JP2016139067A - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

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【課題】高い耐久性が得られることによって摩耗量低減化が図られると共に、長期間にわたって低摩擦特性が維持されることによって良好なクリーニング性が得られる電子写真感光体、およびこの電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供する。【解決手段】電子写真感光体は、硬化樹脂を含有する表面保護層を有しており、表面保護層は、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子が配合されたものであり、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子における当該反応性基が反応することにより、表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に化学結合が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に適用される電子写真感光体およびこの電子写真感光体を備えた画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置において用いられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)としては、画像形成プロセスにおける、低コスト化、長寿命化および得られる可視画像の高画質化の要請に対応するために、クリーニング性向上と摩耗量低減化との両方を達成することのできるものの開発が求められている。ここにいう「電子写真方式」とは、一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この静電潜像を染料、顔料などの着色剤および樹脂材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成する画像形成プロセスである。
而して、感光体の摩耗量低減化を図るための技術としては、感光体を、最表面に表面保護層を有するものとすることが知られている。表面保護層を設けることによれば、感光体に高い耐久性が得られることから、当該感光体において十分な摩耗量低減化を図ることができ、よって感光体は長い使用寿命を有するものとなる。その表面保護層としては、摩耗量低減化の観点から、3次元的な架橋構造を形成する樹脂、具体的には硬化樹脂を用いることが効果的である。しかしながら、そのような硬化樹脂よりなる表面保護層を備えた感光体は、クリーニング不良が生じやすいという傾向がある。そこで、表面保護層において、クリーニング性を向上させるためには、フッ素樹脂微粒子を含有させる、という一般的技術が用いられている(特許文献1参照。)。
しかしながら、従来公知の、硬化樹脂とフッ素樹脂微粒子とを含有する表面保護層とを備えた感光体においては、フッ素樹脂微粒子が、表面保護層の表層部分に偏在し、しかも当該表面保護層から脱離しやすいものであることから、長期間にわたって良好なクリーニング性が得られない、という問題がある。ここに、表面保護層において、フッ素樹脂微粒子が表面保護層の表層部分に偏在する理由は、フッ素樹脂微粒子は、表面張力が低いものであることから、表面保護層の製造過程において、表面保護層の表面付近に偏析しやすく、均一分散が困難なものであるためである。
このような問題は、画像形成プロセスにおいて感光体に大きな負荷が加えられる場合、具体的には、帯電方式として、感光体に接触して設けられた、交流電流が印加される帯電ローラによって行われるAC帯電ローラ方式が採用された場合において、顕著である。
特開2005−156653号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、高い耐久性が得られることによって摩耗量低減化が図られると共に、長期間にわたって低摩擦特性が維持されることによって良好なクリーニング性が得られる電子写真感光体、およびこの電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明の電子写真感光体は、硬化樹脂を含有する表面保護層を有しており、
前記表面保護層は、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子が配合されたものであることを特徴とする。
本発明の電子写真感光体においては、前記表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子における当該反応性基が反応することにより、前記表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に化学結合が形成されていることが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、前記表面保護層の膜層が2μm以下であり、当該表面保護層の膜厚に対する、当該表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子の平均粒径の割合が0.3〜1.0であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、前記表面保護層は、硬化樹脂を形成すべきモノマーと前記表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子とを含有する表面保護層形成用組成物を硬化処理することによって得られたものであり、
前記表面保護層形成用組成物において、前記フッ素樹脂微粒子の配合量が、前記硬化樹脂を形成すべきモノマー100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、前記表面保護層を構成する硬化樹脂がアクリル系モノマーを硬化処理することによって得られるものであることが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、前記表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子を構成するフッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンよりなることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、前記の電子写真感光体がAC帯電ローラ方式によって帯電されることを特徴とする。
本発明の電子写真感光体によれば、表面保護層が硬化樹脂を含有し、フッ素樹脂微粒子が配合されたものであると共に、当該フッ素樹脂微粒子が表面に反応性基が導入されたものであることから、当該表面保護層において、当該フッ素樹脂微粒子が均一に分散された状態となる。そのため、硬化樹脂の作用によって高い耐久性が得られ、それにより摩耗量低減化が図られると共に、長期間となる使用期間中において、フッ素樹脂微粒子の作用による低摩擦特性が維持されることから良好なクリーニング性が得られる。
本発明の画像形成装置は、帯電方式としてAC帯電ローラ方式が採用され、画像形成プロセスにおいて、電子写真感光体に大きな負荷が加えられるものであるが、本発明の電子写真感光体を備えたものであることから、当該電子写真感光体においては、摩耗量低減化が図られると共に、使用期間中において良好なクリーニング性が得られる。従って、本発明の画像形成装置によれば、長い使用寿命が得られると共に、高画質の可視画像を形成することができる。
本発明の電子写真感光体の構成の一例を示す部分断面図である。 本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 図2の画像形成装置における帯電ローラの構成の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
〔電子写真感光体〕
本発明の感光体(電子写真感光体)は、表面保護層を有するものである。
本発明の感光体の具体的な一例としては、図1に示すように、導電性支持体1a上に、感光層1αとしての電荷発生層1cおよび電荷輸送層1d、並びに表面保護層1eがこの順に積層されており、必要に応じて、導電性支持体1aと感光層1αとの間に中間層1bが設けられてなる層構成を有するものが挙げられる。
また、本発明の感光体の他の例としては、導電性支持体上に、中間層、感光層としての電荷発生機能と電荷輸送機能とを有する単層、並びに表面保護層がこの順に積層されてなる層構成を有するものが挙げられる。
(表面保護層)
本発明の感光体を構成する表面保護層は、硬化樹脂を含有し、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子が配合されてなるものである。
表面保護層が硬化樹脂を含有し、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子が配合されたものであることにより、硬化樹脂の作用によって表面保護層に十分な膜強度が得られて、感光体に高い耐久性が得られ、それによって摩耗量低減化が図られる。また、フッ素樹脂微粒子に硬化樹脂中における高い分散性が得られて、表面保護層においてフッ素樹脂微粒子が均一に分散された状態となり、よって長期間にわたる使用期間中において、フッ素樹脂微粒子の作用による低摩擦特性が維持されることから感光体に良好なクリーニング性が得られる。
また、表面保護層は、硬化樹脂と表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子とが含有されたものであってもよいが、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子における反応性基が反応することにより、フッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間において化学結合が形成されたものであることが好ましい。具体的には、表面保護層において、フッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に架橋結合が形成されていることが好ましい。
ここに、表面保護層が、硬化樹脂と表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子とが含有されてなるものである場合には、硬化樹脂とフッ素樹脂微粒子との間に化学結合が形成されておらず、当該フッ素樹脂微粒子の反応性基が反応に供されることなく、表面に反応性基が存在している。
本発明において、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子が配合された表面保護層には、硬化樹脂と表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子とが含有されてなるもの、および硬化樹脂と表面に導入された反応性基が反応したフッ素樹脂微粒子とが含有されてなるもの、すなわち表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子における当該反応性基が反応することによって硬化樹脂とフッ素樹脂微粒子との間に化学結合が形成されてなるものが包含される。
表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に化学結合が形成されていることによれば、当該フッ素樹脂微粒子が固定化されることから、当該フッ素樹脂微粒子の表面保護層からの脱離を防止または抑制することができる。その結果、感光体において、より一層良好なクリーニング性が得られる。
表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に化学結合が形成されていることは、例えば、表面保護層の物性を、表面に反応性基が導入されていないフッ素樹脂微粒子が配合されていること以外は当該表面保護層と同様の構成を有する硬化物の物性と対比することによって間接的に確認することができる。
具体的に説明すると、先ず、硬化樹脂を形成すべきモノマー(以下、「硬化樹脂用モノマー」ともいう。)と表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子とを含有する表面保護層形成用組成物と共に、表面に反応性基が導入されていないフッ素樹脂微粒子を含有すること以外は当該表面保護層形成用組成物と同様の構成を有する物性比較用組成物を用意する。ここに、表面に反応性基が導入されていないフッ素樹脂微粒子とは、表面に反応性基が導入されていないこと以外は表面保護層形成用組成物の特定フッ素樹脂微粒子と同様の構成を有するものである。すなわち、表面に反応性基が導入されていないフッ素樹脂微粒子は、後述のフッ素樹脂よりなる母体粒子に該当するものである。次いで、表面保護層形成用組成物および比較用組成物の各々を、表面保護層形成条件によって硬化処理して硬化物を形成し、得られた硬化物の各々について、物性(具体的には、硬度および弾性変形率など)を測定する。そして、測定された表面保護層形成用組成物の硬化物の物性値と物性比較用組成物の硬化物の物性値との差に基づいて、表面保護層形成用組成物の硬化物、すなわち表面保護層における化学結合形成の有無を間接的に確認することができる。
(硬化樹脂)
表面保護層を構成する硬化樹脂は、硬化樹脂用モノマーを重合して得られる、三次元的な架橋構造を有するものであり、具体的には、紫外線、熱およびその他のエネルギーの作用によって硬化樹脂用モノマーの重合が開始され、3次元的な架橋構造が形成された架橋型硬化樹脂である。
硬化樹脂用モノマーとしては、重合性官能基を2個以上有する多官能性モノマーが用いられる。
硬化樹脂用モノマーを構成する多官能性モノマーの好ましい具体例としては、重合性官能基としてアクリロイル基(CH2 =CHCO−)またはメタクリロイル基(CH2 =CCH3 CO−)を有する多官能性アクリル系モノマーが挙げられ、更に好ましくは重合性官能基を3〜5個有する多官能性アクリル系モノマーが挙げられる。
硬化樹脂用モノマーとして多官能性アクリル系モノマーを用いることによれば、得られる表面保護層がより一層高い膜強度を有するものとなり、よって感光体が優れた耐久性を有するものとなる。
また、硬化樹脂用モノマーとして用いられる多官能性アクリル系モノマーが重合性官能基を3〜5個有するものであることによれば、感光体がより一層優れた耐久性を有するものとなり、また表面保護層を、当該表面保護層を構成する硬化樹脂とフッ素樹脂微粒子との間に化学結合が形成されたものとすることができる。
また、硬化樹脂用モノマーとしては、多官能性モノマーと共に単官能性モノマーを併用することができ、またアクリル系モノマー(具体的には、多官能性アクリル系モノマーおよび単官能性アクリル系モノマー)と共に他のモノマーを併用することもできる。
ここに、他のモノマーの具体例としては、例えばスチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。
硬化樹脂用モノマーとして用いられる多官能性アクリル系モノマーの具体例としては、例えば下記の例示化合物(M1)〜(M14)が挙げられる。
ここに、例示化合物(M1)〜(M14)を示す化学式において、Rはアクリロイル基(CH2 =CHCO−)を示し、R’はメタクリロイル基(CH2 =CCH3 CO−)を示す。
(フッ素樹脂微粒子)
表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子は、表面に反応性基が導入されたもの、または、表面に導入された反応性基が反応することによって硬化樹脂との間において化学結合が形成されたものである。
反応性基としては、硬化樹脂(硬化樹脂用モノマー)と反応可能な基であって、硬化樹脂の種類(具体的には、硬化樹脂用モノマーの種類)などに応じて適宜のものが導入されるが、具体的には、ビニル基、アクリロイル基(CH2 =CHCO−)およびメタクリロイル基(CH2 =CCH3 CO−)よりなる群から選ばれるラジカル重合性基を含むものが挙げられる。
フッ素樹脂微粒子の表面に反応性基が導入されていることは、例えば、IRによる官能基分析、およびTGによる重量減少測定などにより、定性的・定量的に確認することができる。
表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子は、フッ素樹脂よりなる母体粒子を表面処理剤で処理することによって得ることができる。
具体的には、例えばフッ素樹脂よりなる母体粒子の表面を酸化処理することにより、当該表面にヒドロキシ基を含む極性基(具体的には、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基など)を導入し、更に表面処理剤を用いて化学的処理を行うことによって当該極性基に重合性官能基を結合し、よって母体粒子の表面に、極性基に重合性官能基が結合されてなる構成の反応性基を導入する手法が挙げられる。
また、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子は、表面に極性基が導入されたフッ素樹脂微粒子を用い、そのフッ素樹脂微粒子に対して表面処理剤を用いて化学的処理を行うことによって当該フッ素樹脂の極性基に重合性官能基を結合することにより、反応性極性基が導入されたものであってもよい。ここに、表面に極性基が導入されたフッ素樹脂微粒子としては、例えば表面にヒドロキシ基とカルボキシル基とを有するフッ素樹脂微粒子「DispersEZ−300」(テクノケミカル(株)製)などが挙げられる。
酸化処理の具体例としては、例えば、母体粒子の表面にプラズマを照射するプラズマ処理、および母体粒子をナトリウムナフタレン錯体溶液に浸漬する処理などが挙げられる。ここに、ナトリウムナフタレン錯体溶液を用いる処理においては、ナトリウムナフタレン錯体溶液に母体粒子を分散させることにより、ナトリウムによる強い還元力によって母体粒子の表面からフッ素原子が引き抜かれて炭素ラジカルが発生することにより当該表面と水や酸素とが反応し、それにより、母体粒子の表面に極性基が導入される。また、ナトリウムナフタレン錯体溶液の具体例としては、例えば、ナトリウムナフタレン錯体のテトラヒドロフラン溶液、およびナトリウムナフタレン錯体のエーテル溶液などが用いられる。また、ナトリウムナフタレン錯体溶液の浸漬条件(処理条件)は、例えば、浸漬時間が3〜20秒間であって温度が常温である。
表面処理剤を用いた化学的処理の具体例としては、母体粒子の表面に導入されたヒドロキシ基にシランカップリング剤を反応させる化学的処理、および母体粒子の表面に導入されたカルボキシル基をアシル化反応させる化学的処理などが挙げられる。
表面処理剤として用いられるシランカップリング剤の具体例としては、下記の例示化合物(S−1)〜(S−36)が挙げられる。
(S−1):CH2 =CHSi(CH3 )(OCH3 2
(S−2):CH2 =CHSi(OCH3 3
(S−3):CH2 =CHSiCl3
(S−4):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
(S−5):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OCH3 3
(S−6):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OC2 5 )(OCH3 2
(S−7):CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(OCH3 3
(S−8):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
(S−9):CH2 =CHCOO(CH2 2 SiCl3
(S−10):CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
(S−11):CH2 =CHCOO(CH2 3 SiCl3
(S−12):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
(S−13):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(OCH3 3
(S−14):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )(OCH3 2
(S−15):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OCH3 3
(S−16):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
(S−17):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 SiCl3
(S−18):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
(S−19):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 SiCl3
(S−20):CH2 =CHSi(C2 5 )(OCH3 2
(S−21):CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 3
(S−22):CH2 =C(CH3 )Si(OC2 5 3
(S−23):CH2 =CHSi(OCH3 3
(S−24):CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 2
(S−25):CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
(S−26):CH2 =CHCOOSi(OCH3 3
(S−27):CH2 =CHCOOSi(OC2 5 3
(S−28):CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 3
(S−29):CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 5 3
(S−30):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OC2 5 3
(S−31):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 2 (OCH3
(S−32):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCOCH3 2
(S−33):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(ONHCH3 2
(S−34):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OC6 5 2
(S−35):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(C1021)(OCH3 2
(S−36):CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH2 6 5 )(OCH3 2
また、シランカップリング剤としては、上記の例示化合物(S−1)〜(S−36)以外に、ラジカル重合反応可能な重合性官能基を有するシラン化合物を用いることができる。
これらのシラン化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化処理された母体粒子に対するシランカップリング剤による表面処理方法としては、例えば、酸化処理された母体粒子をトルエンなどの有機溶媒中に分散させ、その分散液にシランカップリング剤を添加し、加熱還流することによって表面処理を行う手法が用いられる。
このような手法において、シランカップリング剤の使用量は、酸化処理された母体粒子100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、また有機溶媒の使用量は、酸化処理された母体粒子100質量部に対して300〜1000質量部であることが好ましい。また、反応条件としては、反応温度は110〜130℃であることが好ましく、また反応時間は、還流しながらの脱水撹拌を2時間以上行うことが好ましい。
表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子は、低摩擦化の観点から、当該フッ素樹脂微粒子を構成するフッ素樹脂、すなわち母体粒子が、ポリテトラフルオロエチレンよりなるものであることが好ましい。
表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子の平均粒径は、表面保護層の膜厚に対する割合が0.3〜1.0となる大きさであることが好ましい。
表面保護層の膜厚に対する、当該表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子の平均粒径の割合が上記の範囲内にあることによれば、フッ素樹脂微粒子の粒径が、表面保護層の膜厚と同程度となることから、表面保護層におけるフッ素樹脂微粒子の分散状態を均一化することができる。
一方、表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子の平均粒径が過大である場合は、感光体において、十分な摩耗量低減化を図ることができなくなるおそれがある。また、表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子の平均粒径が過小である場合には、感光体において、長期間にわたって良好なクリーニング性を維持することができなくなるおそれがある。
表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子の平均粒径は、特定フッ素樹脂微粒子の数平均一次粒径を示し、この数平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて撮影された写真画像に基づいて以下のようにして測定される。
透過型電子顕微鏡の倍率を10000倍に設定し、その透過型電子顕微鏡で拡大された表面保護層を撮影し、得られた写真画像上において、画像解析処理によって任意の100個のフッ素樹脂微粒子の水平方向のフィレ径を測定する。そして、測定されたフィレ径の平均値を、フッ素樹脂微粒子の数平均一次粒径として算出する。なお、前記画像解析処理は、例えば透過型電子顕微鏡測定装置に内蔵されているプログラムを駆動させることにより自動的に行うことができる。
また、表面保護層は、抵抗調整および硬度向上(耐久性向上)の観点から、導電性微粒子を含有するものであることが好ましい。
導電性微粒子の具体例としては、例えば酸化スズなどの金属酸化物よりなるものが挙げられる。
導電性微粒子の数一次平均粒径は、10〜500nmであることが好ましい。
表面保護層における導電性微粒子の含有割合は、硬化樹脂100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましい。
表面保護層の層厚は、2μm以下であることが好ましい。
表面保護層の層厚が2μm以下であることにより、当該表面保護層において、フッ素樹脂粒子の偏析が抑制されて、フッ素樹脂微粒子をより一層均一に分散した状態とすることができる。
(導電性支持体)
本発明の感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、具体的には、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
(中間層)
本発明の感光体においては、故障防止の観点から、導電性支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能を有する中間層が設けられていることが好ましい。
この中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)、および必要に応じて金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、例えばカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらのなかではアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
金属酸化物粒子は、抵抗調整を目的として用いられるものであり、具体的には、例えばアルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの各種の金属酸化物よりなる粒子を用いることができ、またスズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどよりなる粒子を用いることができる。
また、金属酸化物粒子は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体または融着の形をとっていてもよい。
金属酸化物粒子の数一次平均粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
中間層における金属酸化物粒子の含有割合は、中間層用バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜350質量部である。
中間層の層厚は、0.1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
(感光層)
本発明の感光体を構成する感光層については、電荷発生層と電荷輸送層とを有するものについて詳細に説明する。
(電荷発生層)
本発明の感光体を構成する感光層における電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、具体的には、例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂中においては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生物質は、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ顔料、ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの化合物中においては、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。また、これらの化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層における電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部であることが好ましく、よりに好ましくは50〜500質量部である。
電荷発生層の層厚は、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、並びに電荷発生物質の特性および含有割合などに応じて適宜に定められるが、0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmである。
(電荷輸送層)
本発明の感光体を構成する感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷輸送層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、具体的には、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。更にポリカーボネート樹脂としては、耐クラック、耐磨耗性および帯電特性の観点から、BPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA−ジメチルBPA共重合体型ものが好ましい。
電荷輸送物質としては、電荷(正孔)を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。
電荷輸送層における電荷輸送物質の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜250質量部である。
電荷輸送層の層厚は、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性、並びに電荷輸送物質の特性および含有割合などによって異なるが、5〜40μmであることが好ましく、よりに好ましくは10〜30μmである。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどが含有されていてもよい。
酸化防止剤としては、特開2000−305291号公報などに開示されているものが好ましく、また電子導電剤としては、特開昭50−137543号公報および同58−76483号公報などに開示されているものが好ましい。
〔感光体の製造方法〕
本発明の感光体は、硬化樹脂用モノマー(重合性化合物)と表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子とを含有する表面保護層形成用組成物を硬化処理することによって、導電性支持体上に設けられた感光層の外周面に、表面保護層を形成する工程を経ることにより、製造することができる。
具体的には、例えば下記の工程を経ることにより、導電性支持上に、中間層、感光層(具体的には、電荷発生層および電荷輸送層)および表面保護層がこの順で積層されてなる感光体を製造することができる。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、表面保護形成用の塗布液(表面保護層形成用組成物)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化処理することにより、表面保護層を形成する工程
(工程(1):中間層の形成)
この工程(1)においては、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて中間層形成用塗布液を調製し、必要に応じて金属酸化物粒子を分散させた後、当該中間層形成用塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより、中間層が形成される。
中間層形成用塗布液中に金属酸化物粒子を分散する手段は、特に限定されるものではなく、例えば超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを用いることができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の形成工程に用いられる溶媒としては、金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂を溶解するものが好ましい。
中間層の形成工程において、中間層用バインダー樹脂としてアルコール可溶性のポリアミド樹脂を用いた場合に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数1〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
(工程(2):電荷発生層の形成)
この工程(2)においては、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、当該電荷発生層形成用塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより、荷電発生層が形成される。
電荷発生層形成用塗布液中に電荷発生物質を分散する手段は、特に限定されるものではなく、例えば超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを用いることができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではなく、例えばトルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられる。
(工程(3):電荷輸送層の形成)
この工程(2)においては、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送層形成用塗布液を調製し、当該電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより、電荷輸送層が形成される。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられる。
(工程(4):表面保護層の形成)
この工程(4)においては、硬化樹脂用モノマー、重合開始剤(ラジカル重合開始剤)、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子および必要に応じて他の成分を溶媒に添加して表面保護層形成用組成物を調製し、この表面層形成用組成物を塗布液とし、工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成する。そして、得られた塗膜に活性線を照射することによって塗膜中の硬化樹脂用モノマー成分を硬化処理、具体的には重合反応させて硬化することにより、表面保護層が形成される。この塗膜から表面保護層が形成される過程においては、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子の反応性基と硬化樹脂用モノマーとの反応が進行した場合には、フッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間において化学結合(架橋結合)が形成される。
表面保護層形成用組成物の調製に用いられる硬化樹脂用モノマーは、オリゴマー化されていてもよい。
表面保護層形成用組成物においては、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子の配合量が、硬化樹脂用モノマー100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜40質量部である。
表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子の配合量が過大である場合には、電気抵抗値が過大となったり、摩耗量が増大したりするおそれがある。一方、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子の配合量が過小である場合には、摩擦低減効果が不足するおそれがある。
表面保護層形成用組成物中に、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子を分散する手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを用いることができる。
表面保護層形成用組成物を構成する溶媒としては、硬化樹脂用モノマーを溶解または分散させることができると共に、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子を分散させることができるものが用いられる。
表面保護層形成用組成物を構成する溶媒の具体的としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンなどが挙げられる。
表面保護層形成用組成物の塗布方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。これらのうちでは、円形スライドホッパー法が好ましい。
硬化樹脂用モノマーを硬化処理する方法としては、電子線開裂で重合反応させて硬化する方法、ラジカル重合開始剤を添加して、電子線および紫外線などの活性線を照射することによって光や熱で重合反応させて硬化する方法などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤および熱重合開始剤のいずれをも用いることができ、また、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することもできる。
また、光重合開始剤および熱重合開始剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤(ラジカル重合開始剤)としては、光重合開始剤が好ましく、中でも、アルキルフェノン系化合物、またはフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。特に、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、または、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましい。
光重合開始剤として用いられるアシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物(アシルフォスフィンオキサイド系化合物)の具体例としては、例えば下記の例示化合物(P1)および(P2)が挙げられる。
重合開始剤の添加割合は、硬化樹脂用モノマー100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。
活性線としては、紫外線および電子線が好ましく、使用性の観点からは、紫外線が特に好ましい。
重合開始剤が含有された塗膜に活性線が照射されることにより、当該塗膜中においてラジカルが発生することによって重合反応が進行すると共に、分子間および分子内で架橋反応による架橋結合が形成されることによって硬化が進行し、それにより、硬化樹脂(架橋型硬化樹脂)が生成される。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用でき、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンランプなどを用いることができる。
紫外線照射条件は紫外線光源の種類によって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 、好ましくは5〜100mJ/cm2 であり、ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
電子線源としては、電子線照射装置であれば格別の制限はなく用いることができ、一般には、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式の電子線照射用の電子線加速機が好適に用いられる。
電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。また、吸収線量は、0.5〜10Mradであることが好ましい。
硬化処理に必要とされる活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
この表面保護層の形成工程においては、活性線を照射する前後、および活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
以上のような本発明の感光体によれば、表面保護層が硬化樹脂を含有し、フッ素樹脂微粒子が配合されたものであると共に、当該フッ素樹脂微粒子が表面に反応性基が導入されたものであることから、当該表面保護層において、当該フッ素樹脂微粒子が均一に分散された状態となる。そのため、硬化樹脂の作用によって高い耐久性が得られ、それにより摩耗量低減化が図られると共に、長期間となる使用期間中において、フッ素樹脂微粒子の作用による低摩擦特性が維持されることから良好なクリーニング性が得られる。
本発明の感光体は、一般的な電子写真方式の画像形成装置に用いることができ、特に、感光体がAC帯電ローラ方式によって帯電される画像形成装置、すなわち感光体の帯電が、当該感光体に接触して設けられた、交流電圧が印加される帯電ローラによって行われるAC帯電ローラ方式の画像形成装置に好適に用いることができる。
〔画像形成装置〕
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体がAC帯電ローラ方式によって帯電される構成のものである。
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、本発明の感光体10と、トナーと同極性のコロナ放電などによって当該感光体10の表面に一様な電位を与えるAC帯電ローラ(以下、単に「帯電ローラ」ともいう。)11よりなる帯電手段と、一様に帯電された感光体10の表面上にポリゴンミラーなどによって画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成する露光手段12と、回転される現像スリーブ131を備え、当該現像スリーブ131の上に保持されたトナーを感光体10の表面に搬送して前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段13と、当該トナー像を必要に応じて画像支持体Pに転写する転写手段14と、感光体10から画像支持体を分離する分離手段16と、画像支持体P上のトナー像を定着させる定着手段17と、感光体10上の残留トナーを除去するクリーニングブレード18を有するクリーニング手段とを備えたものである。
〔帯電ローラ〕
帯電ローラ11は、図3に示されるように、芯金11aの表面上に積層された、帯電音を低減させると共に弾性を付与して感光体10に対する均一な密着性を得るための弾性層11bの表面上に、必要に応じて帯電ローラ11が全体として高い均一性の電気抵抗を得るための抵抗制御層11cが積層され、当該抵抗制御層11c上に表面層11dが積層されたものが、押圧バネ11eによって感光体10の方向に付勢されて感光体10の表面に対して所定の押圧力で圧接されて帯電ニップ部が形成された状態とされる構成とされており、感光体10の回転に従動して回転されるものである。
芯金11aは、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよびニッケルなどの金属、あるいはこれらの金属の表面に、防錆性や耐付傷性を得るために導電性を損なわない範囲においてメッキ処理したものからなり、その外径は例えば3〜20mmとされる。
弾性層11bは、例えば、ゴムなどの弾性材料中にカーボンブラック、カーボングラファイトなどよりなる導電性微粒子やアルカリ金属塩、アンモニウム塩などよりなる導電性塩微粒子などが添加されたものからなる。弾性材料の具体例としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)およびクロロプレンゴム(CR)などの合成ゴムや、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂およびフッ素樹脂などの樹脂、あるいは発泡スポンジなどの発泡体などを挙げることができる。弾性の大きさは、プロセス油、可塑剤などを弾性材料中に添加することにより調整することができる。
弾性層11bは、その体積抵抗率が1×101 〜1×1010Ω・cmの範囲であることが好ましい。また、その層厚は500〜5000μmであることが好ましく、より好ましくは500〜3000μmである。
弾性層11bの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
抵抗制御層11cは、帯電ローラ11を全体として均一な電気抵抗を有する目的などにより設けられるものであるが、なくてもよい。この抵抗制御層11cは、適度な導電性を有する材料を塗工すること、あるいは適度な導電性を有するチューブを被覆させることによって設けることができる。
この抵抗制御層11cを構成する具体的な材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂;エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴムおよびアクリロニトリル系ゴムなどのゴム類などの基礎材料中に、カーボンブラック、カーボングラファイトなどよりなる導電性微粒子;導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛、導電性酸化スズなどよりなる導電性金属酸化物微粒子;アルカリ金属塩、アンモニウム塩などよりなる導電性塩微粒子などの導電剤が添加されたものが挙げられる。
抵抗制御層11cは、その体積抵抗率が1×10-2〜1×1014Ω・cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1×101 〜1×1010Ω・cmである。また、その層厚は0.5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜20μmである。
抵抗制御層11cの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
表面層11dは、弾性層11b中の可塑剤などの得られる帯電ローラの表面へのブリードアウトを防止する目的や帯電ローラの表面の滑り性や平滑性を得る目的、あるいは感光体10上にピンホールなどの欠陥があった場合にもリークの発生を防止する目的などにより設けられるものであって、適度な導電性を有する材料を塗工すること、あるいは適度な導電性を有するチューブを被覆させることによって設けられる。
表面層11dを材料の塗工により設ける場合において、具体的な材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂などの樹脂、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴムおよびアクリロニトリル系ゴムなどの基礎材料中に、カーボンブラック、カーボングラファイトなどよりなる導電性微粒子;導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛、導電性酸化スズなどよりなる導電性金属酸化物微粒子などの導電剤が添加されたものが挙げられる。塗工方法としては、浸漬塗工法、ロール塗工法およびスプレー塗工法などが挙げられる。
また、表面層11dをチューブの被覆により設ける場合において、具体的なチューブとしては、ナイロン12、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP);ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系およびポリアミド系などの熱可塑性エラストマーなどに上記の導電剤が添加されたものがチューブ状に成形されたものが挙げられる。このチューブは熱収縮性のものでもよく、非熱収縮性のものでもよい。
表面層11dは、その体積抵抗率が1×101 〜1×108 Ω・cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1×101 〜1×105 Ω・cmである。また、その層厚は0.5〜100μmであることが好ましく、より好ましく1〜50μm、さらに好ましくは1〜20μmである。
表面層11dの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
また、表面層11dは、その表面粗さRzが1〜30μmのものが好ましく、より好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは5〜10μmである。
以上のような帯電ローラ11においては、帯電ローラ11の芯金11aに電源S1より帯電バイアス電圧が印加されることにより、感光体10の表面が所定の極性の所定の電位に帯電される。ここに、帯電バイアス電圧は、例えば直流電圧(Vdc)に交流電圧(Vac)が重畳された振動電圧である。
この帯電ローラ11は、感光体10の長手方向長さに基づいた長さとされる。
この画像形成装置においては、感光体10上に形成されたトナー像が、タイミングを合わせて搬送される画像支持体P上に転写手段14により転写され、分離手段16によって感光体10から分離されて定着手段17において定着されることにより、可視画像が形成される。
以上のような画像形成装置は、帯電方式としてAC帯電ローラ方式が採用され、画像形成プロセスにおいて、電子写真感光体に大きな負荷が加えられるものであるが、本発明の電子写真感光体を備えたものであることから、当該電子写真感光体においては、摩耗低減化が図られると共に、使用期間中において良好なクリーニング性が得られる。従って、本発明の画像形成装置によれば、長い使用寿命が得られると共に、高画質の可視画像を形成することができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明の画像形成装置は、図2のような構成のものに限定されず、複数の感光体に係る画像形成ユニットが中間転写体に沿って設けられた構成を有するカラー画像形成装置であってもよい。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔電子写真感光体の作製例1〕
直径30mmのアルミニウム製の円筒体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
(中間層の形成)
バインダー樹脂としてのポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製)1質量部、金属酸化物粒子としての酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製)3質量部および溶媒としてのメタノール10質量部よりなる分散液を、メタノールにて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)することにより、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
得られた中間層形成用塗布液〔1〕を、導電性支持体〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚(層厚)2μmの中間層〔1〕を形成した。
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質としての下記顔料(CG−1)20質量部、バインダー樹脂としてのポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)10質量部、溶媒としての酸t−ブチル700質量部および4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300質量部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散することにより、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
得られたこの電荷発生層形成塗布液〔1〕を、中間層〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚(層厚)0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(顔料(CG−1)の合成)
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン29.2質量部をo−ジクロロベンゼン200質量部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド20.4質量部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2質量部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250質量部中で1時間撹拌して溶解し、これを20℃の水5000質量部に注いだ。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225質量部を得た。
得られたウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8質量部(収率86%)を得た。
(2)(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン(CG−1)の合成
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0質量部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94質量部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)とをオルトクロロベンゼン(ODB)200質量部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、メタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って顔料(CG−10)((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)10.3質量部を得た。
そして、得られた顔料(CG−1)を分析したところ、X線回折スペクトルには8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがあり、マススペクトルには576と648にピークがあり、またIRスペクトルにおいては970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れた。また、熱分析(TG)においては、390〜410℃に約7%の質量減少があった。これらの分析結果から、顔料(CG−1)は、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
また、得られた顔料(CG−1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m2 /gであった。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送物質としての下記化合物A225質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300質量部、酸化防止剤としての「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6質量部、溶媒としてのTHF(テトラヒドロフラン)1600質量部、溶媒としてのトルエン400質量部およびシリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1質量部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
得られた電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を、電荷発生層〔1〕の上に、円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布し、乾燥膜厚(層厚)20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(表面保護層の形成)
(1)フッ素樹脂微粒子の作製(母体粒子の表面処理)
母体粒子として、ポリテトラフルオロエチレン微粒子「セフラルルーブ」(セントラル硝子(株)製,平均粒径=0.3μm)を用意した。
先ず、ナトリウムナフタレン錯体溶液「フロロボンダ−E」((株)テクノス製)をスターラーによって撹拌しながらポリテトラフルオロエチレン微粒子(母体粒子)を添加し、そのポリテトラフルオロエチレン微粒子を15秒間にわたって撹拌して分散した後、素早く濾過してポリテトラフルオロエチレン微粒子を回収した。そして、回収したポリテトラフルオロエチレン微粒子をアセトンと温水とで数回洗浄し、完全に乾燥することにより、表面に、ヒドロキシ基を含む極性基が導入されてなる極性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕を得た。
得られた極性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕においては、FT−IR測定により、表面にヒドロキシ基を含む極性基が導入されていることを確認した。
次いで、ナスフラスコに、得られた極性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕5gとトルエン35mLとを仕込み、外温110〜130℃で還流するまで撹拌昇温した後、シランカップリング剤「KBM503」(信越化学工業(株)製)0.4gを添加し、トルエンで洗い込みし、還流した状態で2時間以上にわたって脱水撹拌した。反応終了後、反応系を冷却して濃縮乾固することによって得られた化合物を、更に温度120℃の条件で2時間かけて乾燥することにより、表面に反応性基が導入されてなる反応性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕5.2gを得た。
得られた反応性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕においては、FT−IR測定により、ヒロドキシ基のピークが消失していることが確認することにより、表面に反応性基が導入されていることを確認した。
また、得られた反応性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕の平均粒径は0.3μmであった。
(2)表面保護層の形成
導電性微粒子としての酸化スズ微粒子80質量部、反応性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕30質量部、重合性化合物(硬化樹脂用モノマー)としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)100質量部、溶媒としての2−ブタノール320質量部およびテトラヒドロフラン80質量部を遮光下で混合し、超音波ホモジナイザーにより5分間かけて分散処理した。その後、重合開始剤としてのアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤「イルガキュア819」(チバスペシャリティケミカルズ社製)10質量部を加え、遮光下で撹拌して溶解させることにより、表面保護層形成用組成物〔1〕を調製した。
得られた表面保護層形成用塗布液〔1〕を、電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、キセノンランプ(モリテックス社製)を用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚(層厚)1.0μmの表面保護層〔1〕を形成することにより、感光体〔1〕を作製した。
得られた感光体〔1〕の表面保護層は、反応性基導入フッ素樹脂微粒子〔1〕の反応性基が反応することによって、当該表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に化学結合が形成されたものであることが、下記の手法によって確認された。
(フッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間における化学結合の有無の確認方法)
先ず、表面保護層形成用塗布液〔1〕と、表面に反応性基が導入されていないフッ素樹脂微粒子を含有すること以外は当該表面保護層形成用塗布液〔1〕と同様の構成を有する物性比較用塗布液とを用意した。次いで、表面保護層形成用塗布液〔1〕および物性比較用塗布液の各々により、前述の表面保護層形成条件によって硬化物を形成し、得られた硬化物の各々について、物性(具体的には、硬度および弾性変形率)を測定した。そして、表面保護層形成用塗布液〔1〕の硬化物と物性比較用塗布液の硬化物とが異なる物性値を有するものであることから、フッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に化学結合が形成されていることを確認した。
〔電子写真感光体の作製例2〜10〕
電子写真感光体の作製例1における表面保護層の形成の過程において、用いるフッ素樹脂微粒子の種類および表面保護層の層厚(乾燥膜厚)を表1に従って変更し、また表面保護層における樹脂成分が表1に示す樹脂となるようにしたこと以外は当該電子写真感光体の作製例1と同様にして、感光体〔2〕〜感光体〔10〕を作製した。
作製した感光体〔2〕〜感光体〔6〕の表面保護層は、上記の手法により、当該表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間において化学結合が形成されたものであることが確認された。
〔実施例1〜6および比較例1〜4〕
作製した感光体(1)〜感光体(10)を、各々、画像形成装置「KONICA Minolta bizhub C554」(コニカミノルタ社製)の感光体として搭載し、下記の評価試験を行った。結果を表1に示す。評価機「KONICA Minolta bizhub C554」において、感光体の帯電はAC帯電ローラ方式によって行い、露光光源としては、波長780nmの半導体レーザーを用いた。
(耐磨耗性の評価)
温度20℃、湿度50%の環境下において、画像比率5%の文字画像を、A4用紙30万枚の片面に連続して印刷し、その連続印刷前後の表面保護層の層厚を、渦電流方式の膜厚測定器を用いて測定し、その測定値に基づいて、連続印刷前後の表面保護層の膜厚の差を、膜厚減耗量(μm)として算出した。そして、層厚減耗量に基づいて、下記の評価基準によって耐摩耗性を評価し、膜厚減耗量が0.3μm以下である場合を合格とした。すなわち、耐摩耗性の評価が「◎」または「○」である場合を合格とし、「△」または「×」である場合を不合格とした。
ここに、膜厚測定器による連続印刷前後の表面保護層の層厚の測定においては、各々、感光体の両端の各々から10mm離間した位置の間の領域を10mm間隔で膜厚測定し、その平均値を、連続印刷前後の表面保護層の層厚とした。
(耐摩耗性の評価基準)
「◎」:膜厚減耗量が0.1μm以下である場合
「○」:膜厚減耗量が0.1μmを超え、0.3μm以下である場合
「△」:膜厚減耗量が0.3μmを超え、0.4μm以下である場合
「×」:膜厚減耗量が0.4μmを超える場合
(クリーニング性の評価)
温度20℃、湿度50%の環境下において、画像比率5%の文字画像を、A4用紙2000枚の片面に連続して印刷した後、感光体の表面保護層上における4cm×2cmの任意の領域を抽出し、その領域内におけるトナー固形物(ブラックスポット)の数を数えることにより、ブラックスポット発生量を確認した。そして、ブラックスポット発生量に基づいて、下記の評価基準によってクリーニング性を評価し、ブラックスポットの数が4個未満である場合を合格とした。すなわち、クリーニング性の評価が「◎」または「○」である場合を合格とし、「△」または「×」である場合を不合格とした。
(クリーニング性の評価基準)
「◎」:ブラックスポットの数が0個である場合(感光体の表面保護層の全面にわたってブラックスポットが全く発生していない場合)
「○」:ブラックスポットの数が1個以上であって4個未満である場合
「△」:ブラックスポットの数が4個以上であって10個未満である場合
「×」:ブラックスポットの数が10個以上である場合
表1において、「含有割合」は、表面保護層形成用塗布液における、モノマー(重合性化合物)100質量部に対するフッ素樹脂微粒子の含有割合である。
1 感光体
1a 導電性支持体
1b 中間層
1c 電荷発生層
1d 電荷輸送層
1e 表面保護層
1α 感光層
10 感光体
11 帯電ローラ
11a 芯金
11b 弾性層
11c 抵抗制御層
11d 表面層
11e 押圧バネ
S1 電源
12 露光手段
13 現像手段
131 現像スリーブ
14 転写手段
16 分離手段
17 定着手段
18 クリーニング手段
P 画像支持体

Claims (7)

  1. 硬化樹脂を含有する表面保護層を有しており、
    前記表面保護層は、表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子が配合されたものであることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子における当該反応性基が反応することにより、前記表面保護層を構成するフッ素樹脂微粒子と硬化樹脂との間に化学結合が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記表面保護層の膜厚が2μm以下であり、当該表面保護層の膜層に対する、当該保護層を構成するフッ素樹脂微粒子の平均粒径の割合が0.3〜1.0であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記表面保護層は、硬化樹脂を形成すべきモノマーと前記表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子とを含有する表面保護層形成用組成物を硬化処理することによって得られたものであり、
    前記表面保護層形成用組成物において、前記フッ素樹脂微粒子の配合量が、前記硬化樹脂を形成すべきモノマー100質量部に対して5〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記表面保護層を構成する硬化樹脂がアクリル系モノマーを硬化処理することによって得られるものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面に反応性基が導入されたフッ素樹脂微粒子を構成するフッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンよりなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子写真感光体がAC帯電ローラ方式によって帯電されることを特徴とする画像形成装置。
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