは入力装置410を介して、ユーザの目的地、共用車両の貸出しを所望するステーション(出発ステーション)、および共用車両を利用後に返却するためのステーション(帰着ステーション)などを設定することができる。
本実施形態の制御装置440は、ユーザ端末装置400Xに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Xを操作するユーザの現在位置の情報を取得し、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。
また、制御装置440は、各ユーザが共用車両Vnを利用するための機能を有する。具体的には、制御装置440は、ユーザが共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付け、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。このような利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションを示す情報(たとえば、出発ステーションおよび帰着ステーションのID情報など)などが含まれる。
たとえば、ユーザが、入力装置410を介して、共用車両VnをステーションST1で借りて、ステーションST2で返却するための予約を行った場合に、制御装置440は、出発ステーションとしてステーションST1のID情報を、帰着ステーションとしてステーションST2のID情報を利用要求に含めて、共用車両管理装置100に送信することができる。これにより、共用車両管理装置100において、出発ステーションとしてステーションST1を、帰着ステーションとしてステーションST2を利用するための予約処理が開始される。なお、共用車両Vnの予約処理については後述する。
また、本実施形態の車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。
本実施形態において、制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報を、通信装置220を介して、共用車両管理装置100に送信する。さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報を、ユーザに通知することができる。
本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1000のサーバとして機能し、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vnおよびユーザ端末装置400Xとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報、および各ステーションの情報などを記憶するデータベース30とを備える。
データベース30は、共用車両情報31と、ステーション情報32と、ユーザから受け付けた利用要求33と、地図情報34と、利用履歴情報35とを記憶する。
共用車両情報31は、各共用車両Vnに関する情報であり、共用車両Vnの電力残容量や故障情報などが含まれる。
ステーション情報32は、各ステーションに関する詳細情報であり、各ステーションの位置情報、各ステーションの周辺の施設情報、各ステーションの周辺の交通状況、および各ステーションの利用状況などを含むことができる。
また、利用要求33は、各ユーザが共用車両Vnを利用するためにユーザ端末装置400Xから送信された情報であり、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションを示す情報が含まれる。
さらに、利用履歴情報35は、ユーザが過去に各ステーションで共用車両Vnを利用した際の履歴情報であり、ユーザが各ステーションを利用した日時や回数が、ステーションごとに含まれる。
本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、図2に示すように、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
共用車両管理装置100の制御装置10は、ROM12に格納されたプログラムを実行することで、利用要求取得機能と、予約機能と、利用情報取得機能と、稼働率算出機能と、待機時間算出機能と、特典算出機能と、情報送信機能と、特典付与機能と、を実現する。以下において、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。なお、本実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。
制御装置10の利用要求取得機能は、通信装置20を介して、共用車両Vnの利用要求をユーザ端末装置400Xから取得する。上述したように、共用車両Vnの利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションを示す情報などが含まれる。
制御装置10の予約機能は、ユーザ端末装置400Xから送信された利用要求に応じて、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションの予約を行う。たとえば、予約機能は、出発ステーションにおいて予約可能な共用車両Vnを検索し、予約可能な共用車両Vnがある場合に、この共用車両Vnが他のユーザにより利用されないように、この共用車両Vnの確保を行う。また、予約機能は、帰着ステーションにおいて共用車両Vnを返却できるように、共用車両Vnの返却スペースの確保も行う。
制御装置10の利用情報取得機能は、共用車両Vnの利用が開始された場合に、共用車両Vnの利用が開始された旨の情報を取得する。たとえば、本実施形態では、ユーザが共用車両Vnを起動して、共用車両Vnの利用を開始した場合に、共用車両Vnの車載装置200Vnは、共用車両Vnの利用が開始された旨の情報を、共用車両管理装置100に送信する。これにより、利用情報取得機能は、共用車両Vnの利用が開始された旨の情報を、通信装置20から取得することができる。
制御装置10の稼働率算出機能は、出発ステーションにおける共用車両Vnの稼働率を算出する。具体的には、稼働率算出機能は、利用履歴情報35に基づいて、下記式(1)に示すように、出発ステーションの直近X日間における営業時間中、利用可能な共用車両Vnが1台もいない時間を、出発ステーションの稼働率として算出することができる。
また、本実施形態において、稼働率算出機能は、出発ステーションの稼働率をレベル1〜レベル4のいずれかで算出する。たとえば、稼働率算出機能は、上記式(1)により算出した出発ステーションの稼働率が、0%以上かつ25%未満である場合には「レベル4」、25%以上かつ50%未満である場合には「レベル3」、50%以上かつ75%未満である場合には「レベル2」、75%以上かつ100%以下である場合には「レベル1」とし、出発ステーションの稼働率が高くなるほどレベルが小さくなるように、出発ステーションの稼働率を、レベルを用いて算出することができる。
なお、上述した出発ステーションの稼働率の数値範囲は一例であり、適宜設定することができる。また、出発ステーションの稼働率は「レベル1」〜「レベル4」の4つのレベルに限定されず、たとえば、3つ以下のレベルであってもよいし、5つ以上のレベルであってもよい。なお、以下においては、出発ステーションの稼働率を「レベル1」〜「レベル4」の4つで算出する構成を例示して説明する。
制御装置10の待機時間算出機能は、ユーザが共用車両Vnの利用予約を完了してから、出発ステーションにおいて共用車両Vnの利用を実際に開始するまでの時間を、利用待機時間として算出する。たとえば、ユーザが、ユーザ端末装置400Xの入力装置410を介して、利用する出発ステーションを選択した場合、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、ユーザが選択した出発ステーションを示す情報を含む利用要求を、共用車両管理装置100に送信する。これにより、制御装置10の予約機能は、出発ステーションにおける共用車両Vnの確保など、出発ステーションにおける共用車両Vnの予約処理を行う。そして、待機時間算出機能は、出発ステーションの利用予約が完了すると、出発ステーションの利用予約が完了した時刻を特定する。また、本実施形態では、共用車両Vnの起動など共用車両Vnの利用が開始されると、たとえば、共用車両Vnの車載装置200は、共用車両Vnの利用が開始された旨の情報を、共用車両管理装置100に送信する。そして、共用車両管理装置100の制御装置10が、共用車両Vnの利用が開始された旨の情報を受信した場合に、待機時間算出機能は、共用車両Vnの利用が開始された時刻を特定する。そして、待機時間算出機能は、出発ステーションの予約処理が完了してから、共用車両Vnの利用が開始されるまでの時間を、利用待機時間として算出する。なお、利用待機時間の開始時刻である「出発ステーションの利用予約が完了した時刻」は、出発ステーションの利用予約が実際に完了した時刻に限定されず、適宜設定することができる。たとえば、ユーザが選択した出発ステーションを示す情報を含む利用要求を受信した時刻を、「出発ステーションの利用予約が完了した時刻」として特定する構成としてもよい。
制御装置10の特典算出機能は、出発ステーションの利用予約を完了してから、所定の許容時間が経過するまでに、ユーザが出発ステーションにおいて共用車両の利用を早く開始するように、ユーザに付与するインセンティブ特典を算出する。具体的には、特典算出機能は、出発ステーションの稼働率と利用待機時間とに基づいて、インセンティブ特典を算出する。なお、インセンティブ特典は、特に限定されず、たとえば、カーシェアリングシステムやその他のサービスで利用できるポイント、割引券、優待券又は金券などが挙げられる。また、特典算出機能は、共用車両Vnの利用金額に対する割引額(キャッシュバック)をインセンティブ特典として算出してもよいし、今後、共用車両Vnを優先的に利用できる権利をインセンティブ特典として算出することもできる。さらに、特典算出機能は、ユーザが共用車両Vnを予約してから共用車両Vnの利用を開始するまでの許容時間を長くすることを、インセンティブ特典として算出することもできる。また、特典算出機能は、インセンティブ特典として、ノベルティグッズなどの品物をユーザに提供するようにしてもよい。なお、以下においては、共用車両のVnの利用金額に対する割引額を、インセンティブ特典として算出する構成を例示して説明する。
図3は、ステーションの稼働率と、利用待機時間と、インセンティブ特典との関係の一例を示す図である。たとえば、本実施形態において、制御装置10は、ROM12に、図3に示すようなテーブルを記憶している。図3に示す例では、出発ステーションの稼働率が、レベル1〜レベル4の4つの範囲で分けられているとともに、利用待機時間が5分未満、10分未満、15分未満、20分未満、20分以上の5つの範囲で分けられている。また、図3に示す例では、出発ステーションの稼働率の範囲と、利用待機時間の範囲との組み合わせに応じて、0,1,2,3のいずれかのインセンティブ特典が割り当てられている。特典算出機能は、出発ステーションの稼働率および利用待機時間がそれぞれどの範囲に含まれるかを判断し、出発ステーションの稼働率および利用待機時間が含まれる範囲の組み合わせ応じたインセンティブ特典を算出することができる。
たとえば、特典算出機能は、図3に示す場面において、出発ステーションの稼働率が最も高い「レベル1」であり、利用待機時間が最も短い「5分未満」である場合には、インセンティブ特典として「3」を算出することができる。一方、特典算出機能は、図3に示す場面において、出発ステーションの稼働率が最も低い「レベル4」であり、利用待機時間が最も長い「20分以上」である場合には、インセンティブ特典として「0」を算出することができる。
なお、利用待機時間の数値範囲は、図3に示す例に限定されず、適宜設定することができる。また、図3に示す例では、利用待機時間の範囲を4つの範囲に分けているが、3つ以下の範囲としてもよいし、あるいは、5つ以上の範囲としてもよい。
制御装置10の情報送信機能は、ユーザが設定した帰着ステーションおよび出発ステーションに関する情報を、各ステーションのステーション情報として、ユーザ端末装置400Xに送信する。たとえば、情報送信機能は、ユーザがそれぞれのステーションを利用した場合の共用車両Vnの利用金額を、各ステーションのステーション情報に含めて送信することができる。また、情報送信機能は、特典算出機能により各ステーションを利用した場合のインセンティブ特典が算出されている場合には、各ステーションのインセンティブ特典の情報を、各ステーションのステーション情報に含めて送信することができる。
制御装置10の特典付与機能は、ユーザが各ステーションを実際に利用した場合に、特典算出機能により算出されたインセンティブ特典をユーザに付与する処理を行う。たとえば、特典算出機能により、共用車両Vnの利用金額の割引額が、ユーザに提供するインセンティブ特典として算出された場合には、特典付与機能は、インセンティブ特典として算出された割引額を差し引いた利用金額で清算を行うことで、ユーザに各ステーションの利用に対するインセンティブ特典を付与することができる。
次いで、図4を参照して、第1実施形態に係る共用車両管理処理を説明する。図4は、第1実施形態に係る共用車両管理処理を示すフローチャートである。なお、図4に示す共用車両管理処理は、たとえば、ユーザが、ユーザ端末装置400Xを用いて、ユーザ端末装置400Xの制御装置440が有する出発ステーションおよび帰着ステーションの利用予約機能を起動することで開始される(第2実施形態および第3実施形態も同様である。)。
まず、ステップS101では、予約可能な出発ステーションの情報がユーザに提示される。たとえば、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、出発ステーションおよび帰着ステーションの利用予約機能を起動した場合に、ユーザ端末装置400Xの位置情報を共用車両管理装置100に送信する。そして、共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザ端末装置400Xの位置から所定距離の範囲において、利用可能な共用車両Vnが存在するステーションを、予約可能な出発ステーションとして特定し、特定した出発ステーションのステーション情報を、ユーザ端末装置400Xに送信する。これにより、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、ユーザ端末装置400Xの表示装置430に、予約可能な出発ステーションの位置などのステーション情報を表示することで、ユーザに予約可能な出発ステーションを提示することができる。
ステップS102では、ステップS101で提示された出発ステーションのうち、いずれか1つの出発ステーションの予約が開始されたか否かの判断が行われる。たとえば、ユーザがユーザ端末装置400Xの入力装置410を介して、ステップS101で提示された出発ステーションのうち1つの出発ステーションを選択した場合に、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、選択された出発ステーションを示す情報(たとえば、ステーションのID情報)を、共用車両管理装置100に送信する。そして、共用車両管理装置100の制御装置10は、選択された出発ステーションを示す情報を受信し、受信した出発ステーションの予約を開始し、ステップS103に進む。なお、出発ステーションの予約が開始されるまでは、ステップS102で待機する。
ステップS103では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS102で予約を開始した出発ステーションの稼働率の算出が行われる。具体的には、制御装置10の稼働率算出機能は、上記式(1)に示すように、ステップS102で予約が開始された出発ステーションの直近X日間における営業時間中、利用可能な共用車両Vnが1台もいなかった時間の割合を、出発ステーションの稼働率として算出する。
そして、ステップS104では、ステップS103で算出された出発ステーションの稼働率のユーザへの提示が行われる。すなわち、共用車両管理装置100の制御装置10は、ステップS103で算出した出発ステーションの稼働率を含む情報をユーザ端末装置400Xに送信し、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、受信した出発ステーションの稼働率を表示装置430に表示する。
ステップS105では、出発ステーションの予約が完了したか否かの判断が行われる。たとえば、ユーザは、ユーザ端末装置400Xの表示装置430に表示された出発ステーションの稼働率を確認し、入力装置410を介して、最終的な出発ステーションを決定する。この場合、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、出発ステーションを決定した旨の情報を、共用車両管理装置100に送信する。これにより、共用車両管理装置100の制御装置10は、出発ステーションにおける共用車両Vnの確保など、出発ステーションの予約処理を行い、出発ステーションの予約が完了した場合に、ステップS106に進む。一方、たとえば、ユーザが、ユーザ端末装置400Xの表示装置430に表示された出発ステーションの稼働率を確認し、利用可能な他の出発ステーションを予約する場合には、他の出発ステーションの予約を開始する旨の情報がユーザ端末装置400Xから共用車両管理装置100に送信される。この場合、共用車両管理装置100は、出発ステーションの予約が完了していないと判断し、ステップS102に戻り、利用可能な他の出発ステーションの予約を行うこととなる。
ステップS106では、共用車両管理装置100の制御装置10により、出発ステーションの利用予約が完了した時刻が、制御装置10のRAM13に記憶される。そして、ステップS107では、共用車両管理装置100の制御装置10により、出発ステーションでユーザが実際に共用車両Vnの利用を開始したか否かの判断が行われる。たとえば、共用車両Vnの起動が行われると、共用車両Vnの車載装置200は、共用車両Vnが起動された旨の情報を、共用車両管理装置100に送信する。そして、共用車両管理装置100の制御装置10は、共用車両Vnが起動された旨の情報を受信することで、共用車両Vnの利用が開始されたと判断する。共用車両Vnの利用が開始されたと判断できるまでは、ステップS107で待機し、共用車両Vnの利用が開始されたと判断できた場合に、ステップS108に進む。
ステップS108では、共用車両管理装置100の制御装置10により、利用待機時間の算出が行われる。すなわち、制御装置10の特典算出機能は、ステップS106で記憶した利用予約の完了時刻から、ステップS107で検出した共用車両Vnの利用が開始されるまでの時間を、利用待機時間として算出する。
そして、ステップS109では、共用車両管理装置100の制御装置10により、インセンティブ特典の算出が行われる。たとえば、制御装置10の特典算出機能は、図3に示すテーブルを参照して、ステップS108で算出した利用待機時間と、ステップS103で算出した出発ステーションの稼働率とに基づいて、ユーザに付与するインセンティブ特典を算出することができる。
ステップS110では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS109で算出したインセンティブ特典の付与が行われる。たとえば、制御装置10の特典付与機能は、共用車両Vnの利用金額に対する割引額がユーザに付与するインセンティブ特典として算出された場合には、インセンティブ特典として算出された割引額を差し引いて、共用車両Vnの利用金額を清算することで、ユーザに、出発ステーションの稼働率と利用待機時間とに応じたインセンティブ特典を付与することができる。
以上のように、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000は構成され動作するので、以下の効果を奏する。
すなわち、第1実施形態では、共用車両Vnの予約が完了してから、共用車両Vnの利用が開始されるまでの時間を利用待機時間として算出するとともに、各ステーションにおける共用車両Vnの利用履歴に基づいて、各ステーションの稼働率を算出する。そして、所定の許容時間が経過するまでは、利用待機時間およびステーションの稼働率に基づいて、ユーザに付与するインセンティブ特典を算出し、算出したインセンティブ特典の情報をユーザに提示する。そして、ユーザが出発ステーションを実際に利用した場合には、利用待機時間およびステーションの稼働率に応じて算出したインセンティブ特典をユーザに付与する。このように、利用待機時間およびステーションの稼働率に応じて一定のインセンティブをユーザに付与することで、稼働率が高いステーションほど、共用車両Vnの予約が完了してから共用車両Vnの利用が開始するまでの、共用車両Vnが稼働していない時間の短縮を図ることができ、その結果、出発ステーション全体の稼働率を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、共用車両の利用予約が完了してから所定の許容時間が経過するまでに、共用車両の利用が開始された場合には、利用待機時間が短いほど、ユーザに付与するインセンティブ特典を高く算出し、算出したインセンティブ特典の情報をユーザに提示する。これにより、より短い利用待機時間での共用車両Vnの利用をユーザに促すことができる。また、本実施形態では、稼働率の高いステーションを利用するほど、ユーザに付与するインセンティブ特典を高く算出し、算出したインセンティブ特典の情報をユーザに提示する。これにより、共用車両の利用の需要がより高いステーションにおいて、共用車両Vnが稼働していない時間の短縮をより図ることができ、ステーション全体の稼働率をより向上することが可能となる。
《第2実施形態》
続いて、第2実施形態に係る共用車両管理システムを説明する。第2実施形態における共用車両管理システム1000は、図2に示す共用車両管理システム1000と同様の構成を備え、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000と同様である。
第2実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、第1実施形態に係る制御装置10の各機能に加えて、待機時間記憶機能と、待機時間比較機能とをさらに備える。
具体的には、制御装置10の待機時間記憶機能は、複数のユーザが複数の出発ステーションを利用した際に、待機時間算出機能により算出された各利用待機時間を、出発ステーションごとにデータベース30に記憶する。
制御装置10の待機時間比較機能は、ユーザにより出発ステーションの予約が行われた場合に、この出発ステーションにおける過去の利用待機時間をデータベース30から抽出し、この出発ステーションの過去の利用待機時間の平均時間T2を算出する。そして、待機時間比較機能は、今回の利用予約においてユーザが出発ステーションの予約を完了してから共用車両Vnの利用を開始するまでの利用待機時間T1と、この出発ステーションの過去の利用待機時間の平均時間T2とを比較し、今回の利用予約における利用待機時間T1と出発ステーションの過去の利用待機時間の平均時間T2との比(T1/T2)を算出する。なお、以下においては、今回の利用予約における利用待機時間T1と、出発ステーションの過去の利用待機時間とを区別するために、今回の利用予約における利用待機時間T1を今回利用待機時間T1として説明する(第3実施形態においても同様。)。
たとえば、待機時間比較機能は、今回利用待機時間T1が12分であり、かつ、出発ステーションの過去の利用待機時間の平均時間T2が20分である場合には、12分(T1)/20分(T2)=60%を、今回利用待機時間T1と出発ステーションの利用待機時間の平均時間T2との比として算出する。
さらに、第2実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10は、図3に示すテーブルに代えて、図5に示すように、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1と出発ステーションの過去の利用待機時間の平均時間T2との比(T1/T2)と、インセンティブ特典との関係を示すテーブルを、RAM12に備える構成とすることができる。そして、制御装置10の特典算出機能は、たとえば、図5に示すテーブルを用いて、インセンティブ特典を算出することができる。なお、図5は、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1と出発ステーションの過去の利用待機時間の平均時間T2との比(T1/T2)と、インセンティブ特典との関係の一例を示す図である。
たとえば、図5に示す場面例において、ステーションの稼働率が「レベル1」であり、かつ、上述したように、今回利用待機時間T1が12分であり、出発ステーションの過去の利用実績から算出した利用待機時間の平均時間T2が20分であり、その比が12分(T1)/20分(T2)=60%である場合には、特典算出機能は、たとえば、図5に示すテーブルを参照して、インセンティブ特典を「2」として算出することができる。
なお、図5に示すテーブルは一例であり、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1と出発ステーションにおける利用待機時間の平均時間T2との比と、インセンティブ特典との関係は、これに限定されるものではない。たとえば、今回利用待機時間T1と出発ステーションにおける利用待機時間の平均時間T2との比の範囲は、図5に示す数値範囲に限定されず、適宜設定することができる。また、図5に示す例では、今回利用待機時間T1と出発ステーションにおける利用待機時間の平均時間T2との比を4つの範囲に分けているが、3つ以下の範囲としてもよいし、あるいは、5つ以上の範囲としてもよい。
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る共用車両管理処理について説明する。図6は、第2実施形態に係る共用車両管理処理を示すフローチャートである。なお、ステップS101〜S108は、第1実施形態と同様に処理が行われため、その説明は省略する。
すなわち、第2実施形態では、ステップS108で今回利用待機時間T1が算出されると、ステップS201に進む。ステップS201では、共用車両管理装置100の制御装置10により、出発ステーションが過去に共用車両Vnをいずれかのユーザに貸出した実績があるか否かの判断が行われる。たとえば、この出発ステーションで共用車両Vnを貸出すことが初めてであり、出発ステーションに共用車両Vnの貸出実績がないと判断された判断には、ステップS109に進み、第1実施形態と同様に、出発ステーションの稼働率と今回利用待機時間T1とに基づいて、インセンティブ特典の算出が行われる。一方、出発ステーションに共用車両Vnの貸出実績があると判断された場合には、ステップS202に進む。
ステップS202では、出発ステーションの利用実績があると判断されているため、共用車両管理装置100の制御装置10により、出発ステーションにおける過去の利用待機時間の平均時間T2が算出される。具体的には、制御装置10の待機時間比較機能は、データベース30に格納されている利用履歴情報35に基づいて、この出発ステーションの過去の利用待機時間を抽出し、抽出した利用待機時間の平均時間T2を算出する。
そして、ステップS203では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS108で算出された今回利用待機時間T1と、ステップS202で算出された出発ステーションの利用待機時間の平均時間T2との比較が行われる。具体的には、制御装置10の待機時間比較機能は、ステップS108で算出された今回利用待機時間T1と、ステップS202で算出された出発ステーションの利用待機時間の平均時間T2との比(T1/T2)を算出する。
ステップS204では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS203で得られた比較結果(T1/T2)に基づいて、ユーザに付与するインセンティブ特典の算出が行われる。具体的には、制御装置10の特典算出機能は、図5に示すように、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1と出発ステーションにおける利用待機時間の平均時間T2との比と、インセンティブ特典との関係を示すテーブルを参照して、ユーザに付与するインセンティブ特典を算出する。そして、ステップS110に進み、制御装置10の特典付与機能により、ステップS204で算出されたインセンティブ特典がユーザに付与される。
以上のように、第2実施形態に係る共用車両管理システム1000は構成され動作するので、以下の効果を奏する。
すなわち、第2実施形態では、利用履歴情報35に基づいて、共用車両Vnの予約が完了してから共用車両Vnの利用が開始されるまでの利用待機時間の、出発ステーションにおける平均時間T2を算出し、出発ステーションにおける平均時間T2と、今回利用待機時間T1とを比較する。そして、比較の結果、出発ステーションにおける過去の利用待機時間の平均時間T2に対して今回利用待機時間T1が短いほど(T1/T2が小さいほど)、インセンティブ特典を高く算出する。これにより、第2実施形態では、地下や建物の屋上などに設けられた出発ステーションなど、アクセスが困難なステーションを利用する場合でも、このような出発ステーションを利用する場合のインセンティブ特典を適切に算出することができる。
《第3実施形態》
続いて、第3実施形態に係る共用車両管理システムを説明する。第3実施形態における共用車両管理システム1000は、図2に示す共用車両管理システム1000と同様の構成を備え、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000と同様である。
第3実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、第1実施形態に係る制御装置10の機能に加えて、待機時間記憶機能と、待機時間比較機能とをさらに備える。
具体的には、制御装置10の待機時間記憶機能は、複数のユーザが複数の出発ステーションを利用した際に、待機時間算出機能により算出された各利用待機時間を、ユーザごとにデータベース30に記憶する。
制御装置10の待機時間比較機能は、ユーザにより出発ステーションの予約が行われた場合に、このユーザの過去の利用待機時間をデータベース30から抽出し、このユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3を算出する。そして、待機時間比較機能は、今回の利用予約においてユーザが出発ステーションの予約を完了してから共用車両Vnの利用を開始するまでの今回利用待機時間T1と、このユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3とを比較し、今回利用待機時間T1とユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3との比(T1/T3)を算出する。
たとえば、待機時間比較機能は、今回利用待機時間T1が12分であり、かつ、ユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3が20分である場合には、12分(T1)/20分(T3)=60%を、今回利用待機時間T1とユーザの利用待機時間の平均時間T3との比として算出する。
さらに、第3実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10は、図3に示すテーブルに代えて、図7に示すように、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1とユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3との比と、インセンティブ特典との関係を示すテーブルを、RAM12に備える構成とすることができる。そして、制御装置10の特典算出機能は、たとえば、図7に示すテーブルを用いて、インセンティブ特典を算出することができる。なお、図7は、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1とユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3との比(T1/T3)と、インセンティブ特典との関係の一例を示す図である。
たとえば、図7に示す場面例において、ステーションの稼働率が「レベル1」であり、かつ、上述したように、今回利用待機時間T1が12分であり、ユーザの過去の利用実績から算出した利用待機時間の平均時間T3が20分であり、その比が12分(T1)/20分(T3)=60%である場合には、特典算出機能は、図7に示すテーブルを参照して、インセンティブ特典を「2」として算出することができる。
なお、図7に示すテーブルは一例であり、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1とユーザの利用待機時間の平均時間T3との比と、インセンティブ特典との関係は、これに限定されるものではない。たとえば、今回利用待機時間T1とユーザの利用待機時間の平均時間T3との比の範囲は、図7に示す数値範囲に限定されず、適宜設定することができる。また、図7に示す例では、今回利用待機時間T1とユーザの利用待機時間の平均時間T3との比を4つの範囲に分けているが、3つ以下の範囲としてもよいし、あるいは、5つ以上の範囲としてもよい。
次に、図8を参照して、第3実施形態に係る共用車両管理処理について説明する。図8は、第3実施形態に係る共用車両管理処理を示すフローチャートである。なお、ステップS101〜S108は、第1実施形態と同様の処理が行わるため、その説明は省略する。
すなわち、第3実施形態では、ステップS108で今回利用待機時間T1が算出されると、ステップS301に進む。ステップS301では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザがいずれかのステーションで共用車両Vnを利用した実績があるか否かの判断が行われる。たとえば、ユーザが共用車両Vnを利用することが初めてであり、ユーザに共用車両Vnの利用実績がない場合には、ステップS109に進み、第1実施形態と同様に、出発ステーションの稼働率と今回利用待機時間T1に基づいてインセンティブ特典の算出が行われる。一方、ユーザに共用車両Vnの利用実績があると判断された場合には、ステップS302に進む。
ステップS302では、ユーザの利用実績があると判断されているため、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3が算出される。具体的には、制御装置10の待機時間比較機能は、データベース30に格納されている利用履歴情報35に基づいて、ユーザの過去の利用待機時間を抽出し、抽出した利用待機時間の平均時間T3を算出する。
そして、ステップS303では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS108で算出された今回利用待機時間T1と、ステップS302で算出されたユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3との比較が行われる。具体的には、制御装置10の待機時間比較機能は、ステップS108で算出された今回利用待機時間T1と、ステップS302で算出されたユーザの利用待機時間の平均時間T3との比(T1/T3)を算出する。
ステップS304では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS303で得られた比較結果(T1/T3)に基づいて、ユーザに付与するインセンティブ特典の算出が行われる。具体的には、制御装置10の特典算出機能は、図7に示すように、ステーションの稼働率と、今回利用待機時間T1とユーザの利用待機時間の平均時間T3との比と、インセンティブ特典との関係を示すテーブルを参照して、ユーザに付与するインセンティブ特典を算出する。そして、ステップS110に進み、制御装置10の特典付与機能により、ステップS304で算出されたインセンティブ特典がユーザに付与される。
以上のように、第3実施形態に係る共用車両管理システム1000は構成され動作するので、以下の効果を奏する。
すなわち、第3実施形態では、利用履歴情報35に基づいて、共用車両Vnの予約が完了してから共用車両Vnの利用が開始されるまでの利用待機時間の、ユーザの平均時間T3を算出し、ユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3と、今回利用待機時間T1とを比較する。そして、比較の結果、ユーザの過去の利用待機時間の平均時間T3に対して今回利用待機時間T1が短いほど(T1/T3が小さいほど)、インセンティブ特典を高く算出する。これにより、第3実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、それぞれのユーザに適した、インセンティブ特典を適切に算出することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した第1実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10は、図3に示すように、今回利用待機時間T1とステーションの稼働率とに基づいて、インセンティブ特典を算出する構成を例示したが、この構成に限定さない。たとえば、制御装置10の特典算出機能は、日、曜日(休日か平日かを含む)、時間、気温、気候、および季節のうち少なくとも1つをさらに加味して、インセンティブ特典を算出する構成とすることができる。たとえば、ステーションの稼働率が日、曜日(休日か平日かを含む)、時間、気温、気候、および季節などにより変動する場合には、ステーションの稼働率が高くなる日、曜日(休日か平日かを含む)、時間、気温、気候、および季節ほど、インセンティブ特典を高く算出する構成とすることができる。これにより、インセンティブ特典をより適切に算出することができる。なお、第2実施形態および第3実施形態においても同様の処理を行うことができる。
また、上述した実施形態では、外部サーバが共用車両管理装置100を備える構成を例示したが、この構成に限定されず、ユーザ端末装置400Xまたは車載装置200Vnが共用車両管理装置100を備える構成としてもよい。この場合、ユーザ端末装置400Xまたは車載装置200Vnにおいて、共用車両Vnの利用が開始されたことを検出するとともに、外部サーバから共用車両Vnの予約が完了したこと、および、各ステーションの稼働率を取得することで、ステーションの稼働率および利用待機時間に応じたインセンティブ特典をユーザに提供することができる。
なお、上述した実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10の利用要求取得機能および予約機能は本発明の予約手段に、制御装置10の利用情報取得機能は本発明の取得手段に、制御装置10の待機時間算出機能は本発明の待機時間算出手段に、データベース30は本発明の記憶手段に、制御装置10の稼働率算出機能は本発明の稼働率算出手段に、制御装置10の特典算出機能は本発明の特典算出手段および比較手段に、制御装置10の情報送信機能は本発明の出力手段に、制御装置10の特典付与機能は本発明の付与手段に、それぞれ相当する。