JP2016142239A - 噴射時期学習制御装置及び噴射時期学習制御方法 - Google Patents

噴射時期学習制御装置及び噴射時期学習制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼安定度を向上するための噴射時期の学習制御を容易に実行できるようにする。
【解決手段】噴射時期学習制御装置は、内燃機関の運転状態に応じた噴射段数及び噴射時期のデータマップを記憶する記憶部と、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部と、検出された前記運転状態に応じて前記データマップに基づき噴射段数及び噴射時期を設定する噴射条件設定部と、前記内燃機関の燃焼安定度を判定する燃焼安定度判定部と、前記燃焼安定度が低下している場合に、優先度の高い段の噴射の噴射時期を前記内燃機関の回転数に応じた補正幅で補正するとともに、前記噴射時期の補正後の前記燃焼安定度が改善したか否かを判定し、前記燃焼安定度が改善する学習補正量を前記記憶部に記憶する補正量学習部と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃焼室内に直接燃料を噴射する内燃機関の噴射時期学習制御装置及び噴射時期学習制御方法に関する。
従来、点火プラグが設けられた燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関(以下「筒内噴射式内燃機関」ともいう。)では、運転状態に応じた最適な混合気を形成するための燃料噴射制御が行われている。かかる燃料噴射制御では、例えば、燃焼サイクルのどの行程で燃料を噴射するか、あるいは、燃料噴射を複数回に分割して実施するか等、噴射パターンが運転状態に応じて切り分けられる。
運転状態に応じた最適な混合気は、燃焼方法によって大きく2つに分けられる。その1つは、均質燃焼のための混合気である。均質燃焼では、点火時の燃焼室内の混合気の濃度場が、燃焼室内全体で均質とされる。また、別の1つは、成層燃焼のための混合気である。成層燃焼では、点火時の燃焼室内の混合気の濃度場が、点火用の混合気と火炎伝播用の混合気で成層化される。このような混合気を形成するために、燃料噴射制御では、噴射時期、噴射圧力、噴射分割回数、噴射分割比等が運転状態に応じて制御される。
意図する混合気が形成されない場合、燃焼が不安定になる。燃焼が不安定になると、車体の振動が大きくなったり、ドライバビリティ、エミッション及び燃費の性能が悪化したりする。燃焼安定度は、燃料噴射時期のずれに対して高い感度を示す。そのため、内燃機関の運転状態、すなわち、内燃機関の回転数(以下「機関回転数」ともいう。)や内燃機関の負荷(以下「機関負荷」ともいう。)、点火時期、冷却水温等の、燃料噴射時期の最適点に影響を与え得る内燃機関の運転状態の因子に応じて燃料噴射時期が制御される。かかる燃料噴射時期の制御は、均質燃焼のための混合気を形成する場合、あるいは、成層燃焼のための混合気を形成する場合にかかわらず同様に行われる。
ここで、上記の機関回転数や機関負荷、点火時期、冷却水温等の内燃機関の運転状態に関連する因子以外の要因で、意図する混合気が形成できない場合がある。そのような要因としては、例えば、内燃機関の特性の経時変化などによる、燃焼室内での混合気の流動性の変化や燃料噴射特性の変化が挙げられる。これに対して、特許文献1には、成層燃焼のための内燃機関の制御中に、燃焼安定度が所定の許容範囲よりも低下したときに、燃料噴射時期を補正して、燃焼安定度を向上させる技術が開示されている。かかる特許文献1において、燃料噴射時期の補正は、噴射時期の設定値に対して、固定値である噴射時期補正係数を加算又は減算することによって行われる。
特開2000−73849号公報
特許文献1に記載された燃料噴射時期の補正制御は、成層燃焼時の圧縮行程中に実施される、点火可能空燃比を形成するための燃料噴射の噴射時期を補正するものである。かかる噴射は、噴射時期が燃焼安定度に対して敏感であり、ピストン形状との兼ね合いからも噴射時期をずらすことが可能な範囲が限定的である。また、均質燃焼時においても、混合気の均質濃度場を形成するために複数段の噴射が行われる場合があるが、噴射段ごとに、噴射時期をずらすことが可能な範囲の幅がある。
また、燃料噴射時期に対する燃焼安定度の感度は、機関回転数によって異なる場合がある。例えば、機関回転数が大きいほど、燃料噴射時期の小さい変化に対して、燃焼安定度が変わりやすい。しかしながら、特許文献1に記載された燃料噴射時期の補正制御は、噴射時期補正係数を固定値としているために、燃焼安定度が最適となる噴射時期を学習することが困難である。
例えば、噴射時期のずれに対する燃焼安定度の感度が敏感な成層燃焼時において機関回転数が大きい場合にも点火用の混合気を形成するための燃料噴射時期の補正を可能にしようとすると、固定値としての噴射時期補正係数はごく小さい値にならざるを得ない。そうすると、機関回転数が小さい場合に、燃焼安定度が最適となる噴射時期が見つかるまでに時間がかかる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、燃焼安定度を向上するための噴射時期の学習制御を容易に実行可能な、噴射時期学習制御装置及び噴射時期学習制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、点火プラグが設けられた燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関への燃料噴射時期の学習制御を行う噴射時期学習制御装置において、前記内燃機関の運転状態に応じた噴射段数及び噴射時期のデータマップを記憶する記憶部と、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部と、検出された前記運転状態に応じて前記データマップに基づき噴射段数及び噴射時期を設定する噴射条件設定部と、前記内燃機関の燃焼安定度を判定する燃焼安定度判定部と、前記燃焼安定度が低下している場合に、優先度の高い段の噴射の噴射時期を前記内燃機関の回転数に応じた補正幅で補正するとともに、前記噴射時期の補正後の前記燃焼安定度が改善したか否かを判定し、前記燃焼安定度が改善する学習補正量を前記記憶部に記憶する補正量学習部と、を備える、噴射時期学習制御装置が提供される。
前記補正量学習部は、優先度の高い所定段の噴射の前記学習補正量の学習が終了した後においても前記燃焼安定度が所定の閾値未満の場合に、学習が終了していない段の噴射の前記学習補正量を学習してもよい。
前記学習が終了していない段の噴射のうち、次に優先度の高い段の噴射の前記学習補正量を学習してもよい。
前記補正量学習部は、前記内燃機関の回転数及び噴射の段に応じて前記補正幅を変え、前記内燃機関の回転数が大きいほど前記補正幅を小さくしてもよい。
前記補正量学習部は、所定の段の噴射について、前記補正幅での前記噴射時期の補正を繰り返し、前記燃焼安定度が改善傾向から悪化傾向に転じた場合に、当該段の噴射についての学習を終了してもよい。
前記補正量学習部は、前記学習補正量の学習中に前記運転状態が変化した場合には、前記学習補正量の学習を終了してもよい。
前記燃焼安定度判定部は、前記内燃機関の回転数変動に基づいて前記燃焼安定度を判定してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、点火プラグが設けられた燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関への燃料噴射時期の学習制御を行う噴射時期学習制御方法において、前記内燃機関の運転状態に応じて噴射段数及び噴射時期を設定して燃料噴射を行うステップと、前記内燃機関の燃焼安定度を判定するステップと、前記燃焼安定度が低下している場合に、優先度の高い段の噴射の噴射時期を前記内燃機関の回転数に応じた補正幅で補正するとともに、前記噴射時期の補正後の前記燃焼安定度が改善されたか否かを判定し、前記燃焼安定度が改善される学習補正量を求めるステップと、を備える、噴射時期学習制御方法が提供される。
本発明によれば、噴射時期の補正の容易性に応じて設定される優先度が高い噴射の噴射時期が優先的に補正されるとともに、その際の補正幅が噴射の段及び機関回転数に応じて設定されるため、燃焼安定度を向上するための噴射時期の学習制御を容易に実行することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる内燃機関の制御システムの概略構成を示す模式図である。 図2は、同実施形態にかかる噴射時期学習制御装置の構成例を示すブロック図である。 図3は、補正量学習値のテーブルを示す説明図である。 図4は、機関回転数の違いによる燃料噴射時期と燃焼安定度との関係性を示す説明図である。 図5は、補正幅を決定するテーブルを示す説明図である。 図6は、機関回転数と補正幅との関係を示す説明図である。 図7は、同実施形態にかかる噴射時期学習制御方法を示すフローチャートである。 図8は、同実施形態にかかる噴射時期学習制御方法を示すフローチャートである。 図9は、同実施形態にかかる噴射時期学習制御方法を示すフローチャートである。 図10は、同実施形態にかかる噴射時期学習制御方法の一例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.内燃機関の制御システム>
まず、本発明の一実施形態にかかる内燃機関の制御システムの構成例について説明する。図1は、内燃機関10の制御システムの構成例を示す模式図である。内燃機関10は、燃焼室12内に直接燃料を噴射する形式の筒内噴射式内燃機関として構成される。図1では、一つの燃焼室12のみが示されているが、例えば4つあるいはそれ以上の燃焼室を備える一般的な多気筒の内燃機関10であってよい。
内燃機関10は、シリンダ11と、シリンダ11内を上下動するピストン14とを備え、シリンダ11及びピストン14によって燃焼室12が画成される。燃焼室12には吸気通路16が接続され、当該吸気通路16は、吸気弁22によって開閉される。また、燃焼室12には排気通路18が接続され、当該排気通路18は、排気弁24によって開閉される。燃焼室12には、燃焼室12内に燃料を噴射する燃料噴射弁30が備えられる。また、燃焼室12には、燃料に着火する点火プラグ32が備えられる。
かかる内燃機関10は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4工程からなる燃焼サイクルで駆動される4サイクルエンジンである。かかる燃焼サイクルの一例を概略的に説明すれば、吸気行程では、吸気弁22が開かれるとともにピストン14が下降して、燃焼室12内に新気が導入される。このとき、燃料噴射弁30から燃料が噴射され、燃焼室12内には、空気と燃料とが混合された混合気が形成される。続く圧縮行程では、吸気弁22が閉じられるとともにピストン14が上昇し、燃焼室12内の混合気が圧縮される。かかる圧縮行程中に燃料が噴射される場合もある。
ピストン14が上死点に到達する前後の適宜の時期に点火プラグ32によって混合気に点火され、燃焼室12内の混合気が体積膨張する。かかる膨張行程において、ピストン14が押し下げられ、ピストン14が連結された図示しないクランクシャフトの駆動力が発生する。その後、排気行程では、ピストン14が上昇するとともに排気弁24が開かれ、燃焼室12内の燃焼ガスが排気通路18に排出される。排気の終了後には、排気弁24は閉じられる。
電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)100は、水温センサ52、燃圧センサ54、エアフローメータ56、圧力センサ58、クランク角センサ60及びアクセルセンサ62の出力信号を読み取り可能になっている。ECU100は、水温センサ52の出力信号に基づき、内燃機関10の冷却水の温度Tcを検出する。ECU100は、燃圧センサ54の出力信号に基づき、噴射燃料の圧力pfを検出する。ECU100は、エアフローメータ56の出力信号に基づき、燃焼室12に流入する空気流量Vaを検出する。
また、ECU100は、圧力センサ58の出力信号に基づき、吸気通路16内の圧力psを検出する。ECU100は、クランク角センサ60の出力信号に基づき、機関回転数Nを検出する。ECU100は、アクセルセンサ62の出力信号に基づき、内燃機関10の要求負荷Qを検出する。内燃機関10の要求負荷Qは、アクセル操作量に基づき検出されるものに限られず、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)において算出される要求負荷であってもよい。
ECU100は、検出した情報に基づいて燃料噴射弁30及び点火プラグ32を制御する。また、吸気弁22や排気弁24は、カム機構を用いて開閉駆動されてもよいし、その他の駆動手段を用いて開閉制御されてもよい。本実施形態では、ECU100が噴射時期学習制御装置としての機能を有している。
<2.噴射時期学習制御装置(ECU)>
次に、本実施形態にかかる噴射時期学習制御装置(ECU)100について説明する。図2は、ECU100の構成のうち、燃料噴射時期の学習制御に関連する部分を機能的なブロックで示している。ECU100は、例えば、主として公知のマイクロコンピュータにより構成された制御ユニットである。かかるECU100は、運転状態検出部110と、噴射条件設定部120と、燃料噴射制御部130と、記憶部140と、燃焼安定度判定部150と、補正量学習部160とを備えている。このうち、記憶部140以外の各部は、具体的には、マイクロコンピュータによるプログラムの実行により実現される機能である。
記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の記憶素子により構成され、各種制御に用いる情報やECU100の演算結果等を記憶する。この他、ECU100には、図示しないROM(Read Only Memory)等の記憶部が備えられていてもよい。かかるECU100には、上記の各種センサの出力信号が入力される。
(運転状態検出部)
運転状態検出部110は、各種センサの出力信号を読み込み、これらの出力信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出する。具体的に、運転状態検出部110は、各種センサの出力信号に基づいて、機関回転数Nや要求負荷Q、冷却水温度Tc、吸入空気量Va等を検出する。ここに例示した情報以外の、内燃機関10の運転状態に関連する情報を検出するようにしてもよい。
(噴射条件設定部)
噴射条件設定部120は、検出された内燃機関10の運転状態に基づき、燃料噴射弁30による燃料の噴射パターンを設定する。噴射パターンには、一サイクル中における燃料噴射量、噴射段数及び噴射時期の情報が含まれる。具体的には、噴射条件設定部120は、記憶部140に記憶されているマップ情報を参照して、機関回転数N及び要求負荷Q等に基づいて燃料噴射量を算出するとともに、噴射段数及び噴射時期を算出する。
また、噴射条件設定部120は、燃焼安定度が低下し、噴射時期学習制御が実行される際には、補正量学習部160によって算出される噴射時期の補正幅ΔITを、基本噴射パターンマップ及び噴射時期補正マップにより設定された噴射時期ITに加減算して、噴射時期を決定する。本実施形態では、マップ情報は、基本噴射パターンマップ及び噴射時期補正マップを含む。
基本噴射パターンマップは、均質燃焼とするか成層燃焼とするか等のコンセプトに基づき、内燃機関10の運転状態に応じて、あらかじめ噴射段数、各段での燃料噴射量、及び各段の基本噴射時期ITpqB等の基本噴射パターンが設定されて記憶されたものである。例えば、内燃機関10のある運転状態において、燃料噴射量がX(cc)、噴射段数が2段、2段の噴射の噴射量比が7:3、2段の噴射のそれぞれの基本噴射時期がIT21B=TDC−Y1(deg.),IT22B=TDC−Y2(deg.)というように定められている。噴射段数は、1段の場合、及び複数段の場合をともに含む。
噴射時期補正マップでは、それぞれの基本噴射パターンに対応して、各段の噴射時期の学習補正量ITL(deg.)の情報が設定されている。本実施形態では、基本噴射パターンマップに設定されている各噴射段数1〜pにおける各段1〜qの噴射について、機関回転数Nの閾値N1・・・Nnによって区分された領域ごとに学習補正量ITLpq0・・・ITLpqnが設定されている。図3は、噴射時期補正マップの一例を示す。図3の左に、機関回転数Nの閾値N1・・・Nnによって区分された領域ごとに設定された、1段噴射の1段目の噴射の噴射時期の学習補正量ITL110・・・ITL11nが示されている。図3の右に、機関回転数N1・・・Nnによって区分された領域ごとに設定された、p段噴射のうちのq段目の噴射の噴射時期の学習補正量ITLpq0・・・ITLpqnが示されている。
図3の例では、機関回転数Nを複数の閾値N1・・・Nnによって区分して、それぞれの領域ごとに学習補正量ITLpqが設定されている。かかる閾値N1・・・Nnは適宜設定することができる。上記の基本噴射パターンマップの設定情報は、基本的には変更されないのに対して、噴射時期補正マップに設定された学習補正量ITLpqの情報は、噴射時期学習制御の結果に応じて変更され得る。
(燃料噴射制御部)
燃料噴射制御部130は、噴射条件設定部120で設定された噴射パターンに基づいて、燃料噴射弁30に供給する電流を制御する。具体的には、設定された段数の噴射が、設定された噴射量で、設定された噴射時期に実行されるように、燃料噴射弁30への通電開始時期及び通電時間が制御される。
(燃焼安定度判定部)
燃焼安定度判定部150は、内燃機関10の燃焼状態の安定度合いを判定する。本実施形態では、クランク角センサ60の出力信号に基づいて検出される機関回転数Nの変動量(以下、「回転数変動量」ともいう。)ΔNに基づいて燃焼安定度を判定する。燃焼安定度が低い状態とは、例えば、燃焼による回転数変動量ΔNが、基準となる閾値ΔN(0)よりも大きい状態をいう。このように燃焼安定度が低下している状態では、車体振動が大きくなったり、ドライバビリティ、エミッション、燃費等の性能が悪化したりする。閾値ΔN(0)は、内燃機関10の運転状態に応じて、あらかじめシミュレーション等により求められて設定される。例えば、アイドル時と非アイドル時とで、閾値ΔN(0)の設定を切り分けてもよい。
例えば、成層燃焼時においては、点火用の混合気群が、燃料の噴射後から点火までの時間に筒内流動により移動し、点火時期において点火プラグ32の近傍に集まっている場合に、高い燃焼安定度が実現される。このとき、混合気の移動速度、及び燃料噴射から点火までの時間によって、点火プラグ32と、点火用の高濃度混合気群との距離が変わる。シリンダ11内において混合気群は筒内のタンブル等の流動として回転しながら移動するため、上記の距離は周期的に遠近を繰り返す。すなわち、燃焼安定度も、上記の距離に応じて周期的に変動する。
図4は、ある噴射パターンでの噴射を実行する際の燃料噴射時期と燃焼安定度との関係を示す説明図である。本実施形態の場合、燃焼安定度は、回転数変動量ΔNによって表され、回転数変動量ΔNが大きいほど燃焼安定度が低いことを示す。燃焼安定度の高低は、燃料噴射時期によって周期的に変化している。すなわち、点火時期において、点火プラグ32と点火用の高濃度混合気群との距離が遠いほど燃焼安定度が低くなり、点火プラグ32と点火用の高濃度混合気群との距離が近いほど燃焼安定度が高くなる。このとき、燃焼安定度の変化の周期は、機関回転数Nが大きいほど短くなることが分かる。
(補正量学習部)
補正量学習部160は、燃焼安定度が低下している場合に、燃料噴射時期を進角側又は遅角側にずらしながら、燃焼安定度が改善されるよう、噴射時期の学習補正量ITLを学習する噴射時期学習制御を行う。本実施形態において、補正量学習部160は、内燃機関10の運転状態に応じて設定された噴射パターンにおける、優先度の高い段の噴射の噴射時期を、機関回転数Nに応じた補正幅ΔITでずらしながら学習制御を行う。具体的には、補正量学習部160は、噴射時期を補正する優先度が高い段の噴射の噴射時期をずらすとともに燃焼安定度が改善されたか否かを判定する処理を繰り返し実行する。燃焼安定度が改善された場合には、補正量学習部160は、記憶部140に記憶された噴射時期補正マップを更新する。
このとき、補正量学習部160は、記憶部140に記憶された補正量マップを参照して、現在の機関回転数Nに基づき、学習制御用の補正幅ΔIT(deg.)を算出する。かかる補正量マップは、噴射の合計段数及び補正対象の噴射の段ごとに、機関回転数Nに応じて噴射時期の補正幅ΔITをあらかじめ設定したマップとして、記憶部140に記憶されている。
図5は、補正量マップの一例を示す。図5の左に、機関回転数Nの閾値N1・・・Nnによって区分された領域ごとに設定された、1段噴射の1段目の噴射の噴射時期の補正幅ΔIT110・・・ΔIT11nが示されている。図5の右に、機関回転数Nの閾値N1・・・Nnによって区分された領域ごとに設定された、p段噴射のうちのq段目の噴射の噴射時期の補正幅ΔITpq0・・・ΔITpqnが示されている。閾値N1・・・Nnは、噴射時期補正マップの閾値N1・・・Nnにそれぞれ対応している。
図6は、ある噴射における、機関回転数Nと補正幅ΔITpq0・・・ΔITpqnとの設定例を示す。補正幅ΔITは、機関回転数Nが大きくなるほど小さい値となるように設定されている。すなわち、機関回転数Nが大きくなるほど噴射時期のずれに対する燃焼安定度の変化が敏感であるために、機関回転数Nが大きくなるほど、より小さい範囲での噴射時期の学習補正量ITLが得られるようになっている。
補正量学習部160は、学習制御を終了させる所定の条件が成立するまでの期間、学習制御を継続する。補正量学習部160は、優先度の高い段の噴射の噴射時期をずらす制御が終わった後は、学習制御を終了させる条件が成立するまで、次に優先度が高い段の噴射について、同様の学習制御を継続する。各段の噴射の燃焼安定度に対する感度、また、各段の噴射の噴射時期の許容範囲は様々であるが、噴射の段の優先度は、それらに応じて任意に設定することができる。
例えば、2段噴射を実行する場合、1段目の噴射の噴射時期の許容補正幅が+50deg.〜−30deg.であり、2段目の噴射の噴射時期の許容補正幅が+5deg.〜−5deg.である場合には、許容補正幅が広い1段目の噴射の噴射時期の補正を優先させることができる。
あるいは、上記の2段噴射が、目標ラムダ値が1.25であるリーンバーン制御時のものであり、例えば、全噴射量のうち80%が1段目で噴射され、残りの20%が2段目で噴射されるとする。この場合、1段目の噴射は火炎伝播用の混合気を形成するための噴射であり、2段目の噴射は着火用の混合気を形成するための噴射となり、1段目の噴射の噴射時期の燃焼安定度への影響はさほど大きくない。そのため、この場合には、2段目の噴射の噴射時期の補正を優先させることができる。
なお、噴射時期の補正を行う噴射の段の優先度の設定の仕方は、上記の例に限られない。それぞれの噴射コンセプトに応じて、当該優先度を適宜決定し得る。
学習制御を終了させる条件は、例えば、燃焼安定度としての回転数変動量ΔNが所定の閾値ΔN(0)以下になった場合である。また、学習制御を終了させる別の条件は、例えば、進角側及び遅角側ともに噴射時期を補正したことにより燃焼安定度が悪化した場合である。さらに、学習制御を終了させる別の条件は、内燃機関10の運転状態が変化した場合である。具体的には、燃料噴射制御の目的が成層燃焼と均質燃焼とで切り替わった場合や、内燃機関10がアイドル状態と非アイドル状態とで切り替わった場合等、噴射パターンが変化した場合である。
<3.噴射時期学習制御方法>
次に、本実施形態にかかる噴射時期学習制御装置(ECU)100による噴射時期学習制御方法について説明する。図7〜図9は、ECU100による噴射時期学習制御処理を示すフローチャートである。かかる噴射時期学習制御処理は、内燃機関10の運転中、常時実行されてもよいし、定期、あるいは不定期に割り込み実行されてもよい。
(フローチャート)
まず、ステップS12において、ECU100は、各種のセンサの出力信号に基づいて、内燃機関10の運転状態を検出する。例えば、ステップS12において、機関回転数Nや要求負荷Q、冷却水温度Tc、吸入空気量Va等が検出される。次いで、ECU100は、ステップS14において、基本噴射パターンマップを参照して、内燃機関10の運転状態に応じた噴射パターンを決定するとともに、ステップS16において、それぞれの段の噴射(p段中のq段目の噴射)の基本噴射時期ITpqBを算出する。
次いで、ECU100は、ステップS18において、噴射時期補正マップを参照して、それぞれの段の噴射(p段中のq段目の噴射)の学習補正量ITLpqを呼び出す。図5に例示したように、本実施形態では、複数の領域に分けた機関回転数Nごとに学習補正量ITLpq1・・・ITLpqnが設定されている。したがって、ECU100は、現在の機関回転数Nに応じて、学習補正量ITLpqnを呼び出す。
次いで、ステップS20において、ECU100は、それぞれの段の噴射(p段中のq段目の噴射)を実行する噴射時期ITpq(Z)を決定し、噴射を実行する。噴射時期ITpq(Z)は、基本噴射時期ITpqBに、学習噴射量ITLpqnを加算することにより求められる。次いで、ステップS22において、クランク角センサ60の出力信号に基づいて、今回の噴射時期ITpq(Z)で噴射制御を行った運転状態での燃焼安定度を算出する。ここでは、燃焼安定度として、回転数変動量ΔN(Z)が算出される。
次いで、ステップS24において、ECU100は、回転数変動量ΔN(Z)が、あらかじめ設定された閾値ΔN(0)より大きいか否かを判別する。回転数変動量ΔN(Z)が閾値ΔN(0)以下の場合(S24:No)、形成されている混合気が意図した状態となっているため、制御を終了する。一方、回転数変動量ΔN(Z)が閾値ΔN(0)よりも大きい場合(S24:Yes)、形成されている混合気が意図したものとは異なっている可能性が高いことから、ECU100は、噴射時期の学習制御を実行するためにステップS26に進む。
ステップS26では、ECU100は、現在の機関回転数Nにおいて、現在の噴射パターンによるp段噴射のうち、未だ噴射時期の学習が完了していない段の噴射が存在するか否かを判別する。具体的に、本実施形態では、燃焼安定度を改善するための噴射時期の学習が完了した段の噴射に対してフラグFLGendpqnが立てられるようになっている(S48を参照)。したがって、ステップS26において、ECU100は、p段噴射のうちの1段目からq段目までのすべての噴射について、フラグFLGendpqnが立てられているかを判別する。なお、p段噴射は1段噴射の場合も含む。
すべての噴射についてフラグFLGendpqnが立てられている場合(S26:Yes)、現在の機関回転数N、かつ、現在の噴射段数(p)での噴射制御においては、噴射時期の補正による燃焼安定度の改善が見込まれないことから、制御を終了する。一方、学習が完了していない段の噴射が存在する場合(S26:No)、ステップS28に進み、ECU100は、学習が完了していない段の噴射のうち、優先順位が最も高い段(r)の噴射を選択する。なお、噴射時期を補正すべきでないと考えられる段の噴射に関しては、あらかじめフラグFLGendpqnを立てておくことにより、噴射時期の補正がされないようにすることができる。
次いで、ステップS30において、ECU100は、補正量マップを参照して、ステップS28で決定されたr段目の噴射について、学習制御を実行する際の補正幅ΔITprnを呼び出す。次いで、ステップS32において、ECU100は、フラグFLG1prnが立てられているか否かを判別する。フラグFLG1prnは、学習を進めようとしている噴射に関して、進角側に噴射時期を補正するか、遅角側に噴射時期を補正するかを決めるためのフラグである。フラグFLG1prnの初期値は0にされ、フラグFLG1prn=0のときに進角側とするか遅角側とするかは各段の噴射ごとに任意に設定することができる。本実施形態では、初期状態(フラグFLG1prn=0)において遅角側(プラス側)に噴射時期が補正される設定となっている。
例えば、フラグFLG1prn=0の場合(S32:No)、ステップS34において、ECU100は、今回の学習における噴射時期ITpr(Z+1)を算出する。具体的には、ステップS30で呼び出した補正幅ΔITprnを、ステップS20で求められていた噴射時期ITpr(Z)に加算して、今回の学習における噴射時期ITpr(Z+1)とし、噴射を実行する。次いで、ECU100は、ステップS36において、r段の噴射を噴射時期ITpr(Z+1)で実行した場合の回転数変動量ΔN(Z+1)を算出した後、ステップS38において、回転数変動量ΔN(Z+1)が、前回の回転数変動量ΔN(Z)より大きいか否かを判別する。
回転数変動量ΔN(Z+1)が前回の回転数変動量ΔN(Z)よりも大きい場合、現在設定されている噴射パターンのr段の噴射においては、噴射時期を遅角側に補正することにより燃焼安定度が悪化していることになる。回転数変動量ΔN(Z+1)が前回の回転数変動量ΔN(Z)よりも小さくなった場合(S38:No)、現在の噴射パターンのr段の噴射において、遅角側に噴射時期を補正することにより燃焼安定度が改善されたことが分かったため、ECU100は、ステップS40において、フラグFLG2prを立てる。
この場合、今回のr段目の噴射においては、補正前の噴射時期ITpr(Z)よりも、補正後の噴射時期ITpr(Z+1)の方が燃焼安定度が改善されたと考えられる。したがって、ECU100は、ステップS42において、記憶部140に記憶された噴射時期補正マップにおける、当該r段目の噴射の学習補正量ITLprnをITLprn(Z)+ΔITprnに更新する。その後、ECU100は、スタートに戻り、上述した各処理ステップを繰り返す。このとき、ステップS24において、更新後の学習補正量ITLprnを用いて燃料噴射制御を実行した場合の回転数変動量ΔN(Z)が閾値ΔN(0)以下になっている場合(S24:No)、その時点で噴射時期学習制御を終了する。一方、ステップS24において、回転数変動量ΔN(Z)が閾値ΔN(0)よりも大きい場合には、さらに噴射時期の学習制御が継続される。
一方、上述のステップS38において、回転数変動量ΔN(Z+1)が、前回の回転数変動量ΔN(Z)よりも大きい場合(S38:Yes)、ECU100は、ステップS44に進み、フラグFLG2prが立っていない状態か否かを判別する。かかるステップS44では、当該r段目の噴射において、遅角側に噴射時期をずらすことによる燃焼安定度の改善が見込まれるか否かが判別される。この時点でフラグFLG2prが立てられていれば(S44:No)、ECU100は、ステップS48に進み、フラグFLGendprnを立てる。この場合、当該r段目の噴射に関して、これ以上の噴射時期の補正を行うことにより燃焼安定度が悪化する状態であるため、当該r段目の噴射(機関回転数Nにおけるp段噴射中のr段目の噴射)の学習制御を終了する。
その後、ECU100は、スタートに戻り、上述した各処理ステップを繰り返す。その際、ステップS26において、未だ学習が完了していない段の噴射が存在する場合(S26:No)、ステップS28において、次に学習を行う段の噴射が決定されて、噴射時期の学習が継続される。
初回の噴射時期の補正時に、ステップS38において、回転数変動量ΔN(Z+1)が、前回の回転数変動量ΔN(Z)よりも大きい場合(S38:Yes)、フラグFLG2prは立っていない状態となる(S44:Yes)。この場合、ECU100は、ステップS46において、フラグFLGprnを立てた後にスタートに戻り、上述した各処理ステップを繰り返す。その際、フラグFLG1prnが立てられていることから(S32:Yes)、噴射時期は進角側(マイナス側)に補正されるようになる。
すなわち、ECU100は、ステップS50において、ステップS30で呼び出した補正幅ΔITprnを、ステップS20で求められた噴射時期ITpr(Z)から減算して、今回の学習における噴射時期ITpr(Z+1)とし、噴射を実行する。次いで、ECU100は、ステップS52において、r段の噴射を噴射時期ITpr(Z+1)で実行した場合の回転数変動量ΔN(Z+1)を算出した後、ステップS54において、回転数変動量ΔN(Z+1)が、前回の回転数変動量ΔN(Z)より大きいか否かを判別する。
回転数変動量ΔN(Z+1)が前回の回転数変動量ΔN(Z)よりも大きい場合(S54:Yes)、現在設定されている噴射パターンのr段の噴射においては、噴射時期を進角側に補正することにより燃焼安定度が悪化していることになる。この場合、遅角側及び進角側ともに、噴射時期を補正することにより燃焼安定度が悪化したことになるため、今回の補正を行う前の噴射時期の補正幅が最適であることが分かる。
したがって、ECU100は、ステップS58に進み、フラグFLGendprnを立てて、今回のr段目の噴射(機関回転数Nにおけるp段噴射のr段目の噴射)についての学習を完了する。その後、ECU100は、スタートに戻り、上述した各処理ステップを繰り返す。その際、ステップS26において、未だ学習が完了していない段の噴射が存在する場合(S26:No)、ステップS28において、次に学習を行う段の噴射が決定されて、噴射時期の学習が継続される。
一方、回転数変動量ΔN(Z+1)が前回の回転数変動量ΔN(Z)よりも小さい場合(S54:No)、進角側に噴射時期を補正することによって燃焼安定度の改善が見られたと考えられる。したがって、ECU100は、ステップS56において、記憶部140に記憶された噴射時期補正マップにおける、当該r段目の噴射の学習補正量ITLprnをITLprn(Z)−ΔITprnに更新する。その後、ECU100は、スタートに戻り、上述した各処理ステップを繰り返す。このとき、ステップS24において、更新後の学習補正量ITLprnを用いて燃料噴射制御を実行した場合の回転数変動量ΔN(Z)が閾値ΔN(0)以下になっている場合(S24:No)、その時点で噴射時期学習制御を終了する。一方、ステップS24において、回転数変動量ΔN(Z)が閾値ΔN(0)よりも大きい場合には、さらに噴射時期の学習制御が継続される。
(噴射時期の学習例)
次に、上述したフローチャートに基づいて実行される噴射時期学習制御による噴射時期の学習例を、図10に基づいて説明する。図10は、ある噴射(機関回転数Nにおけるp段中のq段目の噴射)の噴射時期を補正幅ΔITでずらしながら、燃焼安定度が最適となる学習補正量ITLを学習する様子を模式的に示している。
図10の例においては、学習制御の開始後、1回目の補正時に、遅角側に噴射時期がずらされる。その結果、燃焼安定度は悪化する。したがって、遅角側への噴射時期の補正では、燃焼安定度の改善が見込まれないことが分かる。そのため、2回目の補正時には、進角側に噴射時期がずらされる。これにより、燃焼安定度は改善される。機関回転数Nが変わらない限り、補正幅ΔITは同一の値が用いられる。
さらに、3回目の補正時に、再度進角側に噴射時期がずらされる。かかる補正によっても、燃焼安定度が改善される。4回目の補正時においても再度進角側に噴射時期がずらされ、燃焼安定度はさらに改善される。5回目の補正時においても、再度進角側に噴射時期がずらされる。ただし、5回目の補正後においては、燃焼安定度が悪化する。このため、この噴射については、4回目の補正時の噴射時期において、燃焼安定度が最適となることが分かる。したがって、4回目の補正までの補正幅(ΔIT×3)が噴射時期の学習補正量ITLとされて、噴射時期補正マップが更新される。
以上説明したように、本実施形態によれば、燃焼安定度が低下した場合に、優先度の高い段の噴射の噴射時期ITpqnが、機関回転数Nに応じた補正幅ΔITpqnで補正されつつ、燃焼安定度が改善されたときには、当該噴射の学習補正量ITLpqnが更新される。本実施形態では、すべての噴射パターンの各段の噴射に対して、最適な噴射時期の学習が可能となり、噴射時期の補正のみによる燃焼安定度の改善可能幅が大きくなっている。また、本実施形態によれば、噴射時期の最適な補正量ITLが、機関回転数Nによる筒内流動、及び噴射から点火までの時間そのものが異なることに起因して変化した場合にも、それぞれの機関回転数Nの領域で噴射時期を補正することができる。したがって、機関回転数Nの領域ごとの噴射時期ITpqnの最適な補正量ITLpqnの違いを考慮することができ、噴射時期の補正による燃焼安定度の改善幅が広くなるとともに、当該改善幅を高く保つことが可能となる。
一般的に、燃焼室12内での混合気の形成が意図したもので無くなった場合、燃焼安定度の悪化によりトルクが低下し、結果的にそれを補うために空気量自体が増加するため、燃費が悪化する。また、燃焼安定度の悪化を燃料噴射量で補正した場合、燃費やエミッションの悪化が生ずる。さらに、燃焼安定度の悪化は、エミッションの悪化や、振騒面での悪化等を招く。筒内噴射式の内燃機関では、燃料噴射の多段化がしばしば要求されるが、本実施形態によれば、意図した混合気が形成されるために、それぞれの内燃機関に適した噴射時期に各噴射時期が補正されることで、燃焼効率が改善され、燃費、エミッション、振騒、機能面に対して跳ね返りを抑制しつつ改善されることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記の実施形態では、1回の補正により燃焼安定度が改善されるごとに学習補正量が更新されていたが、燃焼安定度が改善される複数回の補正幅の和を求めた上で、学習補正量が更新されてもよい。また、上記の実施形態では、燃焼安定度としての回転数変動量を閾値と比較することにより燃焼安定性の低下が判断されていたが、内燃機関の運転状態が同じ条件下において、他の気筒における同じ噴射を実行したときの回転数変動量と比較することによって燃焼安定性を判定してもよい。
また、上記実施形態においては、機関回転数N及び噴射の段(p段噴射のq段目)に応じて、噴射時期の補正量が学習される例を説明したが、機関回転数N及び噴射の段と併せて、点火時期における混合気の分布に関連する要因を考慮して、補正量が学習されるようになっていてもよい。例えば、燃焼室12内にタンブル流を形成しやすくするために吸気ポートに設けられるTGV(Tamble Generation Valve)の開閉や、あるいは、排気の一部を吸気側に還流させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)装置のバルブ開度やEGR流量ごとに、機関回転数N及び噴射の段(p段噴射のq段目)に応じて、噴射時期の補正量が学習されるようにしてもよい。
10 内燃機関
11 シリンダ
12 燃焼室
14 ピストン
16 吸気通路
18 排気通路
22 吸気弁
24 排気弁
30 燃料噴射弁
32 点火プラグ
52 水温センサ
54 燃圧センサ
56 エアフローメータ
58 圧力センサ
60 クランク角センサ
62 アクセルセンサ
100 ECU(噴射時期学習制御装置)
110 運転状態検出部
120 噴射条件設定部
130 燃料噴射制御部
140 記憶部
150 燃焼安定度判定部
160 補正量学習部

Claims (8)

  1. 点火プラグが設けられた燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関への燃料噴射時期の学習制御を行う噴射時期学習制御装置において、
    前記内燃機関の運転状態に応じた噴射段数及び噴射時期のデータマップを記憶する記憶部と、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部と、
    検出された前記運転状態に応じて前記データマップに基づき噴射段数及び噴射時期を設定する噴射条件設定部と、
    前記内燃機関の燃焼安定度を判定する燃焼安定度判定部と、
    前記燃焼安定度が低下している場合に、優先度の高い段の噴射の噴射時期を前記内燃機関の回転数に応じた補正幅で補正するとともに、前記噴射時期の補正後の前記燃焼安定度が改善されたか否かを判定し、前記燃焼安定度が改善される学習補正量を前記記憶部に記憶する補正量学習部と、
    を備える、噴射時期学習制御装置。
  2. 前記補正量学習部は、優先度の高い所定段の噴射の前記学習補正量の学習が終了した後においても前記燃焼安定度が所定の閾値未満の場合に、学習が終了していない段の噴射の前記学習補正量を学習する、請求項1に記載の噴射時期学習制御装置。
  3. 前記学習が終了していない段の噴射のうち、次に優先度の高い段の噴射の前記学習補正量を学習する、請求項2に記載の噴射時期学習制御装置。
  4. 前記補正量学習部は、前記内燃機関の回転数及び噴射の段に応じて前記補正幅を変え、前記内燃機関の回転数が大きいほど前記補正幅を小さくする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の噴射時期学習制御装置。
  5. 前記補正量学習部は、所定の段の噴射について、前記補正幅での前記噴射時期の補正を繰り返し、前記燃焼安定度が改善傾向から悪化傾向に転じた場合に、当該段の噴射についての学習を終了する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の噴射時期学習制御装置。
  6. 前記補正量学習部は、前記学習補正量の学習中に前記運転状態が変化した場合には、前記学習補正量の学習を終了する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の噴射時期学習制御装置。
  7. 前記燃焼安定度判定部は、前記内燃機関の回転数変動に基づいて前記燃焼安定度を判定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の噴射時期学習制御装置。
  8. 点火プラグが設けられた燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関への燃料噴射時期の学習制御を行う噴射時期学習制御方法において、
    前記内燃機関の運転状態に応じて噴射段数及び噴射時期を設定して燃料噴射を行うステップと、
    前記内燃機関の燃焼安定度を判定するステップと、
    前記燃焼安定度が低下している場合に、優先度の高い段の噴射の噴射時期を前記内燃機関の回転数に応じた補正幅で補正するとともに、前記噴射時期の補正後の前記燃焼安定度が改善されたか否かを判定し、前記燃焼安定度が改善される学習補正量を求めるステップと、
    を備える、噴射時期学習制御方法。
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