しかしながら、図10に示す上記従来のLCDにおいては、ITOから成る電熱層108はシート抵抗が30Ω/□〜40Ω/□と比較的高いため、表示部を覆うように広面積で形成した場合、表示部の加熱効率が低下しやすいという問題点があった。また、加熱効率の低下を抑えるためには50〜100V程度の高い電圧を印加する必要があるという問題点があった。
また、特許文献2に記載された高分子液晶素子は、透明電極に接する複数の金属メッシュのうち一端側のものと他端側のものとの間で交流電流を入力しているため、一端側(他端側)のものと他端側(一端側)のものとの間の電圧降下が大きくなり、200V程度の高電圧を印加する必要があるという問題点があった。
また、本願出願人は、上記問題点を解消し、印加電圧を低く抑えることが可能な、加熱効率の高いヒータを有するLCDとして、電熱層は、平面視で第1の信号線(例えば、ゲート信号線)に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、第1の櫛歯部間の平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに第1の櫛歯部と第2の櫛歯部が第2の方向(例えば、画像信号線に沿った方向)において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、第1の櫛歯部とそれに隣接する第2の櫛歯部を接続するとともに画素部に対応して形成されている透明抵抗体部と、を有している構成のLCDを提案した(特願2014-133077)。しかしながら、この構成においても、電熱層全体において部分的に加熱性、加熱効率が不十分な部位が発生する場合があった。
例えば、表示部を平面視したときに、上端及び下端の第1の信号線(ゲート信号線)に重なる部位に形成された上端及び下端の第1の櫛歯部は、一方の側(下側、上側)にのみ発熱体である透明抵抗体部があるために、表示部の上端及び下端以外の部位に比べて蓄熱性が低下しやすい。また上端及び下端の第1の櫛歯部は、外部雰囲気に最も近い箇所にあるために、放熱性が高く、温度が低下しやすい部位である。従って、表示部全体において、表示部を平面視したときのその上端及び下端の部位の液晶に対する加熱効率が低下し、他の部位よりも液晶の温度が低下しやすいという問題点があった。また、エッジライト方式のバックライト装置を用いた場合、光源に近い部位、例えば表示部を平面視したときの上端の部位の液晶が加熱されやすいという問題点があった。さらに、表示部を平面視したときのその中央部は、放熱性の良い基板の中央部にあるために、他の部位よりも液晶に対する加熱性、加熱効率が低下し液晶の温度が低下しやすい部位である。従って、表示部全体において、表示部を平面視したときのその中央部の放熱性が構造上他の部位よりも高い場合、液晶に対する加熱性、加熱効率が低下し、液晶の温度が低下してしまうという問題点があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、液晶を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、給電部間の印加電圧を低く抑えることが可能な、液晶に対する加熱効率の高いヒータを有するLCDとすることである。また、液晶表示パネルの表示部全体にわたって液晶をより均一に加熱することができるLCDとすることである。
本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、前記第1の信号線と前記第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子及び画素電極を含む画素部と、前記第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、前記電熱層は、平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、前記第1の櫛歯部間の平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに前記第1の櫛歯部と前記第2の櫛歯部が前記第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部を接続するように形成されている透明抵抗体部と、を有しており、さらに前記電熱層は、所定領域における前記透明抵抗体部の単位面積当たりの面積が前記所定領域以外の領域における前記透明抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きい構成である。
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記透明抵抗体部は、いずれも前記第2の信号線に沿った方向の長さが同じであり、前記所定領域は、それ以外の領域よりも前記液晶に対する加熱性が低い領域である。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記透明抵抗体部は、平面視で前記第2の信号線に重なる部位に開口部を有しており、前記所定領域における前記開口部の面積が前記所定領域以外の領域における前記開口部の面積よりも小さい。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記透明抵抗体部は、前記第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長いものがあり、前記所定領域は、前記第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長い前記透明抵抗体部に対応する領域であるとともに、前記所定領域以外の領域よりも前記液晶に対する加熱性が高い領域である。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記電熱層は、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部との間に、前記第1及び第2の櫛歯部のいずれもが平面視で重ならない櫛歯部非重畳の前記第1の信号線を有して前記透明抵抗体部が形成されている領域があり、前記所定領域における櫛歯部非重畳の前記第1の信号線の本数が前記所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳の前記第1の信号線の本数よりも多い。
また本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、前記第1の信号線と前記第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する横電界を形成するための共通電極を含む画素部と、前記第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、前記電熱層は、平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、前記第1の櫛歯部間の平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに前記第1の櫛歯部と前記第2の櫛歯部が前記第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部を接続するとともに平面視で前記第2の信号線に重なる部位に形成されている抵抗体部と、を有しており、さらに前記電熱層は、所定領域における前記抵抗体部の単位面積当たりの面積が前記所定領域以外の領域における前記抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きい構成である。
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記抵抗体部は、いずれも前記第2の信号線に沿った方向の長さが同じであり、前記所定領域は、それ以外の領域よりも前記液晶に対する加熱性が低い領域である。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記抵抗体部は、前記所定領域にあるものの前記第1の方向の幅が前記所定領域以外の領域にあるものの前記第1の方向の幅よりも広い。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記抵抗体部は、前記第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長いものがあり、前記所定領域は、前記第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長い前記抵抗体部に対応する領域であるとともに、前記所定領域以外の領域よりも前記液晶に対する加熱性が高い領域である。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記電熱層は、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部との間に、前記第1及び第2の櫛歯部のいずれもが平面視で重ならない櫛歯部非重畳の前記第1の信号線を有して前記抵抗体部が形成されている領域があり、前記所定領域における櫛歯部非重畳の前記第1の信号線の本数が前記所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳の前記第1の信号線の本数よりも多い。
本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、第1の方向と交差する第2の方向に第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、第1の信号線と第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子及び画素電極を含む画素部と、第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、電熱層は、平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、第1の櫛歯部間の平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに第1の櫛歯部と第2の櫛歯部が第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、第1の櫛歯部とそれに隣接する第2の櫛歯部を接続するように形成されている透明抵抗体部と、を有しており、さらに電熱層は、所定領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きいことから、以下のような効果を奏する。
液晶を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、金属製給電部間の印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、液晶に対する加熱効率が高くなる。また、電熱層は、所定領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きいことから、透明抵抗体部の第2の方向に沿った方向の長さがいずれも同じであれば、所定領域における液晶に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも高くなるように制御することができ、透明抵抗体部の第2の方向に沿った方向の長さが他よりも長いものがある場合、透明抵抗体部の長い領域を所定領域とすれば、所定領域における液晶に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも低く制御することができる。これにより、液晶表示パネルの表示部全体にわたって液晶をより均一に加熱することができる。
本発明の液晶表示装置は、透明抵抗体部は、いずれも第2の信号線に沿った方向の長さが同じであり、所定領域は、それ以外の領域よりも液晶に対する加熱性が低い領域である場合、以下のような効果を奏する。すなわち、所定領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きいために、所定領域における透明抵抗体部の抵抗が所定領域以外の領域における透明抵抗体部の抵抗よりも小さくなり、所定領域における透明抵抗体部により大きな電流が流れる。その結果、放熱性が高い等の理由で液晶に対する加熱性が低い領域である所定領域における液晶に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも高くなるように制御できる。
また本発明の液晶表示装置は、透明抵抗体部は、平面視で第2の信号線に重なる部位に開口部を有しており、所定領域における開口部の面積が所定領域以外の領域における開口部の面積よりも小さい場合、画素電極と対向しない部位である平面視で第2の信号線に重なる部位に開口部があることになる。その結果、透明抵抗体部を共通電極として用いても液晶の駆動性を劣化させることなく、所定領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きい構成とし得る。
また本発明の液晶表示装置は、透明抵抗体部は、第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長いものがあり、所定領域は、第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長い透明抵抗体部に対応する領域であるとともに、所定領域以外の領域よりも液晶に対する加熱性が高い領域である場合、以下のような効果を奏する。すなわち、所定領域は、第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長い透明抵抗体部に対応する領域であるので、所定領域における透明抵抗体部の抵抗が高くなり、透明抵抗体部に流れる電流が小さくなる結果、所定領域における液晶に対する加熱効率が所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも低下する。従って、エッジライト方式のバックライトの光源に近い等の理由で液晶に対する加熱性が高い領域である所定領域における液晶に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも低くなるように制御できる。
また本発明の液晶表示装置は、電熱層は、第1の櫛歯部とそれに隣接する第2の櫛歯部との間に、第1及び第2の櫛歯部のいずれもが平面視で重ならない櫛歯部非重畳の第1の信号線を有して透明抵抗体部が形成されている領域があり、所定領域における櫛歯部非重畳の第1の信号線の本数が所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳の第1の信号線の本数よりも多い場合、以下のような効果を奏する。すなわち、所定領域とそれ以外の領域の間で、櫛歯部非重畳の第1の信号線の本数を細かく調整することにより、所定領域及びそれ以外の領域における透明抵抗体部の抵抗をより細かく制御することが可能となる。
また本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、第1の方向と交差する第2の方向に第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、第1の信号線と第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する横電界を形成するための共通電極を含む画素部と、第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、電熱層は、平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、第1の櫛歯部間の平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに第1の櫛歯部と第2の櫛歯部が第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、第1の櫛歯部とそれに隣接する第2の櫛歯部を接続するとともに平面視で第2の信号線に重なる部位に形成されている抵抗体部と、を有しており、さらに電熱層は、所定領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きいことから、以下のような効果を奏する。
液晶を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、金属製給電部間の印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、液晶に対する加熱効率が高くなる。また、電熱層は、所定領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きいことから、抵抗体部の第2の方向に沿った方向の長さがいずれも同じであれば、所定領域における液晶に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも高くなるように制御することができ、抵抗体部の第2の方向に沿った方向の長さが他よりも長いものがある場合、抵抗体部の長い領域を所定領域とすれば、所定領域における液晶に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも低く制御することができる。これにより、液晶表示パネルの表示部全体にわたって液晶をより均一に加熱することができる。
本発明の液晶表示装置は、抵抗体部は、いずれも第2の信号線に沿った方向の長さが同じであり、所定領域は、それ以外の領域よりも液晶に対する加熱性が低い領域である場合、以下のような効果を奏する。すなわち、所定領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きいために、所定領域における抵抗体部の抵抗が所定領域以外の領域における抵抗体部の抵抗よりも小さくなり、所定領域における抵抗体部により大きな電流が流れる。その結果、放熱性が高い等の理由で液晶に対する加熱性が低い領域である所定領域における液晶に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも高くなるように制御できる。
また本発明の液晶表示装置は、抵抗体部は、所定領域にあるものの第1の方向の幅が所定領域以外の領域にあるものの第1の方向の幅よりも広い場合、共通電極と対向しない部位である平面視で第2の信号線に重なる部位に抵抗体部があり、その幅を調整できることになる。その結果、抵抗体部が共通電極と電磁的に結合しにくいことから、液晶の駆動性を劣化させることなく、所定領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きい構成とし得る。
また本発明の液晶表示装置は、抵抗体部は、第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長いものがあり、所定領域は、第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長い抵抗体部に対応する領域であるとともに、所定領域以外の領域よりも液晶に対する加熱性が高い領域である場合、以下のような効果を奏する。すなわち、所定領域は、第2の信号線に沿った方向の長さが他よりも長い抵抗体部に対応する領域であるので、所定領域における抵抗体部の抵抗が高くなり、抵抗体部に流れる電流が小さくなる結果、所定領域における液晶に対する加熱効率が所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも低下する。従って、エッジライト方式のバックライトの光源に近い等の理由で液晶に対する加熱性が高い領域である所定領域における液晶に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶に対する加熱効率よりも低くなるように制御できる。
また本発明の液晶表示装置は、電熱層は、第1の櫛歯部とそれに隣接する第2の櫛歯部との間に、第1及び第2の櫛歯部のいずれもが平面視で重ならない櫛歯部非重畳の第1の信号線を有して抵抗体部が形成されている領域があり、所定領域における櫛歯部非重畳の第1の信号線の本数が所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳の第1の信号線の本数よりも多い場合、以下のような効果を奏する。すなわち、所定領域とそれ以外の領域の間で、櫛歯部非重畳の第1の信号線の本数を細かく調整することにより、所定領域及びそれ以外の領域における抵抗体部の抵抗をより細かく制御することが可能となる。
以下、本発明の液晶表示装置(LCD)の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明のLCDの実施の形態における構成部材のうち、本発明のLCDを説明するための主要部を示している。従って、本発明に係るLCDは、図に示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
図1(a),(b)は、本発明のLCDについて実施の形態の1例を示す図であり、(a)はLCDの平面図、(b)は(a)のB−B1線における矢視方向からみた断面図である。また図3〜図5は、それぞれ本発明のLCDについて実施の形態の他例を示す図であり、LCDの平面図である。図1、図3〜図5に示すように、本発明のLCDは、ガラス基板等から成る第1の基板1の液晶5側の面の第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本の第1の信号線としてのゲート信号線12と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線12と交差させて形成された複数本の第2の信号線としての画像信号線13と、ゲート信号線12と画像信号線13の交差部に形成された、TFT素子2及び画素電極3を含む画素部4と、第1の基板1の液晶5側の面に対向する第2の基板6の液晶5側の面に形成された電熱層16と、を有するLCDである。そして、電熱層16は、平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第1の櫛歯部14bを有する第1の金属製給電部14aと、第1の櫛歯部14b間の平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第2の櫛歯部14dを有する第2の金属製給電部14cとを有するとともに第1の櫛歯部14bと第2の櫛歯部14dが第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部14と、第1の櫛歯部14bとそれに隣接する第2の櫛歯部14dを接続するように形成されている透明抵抗体部15と、を有している。即ち、透明抵抗体部15は、平面視で1つ以上の画素部4を覆うようにして形成されている。さらに、電熱層16は、所定領域における透明抵抗体部15の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部15の単位面積当たりの面積よりも大きい構成である。
なお、図1のLCDにおいて、ガラス基板等から成る第2の基板6の液晶5側の面にはカラーフィルタ層7が形成されており、そのカラーフィルタ層7上に電熱層16が形成されている。また、電熱層16上には共通電極9が形成されているが、共通電極9を省いて電熱層16を共通電極として使用することもできる。
上記の構成により、液晶5を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、第1の金属製給電部14aと第2の金属製給電部14cとの間の印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、液晶5に対する加熱効率が高くなる。また、電熱層16は、所定領域における透明抵抗体部15の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部15の単位面積当たりの面積よりも大きいことから、透明抵抗体部15の第2の方向に沿った方向の長さがいずれも同じであれば、所定領域における液晶5に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも高くなるように制御することができ、透明抵抗体部15の第2の方向に沿った方向の長さが他よりも長いものがある場合、透明抵抗体部15の長い領域を所定領域とすれば、所定領域における液晶5に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも低くなるように制御することができる。これにより、液晶表示パネルの表示部全体にわたって液晶5をより均一に加熱することができる。
また、第1の金属製給電部14a、第1の櫛歯部14b、透明抵抗体部15、第2の櫛歯部14d、第2の金属製給電部14cを通る電流経路の長さ(電流パス)が、どの画素部4においてもほぼ同じとなる。また、金属から成る第1の櫛歯部14bの長さ方向における電圧降下、及び金属から成る第2の櫛歯部14dの長さ方向における電圧降下も小さくなる。その結果、どの電流経路においても電圧降下がほぼ同じとなり、全ての画素部4にほぼ同じ電圧が印加されるので、全ての画素部4を均一に加熱することができる。
上記の単位面積とは、例えば1mm2、1cm2等の画素部4を1つ以上含む面積であって、表示部の面積未満の面積である。あるいは、第1の櫛歯部14b、第2の櫛歯部14d、隣接する2本の画像信号線13で区画される透明抵抗体部15の面積を単位面積とすることもできる。
本発明のLCDは、図1(a)、図3、図4に示すように、透明抵抗体部15a,15b,15c,15d,15e,15fは、いずれも第2の信号線である画像信号線13に沿った方向の長さが同じであり、所定領域(透明抵抗体部15a,15fがある領域)は、それ以外の領域(透明抵抗体部15b,15c,15d,15eがある領域)よりも液晶5に対する加熱性が低い領域であることが好ましい。この場合、所定領域における透明抵抗体部15a,15fの単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部15b,15c,15d,15eの単位面積当たりの面積よりも大きいために、所定領域における透明抵抗体部15a,15fの抵抗が所定領域以外の領域における透明抵抗体部15b,15c,15d,15eの抵抗よりも小さくなり、所定領域における透明抵抗体部15a,15fにより大きな電流が流れる。その結果、放熱性が高い等の理由で液晶5に対する加熱性が低い領域である所定領域における液晶5に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも高くなるように制御できる。
また本発明のLCDは、図1(a)、図3、図4に示すように、透明抵抗体部15a,15b,15c,15d,15e,15fは、平面視で第2の信号線である画像信号線13に重なる部位にスリット等の開口部15s1,15s2,15s3,15s4,15s5を有しており、所定領域における開口部の面積が所定領域以外の領域における開口部の面積よりも小さいことが好ましい。この場合、画素電極3と対向しない部位である平面視で画像信号線13に重なる部位に開口部15s1,15s2,15s3,15s4,15s5があることになる。その結果、透明抵抗体部15a,15b,15c,15d,15e,15fを共通電極として用いても液晶5の駆動性を劣化させることなく、所定領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における透明抵抗体部の単位面積当たりの面積よりも大きい構成とし得る。
図1(a)に示す構成は、表示部において放熱性が高い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の端側の領域の透明抵抗体部15a,15fに、開口部が形成されておらず、端側以外の領域の透明抵抗体部15b,15c,15d,15eにそれぞれ開口部15s1,15s2,15s3,15s4が形成されている構成である。表示部の中央部側にある透明抵抗体部15c,15dの開口部15s2,15s3の面積を最も大きくしている。
図3に示す構成は、表示部においてエッジライト方式のバックライトの光源に最も近い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の上端側の領域の透明抵抗体部15aに、最も面積が大きい開口部15s5が形成されており、表示部において放熱性が高い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の下端側の領域の透明抵抗体部15fに、開口部が形成されていない構成である。表示部の中央部側にある透明抵抗体部15c,15dの開口部15s2,15s3の面積を、開口部15s5と同程度の面積としている。
図4に示す構成は、表示部においてエッジライト方式のバックライトの光源に最も近い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の上端側の領域にある透明抵抗体部15aに、最も面積が大きい開口部15s5が形成されており、表示部において放熱性が高い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の下端側の領域にある透明抵抗体部15fに、開口部が形成されていない構成である。さらに、表示部において放熱性が高い部位である、表示部の中央部側にある透明抵抗体部15c,15dに、開口部を形成していない。
本発明のLCDは、電熱層16の表面の左右両端部には、FPCに形成された銅箔(厚み15μm〜35μm程度)等から成る給電線10が形成されており、直流電流、交流電流を入力することができる。第1の基板1の液晶5側の面の縁部と、第2の基板6の液晶5側の面の縁部とが、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム等から成る封止部材11によって接着、封止されている。第1の基板1の液晶5側の面における外部に突出した部位(部位g1とする)には、ゲート信号線駆動回路、画像信号線駆動回路等の駆動用IC21がCOG方式等の実装方法により搭載されており、さらに駆動用IC21に外部から駆動信号、制御信号を入出力する信号用FPC20が、部位g1の縁部に設置されている。
本発明のLCDにおいて、透明抵抗体部15b,15c,15d,15eの単位面積当たりの面積よりも大きい所定領域は、1行分の画素部4群に限らず、複数行分の画素部4群にわたる領域であってもよい。この場合、表示部の温度勾配に合わせて所定領域の面積を調整すればよい。
また、図1(a)、図3、図4に示す構成において、開口部15s1,15s2,15s3,15s4,15s5の面積を同じとして、1行分の画素部4群における開口部15s1,15s2,15s3,15s4,15s5の数を変化させてもよい。例えば、開口部15s1,15s2,15s3,15s4,15s5を、1画素部4ごとあるいは複数画素部4ごとに形成することにより、形成間隔を調整することができる。すなわち、開口部15s1,15s2,15s3,15s4,15s5を、所定の画素部4の数ごとに間引いて形成することもできる。
図2は、図1に示すLCDの一部切欠斜視図である。図2に示すカラーフィルタ層7と共通電極9との間に電熱層16が介在するように形成される。カラーフィルタ層7と電熱層16との間に透明絶縁層が形成されていてもよく、電熱層16と共通電極9との間に透明絶縁層が形成されていてもよい。なお、図2において、第1の基板1の下方からバックライトの光(白色光)が照射される。
上記の構成のLCDは、液晶5の分子が画素部4と共通電極9との間の垂直電界によって垂直配向するツイステッドネマチック(Twisted Nematic :TN)液晶であるTN型LCDである場合に好適である。即ち、共通電極9を省いて電熱層16を共通電極として使用し得るからである。
本発明のLCDにおける金属製給電部14は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)、銅(Cu)、ネオジウム(Nd)等から選ばれた元素から成る金属材料、またはそれらの元素を主成分とする合金材料等から成る。金属製給電部14の厚みは100nm〜1000nm程度であることが好ましい。100nm未満では、金属製給電部14の抵抗が高くなり加熱効率が低下する傾向がある。1000nmを超えると、生産性が悪くなる傾向がある。
第1の櫛歯部14bの幅及び第2の櫛歯部14dの幅は、カラーフィルタ層7とともに形成されている、ゲート信号線12に重なる部位に位置するブラックマトリクスの幅と同じ幅以下であることが好ましい。この場合、遮光性を有する第1の櫛歯部14b及び第2の櫛歯部14dが、平面視でブラックマトリクスからはみ出ないので、画素部4の光透過率の低下を招かないことになる。
透明抵抗体部15は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化珪素を添加した酸化インジウム錫(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リンやボロンが含まれるシリコン(Si)等の導電性材料であって透光性を有する材料から成る。透明抵抗体部15の厚みは20nm〜200nm程度であることが好ましい。20nm未満では、透明抵抗体部15の抵抗が高くなり加熱効率が低下する傾向がある。200nmを超えると、生産性が悪くなる傾向がある。
本発明のLCDは、透明抵抗体部15はITOから成ることが好ましい。この場合、比較的小面積の透明抵抗体部15が適度なシート抵抗値(30Ω/□〜40Ω/□)を有していることから、低温(0℃以下)から室温(約25℃)まで30秒程度以内での急加熱が可能となる。また、透明抵抗体部15が高い光透過率80%〜85%を有するので、画素部4での光透過率の低下を抑えることができる。
例えば、車載用のLCDである場合、0℃以下の低温環境下では液晶5を加熱することによってその粘性を小さくし、液晶5の高速応答を実現すること、動画を表示可能とすること、さらには動画解像度を高くすることが好ましい。そして、エンジン始動からLCDによる車の周囲確認等のために、エンジン始動から30秒程度以内に液晶5の温度を室温に昇温させることが好ましい。従って、本発明のLCDは車載用途等に好適なものである。
また本発明のLCDは、電熱層16は液晶5を室温以上の温度に加熱するものであることが好ましい。この場合、液晶5の応答速度がより速くなり、また動画解像度が高くなる。液晶5を室温以上の温度に加熱する場合、液晶5を40℃〜60℃程度に加熱することが好ましい。40℃程度未満では、液晶5の応答速度をより速くすることが難しくなる傾向がある。60℃程度を超えると、液晶層での光透過率低下が生じる傾向がある。液晶5を40℃〜60℃程度に加熱する、このような高速応答モードは、常時設定するか一時的に設定するか選択可能とすることができる。その選択の制御は、給電線10に接続された外部の選択制御回路等によって行うことができる。
また、電熱層16は液晶5を室温程度に加熱したら、電熱層16の印加電圧を一旦オフしてもよい。そして、液晶5の温度を温度モニター回路等の温度検出手段によって常時検出し、ある温度(20℃程度)に低下したら再度電熱層16の印加電圧をオンして液晶5の温度を室温付近に維持することができる。例えば、温度モニター回路として、Nチェンネル型TFTとPチェンネル型TFTを組み合わせて構成されるCMOSインバータを複数個直列に接続して形成されるリングオシレータを用いることができる。温度が上昇するとリングオシレータの発振周波数が変動するため、発振周波数をパルスカウンタ等によって検出することにより温度を特定することができる。
図1、図3、図4のLCDについて、ゲート信号線12を第1の信号線としてLCDを構成したが、画像信号線(ソース信号線)13を第1の信号線としてLCDを構成してもよい。その場合、ゲート信号線12は第2の信号線となる。
また本発明のLCDは、図5に示すように、透明抵抗体部15は、第2の信号線である画像信号線13に沿った方向の長さが他よりも長いもの(透明抵抗体部15a)があり、所定領域は、画像信号線13に沿った方向の長さが他よりも長い透明抵抗体部15aに対応する領域であるとともに、所定領域以外の領域よりも液晶5に対する加熱性が高い領域であることが好ましい。この場合、所定領域は、画像信号線13に沿った方向の長さが他よりも長い透明抵抗体部15aに対応する領域であるので、所定領域における透明抵抗体部15aの抵抗が高くなり、透明抵抗体部15aに流れる電流が小さくなる結果、所定領域における液晶5に対する加熱効率が所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも低下する。従って、エッジライト方式のバックライトの光源に近い等の理由で液晶5に対する加熱性が高い領域である所定領域における液晶5に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも低くなるように制御できる。
また本発明のLCDは、図5に示すように、電熱層16は、第1の櫛歯部14bとそれに隣接する第2の櫛歯部14dとの間に、第1及び第2の櫛歯部14b,14dのいずれもが平面視で重ならない櫛歯部非重畳の第1の信号線であるゲート信号線12hを有して透明抵抗体部15aが形成されている領域があり、所定領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数が所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数よりも多いことが好ましい。この場合、所定領域とそれ以外の領域の間で、櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数を細かく調整することにより、所定領域及びそれ以外の領域における透明抵抗体部15の抵抗をより細かく制御することが可能となる。例えば、所定領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数を11本〜15本程度とし、所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数を10本程度とすることができる。
図5の構成は、表示部においてエッジライト方式のバックライトの光源に最も近い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の上端側の領域の透明抵抗体部15aの長さを、他の領域の透明抵抗体部15b,15c,15d,15eの長さよりも長くした構成である。
なお、本発明のLCDにおいて、図1(a)、図3、図4に示す透明抵抗体部15の構成と、図5に示す透明抵抗体部15の構成を、組み合わせてもよい。
図6(a),(b)は、本発明のLCDについて実施の形態の他例を示す図であり、(a)はLCDの平面図、(b)は(a)のC−C1線における矢視方向からみた断面図である。図6に示すように、本発明のLCDは、第1の基板1の液晶5側の面の第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本の第1の信号線としてのゲート信号線12と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線12と交差させて形成された複数本の第2の信号線としての画像信号線13と、ゲート信号線12と画像信号線13の交差部に形成された、TFT素子2、画素電極3及びその画素電極3との間で液晶5に印加する横電界を形成するための共通電極を含む画素部4と、第1の基板1の液晶5側の面に対向する第2の基板6の液晶5側の面に形成された電熱層16aと、を有するLCDである。そして、電熱層16aは、平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第1の櫛歯部14bを有する第1の金属製給電部14aと、第1の櫛歯部14a間の平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第2の櫛歯部14dを有する第2の金属製給電部14cとを有するとともに第1の櫛歯部14bと第2の櫛歯部14dが第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部14と、第1の櫛歯部14bとそれに隣接する第2の櫛歯部14dを接続するとともに平面視で画像信号線13に重なる部位に形成されている抵抗体部35と、を有している。さらに、電熱層16aは、所定領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積よりも大きい構成である。この構成により、以下のような効果を奏する。
液晶5を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、金属製給電部間の印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、液晶5に対する加熱効率が高くなる。また、電熱層16aは、所定領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積よりも大きいことから、抵抗体部35の第2の方向である画像信号線13に沿った方向の長さがいずれも同じであれば、所定領域における液晶5に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも高くなるように制御することができ、抵抗体部35の画像信号線13の方向に沿った方向の長さが他よりも長いものがある場合、抵抗体部35の長い領域を所定領域とすれば、所定領域における液晶5に対する加熱効率を所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも低くなるように制御することができる。これにより、液晶表示パネルの表示部全体にわたって液晶5をより均一に加熱することができる。
また抵抗体部35は、平面視で画像信号線13に重なる部位に形成されているために、抵抗体部35によって画素部4の光透過率が低下することを防ぐことができ、画素部4の光透過率を高く維持することができる。また抵抗体部35は、光透過性を有する必要はなく、遮光性を有するが抵抗の小さい金属、合金等によって形成することができるために、大きな電流を流して加熱効率を高めることができる。
本発明のLCDは、図6(a)〜図8に示すように、抵抗体部35は、いずれも第2の信号線である画像信号線13に沿った方向の長さが同じであり、所定領域は、それ以外の領域よりも液晶5に対する加熱性が低い領域であることが好ましい。この場合、所定領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積よりも大きいために、所定領域における抵抗体部35の抵抗が所定領域以外の領域における抵抗体部35の抵抗よりも小さくなり、所定領域における抵抗体部35により大きな電流が流れる。その結果、放熱性が高い等の理由で液晶5に対する加熱性が低い領域である所定領域における液晶5に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも高くなるように制御できる。
また本発明のLCDは、図6(a)〜図8に示すように、抵抗体部35は、所定領域にあるものの第1の方向であるゲート信号線12の方向の幅が所定領域以外の領域にあるもののゲート信号線12の幅よりも広いことが好ましい。この場合、共通電極と対向しない部位である平面視で第2の信号線である画像信号線13に重なる部位に抵抗体部35があり、その幅を調整できることになる。その結果、抵抗体部35が共通電極と電磁的に結合しにくいことから、液晶5の駆動性を劣化させることなく、所定領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積が所定領域以外の領域における抵抗体部35の単位面積当たりの面積よりも大きい構成とし得る。
図6(a)に示す構成は、表示部において放熱性が高い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の端側の領域にある抵抗体部35a,35fのゲート信号線12の方向の幅が、端側の領域以外の領域にある抵抗体部35b,35c,35d,35eのゲート信号線12の方向に沿った方向の幅よりも広い構成である。そして、表示部の中央部側にある抵抗体部35c,35dのゲート信号線12の方向に沿った方向の幅を最も狭くしている。
図7に示す構成は、表示部においてエッジライト方式のバックライトの光源に最も近い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の上端側の領域にある抵抗体部35aのゲート信号線12の方向の幅が、上端側の領域以外の領域にある抵抗体部35b,35c,35d,35e,35fのゲート信号線12の方向の幅よりも狭い構成である。さらに、表示部において放熱性が高い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の下端側の領域にある抵抗体部35fのゲート信号線12の方向の幅が、下端側の領域以外の領域にある抵抗体部35a,35b,35c,35d,35eのゲート信号線12の方向に沿った方向の幅よりも広い。そして、表示部において放熱性が高い部位である、表示部の中央部側にある抵抗体部35c,35dのゲート信号線12の方向に沿った方向の幅を、抵抗体部35fのゲート信号線12の方向の幅と同程度より狭くしている。
図8に示す構成は、抵抗体部35a,35b,35c,35d,35e,35fのゲート信号線12の方向の幅をすべて同じとし、表示部においてエッジライト方式のバックライトの光源に最も近い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の上端側の領域にある抵抗体部35aの間引き数(ゲート信号線12の方向での間引き数)を、上端側の領域以外の領域にある抵抗体部35b,35c,35d,35e,35fの間引き数よりも多くした構成である。すなわち、抵抗体部35aは、画像信号線13の1本おきに形成されている。さらに、表示部において放熱性が高い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の下端側の領域にある抵抗体部35fの間引き数が0である。また、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の上端側の領域に隣接する領域及び下端側の領域に隣接する領域にある抵抗体部35b,35eの間引き数を、抵抗体部35aの間引き数よりも少なくしている。すなわち、抵抗体部35b,35eは、画像信号線13の2本おきに形成されている。そして、表示部において放熱性が高い部位である、表示部の中央部側にある抵抗体部35c,35dの間引き数を0としている。
また本発明のLCDは、図9に示すように、抵抗体部35は、第2の信号線である画像信号線13に沿った方向の長さが他よりも長い抵抗体部35aがあり、所定領域は、画像信号線13に沿った方向の長さが他よりも長い抵抗体部35aに対応する領域であるとともに、所定領域以外の領域よりも液晶5に対する加熱性が高い領域であることが好ましい。この場合、所定領域は、画像信号線13に沿った方向の長さが他よりも長い抵抗体部35aに対応する領域であるので、所定領域における抵抗体部35aの抵抗が高くなり、抵抗体部35aに流れる電流が小さくなる結果、所定領域における液晶5に対する加熱効率が所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも低下する。従って、エッジライト方式のバックライトの光源に近い等の理由で液晶5に対する加熱性が高い領域である所定領域における液晶5に対する加熱効率が、所定領域以外の領域における液晶5に対する加熱効率よりも低くなるように制御できる。
また本発明のLCDは、図9に示すように、電熱層16aは、第1の櫛歯部14bとそれに隣接する第2の櫛歯部14dとの間に、第1及び第2の櫛歯部14b,14dのいずれもが平面視で重ならない櫛歯部非重畳の第1の信号線であるゲート信号線12hを有して抵抗体部35aが形成されている領域があり、所定領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数が所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数よりも多いことが好ましい。この場合、所定領域とそれ以外の領域の間で、櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数を細かく調整することにより、所定領域及びそれ以外の領域における抵抗体部35a,35b,35c,35d,35e,35fの抵抗をより細かく制御することが可能となる。例えば、所定領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数を11本〜15本程度とし、所定領域以外の領域における櫛歯部非重畳のゲート信号線12hの本数を10本程度とすることができる。
図9に示す構成は、表示部においてエッジライト方式のバックライトの光源に最も近い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の上端側の領域にある抵抗体部35aが、櫛歯部非重畳のゲート信号線12hと平面視で重なって形成されている。すなわち、抵抗体部35aの画像信号線13に沿った方向の長さが他よりも長い。さらに、表示部において放熱性が高い部位である、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の下端側の領域にある抵抗体部35fの間引き数が0である。また、表示部における画像信号線13の方向に沿った方向の下端側の領域に隣接する領域にある抵抗体部35eの間引き数を、画像信号線13の2本おきに間引いたものとしている。そして、表示部において放熱性が高い部位である、表示部の中央部側にある抵抗体部35c,35dの間引き数を0としている。
なお、図6(b)に示すLCDは、第2の基板6の液晶5側の面にカラーフィルタ層7が形成されており、そのカラーフィルタ層7上に電熱層16aが形成されている。
抵抗体部35の幅は、カラーフィルタ層7とともに形成されている、画像信号線13に重なる部位に位置するブラックマトリクスの幅と同じ幅以下であることが好ましい。例えば、共通電極が、第1の基板1の画素部4に画素電極3と同じ面内に形成されていることによって横電界を生じさせるIPS方式のLCDである場合に、好適なものである。即ち、画素部4に含まれる画素電極3、共通電極が、透明導電体であるITOまたは金属、合金から成る抵抗体部35と平面視で重ならないので、それらが容量結合を起こすことを抑えることができる。その結果、液晶5の応答性を劣化させることが有効に抑えられる。
本発明のLCDは、抵抗体部35はITOから成ることが好ましい。この場合、小面積の抵抗体部35が適度なシート抵抗値(30Ω/□〜40Ω/□)を有していることから、低温(0℃以下)から室温まで10秒程度以内での急加熱が可能となる。また、抵抗体部35が高い光透過率80%〜85%を有しているので、LCDの光透過率の低下に対する影響を小さくすることができる。
金属製給電部14は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)、銅(Cu)、ネオジウム(Nd)等から選ばれた元素、またはそれらの元素を主成分とする合金材料等から成る。そして、図6〜図9の構成のLCDにおいて、抵抗体部35は透光性を有している必要はなく、また金属製給電部14を構成する上記の金属材料、合金材料よりも高抵抗の金属材料、合金材料から成っていればよい。
抵抗体部35が透光性を有している場合、ITOの他に、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化珪素を添加した酸化インジウム錫(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リンやボロンが含まれるシリコン(Si)等の透光性を有する導電性材料から成っていてもよい。抵抗体部35の厚みは20nm〜200nm程度であることが好ましい。20nm未満では、抵抗体部35の抵抗が高くなり加熱効率が低下する傾向がある。200nmを超えると、生産性が悪くなる傾向がある。
なお、本発明のLCDは、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の設計的な変更、改良を含んでいてもよい。