JP2016138810A - 超音波振動子およびそれを用いた超音波流量計 - Google Patents

超音波振動子およびそれを用いた超音波流量計 Download PDF

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Abstract

【課題】超音波の送受波感度が高く、かつ送受波感度のばらつきが小さい超音波振動子を実現すること。【解決手段】超音波振動子10は、圧電体11と、前記圧電体11に接合された加熱手段15と、前記加熱手段15に接して配置される音響整合層14とを備え、音響整合層14が加熱手段15によって加熱されることにより、音響整合層14の弾性率が低下し、音響インピーダンスが小さくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対して、超音波の送受波感度が高く、かつ送受波感度のばらつきが小さい超音波振動子を実現することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、流体の流量を計測する超音波振動子、および超音波流量計に関するものである。
従来、この種の超音波振動子は金属板を接着したセミック振動子に発泡樹脂を接着して構成している(例えば、特許文献1参照)。
図10は、特許文献1に記載された従来の超音波振動子を示すものである。図10に示すように、超音波振動子100は、超音波送受信装置104を接続したセラミック振動子101の超音波送受波面に金属板102を接着し、該金属板102に発泡樹脂103を接着して構成されている。ここで、発泡樹脂103は硬質の発泡スチロールから構成され、セラミック振動子101の音響インピーダンスと空気等の伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取る音響整合層としての役割をし、セラミック振動子101と伝搬媒質の境界面での超音波の反射を無くし、セラミック振動子101から発生する超音波を効率良く伝搬媒質に伝搬する機能を果たしている。
特開平8−71504号公報
しかしながら、前記従来の構成では、伝搬媒質の音響インピーダンスが伝搬媒質の種類によって変化するため、伝搬媒質によっては、音響整合層としての発泡樹脂がセラミック振動子の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を十分に取ることができず、セラミック振動子と伝搬媒質との境界面において超音波が反射し、伝搬媒質を伝搬する超音波の強度が弱くなり、超音波の送受波感度が低下するという課題を有していた。以下、この点について、より詳細に説明する。
セラミック振動子の音響インピーダンスをZ1、伝搬媒質の音響インピーダンスをZ3、音響整合層の音響インピーダンスをZ2としたとき、セラミック振動子の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取り、セラミック振動子と伝搬媒質との境界面における超音波の反射をなくし、超音波を効率良く伝搬媒質に伝搬させるためには、音響整合層の音響インピーダンスZ2は、Z1、Z3との関係において、数式1の関係を満たすことが必要になる。これは、例えば、特許第4100641号で知ることができる。
(数式1)
Z2=(Z1×Z3)1/2
ここで、セラミック振動子を固定し、その音響インピーダンスZ1を一定とすると、伝搬媒質の音響インピーダンスZ3に依存して、音響整合層に要求される音響インピーダンスZ2が変化することになる。具体的には、伝搬媒質が音響インピーダンスが小さい水素等の気体の場合は、音響整合層の音響インピーダンスZ2を小さくすることが必要になり、反対に、伝搬媒質が音響インピーダンスが大きい空気やプロパン等の気体や水等の液体の場合は、音響整合層の音響インピーダンスZ2を大きくすることが必要になる。
したがって、音響整合層を固定した場合、その音響インピーダンスは一定になるため、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質と、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質のどちらか一方については、セラミック振動子の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができないため、伝搬媒質を伝搬する超音波の強度が弱くなり、超音波の送受波感度が低下することになる。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、発泡樹脂を使用した超音波振動子において、発泡樹脂の弾性率の温度特性を利用して、音響整合層の音響インピーダンスを変化させることにより、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、セラミック振動子の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスの音響整合を取り、超音波の送受波感度が高い超音波振動子を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、この超音波振動子を用いて、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、また、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、高精度な流量計測が可能な超音波流量計を提供することを目的の一つとする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波振動子は、圧電体と、圧電体の超音波送受波面に接合される発泡樹脂からなる音響整合層と、音響整合層を加熱するための加熱手段または音響整合層を冷却するための冷却手段の少なくとも一方を有するものである。
これによって、加熱手段を用いて発泡樹脂を加熱し、また冷却手段を用いて発泡樹脂を冷却することで、音響整合層の音響インピーダンスを変化させ、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、圧電体の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができるので、超音波の送受波感度が高い超音波振動子を実現することができる。
以下、この点について、より詳細に説明する。
物質の音響インピーダンスをZとすると、音響インピーダンスZは、その物質中の音速Cとその物質の密度ρとを用いて、数式2で表される。
(数式2)
Z=C×ρ
ここで、物質中の音速Cは、その物質の密度ρと弾性率Eとを用いて、数式3で表される。
(数式3)
C=(E/ρ)1/2
数式2と数式3から、物質の音響インピーダンスはその物質の弾性率に依存し、弾性率が小さい物質ほど音響インピーダンスが小さく、反対に、弾性率が大きい物質ほど音響インピーダンスが大きくなることが分かる。
ここで、樹脂の弾性率は、その樹脂のガラス転移点を境として、ガラス転移点より高温側では弾性率が小さくなり、ガラス転移点より低温側では弾性率は大きくなる傾向を示す。これは、例えば、「超臨界流体のすべて(Fundamentals and Applications of Supercritical Fluids) 」、2101項で知ることができる。
よって、音響整合層に発泡樹脂を使用した場合、その発泡樹脂のガラス転移点より温度
が高い温度領域では弾性率が小さく、したがって音響インピーダンスが小さくなり、ガラス転移点より温度が低い温度領域では弾性率が大きく、したがって音響インピーダンスが大きくなる。
したがって、伝搬媒質が音響インピーダンスが小さい水素等の気体の場合は、加熱手段を用いて発泡樹脂を高温にすることで、音響整合層の音響インピーダンスが小さくなり、圧電体の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることが可能となり、超音波の送受波感度を高くすることができる。一方、伝搬媒質が音響インピーダンスが大きい空気やプロパン等の気体や水等の液体の場合は、冷却手段を用いて発泡樹脂を低温にすることで、音響整合層の音響インピーダンスが大きくなり、圧電体の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることが可能となり、超音波の送受波感度を高くすることができる。
また、本発明の超音波流量計は、前記した本発明に係る超音波振動子を一対備えたものである。
これによって、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高い超音波振動子を用いて流量計を構成できるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒質であっても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質であっても、高精度な流量計測が可能な超音波流量計を実現することができる。
本発明の超音波振動子および超音波流量計は、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、圧電体の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができるので、水素等の音響インピーダンスの小さい伝搬媒質であっても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質であっても、超音波の送受波感度が高い超音波振動子と高精度な流量計測が可能な超音波流量計を実現することができる。
本発明の実施の形態1における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態2における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態3における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態4における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態5における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態6における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態7における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態8における超音波振動子を示す構成図 本発明の実施の形態9における超音波流量計を示す構成図 従来の超音波振動子を示す構成図
第1の発明は、圧電体と、前記圧電体の超音波送受波面に接合される発泡樹脂からなる音響整合層と、前記音響整合層を加熱するための加熱手段または前記音響整合層を冷却するための冷却手段の少なくとも一方を有する超音波振動子である。
この構成により、加熱手段を用いて発泡樹脂を加熱し、また冷却手段を用いて発泡樹脂を冷却することで、音響整合層の音響インピーダンスを変化させ、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、圧電体の
音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができるので、超音波の送受波感度が高い超音波振動子を実現することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の加熱手段または冷却手段を音響整合層に接して配置した超音波振動子である。
この構成により、加熱手段または冷却手段が断熱性のある発泡樹脂からなる音響整合層を効率的に加熱または冷却することができるので、加熱手段または冷却手段の消費電力が低減し、消費電力が小さい超音波振動子を実現することができる。
第3の発明は、特に、第2の発明の加熱手段または冷却手段を音響整合層を貫通して配置した超音波振動子である。
この構成により、音響整合層を貫通して配置される加熱手段または冷却手段が、断熱性のある発泡樹脂からなる音響整合層をその内部から加熱または冷却することができるので、発泡樹脂からなる音響整合層の加熱効率または冷却効率が向上し、加熱手段または冷却手段の消費電力をより低減でき、消費電力がより小さい超音波振動子を実現することができる。
第4の発明は、特に、第1乃至第3の発明の加熱手段または冷却手段を、音響整合層の温度を制御するための温度制御手段を有するものとした超音波振動子である。
この構成により、音響整合層が異常に高温になり過加熱によって劣化するのを防止し、または音響整合層が異常に低温になり過冷却によって劣化を防止することができる。また、加熱手段または冷却手段と温度制御手段を用いて音響整合層を常に一定の温度に維持でき、音響整合層の音響インピーダンスが温度によって変動することを防止できるため、超音波振動子の超音波の送受波感度のばらつきを抑えることができる。
第5の発明は、特に、第1乃至第4の発明の加熱手段または冷却手段を圧電体の超音波伝搬空間をよけた部分に配置した超音波振動子である。
この構成により、加熱手段または冷却手段によって超音波の伝搬が妨げられることはなくなるので、加熱手段や冷却手段の配置による超音波振動子の超音波の送受波感度の低下を抑えることができる。
第6の発明は、第1乃至第5の発明に係る超音波振動子を流体の流れる流路の上流側と、下流側とに配置し、超音波振動子間の超音波伝搬時間から前記流体の流速を計測する計測回路と、前記計測回路で計測した流速から流体の流量を演算する演算部とを有する超音波流量計である。
この構成により、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高い超音波振動子を用いて流量計を構成できるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒質であっても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質であっても、高精度な流量計測が可能な超音波流量計を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における超音波振動子を示す概念図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A線上の断面図である。
図1において、超音波振動子10は、圧電体11と、前記圧電体11の上面に設けられた上面電極12と、前記圧電体11の下面に設けられた下面電極13と、前記圧電体11の超音波送受波面(圧電体11における超音波を送波し、または受波する面をいう。以下同じ。)に接合された加熱手段15と、前記加熱手段15に接して配置される音響整合層14を主な部材として構成されている。
以上のように構成された超音波振動子について、以下、構成要素の材料や、その構成および作用について具体的に説明する。
圧電体11は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等のセラミック素子や、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の高分子圧電材料から構成され、上面電極12と下面電極13を介して、駆動回路(図示せず)からの制御信号を受けて振動し、音響整合層14に超音波を伝搬する。
上面電極12と下面電極13は、例えば、焼き付け銀等で構成され、圧電体11の上面と下面に形成される。
加熱手段15は、金属板16の上面の外周部分に両面テープ(図示せず)を用いて面状ヒーター17を貼り付けて構成され、圧電体11に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)を用いて接合され、圧電体11と音響整合層14との間に配置されている。面状ヒーター17は、例えば、シリコンラバーヒーターで構成され、音響整合層14の下面が金属板16に直接、接するように、金属板16の外周部分にのみ貼り付けられている。面状ヒーター17が電極18を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け発熱し、金属板16を加熱することで音響整合層14を加熱して高温状態にし、音響整合層14の弾性率を低下させ、音響インピーダンスを小さくする。
音響整合層14は、ポリエチレンテレフタレートフォーム(ガラス転移点は65℃)からなる発泡樹脂で構成され、金属板16に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)を用いて接合される。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリエチレンテレフタレートフォームは、加熱手段15によって、ガラス転移点より高い温度、例えば80℃に加熱されることで、弾性率が低下し、音響整合層14の音響インピーダンスが小さくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子10の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、音響整合層に発泡樹脂を使用し、加熱手段を用いて発泡樹脂を加熱して高温状態にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを小さくすることができるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、超音波の送受波感度が高い超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における超音波振動子を示す概念図であり、図2(a)
は斜視図、図2(b)は図2(a)のA−A線上の断面図である。つまり、図2に示すように、本実施の形態に係る超音波振動子20は、加熱手段に音響整合層の加熱温度を制御できる温度制御手段を配置した点で、実施の形態1に係る超音波振動子とは異なる。
以下、本実施の形態に係る超音波振動子の発明のポイントである温度制御手段の構成および作用について、図面を参照し説明する。ここで、他の構成要素やその動作は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
図2に示すように、温度制御手段21は、例えば、サーミスタで構成され、加熱手段15を制御し、音響整合層14を一定の高温状態に保ち、音響整合層14が過加熱によって劣化するのを防止し、また、音響整合層14の弾性率が温度によって変化するのを防止することで音響インピーダンスの変動を抑え、超音波振動子20の超音波の送受波感度のばらつきを防止する。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリエチレンテレフタレートフォームは、加熱手段15によって、ガラス転移点より高い温度、例えば80℃に加熱されることで、弾性率が低下し、音響整合層14の音響インピーダンスが小さくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子20の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、音響整合層に発泡樹脂を使用し、加熱手段を用いて発泡樹脂を加熱し高温状態にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを小さくすることができ、また、温度制御手段により、過加熱による音響整合層の劣化を抑え、音響整合層の温度変動による音響整合層の音響インピーダンスの変動を抑えることができるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、超音波の送受波感度が高く、かつ超音波の送受波感度のばらつきが小さい高精度の超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における超音波振動子を示す概念図であり、図3(a)は斜視図、図3(b)は図3(a)のA−A線上の断面図である。つまり、図3に示すように、本実施の形態に係る超音波振動子30は、加熱手段をシーズヒーターに代え、音響整合層を貫通して配置した点で、実施の形態2に係る超音波振動子とは異なる。
以下、本実施の形態に係る超音波振動子の発明のポイントである加熱手段について、図面を参照し説明する。ここで、他の構成要素やその動作は実施の形態1または実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
図3に示すように、加熱手段31は、例えば、ニクロム線を酸化マグネシアとSUS316で被覆したシーズヒーターであり、音響整合層14を貫通して配置されている。加熱手段31は、電極32を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け発熱し、音響整合層14をその内部から加熱し、音響整合層14を高温状態にすることで、音響整合層14の弾性率を低下させ、音響インピーダンスを小さくする。一方、温度制御手段21は、加熱手段31を制御し、音響整合層14を一定の高温状態に保ち、音響整合層14が過加熱によって劣化するのを防止し、また、音響整合層14の弾性率が温度によって変化するのを防止することで、音響インピーダンスの変動を抑え、超音波振動子30の超音波の送受
波感度のばらつきを防止する。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリエチレンテレフタレートフォームは、加熱手段31によって、ガラス転移点より高い温度、例えば80℃に加熱されることで、弾性率が低下し、音響整合層14の音響インピーダンスが小さくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子30の超音波の送受波感度を高くすることができる。一方、加熱手段31を作動させない場合は、ポリエチレンテレフタレートフォームはガラス転移点より低い温度、例えば25℃になり、弾性率が大きい状態で維持され、音響整合層14の音響インピーダンスが大きくなるので、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質である空気やプロパン等の気体、水等の液体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子30の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、発泡樹脂からなる音響整合層に加熱手段を具備し、発泡樹脂を加熱して高温状態にし、または発泡樹脂を加熱せずに低温状態にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを変化させることができ、また、加熱手段を作動しているときには、温度制御手段により、過加熱による音響整合層の劣化を抑え、音響整合層の温度変動による音響整合層の音響インピーダンスの変動を抑えることができるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒体に対しても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高く、かつ超音波の送受波感度のばらつきが小さい高精度の超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4における超音波振動子を示す概念図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は図4(a)のA−A線上の断面図である。つまり、図4に示すように、本実施の形態に係る超音波振動子40は、加熱手段を面状ヒーターとし、金属板を使用せずに音響整合層の外周部分に直接貼り付けた点と、加熱手段を圧電体から発せられる超音波の伝搬空間をよけた部分に配置した点で、実施の形態2に係る超音波振動子とは異なる。
以下、本実施の形態に係る超音波振動子の発明のポイントである、加熱手段について、図面を参照し説明する。ここで、他の構成要素やその動作は実施の形態1または実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
図4に示すように、加熱手段41は、例えば、シリコンラバーヒーター等の面状ヒーターであり、音響整合層14の外周部分に両面テープ(図示せず)を用いて貼り付けられている。加熱手段41は、電極42を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け発熱し、音響整合層14をその外周部分から加熱し、音響整合層14を高温状態にすることで、音響整合層14の弾性率を低下させ、音響インピーダンスを小さくする。一方、温度制御手段21は、加熱手段41を制御し、音響整合層14を一定の高温状態に保ち、音響整合層14が過加熱によって劣化するのを防止し、また、音響整合層14の弾性率が温度によって変化するのを防止することで、音響インピーダンスの変動を抑え、超音波振動子40の超音波の送受波感度のばらつきを防止する。ここで、圧電体11から発せられる超音波は、圧電体11の超音波送受波面から、超音波伝搬空間(超音波送受波面の鉛直上方向に位置する空間をいう。以下同じ。)に伝搬するが、加熱手段41の配置が超音波が超音波伝搬空間を伝搬するのを妨げないように、加熱手段41は超音波伝搬空間をよけた部分に
配置されている。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリエチレンテレフタレートフォームは、加熱手段41によって、ガラス転移点より高い温度、例えば80℃に加熱されることで、弾性率が低下し、音響整合層14の音響インピーダンスが小さくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子40の超音波の送受波感度を高くすることができる。一方、加熱手段41を作動させない場合は、ポリエチレンテレフタレートフォームはガラス転移点より低い温度、例えば25℃になり、弾性率が大きい状態で維持され、音響整合層14の音響インピーダンスが大きくなるので、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質である空気やプロパン等の気体、水等の液体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子40の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、発泡樹脂からなる音響整合層に加熱手段を具備し、発泡樹脂を加熱して高温状態にし、または発泡樹脂を加熱せずに低温状態にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを変化させることができ、また、加熱手段を作動しているときには、温度制御手段により、過加熱による音響整合層の劣化を抑え、音響整合層の温度変動による音響整合層の音響インピーダンスの変動を抑えることができるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒体に対しても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高く、かつ超音波の送受波感度のばらつきが小さい高精度の超音波振動子を実現することができる。また、加熱手段は超音波伝搬空間をよけて配置され、加熱手段によって超音波の伝搬が妨げられることを防止できるので、加熱手段を配置しても超音波の送受波感度が低下しない超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態5)
図5は、本発明の実施の形態5における超音波振動子を示す概念図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)は図5(a)のA−A線上の断面図である。つまり、図5に示すように、本実施の形態に係る超音波振動子50は、面状ヒーターをペルチェ素子に代えることで、加熱手段を冷却手段に代えた点と、発泡樹脂をポリエチレンテレフタレートからポリプロピレンフォームに代えた点で、実施の形態2に係る超音波振動子とは異なる。
以下、本実施の形態に係る超音波振動子の発明のポイントである冷却手段と音響整合層について、図面を参照し説明する。ここで、他の構成要素やその動作は実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
図5に示すように、冷却手段51は金属板16の上面の外周部分に両面テープ(図示せず)を用いてペルチェ素子52を貼り付けて構成され、圧電体11と音響整合層54との間に配置されている。ペルチェ素子52は音響整合層54の下面が金属板16に直接、接するように、金属板16の外周部分にのみ貼り付けられている。ペルチェ素子52が電極53を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け冷却動作し、金属板16を冷却することで音響整合層54を冷却して低温状態にし、音響整合層54の弾性率を増大させ、音響インピーダンスを大きくする。一方、温度制御手段21は、冷却手段51を制御し、音響整合層54を一定の低温状態に保ち、音響整合層54が過冷却によって劣化するのを防止し、また、音響整合層54の弾性率が温度によって変化するのを防止することで、音響インピーダンスの変動を抑え、超音波振動子50の超音波の送受波感度のばらつきを防止
する。
音響整合層54は、ポリプロピレンフォーム(ガラス転移点は10℃)からなる発泡樹脂で構成され、金属板16に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)を用いて接合される。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリプロピレンフォームは、冷却手段51によって、ガラス転移点より低い温度、例えば5℃に冷却されることで、弾性率が増大し、音響整合層54の音響インピーダンスが大きくなるので、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質である空気やプロパン等の気体、水等の液体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子50の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、音響整合層に発泡樹脂を使用し、冷却手段を用いて発泡樹脂を冷却し低温にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを大きくすることができ、また、温度制御手段により、過冷却による音響整合層の劣化を抑え、音響整合層の温度変動による音響整合層の音響インピーダンスの変動を抑えることができるので、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質である空気やプロパン、水等に対して、超音波の送受波感度が高く、かつ超音波の送受波感度のばらつきが小さい高精度の超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態6)
図6は、本発明の実施の形態6における超音波振動子を示す概念図であり、図6(a)は斜視図、図6(b)は図6(a)のA−A線上の断面図である。つまり、図6に示すように、本実施の形態に係る超音波振動子60は、面状ヒーターをペルチェ素子に代えることで、加熱手段を冷却手段に代えた点と、発泡樹脂をポリエチレンテレフタレートからポリプロピレンフォームに代えた点で、実施の形態4に係る超音波振動子とは異なる。
以下、本実施の形態に係る超音波振動子の発明のポイントである冷却手段と音響整合層について、図面を参照し説明する。ここで、他の構成要素やその動作は実施の形態4と同様であるので、説明を省略する。
図6に示すように、冷却手段61はペルチェ素子で構成され、音響整合層63の外周部分に両面テープ(図示せず)を用いて貼り付けられている。冷却手段61は、電極62を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け冷却動作し、音響整合層63をその外周部分から冷却し、音響整合層63を低温状態にすることで、音響整合層63の弾性率を増大させ、音響インピーダンスを大きくする。一方、温度制御手段21は、冷却手段61を制御し、音響整合層63を一定の低温状態に保ち、音響整合層63が過冷却によって劣化するのを防止し、また、音響整合層63の弾性率が温度によって変化するのを防止することで、音響インピーダンスの変動を抑え、超音波振動子60の超音波の送受波感度のばらつきを防止する。ここで、冷却手段61の配置が超音波が超音波伝搬空間を伝搬するのを妨げないように、冷却手段61は超音波伝搬空間をよけた部分に配置されている。
音響整合層63は、ポリプロピレンフォーム(ガラス転移点は10℃)からなる発泡樹脂で構成され、圧電体11の超音波送受波面に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)を用いて接合される。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリプロピレンフォームは、冷却手段61によって、ガラス転移点より低い温度、例えば5℃に冷却されることで、弾性率が増大し、音響整合層63の音響インピーダンスが大きくなるので、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質である空気やプロパン等の気体、水等の液体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質の音響インピーダンスとの音響整合を取ることができ、超音波振動子60の超音波の送受波感度を高くすることができる。一方、冷却手段61を作動させない場合、ポリプロピレンフォームはガラス転移点より高い温度、例えば25℃になり、弾性率が小さい状態で維持され、音響整合層63の音響インピーダンスは小さくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質との音響インピーダンスの音響整合を取ることができ、超音波振動子60の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、発泡樹脂からなる音響整合層に冷却手段を具備し、発泡樹脂を冷却して低温状態にし、または発泡樹脂を冷却せずに高温状態にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを変化させることができ、また、冷却手段を作動しているときには、温度制御手段により、過冷却による音響整合層の劣化を抑え、音響整合層の温度変動による音響整合層の音響インピーダンスの変動を抑えることができるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒体に対しても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高く、かつ超音波の送受波感度のばらつきが小さい高精度の超音波振動子を実現することができる。また、冷却手段は超音波伝搬空間をよけて配置され、冷却手段によって超音波の伝搬が妨げられることを防止できるので、冷却手段を配置しても超音波の送受波感度が低下しない超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態7)
図7は、本発明の実施の形態7における超音波振動子を示す概念図であり、図7(a)は斜視図、図7(b)は図7(a)のA−A線上の断面図である。つまり、図7に示すように、本実施の形態に係る超音波振動子70は、加熱手段を加熱冷却手段に代えた点と、発泡樹脂をポリエチレンテレフタレートからポリブチレンテレフタレートフォームに代えた点で、実施の形態2に係る超音波振動子とは異なる。
以下、本実施の形態に係る超音波振動子の発明のポイントである加熱冷却手段と音響整合層について、図面を参照し説明する。ここで、他の構成要素やその動作は実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
図7に示すように、加熱冷却手段71は金属板16の上面の外周部分に両面テープ(図示せず)を用いて面状ヒーター72とペルチェ素子73を貼り付けて構成され、圧電体11と音響整合層74との間に配置されている。面状ヒーター72とペルチェ素子73は音響整合層74の下面が金属板16に直接、接するように、金属板16の外周部分にのみ貼り付けられている。面上ヒーター72は電極75を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け発熱し、金属板16を加熱することで音響整合層74を加熱して高温状態にし、音響整合層74の弾性率を低下させ、音響インピーダンスを小さくする。また、ペルチェ素子73は電極76を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け冷却動作し、金属板16を冷却することで音響整合層74を冷却して低温状態にし、音響整合層74の弾性率を増大させ、音響インピーダンスを大きくする。一方、温度制御手段21は、加熱冷却手段71を制御し、音響整合層74を一定の温度に保ち、音響整合層74が過加熱や過冷却によって劣化するのを防止し、また、音響整合層74の弾性率が温度によって変化するの
を防止することで、音響インピーダンスの変動を抑え、超音波振動子70の超音波の送受波感度のばらつきを防止する。
音響整合層74は、ポリブチレンテレフタレートフォーム(ガラス転移点は30℃)からなる発泡樹脂で構成され、金属板16に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)を用いて接合される。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリブチレンテレフタレートフォームは、面状ヒーター72によって、ガラス転移点より高い温度、例えば60℃に加熱されることで、弾性率が低下し、音響整合層74の音響インピーダンスが大きくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質との音響インピーダンスの音響整合を取ることができ、超音波振動子70の超音波の送受波感度を高くすることができる。また、ポリブチレンテレフタレートフォームは、ペルチェ素子73によって、ガラス転移点より低い温度、例えば5℃に冷却されることで、弾性率が増大し、音響整合層74の音響インピーダンスを大きくすることができるので、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質である空気やプロパン等の気体、水等の液体に対し圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質との音響インピーダンスの音響整合を取ることができ、超音波振動子70の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、発泡樹脂からなる音響整合層に加熱冷却手段を具備し、発泡樹脂を加熱して高温状態にし、または発泡樹脂を冷却して低温状態にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを変化させることができ、また、加熱冷却手段を作動しているときには、温度制御手段により、過加熱または過冷却による音響整合層の劣化を抑え、音響整合層の温度変動による音響整合層の音響インピーダンスの変動を抑えることができるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒体に対しても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高く、かつ超音波の送受波感度のばらつきが小さい高精度の超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態8)
図8は、本発明の実施の形態8における超音波振動子を示す概念図であり、図8(a)は斜視図、図8(b)は図8(a)のA−A線上の断面図である。つまり、図8に示すように、本実施の形態に係る超音波振動子80は、加熱手段を加熱冷却手段に代えた点と、発泡樹脂をポリエチレンテレフタレートからポリブチレンテレフタレートフォームに代えた点で、実施の形態4に係る超音波振動子とは異なる。
以下、本実施の形態に係る超音波振動子の発明のポイントである加熱冷却手段と音響整合層について、図面を参照し説明する。ここで、他の構成要素やその動作は実施の形態4と同様であるので、説明を省略する。
図8に示すように、加熱冷却手段81は、面状ヒーター82とペルチェ素子83とから構成され、音響整合層84の外周部分に両面テープ(図示せず)を用いて貼り付けられている。面状ヒーター82は、電極85を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け発熱し、音響整合層84をその外周部分から加熱し、音響整合層84を高温状態にすることで、音響整合層84の弾性率を低下させ、音響インピーダンスを小さくする。また、ペルチェ素子83は電極86を介して電源(図示せず)からの制御信号を受け冷却動作し、音響整合層84をその外周部分から冷却し、音響整合層84を低温状態にすることで、音響
整合層84の弾性率を増大させ、音響インピーダンスを大きくする。一方、温度制御手段21は、加熱冷却手段81を制御し、音響整合層84を一定の温度に保ち、音響整合層84が過加熱や過冷却によって劣化するのを防止し、また、音響整合層84の弾性率が温度によって変化するのを防止することで、音響インピーダンスの変動を抑え、超音波振動子80の超音波の送受波感度のばらつきを防止する。ここで、加熱冷却手段81の配置が超音波が超音波伝搬空間を伝搬するのを妨げないように、加熱冷却手段81は超音波伝搬空間をよけた部分に配置されている。
音響整合層84は、ポリブチレンテレフタレートフォーム(ガラス転移点は30℃)からなる発泡樹脂で構成され、圧電体11の超音波送受波面に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)を用いて接合される。
つづいて、以上のように構成された超音波振動子について、以下その動作、作用について説明する。
音響整合層として作用するポリブチレンテレフタレートフォームは、面状ヒーター82によって、ガラス転移点より高い温度、例えば60℃に加熱されることで、弾性率が低下し、音響整合層84の音響インピーダンスが大きくなるので、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質である水素等の気体に対して、圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質との音響インピーダンスの音響整合を取ることができ、超音波振動子80の超音波の送受波感度を高くすることができる。また、ポリブチレンテレフタレートフォームは、ペルチェ素子83によって、ガラス転移点より低い温度、例えば5℃に冷却されることで、弾性率が増大し、音響整合層84の音響インピーダンスを大きくすることができるので、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質である空気やプロパン等の気体、水等の液体に対し圧電体11の音響インピーダンスと伝搬媒質との音響インピーダンスの音響整合を取ることができ、超音波振動子80の超音波の送受波感度を高くすることができる。
以上のように、本実施の形態においては、発泡樹脂からなる音響整合層に加熱冷却手段を具備し、発泡樹脂を加熱して高温状態にし、または発泡樹脂を冷却して低温状態にすることで、音響整合層の音響インピーダンスを変化させることができ、また、加熱冷却手段を作動しているときには、温度制御手段により、過加熱または過冷却による音響整合層の劣化を抑え、音響整合層の温度変動による音響整合層の音響インピーダンスの変動を抑えることができるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒体に対しても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高く、かつ超音波の送受波感度のばらつきが小さい高精度の超音波振動子を実現することができる。また、加熱冷却手段は超音波伝搬空間をよけて配置され、加熱冷却手段によって超音波の伝搬が妨げられることを防止できるので、加熱冷却手段を配置しても超音波の送受波感度が低下しない超音波振動子を実現することができる。
なお、上述した実施の形態において、温度制御手段としてサーミスタを使用したが、これに限られるものではなく、熱伝対等による電気式検知手段や、バイメタルや形状記憶合金等による機械的検知手段であっても構わない。また、音響整合層や伝搬媒質等の温度を検知するための温度検知手段を超音波振動子に具備する構成とすることもできる。
さらに、また、発泡樹脂は、上述した実施の形態において使用したポリエチレンテレフタレートフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリブチレンテレフタレートフォームに限られるものではなく、例えば、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、EVAフォーム、フェノールフォーム、シリコーンフォーム、ユリアフォーム、アクリルフォーム、EPDMフォーム等を汎用の発泡樹脂を使用することができ、さらには、ポリアセタール、
ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリングプラスチックや、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等のスーパーエンジニアリングプラスチックの発泡体を使用することも可能である。
これらエンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックの発泡体は、化学発泡剤を利用した化学発泡や液化ガスや超臨界流体を利用した物理発泡により作製することができる。
(実施の形態9)
図9は、本発明の実施の形態9における超音波流量計を示す構成図である。
図9において、超音波流量計90は、流路91と、前記流路91において上流側に配置された上流側超音波振動子92と、前記流路91において前記上流側超音波振動子92の下流側に配置された下流側超音波振動子93と、前記上流側超音波振動子92と下流側超音波振動子93の間の超音波伝搬時間から前記流体の流速を計測する計測回路94と、前記計測回路94で計測した流速から流体の流量を演算する演算部95から構成される。
ここで、上流側超音波振動子92と下流側超音波振動子93は、上述した実施の形態1に係る超音波振動子である。また、上流側超音波振動子92と下流側超音波振動子93は、超音波を送波する機能と受波する機能を備えている。なお、実線の矢印Aは流体の流れる方向を、破線の矢印Bは上流側超音波振動子92と下流側超音波振動子93との間での超音波の伝搬する方向をそれぞれ示す。図中のθは、流体の流れる方向と超音波の伝搬する方向との交差角を示す。
以上のように構成された超音波流量計について、以下、動作と流量の計測方法について説明する。
上述した超音波流量計90の構成において、上流側超音波振動子92から超音波を送波し、下流側超音波振動子93で受波し、また、下流側超音波振動子93から超音波を送波し、上流側超音波振動子92で受波するよう交互に繰り返している。このとき、上流側超音波振動子92から下流側超音波振動子93への超音波の伝搬時間をTud、下流側超音波振動子93から上流側超音波振動子92への超音波の伝搬時間をTduとし、超音波が流体中を伝搬する伝搬速度をVs、流体の流速をVf、上流側超音波振動子92と下流側超音波振動子93との間の距離をLdとすると、Tudと、Tduは、数式4によって計算される。
(数式4)
Tud=Ld/[Vs+Vf・cos(θ)]
Tdu=Ld/[Vs−Vf・cos(θ)]
また、流量の流速Vfは、数式4から、数式5によって計算される。
(数式5)
Vf={Ld/[2・cos(θ)]}×[(1/Tud)−(1/Tdu)]
さらに、流体の流速Vfと流路91の断面積Srから、流量Qmは数式6によって計算される。
(数式6)
Qm=Sr×Vf
計測回路94は、上述したTdu、Tudを計測し、予め分かっているLdとの関係か
ら流体の流速Vfを計測する。
演算部95は、計測回路94で計測した流体の流速Vfの情報を受け、予め分かっている流路91の断面積Sとの関係から流量Qmを演算する。
以上のように、本実施の形態においては、音響インピーダンスが小さい伝搬媒質に対しても、音響インピーダンスが大きい伝搬媒質に対しても、超音波の送受波感度が高い超音波振動子を用いて流量計を構成できるので、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒質であっても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質であっても、高精度な流量計測が可能な超音波流量計を実現することができる。
なお、本実施の形態において、超音波振動子として、実施の形態1に係る超音波振動子を利用したが、これに代えて、実施の形態2乃至実施の形態6に係る超音波振動子を利用した超音波流量計であっても同一の効果を奏することができる。
以上のように、本発明にかかる超音波振動子および超音波流量計は、水素等の音響インピーダンスが小さい伝搬媒質であっても、空気やプロパン、水等の音響インピーダンスが大きい伝搬媒質であっても、超音波の送受波感度が高く、かつ送受波感度のばらつきが小さい高精度の流量計測ができるので、精度の高い流量計測が要求される家庭用や工業用のガス流量計、水道用流量計等の用途に適用できる。
10、20、30、40、50、60、70、80 超音波振動子
11 圧電体
14、54、63、74、84 音響整合層
15、31、41 加熱手段
16 金属板
21 温度制御手段
51、61 冷却手段
71、81 加熱冷却手段
90 超音波流量計
91 流路
92 上流側超音波振動子
93 下流側超音波振動子
94 計測回路
95 演算部

Claims (6)

  1. 圧電体と、
    前記圧電体の超音波送受波面に接合される発泡樹脂からなる音響整合層と、
    前記音響整合層を加熱するための加熱手段または前記音響整合層を冷却するための冷却手段の少なくとも一方、
    を有する超音波振動子。
  2. 前記加熱手段または冷却手段は、前記音響整合層に接して配置される、請求項1に記載の超音波振動子。
  3. 前記加熱手段または冷却手段は、前記音響整合層を貫通して配置される、請求項2に記載の超音波振動子。
  4. 前記加熱手段または冷却手段は、前記音響整合層の温度を制御するための温度制御手段を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波振動子。
  5. 前記加熱手段または冷却手段は、前記圧電体の超音波伝搬空間をよけた部分に配置される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波振動子。
  6. 流体の流れる流路の上流側と、下流側とに、配置された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の一対の超音波振動子と、
    前記超音波振動子の間の超音波伝搬時間から前記流体の流速を計測する計測回路と、
    前記流速から流体の流量を演算する演算部と、
    を有する超音波流量計。
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