JP2016145712A - 軸受の異常診断装置及び異常診断方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、転がり軸受の外輪と内輪との間の電気的特性値に基づいて、転がり軸受の潤滑不良を検出するようにした構成が記載されている。
回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断装置であって、
前記軸受からのAE信号を検出するための少なくとも一つのAEセンサと、
前記AEセンサによって検出された前記AE信号の検出周波数に基づき、前記軸受の異常箇所を特定するように構成された診断部と、
を備えることを特徴とする。
前記軸受は、前記回転シャフトとともに回転可能に構成された第1旋回輪と、前記第1旋回輪の内周側又は外周側に設けられる第2旋回輪と、前記第1旋回輪と前記第2旋回輪との間に設けられる複数の転動体と、を含み、
前記診断部は、前記検出周波数に基づいて、前記第1旋回輪、前記第2旋回輪および前記転動体の中から前記異常箇所を特定するように構成されている。
第1旋回輪、第2旋回輪および転動体を含む転がり軸受の場合、第1旋回輪に異常が発生したときに検出されるAE信号、第2旋回輪に異常が発生したときに検出されるAE信号、または転動体に異常が発生したときに検出されるAE信号は、それぞれ、特有の周期性を有する。そこで、上記(2)の構成では、AE信号の検出周波数に基づいて、第1旋回輪、第2旋回輪および転動体の中から異常箇所を特定するようにしている。これにより、AE信号から異常箇所を適切に把握することができ、異常箇所に応じた対策を早期に施すことが可能となる。
前記診断部は、前記回転シャフトの回転速度をNsとし、前記転動体の公転速度をNkとし、前記転動体の数をnkとしたとき、ns及びnkの和又は差とnとの積で表される周波数に前記検出周波数が相当する場合に、前記第1旋回輪が前記異常箇所であると判断するように構成されている。
回転シャフトの回転時、回転シャフトとともに回転する第1旋回輪は、回転シャフト及び転動体に接触する。第1旋回輪に異常が発生した場合、第1旋回輪の異常箇所は、転動体の公転によって他の部材と接触し、その時の衝撃がAE信号に現れる。すなわち、第1旋回輪に異常が発生した場合、回転シャフトの回転及び転動体の公転に対応した周期で、異常を示すAE信号が出現する。そこで、上記(3)の構成によれば、ns(回転シャフトの回転速度)及びnk(転動体の公転速度)の和又は差と、n(転動体の数)との積で表される周波数に検出周波数が相当する場合に、第1旋回輪が異常箇所であると判断することによって、AE信号から適切に第1旋回輪の異常を検出することができる。
前記診断部は、前記転動体の自転速度をnwとしたとき、nwで表される周波数に前記検出周波数が相当する場合に、前記転動体が前記異常箇所であると判断するように構成されている。
回転シャフトの回転時、転動体は、自転しながら第1旋回輪及び第2旋回輪と接触する。転動体に異常が発生した場合、転動体の異常箇所は、転動体の自転によって他の部材と接触し、その時の衝撃がAE信号に現れる。すなわち、転動体に異常が発生した場合、転動体の自転に対応した周期で、異常を示すAE信号が出現する。そこで、上記(4)の構成によれば、nw(転動体の自転速度)で表される周波数に検出周波数が相当する場合に、転動体が異常箇所であると判断することによって、AE信号から適切に転動体の異常を検出することができる。
前記診断部は、前記転動体の公転速度をnkとし、前記転動体の数をnとしたとき、nkとnとの積で表される周波数に前記検出周波数が相当する場合に、前記第2旋回輪が前記異常箇所であると判断するように構成されている。
回転シャフトの回転時、転動体を介して第1旋回輪の内周側又は外周側に設けられる第2旋回輪は、転動体に接触する。第2旋回輪に異常が発生した場合、第2旋回輪の異常箇所は、転動体の公転によって他の部材と接触し、その時の衝撃がAE信号に現れる。すなわち、第2旋回輪に異常が発生した場合、転動体の公転に対応した周期で、異常を示すAE信号が出現する。そこで、上記(5)の構成によれば、nk(転動体の公転速度)とn(転動体の数)との積で表される周波数に検出周波数が相当する場合に、第2旋回輪が異常箇所であると判断することによって、AE信号から適切に第2旋回輪の異常を検出することができる。
前記少なくとも一つのAEセンサは、前記軸受の周方向における互いに異なる位置に設けられた複数のAEセンサを含み、
前記診断部は、前記複数のAEセンサによってそれぞれ検出された複数の前記AE信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記軸受の異常発生位置を特定するように構成されている。
上記(6)の構成では、軸受の周方向における互いに異なる位置に複数のAEセンサが配置されており、各AEセンサは、異常箇所で発生したAE信号を検出するようになっている。各AEセンサと異常箇所との距離はそれぞれ異なるため、各AEセンサで検出されるAE信号の検出タイミングには差が生じる。そのため、複数のAE信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における軸受の異常発生位置を適切に特定することができる。このように、AE信号の検出周波数を用いた異常発生箇所の特定に加えて、周方向における軸受の異常発生位置を特定できるため、より具体的な異常部位の把握が可能となる。
また、複数のAEセンサで検出された複数のAE信号に基づいて異常を診断することにより、異常を精度よく検出可能となり、診断結果の信頼性を向上させることができる。
回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断装置であって、
前記軸受の周方向における互いに異なる位置に設けられ、前記軸受の異常を示す信号を検出するための複数のセンサと、
前記複数のセンサによってそれぞれ検出された複数の前記信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記軸受の異常発生位置を特定するように構成された診断部と、
を備えることを特徴とする。
また、複数のセンサで検出された信号に基づいて異常を診断することにより、異常を精度よく検出可能となり、診断結果の信頼性を向上させることができる。
前記複数のセンサは、前記軸受からのAE信号を検出するための複数のAEセンサを含む。
上記(8)の構成によれば、AEセンサによって軸受からのAE信号を検出し、そのAE信号に基づいて軸受の周方向における異常発生位置を特定するようになっている。また、AE信号は、その検出周波数に基づいて異常発生箇所(例えば転がり軸受の場合、第1旋回輪、第2旋回輪または転動体等)を特定することもできる。そのため、検出周波数に基づいた異常発生箇所の特定まで行えば、より具体的な異常部位の把握が可能となる。
また、複数のAEセンサで検出された複数のAE信号に基づいて異常を診断することにより、異常を精度よく検出可能となり、診断結果の信頼性を向上させることができる。
前記軸受は、前記回転シャフトとともに回転可能に構成された第1旋回輪と、前記第1旋回輪の内周側又は外周側に設けられる第2旋回輪と、前記第1旋回輪と前記第2旋回輪との間に設けられる複数の転動体と、を含む転がり軸受であり、
前記回転シャフト及び前記第1旋回輪を含む回転部、又は、前記第2旋回輪の一方に対して、電気信号を印加するための電気信号印加部をさらに備え、
前記複数のセンサは、前記周方向における互いに異なる位置において、前記回転シャフト及び前記第1旋回輪を含む回転部、又は、前記第2旋回輪の他方に設けられる複数の電気信号検出部を含み、
前記診断部は、前記複数の電気信号検出部間の前記電気信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記異常発生位置を特定するように構成されている。
そこで、上記(9)の構成によれば、異常診断装置は、回転シャフト及び第1旋回輪を含む回転部、又は、第2旋回輪の一方に対して電気信号を印加する電気信号印加部と、回転シャフト及び第1旋回輪を含む回転部、又は、第2旋回輪の他方に設けられた複数の電気信号検出部と、を備えている。
油膜切れが発生していない場合、第1旋回輪と第2旋回輪とは、油膜によって電気的に絶縁された状態となっている。ところが、油膜切れが発生した場合、油膜切れ発生箇所において第1旋回輪と第2旋回輪とは導通する。このとき、複数の電気信号検出部は軸受の周方向に複数設けられているため、第1旋回輪と第2旋回輪との導通位置から各電気信号検出部までの距離はそれぞれ異なり、各電気信号検出部で検出される異常信号の検出タイミングには差が生じる。したがって、この電気信号検出部間の電気信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における軸受の異常発生位置を適切に特定することができる。
なお、本明細書において、潤滑油は、液状の潤滑油や半固形状のグリース等を含み、部材間の摩擦を低減する目的で用いられるもの全般をいう。
前記軸受は、潤滑油膜を介して前記回転シャフトの外周側に位置するすべり軸受であり、
前記回転シャフト又は前記すべり軸受の一方に対して、電気信号を印加するための電気信号印加部をさらに備え、
前記複数のセンサは、前記周方向における互いに異なる位置において、前記回転シャフト又は前記すべり軸受の他方に設けられる複数の電気信号検出部を含み、
前記診断部は、前記複数の電気信号検出部間の前記電気信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記異常発生位置を特定するように構成されている。
そこで、上記(10)の構成によれば、異常診断装置は、回転シャフト又はすべり軸受の一方に対して電気信号を印加する電気信号印加部と、回転シャフト又はすべり軸受の他方に設けられた複数の電気信号検出部と、を備えている。
油膜切れが発生していない場合、回転シャフトとすべり軸受とは、油膜によって電気的に絶縁された状態となっている。ところが、油膜切れが発生した場合、油膜切れ発生箇所において回転シャフトとすべり軸受とは導通する。このとき、複数の電気信号検出部は軸受の周方向に複数設けられているため、回転シャフトとすべり軸受との導通位置から各電気信号検出部までの距離はそれぞれ異なり、各電気信号検出部で検出される異常信号の検出タイミングには差が生じる。したがって、この電気信号検出部間の電気信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における軸受の異常発生位置を適切に特定することができる。
前記複数のセンサは、前記周方向において等間隔に配置されている。
上記(11)の構成によれば、電気信号検出部間の電気信号の検出タイミングの差から、軸受の異常発生位置を簡単に且つ効果的に特定することが可能となる。
前記軸受は、風力発電装置の主軸を回転自在に支持するための主軸受である。
風力発電装置の主軸受は、比較的大型のものが多い。そのため、風力発電装置の主軸受に上記異常診断装置を適用することによって、異常発生箇所または周方向における異常発生位置を容易に把握可能となり、メンテナンスの効率化が図れる。
回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断方法であって、
少なくとも一つのAEセンサを用いて、前記軸受からのAE信号を検出するAE信号検出ステップと、
前記AE信号検出ステップにおいて検出された前記AE信号の検出周波数に基づき、前記軸受の異常箇所を特定する診断ステップと、
を備えることを特徴とする。
前記軸受は、前記回転シャフトとともに回転可能に構成された第1旋回輪と、前記第1旋回輪の内周側又は外周側に設けられる第2旋回輪と、前記第1旋回輪と前記第2旋回輪との間に設けられる複数の転動体と、を含み、
前記診断ステップでは、前記検出周波数に基づいて、前記第1旋回輪、前記第2旋回輪および前記転動体の中から前記異常箇所を特定する。
上記(14)の方法によれば、AE信号の検出周波数に基づいて、第1旋回輪、第2旋回輪および転動体の中から異常箇所を特定するようにしている。これにより、AE信号から異常箇所を適切に把握することができ、異常箇所に応じた対策を早期に施すことが可能となる。
回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断方法であって、
前記軸受の周方向における互いに異なる位置に設けられた複数のセンサを用いて、前記軸受の異常を示す信号を検出する信号検出ステップと、
前記信号検出ステップにおいて検出された複数の前記信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記軸受の異常発生位置を特定する診断ステップと、
を備えることを特徴とする。
また、複数のセンサで検出された信号に基づいて異常を診断することにより、異常を精度よく検出可能となり、診断結果の信頼性を向上させることができる。
ここで、異常部位に関する情報とは、異常発生箇所(例えば軸受2の各部材)又は軸受2の周方向における異常発生位置を含む。また、本実施形態における軸受2の異常とは、例えば、軸受2に発生した傷等の損傷、油膜切れなどである。
さらに、本実施形態により診断可能な軸受2のタイプは特に限定されるものではない。例えば、本実施形態が適用可能な軸受2としては、スリーブ軸受等のすべり軸受、玉軸受やコロ軸受等の転がり軸受が挙げられる。なお、以下の説明では、主に転がり軸受を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。
図1及び図2に示すように、軸受2は、回転シャフト1を回転可能に支持している。
異常診断装置10は、AEセンサ11(11A〜11D)と、診断部23を含む処理ユニット20と、を備えている。なお、図1において、回転方向Sは、回転シャフト1の回転方向を示している。
また、図1に示す例では、AEセンサ11(11A〜11D)が回転シャフト1の外周面に取り付けられた構成を示しているが、AEセンサ11(11A〜11D)は、軸受2側に取り付けられていてもよいし、回転シャフト1に接触状態で取り付けられた他の部材(AE信号が伝播する部材)に取り付けられていてもよい。
信号取得部21は、AEセンサ11(11A〜11D)で検出したAE信号を取得するように構成される。
信号解析部22は、信号取得部21で取得したAE信号を解析するように構成される。信号解析部22は、AE信号の検出周波数を取得するように構成されてもよい。
診断部23は、信号解析部22で取得されたAE信号の検出周波数に基づいて、軸受2の異常箇所を特定するように構成される。
なお、診断部23が、信号取得部21又は信号解析部22を含む構成としてもよい。
回転シャフト1は、内輪3の内側に配置される。
内輪3と外輪4との間には、潤滑油膜7が形成されている。なお、本実施形態において、潤滑油は、液状の潤滑油や半固形状のグリース等を含み、部材間の摩擦を低減する目的で用いられるもの全般をいう。
転動体5は、軸受2の周方向に等間隔で複数配置されている。この転動体5は、球であってもよいし、柱状又は円錐台状のころであってもよい。
また、軸受2は、内輪3と外輪4との間に設けられ、複数の転動体5の間隔を一定に保持するように構成された保持器6を含んでいてもよい。この保持器6によって、各転動体5の自転は許容されながら、回転シャフト1の回転軸Oを中心に複数の転動体5が一体的に公転するようになっている。
なお、図2に示す転がり軸受は、内輪3が回転シャフト1とともに回転可能に構成されているが、他の構成例では、外輪(第1旋回輪)が回転シャフトとともに回転可能に構成されていてもよい。その場合、最も内側に内輪(第2旋回輪)が位置し、内輪の外周側に外輪(第1旋回輪)が位置し、外輪の外周側に回転シャフトが位置する。
内輪3、外輪4および転動体5を含む転がり軸受2の場合、内輪3に異常が発生したときに検出されるAE信号、外輪4に異常が発生したときに検出されるAE信号、または転動体5に異常が発生したときに検出されるAE信号は、それぞれ、特有の周期性を有する。そこで、AE信号の検出周波数に基づいて、内輪3、外輪4および転動体5の中から異常箇所を特定する。これにより、AE信号から異常箇所を適切に把握することができ、異常箇所に応じた対策を早期に施すことが可能となる。
図1及び図2を参照して、診断部23は、回転シャフト1の回転速度をNsとし、転動体5の公転速度をNkとし、転動体5の数をnkとしたとき、ns及びnkの和又は差とnとの積で表される周波数に検出周波数が相当する場合に、内輪3が異常箇所であると判断するように構成されている。
内輪3に異常箇所がある場合、以下の式(1)で表される周波数に検出周波数が相当する場合に、内輪3が異常箇所であると判断してもよい。
周波数=(回転シャフトの回転速度Ns±転動体の公転速度Nk)×転動体数N…(1)
内輪3に異常箇所がある場合、以下の式(2)で表される周波数に検出周波数が相当する場合に、内輪3が異常箇所であると判断してもよい。
周波数=転動体の公転速度Nk×転動体数N…(2)
回転シャフト1の回転時、転動体5は、自転しながら内輪3及び外輪4と接触する。転動体5に異常が発生した場合、転動体5の異常箇所は、転動体5の自転によって他の部材と接触し、その時の衝撃がAE信号に現れる。すなわち、転動体5に異常が発生した場合、転動体5の自転に対応した周期で、異常を示すAE信号が出現する。そこで、上記構成によれば、nw(転動体の自転速度)で表される周波数に検出周波数が相当する場合に、転動体5が異常箇所であると判断することによって、AE信号から適切に転動体5の異常を検出することができる。
公転速度nk=0.5×(1±Dwcosα/Dpw)×n [rpm]
自転速度nw=±0.5×(Dpw/Dw−Dw/Dpwcos2α)×n [rpm]
ここで、図4を参照して、Dpw:転動体中心直径、Dw:転動体直径、α:転動体と内外輪の接触角、n:軸回転速度[rpm]である。上記式(1),(2)は、内輪3又は外輪4の一方だけが回転している場合に適用される。内輪3のみが回転している場合には符号(−)であり、外輪4のみが回転している場合には符号(+)である。
AE信号検出ステップでは、少なくとも一つのAEセンサ11(11A〜11D)を用いて、軸受2からのAE信号を検出する。
診断ステップでは、AE信号検出ステップにおいて検出されたAE信号の検出周波数に基づき、軸受2の異常箇所を特定する。
この方法によれば、AEセンサ11(11A〜11D)によって軸受2からのAE信号を検出し、そのAE信号の検出周波数に基づいて軸受2の異常個所を特定するようになっている。これにより、軸受2の異常を早期に検出することが可能であるとともに、異常箇所まで特定可能であることから、異常に対して迅速に且つ適切な対策を施すことができる。
これにより、AE信号から異常箇所を適切に把握することができ、異常箇所に応じた対策を早期に施すことが可能となる。
図5及び図6に示すように、他の実施形態に係る異常診断装置10’は、複数のセンサ12(12A〜12D)と、診断部23’を含む処理ユニット20’と、を備える。
複数のセンサ12(12A〜12D)は、軸受2の周方向における互いに異なる位置に設けられ、軸受2の異常を示す信号を検出するように構成される。軸受2の異常を示す信号とは、例えば、上述したAE信号、又は導通状態を示す電気信号である。
信号取得部21は、複数のセンサ12(12A〜12D)で検出した複数の異常信号を取得するように構成される。なお、異常信号とは、軸受2の異常を示す信号である。
信号解析部22は、信号取得部21で取得した複数の異常信号を解析するように構成される。信号解析部22は、信号取得部21で取得した複数の異常信号の検出タイミングを取得するように構成されてもよい。
診断部23’は、複数のセンサ(12A〜12D)によってそれぞれ検出された複数の異常信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における軸受2の異常発生位置を特定するように構成されている。
なお、診断部23’が、信号取得部21又は信号解析部22を含む構成としてもよい。
また、複数のセンサ12(12A〜12D)で検出された信号に基づいて異常を診断することにより、異常を精度よく検出可能となり、診断結果の信頼性を向上させることができる。
回転シャフト1は、内輪3の内側に配置される。
内輪3と外輪4との間には、潤滑油膜7が形成されている。
転動体5は、軸受2の周方向に等間隔で複数配置されている。この転動体5は、球であってもよいし、柱状又は円錐台状のころであってもよい。
また、軸受2は、内輪3と外輪4との間に設けられ、複数の転動体5の間隔を一定に保持するように構成された保持器6を含んでいてもよい。この保持器6によって、各転動体5の自転は許容されながら、回転シャフト1の回転軸Oを中心に複数の転動体5が一体的に公転するようになっている。
なお、図6に示す転がり軸受は、内輪3が回転シャフト1とともに回転可能に構成されているが、他の構成例では、外輪(第1旋回輪)が回転シャフトとともに回転可能に構成されていてもよい。その場合、最も内周側に内輪(第2旋回輪)が位置し、内輪の外周側に外輪(第1旋回輪)が位置し、外輪の外周側に回転シャフトが位置する。
図5に示す例では、回転シャフト1の外周面から内輪3の内周面まで延在する導電部8が設けられており、電気信号印加部25は、導電部8に対して電気信号(例えばパルス信号)を印加するように構成されている。回転シャフト1の外周面のうち導電部8の周囲は、絶縁部9で形成されていてもよい。これにより、電気信号印加部25によって印加された電気信号が、目的とする内輪3ではなく、他の部位に向けて流れることを防止できる。なお、処理ユニット20’は、電気信号印加部25を制御するための信号制御部24をさらに含んでいてもよい。
複数のセンサ12(12A〜12D)は、軸受2の周方向における互いに異なる位置において、回転シャフト1及び内輪を含む回転部、又は、外輪4の他方に設けられる複数の電気信号検出部を含む。電気信号検出部12(12A〜12D)は、周方向において等間隔に配置されていてもよい。
診断部23’は、複数の電気信号検出部間の電気信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における異常発生位置を特定するように構成されている。
そこで、上記構成によれば、異常診断装置10’は、回転シャフト1及び内輪3を含む回転部、又は、外輪4の一方に対して電気信号を印加する電気信号印加部25と、回転シャフト1及び内輪3を含む回転部、又は、外輪4の他方に設けられた複数の電気信号検出部12(12A〜12D)と、を備えている。
図7に示す例では、軸受2の周方向に90度間隔(0度、90度、180度、270度)で4つの電気信号検出部12(12A〜12D)が配置されている。これらの電気信号検出部12(12A〜12D)は、外輪4の外周面に取り付けられている。一方、内輪3の内周面には、導電部8が設けられている。図示されるように、180度の周方向位置に設けられた電気信号検出部12Cと、270度の周方向位置に設けられた電気信号検出部12Dとの間で、且つ電気信号検出部12Cよりも電気信号検出部12Dに近い異常部位Pで油膜切れが発生したと仮定する。
これにより、軸受2の異常を早期に検出することが可能であるとともに、異常発生位置まで特定可能であることから、異常に対して迅速に且つ適切な対策を施すことができる。
なお、図5乃至図7に示す例では、電気信号印加部25が、回転シャフト1の外周面及び内輪3に電気信号を印加する構成を示したが、外輪4に電気信号を印加する構成としてもよい。その場合、電気信号検出部12(12A〜12D)は、内輪3に取り付けられる。
電気信号印加部は、回転シャフト又はすべり軸受の一方に対して、電気信号を印加するように構成される。
複数のセンサは、周方向における互いに異なる位置において、回転シャフト又はすべり軸受の他方に設けられる複数の電気信号検出部を含む。
診断部は、複数の電気信号検出部間の電気信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における異常発生位置を特定するように構成される。
そこで、上記構成によれば、異常診断装置は、回転シャフト又はすべり軸受の一方に対して電気信号を印加する電気信号印加部と、回転シャフト又はすべり軸受の他方に設けられた複数の電気信号検出部と、を備えている。
油膜切れが発生していない場合、回転シャフトとすべり軸受とは、油膜によって電気的に絶縁された状態となっている。ところが、油膜切れが発生した場合、油膜切れ発生箇所において回転シャフトとすべり軸受とは導通する。このとき、複数の電気信号検出部は軸受の周方向に複数設けられているため、回転シャフトとすべり軸受との導通位置から各電気信号検出部までの距離はそれぞれ異なり、各電気信号検出部で検出される異常信号の検出タイミングには差が生じる。したがって、この電気信号検出部間の電気信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における軸受の異常発生位置を適切に特定することができる。
信号検出ステップは、軸受2の周方向における互いに異なる位置に設けられた複数のセンサ12(12A〜12D)を用いて、軸受2の異常を示す信号を検出する。
診断ステップは、信号検出ステップにおいて検出された複数の信号の検出タイミングの差に基づいて、周方向における軸受2の異常発生位置を特定する。
また、複数のセンサ12(12A〜12D)で検出された信号に基づいて異常を診断することにより、異常を精度よく検出可能となり、診断結果の信頼性を向上させることができる。
例えば、図9に示すように、図1に示した異常診断装置10と、図5に示した異常診断装置10’と、を組み合わせた構成としてもよい。ここで、図9は、さらに他の実施形態に係る軸受2及び異常診断装置10”の全体構成図である。同図に示すように、異常診断装置10”は、複数のAEセンサ11(11A〜11D)と、複数の電気信号検出部12(12A〜12D)と、診断部23”を含む処理ユニット20”と、電気信号印加部25と、を備える。なお、各部位の構成は上述した構成と同一であるため、詳細な説明は省略する。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 軸受(転がり軸受)
3 内輪
4 外輪
5 転動体
6 保持器
7 油膜
8 導電部
9 絶縁部
10,10’,10” 異常診断装置
11(11A〜11D) AEセンサ
12(12A〜12D) 電気信号検出部
20,20’,20” 処理ユニット
21 信号取得部
22 信号解析部
23,23’,23” 診断部
24 信号制御部
25 電気信号印加部
30 風力発電装置
33 主軸
34 主軸受
35 発電機
Claims (15)
- 回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断装置であって、
前記軸受からのAE信号を検出するための少なくとも一つのAEセンサと、
前記AEセンサによって検出された前記AE信号の検出周波数に基づき、前記軸受の異常箇所を特定するように構成された診断部と、
を備えることを特徴とする軸受の異常診断装置。 - 前記軸受は、前記回転シャフトとともに回転可能に構成された第1旋回輪と、前記第1旋回輪の内周側又は外周側に設けられる第2旋回輪と、前記第1旋回輪と前記第2旋回輪との間に設けられる複数の転動体と、を含み、
前記診断部は、前記検出周波数に基づいて、前記第1旋回輪、前記第2旋回輪および前記転動体の中から前記異常箇所を特定するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の軸受の異常診断装置。 - 前記診断部は、前記回転シャフトの回転速度をNsとし、前記転動体の公転速度をNkとし、前記転動体の数をnとしたとき、ns及びnkの和又は差とnとの積で表される周波数に前記検出周波数が相当する場合に、前記第1旋回輪が前記異常箇所であると判断するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の軸受の異常診断装置。
- 前記診断部は、前記転動体の自転速度をnwとしたとき、nwで表される周波数に前記検出周波数が相当する場合に、前記転動体が前記異常箇所であると判断するように構成されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の軸受の異常診断装置。
- 前記診断部は、前記転動体の公転速度をnkとし、前記転動体の数をnとしたとき、nkとnとの積で表される周波数に前記検出周波数が相当する場合に、前記第2旋回輪が前記異常箇所であると判断するように構成されたことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の軸受の異常診断装置。
- 前記少なくとも一つのAEセンサは、前記軸受の周方向における互いに異なる位置に設けられた複数のAEセンサを含み、
前記診断部は、前記複数のAEセンサによってそれぞれ検出された複数の前記AE信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記軸受の損傷発生位置を特定するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の軸受の異常診断装置。 - 回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断装置であって、
前記軸受の周方向における互いに異なる位置に設けられ、前記軸受の異常を示す信号を検出するための複数のセンサと、
前記複数のセンサによってそれぞれ検出された複数の前記信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記軸受の異常発生位置を特定するように構成された診断部と、
を備えることを特徴とする軸受の異常診断装置。 - 前記複数のセンサは、前記軸受からのAE信号を検出するための複数のAEセンサを含むことを特徴とする請求項7に記載の軸受の異常診断装置。
- 前記軸受は、前記回転シャフトとともに回転可能に構成された第1旋回輪と、前記第1旋回輪の内周側又は外周側に設けられる第2旋回輪と、前記第1旋回輪と前記第2旋回輪との間に設けられる複数の転動体と、を含む転がり軸受であり、
前記回転シャフト及び前記第1旋回輪を含む回転部、又は、前記第2旋回輪の一方に対して、電気信号を印加するための電気信号印加部をさらに備え、
前記複数のセンサは、前記周方向における互いに異なる位置において、前記回転シャフト及び前記第1旋回輪を含む回転部、又は、前記第2旋回輪の他方に設けられる複数の電気信号検出部を含み、
前記診断部は、前記複数の電気信号検出部間の前記電気信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記異常発生位置を特定するように構成されたことを特徴とする請求項7又は8に記載の軸受の異常診断装置。 - 前記軸受は、潤滑油膜を介して前記回転シャフトの外周側に位置するすべり軸受であり、
前記回転シャフト又は前記すべり軸受の一方に対して、電気信号を印加するための電気信号印加部をさらに備え、
前記複数のセンサは、前記周方向における互いに異なる位置において、前記回転シャフト又は前記すべり軸受の他方に設けられる複数の電気信号検出部を含み、
前記診断部は、前記複数の電気信号検出部間の前記電気信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記異常発生位置を特定するように構成されたことを特徴とする請求項7又は8に記載の軸受の異常診断装置。 - 前記複数のセンサは、前記周方向において等間隔に配置されたことを特徴とする請求項7乃至10の何れか一項に記載の軸受の異常診断装置。
- 前記軸受は、風力発電装置の主軸を回転自在に支持するための主軸受であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の軸受の異常診断装置。
- 回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断方法であって、
少なくとも一つのAEセンサを用いて、前記軸受からのAE信号を検出するAE信号検出ステップと、
前記AE信号検出ステップにおいて検出された前記AE信号の検出周波数に基づき、前記軸受の異常箇所を特定する診断ステップと、
を備えることを特徴とする軸受の異常診断方法。 - 前記軸受は、前記回転シャフトとともに回転可能に構成された第1旋回輪と、前記第1旋回輪の内周側又は外周側に設けられる第2旋回輪と、前記第1旋回輪と前記第2旋回輪との間に設けられる複数の転動体と、を含み、
前記診断ステップでは、前記検出周波数に基づいて、前記第1旋回輪、前記第2旋回輪および前記転動体の中から前記異常箇所を特定することを特徴とする請求項13に記載の軸受の異常診断方法。 - 回転シャフトを回転可能に支持する軸受の異常診断方法であって、
前記軸受の周方向における互いに異なる位置に設けられた複数のセンサを用いて、前記軸受の異常を示す信号を検出する信号検出ステップと、
前記信号検出ステップにおいて検出された複数の前記信号の検出タイミングの差に基づいて、前記周方向における前記軸受の異常発生位置を特定する診断ステップと、
を備えることを特徴とする軸受の異常診断方法。
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