JP2016000803A - 量子ドット含有重合性組成物、波長変換部材、バックライトユニット、液晶表示装置、および波長変換部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
励起光により励起され蛍光を発光する量子ドット、
重合性化合物、
シランカップリング剤、および、
エネルギー付与によりプロトン酸を発生する酸発生剤、
を含む、量子ドット含有重合性組成物(以下、単に「組成物」または「重合性組成物」とも記載する。)により、上記目的を達成できることを新たに見出した。即ち、かかる組成物を用いることにより、隣接層と、この隣接層との密着性に優れた波長変換層と、を含む波長変換部材の提供が可能となることが、本発明者らの鋭意検討の結果、新たに見出された。
しかし、上記波長変換層は、上述の通り重合性組成物の重合処理を経て形成される。この重合処理による重合体の形成がシランカップリング剤の反応に優先して進行してしまうと、重合により硬化した層内ではシランカップリング剤の反応性が低下するため、シランカップリング剤による隣接層との密着性向上を十分に得ることは困難となる。
これに対し、上記組成物に含まれる酸発生剤は、光照射や加熱等のエネルギー付与によりプロトン酸を発生する。このプロトン酸によりシランカップリング剤の反応が促進されることが、重合性化合物の重合処理を経て形成される波長変換層と、この層と隣接する隣接層との密着性をシランカップリング剤により高めることに寄与していると、本発明者らは考えている。
ただし、以上は、本発明者らによる推察であって本発明を何ら限定するものではない。
600nm〜680nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットA、
500nm〜600nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットB、および
400nm〜500nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットC、
からなる群から選択される少なくとも一種である。
上記量子ドット含有重合性組成物に、上述の酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施し形成された波長変換層、ならびに、
波長変換層の一方の主表面と隣接する隣接層、
を少なくとも含む波長変換部材、
に関する。ここで「主表面」とは、波長変換部材使用時に視認側またはバックライト側に配置される波長変換層の表面(おもて面、裏面)をいう。後述の隣接層についての主表面も、同様である。
隣接層の主表面と量子ドット含有重合性組成物を接触させた後、量子ドット含有重合性組成物に、酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施すことを含む製造方法、
に関する。
2つの隣接層の少なくとも一方の主表面と量子ドット含有重合性組成物を接触させた後、量子ドット含有重合性組成物に、酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施すことを含む製造方法、
に関する。
また、本発明および本明細書中、ピークの「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。また、400〜500nmの波長帯域、好ましくは430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を青色光と呼び、500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を緑色光と呼び、600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を赤色光と呼ぶ。
本発明の一態様にかかる量子ドット含有重合性組成物は、励起光により励起され蛍光を発光する量子ドット、重合性化合物、シランカップリング剤、および、エネルギー付与によりプロトン酸を発生する酸発生剤、を含む。
以下、上記組成物について、更に詳細に説明する。
上記組成物は、少なくとも一種の量子ドットを含み、発光特性の異なる二種以上の量子ドットを含むこともできる。公知の量子ドットには、600nm〜680nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットA、500nm〜600nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットB、400nm〜500nmの波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットCがある。量子ドットAは、励起光により励起され赤色光を発光し、量子ドットBは緑色光を、量子ドットCは青色光を発光する。例えば、量子ドットAと量子ドットBを含む波長変換層へ励起光として青色光を入射させると、量子ドットAにより発光される赤色光、量子ドットBにより発光される緑色光と、波長変換層を透過した青色光により、白色光を具現化することができる。または、量子ドットA、B、およびCを含む波長変換層に励起光として紫外光を入射させることにより、量子ドットAにより発光される赤色光、量子ドットBにより発光される緑色光、および量子ドットCにより発光される青色光により、白色光を具現化することができる。量子ドットとしては、公知の方法により調製されるものおよび市販品を、何ら制限なく用いることができる。量子ドットについては、例えば特開2012−169271号公報段落0060〜0066を参照することができるが、ここに記載のものに限定されるものではない。量子ドットの発光波長は、通常、粒子の組成、サイズ、ならびに組成およびサイズにより調整することができる。
図1は、本発明の一態様にかかる波長変換部材を含むバックライトユニット1の一例の説明図である。図1中、バックライトユニット1は、光源1Aと、面光源とするための導光板1Bを備える。図1(a)に示す例では、波長変換部材は、導光板から出射される光の経路上に配置されている。一方、図1(b)に示す例では、波長変換部材は、導光板と光源との間に配置されている。
そして図1(a)に示す例では、導光板1Bから出射される光が、波長変換部材1Cに入射する。図1(a)に示す例では、導光板1Bのエッジ部に配置された光源1Aから出射される光2は青色光であり、導光板1Bの液晶セル(図示せず)側の面から液晶セルに向けて出射される。導光板1Bから出射された光(青色光2)の経路上に配置された波長変換部材1Cには、青色光2により励起され赤色光4を発光する量子ドットAと、青色光2により励起され緑色光3を発光する量子ドットBを、少なくとも含む。このようにしてバックライトユニット1からは、励起された緑色光3および赤色光4、ならびに波長変換部材1Cを透過した青色光2が出射される。こうして赤色光、緑色光および青色光を発光させることで、白色光を具現化することができる。
図1(b)に示す例は、波長変換部材と導光板の配置が異なる点以外は、図1(a)に示す態様と同様である。図1(b)に示す例では、波長変換部材1Cから、励起された緑色光3および赤色光4、ならびに波長変換部材1Cを透過した青色光2が出射され導光板に入射し、面光源が実現される。
上記組成物を用いて形成される波長変換層では、量子ドットは、重合性化合物を光照射等により重合させたマトリックス(重合体)中に含まれる。波長変換層の形状は特に限定されるものではない。例えば、波長変換層、およびこの層を含む波長変換部材は、シート状ないしフィルム状である。
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜30であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル基の炭素数が7〜20であるアラルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基の炭素数が2〜30であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(モノアルキルまたはジアルキル)アミノアルキル基の総炭素数が1〜20であるアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテルの(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールブチルエーテルの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10で末端アルキルエーテルの炭素数が1〜10のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルの(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30で末端アリールエーテルの炭素数が6〜20のポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチレンオキシド付加シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する総炭素数4〜30の(メタ)アクリレート;ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート等の総炭素数4〜30のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜20のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜20のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の総炭素数が10〜60のトリ(メタ)アクリレート;エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の総炭素数が10〜100のテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記組成物は、シランカップリング剤を含む。このような組成物から、例えば塗布法により、波長変換層を形成することができる。具体的には、量子ドット含有重合性組成物(硬化性組成物)を基材上等に塗布し、次いで光照射等により硬化処理を施すことにより波長変換層を得ることができる。ここで重合性組成物として、量子ドット、重合性化合物とともに、シランカップリング剤を含む組成物を用いることにより、シランカップリング剤を含む波長変換層を形成することができる。シランカップリング剤を含む重合性組成物から形成される波長変換層は、シランカップリング剤により、隣接層との密着性を強固なものとすることができる。これは主に、波長変換層に含まれるシランカップリング剤が、加水分解反応や縮合反応により、隣接層の表面や隣接層の構成成分と共有結合を形成することによるものと考えられる。また、シランカップリング剤がラジカル重合性基等の反応性官能基を有する場合には、波長変換層の形成に用いられる重合性化合物と架橋構造を形成することも、波長変換層と隣接層との密着性向上に寄与し得ると考えらえる。この点からは、上記組成物に含まれる重合性化合物との架橋反応性が良好な反応性官能基を有するシランカップリング剤を用いることも好ましい。シランカップリング剤が有し得る反応性官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ)アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基等を挙げることができる。
ただし先に記載したように、シランカップリング剤の反応に優先して重合性化合物の重合反応が進行してしまうことは、シランカップリング剤が上記のように反応し隣接層との密着性向上に寄与することの妨げになると考えられる。これに対し、詳細を後述する酸発生剤を上記組成物に添加しプロトン酸を発生するエネルギーを付与する工程を経て波長変換層を形成することにより、隣接層との密着性を向上することができる。これは、酸発生剤により発生するプロトン酸によって、シランカップリング剤の反応が促進されるためであると、本発明者らは推察している。
上記組成物は、以上記載した成分とともに、エネルギー付与によりプロトン酸を発生する酸発生剤を含む。かかる酸発生剤は、通常、アニオン部X−とカチオン部Y+とを含むイオン性の化合物または塩であって、エネルギー付与により分解し溶媒または酸発生剤自体からプロトンH+を引き抜くことにより、プロトン酸XHを発生することができる。ここでプロトン酸とは、プロトンH+を放出可能な化合物をいう。
光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物等を挙げることができる。また、トリアジン類、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物を挙げることもできる。
また、光により酸を発生する基、または化合物をポリマーの主鎖もしくは側鎖に導入した化合物を用いることができる。
具体的には以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Z−は対アニオンを示し、例えば、BF4 −、AsF6 −、PF6 −、SbF6 −、SiF6 2−、ClO4 −、CF3SO3 −等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン等のアルキルスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トリイソプロピルベンゼンスルホン酸アニオン等の芳香族スルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらのアニオン種は、更に置換基を有していてもよい。
またR203、R204、R205のうちの2つおよびAr1、Ar2はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
熱酸発生剤としては、酸と有機塩基からなる塩を挙げることができる。
上記の酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられる。マトリックスに対する相溶性の観点からは、有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)。
有機塩基の沸点は35℃以上120℃以下であることが好ましく、40℃以上115℃以下であることが更に好ましい。
上記酸発生剤がエネルギーを付与されることにより発生するプロトン酸(前述のXH)の分子量は、特に限定されるものではない。発生したプロトン酸によりシランカップリング剤の反応が促進されると考えられるが、この反応が隣接層との界面で進行することが、波長変換層と隣接層との界面の密着性を向上するためには好ましい。このためには、発生したプロトン酸が比較的低分子量であって波長変換層内での移動性が良好であることが好ましいと、本発明者らは推察している。この点から、発生するプロトン酸の分子量は。好ましくは500以下であり、より好ましくは300以下であり、更に好ましくは200以下であり、いっそう好ましくは100以下である。上記分子量の下限値は、例えば30以上であるが、特に限定されるものではない。
以上説明した酸発生剤は、上記組成物に、例えば上記重合性化合物全量100質量部に対して0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部含めることができる。
本発明の一態様にかかる量子ドット含有重合性組成物は、以上記載した成分、および任意に添加可能な公知の添加剤を必要に応じて用いることにより調製することができる。例えば、上記成分、および必要に応じて添加される一種以上の公知の添加剤を、同時または順次混合して量子ドット含有重合性組成物を調製することができる。添加剤の使用量は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。また、量子ドット含有重合性組成物の粘度等のために、必要に応じて溶媒を添加してもよい。この場合に使用される溶媒の種類および添加量は、特に限定されるものではない。例えば溶媒として、有機溶媒を一種または二種以上混合して用いることができる。
以上の観点からは、上記組成物は、エネルギー付与によりプロトン酸を発生する形態ではない状態のプロトン酸を多量に含まないことが好ましい。具体的には、そのようなプロトン酸の含有量は、シランカップリング剤100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、0質量部であることが最も好ましい。
本発明の更なる態様は、
上記量子ドット含有重合性組成物に、酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施し形成された波長変換層、ならびに、
波長変換層の一方の主表面と隣接する隣接層、
を少なくとも含む波長変換部材、
に関する。
以下、上記波長変換部材について、更に詳細に説明する。
波長変換層は、上記量子ドット含有重合性組成物に、上述の酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施し形成された層である。例えば、酸発生剤が光酸発生剤であり、かつ重合性組成物の重合処理を光照射により行う態様においては、エネルギー付与および重合処理は、同時に、即ち一工程として行うことができる。この点は、酸発生剤が熱酸発生剤であり、重合処理を加熱により行う態様についても同様である。一方、酸発生剤が熱酸発生剤であり、重合処理は光照射により行う態様では、エネルギー付与(加熱)と重合処理(光照射)は順次、別工程として行われる。この点は、酸発生剤が光酸発生剤であり、重合処理は加熱により行う態様についても同様である。このようにエネルギー付与と重合処理が別工程で行われる場合には、エネルギー付与を行った後に重合処理を行うことが好ましい。エネルギー付与によりシランカップリング剤の反応を促進した後に重合処理を行うことが、波長変換層と隣接層との密着性のいっそうの向上に寄与すると考えられるためである。また、エネルギー付与と重合処理がともに光照射により行われる場合であって、エネルギー付与のための光照射条件(例えば照射する光の波長)が重合処理のものと異なる場合にも、同様の理由から、エネルギー付与のための光照射の後、重合処理のための光照射を行うことが好ましい。この点は、エネルギー付与と重合処理がともに加熱により行われる場合であって、エネルギー付与のための加熱条件と重合処理の加熱条件が異なる場合も同様である。
連続搬送される第一の基材(以下、「第一のフィルム」とも記載する。)の表面に量子ドット含有重合性組成物を塗布し塗膜を形成する工程と、
塗膜の上に、連続搬送される第二の基材(以下、「第二のフィルム」とも記載する。)をラミネートし(重ねあわせ)、第一のフィルムと第二のフィルムとで塗膜を挟持する工程と、
第一のフィルムと第二のフィルムとで塗膜を挟持した状態で、第一のフィルム、および第二のフィルムの何れかをバックアップローラに巻きかけて、連続搬送しながら光照射し、塗膜を重合硬化させて波長変換層(硬化層)を形成する工程と、
を少なくとも含む。第一の基材、第二の基材のいずれか一方として酸素や水分に対するバリア性を有するバリアフィルムを用いることにより、片面がバリアフィルム(バリア層)により保護された波長変換部材を得ることができる。また、第一の基材および第二の基材として、それぞれバリアフィルムを用いることにより、波長変換層の両面がバリアフィルム(バリア層)により保護された波長変換部材を得ることができる。
ただし、加熱チャンバー34、およびヒートローラは必須ではなく、必要に応じで設けることができる。
上記波長変換部材は、先に記載した通り、波長変換層の少なくとも一方の主表面に隣接層を有する。例えば、波長変換層の少なくとも一方の主表面に、無機層および有機層からなる群から選ばれる少なくとも一層を有することもできる。そのような無機層および有機層としては、後述のバリアフィルムを構成する無機層および有機層を挙げることができる。発光効率維持の観点から、波長変換層の両主表面に、それぞれ無機層および有機層からなる群から選択される少なくとも一層が含まれることが好ましい。かかる層により、主表面からの波長変換層への酸素、水分等の侵入を防ぐことができ、これらの侵入により量子ドットが劣化し発光効率が低下することを防ぐことができるからである。また、一態様では、無機層、有機層は、波長変換層の主表面に直接接する隣接層として含まれることが好ましい。なお、シランカップリング剤および酸発生剤を含む量子ドット含有重合性組成物を用いることにより、接着層によらずとも波長変換層と隣接層との界面の密着性を向上することができるが、接着層の使用を排除するものではない。例えば、エネルギー付与および重合処理の後に、波長変換層の一方の主表面に隣接層を積層する場合には、隣接層と波長変換層とを公知の接着層を貼り合わせてもよい。
波長変換部材は、強度向上、成膜の容易性等のため、支持体を有していてもよい。支持体は、波長変換層に隣接してまたは直接接する層として含まれていてもよく、後述のバリアフィルムの基材フィルムとして含まれていてもよい。波長変換部材において、支持体は、後述の無機層、および支持体がこの順となるように含まれていてもよく、波長変換層、後述の無機層、後述の有機層、および支持体がこの順となるように含まれていてもよい。有機層と無機層との間、二層の有機層の間、または二層の無機層の間に、支持体を配してもよい。また、支持体は、波長変換部材中に1つまたは2つ以上含まれていてもよく、波長変換部材は、支持体、波長変換層、支持体がこの順で積層された構造を有していてもよい。支持体としては、可視光に対して透明である透明支持体であることが好ましい。ここで可視光に対して透明とは、可視光領域における線透過率が、80%以上、好ましくは85%以上であることをいう。透明の尺度として用いられる光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。支持体については、特開2007−290369号公報段落0046〜0052、特開2005−096108号公報段落0040〜0055を参照できる。支持体の厚さは、ガスバリア性、耐衝撃性等の観点から、10〜500μmの範囲内、中でも20〜400μmの範囲内、特に30〜300μmの範囲内であることが好ましい。
支持体は上述の基材として用いることもできる。また、支持体は上述の第一のフィルムおよび第二のフィルムのいずれか、または双方に用いることもできる。第一のフィルムおよび第二のフィルムの双方が支持体であるとき、同一であっても異なっていてもよい。
波長変換部材は、バリアフィルムを含むことが好ましい。バリアフィルムは酸素を遮断するガスバリア機能を有するフィルムである。バリアフィルムが、水蒸気を遮断する機能を有していることも好ましい。
バリアフィルムは、波長変換層に隣接してまたは直接接する層として波長変換部材に含まれていることが好ましい。また、バリアフィルムは、波長変換部材中に1つまたは2つ以上含まれていてもよく、波長変換部材は、バリアフィルム、波長変換層、バリアフィルムがこの順で積層された構造を有していることが好ましい。
波長変換部材において、波長変換層はバリアフィルムを基材として形成されていてもよい。また、バリアフィルムは上述の第一のフィルムおよび第二のフィルムのいずれか、または双方に用いることもできる。第一のフィルムおよび第二のフィルムの双方がバリアフィルムであるとき、同一であっても異なっていてもよい。
バリアフィルムは、通常、少なくとも無機層を含んでいればよく、基材フィルムおよび無機層を含むフィルムであってもよい。基材フィルムについては、上記の支持体の記載を参照できる。バリアフィルムは、基材フィルム上に少なくとも一層の無機層1層と少なくとも一層の有機層を含むバリア積層体を含むものであってもよい。このように複数の層を積層することは、より一層バリア性を高めることができるため、他方、積層する層の数が増えるほど、波長変換部材の光透過率は低下する傾向があるため、良好な光透過率を維持し得る範囲で、積層数を増やすことが望ましい。具体的には、バリアフィルムは、可視光領域における全光線透過率が80%以上であり、かつ酸素透過度が1cm3/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。ここで、上記酸素透過度は、測定温度23℃、相対湿度90%の条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値である。また、可視光領域とは、380〜780nmの波長領域をいうものとし、全光線透過率とは、可視光領域にわたる光透過率の平均値を示す。
バリアフィルムの酸素透過度は、より好ましくは、0.1cm3/(m2・day・atm)以下、より好ましくは、0.01cm3/(m2・day・atm)以下である。可視光領域における全光線透過率は、より好ましくは90%以上である。酸素透過度は低いほど好ましく、可視光領域における全光線透過率は高いほど好ましい。
「無機層」とは、無機材料を主成分とする層であり、好ましくは無機材料のみから形成される層である。これに対し、有機層とは、有機材料を主成分とする層であって、好ましくは有機材料が50質量%以上、更には80質量%以上、特に90質量%以上を占める層を言うものとする。
無機層を構成する無機材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属、または無機酸化物、窒化物、酸化窒化物等の各種無機化合物を用いることができる。無機材料を構成する元素としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウムおよびセリウムが好ましく、これらを一種または二種以上含んでいてもよい。無機化合物の具体例としては、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム合金、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタンを挙げることができる。また、無機層として、金属膜、例えば、アルミニウム膜、銀膜、錫膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜を設けてもよい。
無機層の形成方法としては、特に限定されず、例えば成膜材料を蒸発ないし飛散させ被蒸着面に堆積させることができる各種成膜方法を用いることができる。
有機層としては、特開2007−290369号公報段落0020〜0042、特開2005−096108号公報段落0074〜0105を参照できる。なお有機層は、カルドポリマーを含むことが好ましい。これにより、有機層と隣接する層との密着性、特に、無機層とも密着性が良好になり、より一層優れたガスバリア性を実現することができるからである。カルドポリマーの詳細については、特開2005−096108号公報段落0085〜0095を参照できる。有機層の膜厚は、0.05μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5〜10μmの範囲内であることが好ましい。有機層がウェットコーティング法により形成される場合には、有機層の膜厚は、0.5〜10μmの範囲内、中でも1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、ドライコーティング法により形成される場合には、0.05μm〜5μmの範囲内、中でも0.05μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。ウェットコーティング法またはドライコーティング法により形成される有機層の膜厚が上述した範囲内であることにより、無機層との密着性をより良好なものとすることができるからである。
本発明の更なる態様は、上記波長変換部材の製造方法に関する。
一態様では、上記製造方法は、隣接層の主表面と量子ドット含有重合性組成物を接触させた後、量子ドット含有重合性組成物に、酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施すことを含む。なおここで順次とは、必ずしもエネルギー付与の処理の次の工程として重合処理が連続的に行われることに限定されるものではなく、エネルギー付与の後に、例えば乾燥処理等の他の処理を経た後に、重合処理が行われることも包含するものとする。
2つの隣接層の少なくとも一方の主表面と量子ドット含有重合性組成物を接触させた後、量子ドット含有重合性組成物に、酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施す。更なる一態様では、上記エネルギー付与を、2つの隣接層のそれぞれの主表面と量子ドット含有重合性組成物を接触させた後に行う。
本発明の一態様にかかるバックライトユニットは、上述の波長変換部材と、光源と、を少なくとも含む。波長変換部材の詳細は、先に記載した通りである。
高輝度かつ高い色再現性の実現の観点からは、バックライトユニットとして、多波長光源化されたものを用いることが好ましい。好ましい一態様としては、
430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する青色光と、
500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する緑色光と、
600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する赤色光と、
を発光するバックライトユニットを挙げることができる。
より一層の輝度および色再現性の向上の観点から、バックライトユニットが発光する青色光の波長帯域は、440〜480nmの範囲であることが好ましく、440〜460nmの範囲であることがより好ましい。
同様の観点から、バックライトユニットが発光する緑色光の波長帯域は、510〜560nmの範囲であることが好ましく、510〜545nmの範囲であることがより好ましい。
また、同様の観点から、バックライトユニットが発光する赤色光の波長帯域は、600〜650nmの範囲であることが好ましく、610〜640nmの範囲であることがより好ましい。
または他の態様では、光源として、300nm〜430nmの波長帯域に発光中心波長を有する紫外光を発光するもの、例えば、紫外光発光ダイオードを用いることができる。この場合、波長変換層には、量子ドットA、Bとともに、励起光により励起され青色光を発光する量子ドットCが含まれることが好ましい。これにより、波長変換部材から発光される赤色光、緑色光および青色光により、白色光を具現化することができる。
また他の態様では、青色光を発光する青色レーザー、緑色光を発光する緑色レーザー、赤色光を発光する赤色レーザーからなる群から選ばれる光源の二種を用い、これら光源が出射する光とは異なる発光波長を有する蛍光を発光する量子ドットを、波長変換層に存在させることにより、光源から発光される二種の光と、波長変換層の量子ドットから発光される光により、白色光を具現化することもできる。
また他の態様では、発光ダイオードはレーザー光源で代用することができる。
バックライトユニットの構成は、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であってもよい。図1には、一態様として、エッジライト方式のバックライトユニットの例を示した。導光板としては、公知のものを何ら制限なく使用することができる。
本発明の一態様にかかる液晶表示装置は、上述のバックライトユニットと、液晶セルと、を少なくとも含む。
液晶セルの駆動モードについては特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等の種々のモードを利用することができる。液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、またはTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。VAモードの液晶表示装置の構成としては、特開2008−262161号公報の図2に示す構成が一例として挙げられる。ただし、液晶表示装置の具体的構成には特に制限はなく、公知の構成を採用することができる。
バックライト側偏光板14は、偏光子12が、2枚の偏光板保護フィルム11および13で挟まれた構成であることが好ましい。
本明細書中、偏光子に対して液晶セルに近い側の偏光板保護フィルムをインナー側偏光板保護フィルムと言い、偏光子に対して液晶セルから遠い側の偏光板保護フィルムをアウター側偏光板保護フィルムと言う。図2に示す例では、偏光板保護フィルム13がインナー側偏光板保護フィルムであり、偏光板保護フィルム11がアウター側偏光板保護フィルムである。
1.バリアフィルム10の作製
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡社製、商品名:コスモシャイン(登録商標)A4300、厚さ50μm、幅1000mm、長さ100m)の片面側に以下の手順で有機層および無機層を順次形成した。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセルサイテック社製TMPTA)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)を用意し、質量比率として、前者:後者=95:5となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度15%の塗布液とした。この塗布液を、ダイコーターを用いてロールトウロールにて上記PETフィルム上に塗布し、50℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた。その後、窒素雰囲気下で紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)し、紫外線硬化にて硬化させ、巻き取った。支持体上に形成された第一有機層の厚さは、1μmであった。
量子ドット含有重合性組成物として、下記の量子ドット分散液1を調製し、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過した後、30分間減圧乾燥して塗布液として用いた。以下のトルエン分散液中の量子ドット濃度は、1質量%であった。
量子ドット分散液1
──────────────────────────────────────
量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:530nm) 10質量部
量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:620nm) 1質量部
ラウリルメタクリレート 80.8質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 18.2質量部
光重合開始剤 1質量部
(イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)
シランカップリング剤A 3質量部
(KBM-5103 信越化学工業社製)
光酸発生剤a 0.775質量部
(イルガキュア250(BASF社製))
──────────────────────────────────────
量子ドット1、2としては、下記のコア‐シェル構造(InP/ZnS)を有するナノ結晶を用いた。
量子ドット1:INP530―10(NN-labs社製)
量子ドット2:INP620−10(NN-labs社製)
量子ドット分散液1の粘度は50mPa・sであった。
紫外線の照射により塗膜を硬化させて波長変換層(硬化層)を形成し、波長変換部材1を製造した。波長変換部材の硬化層の厚みは約50μmであった。こうして、波長変換層の両表面上にそれぞれバリアフィルム10を有し、かつ波長変換層の両主表面がバリアフィルム10の無機層と直接接している波長変換部材1を得た。
実施例1において、光酸発生剤aを下記光酸発生剤b(下記2種の塩の混合物:ダウケミカル製UVI−6990、下記においてnは繰り返し単位数)に変更した点以外は同様にして、波長変換部材2を作製した。
実施例1において、光酸発生剤aを光酸発生剤c(トリフェニルスルホニウム−トリフルオロメタンスルホネート)に変更した点以外は同様にして、波長変換部材3を作製した。
実施例1において、光酸発生剤を熱酸発生剤d(パラトルエンスルホン酸トリエチルアミン塩)に変更し、ラミネートの方法を以下のように変更した点以外は同様にして、波長変換部材4を作製した。
第一のフィルムを1m/分、60N/mの張力で連続搬送しながら、ダイコーターから塗布液を第一のフィルム(バリアフィルム10)の表面に塗布し、50μmの厚さの塗膜を形成した。次いで、塗膜の形成された第一のフィルムを温風によるゾーン加熱により100℃2分間加熱した。その後、バックアップローラに巻きかけ、塗膜の上に第二のフィルムとして別のバリアフィルム10をラミネートした。第一のフィルムと第二のフィルムとで塗膜を挟持した状態でバックアップローラに巻きかけ、連続搬送しながら紫外線を照射した。バックアップローラの直径はφ300mmであり、バックアップローラの温度は50℃であった。紫外線の照射量は2000mJ/cm2であった。また、L1は50mm、L2は1mm、L3は50mmであった。
量子ドット含有重合性組成物として、下記の量子ドット分散液5を使用した点以外は、実施例1と同様にして波長変換部材5を作製した。下記量子ドット1、2のトルエン分散液は、量子ドット分散液1で用いたものと同じである。
──────────────────────────────────────
量子ドット分散液5
──────────────────────────────────────
量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:530nm) 10質量部
量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:620nm) 1質量部
エポキシ樹脂(Optocast 3553、EMI社製) 101質量部
シランカップリング剤B 3質量部
(KBE−903 信越化学工業社製)
光酸発生剤a 0.775質量部
(イルガキュア250 BASF社製)
──────────────────────────────────────
実施例1において、光酸発生剤aを次に示す光酸発生剤e(前述のPAG3-1)に変更した点以外は同様にして、波長変換部材6を作製した。
実施例1において、光酸発生剤aを次に示す光酸発生剤fに変更した点以外は同様にして、波長変換部材7を作製した。
実施例5において、光酸発生剤aを上記の光酸発生剤fに変更した点以外は同様にして、波長変換部材8を作製した。
実施例1において、光酸発生剤を添加しなかった点以外は同様にして、波長変換部材11を作製した。
量子ドット含有重合性組成物として、下記の量子ドット分散液12を使用した点以外は、実施例1と同様にして波長変換部材12を作製した。下記量子ドット1、2のトルエン分散液は、量子ドット分散液1で用いたものと同じである。
量子ドット分散液12
──────────────────────────────────────
量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:530nm) 10質量部
量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:620nm) 1質量部
ラウリルメタクリレート 80.8質量部
トリメチロールトリプロパンアクリレート 18.2質量部
光重合開始剤 1質量部
(イルガキュア819(BASF社製)
シランカップリング剤A 3質量部
(KBM-5103 信越化学工業社製)
プロトン酸1(パラトルエンスルホン酸) 0.17質量部
──────────────────────────────────────
量子ドット含有重合性組成物として、下記の量子ドット分散液123使用した点以外は、実施例1と同様にして波長変換部材13を作製した。下記量子ドット1、2のトルエン分散液は、量子ドット分散液1で用いたものと同じである。
量子ドット分散液13
──────────────────────────────────────
量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:530nm) 10質量部
量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:620nm) 1質量部
ラウリルメタクリレート 64質量部
トリメチロールトリプロパンアクリレート 14.5質量部
光重合開始剤 1質量部
(イルガキュア819(BASF社製)
シランカップリング剤C 3質量部
(KBM-5103 信越化学工業社製)
下記プロトン酸2 3質量部
──────────────────────────────────────
実施例5において、光酸発生剤a(BASF社製イルガキュア250)に代えて、プロトン酸1(パラトルエンスルホン酸)を同量加えた以外は実施例5と同様にして波長変換部材14を作製した。
作製した波長変換部材を、温度25℃相対湿度60%に保たれた部屋に置き調湿を1時間行った後に、4cm×4cmのトムソン刃による打ち抜き器によって打ち抜いて5枚のシート試料を得た。
打ち抜いた4cm×4cmの平面視が正方形のシート試料について、その正方形の各辺における波長変換層とバリアフィルムとの界面の剥がれ具合を、以下の基準に基づいて、1試料当たり4点を最高点として点数化した。
0.00点:界面の剥がれの発生がない。
0.25点:界面の剥がれの発生がしている領域が、一辺の25%以下。
0.50点:界面の剥がれの発生がしている領域が、一辺の25%超から50%以下。
0.75点:界面の剥がれの発生がしている領域が、一辺の50%超から75%以下。
1.00点:界面の剥がれの発生がしている領域が、一辺の75%超。
5枚のシート試料について点数を合計し、以下のように評価を行い、その結果を下記表2に記載した。
A:点数0点以上5点以下
B:点数5点超10点以下
C:点数10点超15点以下
D:点数15点超20点以下
実施例、比較例の波長変換部材(シート試料)を量子ドット分散液の調液直後(1時間以内)に作製した場合と、温度25℃相対湿度60%の部屋で調液後、同じ部屋の中で3日間保管後に作製した場合とで、1平方メートル当たりの塊状の異物の増加個数(保管後−調液直後)を測定し、ランク付けした。塊状の異物の個数は、1平方メートルサイズのクロスニコル配置した2枚の偏光板の間に上記シート試料を挟み目視で観察し計測した。異物のサイズは10μm〜500μm程度であった。
1平方メートル当たりの塊状の異物の増加個数から、以下の評価基準により液安定性を評価した。結果を、下記表2に示す。
(評価基準)
A:1個未満
B:1個以上5個未満
C:5個以上
市販のタブレット端末(Amazon社製Kindle(登録商標)Fire HDX 7”)を分解し、バックライトユニットを取り出した。取り出したバックライトユニットの導光板上に矩形に切り出した実施例、比較例の波長変換部材を置き、その上に表面凹凸パターンの向きが直交した2枚のプリズムシートを重ね置き、液晶表示装置を作製した。
作製した液晶表示装置を点灯し、見込み角を小さくできるよう十分遠方(2m以上離れたところ)から、全画面の輝度を真正面からイメージング色彩輝度計(プロメトリック ラディアント イメージング社製)で測定した。測定結果から、外周領域(画面4辺の端から内側1cmまでの領域)において、画面中央部で測定される輝度から15%以上輝度が低下している領域の割合を求め、以下の評価基準により評価した。結果を下記表2に示す。
(評価基準)
A:15%以上の輝度低下が発生している領域が、外周領域の25%以下。
B:15%以上の輝度低下が発生している領域が、外周領域の25%超50%以下。
C:15%以上の輝度低下が発生している領域が、外周領域の50%超75%以下。
D:15%以上の輝度低下が発生している領域が、外周領域の75%超。
表2に示す結果から、実施例の波長変換部材は、打ち抜きによる波長変換層とバリアフィルムとの界面端部の剥離が少なく、波長変換層とバリアフィルムとの密着性が良好であることが確認できる。
表2に示すように実施例の波長変換部材を備えた液晶表示装置において外周領域における輝度低下が抑制されていることについては、本発明者らは、波長変換層とバリアフィルムとの界面端部の剥離が少なく界面端部から波長変換層への酸素の侵入が抑制されていることにより、量子ドットの発光効率が端部においても良好に維持されていることを示す結果であると考えている。
また、表2に示すように、実施例で用いた量子ドット含有重合性組成物は、液安定性も良好であった。この点には、実施例では比較例と異なり光照射や加熱というエネルギー付与によってプロトン酸を発生する酸発生剤を用いたことが寄与していると、本発明者らは推察している。
Claims (21)
- 励起光により励起され蛍光を発光する量子ドット、
重合性化合物、
シランカップリング剤、および、
エネルギー付与によりプロトン酸を発生する酸発生剤、
を含む、量子ドット含有重合性組成物。 - 前記酸発生剤は、光照射によるエネルギー付与によりプロトン酸を発生する光酸発生剤および加熱によるエネルギー付与によりプロトン酸を発生する熱酸発生剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記プロトン酸の分子量は、500以下である請求項1または2に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記プロトン酸の分子量は、300以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記重合性化合物の重合を開始可能な重合開始剤を更に含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記重合開始剤は光重合開始剤である請求項5に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記重合性化合物は、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物からなる群から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記重合性化合物は、単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記重合性化合物は、エポキシ化合物を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の量子ドット含有重合性組成物。
- 前記量子ドットは、
600nm〜680nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットA、
500nm〜600nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットB、および
400nm〜500nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドットC、
からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜9のいずれか1項に記載の量子ドット含有重合性組成物。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の量子ドット含有重合性組成物に、前記プロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施し形成された波長変換層、ならびに、
前記波長変換層の一方の主表面と隣接する隣接層、
を少なくとも含む波長変換部材。 - 前記隣接層は、無機層である請求項11に記載の波長変換部材。
- 前記波長変換層の一方の主表面と隣接する隣接層および他方の主表面と隣接する隣接層を有する請求項11または12に記載の波長変換部材。
- 前記2つの隣接層は、いずれも無機層である請求項13に記載の波長変換部材。
- 前記波長変換層の厚みは、10〜300μmの範囲である請求項11〜14のいずれか1項に記載の波長変換部材。
- 請求項11〜15のいずれか1項に記載の波長変換部材と、
光源と、
を少なくとも含むバックライトユニット。 - 前記光源は、430nm〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する請求項16に記載のバックライトユニット。
- 請求項16または17に記載のバックライトユニットと、
液晶セルと、
を少なくとも含む液晶表示装置。 - 請求項11または12に記載の波長変換部材の製造方法であって、
前記隣接層の主表面と前記量子ドット含有重合性組成物を接触させた後、前記量子ドット含有重合性組成物に、前記酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施すことを含む、前記製造方法。 - 請求項13または14に記載の波長変換部材の製造方法であって、
前記2つの隣接層の少なくとも一方の主表面と前記量子ドット含有重合性組成物を接触させた後、前記量子ドット含有重合性組成物に、前記酸発生剤からプロトン酸を発生させるエネルギー付与および重合処理を同時または順次施すことを含む、前記製造方法。 - 前記エネルギー付与を、前記2つの隣接層のそれぞれの主表面と前記量子ドット含有重合性組成物を接触させた後に行う、請求項20に記載の製造方法。
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