JP2016138599A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 8個の伝達ユニットを備える車両用動力伝達装置の入力軸の軸受けに作用する偏荷重を低減あるいは完全に相殺する。【解決手段】 車両用動力伝達装置の8個の伝達ユニットは、第1ユニットAおよび第1逆ユニットA′間の軸方向距離と、第4ユニットDおよび第4逆ユニットD′間の軸方向距離とが共にpであり、第2ユニットBおよび第2逆ユニットB′間の軸方向距離と、第3ユニットCおよび第3逆ユニットC′間の軸方向距離とが共にqであり、距離pおよび距離qは、1<q/p<(2sin67.5゜−sin22.5゜)/sin22.5゜の関係を満たすので、各伝達ユニット14により第1、第2軸受け22,21に作用する偏荷重が相互に打ち消し合うことで振動を低減することができる。【選択図】 図10

Description

本発明は、駆動源に接続された入力軸の回転を駆動輪に接続された出力軸に伝達する車両用動力伝達装置が、軸方向に並置された8個の伝達ユニットを備えるものに関する。
軸方向に並置された複数の伝達ユニットを備える車両用動力伝達装置は、入力軸の周囲を偏心ディスクが相互に異なる位相で偏心回転するため、入力軸の両端部を支持する軸受けに周期的な偏荷重が加わって振動の原因となる問題がある。
複数の伝達ユニットから入力軸の両端部を支持する軸受けに作用するトータルの偏荷重は、軸受けおよび各伝達ユニット間の距離と、各伝達ユニットの偏心ディスクの位相とに応じて変化するため、複数の伝達ユニットの軸方向の位置に応じて偏心ディスクの位相を適切に決定すれば、軸受けに作用するトータルの偏荷重を低減する余地があると考えられる。
そこで本出願人は、位相が60°ずつ異なる6個の伝達ユニットを軸方向に等間隔で並置した車両用動力伝達装置において、6個の伝達ユニットを入力軸の軸方向に沿って所定の順番で配置することで、各伝達ユニットから入力軸の軸方向両端部を支持する軸受けに作用する偏荷重を完全に相殺して振動を低減するものを、下記特許文献1、2により既に提案している。
WO2014042018 WO2014084067
ところで、車両用動力伝達装置が、位相が45°ずつ異なる8個の伝達ユニットを軸方向に等間隔で備える場合、特許文献1、2に記載された発明の技術思想では入力軸の軸受けに作用する偏荷重を完全に相殺することは不可能である。
しかしながら、本出願人は、車両用動力伝達装置が、位相が45°ずつ異なる8個の伝達ユニットを備える場合に、8個の伝達ユニットを軸方向に沿って所定の順番で配置するとともに、8個の伝達ユニットの軸方向間隔を所定の間隔に設定することにより、入力軸の軸受けに作用する偏荷重を低減あるいは完全に相殺することが可能であることを見いだした。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、8個の伝達ユニットを備える車両用動力伝達装置の入力軸の軸受けに作用する偏荷重を低減あるいは完全に相殺することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸の回転を出力軸に伝達する8個の伝達ユニットを前記入力軸および前記出力軸間に並置し、前記入力軸は、軸方向一端側を第1軸受けにより支持されて軸方向他端側を第2軸受けにより支持され、前記伝達ユニットの各々は、前記入力軸と共に偏心回転する入力側支点と、前記出力軸に接続されたワンウェイクラッチと、前記ワンウェイクラッチのアウター部材に設けられた出力側支点と、前記入力側支点および前記出力側支点に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッドとを備え、前記8個の伝達ユニットの前記8個の入力側支点は、前記入力軸の軸線からの偏心量が同一であって45°の位相差で周方向に等間隔に配置される車両用動力伝達装置であって、前記8個の伝達ユニットは、第1ユニットと、前記第1ユニットよりも前記他端側に配置されて該第1ユニットと逆位相の第1逆ユニットと、第2ユニットと、前記第2ユニットよりも前記一端側に配置されて該第2ユニットと逆位相の第2逆ユニットと、第3ユニットと、前記第3ユニットよりも前記他端側に配置されて該第3ユニットと逆位相の第3逆ユニットと、第4ユニットと、前記第4ユニットよりも前記一端側に配置されて該第4ユニットと逆位相の第4逆ユニットとからなり、前記第1ユニットおよび前記第1逆ユニット間の軸方向距離と、前記第4ユニットおよび前記第4逆ユニット間の軸方向距離とが共にpであり、前記第2ユニットおよび前記第2逆ユニット間の軸方向距離と、前記第3ユニットおよび前記第3逆ユニット間の軸方向距離とが共にqであり、前記距離pおよび前記距離qは、
1<q/p<(2sin67.5゜−sin22.5゜)/sin22.5゜
の関係を満たすことを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記距離pおよび前記距離qは、
q/p=sin67.5゜/sin22.5゜
の関係を満たすことを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記8個の伝達ユニットを軸方向一端側から他端側に向かって順番に♯1ユニット、♯2ユニット、♯3ユニット、♯4ユニット、♯5ユニット、♯6ユニット、♯7ユニット、♯8ユニットとしたとき、前記第1ユニットは前記♯1ユニットに相当し、前記第2ユニットは前記♯6ユニットに相当し、前記第3ユニットは前記♯3ユニットに相当し、前記第4ユニットは前記♯8ユニットに相当し、前記第1逆ユニットは前記♯2ユニットに相当し、前記第2逆ユニットは前記♯4ユニットに相当し、前記第3逆ユニットは前記♯5ユニットに相当し、前記第4逆ユニットは前記♯7ユニットに相当し、前記♯2ユニットおよび前記♯3ユニット間の軸方向距離と、前記♯3ユニットおよび前記♯4ユニット間の軸方向距離と、前記♯5ユニットおよび前記♯6ユニット間の軸方向距離と、前記♯6ユニットおよび前記♯7ユニット間の軸方向距離とが前記距離pに一致することを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記8個の伝達ユニットを軸方向一端側から他端側に向かって順番に♯1ユニット、♯2ユニット、♯3ユニット、♯4ユニット、♯5ユニット、♯6ユニット、♯7ユニット、♯8ユニットとしたとき、前記第1ユニットは前記♯1ユニットに相当し、前記第2ユニットは前記♯5ユニットに相当し、前記第3ユニットは前記♯4ユニットに相当し、前記第4ユニットは前記♯8ユニットに相当し、前記第1逆ユニットは前記♯2ユニットに相当し、前記第2逆ユニットは前記♯3ユニットに相当し、前記第3逆ユニットは前記♯6ユニットに相当し、前記第4逆ユニットは前記♯7ユニットに相当し、前記♯2ユニットおよび前記♯3ユニット間の軸方向距離と、前記♯3ユニットおよび前記♯4ユニット間の軸方向距離と、前記♯5ユニットおよび前記♯6ユニット間の軸方向距離と、前記♯6ユニットおよび前記♯7ユニット間の軸方向距離とが前記距離pに一致することを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
尚、実施の形態の偏心ディスク19は本発明の入力側支点に対応し、実施の形態のピン37は本発明の出力側支点に対応し、実施の形態のエンジンPは本発明の駆動源に対応する。
請求項1の構成によれば、車両用動力伝達装置の8個の伝達ユニットの8個の入力側支点は、入力軸の軸線からの偏心量が同一であって45°の位相差で周方向に等間隔に配置される。8個の伝達ユニットは、第1ユニットおよび第1逆ユニット間の軸方向距離と、第4ユニットおよび第4逆ユニット間の軸方向距離とが共にpであり、第2ユニットおよび第2逆ユニット間の軸方向距離と、第3ユニットおよび第3逆ユニット間の軸方向距離とが共にqであり、距離pおよび距離qは、
1<q/p<(2sin67.5゜−sin22.5゜)/sin22.5゜
の関係を満たすので、各伝達ユニットにより第1、第2軸受けに作用する偏荷重が相互に打ち消し合うことで振動を低減することができる。
また請求項2の構成によれば、距離pおよび距離qは、q/p=sin67.5゜/sin22.5゜の関係を満たすので、各伝達ユニットにより第1軸受けおよび第2軸受けに発生する偏荷重を完全に相殺して振動を更に低減することができる。
また請求項3の構成によれば、第1軸受けおよび第2軸受けに発生する偏荷重を完全に相殺するためには、♯1ユニットおよび♯2ユニット間の軸方向距離と、第7ユニットおよび♯8ユニット間の軸方向距離とが共にpであることが必要であり、♯2ユニットおよび♯3ユニット間の軸方向距離と、♯3ユニットおよび♯4ユニット間の軸方向距離と、♯5ユニットおよび♯6ユニット間の軸方向距離と、♯6ユニットおよび♯7ユニット間の軸方向距離とは任意に設定可能であるが、その任意に設定可能な軸方向距離を敢えてpに設定することで、各伝達ユニットの部品を共通化してコストダウンを図るとともに、変速機の軸方向寸法を小型化することができる。
また請求項4の構成によれば、第1軸受けおよび第2軸受けに発生する偏荷重を完全に相殺するためには、♯1ユニットおよび♯2ユニット間の軸方向距離と、第7ユニットおよび♯8ユニット間の軸方向距離とが共にpであることが必要であり、♯2ユニットおよび♯3ユニット間の軸方向距離と、♯3ユニットおよび♯4ユニット間の軸方向距離と、♯5ユニットおよび♯6ユニット間の軸方向距離と、♯6ユニットおよび♯7ユニット間の軸方向距離とは任意に設定可能であるが、その任意に設定可能な軸方向距離を敢えてpに設定することで、各伝達ユニットの部品を共通化してコストダウンを図るとともに、変速機の軸方向寸法を小型化することができる。
無段変速機の全体斜視図。 無段変速機の要部の一部破断斜視図。 図1の3−3線断面図。 図3の4部拡大図。 図3の5−5線断面図。 偏心ディスクの形状を示す図。 偏心ディスクの偏心量と変速比との関係を示す図。 TD変速比およびUD変速比における偏心ディスクの状態を示す図。 ♯1ユニット〜♯8ユニットの軸方向配置を示す図。 請求項1の発明の対応図。 軸受けに作用する偏荷重の算出過程の説明図。 請求項3の発明の対応図。 請求項4の発明の対応図。 p/qの好適な範囲を示す図。 対角位置にあるユニットの番号差がΔ1になる実施の形態を示す図。 対角位置にあるユニットの番号差がΔ4になる実施の形態を示す図。 対角位置にあるユニットの番号差がΔ1またはΔ2になる実施の形態を示す図。 対角位置にあるユニットの番号差がΔ1またはΔ3になる実施の形態を示す図。 対角位置にあるユニットの番号差がΔ2またはΔ3になる実施の形態を示す図。 対角位置にあるユニットの番号差がΔ2またはΔ5になる実施の形態を示す図。 対角位置にあるユニットの番号差がΔ2またはΔ6になる実施の形態を示す図。
以下、図1〜図21に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図5に示すように、自動車用の無段変速機Tのミッションケース11の一対の側壁11a,11bに入力軸12および出力軸13が相互に平行に支持されており、エンジンPに接続された入力軸12の回転が6個の伝達ユニット14…、出力軸13およびディファレンシャルギヤDを介して駆動輪に伝達される。中空に形成された入力軸12の内部に、その入力軸12と軸線Lを共有する変速軸15が7個のニードルベアリング16…を介して相対回転可能に嵌合する。
尚、本発明の車両用動力伝達装置は、実際には8個の伝達ユニット14…を備えるが、ここでは便宜的に伝達ユニット14…の数を6個として説明する。6個の伝達ユニット14…の構造は実質的に同一構造であるため、以下、一つの伝達ユニット14を代表として構造を説明する。
伝達ユニット14は変速軸15の外周面に設けられたピニオン17を備えており、このピニオン17は入力軸12に形成した開口12aから露出する。ピニオン17を挟むように、入力軸12の外周に軸線L方向に2分割された円板状の偏心カム18がスプライン結合される。偏心カム18の中心O1は入力軸12の軸線Lに対して距離dだけ偏心している。また6個の伝達ユニット14…の6個の偏心カム18…は、その偏心方向の位相が相互に60°ずつずれている。
偏心カム18の外周面には、円板状の偏心ディスク19の軸線L方向両端面に形成した一対の偏心凹部19a,19aが、一対のニードルベアリング20,20を介して回転自在に支持される。偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれている。即ち、入力軸12の軸線Lおよび偏心カム18の中心O1間の距離dと、偏心カム18の中心O1および偏心ディスク19の中心O2間の距離dとは同一である。
軸線L方向に2分割された偏心カム18の割り面には、その偏心カム18の中心O1と同軸に一対の三日月状のガイド部18a,18aが設けられており、偏心ディスク19の一対の偏心凹部19a,19aの底部間を連通させるように形成されたリングギヤ19bの歯先が、偏心カム18のガイド部18a,18aの外周面に摺動可能に当接する。そして変速軸15のピニオン17が、入力軸12の開口12aを通して偏心ディスク19のリングギヤ19bに噛合する。
入力軸12の右端側はボールベアリングよりなる第2軸受け21を介してミッションケース11の右側の側壁11aに直接支持される。また入力軸12の左端側に位置する1個の偏心カム18に一体に設けた筒状部18bが、ボールベアリングよりなる第1軸受け22を介してミッションケース11の左側の側壁11bに支持されており、その偏心カム18の内周にスプライン結合された入力軸12の左端側は、ミッションケース11に間接的に支持される。
入力軸12に対して変速軸15を相対回転させて無段変速機Tの変速比を変更する変速アクチュエータ23は、モータ軸24aが軸線Lと同軸になるようにミッションケース11に支持された電動モータ24と、電動モータ24に接続された遊星歯車機構25とを備える。遊星歯車機構25は、電動モータ24にニードルベアリング26を介して回転自在に支持されたキャリヤ27と、モータ軸24aに固定されたサンギヤ28と、キャリヤ27に回転自在に支持された複数の2連ピニオン29…と、中空の入力軸12の軸端(厳密には、前記1個の偏心カム18の筒状部18b)にスプライン結合された第1リングギヤ30と、変速軸15の軸端にスプライン結合された第2リングギヤ31とを備える。各2連ピニオン29は大径の第1ピニオン29aと小径の第2ピニオン29bとを備えており、第1ピニオン29aはサンギヤ28および第1リングギヤ30に噛合し、第2ピニオン29bは第2リングギヤ31に噛合する。
偏心ディスク19の外周には、ローラベアリング32を介してコネクティングロッド33の一端側の環状部33aが相対回転自在に支持される。
出力軸13はミッションケース11の一対の側壁11a,11bに一対のボールベアリング34,35で支持されており、その外周にはワンウェイクラッチ36が設けられる。ワンウェイクラッチ36は、コネクティングロッド33のロッド部33bの先端にピン37を介して枢支されたリング状のアウター部材38と、アウター部材38の内部に配置されて出力軸13に固定されたインナー部材39と、アウター部材38の内周の円弧面とインナー部材39の外周の平面との間に形成された楔状の空間に配置されて複数個のスプリング40…で付勢された複数個のローラ41…とを備える。
図6および図8に示すように、偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれているため、偏心ディスク19の外周と偏心凹部19a,19aの内周との間隔は円周方向に不均一になっており、その間隔が大きい部分に三日月状の肉抜き凹部19c,19cが形成される。
次に、無段変速機Tの一つの伝達ユニット14の作用を説明する。
図5および図7(A)〜図7(D)から明らかなように、入力軸12の軸線Lに対して偏心ディスク19の中心O2が偏心しているとき、エンジンPによって入力軸12が回転するとコネクティングロッド33の環状部33aが軸線Lまわりに偏心回転することで、コネクティングロッド33のロッド部33bが往復運動する。
その結果、コネクティングロッド33が往復運動する過程で図中左側に引かれると、スプリング40…に付勢されたローラ41…がアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間に噛み込み、アウター部材38およびインナー部材39がローラ41…を介して結合されることで、ワンウェイクラッチ36が係合してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達される。逆にコネクティングロッド33が往復動する過程で図中右側に押されると、ローラ41…がスプリング40…を圧縮しながらアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間から押し出され、アウター部材38およびインナー部材39が相互にスリップすることで、ワンウェイクラッチ36が係合解除してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達されなくなる。
このようにして、入力軸12が1回転する間に、入力軸12の回転が所定時間だけ出力軸13に伝達されるため、入力軸12が連続回転すると出力軸13は間欠回転する。6個の伝達ユニット14…の偏心ディスク19…の偏心量εは全て同一であるが、偏心方向の位相が相互に60°ずつずれているため、6個の伝達ユニット14…が入力軸12の回転を交互に出力軸13に伝達することで、出力軸13は連続的に回転する。
このとき、偏心ディスク19の偏心量εが大きいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが大きくなって出力軸13の1回の回転角が増加し、無段変速機Tの変速比が小さくなる。逆に、偏心ディスク19の偏心量εが小さいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが小さくなって出力軸13の1回の回転角が減少し、無段変速機Tの変速比が大きくなる。そして偏心ディスク19の偏心量εがゼロになると、入力軸12が回転してもコネクティングロッド33が移動を停止するために出力軸13は回転せず、無段変速機Tの変速比が最大(無限大)になる。
入力軸12に対して変速軸15が相対回転しないとき、つまり入力軸12および変速軸15が同一速度で回転するとき、無段変速機Tの変速比は一定に維持される。入力軸12および変速軸15を同一速度で回転させるには、入力軸12と同速度で電動モータ24を回転駆動すれば良い。その理由は、遊星歯車機構25の第1リングギヤ30は入力軸12に接続されて該入力軸12と同一速度で回転するが、それと同一速度で電動モータ24を駆動するとサンギヤ28および第1リングギヤ30が同一速度で回転するため、遊星歯車機構25はロック状態になって全体が一体に回転する。その結果、一体に回転する第1リングギヤ30および第2リングギヤ31に接続された入力軸12および変速軸15は一体化され、相対回転することなく同速度で回転するからである。
入力軸12の回転数に対して電動モータ24の回転数を増速あるいは減速すると、入力軸12に結合された第1リングギヤ30と電動モータ24に接続されたサンギヤ28とが相対回転するため、キャリヤ27が第1リングギヤ30に対して相対回転する。このとき、相互に噛合する第1リングギヤ30および第1ピニオン29aの歯数比と、相互に噛合する第2リングギヤ31および第2ピニオン29bの歯数比とが僅かに異なるため、第1リングギヤ30に接続された入力軸12と第2リングギヤ31に接続された変速軸15とが相対回転する。
このようにして入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、各伝達ユニット14のピニオン17にリングギヤ19bを噛合させた偏心ディスク19の偏心凹部19a,19aが、入力軸12と一体の偏心カム18のガイド部18a,18aに案内されて回転し、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εが変化する。
図7(A)は変速比が最小の状態(変速比:TD)を示すもので、このとき入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは、入力軸12の軸線Lから偏心カム18の中心O1までの距離dと、偏心カム18の中心O1から偏心ディスク19の中心O2までの距離dとの和である2dに等しい最大値になる。入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が相対回転することで、図7(B)および図7(C)に示すように、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは最大値の2dから次第に減少して変速比が増加する。入力軸12に対して変速軸15が更に相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が更に相対回転することで、図7(D)に示すように、ついには入力軸12の軸線Lに偏心ディスク19の中心O2が重なり合って偏心量εがゼロになり、変速比が最大(無限大)の状態(変速比:UD)になって出力軸13に対する動力伝達が遮断される。
以上、伝達ユニット14…の数を6個として無段変速機Tの構造および作用を説明したが、図9に示すように、実際には無段変速機Tの構造および作用を説明したが、図9に示すように、実際には無段変速機Tは8個の伝達ユニット14…を備えてお、それら8個の伝達ユニット14…は、入力軸12および出力軸13の一端側(変速アクチュエータ23側)から他端側(エンジンPおよびディファレンシャルギヤD側)に向かって♯1ユニット、♯2ユニット、♯3ユニット、♯4ユニット、♯5ユニット、♯6ユニット、♯7ユニット、♯8ユニットと名付けられる。
図10(A)は入力軸12を軸線L方向に見た模式図であり、A,B,C,Dはそれぞれ第1ユニット、第2ユニット、第3ユニットおよび第4ユニットであり、それらの伝達ユニット14…の偏心ディスク19…の偏心方向(位相)は45°間隔で反時計方向に順番にずれている。A′,B′,C′,D′はそれぞれ第1逆ユニット、第2逆ユニット、第3逆ユニットおよび第4逆ユニットであり、それらの伝達ユニット14…の偏心ディスク19…の偏心方向(位相)は45°間隔で反時計方向に順番にずれている。そして第1ユニットAおよび第1逆ユニットA′は位相が相互に180°ずれ、第2ユニットBおよび第2逆ユニットB′は位相が相互に180°ずれ、第3ユニットCおよび第3逆ユニットC′は位相が相互に180°ずれ、第4ユニットDおよび第4逆ユニットD′は位相が相互に180°ずれている。
図10(B)は入力軸12を軸線Lに対して直交する方向に見た模式図であり、軸方向一端側(左側)の第1軸受け22と軸方向他端側(右側)の第2軸受け21との間の入力軸12上に、8個の伝達ユニット14…が所定の原則に則って配置されており、この配置により第1軸受け22および第2軸受け21に作用する偏荷重が相殺される。
上記原則は、以下の通りである。
(1) 第1逆ユニットA′は第1ユニットAよりも他端側に配置され、第3逆ユニットC′は第3ユニットCよりも他端側に配置される。
(2) 第2逆ユニットB′は第2ユニットBよりも一端側に配置され、第4逆ユニットD′は第4ユニットDよりも一端側に配置される。
(3) 第1ユニットAおよび第1逆ユニットA′間の距離と、第4ユニットDおよび第4逆ユニットD′間の距離とは、同じ距離pである。
(4) 第2ユニットBおよび第2逆ユニットB′間の距離と、第3ユニットCおよび第3逆ユニットC′間の距離とは、同じ距離qである。
(5) q/p=sin67.5゜/sin22.5゜≒2.41である。
このとき、第1逆ユニットA′および第2逆ユニットB′間の距離r1は任意であり、距離r1が負値であって第2逆ユニットB′が第1逆ユニットA′よりも一端側にあっても良い。第2ユニットBおよび第3ユニットC間の距離r2は任意であり、距離r2が負値であって第3ユニットCが第2ユニットBよりも一端側にあっても良い。第3逆ユニットC′および第4逆ユニットD′間の距離r3は任意であり、距離r3が負値であって第4逆ユニットD′が第3逆ユニットC′よりも一端側にあっても良い。また第1軸受け22および第1ユニットA間の距離s1は任意であり、第4ユニットDおよび第2軸受け21間の距離s2も任意である。
以下、上記原則に則った図10(A)の配置により、第1軸受け22および第2軸受け21に作用する偏荷重が相殺されてゼロになる理由を説明する。
図11(A)は、第1ユニットAおよび第1逆ユニットA′により第2軸受け21に作用するy軸方向の偏荷重を説明するものである。尚、x−y座標系は、入力軸12を原点とし、第1ユニットAおよび第4逆ユニットD′の中間を通る方向がy軸の正方向に設定され、第2逆ユニットB′および第3逆ユニットC′の中間を通る方向がx軸の正方向に設定される。
各伝達ユニット14には、偏心ディスク19の回転による径方向外向きの遠心力Fが作用する。遠心力Fの大きさは、偏心ディスク19の質量をMとし、偏心ディスク19の質量中心の入力軸12からの距離をRとし、入力軸12の角速度をωとすると、MRω2 で与えられ、この遠心力Fは全ての伝達ユニット14…に対して同じである。
第1軸受け22および第2軸受け21間の距離をSとし、第1軸受け22および第1ユニットA間の距離をz1とすると、第1ユニットAの遠心力Fのy軸方向の成分はFsin67.5゜であり、第1逆ユニットA′の遠心力Fのy軸方向の成分は−Fsin67.5゜であるから、第1ユニットAおよび第1逆ユニットA′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するy軸方向の偏荷重Fyは、
Fy=Fsin67.5゜×(z1/S)
−Fsin67.5゜×{(z1+p)/S}
=−Fsin67.5゜×(p/S) …(1)
で与えられる。
図11(B)から明らかなように、第2ユニットBおよび第2逆ユニットB′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するy軸方向の偏荷重Fyは、
Fy=−Fsin22.5゜×(z2/S)
+Fsin22.5゜×{(z2+q)/S}
=Fsin22.5゜×(q/S) …(2)
で与えられる。
図11(C)から明らかなように、第3ユニットCおよび第3逆ユニットC′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するy軸方向の偏荷重Fyは、
Fy=−Fsin22.5゜×(z3/S)
+Fsin22.5゜×{(z3+q)/S}
=Fsin22.5゜×(q/S) …(3)
で与えられる。
図11(D)から明らかなように、第4ユニットDおよび第4逆ユニットD′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するy軸方向の偏荷重Fyは、
Fy=Fsin67.5゜×(z4/S)
−Fsin67.5゜×{(z4+p)/S}
=−Fsin67.5゜×(p/S) …(4)
で与えられる。
第2軸受け21に作用するy軸方向のトータルの偏荷重ΣFyは、式(1)〜式(4)を辺々加算することで算出され、その結果は、
ΣFy=2Fsin22.5゜×(q/S)−2Fsin67.5゜×(p/S)
=2(F/S)×(qsin22.5゜−psin67.5゜) …(5)
となる。
よって、第2軸受け21に作用するトータルの偏荷重ΣFyがゼロになるためには、qsin22.5゜−psin67.5゜=0、つまり、
q/p=sin67.5゜/sin22.5゜ …(6)
が成立すれば良いことが分かる。
同様にして、第2軸受け21に作用するx軸方向のトータルの偏荷重ΣFxを考えると、
第1ユニットAおよび第1逆ユニットA′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するx軸方向の偏荷重Fxは、
Fx=−Fsin22.5゜×(z1/S)
+Fsin22.5゜×{(z1+p)/S}
=Fsin22.5゜×(p/S) …(7)
で与えられ、
第2ユニットBおよび第2逆ユニットB′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するx軸方向の偏荷重Fxは、
Fx=−Fsin67.5゜×{(z2+q)/S}
+Fsin67.5゜×(z2/S)
=−Fsin67.5゜×(q/S) …(8)
で与えられ、
第3ユニットCおよび第3逆ユニットC′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するx軸方向の偏荷重Fxは、
Fx=−Fsin67.5゜×(z3/S)
+Fsin67.5゜×{(z3+q)/S}
=Fsin67.5゜×(q/S) …(9)
で与えられ、
第4ユニットDおよび第4逆ユニットD′の遠心力Fにより第2軸受け21に作用するx軸方向の偏荷重Fxは、
Fx=−Fsin22.5゜×{(z4+p)/S}
+Fsin22.5゜×(z4/S)
=−Fsin22.5゜×(p/S) …(10)
で与えられる。
第2軸受け21に作用するx軸方向のトータルの偏荷重ΣFxは、式(7)〜式(10)を辺々加算することで算出され、その結果は、
ΣFx=0 …(11)
となり、第2軸受け21に作用するx軸方向のトータルの偏荷重ΣFxは、距離pおよび距離qとは無関係にゼロになる。
よって、q/p=sin67.5゜/sin22.5゜に設定することにより、8個の伝達ユニット14…の遠心力Fが相殺されて第2軸受け21に偏荷重が作用しなくなることが分かる。
以上、第2軸受け21に作用する偏荷重について説明したが、q/p=sin67.5゜/sin22.5゜に設定することにより、第1軸受け22に作用する偏荷重も同様にゼロになることは明らかである。
図12は本願の請求項3の発明に対応するもので、第1、第4ユニットA〜Dおよび第1、第4逆ユニットA′〜D′を、図9に示す♯1〜♯8ユニットに具体的に対応させた一例を示すものである。この例では、第1ユニットAが♯1ユニットであり、第2ユニットBが♯6ユニットであり、第3ユニットCが♯3ユニットであり、第4ユニットDが♯8ユニットであり、第1逆ユニットA′が♯2ユニットであり、第2逆ユニットB′が♯4ユニットであり、第3逆ユニットC′が♯5ユニットであり、第4逆ユニットD′が♯7ユニットである。
この配置は、上記(1) 〜(5) の原則を満たすものであり、第1軸受け22および第2軸受け21に作用する偏荷重を相殺してゼロにすることができる。図12(B)において、上記(1) 〜(5) の原則を満たす上で、♯2ユニットおよび♯3ユニット間の距離と、♯3ユニットおよび♯4ユニット間の距離と、♯5ユニットおよび♯6ユニット間の距離と、♯6ユニットおよび♯7ユニット間の距離とは任意に設定可能である。
しかしながら、本例では前記四つの距離を敢えてpに設定しており、これにより8個の伝達ユニット14…間の七つの間隔のうちの六つの間隔が同じpに設定されるため、各伝達ユニット14の部品を共通化してコストダウンを図るとともに、無段変速機Tの軸方向寸法を小型化することができる。図12において、ユニット間の距離を示す(p)は、本来は設定が自由であるが、敢えてpに設定したことを示している。
図13は本願の請求項4の発明に対応するもので、第1、第4ユニットA〜Dおよび第1、第4逆ユニットA′〜D′を、図9に示す♯1〜♯8ユニットに具体的に対応させた他の例を示すものである。この例では、第1ユニットAが♯1ユニットであり、第2ユニットBが♯5ユニットであり、第3ユニットCが♯4ユニットであり、第4ユニットDが♯8ユニットであり、第1逆ユニットA′が♯2ユニットであり、第2逆ユニットB′が♯3ユニットであり、第3逆ユニットC′が♯6ユニットであり、第4逆ユニットD′が♯7ユニットである。
本例においても、任意に設定可能な♯2ユニットおよび♯3ユニット間の距離と、♯3ユニットおよび♯4ユニット間の距離と、♯5ユニットおよび♯6ユニット間の距離と、♯6ユニットおよび♯7ユニット間の距離とを敢えてpに設定することで、各伝達ユニット14の部品を共通化してコストダウンを図るとともに、無段変速機Tの軸方向寸法を小型化することができる。
図14は、横軸にq/pをとり、縦軸に第1軸受け22あるいは第2軸受け21の偏荷重をとったものである。q/p=sin67.5゜/sin22.5゜≒2.14となるa点では偏荷重が完全に相殺されてゼロになるが、そこからq/pが減少するのに伴って偏荷重が増加する。p/q=1となるb点、つまり各伝達ユニット14を全て同じ間隔で配置した比較例では、所定の偏荷重が発生する。
q/p=(2sin67.5゜−sin22.5゜)/sin22.5゜に対応するc点は、比較例の偏荷重と同じ大きさの偏荷重が発生する点である。従ってq/pをb点およびc点間の値に設定すれば、第1軸受け22および第2軸受け21に作用する偏荷重を比較例の偏荷重よりも小さく抑え、所定の制振効果を発揮させることができる。
ところで、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置は、図12および図13に示すもの以外に多数存在するが、軸方向両端に位置する♯1ユニットおよび♯8ユニット間の距離は、図12および図13に示すものだけが最小の7.41pになる。そのことを、図15〜図21に基づいて以下に説明する。
図15は、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置のうち、対角位置にある一対のユニットの番号差がΔ1の場合を示すものである。即ち、♯1ユニットの対角位置に♯2ユニットがあり、♯3ユニットの対角位置に♯4ユニットがあり、♯5ユニットの対角位置に♯6ユニットがあり、♯7ユニットの対角位置に♯8ユニットがある場合である。また隣接するユニット間の距離を示す(p)は、本来は設定が自由であるが、敢えて距離をpに設定したことを示している。
図12および図13に示す最良の実施の形態では、軸方向両端に位置する♯1ユニットおよび♯8ユニット間の距離(以下、最大幅という)が7.41pであるのに対し、図15に示す四つの実施の形態は最大幅が9.82pであり、最良の実施の形態の最大幅である7.41pよりも長くなってしまう。
図16は、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置のうち、対角位置にある一対のユニットの番号差がΔ4の場合を示すものである。即ち、♯1ユニットの対角位置に♯5ユニットがあり、♯2ユニットの対角位置に♯6ユニットがあり、♯3ユニットの対角位置に♯7ユニットがあり、♯4ユニットの対角位置に♯8ユニットがある場合である。
図16に示す四つの実施の形態は最大幅が12.66pであり、最良の実施の形態の最大幅である7.41pよりも長くなってしまう。
図17は、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置のうち、対角位置にある一対のユニットの番号差にΔ1およびΔ2が混在する場合を示すものである。即ち、♯1ユニットの対角位置に♯2ユニットがあり、♯3ユニットの対角位置に♯5ユニットがあり、♯4ユニットの対角位置に♯6ユニットがあり、♯7ユニットの対角位置に♯8ユニットがある場合である。図12および図13に示す最良の実施の形態も、この範疇に含まれるが、最大幅は異なっている。
図17に示す二つの実施の形態は最大幅が14.66pであり、最良の実施の形態の最大幅である7.41pよりも長くなってしまう。
図18は、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置のうち、対角位置にある一対のユニットの番号差にΔ1およびΔ3が混在する場合を示すものである。即ち、♯1ユニットの対角位置に♯4ユニットがあり、♯2ユニットの対角位置に♯3ユニットがあり、♯5ユニットの対角位置に♯8ユニットがあり、♯6ユニットの対角位置に♯7ユニットがある場合である。
この実施の形態では、理論上は最大幅を5.82pに抑えることが可能であるが、実際には♯3ユニットおよび♯4ユニット間の距離と、♯5ユニットおよび♯6ユニット間の距離とが、僅かに0.41pとなって伝達ユニット14が収まらなくなる。伝達ユニット14を納めるには、軸方向の距離を全体的に(1÷0.41)倍に拡大する必要があり、その結果として5.82pの最大幅が実質的に14.19pになってしまい、最良の実施の形態の最大幅である7.41pよりも長くなってしまう。
図19は、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置のうち、対角位置にある一対のユニットの番号差にΔ2およびΔ3が混在する場合を示すものである。即ち、♯1ユニットの対角位置に♯3ユニットがあり、♯2ユニットの対角位置に♯5ユニットがあり、♯4ユニットの対角位置に♯7ユニットがあり、♯6ユニットの対角位置に♯8ユニットがある場合である。
図19(A)および図19(B)に示す二つの実施の形態は最大幅が7.83であり、また図19(C)および図19(D)に示す二つの実施の形態は最大幅が17.49pであり、何れの実施の形態の最大幅も最良の実施の形態の最大幅である7.41pよりも長くなってしまう。
図20は、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置のうち、対角位置にある一対のユニットの番号差にΔ2およびΔ5が混在する場合を示すものである。即ち、♯1ユニットの対角位置に♯6ユニットがあり、♯2ユニットの対角位置に♯4ユニットがあり、♯3ユニットの対角位置に♯8ユニットがあり、♯5ユニットの対角位置に♯7ユニットがある場合である。
この実施の形態では、理論上は最大幅を6.66pに抑えることが可能であるが、実際には♯1ユニットおよび♯2ユニット間の距離と、♯7ユニットおよび♯8ユニット間の距離とが、僅かに0.83pとなって伝達ユニット14が収まらなくなる。伝達ユニット14を納めるには、軸方向の距離を全体的に(1÷0.83)倍に拡大する必要があり、その結果として6.66pの最大幅が実質的に8.02pになってしまい、最良の実施の形態の最大幅である7.41pよりも長くなってしまう。
図21は、上記(1) 〜(5) の原則を満たす♯1ユニット〜♯8ユニットの配置のうち、対角位置にある一対のユニットの番号差にΔ2およびΔ6が混在する場合を示すものである。即ち、♯1ユニットの対角位置に♯7ユニットがあり、♯2ユニットの対角位置に♯8ユニットがあり、♯3ユニットの対角位置に♯5ユニットがあり、♯4ユニットの対角位置に♯6ユニットがある場合である。
この実施の形態では、理論上は最大幅を5.25pに抑えることが可能であるが、実際には♯6ユニットおよび♯8ユニット間の距離である0.83pに二つの伝達ユニット14,14を収める必要がある。そのためには軸方向の距離を全体的に(1÷0.415)倍に拡大する必要があり、その結果として5.25pの最大幅が実質的に12.6pになってしまい、最良の実施の形態の最大幅である7.41pよりも長くなってしまう。
以上のことから、図12および図13に示す最良の実施の形態の最大幅である7.41pが、全実施の形態のうちで最小になることが分かる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明の駆動源は実施の形態のエンジンPに限定されず、電動モータ等の他の駆動源であっても良い。
また本発明の第1軸受け22および第2軸受け21は実施の形態のボールベアリング21,22に限定されず、任意のベアリングを使用することができる。
12 入力軸
13 出力軸
14 伝達ユニット
19 偏心ディスク(入力側支点)
21 第2軸受け
22 第1軸受け
33 コネクティングロッド
36 ワンウェイクラッチ
37 ピン(出力側支点)
38 アウター部材
A 第1ユニット
A′ 第1逆ユニット
B 第2ユニット
B′ 第2逆ユニット
C 第3ユニット
C′ 第3逆ユニット
D 第4ユニット
D′ 第4逆ユニット
P エンジン(駆動源)
L 入力軸の軸線
ε 偏心量

Claims (4)

  1. 駆動源(P)に接続された入力軸(12)の回転を出力軸(13)に伝達する8個の伝達ユニット(14)を前記入力軸(12)および前記出力軸(13)間に並置し、
    前記入力軸(12)は、軸方向一端側を第1軸受け(22)により支持されて軸方向他端側を第2軸受け(21)により支持され、
    前記伝達ユニット(14)の各々は、
    前記入力軸(12)と共に偏心回転する入力側支点(19)と、
    前記出力軸(13)に接続されたワンウェイクラッチ(36)と、
    前記ワンウェイクラッチ(36)のアウター部材(38)に設けられた出力側支点(37)と、
    前記入力側支点(19)および前記出力側支点(37)に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッド(33)とを備え、
    前記8個の伝達ユニット(14)の前記8個の入力側支点(19)は、前記入力軸(12)の軸線(L)からの偏心量(ε)が同一であって45°の位相差で周方向に等間隔に配置される車両用動力伝達装置であって、
    前記8個の伝達ユニット(14)は、
    第1ユニット(A)と、
    前記第1ユニット(A)よりも前記他端側に配置されて該第1ユニット(A)と逆位相の第1逆ユニット(A′)と、
    第2ユニット(B)と、
    前記第2ユニット(B)よりも前記一端側に配置されて該第2ユニット(B)と逆位相の第2逆ユニット(B′)と、
    第3ユニット(C)と、
    前記第3ユニット(C)よりも前記他端側に配置されて該第3ユニット(C)と逆位相の第3逆ユニット(C′)と、
    第4ユニット(D)と、
    前記第4ユニット(D)よりも前記一端側に配置されて該第4ユニット(D)と逆位相の第4逆ユニット(D′)とからなり、
    前記第1ユニット(A)および前記第1逆ユニット(A′)間の軸方向距離と、前記第4ユニット(D)および前記第4逆ユニット(D′)間の軸方向距離とが共にpであり、前記第2ユニット(B)および前記第2逆ユニット(B′)間の軸方向距離と、前記第3ユニット(C)および前記第3逆ユニット(C′)間の軸方向距離とが共にqであり、
    前記距離pおよび前記距離qは、
    1<q/p<(2sin67.5゜−sin22.5゜)/sin22.5゜
    の関係を満たすことを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記距離pおよび前記距離qは、
    q/p=sin67.5゜/sin22.5゜
    の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
  3. 前記8個の伝達ユニット(14)を軸方向一端側から他端側に向かって順番に♯1ユニット、♯2ユニット、♯3ユニット、♯4ユニット、♯5ユニット、♯6ユニット、♯7ユニット、♯8ユニットとしたとき、
    前記第1ユニット(A)は前記♯1ユニットに相当し、前記第2ユニット(B)は前記♯6ユニットに相当し、前記第3ユニット(C)は前記♯3ユニットに相当し、前記第4ユニット(D)は前記♯8ユニットに相当し、前記第1逆ユニット(A′)は前記♯2ユニットに相当し、前記第2逆ユニット(B′)は前記♯4ユニットに相当し、前記第3逆ユニット(C′)は前記♯5ユニットに相当し、前記第4逆ユニット(D′)は前記♯7ユニットに相当し、
    前記♯2ユニットおよび前記♯3ユニット間の軸方向距離と、前記♯3ユニットおよび前記♯4ユニット間の軸方向距離と、前記♯5ユニットおよび前記♯6ユニット間の軸方向距離と、前記♯6ユニットおよび前記♯7ユニット間の軸方向距離とが前記距離pに一致することを特徴とする、請求項2に記載の車両用動力伝達装置。
  4. 前記8個の伝達ユニット(14)を軸方向一端側から他端側に向かって順番に♯1ユニット、♯2ユニット、♯3ユニット、♯4ユニット、♯5ユニット、♯6ユニット、♯7ユニット、♯8ユニットとしたとき、
    前記第1ユニット(A)は前記♯1ユニットに相当し、前記第2ユニット(B)は前記♯5ユニットに相当し、前記第3ユニット(C)は前記♯4ユニットに相当し、前記第4ユニット(D)は前記♯8ユニットに相当し、前記第1逆ユニット(A′)は前記♯2ユニットに相当し、前記第2逆ユニット(B′)は前記♯3ユニットに相当し、前記第3逆ユニット(C′)は前記♯6ユニットに相当し、前記第4逆ユニット(D′)は前記♯7ユニットに相当し、
    前記♯2ユニットおよび前記♯3ユニット間の軸方向距離と、前記♯3ユニットおよび前記♯4ユニット間の軸方向距離と、前記♯5ユニットおよび前記♯6ユニット間の軸方向距離と、前記♯6ユニットおよび前記♯7ユニット間の軸方向距離とが前記距離pに一致することを特徴とする、請求項2に記載の車両用動力伝達装置。
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