JP6309365B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶を直接的に加熱することが可能な電熱層を有する液晶表示装置に関するものである。
従来、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)素子を含む画素電極部が多数形成されたガラス基板等から成るアレイ側基板と、カラーフィルタ及びブラックマトリクスが形成されたガラス基板等から成るカラーフィルタ側基板とを互いに対向させて、それらの基板を所定の間隔でもって貼り合わせ、それらの基板間に液晶を充填、封入させることによって作製される。また、一般的に、カラーフィルタ側基板は、TFT素子及び画素電極に対向する側の主面(主面aとする)の全面に、画素電極との間で液晶に印加する垂直電界を形成するための共通電極(基準電極)が形成されている。この共通電極は、IPS(In-Plane Switching)方式のLCDの場合、アレイ側基板の画素電極部に画素電極と同じ面内に形成されることによって横電界を生じさせるものとなる。また共通電極は、FFS(Fringe Field Switching)方式のLCDの場合、アレイ側基板の画素電極部に画素電極の上方または下方に絶縁層を挟んで形成されることによって端部電界(Fringe Field)を生じさせるものとなる。また、カラーフィルタ側基板の主面aには、それぞれの画素に対応する赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが形成されており、それぞれの画素を通過する光が相互に干渉することを防ぐブラックマトリクスがカラーフィルタの外周を囲むように形成されている。
また、図5は、アクティブマトリクス型及びIPS型のLCDの基本構成を示すブロック回路図である。例えば、LCDのアレイ側基板は、その上の第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本のゲート信号線61(Ga,G2,G3・・・Gn)と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線61と交差させて形成された複数本の画像信号線62(S1,S2,S3・・・Sm)と、ゲート信号線61と画像信号線62の交差部に形成された、TFT素子63、画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する横電界等の電界を形成するための共通電極(基準電極)を含む画素電極部P11,P12,P13・・・Pnmと、共通電極に共通電圧(Vcom)を供給する共通電圧線64と、を有する構成である。また、65はゲート信号線駆動回路、66は画像信号(ソース信号)線駆動回路である。
このLCDにおいて、低温環境下で使用すると液晶パネルが最適動作温度まで上昇せず、応答速度が遅くなる、動画解像度が低くなる等の問題点を解消するために、液晶表示パネルを構成するガラス基板の液晶側の面に酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)等の透明導電膜から成る発熱体(ヒータ)を形成したものが知られている(特許文献1参照)。そのようなLCDの1例を図4(a),(b)に示す。図4(a)は、LCDの平面図、(b)は(a)のA−A1線における矢視方向からみた断面図である。
このLCDは、第1の基板31の液晶35側の面の第1の方向に形成された複数本のゲート信号線42と、第1の方向と交差する第2の方向にゲート信号線42と交差させて形成された複数本の画像信号線43と、ゲート信号線42と画像信号線43の交差部に形成された、TFT素子32及び画素電極33を含む画素電極部34と、第1の基板31の主面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成されたカラーフィルタ層37と、そのカラーフィルタ層37上に形成されたITOから成る電熱層38と、その電熱層38上に形成された共通電極39と、を有するLCDである。電熱層38の表面の両端部には、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuits:FPC)に形成された銅箔(厚み15μm〜35μm程度)等から成る給電線40が形成されており、直流電流、交流電流を入力することができる。第1の基板31の液晶35側の面の縁部と、第2の基板36の液晶35側の面の縁部とが、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム等から成る封止部材41によって接着、封止されている。第1の基板31の液晶35側の面における外部に突出した部位(部位gとする)には、ゲート信号線駆動回路65、画像信号線駆動回路66等の駆動用IC51がチップオングラス(Chip On Glass:COP)方式等の実装方法により搭載されており、さらに駆動用IC51に外部から駆動信号、制御信号を入出力する信号用FPC50が、部位gの縁部に設置されている。
また、他の従来例として、対向する一対のガラス基板と、それらの内側面にそれぞれ形成した一対の透明電極(ITOから成る)と、透明電極に接して金属メッシュ(ステンレススチールから成る)のヒータと、一対のガラス基板間にシールされた高分子液晶と、を有する高分子液晶素子およびその駆動方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開平10−133178号公報 特開平4−134318号公報
しかしながら、図4に示す上記従来のLCDにおいては、ITOから成る電熱層38はシート抵抗が30Ω/□〜40Ω/□と比較的高いため、表示部を覆うように広面積で形成した場合、給電線40から離れるにしたがって電圧降下が大きくなり、また電流密度が小さくなるため、加熱効率が低下するという問題点があった。また、加熱効率の低下を抑えるためには50〜100V程度の高い電圧を印加する必要があるという問題点があった。
また、特許文献2に記載された高分子液晶素子は、透明電極に接する複数の金属メッシュのうち一端側のものと他端側のものとの間で交流電流を入力しているため、一端側(他端側)のものと他端側(一端側)のものとの間の電圧降下が大きくなり、200V程度の高電圧を印加する必要があるという問題点があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、液晶を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、給電部間の電圧降下を小さくするとともに電流密度を高く維持して印加電圧を低く抑えることが可能な、加熱効率の高いヒータを有する液晶表示装置とすることである。
本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、前記第1の信号線と前記第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子及び画素電極を含む画素電極部と、前記第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、前記電熱層は、平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、前記第1の櫛歯部間の平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに前記第1の櫛歯部と前記第2の櫛歯部が前記第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部を接続するとともに前記画素電極部に対応して形成されている透明抵抗体部と、を有している構成である。
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記透明抵抗体部は、酸化インジウムスズから成る。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記電熱層は、前記液晶を室温以上の温度に加熱する。
本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、前記第1の信号線と前記第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する横電界を形成するための共通電極を含む画素電極部と、前記第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、前記電熱層は、平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、前記第1の櫛歯部間の平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに前記第1の櫛歯部と前記第2の櫛歯部が前記第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部を接続するとともに平面視で前記第2の信号線に重なる部位に形成されている抵抗体部と、を有している構成である。
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記抵抗体部は、酸化インジウムスズから成る。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記電熱層は、前記液晶を室温以上の温度に加熱する。
本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、第1の方向と交差する第2の方向に第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、第1の信号線と第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子及び画素電極を含む画素電極部と、第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、電熱層は、平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、第1の櫛歯部間の平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに第1の櫛歯部と第2の櫛歯部が第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、第1の櫛歯部とそれに隣接する第2の櫛歯部を接続するとともに画素電極部に対応して形成されている透明抵抗体部と、を有していることから、液晶を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、金属製給電部間の電圧降下を小さくするとともに電流密度を高く維持して印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、加熱効率が高くなる。
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、透明抵抗体部は、酸化インジウムスズから成る場合、比較的小面積の透明抵抗体部が適度なシート抵抗値(30Ω/□〜40Ω/□)を有していることから、低温(0℃以下)から室温まで30秒程度以内での急加熱が可能となる。また、透明抵抗体部が高い光透過率80%〜85%を有するので、画素電極部での光透過率の低下を抑えることができる。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、電熱層は、液晶を室温以上の温度に加熱する場合、液晶の応答速度がより速くなり、また動画解像度が高くなる。
本発明の液晶表示装置は、第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、第1の方向と交差する第2の方向に第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、第1の信号線と第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する横電界を形成するための共通電極を含む画素電極部と、第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、電熱層は、平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、第1の櫛歯部間の平面視で第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに第1の櫛歯部と第2の櫛歯部が第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、第1の櫛歯部とそれに隣接する第2の櫛歯部を接続するとともに平面視で第2の信号線に重なる部位に形成されている抵抗体部と、を有していることから、液晶を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、金属製給電部間の電圧降下を小さくするとともに電流密度を高く維持して印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、加熱効率が高くなる。
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、抵抗体部は、酸化インジウムスズから成る場合、小面積の抵抗体部が適度なシート抵抗値(30Ω/□〜40Ω/□)を有していることから、低温(0℃以下)から室温まで30秒程度以内での急加熱が可能となる。また、抵抗体部が高い光透過率80%〜85%を有しているので、液晶表示装置の光透過率の低下に対する影響を小さくすることができる。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、電熱層は、液晶を室温以上の温度に加熱する場合、液晶の応答速度がより速くなり、また動画解像度が高くなる。
図1(a),(b)は、本発明の液晶表示装置について実施の形態の1例を示す図であり、(a)は液晶表示装置の平面図、(b)は(a)のB−B1線における矢視方向からみた断面図である。 図2は、図1に示す液晶表示装置の一部切欠斜視図である。 図3(a),(b)は、本発明の液晶表示装置について実施の形態の他例を示す図であり、(a)は液晶表示装置の平面図、(b)は(a)のC−C1線における矢視方向からみた断面図である。 図4(a),(b)は、従来の液晶表示装置を示す図であり、(a)は液晶表示装置の平面図、(b)は(a)のA−A1線における矢視方向からみた断面図である。 図5は、従来のアクティブマトリクス型及びIPS型の液晶表示装置の基本構成を示すブロック回路図である。
以下、本発明の液晶表示装置(LCD)の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明のLCDの実施の形態における構成部材のうち、本発明のLCDを説明するための主要部を示している。従って、本発明に係るLCDは、図に示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
図1(a),(b)は、本発明のLCDについて実施の形態の1例を示す図であり、(a)はLCDの平面図、(b)は(a)のB−B1線における矢視方向からみた断面図である。図1に示すように、本発明のLCDは、第1の基板1の液晶5側の面の第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本の第1の信号線としてのゲート信号線12と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線12と交差させて形成された複数本の第2の信号線としての画像信号線13と、ゲート信号線12と画像信号線13の交差部に形成された、TFT素子2及び画素電極3を含む画素電極部4と、第1の基板1の液晶5側の面に対向する第2の基板6の液晶5側の面に形成された電熱層16と、を有するLCDである。そして、電熱層16は、平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第1の櫛歯部14bを有する第1の金属製給電部14aと、第1の櫛歯部14b間の平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第2の櫛歯部14dを有する第2の金属製給電部14cとを有するとともに第1の櫛歯部14bと第2の櫛歯部14dが第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部14と、第1の櫛歯部14bとそれに隣接する第2の櫛歯部14dを接続するとともに画素電極部4に対応して形成されている透明抵抗体部15と、を有している。即ち、透明抵抗体部15は、平面視で画素電極部4を覆うようにして形成されている。
なお、図1のLCDにおいて、第2の基板6の液晶5側の面にはカラーフィルタ層7が形成されており、そのカラーフィルタ層7上に電熱層16が形成されている。また、電熱層16上には共通電極9が形成されているが、共通電極9を省いて電熱層16を共通電極として使用することもできる。
上記の構成により、液晶5を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、第1の金属製給電部14aと第2の金属製給電部14cとの間の電圧降下を小さくするとともに電流密度を高く維持して印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、加熱効率が高くなる。また、第1の金属製給電部14a、第1の櫛歯部14b、透明抵抗体部15、第2の櫛歯部14d、第2の金属製給電部14cを通る電流経路の長さ(電流パス)が、どの画素電極部4においてもほぼ同じとなる。また、金属から成る第1の櫛歯部14bの長さ方向における電圧降下、及び金属から成る第2の櫛歯部14dの長さ方向における電圧降下も小さくなる。その結果、どの電流経路においても電圧降下及び電流密度がほぼ同じとなり、全ての画素電極部4にほぼ同じ電圧が印加されるので、全ての画素電極部4を均一に加熱することができる。
また、電熱層16の表面の両端部には、FPCに形成された銅箔(厚み15μm〜35μm程度)等から成る給電線10が形成されており、直流電流、交流電流を入力することができる。第1の基板1の液晶5側の面の縁部と、第2の基板6の液晶5側の面の縁部とが、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム等から成る封止部材11によって接着、封止されている。第1の基板1の液晶5側の面における外部に突出した部位(部位g1とする)には、ゲート信号線駆動回路、画像信号線駆動回路等の駆動用IC21がCOG方式等の実装方法により搭載されており、さらに駆動用IC21に外部から駆動信号、制御信号を入出力する信号用FPC20が、部位g1の縁部に設置されている。
図2は、図1に示すLCDの一部切欠斜視図である。図2に示すカラーフィルタ層7と共通電極9との間に電熱層16が介在するように形成される。カラーフィルタ層7と電熱層16との間に透明絶縁層が形成されていてもよく、電熱層16と共通電極9との間に透明絶縁層が形成されていてもよい。なお、図2において、第1の基板1の下方からバックライトの光(白色光)が照射される。
上記の構成のLCDは、液晶5の分子が画素電極部4と共通電極9との間の垂直電界によって垂直配向するツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)液晶であるTN型LCDである場合に好適である。
図1のLCDにおける金属製給電部14は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)、銅(Cu)、ネオジウム(Nd)等から選ばれた元素、またはそれらの元素を主成分とする合金材料等から成る。金属製給電部14の厚みは100nm〜1000nm程度であることが好ましい。100nm未満では、金属製給電部14の抵抗が高くなり加熱効率が低下する傾向がある。1000nmを超えると、生産性が悪くなる傾向がある。
第1の櫛歯部14bの幅及び第2の櫛歯部14dの幅は、カラーフィルタ層7とともに形成されている、ゲート信号線12に重なる部位に位置するブラックマトリクスの幅と同じ幅以下であることが好ましい。この場合、遮光性を有する第1の櫛歯部14b及び第2の櫛歯部14dが、平面視でブラックマトリクスからはみ出ないので、画素電極部4の光透過率の低下を招かないことになる。
透明抵抗体部15は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化珪素を添加した酸化インジウム錫(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リンやボロンが含まれるシリコン(Si)等の導電性材料であって透光性を有する材料から成る。透明抵抗体部15の厚みは20nm〜200nm程度であることが好ましい。20nm未満では、透明抵抗体部15の抵抗が高くなり加熱効率が低下する傾向がある。200nmを超えると、生産性が悪くなる傾向がある。
本発明のLCDは、透明抵抗体部15はITOから成ることが好ましい。この場合、比較的小面積の透明抵抗体部15が適度なシート抵抗値(30Ω/□〜40Ω/□)を有していることから、低温(0℃以下)から室温(約25℃)まで30秒程度以内での急加熱が可能となる。また、透明抵抗体部15が高い光透過率80%〜85%を有するので、画素電極部4での光透過率の低下を抑えることができる。
例えば、車載用のLCDである場合、0℃以下の低温環境下では液晶5を加熱することによってその粘性を小さくし、液晶5の高速応答を実現すること、動画を表示可能とすること、さらには動画解像度を高くすることが好ましい。そして、エンジン始動からLCDによる車の後方確認等のために、エンジン始動から30秒程度以内に液晶5の温度を室温に昇温させることが好ましい。従って、本発明のLCDは車載用途に好適なものである。
また本発明のLCDは、電熱層16は液晶5を室温以上の温度に加熱するものであることが好ましい。この場合、液晶5の応答速度がより速くなり、また動画解像度が高くなる。液晶5を室温以上の温度に加熱する場合、液晶5を40℃〜60℃程度に加熱することが好ましい。40℃程度未満では、液晶5の応答速度をより速くすることが難しくなる傾向がある。60℃程度を超えると、液晶層での光透過率低下が生じる傾向がある。液晶5を40℃〜60℃程度に加熱する、このような高速応答モードは、常時設定するか一時的に設定するか選択可能とすることができる。その選択の制御は、給電線10に接続された外部の選択制御回路等によって行うことができる。
また、電熱層16は液晶5を室温程度に加熱したら、電熱層16の印加電圧を一旦オフしてもよい。そして、液晶5の温度を温度モニター回路等の温度検出手段によって常時検出し、ある温度(20℃程度)に低下したら再度電熱層16の印加電圧をオンして液晶5の温度を室温付近に維持することができる。例えば、温度モニター回路として、Nチェンネル型TFTとPチェンネル型TFTを組み合わせて構成されるCMOSインバータを複数個直列に接続して形成されるリングオシレータを用いることができる。温度が上昇するとリングオシレータの発振周波数が変動するため、発振周波数をパルスカウンタ等によって検出することにより温度を特定することができる。
図1のLCDについて、ゲート信号線12を第1の信号線としてLCDを構成したが、画像信号線(ソース信号線)13を第1の信号線としてLCDを構成してもよい。その場合、ゲート信号線12は第2の信号線となる。
図3(a),(b)は、本発明のLCDについて実施の形態の他例を示す図であり、(a)はLCDの平面図、(b)は(a)のC−C1線における矢視方向からみた断面図である。図3に示すように、本発明のLCDは、第1の基板1の液晶5側の面の第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本の第1の信号線としてのゲート信号線12と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線12と交差させて形成された複数本の第2の信号線としての画像信号線13と、ゲート信号線12と画像信号線13の交差部に形成された、TFT素子2、画素電極3及びその画素電極3との間で液晶5に印加する横電界を形成するための共通電極を含む画素電極部4と、第1の基板1の液晶5側の面に対向する第2の基板6の液晶5側の面に形成された電熱層16aと、を有するLCDである。そして、電熱層16aは、平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第1の櫛歯部14bを有する第1の金属製給電部14aと、第1の櫛歯部14a間の平面視でゲート信号線12に重なる部位に形成された第2の櫛歯部14dを有する第2の金属製給電部14cとを有するとともに第1の櫛歯部14bと第2の櫛歯部14dが第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部14と、第1の櫛歯部14bとそれに隣接する第2の櫛歯部14dを接続するとともに平面視で画像信号線13に重なる部位に形成されている抵抗体部15aと、を有している。
なお、図3のLCDは、第2の基板6の液晶5側の面にカラーフィルタ層7が形成されており、そのカラーフィルタ層7上に電熱層16aが形成されている。
上記の構成により、液晶5を加熱してその応答速度を速くし、また動画解像度を高くするために、金属製給電部間の電圧降下を小さくするとともに電流密度を高く維持して印加電圧を低く抑えることが可能となる。その結果、加熱効率が高くなる。
抵抗体部15aの幅は、カラーフィルタ層7とともに形成されている、画像信号線13に重なる部位に位置するブラックマトリクスの幅と同じ幅以下であることが好ましい。例えば、共通電極が、第1の基板1の画素電極部4に画素電極3と同じ面内に形成されていることによって横電界を生じさせるIPS方式のLCDである場合に、好適なものである。即ち、画素電極部4に含まれる画素電極3、共通電極が、透明導電体であるITOから成る抵抗体部15aと平面視で重ならないので、それらが容量結合を起こすことを抑えることができる。その結果、液晶5の応答性を劣化させることが有効に抑えられる。
本発明のLCDは、抵抗体部15aはITOから成ることが好ましい。この場合、小面積の抵抗体部15aが適度なシート抵抗値(30Ω/□〜40Ω/□)を有していることから、低温(0℃以下)から室温まで10秒程度以内での急加熱が可能となる。また、抵抗体部15aが高い光透過率80%〜85%を有しているので、LCDの光透過率の低下に対する影響を小さくすることができる。
金属製給電部14は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)、銅(Cu)、ネオジウム(Nd)等から選ばれた元素、またはそれらの元素を主成分とする合金材料等から成る。そして、図3の構成のLCDにおいて、抵抗体部15aは透光性を有している必要はなく、また金属製給電部14を構成する上記の金属材料、合金材料よりも高抵抗の金属材料、合金材料から成っていればよい。
抵抗体部15aが透光性を有している場合、ITOの他に、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化珪素を添加した酸化インジウム錫(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リンやボロンが含まれるシリコン(Si)等の導電性材料であって透光性を有する材料から成っていてもよい。抵抗体部15aの厚みは20nm〜200nm程度であることが好ましい。20nm未満では、抵抗体部15aの抵抗が高くなり加熱効率が低下する傾向がある。200nmを超えると、生産性が悪くなる傾向がある。
また本発明のLCDは、電熱層16aは液晶5を室温以上の温度に加熱することが好ましい。この場合、液晶5の応答速度がより速くなり、また動画解像度が高くなる。液晶5を室温以上の温度に加熱する場合、液晶5を40℃〜60℃程度に加熱することが好ましい。40℃程度未満では、液晶5の応答速度をより速くすることが難しくなる傾向がある。60℃程度を超えると、液晶層での光透過率低下が生じる傾向がある。液晶5を40℃〜60℃程度に加熱する、このような高速応答モードは、常時設定するか一時的に設定するか選択可能とすることができる。その選択の制御は、給電線10に接続された外部の選択制御回路等によって行うことができる。
また、電熱層16aは液晶5を室温程度に加熱したら、電熱層16aの印加電圧を一旦オフしてもよい。そして、液晶5の温度を上述の温度モニター回路等の温度検出手段によって常時検出し、ある温度(20℃程度)に低下したら再度電熱層16aの印加電圧をオンして液晶5の温度を室温付近に維持することができる。
図3のLCDについて、ゲート信号線12を第1の信号線としてLCDを構成したが、画像信号線(ソース信号線)13を第1の信号線としてLCDを構成してもよい。その場合、ゲート信号線12は第2の信号線となる。
なお、本発明のLCDは、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の設計的な変更、改良を含んでいてもよい。
本発明のアクティブマトリクス型のLCDは各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、ヘッドアップディスプレイ、デジタル表示式腕時計などがある。
1 第1の基板
2 TFT素子
3 画素電極
4 画素電極部
5 液晶
6 第2の基板
7 カラーフィルタ層
9 共通電極
10 給電線
12 第1の信号線としてのゲート信号線
13 第2の信号線としての画像信号線
14 金属製給電部
14a 第1の金属製給電部
14b 第1の櫛歯部
14c 第2の金属製給電部
14d 第2の櫛歯部
15 透明抵抗体部
15a 抵抗体部
16、16a 電熱層

Claims (6)

  1. 第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、前記第1の信号線と前記第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子及び画素電極を含む画素電極部と、前記第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、前記電熱層は、平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、前記第1の櫛歯部間の平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに前記第1の櫛歯部と前記第2の櫛歯部が前記第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部を接続するとともに前記画素電極部に対応して形成されている透明抵抗体部と、を有している液晶表示装置。
  2. 前記透明抵抗体部は、酸化インジウムスズから成る請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記電熱層は、前記液晶を室温以上の温度に加熱する請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 第1の基板の液晶側の面の第1の方向に形成された複数本の第1の信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の信号線と交差させて形成された複数本の第2の信号線と、前記第1の信号線と前記第2の信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する横電界を形成するための共通電極を含む画素電極部と、前記第1の基板の液晶側の面に対向する第2の基板の液晶側の面に形成された電熱層と、を有する液晶表示装置であって、前記電熱層は、平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第1の櫛歯部を有する第1の金属製給電部と、前記第1の櫛歯部間の平面視で前記第1の信号線に重なる部位に形成された第2の櫛歯部を有する第2の金属製給電部とを有するとともに前記第1の櫛歯部と前記第2の櫛歯部が前記第2の方向において交互に位置して互いに噛み合うように形成されている金属製給電部と、前記第1の櫛歯部とそれに隣接する前記第2の櫛歯部を接続するとともに平面視で前記第2の信号線に重なる部位に形成されている抵抗体部と、を有している液晶表示装置。
  5. 前記抵抗体部は、酸化インジウムスズから成る請求項4に記載の液晶表示装置。
  6. 前記電熱層は、前記液晶を室温以上の温度に加熱する請求項4または請求項5に記載の液晶表示装置。
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