JP2016139549A - リチウムイオン電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】寿命に優れ、高入出力で、高体積エネルギー密度を有するリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】リチウム・マンガン複合酸化物、及びカーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂を含む正極を備えるリチウムイオン電池。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池に関するものである。
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度の二次電池であり、その特性を活かして、ノートパソコンや携帯電話等のポータブル機器の電源に使用されている。リチウムイオン電池の形状には種々のものがあるが、円筒形リチウムイオン電池は、正極、負極及びセパレータの捲回式構造を採用している。例えば、2枚の帯状の金属箔に正極材料及び負極材料をそれぞれ塗着し、その間にセパレータを挟み込み、これらの積層体を渦巻状に捲回することで捲回群を形成する。この捲回群を、電池容器となる円筒形の電池缶内に収納し、電解液を注液後、封口することで、円筒形リチウムイオン電池が形成される。
円筒形リチウムイオン電池としては、18650型リチウムイオン電池が、民生用リチウムイオン電池として広く普及している。18650型リチウムイオン電池の外径寸法は、直径18mmで、高さ65mm程度の小型である。18650型リチウムイオン電池の正極活物質には、高容量、長寿命を特徴とするコバルト酸リチウムが主として用いられており、電池容量は、おおむね1.0〜2.0Ah(3.7〜7.4Wh)程度である。
近年、リチウムイオン電池は、ポータブル機器用等の民生用途にとどまらず、太陽光や風力発電といった自然エネルギー向け大規模蓄電システム用途への展開が期待されている。大規模蓄電システムにおいては、システムあたりの電力量が数MWhのオーダーで必要となる。
例えば、下記特許文献1には、円筒形電池容器に正極、負極及びセパレータを捲回した電極捲回群を有する円筒形リチウムイオン電池が開示されている。この電池は、放電容量30Ah以上であり、正極には、リチウム・マンガン複合酸化物を含む正極活物質合剤(正極合剤)が用いられ、負極には、非晶質炭素を含む負極活物質合剤(負極合剤)が用いられている。
国際公開第2013/128677号
リチウムイオン電池は、近年、電気自動車、ハイブリッド型電気自動車等に用いられる高入出力用電源としても注目されている。このような自動車分野への適用において、高出力化、高容量及び長寿命化に加え、回生によるエネルギーの利用効率向上のために優れた入力特性をも要求されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているリチウムイオン電池では、入出力特性及び寿命特性が、十分でないことが、本発明者らの検討結果から明らかとなった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、入出力特性及び寿命特性に優れるリチウムイオン電池を提供することにある。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>リチウム・マンガン複合酸化物、及びカーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂を含む正極合剤を正極に備えるリチウムイオン電池。
<2>前記カーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂に含まれるカーボンナノチューブの含有量が、正極合剤の全量に対して、0.01質量%以上1質量%以下である、前記<1>に記載のリチウムイオン電池。
本発明によれば、入出力特性及び寿命特性に優れるリチウムイオン電池を提供することができる。
本実施の形態のリチウムイオン電池の断面図である。
以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態)
まず、リチウムイオン電池の概要について簡単に説明する。リチウムイオン電池は、電池容器内に、正極、負極、セパレータ及び電解液を有している。正極と負極との間にはセパレータが配置されている。
リチウムイオン電池を充電する際には、正極と負極との間に充電器を接続する。充電時においては、正極活物質内に挿入されているリチウムイオンが脱離し、電解液中に放出される。電解液中に放出されたリチウムイオンは、電解液中を移動し、微多孔質膜からなるセパレータを通過して、負極に到達する。この負極に到達したリチウムイオンは、負極を構成する負極活物質内に挿入される。
放電する際には、正極と負極の間に外部負荷を接続する。放電時においては、負極活物質内に挿入されていたリチウムイオンが脱離して電解液中に放出される。このとき、負極から電子が放出される。そして、電解液中に放出されたリチウムイオンは、電解液中を移動し、微多孔質膜からなるセパレータを通過して、正極に到達する。この正極に到達したリチウムイオンは、正極を構成する正極活物質内に挿入される。このとき、正極活物質にリチウムイオンが挿入することにより、正極に電子が流れ込む。このようにして、負極から正極に電子が移動することにより放電が行われる。
このように、リチウムイオンを正極活物質と負極活物質との間で挿入・脱離することにより、充放電することができる。尚、実際のリチウムイオン電池の構成例については、後述する(例えば、図1参照)。
次いで、本実施の形態のリチウムイオン電池の構成要素である正極、負極、電解液、セパレータ及びその他の構成部材に関し順次説明する。
1.正極
本実施の形態においては、高容量で高入出力のリチウムイオン電池に適用可能な以下に示す正極を有する。本実施形態の正極(正極板)は、集電体及びその上部に形成された正極合剤よりなる。正極合剤は、集電体の上部に設けられた少なくとも正極活物質を含む層であり、本実施形態においては、リチウム・マンガン複合酸化物を含む。
リチウム・マンガン複合酸化物としては、例えば、スピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)が挙げられる。
正極活物質としては、高容量化の観点から、スピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)と、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)を併用して用いることが好ましい。
スピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)と層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)を正極活物質に用いる場合、その質量比(混合比)であるNMC/sp−Mnを10/90以上70/30以下とすることが好ましい。
活物質の質量比(NMC/sp−Mn)が10/90以上にすると、電池のエネルギー密度が向上する傾向がある。一方、活物質の質量比(NMC/sp−Mn)が70/30以下であると、安全性が向上する傾向がある。
また、スピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)として、以下の組成式(化1)で表されるものを用いることが好ましい。
Li(1+η)Mn(2-λ)M’λ4 …(化1)
上記組成式(化1)において、(1+η)はLiの組成比、(2−λ)はMnの組成比、λは元素M’の組成比を示す。O(酸素)の組成比は4である。
また、上記組成式(化1)において、元素M’は、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、及びCu(銅)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
また、上記組成式(化1)において、0≦η≦0.2、0≦λ≦0.1である。
また、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)としては、以下の組成式(化2)で表されるものを用いることが好ましい。
Li(1+δ)MnxNiyCo(1-x-y-z)z2 …(化2)
上記組成式(化2)において、(1+δ)はLi(リチウム)の組成比、xはMn(マンガン)の組成比、yはNi(ニッケル)の組成比、(1−x−y−z)はCo(コバルト)の組成比を示す。zは、元素Mの組成比を示す。O(酸素)の組成比は2である。
また、上記組成式(化2)において、元素Mは、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Al、Si(シリコン)、Ga、Ge(ゲルマニウム)及びSn(錫)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
また、上記組成式(化2)において、−0.15<δ<0.15、0.1<x≦0.5、0.6<x+y+z≦1.0、0≦z≦0.1である。
このように、正極用の活物質(正極活物質)として、スピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)と層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)との混合物を用いることで、高容量化しても、充電時の正極の安定性を高め、発熱を抑制することができる。その結果、安全性に優れた電池を提供することができる。また、充放電サイクル特性や貯蔵特性も優れたものとすることができる。
上記組成式(化1)における元素M’としては、Mg又はAlを用いることが好ましい。MgやAlを用いることにより、電池の長寿命化を図ることができる。また、電池の安全性の向上を図ることができる。
正極活物質としてスピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)を用いた場合、充電状態において化合物中のMnが安定であるため、充電反応による発熱を抑制できる。
これにより、電池の安全性を向上させることができる。すなわち、正極における発熱を抑制でき、電池の安全性を高めることができる。
更に、元素M’を加えることで、Mnの溶出を低減できるため、貯蔵特性や充放電サイクル特性を向上させることができる。
正極活物質としては、リチウム・マンガン複合酸化物以外のリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リチウム塩、カルコゲン化合物、二酸化マンガン等を含んでいてもよい。リチウム・マンガン複合酸化物以外のリチウム含有複合金属酸化物としては、例えば、LixCoO2、LixNiO2、LixCoyNi1-yO2、LixCoyM1-yOz、LixNi1-yMyOz、LiMPO4、Li2MPO4F(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3である。)が挙げられる。ここで、リチウムのモル比を示すx値は、充放電により増減する。また、オリビン型リチウム塩としては、例えば、LiFePO4等が挙げられる。カルコゲン化合物としては、例えば、二硫化チタン、二硫化モリブデン等が挙げられる。正極活物質は1種を単独で使用でき、又は2種以上を併用できる。
以下に、正極合剤及び集電体について詳細に説明する。正極合剤は、正極活物質や結着材等を含有し、集電体上に形成される。その形成方法に制限はないが、例えば次のように形成される。正極活物質、導電材、結着材、及び必要に応じて用いられる増粘剤等の他の材料を乾式で混合してシート状にし、これを集電体に圧着する(乾式法)。また、正極活物質、導電材、結着材、及び必要に応じて用いられる増粘剤等の他の材料を分散溶媒に溶解又は分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布し、乾燥する(湿式法)。
正極活物質の粒子としては、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等のものが用いられる。中でも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
電池のような電気化学素子においては、その充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パスの切断等の劣化が生じやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子を用いるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものを用いる方が、膨張収縮のストレスを緩和し、上記劣化を防ぐことができるため好ましい。また、板状等の軸配向性の粒子よりも球状ないし楕円球状の粒子を用いる方が、電極内における配向が少なくなるため、充放電時の電極の膨張収縮が小さくなり好ましい。また、電極の形成時において、導電材等の他の材料とも均一に混合されやすいため好ましい。
スピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)の正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子のメジアン径d50)について、その範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、上限は、20μm以下、好ましくは18μm以下、より好ましくは16μm以下、更に好ましくは15μm以下である。上記下限以上であると、タップ密度(充填性)が向上し、所望のタップ密度が得られやすく、上記上限以下であると粒子内のリチウムイオンの拡散に時間がかからないため、高い電池性能が得られる。また、上記上限以下であると、電極の形成時において、結着材や導電材等の他の材料との混合性が良好である。よって、この混合物をスラリー化し塗布する際に、均一に塗布できず、スジを引く等の問題を生じにくい。ここで、正極活物質として、異なるメジアン径d50をもつものを2種類以上混合することで、タップ密度(充填性)を向上させてもよい。尚、メジアン径d50は、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布から求めることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合における一次粒子の平均粒径について、その範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.08μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、上限は、3μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.6μm以下である。上記上限以下であると球状の二次粒子が形成しやすくなり、タップ密度(充填性)の向上や、比表面積の向上により、出力特性等の電池性能が良好になる。また、上記下限以上では、結晶性が高いため、充放電の可逆性が優れる。
スピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)等の正極活物質の粒子のBET比表面積について、その範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.2m2/g以上、好ましくは0.3m2/g以上、より好ましくは0.4m2/g以上であり、上限は、4.0m2/g以下、好ましくは2.5m2/g以下、より好ましくは1.5m2/g以下である。上記下限以上であると、高い電池性能が得られる。上記上限以下であるとタップ密度が上がりやすくなり、結着材や導電材等の他の材料との混合性が良好である。よって、この混合物をスラリー化し塗布する際の塗布性が良好である。BET比表面積は、BET法により求められた比表面積(単位gあたりの面積)である。
正極用の導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)及びアセチレンブラックを含むことが好ましい。
本実施形態で使用するアセチレンブラックは、平均粒径が20nm以上100nm以下の粒子が好ましく、この粒径範囲であれば特に制限はない。ここで粒子とは、例えば、粒状、フレーク状、球状、柱状、不規則形状が挙げられる。前記「粒状」とは、不規則形状のものではなくほぼ等しい寸法をもつ形状である(JIS Z2500:2000)。前記フレーク状(片状)とは、板のような形状であり(JIS Z2500:2000)、鱗のように薄い板状であることから鱗片状とも言われ、本実施形態においては、SEM観察の結果から解析を行い、アスペクト比(粒子径a/平均厚さt)が2〜100の範囲を片状とする。ここでいう粒子径aは、片状の粒子を平面視したときの面積Sの平方根として定義するものとし、これを本願の粒径とする。前記「球状」とは、ほぼ球に近い形状である(JIS Z2500:2000参照)。また、形状は必ずしも真球状である必要はなく、粒子の長径(DL)と短径(DS)との比(DL)/(DS)(球状係数あるいは真球度と言うことがある)が1.0〜1.2の範囲にあるものとし、本願の粒径とは長径(DL)を指すものとする。
前記柱状とは、略円柱、略多角柱等が挙げられ、本願の粒径とは柱の高さを指すものとする。
導電材に含まれるアセチレンブラックは平均粒径が100nm以下であると、正極活物質との接触点が多くなって活物質間の導電網が確保され、電池の入出力特性が低下する傾向がある。また、平均粒径が20nm未満になると、正極合剤中での分散性が悪くなり、アセチレンブラックの偏析等の悪影響によって電池性能の低下が顕著になる。このように、アセチレンブラックの平均粒径は、20nm以上100nm以下が好ましいが、30nm以上80nm以下であることがより好ましく、40nm以上60nm以下であることが更に好ましい
また、本発明の導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)を含むことが好ましい。前記黒鉛の平均粒径は1μm以上10μm以下であることが好ましい。
前記黒鉛は、X線広角回折法における炭素網面層間(d002)が、0.3354nm以上0.337nm以下であることが好ましい。
黒鉛とアセチレンブラックの含有割合は、活物質の空隙充填性及び導電性の観点から、例えば、黒鉛をA1、アセチレンブラックをA2とすると、その質量比A1/A2は10/1以上1/100以下であることが好ましい。
尚、本明細書でいう導電材の平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍で撮影し、画像内粒子像の全ての径を測定した算術平均粒子径である。
導電材の含有量は、正極合剤の全量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である、導電材の含有量の上限は、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。上記下限以上では、導電性が充分である。また、上記上限以下であると、高い電池容量が得られる。
更に、前記導電材に含まれるアセチレンブラックの含有量は、導電性と高容量化の観点から、正極合剤全量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1.1以上6.0質量%以下であることがより好ましい。アセチレンブラックの含有量が1質量%以上であると高い導電性が得られる。また、アセチレンブラックの含有量が10質量%以下である場合は、高い電池容量が得られる。
正極活物質の結着材としては、カーボンナノチューブ(CNT)分散フッ素系樹脂を用いる。
前記カーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂は、例えば、以下のようにして調整する。まず、所定量のカーボンナノチューブを、フッ素系樹脂を溶解させた溶液で予備混合する。この混合溶液を、湿式メディアレス高圧分散処理装置等を用いて分散処理する。処理条件としては、例えば、内径1mmの配管型ジェネレータを装着した分散装置に30MPaの圧力で数回循環処理することでカーボンナノチューブ分散フッ素樹脂を得ることができる。
前記カーボンナノチューブは、直径が100nm以下であることが好ましい。均一で高い導電性と樹脂補強効果の観点から20nm以下であることがより好ましい。また、下限値は、カーボンナノチューブの繊維強度と分散性の観点から3nm以上であることが好ましい。
前記カーボンナノチューブの添加量は、特に限定されるものではないが、導電性と樹脂補強効果の観点から、フッ素系樹脂に対し30質量%以下であることが好ましい。30質量%以下であると、高いフッ素系樹脂の強度が得られる。また、下限値は、フッ素系樹脂の強度の観点から0.1質量%以上であることが好ましい。
フッ素系樹脂のカーボンナノチューブの含有量は、正極合剤の全量に対して次のとおりである。範囲の下限は、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限は、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。カーボンナノチューブの含有量が0.01質量%以上であると正極合剤の導電性及び合剤強度を十分に確保でき、正極の機械的強度が高く、サイクル特性等の電池性能が良好である。また、1質量%以下であると、電極製造時に作製するスラリーが過度に増粘することがなく、作業性良く電極を塗工することができ、また、結着材であるフッ素系樹脂がカーボンナノチューブを充分に複合化することができ、高い機械的強度が得られる。
前記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体が挙げられる。前記フッ素系樹脂のうち、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。正極の安定性の観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)又はポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体を用いることが好ましい。尚、正極活物質の結着材としては、前記フッ素系樹脂以外の樹脂を用いてもよい。前記フッ素系樹脂以外の樹脂としては、分散溶媒に対する溶解性や分散性が良好な材料が選択される。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子が挙げられる。
前記カーボンナノチューブは、例えば、国際公開第2012/057229号に記載の方法で作製することができる。
カーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂の含有量(添加量、割合、量)について、正極合剤の質量に対する結着材の含有量の範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、上限は、80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。結着材の含有量が低すぎると、正極活物質を充分に結着できず、正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を劣化させてしまう恐れがある。逆に、高すぎると、電池容量や導電性が低下する恐れがある。
上記湿式法や乾式法を用いて集電体上に形成された層は、正極活物質の充填密度を向上させるため、ハンドプレスやローラープレス等により圧密化することが好ましい。
正極用の集電体の材質としては特に制限はなく、具体例としては、アルミニウム、スンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料; カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。具体例としては、金属材料については、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素質材料については、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜を用いることが好ましい。尚、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。薄膜の厚さは任意であるが、その範囲は次のとおりである。範囲の下限は、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限は、1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。上記下限以上では、集電体として必要な強度が得られる。また、上記上限以下であると可撓性が高く、加工性が良好である。
本発明で使用する正極合剤は、密度が2.4g/cm3以上2.7g/cm3以下で、集電体への片面塗布量が140g/m2以上250g/m2以下であることが好ましい。
密度が2.4g/cm3以上では正極の抵抗が低くなり、高い入出力特性が得られる。一方、正極合剤密度が2.7g/cm3以下であると安全性が高く、他の安全対策の強化が必要とならない。このような観点から、正極合剤密度は、2.45g/cm3以上2.6g/cm3以下であることがより好ましい。
正極合剤の片面塗布量が140g/m2以上では充放電に寄与する活物質の量が充分であり、電池のエネルギー密度が向上する傾向がある。一方、正極合剤の片面塗布量が250g/m2以下であると正極合剤の抵抗が低くなり、入出力特性が優れる傾向がある。このような観点から、正極合剤の正極集電体への片面塗布量は、145g/m2以上230g/m2以下であることがより好ましく、145g/m2以上210g/m2以下であることが更に好ましい。
2.負極
本実施の形態においては、高出力で高容量のリチウムイオン電池に適用可能な以下に示す負極を有する。本実施の形態の負極(負極板)は、集電体及びその両面(又は片面)に形成された負極合剤よりなる。負極合剤は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含有する。
前記負極活物質としては、炭素材料を含むことが好ましい。前記炭素材料は、結晶構造がそろった黒鉛系のものと、結晶構造が乱れた非黒鉛系のものに大別される。黒鉛系には、天然黒鉛、人造黒鉛がある、非黒鉛系では非晶質炭素があり、結晶構造が乱れてはいるものの、2000〜3000℃の加熱によって黒鉛になりやすい易黒鉛化炭素と、黒鉛になりにくい難黒鉛化炭素がある。前記非晶質炭素は、例えば、石油ピッチ、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリフルフリルアルコール、ポリシロキサンを熱処理することにより製造することが可能であり、焼成温度を変えることによって、難黒鉛化炭素としたり、易黒鉛化炭素としたりすることが可能である。例えば、500〜800℃程度の焼成温度は難黒鉛化炭素の製造に適しており、800〜1000℃程度の焼成温度は易黒鉛化炭素の製造に適している。前記難黒鉛化炭素は、X線広角回折法により得られるC軸方向の面間隔d002値が、0.36nm以上、0.40nm以下であると定義する。
前記易黒鉛化炭素は、X線広角回折法により得られるC軸方向の面間隔d002値が、0.34nm以上、0.36nm未満であることが好ましく、0.341nm以上、0.355nm以下であることがより好ましく、0.342nm以上、0.35nm以下であることが更に好ましい。
前記黒鉛は、X線広角回折法により得られるC軸方向の面間隔d002値が、0.33nm以上、0.34nm未満であることが好ましく、0.335nm以上、0.337nm以下であることがより好ましい。
炭素材料の含有割合は、負極活物質の総量に対して、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
負極活物質の平均粒子径(50%D)は、2.0〜50μmであることが好ましい。平均粒子径が5μm以上の場合、比表面積を適正な範囲とすることができ、リチウムイオン電池の初回充放電効率が優れると共に、粒子同士の接触が良く入出力特性に優れる傾向がある。一方、平均粒子径が30μm以下の場合、電極面に凸凹が発生しにくく電池の短絡を抑制できると共に、粒子表面から内部へのLiの拡散距離が比較的短くなるためリチウムイオン電池の入出力特性が向上する傾向がある。この観点から平均粒子径は、5〜30μmであることがより好ましく、10〜20μmであることが更に好ましい。尚、例えば、粒度分布は界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、商品名:SALD−3000J(「SALD」は登録商標。))で測定することができ、平均粒子径は50%Dとして算出される。
また、負極活物質としては、炭素質材料以外の負極活物質を用いることもできる。炭素質材料以外の負極活物質としては、例えば、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な材料等を併用してもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
前記金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能なものであれば特に制限はないが、Ti(チタン)、Li(リチウム)又はTi及びLiの双方を含有するものが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
また、リチウムと化合物を形成することでリチウムを吸蔵放出できるリチウム金属や、リチウムと化合物を形成し、結晶間隙に挿入されることでリチウムを吸蔵放出できる珪素、ゲルマニウム、錫等の第四族元素の酸化物又は窒化物を、上記黒鉛又は易黒鉛化炭素と併用してもよい。
また、好ましい形態としては、第2炭素質材料(導電材)として、体積基準の粒度分布がメジアン径を中心としたときに左右対称とならない炭素質材料を用いる形態がある。また、第2炭素質材料(導電材)として、負極活物質として用いる炭素質材料とラマンR値が異なる炭素質材料を用いる形態や、第2炭素質材料(導電材)として、負極活物質として用いる第1炭素質材料とX線パラメータが異なる炭素質材料を用いる形態等がある。
第2炭素質材料(導電材)としては、黒鉛質、非晶質、活性炭等の導電性の高い炭素質材料を用いることができる。具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素などを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。このように、第2炭素質材料(導電材)を添加することにより、電極の抵抗を低減する等の効果を奏する。
負極用の集電体の材質としては特に制限はなく、具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工のし易さとコストの観点から銅が好ましい。
集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。具体例としては、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタルが挙げられる。中でも、金属薄膜が好ましく、銅箔がより好ましい。銅箔には、圧延法により形成された圧延銅箔と、電解法により形成された電解銅箔とがあり、どちらも集電体として用いて好適である。
集電体の厚さに制限はないが、厚さが25μm未満の場合、純銅よりも強銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることでその強度を向上させることができる。
負極活物質を用いて形成した負極合剤の構成に特に制限はないが、負極合剤密度の範囲は次のとおりである。負極合剤密度の下限は、好ましくは0.7g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3、更に好ましくは0.9g/cm3以上であり、上限は、2g/cm3以下、好ましくは1.9g/cm3以下、より好ましくは1.8g/cm3以下、更に好ましくは1.7g/cm3以下である。
上記上限以下であると、負極活物質の粒子が破壊されにくく、初期の不可逆容量の増加や、集電体と負極活物質との界面付近への非水系電解液の浸透性の低下による高電流密度充放電特性の劣化を抑制できる。また、上記下限以上では、負極活物質間の導電性が高いため電池抵抗が低く、充分な単位容積あたりの容量が得られる。
負極活物質の結着材としては、非水系電解液や電極の形成時に用いる分散溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル− ブタジエンゴム)、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子; シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スラリーを形成するための分散溶媒としては、負極活物質、結着材、及び必要に応じて用いられる導電材や増粘剤等を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系溶媒の例としては、水、アルコールと水との混合溶媒が挙げられ、有機系溶媒の例としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサンが挙げられる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤を用いることが好ましい。この増粘剤に併せて分散材等を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。尚、上記分散溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着材の含有量の下限は、負極合剤の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上である。結着材の含有量の上限は、良好なサイクル特性等の電池性能が得られる観点から、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
上記上限以下であると、電池容量に寄与しない結着材の割合が増加し、電池容量の低下を招く可能性がある。また、上記下限未満では、負極合剤の強度の低下を招く可能性がある。
特に、結着材として、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分として用いる場合の負極合剤の質量に対する結着材の含有量の範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、上限は、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
また、結着材として、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分として用いる場合の負極合剤の質量に対する結着材の含有量の範囲は次のとおりである。範囲の下限は、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、上限は、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。
増粘剤は、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増粘剤を用いる場合の負極合剤の質量に対する増粘剤の含有量の範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、上限は、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
上記下限未満では、スラリーの塗布性が低下する恐れがある。また、上記上限を超えると、負極合剤に占める負極活物質の割合が低下し、電池容量の低下や負極活物質間の抵抗の上昇の恐れがある。
3.電解液
本実施の形態の電解液は、リチウム塩(電解質)と、これを溶解する非水系溶媒から構成される。必要に応じて、添加材を加えてもよい。
リチウム塩としては、リチウムイオン電池用の非水系電解液の電解質として使用可能なリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に示す無機リチウム塩、含フッ素有機リチウム塩やオキサラトボレート塩が挙げられる。
無機リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機フッ化物塩や、LiClO4、LiBrO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩や、LiAlCl4等の無機塩化物塩等が挙げられる。
含フッ素有機リチウム塩としては、LiCF3SO3等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CF3SO22、LiN(CF3CF2SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CF3SO23等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF32]、Li[PF3(CF2CF2CF33]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF32]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF33]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等が挙げられる。
オキサラトボレート塩としては、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等が挙げられる。
これらのリチウム塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒に対する溶解性、二次電池とした場合の充放電特性、出力特性、サイクル特性等を総合的に判断すると、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)が好ましい。
非水系電解液中の電解質の濃度に特に制限はないが、電解質の濃度範囲は次のとおりである。濃度の下限は、0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.7mol/L以上である。また、濃度の上限は、2mol/L以下、好ましくは1.8mol/L以下、より好ましくは1.7mol/L以下である。濃度が低すぎると、電解液の電気伝導率が不充分となる可能性がある。また、濃度が高すぎると、粘度が上昇するため電気伝導度が低下する可能性がある。このような電気伝導度の低下により、リチウムイオン電池の性能が低下する可能性がある。
非水系溶媒としては、リチウムイオン電池用の電解質の溶媒として使用可能な非水系溶媒であれば特に制限はないが、例えば、次の環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エステル、環状エーテル及び鎖状エーテルが挙げられる。
環状カーボネートとしては、環状カーボネートを構成するアルキレン基の炭素数が2〜6のものが好ましく、2〜4のものがより好ましい。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジアルキルカーボネートが好ましく、2つのアルキル基の炭素数が、それぞれ1〜5のものが好ましく、1〜4のものがより好ましい。具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状カーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート類等が挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
鎖状エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。中でも、低温特性改善の観点から酢酸メチルを用いることが好ましい。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。中でも、入出力特性改善の観点からテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用した混合溶媒を用いることが好ましい。例えば、環状カーボネート類の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート類や鎖状エステル類等の低粘度溶媒とを併用することが好ましい。好ましい組み合わせの一つは、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とを主体とする組み合わせである。中でも、非水系溶媒に占める環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計が、80容量%以上、好ましくは85容量%以上、より好ましくは90容量%以上であり、かつ環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計に対する環状カーボネート類の容量が次の範囲であるものが好ましい。環状カーボネート類の容量の下限は、5容量%以上、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上であり、上限は、50容量%以下、好ましくは35容量%以下、より好ましくは30容量%以下である。このような非水系溶媒の組み合わせを用いることで、電池のサイクル特性や高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)が向上する。
添加材としては、リチウムイオン電池の非水系電解液用の添加材であれば特に制限はないが、例えば、窒素、硫黄又は窒素及び硫黄を含有する複素環化合物、環状カルボン酸エステル、フッ素含有環状カーボネート、ビニレンカーボネートが挙げられる。
上記添加材以外に、求められる機能に応じて過充電防止材、負極皮膜形成材、正極保護材、高入出力材等の他の添加材を用いてもよい。
非水系電解液中における添加材の割合に特に限定はないが、その範囲は次のとおりである。尚、複数の添加材を用いる場合は、それぞれの添加材の割合を意味する。非水系電解液に対する添加材の割合の下限は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
上記他の添加剤により、過充電による異常時の急激な電極反応の抑制、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性の向上、入出力特性の向上等を図ることができる。
4.セパレータ
セパレータは、正極及び負極間を電子的には絶縁しつつもイオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性及び負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレータの材料(材質)としては、樹脂、無機物、ガラス繊維等が用いられる。
樹脂としては、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等が用いられる。具体的には、非水系電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶことが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いることが好ましい。
無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミニウムや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられる。例えば、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状の基材に付着させたものをセパレータとして用いることができる。薄膜形状の基材としては、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。また、例えば、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、樹脂等の結着材を用いて複合多孔層としたものをセパレータとして用いることができる。更に、この複合多孔層を、正極又は負極の表面に形成し、セパレータとしてもよい。例えば、90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子をフッ素樹脂を結着材として結着させた複合多孔層を、正極の表面に形成してもよい。
5.その他の構成部材
リチウムイオン電池のその他の構成部材として、開裂弁を設けてもよい。開裂弁が開放することで、電池内部の圧力上昇を抑制でき、安全性を向上させることができる。
また、温度上昇に伴い不活性ガス(例えば、二酸化炭素)を放出する構成部を設けてもよい。このような構成部を設けることで、電池内部の温度が上昇した場合に、不活性ガスの発生により速やかに開裂弁を開けることができ、安全性を向上させることができる。上記構成部に用いられる材料としては、炭酸リチウムやポリアルキレンカーボネート樹脂等が挙げられる。ポリアルキレンカーボネート樹脂としては、例えば、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリ(1,2−ジメチルエチレンカーボネート)、ポリブテンカーボネート、ポリイソブテンカーボネート、ポリペンテンカーボネート、ポリヘキセンカーボネート、ポリシクロペンテンカーボネート、ポリシクロヘキセンカーボネート、ポリシクロヘプテンカーボネート、ポリシクロオクテンカーボネート、ポリリモネンカーボネートが挙げられる。上記構成部に用いられる材料としては、炭酸リチウム、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。
(リチウムイオン電池)
まず、本発明をラミネート電池に適用した実施の形態について説明する。
ラミネート型のリチウムイオン電池は、例えば、次のようにして作製できる。まず、正極と負極を角形に切断し、それぞれの電極にタブを溶接し正負極端子を作製する。正極、絶縁層、負極をこの順番に積層した積層体を作製し、その状態でアルミニウム製のラミネートパック内に収容し、正負極端子をアルミラミネートパックの外に出し密封する。次いで、非水電解質をアルミラミネートパック内に注液し、アルミラミネートパックの開口部を密封する。これにより、リチウムイオン電池が得られる。
次に、図面を参照して、本発明を18650タイプの円柱状リチウムイオン電池に適用した実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン電池1は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器6を有している。電池容器6には、帯状の正極板2及び負極板3がセパレータ4を介して断面渦巻状に捲回された電極群5が収容されている。電極群5は、正極板2及び負極板3がポリエチレン製多孔質シートのセパレータ4を介して断面渦巻状に捲回されている。セパレータ4は、例えば、幅が58mm、厚さが30μmに設定される。電極群5の上端面には、一端部を正極板2に固定されたアルミニウム製でリボン状の正極タブ端子が導出されている。正極タブ端子の他端部は、電極群5の上側に配置され正極外部端子となる円盤状の電池蓋の下面に超音波溶接で接合されている。一方、電極群5の下端面には、一端部を負極板3に固定された銅製でリボン状の負極タブ端子が導出されている。負極タブ端子の他端部は、電池容器6の内底部に抵抗溶接で接合されている。従って、正極タブ端子及び負極タブ端子は、それぞれ電極群5の両端面の互いに反対側に導出されている。尚、電極群5の外周面全周には、図示を省略した絶縁被覆が施されている。電池蓋は、絶縁性の樹脂製ガスケットを介して電池容器6の上部にカシメ固定されている。このため、リチウムイオン電池1の内部は密封されている。また、電池容器6内には、図示しない非水電解液が注液されている。
(リチウムイオン電池の負極と正極の容量比)
本実施形態において、負極と正極の容量比(負極容量/正極容量)は、安全性とエネルギー密度の観点から1以上、1.5以下であることが好ましく、1.05〜1.3がより好ましく、1.1〜1.2が更に好ましい。1.5以下であると充電時に正極電位が4.2V以下となるため、安全性に優れる。(このときの正極電位は対Li電位をいう。)
ここで、負極容量とは、[負極の放電容量]を示し、正極容量とは、[正極の初回充電容量−負極又は正極のどちらか大きい方の不可逆容量]を示す。ここで、[負極の放電容量]とは、負極活物質に挿入されているリチウムイオンが脱離されるときに充放電装置で算出されるものと定義する。また、[正極の初回充電容量]とは、正極活物質からリチウムイオンが脱離されるときに充放電装置で算出されるものと定義する。
負極と正極の容量比は、例えば、「リチウムイオン電池の放電容量/負極の放電容量」からも算出することができる。リチウムイオン電池の放電容量は、例えば、4.2V、0.1〜0.5C、終止時間を2〜5時間とする定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.1〜0.5Cで2.7Vまで定電流(CC)放電したときの条件で測定できる。負極の放電容量は、前記リチウムイオン電池の放電容量を測定した負極を所定の面積に切断し、対極としてリチウム金属を用い、電解液を含浸させたセパレータを介して単極セルを作製し、0V、0.1C、終止電流0.01Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.1Cで1.5Vまで定電流(CC)放電したときの条件で所定面積当たりの放電容量を測定し、これを前記リチウムイオン電池の負極として用いた総面積に換算することで算出できる。この単極セルにおいて、負極活物質にリチウムイオンが挿入される方向を充電、負極活物質に挿入されているリチウムイオンが脱離する方向を放電、と定義する。
尚、電流値の単位として用いる“C”とは“電流値(A)/電池の放電容量(Ah)”を意味する。
以下、実施例に基づき本実施の形態を更に詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[カーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂]
カーボンナノチューブは、国際公開第2012/057229号に準ずる手法で合成を実施したものを用いた。フッ素系樹脂としてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を500gに対し、合成したカーボンナノチューブを0.12g(実施例1)、0.06g(実施例2)、0.024g(実施例3)の割合で予備混合した後、得られた溶液を湿式メディアレス高圧分散処理装置(商品名:ナノヴェイタ、吉田機械興業株式会社製(「ナノヴェイタ」は登録商標。))を用い分散処理した。処理条件としては、内径1mmの配管型ジェネレータを装着した分散装置で、吐出圧力30MPaで5回循環処理をした。
[正極板の作製]
正極板の作製を以下のように行った。正極活物質である層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)とスピネル型リチウム・マンガン酸化物(sp−Mn)とを、活物質の質量比で混合した。この正極活物質の混合物に、導電材として鱗片状の黒鉛(平均粒径:7μm)及びアセチレンブラック(平均粒径50nm)と、上記で作製したCNT複合ポリフッ化ビニリデンとを順次添加し、混合することにより正極材料の混合物を得た。正極活物質、黒鉛、アセチレンブラックの含有量は表1に示すように変更して作製した。尚、(正極活物質+黒鉛+アセチレンブラック):結着材=95:5とした。更に上記混合物に対し、分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを正極用の集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に実質的に均等かつ均質に塗布した。その後、乾燥処理を施し、所定密度までプレスにより圧密化した。正極合剤密度は2.55g/cm3とし、正極合剤塗布量190g/m2とした。
また、表2に示すように、比較例1として、CNT複合ポリフッ化ビニリデンの代わりに、CNTを分散させていないポリフッ化ビニリデンを用いた以外は実施例1と同様にして正極板を作製した。
更に、表2に示すように、比較例2として、同一添加量のCNTを正極スラリー作製時に活物質と同時に添加した以外は実施例1と同様にして正極板を作製した。
[負極板の作製]
負極板の作製を以下のように行った。負極活物質として非晶質炭素を用いた。この負極活物質に結着材としてポリフッ化ビニリデンを添加した。これらの質量比は、負極活物質:結着材=92:8とした。これに分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを負極用の集電体である厚さ10μmの圧延銅箔の両面に実質的に均等かつ均質に所定量塗布した。負極合剤密度は1.15g/cm3とした。
[電池の作製]
(ラミネート型電池の作製)
13.5cm2の角形に切断した正極電極をポリエチレン製多孔質シートのセパレータ(商品名:ハイポア、旭化成株式会社製、厚さが30μm(「ハイポア」は登録商標。))で挟み、更に14.3cm2の角形に切断した負極を重ね合わせて積層体を作製した。この積層体をアルミニウムのラミネート容器(商品名:アルミラミネートフィルム、大日本印刷株式会社製)に入れ、非水電解質(1MのLiPF6を含むエチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=2/2/3混合溶液(体積比)に、混合溶液全量に対してビニレンカーボネートを0.8質量%添加したもの、商品名:ソルライト、三菱化学株式会社製(「ソルライト」は登録商標。))を1mL添加し、アルミニウムのラミネート容器を熱溶着させ、電極評価用電池を作製した。
[電池特性(電池容量・出力特性・入力特性)の評価]
このように作製したリチウムイオン電池の電池特性を、以下に示す方法で評価した。
電池容量は、まず、25℃の環境下において4.2〜2.7Vの電圧範囲で、0.5Cの電流値による充放電サイクルを2回繰り返した。更に、0.5Cの電流値で4.2Vまで電池を充電後、0.2Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電による放電を行い、この放電時の容量を電池容量とした。
出力特性は、以下のようにして算出した。
まず、電流値0.5Cにおける放電容量及び電流値5Cにおける放電容量を測定した。上記電池容量を測定後、0.5Cの電流値で4.2Vまで電池を充電し、0.5Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電を行い、この放電時の容量を電流値0.5Cにおける放電容量とした。次に、前記電池を0.5Cの電流値で4.2Vまで電池を充電し、5Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電を行い、この放電時の容量を電流値5Cにおける放電容量とした。以下の式により出力特性(0.2C容量比)を算出した。
出力特性=電流値0.5Cにおける放電容量/電流値0.2Cにおける放電容量
出力特性=電流値5Cにおける放電容量/電流値0.2Cにおける放電容量
[サイクル寿命特性の評価]
サイクル寿命特性は、以下のようにして算出した。
25℃の環境下において、1.0Cの電流値で4.2Vから2.7Vまで電池の充放電を繰り返し、1000サイクル後の放電容量を計測し、放置前後の放電容量比を評価した。
Figure 2016139549
AB:アセチレンブラック
Figure 2016139549
表1に示す実施例1〜3について、表2に示す比較例との比較において、電池特性が向上することが確認できた。以下に、詳細に説明する。
表1の実施例1と表2の比較例1から、正極合剤に使用する結着材としてCNTを分散していないポリフッ化ビニリデンに替えてCNT複合ポリフッ化ビニリデンを用いることで、入出力特性、寿命特性ともに向上することがわかる。
表1の実施例1〜3から、CNTの含有量を変化させても入出力特性と寿命特性が向上することがわかる。
表1の実施例1と表2の比較例2から、同量のCNTを後から添加させても入出力特性と寿命特性が向上することはなく、CNTと結着材を事前に複合化することが効果的であることが分かる。
以上のように、CNT複合ポリフッ化ビニリデンを含む正極を備える本発明のリチウムイオン電池は、入出力特性、寿命特性に優れ、高容量化が可能である。そのため、汎用性及びその有用性は極めて高い。
1…リチウムイオン電池、2…正極板、3…負極板、4…セパレータ、5…電極群、6…電池容器。

Claims (2)

  1. リチウム・マンガン複合酸化物、及びカーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂を含む正極合剤を正極に備えるリチウムイオン電池。
  2. 前記カーボンナノチューブ分散フッ素系樹脂に含まれるカーボンナノチューブの含有量が、正極合剤の全量に対して、0.01質量%以上1質量%以下である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
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