JP2016144694A - 内視鏡システム - Google Patents

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Abstract

【課題】補色系撮像素子を用いた狭帯域光観察において、色分離性及び表層血管の視認性を向上させることを可能とする内視鏡システムを提供する。【解決手段】光源装置11により生成される紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnは、補色型内視鏡13aに供給されて検体内に照射される。補色系撮像素子28からは、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとの両方に感応する第1混合画素と第2混合画素とが読み出しされる。緑色狭帯域光Gnの光量に対する紫色狭帯域光Vnの光量の光量比Zは、1よりも大きな値に設定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、補色系撮像素子を用いた狭帯域光観察を行う内視鏡システムに関する。
近年の医療においては、光源装置、電子内視鏡、プロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いた診断等が広く行われている。光源装置は、照明光を発生して検体内に照射する。電子内視鏡は、照明光が照射されて検体内を撮像素子により撮像して画像信号を生成する。プロセッサ装置は、電子内視鏡により生成された撮像信号を画像処理してモニタに表示するための観察画像を生成する。
内視鏡システムで使用される観察方法としては、波長域の広い通常光(白色光)を照明光とする通常光観察の他に、波長域の狭い特殊光(狭帯域光)を照明光とする狭帯域光観察が知られている。狭帯域光観察は、例えば、白色光の場合に得られる光学情報では埋もれてしまい易い粘膜表層の血管走行の状態の視認性を向上させて表示することができる。このため、狭帯域光観察では、血管走行の中でも表層血管に着目し、その表層血管の形態によって、病変部の進行度や、深さ方向の深達度などを判断することができる。
この狭帯域光観察では、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい2つの狭帯域光(415nm付近に中心波長を有する青色狭帯域光と、540nm付近に中心波長を有する緑色狭帯域光)が用いられている。狭帯域光観察での撮像方式としては、青色狭帯域光と緑色狭帯域光とを交互に照射し、各狭帯域光の照射毎にモノクロの撮像素子を用いて撮像する面順次方式の他、青色狭帯域光と緑色狭帯域光とを同時照射して、カラーフィルタを有する同時式撮像素子で撮像する同時方式が知られている(特許文献1、2参照)。同時方式は、面順次方式に比べて解像度は低いが、画像にブレが生じにくいという利点や、内視鏡システムの構成が簡単化されるという利点がある。
同時式撮像素子には、原色系フィルタを有する原色系撮像素子と、補色系フィルタを有する補色系撮像素子とがある。原色系撮像素子は、補色系撮像素子と比べて感度は劣るものの色再現性に優れているため、色を重視する内視鏡システムで用いられる。一方、補色系撮像素子は、原色系撮像素子に比べて色再現性は劣るものの高感度であるため、感度を重視する内視鏡システムで用いられる。したがって、原色系撮像素子と補色系撮像素子はそれぞれ一長一短であるため、今後の内視鏡システムは、原色系撮像素子を内蔵した原色型内視鏡と、補色系撮像素子を内蔵した補色型内視鏡との両方が接続可能な内視鏡システムが求められている。
特許文献1、2には、補色系撮像素子として、マゼンタ(Mg)、グリーン(G)、シアン(Cy)、イエロー(Ye)の4種の画素を有する補色市松色差線順次方式のものが示されている。この補色市松色差線順次方式では、フィールド読み出しにより、隣接する2行の各画素信号が混合(加算)されて読み出される。具体的には、Mg画素とCy画素、G画素とYe画素、Mg画素とYe画素、G画素とCy画素の4種の組み合わせで読み出される。この補色市松色差線順次方式は、4種の混合画素の信号に基づいて加減算を行うだけで、簡単にY/C信号及びRGB信号を生成することができるという利点がある。
特許第4009626号公報 特許第4847250号公報
上記の内視鏡システムで狭帯域光観察を行う場合、原色系撮像素子では、青色狭帯域光と緑色狭帯域光とが、ブルー(B)画素及びグリーン(G)画素によりそれぞれ個別に撮像されるため、色分離性がよく、表層血管の視認性(表層血管と粘膜とのコントラスト)に優れる画像が得られる。これに対して、補色系撮像素子では、青色狭帯域光と緑色狭帯域光とが各混合画素により同時にセンシングされる(すなわち、混色が生じる)ため、色分離性が悪く、表層血管が散乱光の影響でボケることにより、表層血管の視認性が低下するという問題がある。
この問題に関連して、特許文献1,2では、Y/C信号をRGB信号に変換するためのマトリクス演算における係数を、カラーフィルタの特性等に応じて変更することにより混色を低減させることが記載されている。しかし、このマトリクス演算は、各混合画素信号に基づく演算を行う信号処理回路内で行われるものであり、各混合画素信号は信号処理回路に入力される時点で既に青色狭帯域光成分と緑色狭帯域光成分とが混じった信号であるので、マトリクス演算は色分離性及び表層血管の視認性を根本的に向上させるものではない。
本発明は、補色系撮像素子を用いた狭帯域光観察において、色分離性及び表層血管の視認性を向上させることを可能とする内視鏡システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、シアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの各カラーフィルタセグメントのいずれかが取り付けられた画素を有する撮像素子が配置された補色系撮像素子が配置された補色型内視鏡と、補色型内視鏡が着脱自在に接続可能であり、ブルーまたはバイオレットの波長域中に中心波長を有する第1狭帯域光と、グリーンの波長域中に中心波長を有する第2狭帯域光を生成する光源装置を有する照射部と、光源装置に補色型内視鏡が接続された場合に、第2狭帯域光の光量に対する第1狭帯域光の光量の光量比である第1光量比を1よりも大きな値に設定する制御部と、を備える。
光源装置には、補色型内視鏡に加えて、原色系撮像素子が配置された原色型内視鏡が着脱自在に接続可能であり、制御部は、第1光量比を、原色型内視鏡が接続された場合に設定する第2狭帯域光の光量に対する第1狭帯域光の光量の光量比である第2光量比よりも大きな値に設定することが好ましい。
照射部は、第1狭帯域光と第2狭帯域光とを同時照射することが好ましい。
補色系撮像素子は、第1狭帯域光と第2狭帯域光との両方に感応する第1混合画素と第2混合画素との読み出しを行うものであって、第1狭帯域光に基づく画像化に第1混合画素の信号値を用い、第2狭帯域光に基づく画像化に第2混合画素の信号値を用いる信号処理部をさらに備え、制御部は、第1光量比を、第1混合画素の信号値よりも第2混合画素の信号値を大きくするように設定することが好ましい。
Rチャネル、Gチャネル、及びBチャネルを有する画像表示装置をさらに備え、第1狭帯域光に対応する信号を、Gチャネル及びBチャネルに割り当てることが好ましい。
光源装置は、複数のLED光源を有しており、制御部は、複数のLED光源の発光強度及び/又は発光時間を制御することにより第1光量比を設定することが好ましい。
本発明によれば、色分離性及び表層血管の視認性が向上する。
内視鏡システムの外観図である。 内視鏡システムの内部構成を示すブロック図である。 紫色狭帯域光の発光スペクトルを示すグラフである。 通常光の発光スペクトルを示すグラフである。 合波部の構成を説明する図である。 緑色狭帯域光の発光スペクトルを示すグラフである。 補色系色分離フィルタを示す模式図である。 原色系色分離フィルタを示す模式図である。 狭帯域光観察モード時の光源及び補色系撮像素子の駆動タイミングを示す図である。 補色系撮像素子からの出力信号を示す図である。 補色系撮像素子の分光感度特性を例示するグラフである。 第1〜第4混合画素の分光感度特性を例示するグラフである。 ライトガイドの分光減衰特性を例示するグラフである。 キャリブレーションモード時の光源及び補色系撮像素子の駆動タイミングを示す図である。 補色用第1処理部の構成を示すブロック図である。 第1及び第2混合画素信号中の主成分の各割合及び両者の和を例示するグラフである。 内視鏡システムの作用を説明するフローチャートである。 青色狭帯域光の発光スペクトルを示すグラフである。 光源装置の変形例を示す模式図である。 回転型フィルタの構成を示す模式図である。 第1狭帯域用フィルタ部の透過特性を例示するグラフである。 第2狭帯域用フィルタ部の透過特性を例示するグラフである。 補色系色分離フィルタの変形例を示す模式図である。
図1において、内視鏡システム10は、光源装置11と、プロセッサ装置12と、光源装置11及びプロセッサ装置12に着脱自在に接続可能な電子内視鏡(以下、単に内視鏡という)13により構成されている。光源装置11は、照明光を発生して内視鏡13に供給する。内視鏡13は、先端側が検体の体腔内等に挿入されて、体腔内を撮像する。プロセッサ装置12は、内視鏡13の撮像制御を行うと共に、内視鏡13が取得した撮像信号に対して信号処理を施す。
プロセッサ装置12には、画像表示装置14及び入力装置15が接続されている。画像表示装置14は、液晶モニタ等であり、プロセッサ装置12により生成された検体内の画像を表す検体画像を表示する。入力装置15は、キーボードやマウスにより構成され、プロセッサ装置12に対して各種情報を入力する。
内視鏡13には、補色系撮像素子28(図2参照)を備える補色型内視鏡13aと、原色系撮像素子29(図2参照)を備える原色型内視鏡13bがあり、いずれも光源装置11及びプロセッサ装置12に接続可能である。補色型内視鏡13aと原色型内視鏡13bは、撮像素子以外は同一の構成であって、挿入部16と、操作部17と、ユニバーサルケーブル18と、ライトガイドコネクタ19aと、信号コネクタ19bにより構成されている。
挿入部16は、細長く、検体の体腔内等に挿入される。操作部17は、挿入部16の後端に接続されており、スコープスイッチや湾曲操作ダイヤル等が設けられている。スコープスイッチには、観察モードを切り替えるためのモード切替スイッチ17aが含まれている。
ユニバーサルケーブル18は、操作部17から延出されている。ライトガイドコネクタ19a及び信号コネクタ19bは、ユニバーサルケーブル18の端部に設けられている。ライトガイドコネクタ19aは、光源装置11に着脱自在に接続される。信号コネクタ19bは、プロセッサ装置12に着脱自在に接続される。
内視鏡システム10は、観察モードとして、通常光観察モードと狭帯域光観察モードとを有する。通常光観察モードでは、波長域が青色帯域から赤色帯域に及ぶ通常光(白色光)を検体に照射して撮像が行われ、通常光画像が生成される。狭帯域光観察モードでは、波長域の狭い狭帯域光(後述する紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gn)を検体に照射して撮像が行われ、狭帯域光画像が生成される。この通常光観察モード及び狭帯域光観察モードは、補色型内視鏡13aと原色型内視鏡13bとのいずれを用いる場合にも可能である。
通常光観察モードと狭帯域光観察モードとは、前述のモード切替スイッチ17aにより切り替え可能であるが、プロセッサ装置12に接続可能なフットスイッチ(図示せず)や、プロセッサ装置12のフロントパネルに設けられたボタン、入力装置15等により切り替え可能としても良い。
図2において、光源装置11は、複数のLED(Light Emitting Diode)光源20と、光源制御部21と、合波部24とを有している。LED光源20は、紫色LED(V−LED)20aと、白色LED(WL−LED)20bとにより構成されている。V−LED20aは、図3に示すように、380〜440nmの波長域の紫色狭帯域光Vnを発生する。WL−LED20bは、図4に示すように、広波長域の白色光WLを発生する。光源制御部21は、V−LED20a及びWL−LED20bの発光制御を行う。
合波部24は、図5に示すように、ダイクロイックミラー22と、第1〜第3レンズ23a〜23cとを有している。第1及び第2レンズ23a,23bは、それぞれLED20a,20bに対応して配置されており、各LED20a,20bから射出された光を集光して平行光とする。V−LED20a及びWL−LED20bは、光軸が直交するように配置されており、この光軸の交点にダイクロイックミラー22が配置されている。
ダイクロイックミラー22は、例えば530nm以上550nm未満の波長域の光を透過させると共に、530nm未満及び550nm以上の波長域の光を反射させる光学特性を有している。したがって、紫色狭帯域光Vnは、ダイクロイックミラー22により反射され、第3レンズ23cにより集光される。一方の白色光WLは、その一部がダイクロイックミラー22を透過し、図6に示すように、530〜550nmの波長域の緑色狭帯域光Gnとなって第3レンズ23cにより集光される。
狭帯域光観察モード時には、V−LED20a及びWL−LED20bが同時に点灯し、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとがダイクロイックミラー22により合波されて第3レンズ23cにより集光され、ライトガイド27に入射する。
通常光観察モード時には、ダイクロイックミラー22は、移動機構(図示せず)によりWL−LED20bの光軸外に移動される。これにより、通常光観察モード時には、白色光WLは、第3レンズ23cに直接入射し、ライトガイド27に供給される。通常光観察モード時には、ダイクロイックミラー22が退避し、V−LED20aから射出された紫色狭帯域光Vnはダイクロイックミラー22で反射されても第3レンズ23cには入射しないので、V−LED20aは点灯・非点灯のいずれでも良い。
紫色狭帯域光Vnは、中心波長が約405nmであり、可視光領域においてヘモグロビンの吸光係数が高い波長である。緑色狭帯域光Gnは、中心波長が約540nmであり、緑色光の波長域においてヘモグロビンの吸光係数が高い波長である。また、緑色狭帯域光Gnは、紫色狭帯域光Vnより粘膜での反射率が高いという特性を有する。
内視鏡13の挿入部16の先端には、照明窓と観察窓とが隣接して設けられており、照明窓に照明レンズ25が取り付けられており、観察窓に対物レンズ26が取り付けられている。内視鏡13内には、ライトガイド27が挿通されており、ライトガイド27の一端が照明レンズ25に対向している。ライトガイド27の他端は、ライトガイドコネクタ19aに配置され、光源装置11内に挿入される。
照明レンズ25は、光源装置11からライトガイド27に入射され、ライトガイド27から射出された光を集光して検体内に照射する。対物レンズ26は、検体の生体組織等からの反射光を集光して光学像を結像する。対物レンズ26の結像位置には、光学像を撮像して撮像信号を生成する撮像素子(補色型内視鏡13aの場合には補色系撮像素子28、原色型内視鏡13bの場合には原色系撮像素子29)が配置されている。補色系撮像素子28及び原色系撮像素子29は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。
補色系撮像素子28の撮像面には、光学像を光学的に画素毎に色分離する補色系色分離フィルタ28aが設けられている。この補色系色分離フィルタ28aは、図7に示すように、マゼンタ(Mg)、グリーン(G)、シアン(Cy)、イエロー(Ye)の4種のカラーフィルタセグメントを有し、各カラーフィルタセグメントは画素単位で取り付けられている。したがって、補色系撮像素子28は、Mg、G、Cy、Yeの4種の画素を有し、奇数列を、Mg画素、Cy画素、Mg画素、Ye画素、・・・の順番、偶数列を、G画素、Ye画素、G画素、Cy画素、・・・の順番とするように、奇数行にMg画素とG画素とが交互に配置され、偶数行にCy画素とYe画素とが交互に配置されている。このカラーフィルタ配列は、補色市松色差線順次方式と呼ばれている。
原色系撮像素子29の撮像面には、原色系色分離フィルタ29aが設けられている。この原色系色分離フィルタ29aは、図8に示すように、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種のカラーフィルタセグメントを有し、各カラーフィルタセグメントは画素単位で取り付けられている。したがって、原色系撮像素子29は、R、G、Bの3種の画素を有し、奇数列にG画素とB画素とが交互に配置され、偶数列にR画素とG画素が交互に配置され、奇数行にG画素とR画素とが交互に配置され、偶数行にB画素とG画素とが交互に配置されている。このカラーフィルタ配列は、原色ベイヤー方式と呼ばれている。
内視鏡13には、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成された情報記憶部30が設けられている。情報記憶部30は、内視鏡13の固有情報(撮像素子のカラーフィルタ配列や画素数)等を記憶している。
プロセッサ装置12は、制御部31と、撮像制御部32と、相関二重サンプリング(CDS)回路33と、A/D変換回路34と、明るさ検出回路35と、調光回路36と、信号処理部37と、チャネル割当部38とを有する。
制御部31は、プロセッサ装置12内の各部と、光源装置11との制御を行う。制御部31は、光源装置11及びプロセッサ装置12に内視鏡13が接続された際に、情報記憶部30から内視鏡13の固有情報を読み取り、接続された内視鏡13が補色型内視鏡13aであるか原色型内視鏡13bであるかを判定する。撮像制御部32は、制御部31により判定された内視鏡13の種類に応じて、撮像素子(補色系撮像素子28または原色系撮像素子29)を駆動する。
撮像制御部32は、補色系撮像素子28の場合には、光源装置11の発光タイミングに合わせて、補色系撮像素子28をフィールド読み出し方式で駆動する。具体的には、フィールド読み出し方式では、奇数フィールドと偶数フィールドとの各読み出し時において、列方向に隣接する2画素を2行の各画素信号が混合(加算)して読み出される(図7参照)。この画素信号の混合は、CCDイメージセンサの水平転送路(図示せず)内で行われる。図9は、狭帯域光観察モード時の駆動タイミングを示している。通常光観察モード時の駆動タイミングは、照明光を白色光WLとすること以外は狭帯域光観察モード時と同一である。
このフィールド読み出し方式より、補色系撮像素子28からは、奇数フィールドと偶数フィールドとのそれぞれにおいて、図10に示すように、Mg画素とCy画素との混合画素信号(以下、第1混合画素信号という)M1と、G画素とYe画素との混合画素信号(以下、第2混合画素信号という)M2と、Mg画素とYe画素との混合画素信号(以下、第3混合画素信号という)M3と、G画素とCy画素との混合画素信号(以下、第4混合画素信号という)M4が出力される。
補色系撮像素子28の各画素がカラーフィルタセグメントに応じて、例えば図11に示す分光感度特性を有することから、各混合画素は、例えば図12に示す分光感度特性を有する。この分光感度特性によると、第1〜第4混合画素のうち、第1混合画素(Mg+Cy)が紫色狭帯域光Vn(中心波長405nm)に対して最も高感度であり、第2混合画素(G+Ye)が緑色狭帯域光Gn(中心波長540nm)に対して最も高感度であることが分かる。ただし、第1混合画素(Mg+Cy)は、緑色狭帯域光Gnに対しても高い感度を有しており、第2混合画素(G+Ye)は、紫色狭帯域光Vnに対して若干の感度を有している。
狭帯域光観察モード時には、第1混合画素信号M1に基づいて、紫色狭帯域光Vnの画像化が行われ、第2混合画素信号M2に基づいて緑色狭帯域光Gnの画像化が行われる。一方、通常光観察モード時には、第1〜第4混合画素信号M1〜M4を全て用いて画像化が行われる。
撮像制御部32は、原色系撮像素子29の場合には、光源装置11の発光タイミングに合わせて、原色系撮像素子29を周知のプログレッシブ読み出し方式で駆動する。このプログレッシブ読み出し方式では、画素信号の混合は行われずに、1行ずつ順に1フレーム分の画素信号が個別に読み出される。
補色系撮像素子28及び原色系撮像素子29から出力された信号は、CDS回路33に入力される。CDS回路33は、入力された信号に対して相関二重サンプリングを行って、CCDイメージセンサで生じるノイズ成分を除去する。CDS回路33によりノイズ成分が除去された信号は、A/D変換回路34に入力されると共に、明るさ検出回路35に入力される。A/D変換回路34は、CDS回路33から入力された信号をデジタル信号に変換して、信号処理部37に入力する。
明るさ検出回路35は、CDS回路33から入力された信号に基づいて、明るさ(信号の平均輝度)を検出する。調光回路36は、明るさ検出回路35により検出された明るさ信号と、基準の明るさ(調光の目標値)との差分である調光信号を生成する。この調光信号は、光源制御部21に入力される。光源制御部21は、基準の明るさが得られるように、LED光源20の発光量を調整する。
制御部31は、内視鏡13のモード切替スイッチ17aが操作された際に発せられるモード切替信号を受信し、受信したモード切替信号に基づいて、光源装置11の発光方式と信号処理部37の信号処理方式を切り替える。
制御部31は、狭帯域光観察モードの場合には、情報記憶部30から読み取った固有情報に基づく内視鏡13の種類に応じて光源制御部21を制御し、V−LED20a及びWL−LED20bの発光強度を変更する。具体的には、原色型内視鏡13bの場合には、制御部31は、原色型内視鏡13bから検体内に射出される紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとの光量がほぼ等しくなるように光源制御部21を制御する。
一方、補色型内視鏡13aの場合には、制御部31は、補色型内視鏡13aから検体内に射出される緑色狭帯域光Gnの光量に対する紫色狭帯域光Vnの光量の光量比Zが、式(1)を満たすように光源制御部21を制御する。この光量比Zは、少なくとも原色型内視鏡13bの場合(Z=1)よりも大きい。
Figure 2016144694
ここで、Sは、紫色狭帯域光Vnのみを独立照射した場合に得られる第1混合画素信号M1vである。Sは、緑色狭帯域光Gnのみを独立照射した場合に得られる第2混合画素信号M2gである。Zは、この独立照射時における緑色狭帯域光Gnの光量Yに対する紫色狭帯域光Vnの光量Xの比(X/Y)である。
詳しくは後述するが、式(1)は、検体に同時照射される紫色狭帯域光Vnの光量を緑色狭帯域光Gnの光量より高めるとともに、緑色狭帯域光Gnに基づく画像化に用いられる第2混合画素の信号値を、紫色狭帯域光Vnに基づく第1混合画素の画像化に用いられる信号値よりも高くする光量比Zの条件である。これにより、後述するように色分離性が向上すると共に、表層血管の視認性(表層血管と粘膜のコントラスト)が向上する。
特に、光量比Zは、式(2)で表される最適光量比Zに設定することが好ましい。この最適光量比Zは、式(1)で規定される範囲の中央値である。
Figure 2016144694
は、紫色狭帯域光Vnの独立照射時における複数の第1混合画素信号値M1vの平均値(例えば、奇数フィールドと偶数フィールドとの全ての第1混合画素信号値M1vの平均値)とすることが好ましい。同様に、Sは、緑色狭帯域光Gnの独立照射時における複数の第2混合画素信号値M2gの平均値(例えば、奇数フィールドと偶数フィールドとの全ての第2混合画素信号値M2gの平均値)とすることが好ましい。
この最適光量比Zは、内視鏡システム10の製造時の最終検査工程等で、光源装置11から紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとを所定の光量比Z(例えば、Z=1)でそれぞれ独立に照射(時分割照射)させ、補色系撮像素子28から第1及び第2混合画素信号M1v,M2gを取得し、式(2)に基づいて演算を行うことにより求められる。このように製造段階で求められた最適光量比Zは、補色型内視鏡13aの情報記憶部30に記憶される。
制御部31は、補色型内視鏡13aが光源装置11及びプロセッサ装置12に接続されて、モード切替スイッチ17aにより狭帯域光観察モードが選択された場合には、補色型内視鏡13aの情報記憶部30に記憶された最適光量比Zを読み出して、光源制御部21を制御し、補色型内視鏡13aから式(1)を満たす光量比Zの紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnが射出されるようにV−LED20a及びWL−LED20bを強度変調して発光強度を設定する。
前述のライトガイド27は、図13に示すような分光減衰特性を有し、約440nm以下の短波長域で伝播光の減衰率が高くなる。このため、紫色狭帯域光Vnは、光源装置11から射出された後、補色型内視鏡13aのライトガイド27内で、緑色狭帯域光Gnより多く減衰することになる。したがって、V−LED20a及びWL−LED20bの発光強度比と、補色型内視鏡13aから射出される紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnの光量比Zとは一致しないため、制御部31は、ライトガイド27の分光減衰率を考慮してV−LED20a及びWL−LED20bの発光強度を設定する。例えば、V−LED20a及びWL−LED20bの発光強度比と、補色型内視鏡13aから射出される紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnの光量比Zとの関係を予め実測してテーブル化しておき、このテーブルに基づいてV−LED20a及びWL−LED20bを制御すればよい。
また、内視鏡システム10は、製品としての完成後に最適光量比Zを再計算することを可能とするキャリブレーションモードを有する。このキャリブレーションモードは、入力装置15等の操作により選択可能である。このキャリブレーションモードでは、制御部31は、光源装置11のV−LED20a及びWL−LED20bを個別に点灯させて、図14に示すように、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとを時分割照射し、各照射タイミングに合わせて補色系撮像素子28を駆動する。
このキャリブレーションモードで用いる紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとの光量比Zは、光源制御部21に設定中の光量比Zのままで良い。制御部31には、最適光量比算出部39が構成されている。最適光量比算出部39は、式(2)に基づく演算を行い、最適光量比Zを算出する。
信号処理部37は、セレクタ40と、補色用第1処理部41と、補色用第2処理部42と、原色用第1処理部43と、原色用第2処理部44と、キャリブレーション用処理部45とを有している。セレクタ40は、制御部31により判定された内視鏡13の種類及び観察モードに応じて、処理部41〜45のうちからいずれか1つを選択する。
キャリブレーション用処理部45は、前述のキャリブレーションモード時に選択される。キャリブレーションモード時に補色系撮像素子28から出力された信号は、CDS回路33及びA/D変換回路34を介して信号処理部37に入力され、セレクタ40によりキャリブレーション用処理部45に送られる。キャリブレーション用処理部45は、入力された信号から、前述の第1及び第2混合画素信号M1v,M2gを抽出し、各信号値の平均値を求めて、制御部31内の最適光量比算出部39に入力する。最適光量比算出部39は、キャリブレーション用処理部45から入力された信号値を用いて、式(2)に基づいて最適光量比Zを算出する。
また、制御部31は、キャリブレーションが行われると、補色型内視鏡13aの情報記憶部30に記憶された最適光量比Zを消去して、最適光量比算出部39により算出された最適光量比Zに書き換える。
補色用第1処理部41は、内視鏡13の種類が補色型で、かつ観察モードが通常光観察モードである場合に選択される。補色用第1処理部41には、補色系撮像素子28から第1〜第4混合画素信号M1〜M4(図10参照)が入力される。補色用第1処理部41は、補色市松色差線順次方式に用いられる周知のY/C変換を行って、輝度信号Yと色差信号Cr,Cbを生成し、さらにマトリクス演算により輝度信号Yと色差信号Cr,CbをRGB信号に変換する。このRGB信号は、チャネル割当部38に送られる。具体的には、輝度信号Yと色差信号Cr,Cbは、行方向に隣接する第1混合画素信号M1と第2混合画素信号M2との加減算と、行方向に隣接する第3混合画素信号M3と第4混合画素信号M4との加減算とにより算出される。
補色用第2処理部42は、内視鏡13の種類が補色型で、かつ観察モードが狭帯域光観察モードである場合に選択される。補色用第2処理部42は、図15に示すように、信号抽出部46と、補間処理部47と、混色補正部48とを有する。
信号抽出部46は、補色系撮像素子28から入力される第1〜第4混合画素信号M1〜M4から、第1及び第2混合画素信号M1,M2のみを抽出して補間処理部47に入力する。補間処理部47は、周知の画素補間処理を行い、各混合画素の位置について第1及び第2混合画素信号M1,M2の2つの信号を生成する。混色補正部48は、式(3)を用いて混色補正処理を行う。
Figure 2016144694
ここで、Kは、紫色狭帯域光Vnのみを独立照射した場合に得られる第1混合画素信号M1vに対する第2混合画素信号M2vの比(M2v/M1v)である。Kは、緑色狭帯域光Gnのみを独立照射した場合に得られる第2混合画素信号M2gに対する第1混合画素信号M1gの比(M1g/M2g)である。
混色補正部48は、補正係数K,Kを、前述のキャリブレーションモード時に得られる第1混合画素信号M1v,M1g及び第2混合画素信号M2g,M2vを用いて算出する。混色補正部48は、算出した補正係数K,Kを、キャリブレーションが再度行われるまでの間、保持し続ける。
また、この補正係数K,Kを、製造段階で求めて、補色型内視鏡13aの情報記憶部30に記憶しておき、補色型内視鏡13aが光源装置11及びプロセッサ装置12に接続された際に、制御部31が情報記憶部30から取得するようにしても良い。さらに、キャリブレーションが行われた場合に、補色型内視鏡13aの情報記憶部30に記憶された補正係数K,Kを消去して、混色補正部48により算出された補正係数K,Kに書き換えることが好ましい。
式(3)の混色補正処理は、混色成分(第1混合画素信号M1中の緑色狭帯域光Gn成分と、第2混合画素信号M2中の紫色狭帯域光Vn成分)を低減させる。混色補正後の第1及び第2混合画素信号M1’,M2’は、チャネル割当部38に送られる。
原色用第1処理部43は、内視鏡13の種類が原色型で、かつ観察モードが通常光観察モードである場合に選択される。原色用第1処理部43には、原色系撮像素子29からRGB信号が入力される。このRGB信号は、1画素に、R、G、Bのいずれかの信号が割り当てられたものである。原色用第1処理部43は、周知の画素補間処理を行い、各画素についてR、G、Bの3つの信号を生成する。この画素補間処理後のRGB信号は、チャネル割当部38に送られる。
原色用第2処理部44は、内視鏡13の種類が原色型で、かつ観察モードが狭帯域光観察モードである場合に選択される。原色用第2処理部44には、原色系撮像素子29からRGB信号が入力される。原色用第2処理部44は、紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnに感応するB信号及びG信号を抽出し、同様に画素補間処理を施すことにより、画素毎のB信号及びG信号を生成する。このB信号及びG信号は、チャネル割当部38に送られる。
チャネル割当部38は、観察モードが通常光観察モードである場合には、内視鏡13の種類によらずRGB信号が入力されるため、このR、G、Bの信号をそれぞれ画像表示装置14のRch、Gch、Bchの各チャネルに割り当てて表示させる。これにより、画像表示装置14には、通常光によって照明された検体の像が映し出された通常画像が表示される。
また、チャネル割当部38は、内視鏡13の種類が補色型で、かつ観察モードが狭帯域光観察モードである場合には、補色用第2処理部42から入力された第1及び第2混合画素信号M1’,M2’を、式(4)に示すように画像表示装置14の各チャネルに割り当てて表示させる。
Figure 2016144694
これにより、画像表示装置14には、紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnにより照明された検体の像が映し出された特殊画像が表示される。式(4)では、紫色狭帯域光Vnに対応する第1混合画素信号M1’を2つのチャネルに割り当てて表示させているので、特殊画像は、生体表層付近の表層血管(毛細血管など)等の構造が視認しやすい画像となる。なお、第1及び第2混合画素信号M1’,M2’に、「1」,「0」以外の係数で重み付けを行ってチャネルに割り当てても良い。
さらに、チャネル割当部38は、内視鏡13の種類が原色型で、かつ観察モードが狭帯域光観察モードである場合には、原色用第2処理部44から入力されたB信号及びG信号を、式(5)に示すように画像表示装置14の各チャネルに割り当てて表示させる。
Figure 2016144694
これにより、画像表示装置14には、紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnにより照明された検体の像が映し出された特殊画像が表示される。この特殊画像は、生体表層付近の表層血管等の構造が視認しやすい画像である。同様に、B信号及びG信号に、「1」,「0」以外の係数で重み付けを行ってチャネルに割り当てても良い。
次に、光量比Zの範囲を規定する式(1)の導出方法について説明する。補色型内視鏡13aから検体内に同時照射される紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnの光量をそれぞれ“X”、“Y”とし、第1混合画素(Mg+Cy)の紫色狭帯域光Vnに対する平均的な感度を“a”、第1混合画素(Mg+Cy)の緑色狭帯域光Gnに対する平均的な感度を“b”、第2混合画素(G+Ye)の緑色狭帯域光Gnに対する平均的な感度を“a”、第2混合画素(G+Ye)の紫色狭帯域光Vnに対する平均的な感度を“b”とすると、第1及び第2混合画素信号M1,M2は、式(6)で表される。平均的な感度とは、各狭帯域光の波長域における感度を平均化したものである。
Figure 2016144694
また、これらの感度a,b,a,bを用いて、前述の混色補正処理に用いられる補正係数K,Kは、式(7),(8)で表される。
Figure 2016144694
Figure 2016144694
式(6)で表される第1及び第2混合画素信号M1,M2に対して、式(3)で表される混色補正を行うと、混色補正後の第1及び第2混合画素信号M1’,M2’は、式(9),(10)で表される。
Figure 2016144694
Figure 2016144694
したがって、検体に同時照射される紫色狭帯域光Vnの光量Xを緑色狭帯域光Gnの光量Yより高める(X>Y)とともに、緑色狭帯域光Gnに基づく画像化に用いられる第2混合画素の信号値M2’を、紫色狭帯域光Vnに基づく画像化に用いられる第1混合画素の信号値M1’よりも高くする(M1’<M2’)ための光量比Z(=X/Y)の条件は、式(11)で表される。
Figure 2016144694
光量Xの紫色狭帯域光Vnのみを独立照射した場合の第1混合画素信号M1vと、光量Yの緑色狭帯域光Gnのみを独立照射した場合の第2混合画素信号M2gとは、それぞれ式(12),(13)で表される。
Figure 2016144694
Figure 2016144694
この式(12),(13)を式(11)に適用すると、前述の式(1)が得られる。図12を参照すると、a≒0.45、a≒0.98であるので、これらの値を式(11)に代入すると、式(1)で規定される光量比Zは、1<Z<2.2の範囲であり、最適光量比Zはおよそ1.6であることが分かる。
図16は、第1混合画素信号M1中に占める紫色狭帯域光Vnの成分の割合P1(=aX/(aX+bY))と、第2混合画素信号M2中に占める緑色狭帯域光Gnの成分の割合P2(=aY/(aY+bX))と、両者の和(P1+P2)とを、光量比Z(=X/Y)に対して示したものである。ここでは、図12の分光感度特性に基づいて、a≒0.45、a≒0.98、b≒0.53、b≒0.07としている。
光量比Zが1<Z<2.2の範囲では、Z=1の場合と比べて、割合P1が増加するのに対して割合P2は減少するが、割合P1の増加率が割合P2の減少率より大きいため、両者の和が増加(S/N比が向上)する。したがって、この範囲では、紫色狭帯域光Vnの成分と、緑色狭帯域光Gnの成分との色分離性が向上するとともに、緑色狭帯域光Gnに基づく画像化に用いられる第2混合画素の信号値M2’が、紫色狭帯域光Vnに基づく画像化に用いられる第1混合画素の信号値M1’よりも増加する。紫色狭帯域光Vnは表層血管中のヘモグロビンで殆ど吸収されるのに対して、緑色狭帯域光Gnは粘膜等で反射されやすいので、M2’>M1’であることにより、粘膜等での反射光の光量が増え、表層血管の視認性(表層血管と粘膜とのコントラスト)が向上する。
次に、内視鏡システム10の作用を、図17に示すフローチャートに沿って説明する。術者により、内視鏡13が光源装置11及びプロセッサ装置12に接続されると、プロセッサ装置12の制御部31は、内視鏡13内の情報記憶部30から固有情報を読み取り、接続された内視鏡13が、補色型内視鏡13aであるか原色型内視鏡13bであるかを判定する。例えば、補色型内視鏡13aである場合には、制御部31は、光源装置11及びプロセッサ装置12を通常光観察モードに設定し、信号処理部37内のセレクタ40に補色用第1処理部41を選択させる。
この通常光観察モードでは、光源装置11の合波部24内のダイクロイックミラー22が前述のように退避すると共に、WL−LED20bが点灯し、通常光(白色光)WLが生成されて、補色型内視鏡13a内のライトガイド27内に供給される。また、補色型内視鏡13a内の補色系撮像素子28は、撮像制御部32によりフィールド読み出し方式で駆動されて第1〜第4混合画素信号M1〜M4を出力する。この第1〜第4混合画素信号M1〜M4は、補色用第1処理部41により、Y/C変換後、RGB信号に変換されて、チャネル割当部38を介して画像表示装置14に表示される。これにより、画像表示装置14には、通常光のもとで撮像された通常画像が表示される。
術者は、補色型内視鏡13aの挿入部16を患者の体腔内に挿入することにより、内視鏡検査を行う。体腔内における患部等の検査対象組織の表層血管の走行状態等をより詳しく観察しようと思う場合には、術者によりモード切替スイッチ17aが操作される。モード切替スイッチ17aが操作された場合には、この操作信号が制御部31により検出されて、光源装置11及びプロセッサ装置12が狭帯域光観察モードに切り替えられる。
この狭帯域光観察モードでは、セレクタ40により補色用第2処理部42が選択されると共に、光源装置11の設定変更が行われる。具体的には、合波部24内のダイクロイックミラー22がV−LED20a及びWL−LED20bの光軸の交点に配置される。このとき、制御部31は、情報記憶部30から読み出した固有情報に含まれている最適光量比Zに基づいて光源制御部21を制御し、前述の式(1)を満たす光量比Zの紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとが補色型内視鏡13aから射出されるように、V−LED20a及びWL−LED20bの強度比を変更する。
V−LED20aとWL−LED20bとは同時に点灯し、合波部24により紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとが混合された狭帯域光が生成されて補色型内視鏡13a内のライトガイド27内に供給される。補色系撮像素子28は、フィールド読み出し方式で駆動されて第1〜第4混合画素信号M1〜M4を出力する。補色用第2処理部42では、信号抽出部46により第1〜第4混合画素信号M1〜M4から、第1及び第2混合画素信号M1,M2が抽出され、補間処理部47により画素補間処理が行われた後、混色補正部48により混色補正が行われる。混色補正後の第1及び第2混合画素信号M1’,M2’は、チャネル割当部38により、Rchに第2混合画素信号M2’、Gch及びBchに第1混合画素信号M1’が割り当てられて画像表示装置14に表示される。これにより、画像表示装置14には、狭帯域光のもとで撮像が行われた特殊画像が表示される。
紫色狭帯域光Vnは、検体の表面から表層付近の第1透過距離まで透過可能であることから、紫色狭帯域光Vnに基づく第1画像には、表層血管など第1透過距離に含まれる構造の像が多く含まれている。この第1画像は、第1混合画素信号M1に基づいて生成される。一方、緑色狭帯域光Gnは、検体の表面から中深層付近の第2透過距離まで透過可能であることから、緑色狭帯域光Gnに基づく第2画像には、中深層血管など第2透過距離に含まれる構造の像が多く含まれている。また、第2画像は、粘膜の微細模様等の視認性に優れる。この第2画像は、第2混合画素信号M2に基づいて生成される。この第1画像と第2画像とが合成されたものが特殊画像である。
本実施形態では、光量比Zを、最適光量比Zに基づいて式(1)を満たすように設定する(好ましくは、Z=Zとする)ことから、色分離性が向上すると共に、表層血管の視認性(表層血管と粘膜のコントラスト)が向上した特殊画像が得られる。
特殊画像の表示は、モード切替スイッチ17aが操作されるか、入力装置15により診断を終了するための終了操作が行われるまでの間繰り返し行われる。モード切替スイッチ17aが操作されると、通常光観察モードに戻り、終了操作が行われると、動作を終了する。
一方、制御部31により、光源装置11及びプロセッサ装置12に原色型内視鏡13bが接続されたと判定されると、光源装置11及びプロセッサ装置12が通常光観察モードに設定される共に、セレクタ40により原色用第1処理部43が選択される。この通常光観察モードでは、補色型の場合と同様に、光源装置11により通常光(白色光)WLが生成されて、原色型内視鏡13bのライトガイド27内に供給される。
この場合、原色系撮像素子29は、プログレッシブ読み出し方式で駆動されてRGB信号を出力する。このRGB信号は、原色用第1処理部43により画素補間処理等が行われて、チャネル割当部38を介して画像表示装置14に表示される。これにより、画像表示装置14には、通常光のもとで撮像された通常画像が表示される。
この後、術者によりモード切替スイッチ17aが操作されると、光源装置11及びプロセッサ装置12が狭帯域光観察モードに切り替えられる。この狭帯域光観察モードでは、セレクタ40により原色用第2処理部44が選択されるとともに、光源装置11の設定変更が行われ、合波部24内のダイクロイックミラー22がV−LED20a及びWL−LED20bの光軸の交点に配置される。この場合、補色型の場合とは異なり、V−LED20a及びWL−LED20bの発光強度比は、Z=1となるように設定される。この紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとが混合された狭帯域光が生成されて原色型内視鏡13bのライトガイド27内に供給される。
原色系撮像素子29は、同様にプログレッシブ読み出し方式で駆動されてRGB信号を出力する。このRGB信号は、原色用第2処理部44によりB信号及びG信号のみが抽出されて、画素補間処理等が行われ、チャネル割当部38を介して画像表示装置14に表示される。これにより、画像表示装置14には、狭帯域光のもとで撮像が行われた特殊画像が表示される。
補色型の場合と同様に、特殊画像の表示は、モード切替スイッチ17aが操作されるか、入力装置15により終了操作が行われるまでの間繰り返し行われる。モード切替スイッチ17aが操作されると、通常光観察モードに戻り、終了操作が行われると、動作を終了する。
また、光源装置11及びプロセッサ装置12に補色型内視鏡13aが接続されている場合には、入力装置15等の操作により最適光量比Zを再計算するためのキャリブレーションを実行することが可能となっている。このキャリブレーションは、白色板などを撮像対象として行われる。
キャリブレーションが実行されると、セレクタ40によりキャリブレーション用処理部45が選択され、現在使用中の光量比Zで紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとの時分割照射が行われる。補色系撮像素子28により第1混合画素信号M1v,M1g及び第2混合画素信号M2g,M2vが出力され、キャリブレーション用処理部45により各信号値の平均値が求められる。そして、現在使用中の光量比Zと、第1及び第2混合画素信号M1v,M2gの各平均値とに基づいて最適光量比算出部39により最適光量比Zが算出される。制御部31は、算出された最適光量比Zを光源装置11に設定すると共に、補色型内視鏡13a内の情報記憶部30に記憶された最適光量比Zを消去して書き換える。
このキャリブレーションにより得られる第1混合画素信号M1v,M1g及び第2混合画素信号M2g,M2vは、前述の混色補正において補正係数K,Kを算出する際に用いられる。算出された補正係数K,Kは、補色型内視鏡13a内の情報記憶部30に書き込まれ、補色型内視鏡13aの次回の使用時に用いられる。
なお、上記実施形態では、光量比Zを、V−LED20a及びWL−LED20bの発光強度を制御することにより設定しているが、各発光時間を制御することにより設定しても良い。さらに発光強度と発光時間との両方を制御して光量比Zを設定しても良い。
また、上記各実施形態では、LED光源20としてV−LED20aとWL−LED20bとを用いているが、V−LED20aに代えて、図18に示すように、紫色狭帯域光Vnより長波長側の青色狭帯域光Bnを発生する青色LEDを用いてもよい。この青色狭帯域光Bnの中心波長は約410nm〜420nmの範囲内であり、好ましくは約415nmである。
また、V−LED20aとWL−LED20bに代えて、発光波長域の異なる複数のLED(例えば、4個のLED)を設け、複数のLEDを全て点灯させることにより通常光(白色光)を生成し、複数のLEDのうちの2個のLEDにより2つの狭帯域光を生成するように構成しても良い。さらに、LEDに代えてLD(Laser Diode)等のその他の半導体光源を用いても良い。
また、上記実施形態の光源装置11に代えて、白色光等の波長域の広い光を発するランプと、狭帯域用フィルタとを有する光源装置を用いることも可能である。図19において、光源装置60は、ランプ61と、赤外カットフィルタ62と、絞り63と、絞り駆動部64と、回転型フィルタ65と、フィルタ切替部66と、集光レンズ67とを有する。
ランプ61は、前述の制御部31による制御に基づいて、白色光WLを発生する。赤外カットフィルタ62は、ランプ61から発生された白色光WLから赤外成分をカットして絞り63に入射させる。絞り63は、絞り駆動部64により開口量が調整され、白色光WLの通過光量を調整する。この絞り駆動部64は、前述の調光回路36により制御される。
図20に示すように、回転型フィルタ65には、第1狭帯域用フィルタ部65aと、第2狭帯域用フィルタ部65bと、開口部65cとが設けられている。フィルタ切替部66は、制御部31による制御に基づいて回転型フィルタ65を回転させ、白色光WLの光軸上に、第1狭帯域用フィルタ部65a、狭帯域用フィルタ部65b、開口部65cのうちのいずれかを配置する。
第1狭帯域用フィルタ部65aは、図21に示すように、第1の狭帯域(中心波長405nm)にバンドパス特性を有する第1特性部Vaと、第2の狭帯域(中心波長540nm)にバンドパス特性を有する第2特性部Gaとを備えた2峰性フィルタである。第1特性部Vaの透過率と第2特性部Gaの透過率とはほぼ等しい。
この第1狭帯域用フィルタ部65aは、観察モードが狭帯域光観察モードであって、内視鏡13の種類が原色型の場合に白色光WLの光軸上に配置される。白色光WLは、第1狭帯域用フィルタ部65aを透過することにより、紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnとなり、集光レンズ67を介してライトガイド27に入射する。ライトガイド27は、前述の図13に示す分光減衰特性を有するため、この分光減衰特性等を考慮し、ライトガイド27から射出される紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnの光量がほぼ等しくなるように、第1特性部Vaの透過率を第2特性部Gaの透過率より若干高くすることも好ましい。
第2狭帯域用フィルタ部65bは、図22に示すように、第1狭帯域用フィルタ部65aと同様に第1の狭帯域にバンドパス特性を有する第1特性部Vbと、第2の狭帯域にバンドパス特性を有する第2特性部Gbとを備えた2峰性フィルタであるが、第1特性部Vbの透過率と第2特性部Gbの透過率とが大きくことなる。
この第2狭帯域用フィルタ部65bは、観察モードが狭帯域光観察モードであって、内視鏡13の種類が補色型の場合に白色光WLの光軸上に配置される。白色光WLは、第1狭帯域用フィルタ部65aを透過することにより、第1及び第2特性部Vb,Gbの透過率の比に対応した所定の光量比の紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnとなり、集光レンズ67を介してライトガイド27に入射する。第1及び第2特性部Vb,Gbの透過率の比は、ライトガイド27から射出される紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnの光量比Zが、式(1)を満たす(好ましくは、Z=Z)ように、ライトガイド27の分光減衰特性等を考慮して設定されている。
開口部65cは、観察モードが通常光観察モードである場合に白色光WLの光軸上に配置される。開口部65cは、入射した白色光WLを波長制限せずにそのまま通過させる。この白色光WLは、集光レンズ67を介してライトガイド27に入射し、通常光としてライトガイド27から射出される。
また、上記実施形態では、図7に示す補色市松色差線順次方式の補色系色分離フィルタ28aを有する補色系撮像素子28を用いているが、図23に示す補色市松色差線順次方式の補色系色分離フィルタを有する補色系撮像素子を用いても良い。
また、上記実施形態では、Mg画素とCy画素との組み合わせを第1混合画素とし、G画素とYe画素との組み合わせを第2混合画素としているが、混合画素の組み合わせはこれに限られず適宜変更しても良い。
また、上記実施形態では、キャリブレーションモード時に、現在使用中の光量比Zで紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとの時分割照射を行い、この光量比Zと第1及び第2混合画素の各信号値とに基づいて最適光量比Zを算出しているが、これに代えて、光量比Zを段階的に変化させながら紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnとの時分割照射を行い、各光量比Zについて得られる第1混合画素の信号値M1’と第2混合画素の信号値M2’との大小関係を判定することにより、式(1)に相当する範囲を特定し、式(2)に相当する最適光量比Zを求めてもよい。
また、上記実施形態では、撮像制御部32、CDS回路33、A/D変換回路34等をプロセッサ装置12内に設けているが、これらを内視鏡13内に設けても良い。
また、上記実施形態では、補色系撮像素子28及び原色系撮像素子29をCCDイメージセンサとしているが、これらはCMOSイメージセンサであっても良い。CMOSイメージセンサの場合には、イメージセンサが形成されたCMOS半導体基板内に、撮像制御部32、CDS回路33、A/D変換回路34等を形成することが可能である。
また、上記実施形態では、光源装置及びプロセッサ装置に、補色型内視鏡と原色型内視鏡とが接続可能であるが、補色型内視鏡のみが接続可能であっても良い。
また、上記実施形態では、光源装置とプロセッサ装置とを別体の装置として構成しているが、これらを単一の装置としても良い。さらに、光源装置を、内視鏡内に組み込んでも良い。
なお、特許請求の範囲の「照射部」は、本実施形態において「光源装置」と「光源装置からの光を導光して検体内に照射するための光学部材(ライトガイド、照明レンズ等)」を組み合せたものに対応している。
10 内視鏡システム
11 光源装置
12 プロセッサ装置
13 内視鏡
13a 補色型内視鏡
13b 原色型内視鏡
14 画像表示装置
16 挿入部
17 操作部
17a モード切替スイッチ
20 LED光源
24 合波部
27 ライトガイド
28 補色系撮像素子
28a 補色系色分離フィルタ
29 原色系撮像素子
29a 原色系色分離フィルタ
37 信号処理部

Claims (6)

  1. シアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの各カラーフィルタセグメントのいずれかが取り付けられた画素を有する撮像素子が配置された補色系撮像素子が配置された補色型内視鏡と、
    前記補色型内視鏡が着脱自在に接続可能であり、ブルーまたはバイオレットの波長域中に中心波長を有する第1狭帯域光と、グリーンの波長域中に中心波長を有する第2狭帯域光を生成する光源装置を有する照射部と、
    前記光源装置に前記補色型内視鏡が接続された場合に、前記第2狭帯域光の光量に対する前記第1狭帯域光の光量の光量比である第1光量比を1よりも大きな値に設定する制御部と、
    を備えることを特徴とする内視鏡システム。
  2. 前記光源装置には、前記補色型内視鏡に加えて、原色系撮像素子が配置された原色型内視鏡が着脱自在に接続可能であり、
    前記制御部は、前記第1光量比を、前記原色型内視鏡が接続された場合に設定する前記第2狭帯域光の光量に対する前記第1狭帯域光の光量の光量比である第2光量比よりも大きな値に設定することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
  3. 前記照射部は、前記第1狭帯域光と前記第2狭帯域光とを同時照射することを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡システム。
  4. 前記補色系撮像素子は、前記第1狭帯域光と前記第2狭帯域光との両方に感応する第1混合画素と第2混合画素との読み出しを行うものであって、
    前記第1狭帯域光に基づく画像化に前記第1混合画素の信号値を用い、前記第2狭帯域光に基づく画像化に前記第2混合画素の信号値を用いる信号処理部をさらに備え、
    前記制御部は、前記第1光量比を、前記第1混合画素の信号値よりも前記第2混合画素の信号値を大きくするように設定することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の内視鏡システム。
  5. Rチャネル、Gチャネル、及びBチャネルを有する画像表示装置をさらに備え、
    前記第1狭帯域光に対応する信号を、Gチャネル及びBチャネルに割り当てることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の内視鏡システム。
  6. 前記光源装置は、複数のLED光源を有しており、
    前記制御部は、前記複数のLED光源の発光強度及び/又は発光時間を制御することにより前記第1光量比を設定することを特徴とする請求項からいずれか1項に記載の内視鏡システム。
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