JP2007077886A - 内燃機関のアイドル回転数制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アイドル時に回転数を低下させる場合、メイン噴射から順に下限噴射量に達するまで燃料噴射量を減らし、全ての燃料噴射の燃料噴射量が下限噴射量まで達したときは、遅角側のポスト噴射Cから順に下限噴射量を下回って燃料噴射量を減らしていく。
【選択図】 図7
Description
このポスト噴射はメイン噴射または、直前のポスト噴射の燃焼によって燃焼安定性が保たれている。
このように多段噴射を行う内燃機関は、通常走行時はメイン噴射及びポスト噴射の各燃料噴射量はエンジン回転数とアクセル開度等から決定される規定噴射量であるが、アイドル運転時では内燃機関の回転数を目標回転数とするための回転数フィードバック制御を行う。当該フィードバック制御は、従来はトルクへの寄与が大きいメイン噴射の燃料噴射量を増減させることで行っていた。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、多段噴射内燃機関のアイドル時の回転数制御において、回転安定性を向上させトルク変動を抑制することができる上、排気温度を高温に保つことができ、且つ未燃燃料の排出を抑制し排ガス及び燃費の悪化も抑制することができる内燃機関のアイドル回転数制御装置を提供することにある。
請求項3の内燃機関のアイドル回転数制御装置では、請求項1または2において、前記アイドル回転数制御手段は、前記燃料噴射の各燃料噴射時期を固定することを特徴としている。
請求項4の内燃機関のアイドル回転数制御装置では、請求項1または2において、前記アイドル回転数制御手段は前記燃料噴射の各燃料噴射間隔を固定することを特徴としている。
請求項2の内燃機関のアイドル回転数制御装置によれば、アイドル時に全ての燃料噴射の燃料噴射量が下限噴射量に達してしまっても、最も遅角側の燃料噴射の燃料噴射量を下限噴射量を下回って減量させることで、燃焼安定性の悪化を抑制しながら実回転数をさらに低下させることができる。
請求項4の内燃機関のアイドル回転数制御装置によれば、アイドル時に燃料噴射間隔を固定して、燃料噴射量のみを調節して回転数を制御するため、トルクに寄与し得る最初の燃料噴射時期が変化した場合でも、それ以降の燃料噴射の時期の変更が容易な制御とすることができる。
図1を参照すると本発明に係る内燃機関のアイドル回転数制御装置の概略構成図が示されており、図2を参照すると本発明に係る内燃機関のアイドル回転数制御装置の通常運転時における燃料噴射タイミングチャートが示されている。
図1に示すように、エンジン1(内燃機関)はコモンレール式ディーゼルエンジンであり、詳しくは、コモンレールに蓄圧された高圧燃料を各気筒の燃料噴射弁2(燃料噴射手段)に供給し、任意の噴射時期及び噴射量で当該燃料噴射弁2から各気筒の燃焼室4内に噴射可能な構成を成している。
また、燃焼室4には吸気通路20と排気通路22とが連通されている。
吸気通路20には、燃焼室4と吸気通路20の連通と遮断を行う吸気弁24が設けられており、排気通路22には、燃焼室4と排気通路18との連通と遮断を行う排気弁26が設けられている。
例えばECU30はエンジン1の通常走行時では、エンジン回転数やアクセル開度に基づいて、燃料噴射量を設定し燃料噴射弁2を制御する。本実施形態では、図2に示すように、膨張行程の上死点(TDC)直後に噴射するメイン噴射、当該メイン噴射の後に追加燃料を噴射する3回のポスト噴射A、B、C、及びメイン噴射の前に噴射するパイロット噴射の多段噴射を行うものとする。なお、各ポスト噴射A、B、Cの燃料噴射時期は固定されており、燃料噴射量は予め規定噴射量が設定されている。また、パイロット噴射はトルクに寄与しないものとする。
詳しくは、図3を参照すると、本発明に係る内燃機関のアイドル回転数制御装置のECU30のアイドル回転数制御部30aの内部構成がブロック図で示されており、以下同図に基づきアイドル回転数制御部30aの入出力関係について説明する。
また、エアコン等の外部負荷機器28の負荷データや冷却水温度センサ18より検出される冷却水温度データが目標回転数設定部34に入力され、当該目標回転数設定部34において負荷データや冷却水温度データに応じた目標回転数が設定される。
一方、冷却水温度センサ18により検出される冷却水温度データは下限噴射量設定部34(下限噴射量設定手段)にも入力され、当該下限噴射量設定部38では冷却水温度に応じメイン噴射及びポスト噴射において次噴射が安定して燃焼する最低限の燃料噴射量である下限噴射量がそれぞれ設定される。
続いて、この燃料噴射状況判定部40での判定結果が燃料噴射量設定部42に入力され、当該燃料噴射量設定部42では判定結果に基づきメイン噴射及び各ポスト噴射のトルクへの寄与率に応じた燃料噴射量が設定される。
以下このように構成された本発明に係る内燃機関のアイドル回転数制御装置の作用について説明する。
図4乃至図6には本発明の内燃機関のアイドル回転数制御装置により実行されるアイドル回転数制御ルーチンがフローチャートで示されており、図7には本発明に係る内燃機関のアイドル回転数制御装置の各状況における燃料噴射タイミングチャートが示されており、以下同フローチャート及びタイミングチャートに基づき説明する。
続いてステップS2では、上記目標回転数設定部34において目標回転数を設定する。
次のステップS3では、上記下限噴射量設定部38においてメイン噴射及びポスト噴射A、Bの下限噴射量をそれぞれ設定する。
ステップS10では、燃料噴射状況判定部40においてメイン噴射の燃料噴射量がステップS3で設定されたメイン噴射の下限噴射量より大であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合は、ステップS11に進む。
一方、ステップS10の判別結果が偽(No)である場合、即ちメイン噴射の燃料噴射量が下限噴射量以下である場合はステップS12に進む。
ステップS13では、図7(b)の実線矢印で示すように、ポスト噴射Aのトルクへの寄与率に応じて燃料噴射量の減少量を下限噴射量より大の範囲で算出し、当該減少量分ポスト噴射Aの燃料噴射量を減少させた燃料噴射量を設定する。
ステップS14では、ポスト噴射Aの次に噴射されるポスト噴射Bの燃料噴射量がポスト噴射Bの下限噴射量より大であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合は、ステップS15に進む。
一方、ステップS14の判別結果が偽(No)である場合、即ちポスト噴射Bの燃料噴射量が下限噴射量以下である場合はステップS16に進む。
ステップS17では、図7(d)の実線矢印で示すように、ポスト噴射Cのトルクの寄与率に応じた燃料噴射量の減少量を算出し、当該減少量分ポスト噴射Cの燃料噴射量を減少させた燃料噴射量を設定する。
ステップS18では、ポスト噴射Bの燃料噴射量が0より大であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合、即ち燃料噴射量が0より大であり、上記ステップS14の判別結果から下限噴射量以下のポスト噴射Bが実施されているような場合は、ステップS19に進む。
一方、ステップS18の判別結果が偽(No)である場合、即ちポスト噴射Bの燃料噴射量が0、つまりポスト噴射Bが実施されていない場合はステップS20に進む。
ステップS21では、図7(f)の実線矢印で示すように、ポスト噴射Aのトルクの寄与率に応じた燃料噴射量の減少量を算出し、当該減少量分ポスト噴射Aの燃料噴射量を減少させた燃料噴射量を設定する。
ステップS22では、図7(g)の実線矢印で示すように、メイン噴射のトルクの寄与率に応じた燃料噴射量の減少量を算出し、当該減少量分メイン噴射の燃料噴射量を減少させた燃料噴射量を設定する。
また、上記ステップS4の判別結果が真(Yes)である場合、即ち実回転数が目標回転数未満であり、実回転数を増加させる制御を行う場合はステップS30に進む。
ステップS31では、図7(g)の鎖線矢印で示すように、上記燃料噴射量設定部42において、メイン噴射のトルクへの寄与率に応じた燃料噴射量の増加量を下限噴射量より小の範囲で算出し、当該増加量分メイン噴射の燃料噴射量を増加させた燃料噴射量を設定する。
ステップS32では、ポスト噴射Aの燃料噴射量がポスト噴射Aの下限噴射量より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合は、ステップS33に進む。
ステップS33では、図7(f)の鎖線矢印で示すように、ポスト噴射Aのトルクへの寄与率に応じた燃料噴射量の増加量を下限噴射量より小の範囲で算出し、当該増加量分ポスト噴射Aの燃料噴射量を増加させた燃料噴射量を設定する。
ステップS34では、ポスト噴射Bの燃料噴射量がポスト噴射Bの下限噴射量より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合は、ステップS35に進む。
ステップS35では、図7(e)の鎖線矢印で示すように、ポスト噴射Bのトルクへの寄与率に応じた燃料噴射量の増加量を下限噴射量より小の範囲で算出し、当該増加量分ポスト噴射Bの燃料噴射量を増加させた燃料噴射量を設定する。
ステップS36では、ポスト噴射Cの燃料噴射量がポスト噴射Cの予め設定されている規定噴射量より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合は、ステップS37に進む。
一方、ステップS36の判別結果が偽(No)である場合は、即ちポスト噴射Cの燃料噴射量が規定噴射量である場合はステップS38に進む。
ステップS39では、図7(c)の鎖線矢印で示すように、ポスト噴射Bのトルクへの寄与率に応じた燃料噴射量の増加量を算出し、当該増加量分ポスト噴射Bの燃料噴射量を増加させた燃料噴射量を設定する。
ステップS40では、ポスト噴射Aの燃料噴射量がポスト噴射Aの規定噴射量より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合は、ステップS41に進む。
ステップS41では、図7(b)の鎖線矢印で示すように、ポスト噴射Aのトルクへの寄与率に応じた燃料噴射量の増加量を算出し、当該増加量分ポスト噴射Aの燃料噴射量を増加させた燃料噴射量を設定する。
ステップS42では、図7(a)の鎖線矢印で示すように、メイン噴射のトルクの寄与率に応じた燃料噴射量の増加量を算出し、当該増加量分メイン噴射の燃料噴射量を増加させた燃料噴射量を設定する。
なお、上記アイドル回転数制御では燃料噴射時期は全て固定されている。
このように、2回以上の燃料噴射を行う多段噴射を行うエンジン1でのアイドル時の回転数制御において、実回転数が目標回転数よりも高く実回転数を低下させる場合には、まずはトルクへの寄与が最も大きいメイン噴射の燃料噴射量を下限噴射量よりも大の範囲で減少させ、トルクを低下させて実回転数を低下させる。そして、メイン噴射の燃料噴射量が下限噴射量に達しても、実回転数を低下させる必要がある場合は、ポスト噴射A、ポスト噴射B、ポスト噴射Cの順、即ちトルクの寄与が大きい順、つまり進角側のポスト噴射から、燃料噴射量を下限噴射量以上の範囲で減少させていくことで、実回転数を低下させる。
一方、実回転数が目標回転数よりも低く実回転数を増加させる場合には、実回転数を低下させる流れを戻るようにして、まずはトルクの寄与が大きい進角側の燃料噴射から下限噴射量を確保していく。
以上のように、各燃料噴射において次の燃料噴射で噴射される燃料が安定して燃焼するために最低限必要な下限噴射量を設定してアイドル時の回転数制御を行うことで、無駄な燃料を噴射せずに各燃料噴射の燃焼安定性を確保して回転数を調節することができる。
さらに、燃料噴射時期は固定されているため容易にアイドル回転数制御を行うことができる。
このように、本発明に係る内燃機関のアイドル回転数制御装置は、アイドル時の回転数制御における回転安定性を向上させトルク変動を抑制することができる上、排気温度を高温に保つことができ、且つ未燃燃料の排出を抑制し排ガス及び燃費の悪化も抑制することができる。
例えば、上記実施形態では、エンジン1はコモンレール式ディーゼルエンジンであるが、燃焼室内に燃料を直接噴射することができ、多段噴射を行うことができる内燃機関であればガソリンエンジンであっても構わない。
また、上記実施形態では、ポスト噴射を3回行っているが、当該ポスト噴射の回数に制限はない。
また、上記実施形態では、メイン噴射の前にパイロット噴射を行っているが、当該パイロット噴射を行わなくても構わない。
また、上記実施形態では、目標回転数はエアコン等の外部負荷及び冷却水温度に応じて、下限噴射量は冷却水温度に応じて設定されているが、その他の要素に応じて設定しても構わない。
2 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
14 クランク角センサ
16 冷却水通路
18 冷却水温度センサ
28 外部負荷機器
30 ECU
30a アイドル回転数制御部(アイドル回転数制御手段)
32 実回転数算出部
34 目標回転数設定部
36 回転数比較部
38 下限噴射量設定部(下限噴射量設定手段)
40 燃料噴射状況判定部
42 燃料噴射量設定部
Claims (4)
- 燃焼室内に直接燃料を噴射可能な燃料噴射手段により、トルクに寄与し得る燃料噴射を2回以上行う内燃機関であって、
前記燃料噴射手段により噴射される前記各燃料噴射について、次の燃料噴射で噴射される燃料が安定して燃焼するために最低限必要な燃料噴射量を設定する下限噴射量設定手段と、
前記内燃機関のアイドル時に、前記内燃機関の実回転数が目標回転数となるようにフィードバック制御するアイドル回転数制御手段とを備え、
前記アイドル回転数制御手段は、前記目標回転数とするために前記実回転数を低下させる場合、
燃料噴射量が前記下限噴射量設定手段により設定される下限噴射量より大である前記燃料噴射のうちトルクへの寄与が最も大きい進角側の燃料噴射から下限噴射量以上の範囲で燃料噴射量を減らして実回転数を低下させることを特徴とする内燃機関のアイドル回転数制御装置。 - 前記アイドル回転数制御手段は、前記目標回転数とするために前記実回転数を低下させる場合に、前記燃料噴射の全ての燃料噴射量が前記下限噴射量に達しているときには、
該燃料噴射のうち最も遅角側の燃料噴射から燃料噴射量を減量させて実回転数を低下させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のアイドル回転数制御装置。 - 前記アイドル回転数制御手段は、前記燃料噴射の各燃料噴射時期を固定することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関のアイドル回転数制御装置。
- 前記アイドル回転数制御手段は前記燃料噴射の各燃料噴射間隔を固定することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関のアイドル回転数制御装置。
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