JP2016141744A - 波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置 - Google Patents

波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016141744A
JP2016141744A JP2015018862A JP2015018862A JP2016141744A JP 2016141744 A JP2016141744 A JP 2016141744A JP 2015018862 A JP2015018862 A JP 2015018862A JP 2015018862 A JP2015018862 A JP 2015018862A JP 2016141744 A JP2016141744 A JP 2016141744A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wavelength conversion
light
film
composition
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015018862A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6224016B2 (ja
Inventor
翔 筑紫
Sho Tsukushi
翔 筑紫
達也 大場
Tatsuya Oba
達也 大場
直良 山田
Naoyoshi Yamada
直良 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2015018862A priority Critical patent/JP6224016B2/ja
Publication of JP2016141744A publication Critical patent/JP2016141744A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6224016B2 publication Critical patent/JP6224016B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Planar Illumination Modules (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)
  • Led Device Packages (AREA)

Abstract

【課題】配位子が配位した量子ドットを含有する波長変換層用組成物であって、重合反応率が高く、硬化性が良い波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】励起光により励起されて蛍光を発光する量子ドットと、量子ドットの表面に配位した、ルイス塩基性の配位性基を有する配位子と、アニオン重合性化合物と、アニオン重合開始剤と、を含む波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット及び液晶表示装置とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(Liquid Crystal Display(略してLCDとも記載される。))などのフラットパネルディスプレイは、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。液晶表示装置は、少なくともバックライトと液晶セルとから構成され、通常、更に、バックライト側偏光板、視認側偏光板などの部材が含まれる。
近年、LCDの色再現性の向上を目的として、バックライトユニットの波長変換部材に、量子ドット(Quantum Dot、QD、または量子点とも呼ばれる。)を発光材料として含んだ波長変換層を備えた構成が注目されている。波長変換部材は、光源から入射された光の波長を変換して白色光として出射させる部材であり、量子ドットを発光材料として含んだ波長変換層では、発光特性の異なる2種又は3種の量子ドットが光源から入射された光により励起されて発光する蛍光を利用して白色光を具現化することができる。
量子ドットによる蛍光は高輝度であり、しかも半値幅が小さいため、量子ドットを用いたLCDは色再現性に優れる。このような量子ドットを用いた3波長光源化技術の進行により、LCDの色再現域は、現行のTV規格(FHD(Full High Density)、NTSC(National Television System Committee)比72%から100%へと拡大している。
量子ドットを含む波長変換層として、例えば、特許文献1に、量子ドットをエポキシ樹脂中に分散させた波長変換層が開示されている。エポキシ樹脂は、エポキシモノマーとアミンの二液混合の付加重合で硬化させたものである。エポキシ樹脂は、酸素透過率が低く、量子ドットの酸素との副反応を防止することができるため、好ましい材料である。また、特許文献2には、蛍光体とエポキシとアルコキシシラン化合物とを含む蛍光樹脂組成物が開示されている。エポキシを硬化させる硬化促進剤としてアミン類およびその塩が記載されている。また、重合開始剤の活性種は、ラジカル、カチオン、およびアニオンのうちいずれでもよいことが記載されている。
一方、量子ドットは組成物中または組成物を硬化した樹脂中で凝集を起こしやすく、発光効率の低下を招く。このため、量子ドットの表面に、分散性を良くするための配位子を配位させることにより、組成物中または樹脂中での量子ドットの分散性を向上させている。
特表2013−544018号公報 特開2010−229216号公報
しかしながら、エポキシモノマーとアミンの付加重合では等モル量を均一に混合することが難しく、未反応モノマーの残留によって波長変換層の強度等物性が低下する懸念がある。
一方、配位子を配位させた量子ドットと重合性化合物と重合開始剤とを含む組成物を塗膜形成した後、カチオン重合により硬化させたところ、硬化が充分に進んでいない場合があった。このような未硬化物を含む波長変換部材を組み込んだ表示装置では、輝度が低いという問題があった。これは、未硬化物が多いと酸素を取り込みやすいためと考えられる。
本発明者らの鋭意検討の結果、配位子に対するカチオン重合開始剤のモル比と重合反応率との間に高い相関関係があることが分かった。特に、定量的な反応では、配位子に対して約2倍モル当量以上の重合開始剤が必要であった。このことから、重合開始剤の活性種が重合反応に使用されず、量子ドットから剥がれた配位子との反応に使用されることにより、重合が阻害されているとの見解に至った。そこで、解決方法として、重合開始剤の量を多くすることが考えられる。しかし、重合開始剤の量を多くすれば重合反応率は高くなるが、波長変換層の強度および酸素透過率等の物性が悪化することが懸念される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、配位子が配位した量子ドットを含有する組成物であって、重合反応率が高く、硬化性が良い波長変換層用組成物を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、重合反応率が高く、硬化性が良い波長変換層用組成物を硬化してなる波長変換層を備えた波長変換部材、その波長変換部材を備えた輝度が高いバックライトユニット、および液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の波長変換層用組成物は、
励起光により励起されて蛍光を発光する量子ドットと、
量子ドットの表面に配位した、ルイス塩基性の配位性基を有する配位子と、
アニオン重合性化合物と、
アニオン重合開始剤と、を含むものである。
配位子は、ホスフィン化合物、アミン化合物およびチオール化合物であることが好ましい。
アニオン重合開始剤から発生する塩基は、アミン、イミダゾール、アミジン、またはグアニジンであることが好ましい。
アニオン重合性化合物は、エポキシ基およびオキセタニル基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましい。
アニオン重合開始剤は、シクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウムn−ブチルトリフェニルボレート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7とオクチル酸との塩であることが好ましい。
アニオン重合開始剤の添加量は、アニオン重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、本発明の波長変換層用組成物を硬化させてなるものである。
本発明のバックライトユニットは、
一次光を出射する光源と、
光源上に備えられた本発明の波長変換部材と、
波長変換部材を挟んで光源と対向配置される再帰反射性部材と、
光源を挟んで波長変換部材と対向配置される反射板と、を備えたバックライトユニットであって、
波長変換部材は、光源から出射された一次光の少なくとも一部を励起光として蛍光を発光し、蛍光からなる二次光を含む光を少なくとも出射するものである。
本発明の液晶表示装置は、本発明のバックライトユニットと、
バックライトユニットの再帰反射性部材側に対向配置された液晶セルと、を少なくとも備えるものである。
本発明の波長変換層用組成物は、励起光により励起されて蛍光を発光する量子ドットと、量子ドットの表面に配位した、ルイス塩基性の配位性基を有する配位子と、アニオン重合性化合物と、アニオン重合開始剤と、を含むものである。かかる構成を有することにより、アニオン重合開始剤から発生する活性種が、配位子の配位性基と同じ塩基性であることにより、活性種を失活させることなく重合反応が良好に進行するため、重合反応率が高く、硬化性が良い。
また、本発明のバックライトユニットおよび液晶表示装置は、充分に硬化された波長変換部材を備えているため、未硬化部分が酸素を取り込むことを防止することができるので、輝度が高い。
本発明の一実施形態である波長変換部材を示す概略構成断面である。 波長変換部材の製造装置の一例を示す概略構成図である。 図2に示す製造装置の部分拡大図である。 本発明の一実施形態である波長変換部材を備えたバックライトユニットの概略構成断面図である。 本発明のバックライトユニットを備えた液晶表示装置を示す概略構成断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において、ピークの「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。また、430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を青色光と呼び、520〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を緑色光と呼び、600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を赤色光と呼ぶ。また、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の一方、または両方を意味する。
[波長変換層用組成物]
以下、波長変換層用組成物の詳細について説明する。
(量子ドット)
量子ドットは、励起光により励起されて蛍光を発光する。波長変換層用組成物は、量子ドットとして発光特性の異なる二種以上の量子ドットを含有してもよい。励起光として青色光を用いた場合には、波長変換層用組成物は、青色光Lにより励起されて蛍光(赤色光)Lを発光する量子ドット、および青色光Lにより励起されて蛍光(緑色光)Lを発光する量子ドットを含有することができる。
また、励起光として紫外光を用いた場合は、波長変換層用組成物は、紫外光LUVにより励起されて蛍光(赤色光)Lを発光する量子ドット、紫外光LUVにより励起されて蛍光(緑色光)Lを発光する量子ドット、および紫外光LUVにより励起されて蛍光(青色光)Lを発光する量子ドットを含有することができる。
赤色光Lを発光する量子ドットとしては、600〜680nmの波長範囲に発光中心波長を有するものを挙げることができる。緑色光Lを発光する量子ドットとしては、520〜560nmの波長範囲に発光中心波長を有するものを挙げることができる。青色光Lを発光する量子ドットとしては、430〜480nmの波長範囲に発光中心波長を有するものを挙げることができる。
量子ドットについては、例えば特開2012−169271号公報の段落0060〜0066を参照することができるが、この公報に記載のものに限定されるものではない。
量子ドットとしては、例えば、コアーシェル型の半導体ナノ粒子が、耐久性を向上する観点から好ましい。コアとしては、II−VI族半導体ナノ粒子、III−V族半導体ナノ粒子、及び多元系半導体ナノ粒子等を用いることができる。具体的には、CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、InAs、InGaP等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、CdSe、CdTe、InP、InGaPが、高効率で可視光を発光する観点から、好ましい。シェルとしては、CdS、ZnS、ZnO、GaAs、およびこれらの複合体を用いることができるが、これらに限定されない。量子ドットの発光波長は、通常、粒子の組成およびサイズにより調整することができる。
−配位子および配位性基−
本発明にかかる配位子は、量子ドットの表面に配位するルイス塩基性の配位性基を有するものである。ルイス塩基性の配位性基としては、アミノ基、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、等を挙げることができる。配位子としては、ホスフィン化合物、アミン化合物およびチオール化合物を挙げることができる。具体的には、ヘキシルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン(HDA)、オクタデシルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、3−メルカプトプロピオン酸等を挙げることができる。なかでも、ヘキサデシルアミン、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシドが好ましく、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシドが特に好ましい。
これらの配位子が配位した量子ドットは、公知の合成方法によって作製することができる。例えば、C.B.Murray,D.J.Norris、M.G.Bawendi,Journal Amarican Chemical Society,1993,115(19),pp8706−8715、またはThe Journal Physical Chemistry,101,pp9463−9475,1997に記載された方法によって合成することができる。また、配位子が配位した量子ドットは、市販のものを何ら制限無く用いることができる。例えば、LumidotTM(シグマアルドリッチ社製)を挙げることができる。
波長変換層用組成物において、配位子が配位した量子ドットの含有量は、波長変換層用組成物に含まれるアニオン重合性化合物の全質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
本発明の量子ドットは、上記波長変換層用組成物に粒子の状態で添加してもよく、溶媒に分散した分散液の状態で添加してもよい。分散液の状態で添加することが量子ドットの粒子の凝集を抑制する観点から好ましい。
(アニオン重合性化合物)
アニオン重合性化合物は、エポキシ基およびオキセタニル基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物、アクリル化合物、またはビニル化合物を用いることができる。より好ましくは、エポキシ基およびオキセタニル基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物である。以下に具体例を挙げる。
−エポキシ基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物−
エポキシ基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシシクロアルカンを含む化合物等が本発明に好適に用いられる。
エポキシ基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物として好適に使用できる市販品としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、エポキシ基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物の製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II,213〜,平成4年,Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons, An Interscience Publication,New York,1985、吉村,接着,29巻12号,32,1985、吉村,接着,30巻5号,42,1986、吉村,接着,30巻7号,42,1986、特開平11−100378号公報、特許第2906245号公報、特許第2926262号公報などの文献を参考にして合成できる。
−−脂環式エポキシ化合物−−
アニオン重合性化合物は、脂環式エポキシ化合物であってもよい。脂環式エポキシ化合物は、一種のみであってもよく、構造の異なる二種以上であってもよい。なお以下において、脂環式エポキシ化合物に関する含有量とは、構造の異なる二種以上の脂環式エポキシ化合物を用いる場合には、これらの合計含有量をいうものとする。この点は、他の成分についても、構造の異なる二種以上を用いる場合には同様とする。先に記載した通り、脂環式エポキシ化合物は、脂肪族エポキシ化合物と比べて光照射による硬化性が良好である。光硬化性に優れる重合性化合物を用いることは、生産性を向上させることに加え、光照射側と非照射側とで均一な物性を有する層を形成できる点でも有利である。これにより、波長変換層のカールの抑制や均一な品質の波長変換部材の提供も可能となる。なおエポキシ化合物は、一般に、光硬化時の硬化収縮が少ない傾向もある。この点は、変形が少なく平滑な波長変換層を形成する上で有利である。
脂環式エポキシ化合物は、少なくとも1つの脂環式エポキシ基を有する。ここで脂環式エポキシ基とは、エポキシ環と飽和炭化水素環との縮環を有する1価の置換基をいい、好ましくはエポキシ環とシクロアルカン環との縮環を有する1価の置換基である。より好ましい脂環式エポキシ化合物としては、エポキシ環とシクロヘキサン環が縮環した下記構造を1分子中に1つ以上有するものを挙げることができる。
上記構造は、1分子中に2つ以上含まれていてもよく、好ましくは1分子中に1つまたは2つ含まれる。また、上記構造は、1つ以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができる。アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基を挙げることができる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子を挙げることができる。
また、脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基以外の重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基とは、ラジカル重合、またはアニオン重合によって重合反応を起こすことができる官能基を指し、例えば(メタ)アクリロイル基を挙げることができる。
脂環式エポキシ化合物として好適に使用できる市販品としては、株式会社ダイセルのセロキサイド2000、セロキサイド2021P、セロキサイド3000、セロキサイド8000、サイクロマーM100、エポリードGT301、エポリードGT401、シグマアルドリッチ社製の4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、日本テルペン化学(株)のD−リモネンオキサイド、新日本理化(株)のサンソサイザーE−PS等を挙げることができる。これらは、一種単独で、または二種以上組み合わせて用いることができる。中でも、波長変換層と隣接する層との密着性向上の観点からは、下記の脂環式エポキシ化合物AまたはBが特に好ましい。脂環式エポキシ化合物Aは、市販品としては株式会社ダイセルのセロキサイド2021Pとして入手することができる。脂環式エポキシ化合物Bは、市販品としては株式会社ダイセルのサイクロマーM100として入手することができる。
「サイクロマー」は、株式会社ダイセルの登録商標である。サンソサイザーの新日本理化(株)の登録商標である。
また、脂環式エポキシ化合物は、公知の合成方法により製造することもできる。その合成方法は上記のエポキシ化合物の場合と同じ文献を参考にして合成することができる。
−オキセタニル基を有する化合物−
4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン等のキシリレンジオキセタン、3−エチル−3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、3−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、またはオキセタン化フェノールノボラック等が挙げられる。市販のものでは、3−エチル−3−オキセタンメタノール(TMPO、東京化成工業(株))、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名「OXT−221」、東亜合成(株))が挙げられる。
−アクリル化合物−
アニオン重合性化合物は、アクリル化合物であってもよい。単官能又は多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、重合性を有していれば、モノマーのプレポリマーやポリマーであってもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの一方、または両方を意味する。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸、それらの誘導体、より詳しくは、(メタ)アクリル酸の重合性不飽和結合((メタ)アクリロイル基)を分子内に1個有するモノマーを挙げることができる。具体例として、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜30であるアルキル(メタ)アクリレート、および2−シアノアクリレート類等を挙げることができる。
2官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、およびジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
3官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、およびPO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
なかでも、下記一般式Cで表される2−シアノアクリレート類がより好ましい。
Rは、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状または分枝状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、およびイソヘキシルが挙げられる。)、炭素数5〜10の環状脂肪族基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペプチル、およびアダマンチルが挙げられる。)、または炭素数6〜20芳香族基(例えば、フェニル、ベンジル、およびナフチルが挙げられる。)である。Rは、さらに、ハロゲン原子、エーテル結合、ヒドロキシ基、アミド基、およびエステル基の少なくとも1種を有してもよい。
−ビニル化合物−
アニオン重合性化合物は、ビニル化合物であってもよい。ビニル化合物としては、シアン化ビニリデン、ニトロエチレンを挙げることができる。
また、波長変換層用組成物中のアニオン重合性化合物の総量は、硬化性の維持や組成物の取扱いの観点から波長変換層用組成物100質量部に対して、50〜99質量部であることが好ましく、70〜97質量部であることがより好ましい。
(アニオン重合開始剤)
アニオン重合開始剤については、特に限定されるものではなく、従来公知の光塩基発生剤を使用することができる。例えば、光分解性を示すカルバメート誘導体、アミド誘導体、カルボン酸塩類、ボレート塩類などが挙げられる。発生塩基は、一級アミン、二級アミン、三級アミン、イミダゾール類、アミジン類、またはグアニジン類などが挙げられ、好ましくは、三級アミン、イミダゾール類、アミジン類、グアニジン類などの強塩基である。より好ましくは、アミジンやグアニジンなどの超強塩基である。これらの化合物は反応性が高く、重合速度の観点から好ましい。
アミンとして下記一般式Dで表される化合物が好ましい。
、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12の直鎖状または分枝状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、および2−エチルヘキシルが挙げられる。)、炭素数5〜10の環状脂肪族基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペプチル、およびアダマンチルが挙げられる。)、炭素数6〜20芳香族基(例えば、フェニル、ベンジル、およびナフチルが挙げられる。)を表す。さらに、ハロゲン原子、エーテル結合、ヒドロキシ基、アミド基、エステル基を有してもよい。
また、アミンは、RとRが互いに結合した環状構造であってもよい。例えば、下記一般式(D−1)および(D−2)で表される化合物を挙げることができる。
イミダゾールとしては、下記一般式Eで表される化合物を挙げることができる。
、R、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の直鎖状または分枝状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、2−エチルヘキシル)、炭素数5〜10の環状脂肪族基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペプチル、アダマンチル)、炭素数6〜20芳香族基(例えば、フェニル、ベンジル、ナフチル)を表す。さらに、各々の基にハロゲン原子、エーテル結合、ヒドロキシ基、アミド基、エステル基を有してもよい。
アミジンとして、下記一般式Fで表される化合物を挙げることができる。
、R、R、およびRは、それぞれ上記Rと同義であり、好ましい範囲も同じである。
また、アミジンは、RとR、RとRが互いに結合した環状構造であってもよい。例えば、下記化合物(F−1)および(F−2)を挙げることができる。
以下に例を示す。
グアニジンとして下記一般式Gで表される化合物を挙げることができる。
、R、R、R、およびRは、それぞれ上記Rと同義であり、好ましい範囲も同じである。
また、グアニジンは、RとR、RとRが互いに結合した環状構造であってもよい。例えば、下記一般式(G−1)で表される化合物を挙げることができる。
光塩基発生剤として好適に使用できる市販品としては、和光純薬工業(株)のWPBG−082(グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、WPBG−168(シクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、WPBG−266(1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、WPBG−300(1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウムn−ブチルトリフェニルボレート)、東京化成工業(株)の2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、アセトフェノンo−ベンゾイルオキシム、ニフェジピン等を挙げることができる。なかでも、WPBG−266、WPBG−300およびWPBG−168が好ましく、強塩基を発生するWPBG−266、WPBG−300がより好ましい。これらは、一種単独で、または二種以上組み合わせて用いることができる。
アニオン重合開始剤は、熱塩基発生剤であってもよい。熱発生塩基としては、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバメート、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメートなどのカルバメート誘導体、尿素やN,N−ジメチル−N’−メチル尿素などの尿素誘導体、1,4−ジヒドロニコチンアミドなどのジヒドロピリジン誘導体、有機シランや有機ボランの四級化アンモニウム塩、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸セシウムなど有機酸と無機アルカリ金属からなる塩、フェノール、オクチル酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸などの有機酸と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7や1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5などのアミジンからなる塩が挙げられる。
熱塩基発生剤として好適に使用できる市販品としては、サンアプロ(株)のU−CAT SA−1(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7とフェノールの塩)、U−CAT SA−102(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7とオクチル酸の塩)を挙げることができる。これらは、一種単独で、または二種以上組み合わせて用いることができる。
アニオン重合開始剤は、波長変換層用組成物に含まれるアニオン重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上6質量部以下がさらに好ましく、0.5質量部以上3質量部以下が特に好ましい。適量の重合開始剤の使用は、硬化のための光照射量を低減すること、および波長変換層全体を均一に硬化することを可能にする観点から好ましい。
(ラジカル重合性化合物)
波長変換層用組成物は、必要に応じてラジカル重合性化合物を含んでもよい。ラジカル重合性化合物を添加することによって、それらを調整することが可能である。波長変換層用組成物に占めるラジカル重合性化合物の含有量は、0〜30質量部程度とすることが好ましい。好ましいラジカル重合性化合物の一例としては、上記アクリル化合物が挙げられる。
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤については、特に限定されるものではなく、従来公知のラジカル開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤については、例えば、特開2013−043382号公報段落0037を参照できる。重合開始剤は、波長変換層用組成物に含まれるラジカル重合性化合物の全質量の0.1質量部以上であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
(その他添加剤)
本発明の波長変換層用組成物は、粘度調整剤、溶媒、シランカップリング剤を含有してもよい。
−粘度調整剤−
波長変換層用組成物は、必要に応じて粘度調整剤を含んでもよい。粘度調整剤を添加することによって、それらを所望の粘度に調整することが可能である。粘度調整剤は、粒径が5nm〜300nmであるフィラーであることが好ましい。また、粘度調整剤はチキソトロピー剤であってもよい。なお、本発明および本明細書中、チキソトロピー性とは、液状組成物において、せん断速度の増加に対して粘性を減じる性質を指し、チキソトロピー剤とは、それを液状組成物に含ませることによって、組成物にチキソトロピー性を付与する機能を有する素材のことを指す。チキソトロピー剤の具体例としては、ヒュームドシリカ、アルミナ、窒化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、雲母、長石、カオリナイト(カオリンクレー)、パイロフィライト(ろう石クレー)、セリサイト(絹雲母)、ベントナイト、スメクタイト・バーミキュライト類(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイトなど)、有機ベントナイト、有機スメクタイト等が挙げられる。
−溶媒−
波長変換層用組成物は、必要に応じて溶媒を含んでもよい。この場合に使用される溶媒の種類及び添加量は、アニオン重合に適したものとする。溶媒として、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテルを挙げることができる。添加量は、塗布粘度調整と膜厚制御の観点から、波長変換層用組成物100質量部に対して0〜500質量部以下とすることが好ましい。有機溶媒は一種で用いることができ、また二種以上混合して用いることができる。
−シランカップリング剤−
組成物は、更に、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤を含む重合性組成物から形成される波長変換層は、シランカップリング剤により隣接する層との密着性が強固なものとなるため、より一層優れた耐光性を示すことができる。これは主に、波長変換層に含まれるシランカップリング剤が、加水分解反応や縮合反応により、隣接する層の表面や当該層の構成成分と共有結合を形成することによるものである。このとき、隣接する層として後述の無機層を設けることも好ましい。また、シランカップリング剤がラジカル重合性基等の反応性官能基を有する場合、波長変換層を構成するモノマー成分と架橋構造を形成することも、波長変換層と隣接する層との密着性向上に寄与し得る。なお本明細書において、波長変換層に含まれるシランカップリング剤とは、上記のような反応後の形態のシランカップリング剤も含む意味である。
シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を、何ら制限なく使用することができる。密着性の観点から好ましいシランカップリング剤としては、特開2013−43382号公報に記載の一般式(1)で表されるシランカップリング剤を挙げることができる。詳細については、特開2013−43382号公報の段落0011〜0016の記載を参照できる。シランカップリング剤等の添加剤の使用量は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
波長変換層用組成物の調製方法は特に制限されず、一般的な重合性組成物の調製手順により実施すればよい。
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態である波長変換部材及びそれを備えたバックライトユニットについて説明する。図1は、本実施形態の波長変換部材の概略構成断面図である。
[波長変換部材]
本実施形態の波長変換部材1Dは、図1に示すように、波長変換層用組成物を硬化させてなる波長変換層30と波長変換層30の両主面に配置されたバリアフィルム10,20とを備える。ここで、「主表面」とは、波長変換部材を、後述する表示装置に用いた場合の視認側又はバックライト側に配置される波長変換層の表面(おもて面、裏面)をいう。他の層や部材についての主表面も、同様である。バリアフィルム10,20は、それぞれ、波長変換層30側から、それぞれバリア層12,22、および支持体11,21を備える。以下、波長変換層30、バリアフィルム10,20、支持体11,21、およびバリア層12,22の詳細について説明する。
(波長変換層)
波長変換層30は、図1に示すように、有機マトリックス30P中に青色光Lにより励起されて蛍光(赤色光)Lを発光する量子ドット30A、および青色光Lにより励起されて蛍光(緑色光)Lを発光する量子ドット30Bが分散されてなる。なお、図1において量子ドット30A,30Bは、視認しやすくするために大きく記載してあるが、実際は、例えば、波長変換層30の厚み50〜100μmに対し、量子ドットの直径は2〜7nmの範囲である。
量子ドット30A,30Bの表面には、ルイス塩基性の配位性基を有する配位子が配位している。波長変換層30は、配位子が配位した量子ドット30A,30Bとアニオン重合性化合物とアニオン重合開始剤とを含む波長変換層用組成物を、光照射または熱によって塩基を発生させ、アニオン重合により硬化させてなるものである。
有機マトリックス30Pは、アニオン重合性化合物がアニオン重合により硬化されてなる。
波長変換層30の厚みは、好ましくは1〜500μmの範囲であり、より好ましくは10〜250μmの範囲であり、さらに好ましくは30〜150μmの範囲である。厚みが1μm以上であると、高い波長変換効果が得られるため、好ましい。また、厚みが500μm以下であると、バックライトユニットに組み込んだ場合に、バックライトユニットを薄くすることができるため、好ましい。
上記実施態様では、光源として青色光を用いた態様について説明したが、波長変換層30は、有機マトリックス30P中に紫外光LUVにより励起されて蛍光(赤色光)Lを発光する量子ドット30Aと、紫外光LUVにより励起されて蛍光(緑色光)Lを発光する量子ドット30Bと、紫外光LUVにより励起されて蛍光(青色光)Lを発光する量子ドット30C(不図示)とが分散されてなるものであってもよい。波長変換層の形状は特に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
(バリアフィルム)
バリアフィルム10,20は、酸素を遮断するガスバリア機能を有するフィルムである。本実施形態では、支持体11,21上にバリア層12,22をそれぞれ備える。支持体11,21の存在により、波長変換部材1Dの強度が向上され、且つ、容易に各層を製膜することができる。
なお、本実施形態では、バリア層12,22が支持体11,21により支持されてなるバリアフィルム10,20について示したが、バリア層12,22は支持体11,21に支持されていなくてもよい。また、本実施形態では、波長変換層30の両主面にバリア層12,22が隣接して備えられている波長変換部材について示したが、支持体11,21がバリア性を充分有している場合は、支持体11,21のみでバリア層を形成してもよい。
また、バリアフィルム10,20は、本実施形態のように、波長変換部材中に2つ含まれる態様が好ましいが、1つだけ含まれる態様であってもよい。
バリアフィルム10,20は、可視光領域における全光線透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。可視光領域とは、380〜780nmの波長領域をいうものとし、全光線透過率とは、可視光領域にわたる光透過率の平均値を示す。
バリアフィルム10,20の酸素透過率は1.00cm/(m・day・atm)以下であることが好ましい。ここで、上記酸素透過率は、測定温度23℃、相対湿度90%の条件下で、酸素ガス透過率測定装置(商品名「OX−TRAN 2/20」,MOCON社製)を用いて測定した値である。バリアフィルム10,20の酸素透過率は、より好ましくは、0.10cm/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは、0.01cm/(m・day・atm)以下である。酸素透過率1.00cm/(m・day・atm)は、SI単位系に換算すると、1.14×10−1fm/Pa・sである。
(支持体)
波長変換部材1Dにおいて、波長変換層30は、少なくとも一方の主表面が支持体11又は21によって支持されている。波長変換層30は、本実施形態のように、波長変換層30の表裏の主表面を支持体11及び21によって支持されていることが好ましい。
支持体11,21の平均膜厚は、波長変換部材の耐衝撃性等の観点から、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上400μm以下であることがより好ましく、30μm以上300μm以下であることが好ましい。波長変換層30に含まれる量子ドット30A,30Bの濃度を低減した場合や、波長変換層30の厚みを低減した場合のように、光の再帰反射を増加させる態様では、波長450nmの光の吸収率がより低いことが好ましいため、輝度低下を抑制する観点から、支持体11,21の平均膜厚は、40μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがさらに好ましい。
波長変換層30に含まれる量子ドット30A,30Bの濃度をより低減させる、あるいは波長変換層30の厚みをより低減させるには、LCDの表示色を維持するために後述するバックライトユニットの再帰反射性部材に、プリズムシートを複数枚設ける等、光の再帰反射を増加させる手段を設けて更に励起光が波長変換層を通過する回数を増加させる必要がある。従って、支持体は可視光に対して透明である透明支持体であることが好ましい。
ここで可視光に対して透明とは、可視光領域における光線透過率が、80%以上、好ましくは85%以上であることをいう。透明の尺度として用いられる光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。支持体については、特開2007−290369号公報の段落0046〜0052、特開2005−096108号公報の段落0040〜0055を参照できる。
また、支持体11,21は、波長589nmにおける面内リターデーションRe(589)が1000nm以下であることが好ましい。500nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。
波長変換部材1Dを作製した後、異物や欠陥の有無を検査する際、2枚の偏光板を消光位に配置し、その間に波長変換部材を差し込んで観察することで、異物や欠陥を見つけやすい。支持体のRe(589)が上記範囲であると、偏光板を用いた検査の際に、異物や欠陥をより見つけやすくなるため、好ましい。
ここで、Re(589)はKOBRA−21ADH、又はKOBRA WR(王子計測機器(株)製)において、波長589nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルタをマニュアルで交換するか、又は測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
支持体11,21としては、酸素及び水分に対するバリア性を有する支持体が好ましい。かかる支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、環状オレフィン構造を有するポリマーからなるフィルム、及びポリスチレンフィルム等が、好ましい例として挙げられる。
(バリア層)
バリア層12,22は、支持体11,21側から順に、それぞれ有機層12a,22aと、無機層12b,22bと、を備えてなる。有機層12a,22aは、無機層12b,22bと波長変換層30との間に設けられていてもよい。
バリア層12,22は、支持体11,21の表面に成膜されることにより形成される。従って、支持体11,21と、その上に設けられたバリア層12,22とでバリアフィルム10,20を構成している。バリア層12,22を設ける場合は、支持体は高い耐熱性を有していることが好ましい。波長変換部材1Dにおいて、波長変換層30に隣接しているバリアフィルム10,20中の層は、無機層でも有機層でもよく、特に限定されない。
バリア層12,22は、複数の層により構成されてなる方がより一層バリア性を高めることができるため、耐光性向上の観点からは好ましいが、層数が増えるほど、波長変換部材の光透過率は低下する傾向があるため、良好な光透過率とバリア性とを考慮して設計されることが好ましい。
−無機層−
無機層とは、無機材料を主成分とする層であり、無機材料が50質量%以上、更には80質量%以上、特に90質量%以上を占める層が好ましく、無機材料のみから形成される層が最も好ましい。バリア層12,22に好適な無機層12b,22bとしては、特に限定されず、金属、無機酸化物、窒化物、酸化窒化物等の各種無機化合物を用いることができる。無機材料を構成する元素としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム及びセリウムが好ましく、これらを一種又は二種以上含んでいてもよい。無機化合物の具体例としては、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム合金、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタンを挙げることができる。また、無機層として、金属膜、例えば、アルミニウム膜、銀膜、錫膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜を設けてもよい。
上記の材料の中でも、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素炭化物、又はアルミニウム酸化物を含む無機層が特に好ましい。これらの材料からなる無機層は、有機層との密着性が良好であることから、無機層にピンホールがある場合でも、有機層がピンホールを効果的に埋めることができ、バリア性をより一層高くすることができる。
また、バリア層における光の吸収を抑制する観点からは、窒化ケイ素がもっとも好ましい。
無機層の形成方法としては、特に限定されず、例えば成膜材料を蒸発ないし飛散させ被蒸着面に堆積させることができる各種成膜方法を用いることができる。
無機層の形成方法の例としては、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、金属等の無機材料を、加熱して蒸着させる真空蒸着法;無機材料を原料として用い、酸素ガスを導入することにより酸化させて蒸着させる酸化反応蒸着法;無機材料をターゲット原料として用い、アルゴンガス、酸素ガスを導入して、スパッタリングすることにより蒸着させるスパッタリング法;無機材料にプラズマガンで発生させたプラズマビームにより加熱させて蒸着させるイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical VaporDeposition法、PVD法)、酸化ケイ素の蒸着膜を成膜させる場合は、有機ケイ素化合物を原料とするプラズマ化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等が挙げられる。
無機層の厚さは、1nm〜500nmであればよく、5nm〜300nmであることが好ましく、特に10nm〜150nmであることがより好ましい。隣接無機層の膜厚が、上述した範囲内であることにより、良好なバリア性を実現しつつ、無機層における光の吸収を抑制することができ、光透過率がより高い波長変換部材を提供することができるからである。
−有機層−
有機層とは、有機材料を主成分とする層であって、好ましくは有機材料が50質量%以上、更には80質量%以上、特に90質量%以上を占める層である。有機層としては、特開2007−290369号公報の段落0020〜0042、特開2005−096108号公報の段落0074〜0105を参照できる。なお有機層は、カルドポリマーを含むことが好ましい。これにより、有機層と隣接する層との密着性、特に、無機層とも密着性が良好になり、より一層優れたバリア性を実現することができるからである。カルドポリマーの詳細については、上述の特開2005−096108号公報の段落0085〜0095を参照できる。有機層の膜厚は、0.05μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5〜10μmの範囲内であることが好ましい。有機層がウェットコーティング法により形成される場合には、有機層の膜厚は、0.5〜10μmの範囲内、中でも1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、ドライコーティング法により形成される場合には、0.05μm〜5μmの範囲内、中でも0.05μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。ウェットコーティング法又はドライコーティング法により形成される有機層の膜厚が上述した範囲内であることにより、無機層との密着性をより良好なものとすることができるからである。
無機層および有機層のその他詳細については、上述の特開2007−290369号公報、特開2005−096108号公報、更にUS2012/0113672A1の記載を参照できる。
波長変換部材1Dにおいて、波長変換層、無機層、有機層、支持体は、この順に積層されていてもよく、無機層と有機層との間、二層の有機層の間、又は二層の無機層の間に、支持体を配して積層されていてもよい。
(凹凸付与層)
バリアフィルム10は、波長変換層30側の面と反対側の面に、凹凸構造を付与する凹凸付与層13を備えていることが好ましい。バリアフィルム10が凹凸付与層13を有していると、バリアフィルムのブロッキング性、滑り性を改良することができるため、好ましい。凹凸付与層は粒子を含有する層であることが好ましい。粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等が挙げられる。また、凹凸付与層、バリアフィルムの波長変換層とは反対側の表面に設けられることが好ましいが、両面に設けられていてもよい。
波長変換部材1Dは、量子ドットの蛍光を効率よく外部に取り出すために光散乱機能を有することができる。光散乱機能は、波長変換層30内部に設けてもよいし、光散乱層として光散乱機能を有する層を別途設けてもよい。光散乱層は、バリア層22の波長変換層30側の面に設けられていてもよいし、支持体の波長変換層とは反対側の面に設けられていてもよい。上記凹凸付与層を設ける場合は、凹凸付与層を光散乱層と兼用できる層とすることが好ましい。
<波長変換部材の製造方法>
次に、波長変換層30の両面に、支持体11,21上にバリア層12,22を備えたバリアフィルム10,20を有する態様の波長変換部材1Dの製造方法の一例を説明する。
本実施形態において、波長変換層30は、調製した波長変換層用組成物をバリアフィルム10,20の表面に塗布した後に光照射、又は加熱により硬化させ、形成することができる。塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
硬化条件は、使用するアニオン重合性化合物の種類や波長変換層用組成物の組成に応じて、適宜設定することができる。また、波長変換層用組成物が溶媒を含む組成物である場合には、硬化を行う前に、溶媒除去のために乾燥処理を施してもよい。
波長変換層用組成物の硬化は、波長変換層用組成物を2枚の支持体間に挟持した状態で行ってもよい。硬化処理を含む波長変換部材の製造工程の一態様を、図2および図3を参照して以下に説明する。ただし、本発明は、下記態様に限定されるものではない。
図2は、波長変換部材1Dの製造装置の一例の概略構成図であり、図3は、図2に示す製造装置の部分拡大図である。
本実施態様の製造装置は、図示しない送出機と、バリアフィルム10上に波長変換層用組成物を塗布して塗膜30Mを形成する塗布部120と、塗膜30M上にバリアフィルム20を貼り合わせて、塗膜30Mをバリアフィルム10とバリアフィルム20とで挟持するラミネート部130と、塗膜30Mを硬化する硬化部160と、図示しない巻き取り機とを備える。
図2および図3に示す製造装置を用いる波長変換部材の製造工程は、連続搬送される第一のバリアフィルム10(以下、「第一のフィルム10」ともいう。)の表面に波長変換層用組成物を塗布し塗膜を形成する工程と、塗膜の上に、連続搬送される第二のバリアフィルム20(以下、「第二のフィルム20」ともいう。)をラミネートし(重ねあわせ)、第一のフィルムと第二のフィルムとで塗膜を挟持する工程と、第一のフィルム10と第二のフィルム20とで塗膜を挟持した状態で、第一のフィルム10、及び第二のフィルム20の何れかをバックアップローラに巻きかけて、連続搬送しながら光照射し、塗膜を重合硬化させて波長変換層(硬化層)を形成する工程とを少なくとも含む。本実施形態では、第一のフィルム10、第二のフィルム20の双方に、酸素や水分に対するバリア性を有するバリアフィルムを用いている。かかる態様とすることにより、波長変換層の両面がバリアフィルムにより保護された波長変換部材1Dを得ることができる。片面がバリアフィルムにより保護された波長変換部材としてもよく、その場合は、バリアフィルム側を外気に近い側として用いることが好ましい。
より詳しくは、まず、図示しない送出機から第一のフィルム10が塗布部120へと連続搬送される。送出機から、例えば、第一のフィルム10が1〜50m/分の搬送速度で送出される。但し、この搬送速度に限定されない。送出される際、例えば、第一のフィルム10には、20〜150N/mの張力、好ましくは30〜100N/mの張力が加えられる。
塗布部120では、連続搬送される第一のフィルム10の表面に波長変換層用組成物(以下、「塗布液」とも記載する。)が塗布され、塗膜30M(図3参照)が形成される。塗布部120では、例えば、ダイコーター124と、ダイコーター124に対向配置されたバックアップローラ126とが設置されている。第一のフィルム10の塗膜30Mの形成される表面と反対の表面をバックアップローラ126に巻きかけて、連続搬送される第一のフィルム10の表面にダイコーター124の吐出口から塗布液が塗布され、塗膜30Mが形成される。ここで塗膜30Mとは、第一のフィルム10上に塗布された硬化前の波長変換層用組成物をいう。
本実施形態では、塗布部120における塗布装置としてエクストルージョンコーティング法を適用したダイコーター124を示したが、これに限定されない。例えば、カーテンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法等、種々の方法を適用した塗布装置を用いることができる。
塗布部120を通過し、その上に塗膜30Mが形成された第一のフィルム10は、ラミネート部130に連続搬送される。ラミネート部130では、塗膜30Mの上に、連続搬送される第二のフィルム20がラミネートされ、第一のフィルム10と第二のフィルム20とで塗膜30Mが挟持される。
ラミネート部130には、ラミネートローラ132と、ラミネートローラ132を囲う加熱チャンバー134とが設置されている。加熱チャンバー134には第一のフィルム10を通過させるための開口部136、及び第二のフィルム20を通過させるための開口部138が設けられている。
ラミネートローラ132に対向する位置には、バックアップローラ162が配置されている。塗膜30Mの形成された第一のフィルム10は、塗膜30Mの形成面と反対の表面がバックアップローラ162に巻きかけられ、ラミネート位置Pへと連続搬送される。ラミネート位置Pは第二のフィルム20と塗膜30Mとの接触が開始する位置を意味する。第一のフィルム10はラミネート位置Pに到達する前にバックアップローラ162に巻きかけられることが好ましい。仮に第一のフィルム10にシワが発生した場合でも、バックアップローラ162によりシワがラミネート位置Pに達するまでに矯正され、除去できるからである。したがって、第一のフィルム10がバックアップローラ162に巻きかけられた位置(接触位置)と、ラミネート位置Pまでの距離L1は長いことが好ましく、例えば、30mm以上が好ましく、その上限値は、通常、バックアップローラ162の直径とパスラインとにより決定される。
本実施の形態では硬化部160で使用されるバックアップローラ162とラミネートローラ132とにより第二のフィルム20のラミネートが行われる。即ち、硬化部160で使用されるバックアップローラ162が、ラミネート部130で使用するローラとして兼用される。ただし、上記形態に限定されるものではなく、ラミネート部130に、バックアップローラ162と別に、ラミネート用のローラを設置し、バックアップローラ162を兼用しないようにすることもできる。
硬化部160で使用されるバックアップローラ162をラミネート部130で使用することで、ローラの数を減らすことができる。また、バックアップローラ162は、第一のフィルム10に対するヒートローラとしても使用できる。
図示しない送出機から送出された第二のフィルム20は、ラミネートローラ132に巻きかけられ、ラミネートローラ132とバックアップローラ162との間に連続搬送される。第二のフィルム20は、ラミネート位置Pで、第一のフィルム10に形成された塗膜30Mの上にラミネートされる。これにより、第一のフィルム10と第二のフィルム20とにより塗膜30Mが挟持される。ラミネートとは、第二のフィルム20を塗膜30Mの上に重ねあわせ、積層することをいう。
ラミネートローラ132とバックアップローラ162との距離L2は、第一のフィルム10と、塗膜30Mを重合硬化させた波長変換層(硬化層)30と、第二のフィルム20と、の合計厚みの値以上であることが好ましい。また、L2は第一のフィルム10と塗膜30Mと第二のフィルム20との合計厚みに5mmを加えた長さ以下であることが好ましい。距離L2を合計厚みに5mmを加えた長さ以下にすることより、第二のフィルム20と塗膜30Mとの間に泡が侵入することを防止することができる。ここでラミネートローラ132とバックアップローラ162との距離L2とは、ラミネートローラ132の外周面とバックアップローラ162の外周面との最短距離をいう。
ラミネートローラ132とバックアップローラ162の回転精度は、ラジアル振れで0.05mm以下、好ましくは0.01mm以下である。ラジアル振れが小さいほど、塗膜30Mの厚み分布を小さくすることができる。
また、第一のフィルム10と第二のフィルム20とで塗膜30Mを挟持した後の熱変形を抑制するため、硬化部160のバックアップローラ162の温度と第一のフィルム10の温度との差、及びバックアップローラ162の温度と第二のフィルム20の温度との差は30℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下、最も好ましくは同じである。
バックアップローラ162の温度との差を小さくするため、加熱チャンバー134が設けられている場合には、第一のフィルム10、及び第二のフィルム20を加熱チャンバー134内で加熱することが好ましい。例えば、加熱チャンバー134には、図示しない熱風発生装置により熱風が供給され、第一のフィルム10、及び第二のフィルム20を加熱することができる。
第一のフィルム10が、温度調整されたバックアップローラ162に巻きかけられることにより、バックアップローラ162によって第一のフィルム10を加熱してもよい。
一方、第二のフィルム20については、ラミネートローラ132をヒートローラとすることにより、第二のフィルム20をラミネートローラ132で加熱することができる。ただし、加熱チャンバー134、及びヒートローラは必須ではなく、必要に応じで設けることができる。
次に、第一のフィルム10と第二のフィルム20とにより塗膜30Mが挟持された状態で、硬化部160に連続搬送される。図面に示す態様では、硬化部160における硬化は光照射により行われるが、波長変換層用組成物に含まれる重合性化合物が加熱により重合するものである場合には、温風の吹き付け等の加熱により、硬化を行うことができる。
バックアップローラ162と、バックアップローラ162に対向する位置には、光照射装置164が設けられている。バックアップローラ162と光照射装置164との間を、塗膜30Mを挟持した第一のフィルム10と第二のフィルム20とが連続搬送される。光照射装置により照射される光は、波長変換層用組成物に含まれる光重合性化合物の種類に応じて決定すればよく、一例としては、紫外線が挙げられる。ここで紫外線とは、波長280〜400nmの光をいうものとする。紫外線を発生する光源として、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。光照射量は塗膜の重合硬化を進行させ得る範囲に設定すればよく、例えば、一例として100〜10000mJ/cmの照射量の紫外線を塗膜30Mに向けて照射することができる。
硬化部160では、第一のフィルム10と第二のフィルム20とにより塗膜30Mを挟持した状態で、第一のフィルム10をバックアップローラ162に巻きかけて、連続搬送しながら光照射装置164から光照射を行い、塗膜30Mを硬化させて波長変換層30を形成することができる。
本実施の形態では、第一のフィルム10側をバックアップローラ162に巻きかけて、連続搬送したが、第二のフィルム20をバックアップローラ162に巻きかけて、連続搬送させることもできる。
バックアップローラ162に巻きかけるとは、第一のフィルム10及び第二のフィルム20の何れかが、あるラップ角でバックアップローラ162の表面に接触している状態をいう。したがって、連続搬送される間、第一のフィルム10及び第二のフィルム20はバックアップローラ162の回転と同期して移動する。バックアップローラ162へ巻きかけは、少なくとも紫外線が照射されている間であればよい。
バックアップローラ162は、円柱状の形状の本体と、本体の両端部に配置された回転軸とを備えている。バックアップローラ162の本体は、例えば、φ200〜1000mmの直径を有している。バックアップローラ162の直径φについて制限はない。積層フィルムのカール変形と、設備コストと、回転精度とを考慮すると直径φ300〜500mmであることが好ましい。バックアップローラ162の本体に温度調節器を取り付けることにより、バックアップローラ162の温度を調整することができる。
バックアップローラ162の温度は、光照射時の発熱と、塗膜30Mの硬化効率と、第一のフィルム10と第二のフィルム20のバックアップローラ162上でのシワ変形の発生を考慮して、決定することができる。バックアップローラ162は、例えば、10〜95℃の温度範囲に設定することが好ましく、15〜85℃であることがより好ましい。ここでローラに関する温度とは、ローラの表面温度をいうものとする。
ラミネート位置Pと光照射装置164との距離L3は、例えば30mm以上とすることができる。
光照射により塗膜30Mは硬化されて波長変換層30となり、第一のフィルム10と波長変換層30と第二のフィルム20とを含む波長変換部材1Dが製造される。波長変換部材1Dは、剥離ローラ180によりバックアップローラ162から剥離される。波長変換部材1Dは、図示しない巻き取り機に連続搬送され、次いで巻き取り機により波長変換部材1Dはロール状に巻き取られる。
[バックライトユニット]
次に、本発明の波長変換部材を備えたバックライトユニットについて説明する。図4は、バックライトユニットを示す概略構成断面図である。
図4に示されるように、本発明のバックライトユニット2は、一次光(青色光L)を出射する光源1Aと光源1Aから出射された一次光を導光させて出射させる導光板1Bとからなる面状光源1Cと、面状光源1C上に備えられてなる波長変換部材1Dと、波長変換部材1Dを挟んで面状光源1Cと対向配置される再帰反射性部材2Bと、面状光源1Cを挟んで波長変換部材1Dと対向配置される反射板2Aとを備えており、波長変換部材1Dは、面状光源1Cから出射された一次光Lの少なくとも一部を励起光として、蛍光を発光し、この蛍光からなる二次光(緑色光L,赤色光L)及び波長変換部材1Dを透過した一次光Lを出射するものである。L、L、およびLにより、再帰反射性部材2Bの表面から白色光Lwを出射する。
波長変換部材1Dの形状は特に限定されるものではなく、シート状、バー状等の任意の形状であることができる。
図4において、波長変換部材1Dから出射されたL、LG、およびLは、再帰反射性部材2Bに入射し、入射した各光は、再帰反射性部材2Bと反射板2Aとの間で反射を繰り返し、何度も波長変換部材1Dを通過する。その結果、波長変換部材1Dでは充分な量の励起光(青色光L)が、赤色光Lを発光する量子ドット30A、緑色光L発光する量子ドット30Bによって吸収され、必要な量の蛍光(緑色光L,赤色光L)が発光し、再帰反射性部材2Bから白色光Lが具現化されて出射される。
励起光として紫外光を用いた場合は、図1における量子ドット30A、30B、及び、図示しない30Cを含む波長変換層30に励起光として紫外光を入射させることにより、量子ドット30Aにより発光される赤色光、量子ドット30Bにより発光される緑色光、及び量子ドット30Cにより発光される青色光により、白色光を具現化することができる。
高輝度かつ高い色再現性の実現の観点からは、バックライトユニットとして、多波長光源化されたものを用いることが好ましい。例えば、430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する青色光と、520〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する緑色光と、600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する赤色光とを発光することが好ましい。
さらなる輝度および色再現性の向上の観点から、バックライトユニットが発光する青色光の波長帯域は、440〜460nmであることがより好ましい。
同様の観点から、バックライトユニットが発光する緑色光の波長帯域は、520〜545nmであることがより好ましい。
また、同様の観点から、バックライトユニットが発光する赤色光の波長帯域は、610〜640nmであることがより好ましい。
また同様の観点から、バックライトユニットが発光する青色光、緑色光および赤色光の各発光強度の半値幅は、いずれも80nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが一層好ましい。これらの中でも、青色光の各発光強度の半値幅が25nm以下であることが、特に好ましい。
光源1Aとしては、430nm〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する青色光を発光するもの、又は、紫外光を発光するものが挙げられる。光源1Aとしては、発光ダイオードやレーザー光源等を使用することができる。
面状光源1Cは、図4に示すように、光源1Aと光源1Aから出射された一次光を導光させて出射させる導光板1Bとからなる光源であっても良いし、光源1Aが波長変換部材1Dと平行な平面状に並べて配置され、導光板1Bに替えて拡散板を備えた光源であっても良い。前者の光源は一般にエッジライト方式、後者の光源は一般に直下型方式と呼ばれている。
バックライトユニットの構成としては、図4では、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式について説明したが、直下型方式であっても構わない。導光板としては、公知のものを何ら制限なく使用することができる。
なお、本実施形態では、光源として面状光源を用いた場合を例に説明したが、光源としては面状光源以外の光源も使用することができる。
青色光を発光する光源を用いる場合、波長変換層には、少なくとも、励起光により励起され赤色光を発光する量子ドット30Aと、緑色光を発光する量子ドット30Bが含まれることが好ましい。これにより、光源から発光され波長変換部材を透過した青色光と、波長変換部材から発光される赤色光および緑色光により、白色光を具現化することができる。
または他の態様では、光源として、300nm〜430nmの波長帯域に発光中心波長を有する紫外光を発光するもの(紫外光源)、例えば、紫外線発光ダイオードを用いることができる。
また他の態様では、発光ダイオードに替えてレーザー光源を使用することもできる。
また、反射板2Aとしては、特に制限は無く、公知のものを用いることができ、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
再帰反射性部材2Bは、公知の拡散板や拡散シート、プリズムシート(例えば、住友スリーエム社製BEFシリーズなど)、反射型偏光フィルム(例えば、住友スリーエム社製DBEFシリーズなど)等から構成されていてもよい。再帰反射性部材2Bの構成については、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
[液晶表示装置]
上述のバックライトユニット2は液晶表示装置に応用することができる。図5に、本発明の液晶表示装置の概略構成断面図を示す。
図5に示されるように、液晶表示装置4は、上記実施形態のバックライトユニット2とバックライトユニット2における再帰反射性部材2B側に対向配置された液晶セルユニット3とを備えてなる。液晶セルユニット3は、液晶セル31を偏光板32と33とで挟持した構成であり、偏光板32,33は、それぞれ、偏光子322、332の両主面を偏光板保護フィルム321と323、331と333で保護された構成としている。
液晶表示装置4を構成する液晶セル31、偏光板32、33及びその構成要素については特に限定はなく、公知の方法で作製されるものや市販品を、何ら制限なく用いることができる。また、各層の間に、接着層等の公知の中間層を設けることも、もちろん可能である。
液晶セル31の駆動モードについては特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等の種々のモードを利用することができる。液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、又はTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。VAモードの液晶表示装置の構成としては、特開2008−262161号公報の図2に示す構成が一例として挙げられる。ただし、液晶表示装置の具体的構成には特に制限はなく、公知の構成を採用することができる。
液晶表示装置4には、さらに必要に応じて光学補償を行う光学補償部材、接着層などの付随する機能層を有する。また、カラーフィルター基板、薄層トランジスタ基板、レンズフィルム、拡散シート、ハードコート層、反射防止層、低反射層、アンチグレア層等とともに又はそれに替えて、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等の表面層が配置されていてもよい。
バックライト側の偏光板32は、液晶セル31側の偏光板保護フィルム323として、位相差フィルムを有していてもよい。このような位相差フィルムとしては、公知のセルロースアシレートフィルム等を用いることができる。
バックライトユニット2及び液晶表示装置4は、上記本発明の重合反応率が高く、硬化性が良い波長変換層を備えるため、高輝度なバックライトユニット及び液晶表示装置となる。
以下に実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(バリアフィルム10の作製)
支持体としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製、商品名「コスモシャイン(登録商標)A4300」、厚さ50μm)を用いて、支持体の片面側に以下の手順で有機層および無機層を順次形成した。
−有機層の形成−
トリメチロールプロパントリアクリレート(製品名「TMPTA」、ダイセル・オルネクス(株)製)および光重合開始剤(商品名「ESACURE(登録商標) KTO46」、ランベルティ社製、)を用意し、質量比率として95:5となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度15%の塗布液とした。この塗布液を、ダイコーターを用いてロールトウロールにてPETフィルム上に塗布し、50℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた。その後、窒素雰囲気下で紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm)し、紫外線硬化にて硬化させ、巻き取った。支持体上に形成された有機層の厚さは、1μmであった。
−無機層の形成−
次に、ロールトウロールのCVD装置を用いて、有機層の表面に無機層(窒化ケイ素層)を形成した。原料ガスとして、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)、および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源として、周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。製膜圧力は40Pa、到達膜厚は50nmであった。このようにして支持体上に形成された有機層の表面に無機層が積層されたバリアフィルム10を作製した。
(表面処理バリアフィルムの作製)
下記組成のシランカップリング剤含有組成物を調製し、表面処理用の組成物(表面処理用塗布液)として用いた。この表面処理用の組成物を、ダイコーターを用いてロールツーロールにて、バリアフィルム10の無機層上に2ml/mの塗布量で塗布し、120℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた。こうして無機層表面がシランカップリング剤により表面処理された表面処理バリアフィルムを作製した。
(表面処理用の組成物)
表面処理用の組成物は、以下の材料と配合比で調製した。
イソプロパノール/エタノール/酢酸/水/信越化学工業(株)製KBM−5103(シランカップリング剤含有溶液)=14/14/2/20/50(質量比)
(実施例1で使用する波長変換層用組成物の調製および塗布液の作製)
下記の波長変換層用組成物1を調製し、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過した後、30分間減圧乾燥して塗布液として用いた。
−波長変換層用組成物1−
量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:520nm) 10質量部
量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:630nm) 1質量部
セロキサイド2021P(株式会社ダイセル製) 100質量部
光塩基発生剤WPBG−266(和光純薬工業(株)製) 3質量部
なお、量子ドット1および量子ドット2のトルエン分散液の量子ドット濃度は1質量%である。
量子ドット1は、コアがCdSeで、シェルがZnSで構成されたコア/シェル型の量子ドットであり、発光中心波長が520nmであり、半値幅25nmである
配位子として、トリオクチルホスフィンとトリオクチルホスフィンオキシドが量子ドット1に配位している。
量子ドット2は、コアがCdSeで、シェルがZnSで構成されたコア/シェル型の量子ドットであり、発光中心波長が630nmであり、半値幅が30nmである。
配位子として、トリオクチルホスフィンとトリオクチルホスフィンオキシドが量子ドット2に配位している。
このような配位子が配位した量子ドットは、The Journal Physical Chemistry,101,pp9463−9475,1997に記載された方法を参照して合成した。
(その他の実施例および比較例で使用する波長変換層用組成物の調製および塗布液の作製)
表1に示す材料および質量比にて波長変換層用組成物を調製し、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過した後、30分間減圧乾燥して塗布液として用いた。
(実施例1の波長変換部材の作製)
上述した手順で作製したバリアフィルム10を第一のフィルム10および第二のフィルム20として使用し、図2および図3を参照して説明した製造工程により、波長変換部材を得た。具体的には、第一のフィルム10としてバリアフィルム10を用意し、1m/分、60N/mの張力で連続搬送しながら、無機層面上に上記で調製した塗布液をダイコーターにて塗布し、50μmの厚さの塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成された第一のフィルム10をバックアップローラに巻きかけ、塗膜の上に第二のフィルム20を無機層面が塗膜に接する向きでラミネートし、2枚のバリアフィルム10および20で塗膜を挟持した状態で連続搬送しながら、100℃の加熱ゾーンを3分間通過させた。その後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、紫外線を照射して硬化させ、量子ドットを含有する波長変換層を形成した。紫外線の照射量は2000mJ/cmであった。また、図3におけるL1は50mm、L2は1mm、L3は50mmであった。
(実施例2および11の波長変換部材の作製)
バリアフィルム10の代わりに上記表面処理バリアフィルムを用い、上記その他の実施例および比較例で使用する塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様に波長変換部材を作製した。
(実施例9の波長変換部材の作製)
実施例9の波長変換部材は、実施例1の作製手順における紫外線照射のかわりに120℃で60分間、加熱硬化させることで作製した。
(実施例3〜8、10、および比較例1〜4の波長変換部材の作製)
上記その他の実施例および比較例で使用する塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして波長変換部材を作製した。
(波長変換層の光硬化性評価)
光硬化性は、市販のFT−IR装置(PerkinElmer社製、Frontierシリーズ)を用い、モノマー溶液(重合性化合物)を基準として、789cm−1における吸収ピーク強度から反応率を算出し、下記評価基準に基づいて評価した。測定結果を表1に示す。
<評価基準>
A:反応率90%以上
B:反応率80以上90%未満
C:反応率50以上80%未満
D:反応率50%未満
(輝度の測定)
バックライトユニットに青色光源を備える市販のタブレット端末(商品名「Kindle(登録商標)Fire HDX 7」,Amazon社製)を分解し、バックライトユニットを取り出した。取り出したバックライトユニットの導光板上に矩形に切り出した実施例1〜11、比較例1〜4で作製した波長変換部材を置き、その上に、表面凹凸パターンの向きが直交した2枚のプリズムシートを重ね置いた。青色光源から発し、波長変換部材および2枚のプリズムシートを透過した光の輝度Yを、導光板の面に対して垂直方向740mmの位置に設置した輝度計(商品名「SR3」,TOPCON社製)にて測定した。そして輝度Yを下記評価基準に基づいて評価した。測定結果を表1に示す。
<評価基準>
A:Y≧10,000[cd/m
B:9,000≦Y<10,000[cd/m
C:8,000≦Y<9,000[cd/m
D:Y<8,000[cd/m
以下に、表1中の表記の詳細を記載する。
セロキサイド2021P:脂環式エポキシモノマー、株式会社ダイセル製
サイクロマーM100:脂環式エポキシモノマー、株式会社ダイセル製
OXT−221:3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、東亜合成(株)製
TMPO:3−エチル−3−オキセタンメタノール、東京化成工業(株)製
WPBG−266:光塩基発生剤、和光純薬工業(株)製
WPBG−300:光塩基発生剤、和光純薬工業(株)製
WPBG−168:光塩基発生剤、和光純薬工業(株)製
U−CAT SA102:熱塩基発生剤、サンアプロ株式会社製
828US:ビスフェノールA、三菱化学(株)製
AMP−10G:2−フェノキシエチルアクリレート、新中村化学工業(株)
SP−170:光酸発生剤、(株)アデカ製
Irgacure819:光ラジカル発生剤、BASF社製
表1に示すように、本発明の波長変換層用組成物を用いた実施例1〜11は、光酸発生剤やラジカル発生剤のみを用いた比較例1〜4と比較して、硬化性に優れる。また、本発明の波長変換部材を組み込んだ液晶表示装置は、輝度に優れる。すなわち、波長変換層が充分硬化しているため、量子ドットと酸素との副反応がないため輝度が高いと考える。特に強塩基であるグアニジンを発生するアニオン重合開始剤を用いた実施例1は、1級アミンを発生するアニオン重合開始剤を用いた実施例7と比較して、硬化性が、より優れていた。
また、実施例7および実施例8から、アニオン重合開始剤の添加量が少ない程、液晶表示装置の輝度が高い。このことは、アニオン重合開始剤の添加量を減少させることにより、重合性化合物の硬化物であるエポキシ樹脂のアニオン重合開始剤による着色が防止され、着色によって励起光の吸収が阻害されることを防ぐことができたためと考える。
1A 光源
1B 導光板
1C 面状光源
1D 波長変換部材
2 バックライトユニット
2A 反射板
2B 再帰反射性部材
3 液晶セルユニット
4 液晶表示装置
10,20 バリアフィルム
11,21 支持体
12,22バリア層
12a,22a 有機層
12b,22b 無機層
13 凹凸付与層
30 波長変換層
30A,30B 量子ドット
30P 有機マトリックス
31 液晶セル
励起光(一次光、青色光)
赤色光(二次光、蛍光)
緑色光(二次光、蛍光)
白色光

Claims (9)

  1. 励起光により励起されて蛍光を発光する量子ドットと、
    該量子ドットの表面に配位した、ルイス塩基性の配位性基を有する配位子と、
    アニオン重合性化合物と、
    アニオン重合開始剤と、
    を含む波長変換層用組成物。
  2. 前記配位子が、ホスフィン化合物、アミン化合物およびチオール化合物である請求項1記載の波長変換層用組成物。
  3. 前記アニオン重合開始剤から発生する塩基が、アミン、イミダゾール、アミジン、またはグアニジンである請求項1または2記載の波長変換層用組成物。
  4. 前記アニオン重合性化合物が、エポキシ基およびオキセタニル基から選択される官能基を少なくとも1つ有する化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の波長変換層用組成物。
  5. 前記アニオン重合開始剤が、シクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウムn−ブチルトリフェニルボレート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7とオクチル酸との塩である請求項1〜4のいずれか1項記載の波長変換層用組成物。
  6. 前記アニオン重合開始剤の添加量が、前記アニオン重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下である請求項1〜5のいずれか1項記載の波長変換層用組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の波長変換層用組成物を硬化させてなる波長変換層を備えた波長変換部材。
  8. 一次光を出射する光源と、
    該光源上に備えられた請求項7記載の波長変換部材と、
    該波長変換部材を挟んで前記光源と対向配置される再帰反射性部材と、
    前記光源を挟んで前記波長変換部材と対向配置される反射板と、を備えたバックライトユニットであって、
    前記波長変換部材は、前記光源から出射された前記一次光の少なくとも一部を励起光として蛍光を発光し、該蛍光からなる二次光を含む光を少なくとも出射するバックライトユニット。
  9. 請求項8記載のバックライトユニットと、
    該バックライトユニットの前記再帰反射性部材側に対向配置された液晶セルと、を少なくとも備える液晶表示装置。
JP2015018862A 2015-02-02 2015-02-02 波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置 Active JP6224016B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015018862A JP6224016B2 (ja) 2015-02-02 2015-02-02 波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015018862A JP6224016B2 (ja) 2015-02-02 2015-02-02 波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016141744A true JP2016141744A (ja) 2016-08-08
JP6224016B2 JP6224016B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=56568463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015018862A Active JP6224016B2 (ja) 2015-02-02 2015-02-02 波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6224016B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017214486A (ja) * 2016-05-31 2017-12-07 大日本印刷株式会社 光波長変換組成物、光波長変換粒子、光波長変換部材、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置
WO2018117131A1 (ja) * 2016-12-22 2018-06-28 住友化学株式会社 組成物、フィルム、積層構造体、発光装置、及びディスプレイ
JP2019026780A (ja) * 2017-08-01 2019-02-21 Dic株式会社 インク組成物及びその製造方法、光変換層並びにカラーフィルタ
WO2019065068A1 (ja) * 2017-09-26 2019-04-04 富士フイルム株式会社 マイクロカプセル及びフィルム
JP2019155704A (ja) * 2018-03-13 2019-09-19 東レエンジニアリング株式会社 バリアフィルムおよび光変換部材
KR20200099585A (ko) * 2017-12-22 2020-08-24 루미레즈 엘엘씨 Led 어레이들을 위한 파장 변환 층 패터닝

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007126685A (ja) * 2007-02-05 2007-05-24 Mitsubishi Chemicals Corp 超微粒子を含有する架橋樹脂組成物及び光学部材
US20110068322A1 (en) * 2009-09-23 2011-03-24 Nanoco Technologies Limited Semiconductor Nanoparticle-Based Materials
US20110068321A1 (en) * 2009-09-23 2011-03-24 Nanoco Technologies Limited Semiconductor nanoparticle-based materials
US20130075692A1 (en) * 2011-09-23 2013-03-28 Nanoco Technologies Ltd. Semiconductor nanoparticle-based light emitting materials
US20130105839A1 (en) * 2011-05-31 2013-05-02 Nanoco Technologies, Ltd. Semiconductor nanoparticle-based materials for use in light emitting diodes, optoelectronic displays and the like
JP2013100508A (ja) * 2012-12-07 2013-05-23 Nippon Shokubai Co Ltd エポキシ樹脂組成物

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007126685A (ja) * 2007-02-05 2007-05-24 Mitsubishi Chemicals Corp 超微粒子を含有する架橋樹脂組成物及び光学部材
US20110068322A1 (en) * 2009-09-23 2011-03-24 Nanoco Technologies Limited Semiconductor Nanoparticle-Based Materials
US20110068321A1 (en) * 2009-09-23 2011-03-24 Nanoco Technologies Limited Semiconductor nanoparticle-based materials
JP2013505346A (ja) * 2009-09-23 2013-02-14 ナノコ テクノロジーズ リミテッド 添加物を含み、カプセル化された半導体ナノ粒子ベース材料
JP2013505347A (ja) * 2009-09-23 2013-02-14 ナノコ テクノロジーズ リミテッド カプセル化された半導体ナノ粒子ベース材料
US20130105839A1 (en) * 2011-05-31 2013-05-02 Nanoco Technologies, Ltd. Semiconductor nanoparticle-based materials for use in light emitting diodes, optoelectronic displays and the like
JP2014523634A (ja) * 2011-05-31 2014-09-11 ナノコ テクノロジーズ リミテッド 発光ダイオード、オプトエレクトロニクスディスプレイ等に使用される半導体ナノ粒子ベース材料
US20130075692A1 (en) * 2011-09-23 2013-03-28 Nanoco Technologies Ltd. Semiconductor nanoparticle-based light emitting materials
JP2014531762A (ja) * 2011-09-23 2014-11-27 ナノコ テクノロジーズ リミテッド 半導体ナノ粒子ベースの発光材料
JP2013100508A (ja) * 2012-12-07 2013-05-23 Nippon Shokubai Co Ltd エポキシ樹脂組成物

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017214486A (ja) * 2016-05-31 2017-12-07 大日本印刷株式会社 光波長変換組成物、光波長変換粒子、光波長変換部材、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置
WO2018117131A1 (ja) * 2016-12-22 2018-06-28 住友化学株式会社 組成物、フィルム、積層構造体、発光装置、及びディスプレイ
CN110088231A (zh) * 2016-12-22 2019-08-02 住友化学株式会社 组合物、膜、层叠结构体、发光装置及显示器
CN110088231B (zh) * 2016-12-22 2022-09-09 住友化学株式会社 组合物、膜、层叠结构体、发光装置及显示器
JPWO2018117131A1 (ja) * 2016-12-22 2019-10-31 住友化学株式会社 組成物、フィルム、積層構造体、発光装置、及びディスプレイ
JP2019026780A (ja) * 2017-08-01 2019-02-21 Dic株式会社 インク組成物及びその製造方法、光変換層並びにカラーフィルタ
WO2019065068A1 (ja) * 2017-09-26 2019-04-04 富士フイルム株式会社 マイクロカプセル及びフィルム
JPWO2019065068A1 (ja) * 2017-09-26 2020-04-23 富士フイルム株式会社 マイクロカプセル及びフィルム
KR20200099585A (ko) * 2017-12-22 2020-08-24 루미레즈 엘엘씨 Led 어레이들을 위한 파장 변환 층 패터닝
CN111712932A (zh) * 2017-12-22 2020-09-25 亮锐有限责任公司 Led阵列的波长转换层图案化
JP2021507306A (ja) * 2017-12-22 2021-02-22 ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー Ledアレイための波長変換層パターニング
JP7018511B2 (ja) 2017-12-22 2022-02-10 ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー Ledアレイための波長変換層パターニング
KR102435866B1 (ko) 2017-12-22 2022-08-24 루미레즈 엘엘씨 Led 어레이들을 위한 파장 변환 층 패터닝
CN111712932B (zh) * 2017-12-22 2023-10-20 亮锐有限责任公司 Led阵列的波长转换层图案化
JP2019155704A (ja) * 2018-03-13 2019-09-19 東レエンジニアリング株式会社 バリアフィルムおよび光変換部材
JP7163041B2 (ja) 2018-03-13 2022-10-31 東レエンジニアリング株式会社 バリアフィルムおよび光変換部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP6224016B2 (ja) 2017-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6448782B2 (ja) 量子ドット含有組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置
US10513655B2 (en) Wavelength conversion member, backlight unit including wavelength conversion member, liquid crystal display device, and method of manufacturing wavelength conversion member
JP6224016B2 (ja) 波長変換層用組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置
JP6363526B2 (ja) 波長変換部材及びそれを備えたバックライトユニット、液晶表示装置、波長変換部材の製造方法
JP6309472B2 (ja) 重合性組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置
JP6339053B2 (ja) 波長変換部材及びそれを備えたバックライトユニット、液晶表示装置
WO2016052625A1 (ja) バックライトユニット、液晶表示装置、波長変換部材、および光硬化性組成物
US10479931B2 (en) Polymer molding composition, wavelength converter, backlight unit, and liquid crystal display device
KR102153459B1 (ko) 파장 변환 부재, 백라이트 유닛, 및 액정 표시 장치, 및 양자 도트 함유 중합성 조성물
JP6713048B2 (ja) 量子ドット含有組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置
JP6526190B2 (ja) 重合性組成物、波長変換部材、バックライトユニット、および液晶表示装置
WO2016092805A1 (ja) 波長変換部材、バックライトユニット、液晶表示装置、および波長変換部材の製造方法
WO2016075939A1 (ja) 波長変換部材及びそれを備えたバックライトユニット、液晶表示装置並びに波長変換部材の製造方法
JP6308975B2 (ja) バックライトユニットおよび液晶表示装置
JP6560914B2 (ja) バックライトユニット、液晶表示装置、波長変換部材、および光硬化性組成物
JP2016000803A (ja) 量子ドット含有重合性組成物、波長変換部材、バックライトユニット、液晶表示装置、および波長変換部材の製造方法
WO2016075950A1 (ja) 波長変換部材及びそれを備えたバックライトユニット、液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170308

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20170523

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6224016

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250