JP2016138049A - シクロヘキセノン化合物の製造方法 - Google Patents

シクロヘキセノン化合物の製造方法 Download PDF

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一浩 寺西
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Abstract

【課題】極めて有害性の高いメチルビニルケトンが反応系外に留出されることなく、シクロヘキセノン化合物を工業的に効率良く製造する方法の提供。
【解決手段】酸触媒の存在下、ハロゲン化炭化水素溶媒中で式(1)のアルデヒド化合物とメチルビニルケトンから式(2)のシクロへキセノン化合物を製造する方法。
Figure 2016138049

Figure 2016138049

(R及びRはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基)
【選択図】なし

Description

本発明は、フォトクロミック化合物などの機能性材料やステロイド系天然物の原料として有用なシクロヘキセノン化合物の新規な製造方法に関するものである。
シクロヘキセノン化合物は、フォトクロミック化合物などの機能性材料やステロイド系天然物の原料として有用である。該シクロヘキセノン化合物の一般的な製造方法としては、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとを、ナトリウムエトキシド等の塩基性触媒の存在下で脱水縮環する方法が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、上記製造方法では加熱が必要であり、ナトリウムエトキシド等の塩基性触媒の塩基性度が強いために反応中にタール成分が多く副生するため、シクロヘキセン化合物の収率は2〜38%であり、効率的な製造の点で改善の余地があった。
そこで、酸触媒を用いる方法が検討されており、溶媒としてベンゼンを用い、酸触媒として硫酸の存在下、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとを反応させることで、シクロヘキセノン化合物を収率65〜75%で得られることが報告されている(非特許文献2及び3参照)。
「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Oraganic Chemistry)」、米国、アメリカン ケミカル ソサイエティー(American Chemical Society)、1979年、第44巻、23号、p.4050〜4055 「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Oraganic Chemistry)」、米国、アメリカン ケミカル ソサイエティー(American Chemical Society)、1980年、第45巻、26号、p.5399〜5400 「ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)」、米国、アメリカン ケミカル ソサイエティー(American Chemical Society)、1990年、第33巻、11号、p.2963〜2970
非特許文献2及び3に記載の方法は、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンから高収率でシクロヘキセノン化合物を得る方法として有用であるが、工業的に製造する際においては、尚改善の余地があった。すなわち、上記反応は、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとの脱水縮環反応であり、この時水が生成する。そしてこの脱水縮環反応は平衡反応であるため、反応を進行させるためには、反応系外に水を除去する必要がある。
非特許文献2及び3では、ベンゼンを用いており、溶媒を留去することで、副生する水がベンゼンと共沸して反応系外に除去することが可能である。一方でメチルビニルケトンは常圧での沸点が81.4℃であるため、溶媒を留去する際にメチルビニルケトンも留出してしまい、反応が完結しないばかりか、反応系中のメチルビニルケトン量が減少すると、タール状の副生物が生成し、反応収率の低下や精製処理が必要な点で改善の余地があることが本発明者らによって判明した。なお、実験室レベルでの小スケールの反応では、ディーン・スターク管を設けることで、溶媒であるベンゼンとメチルビニルケトンを還流させつつ、共沸される水を除去することが可能であるが、工業的なスケールにおいてディーン・スターク管は特殊な設備であるため、現実的な方法ではない。
従って、工業的なスケールにおいて、効率良くシクロヘキセノン化合物を得るためには、溶媒とともに留出したメチルビニルケトンを逐次反応系に追加する必要があるが、メチルビニルケトンは極めて毒性の高い化合物であり、メチルビニルケトンの反応系外への留出や、反応系への逐次添加は作業環境の点で課題があった。さらに溶媒として使用されるベンゼンも有毒性の高い溶媒であり、作業環境の点で課題があった。
従って本発明の目的は、極めて有害性の高いメチルビニルケトンが反応系外に留出されることなく、シクロヘキセノン化合物を工業的に効率良く製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。前記のとおり、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとの脱水縮環反応は、平衡反応であり、反応により生成する水を効率良く系外に除去することが重要である。そこで低温で水と共沸する有機溶媒について検討を行った結果、ハロゲン化炭化水素が低温で水と共沸することを確認した。以上の知見を基に反応溶媒としてハロゲン化炭化水素を使用した結果、メチルビニルケトンが反応系外に留出されることなく反応が完結することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、酸触媒の存在下、下記一般式(1)
Figure 2016138049
(式中、RおよびRで示される基は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。)で示されるアルデヒド化合物と、メチルビニルケトンから、下記一般式(2)
Figure 2016138049
(式中、RおよびRで示される基は、上記式(1)と同義である。)で示されるシクロへキセノン化合物を製造する方法であって、
溶媒としてハロゲン化炭化水素を用いることを特徴とするシクロへキセノン化合物の製造方法である。
本発明においては、上記ハロゲン化炭化水素としてジクロロメタン、クロロホルムより選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとの反応における溶媒としてハロゲン化炭化水素を使用することで、メチルビニルケトンの沸点よりも低い温度で水を共沸留去させることが可能であり、その結果メチルビニルケトンが反応系外に留出されることなく反応を完結させることができる。このため、メチルビニルケトンの反応系外への留出や、反応系への逐次添加等、有毒なメチルビニルケトンの被爆の虞がなく工業的に効率良くシクロヘキセノン化合物を製造することが可能である。
本発明の製造方法では、酸触媒存在下、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとを反応させてシクロヘキセノン化合物を製造するに際し、溶媒としてハロゲン化炭化水素を用いることが特徴である。
前記のとおり、アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとの脱水縮環反応は、平衡反応であり、反応により生成する水を効率良く系外に除去することが重要である。また、メチルビニルケトンが反応系外に留出しないようにするためには、メチルビニルケトンの沸点よりも低い温度で反応を完結させる必要がある。本発明の製造方法では、溶媒としてハロゲン化炭化水素を用いることで、メチルビニルケトンの沸点よりも低い温度で水を共沸留去させることが可能であり、その結果メチルビニルケトンが反応系外に留出されることなく反応を完結させることができるものと推測される。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
<アルデヒド化合物>
本発明のシクロへキセノン化合物の製造方法において原料として使用されるアルデヒド化合物は、下記一般式(1)
Figure 2016138049
で示されるアルデヒド化合物である。
前記一般式(1)においてR、及びRで示される基は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。
ここでアルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。これらアルキル基の中でも、得られるシクロへキセノン化合物が工業的に有用である点でメチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が特に好ましい。
シクロアルキル基としては、特に限定されないが、炭素数3〜12のシクロアルキル基が好ましい。好適なシクロアルキル基を具体的に例示すると、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
アリール基としては、特に限定されないが、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が好ましい。好適なアリール基を例示すると、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
また、該アリール基の1もしくは2以上の水素原子が、上述と同様のアルキル基、シクロアルキル基等の置換基で置換された置換アリール基も好適に用いることができる。
ヘテロアリール基としては、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を1〜2個含む5〜7員環の芳香族環、またはそれらのベンゼン環との縮合環よりなるヘテロアリール基が好適である。なお、該ヘテロアリール基は、炭素原子で結合するものとする。好適なヘテロアリール基を例示すると、チエニル基、フリル基、ピロリニル基、ピリジル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピロリニル基等を挙げることができる。また、該ヘテロアリール基は、芳香族環の1〜6個の水素原子、特に好ましくは1〜4個の水素原子が、上述と同様のアルキル基、シクロアルキル基で置換された置換ヘテロアリール基も好適に用いることができる。
上記アルデヒド化合物は工業的に入手可能な化合物を適宜使用することが可能である。アルデヒド化合物は、一般的には第一級アルコールの酸化等によって製造することが可能である。
上記アルデヒド化合物の中でも反応収率、得られるシクロヘキセノン化合物が工業的に有用である点、及び精製が容易である点等を考慮すると、メチルビニルケトンと反応させるアルデヒド化合物としては、下記一般式(1)
Figure 2016138049
(式中、RおよびRで示される基は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。)で示されるアルデヒド化合物であることが好ましい。具体的には、2−メチルプロパナール、2−エチルブタナール、2−メチルペンタナール、2,2−ジシクロヘキシルエタナール、2−フェニルプロパナールが好ましい。
<メチルビニルケトン>
本発明のシクロへキセノン化合物の製造方法において、メチルビニルケトンは市販のものをそのまま使用することができる。また、メチルビニルケトンの使用量は、特に制限されるものではないが、メチルビニルケトンの有害性、反応時間の短縮、反応収率、得られるシクロヘキセノン化合物の精製が容易である点等を考慮すると、アルデヒド化合物1モルを基準として、1.0〜10モルとすることが好ましく、さらに1.0〜5モルとすることが好ましく、特に1.0〜3.0モルとすることが好ましい。
<酸触媒>
本発明のシクロへキセノン化合物の製造方法において、酸触媒としては公知の酸触媒を用いることが可能である。上記酸触媒として具体的には、塩酸、硫酸等の無機酸触媒、ベンゼンスルホン酸、無水p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物、蓚酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、o−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、またはp−クロロ安息香酸等の有機酸触媒が挙げられる。これらの中でも、反応収率や、得られるシクロヘキセノン化合物の精製が容易である点等を考慮すると、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、無水p−トルエンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸一水和物が好ましく、特に、無水p−トルエンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸一水和物が好ましい。
上記酸触媒は市販のものをそのまま使用することができる。また、酸触媒の使用量は、特に制限されるものではなく、製造設備等を考慮して適宜決定すれば良いが、反応時間の短縮、反応収率、得られるシクロヘキセノン化合物の精製が容易である点等を考慮すると、アルデヒド化合物1モルを基準として、0.01〜1モルとすることが好ましく、さらに0.05〜0.5モルとすることが好ましく、特に0.05〜0.3モルとすることが好ましい。
<ハロゲン化炭化水素>
本発明のシクロへキセノン化合物の製造方法では、溶媒としてハロゲン化炭化水素を使用する。前記のとおりハロゲン化炭化水素は水との共沸点が低く、下記に詳述するシクロヘキセノン化合物の製造に好適な反応温度において、反応で生成する水を反応系中より効率的に除去することができる。従って、メチルビニルケトンの沸点よりも低い温度で水を除去させることが可能であり、メチルビニルケトンが反応系外に留出されることなく、反応を完結させることができるものと推測される。さらに、反応温度を比較的低温で行うことが可能であることから、メチルビニルケトンの重合反応等の副反応が抑制され、高い収率でシクロヘキセノン化合物を製造できるものと推測される。
上記本発明の製造方法におけるハロゲン化炭化水素を具体的に例示すると、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化メタン;1,1‐ジクロロエタン、1、2‐ジクロロエタン等のハロゲン化エタン:1‐クロロプロパン、2‐クロロプロパン等のハロゲン化プロパン等が挙げられる。これらのハロゲン化炭化水素の中でもメチルビニルケトンの留出を抑制でき、効率良く反応を完結させることができると言う点で、水との共沸点が70℃以下、特に65℃以下であるハロゲン化炭化水素を用いることが好ましい。
一般的にハロゲン化炭化水素は、塩素化炭化水素よりも臭素化炭化水素、ヨウ素化炭化水素の方が沸点、及び水との共沸点が高い傾向にある。従って、上記の観点から塩素化炭化水素を用いることが好ましい。
特に、反応収率や、得られるシクロヘキセノン化合物の精製が容易である点等を考慮するとジクロロメタン、またはクロロホルムを用いることが好ましく、特にクロロホルムを用いることが好ましい。上記ハロゲン化炭化水素は1種類のみを用いることも、或いは複数のハロゲン化炭化水素を混合して用いることも可能である。
本発明の製造方法における、ハロゲン化炭化水素の使用量は、特に制限されるものではなく、製造設備等を考慮して適宜決定すれば良いが、工業的な生産を考慮すると、アルデヒド化合物1質量部に対して、2〜500質量部とすることが好ましく、さらに2〜100質量部とすることが好ましく、特に2〜50質量部とすることが好ましい。また、反応溶媒中に含まれる水分量は1質量%以下であることが好ましい。
<シクロヘキセノン化合物の製造方法>
本発明の製造方法では、酸触媒の存在下、前記アルデヒド化合物とメチルビニルケトンとを溶媒としてハロゲン化炭化水素を用いてシクロヘキセノン化合物を製造する。シクロヘキセノン化合物を製造する際には、反応進行に伴い生成する水を反応系外に除去しながら反応を行う。本発明の製造方法において、上記酸触媒、アルデヒド化合物、及びメチルビニルケトンのハロゲン化炭化水素への添加、混合方法としては、各成分が十分に接触できるように混合してやればよい。これら成分を混合する方法としては特に制限されるものではなく、例えば、アルデヒド化合物、メチルビニルケトン、酸触媒、ハロゲン化炭化水素の全てを反応容器に仕込んでから撹拌混合する方法;酸触媒、ハロゲン化炭化水素の混合溶液にアルデヒド化合物とメチルビニルケトン(ハロゲン化炭化水素に溶解したものでもよい)を加えて撹拌混合する等の方法が挙げられる。中でも、アルデヒド化合物、酸触媒、ハロゲン化炭化水素溶媒の混合溶液にメチルビニルケトン(ハロゲン化炭化水素溶媒に溶解したものでもよい)を加えて撹拌混合することにより、メチルビニルケトンの重合反応等の副反応を抑制することができ、シクロヘキセノン化合物の収率を高くすることができるため好ましい。
本発明においては、前記混合方法によりアルデヒド化合物、及びメチルビニルケトンを反応させるが、この時の反応温度については、反応装置の能力や、反応時間等を勘案して適宜設定すれば良いが、メチルビニルケトンの反応系外への流出を抑制するという点、或いは酸触媒によるメチルビニルケトンの重合反応等の副反応を抑制するという観点から、反応温度を70℃以下の範囲で設定することが好ましい。さらに、反応を効率良く行うという観点から、反応温度を好ましくは35℃以上70℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上70℃以下であり、特に好ましくは50℃以上70℃以下の範囲で設定するのが良い。
反応時間は、アルデヒド化合物の転化率を確認して適宜決定すればよいが、前記条件であれば、1〜10時間、好ましくは3〜8時間あれば十分である。なお、反応の終了は、反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーによってアルデヒド化合物のピークが消失することで確認することができる。
なお、本発明の製造方法において、反応を進行させるには生成する水を効率良く系外に除去する必要があるが、ハロゲン化炭化水素は、上記反応条件において水と共に共沸するため、留出するハロゲン化炭化水素を除去することで水を簡単に系外に除去することができる。この時反応系中のハロゲン化炭化水素量が減少するため、留出した分だけ適宜ハロゲン化炭化水素を追加して反応を継続すればよい。
<反応後の処理>
得られたシクロヘキセノン化合物の反応液には、酸触媒が残存している。従って反応液中からのシクロヘキセノン化合物の単離方法としては、反応液をアルカリ水溶液、水等で洗浄した後、溶媒であるハロゲン化炭化水素を留去すればよい。本発明の製造方法によれば、目的のシクロヘキセノン化合物が高収率で生成するので、このような簡単な分離方法で生成物を分離しても、その純度は高く、用途によっては特に精製することなくそのまま使用することも出来る。より高純度のものを得たい場合には、シクロヘキセノン化合物の性状に応じてシリカゲル、アルミナ、または活性炭等の吸着処理、蒸留、カラムクロマトグラフィー等、公知の方法で精製すればよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
アルデヒド化合物として2−メチルプロパナール21.63g(300mmol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、R、Rがメチル基であるもの)とp−トルエンスルホン酸一水和物5.71g(30mmol)をクロロホルム90mlに溶解し、内温が60℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン31.54g(450mmol)を加えて、60℃で6時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のクロロホルムを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応後、この反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにクロロホルム層が中性となるまで水洗した。水洗後のクロロホルム層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4,4−ジメチルシクロヘキセノンが31.40g(収率84%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4,4−ジメチルシクロヘキセノンを30.90g(収率83%)で得た。
実施例2
アルデヒド化合物として2−エチルブタナール30.03g(300mmol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、R、Rがエチル基であるもの)とp−トルエンスルホン酸一水和物5.71g(30mmol)をクロロホルム120mlに溶解し、内温が65℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン31.54g(450mmol)を加えて、65℃で6時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のクロロホルムを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応後、この反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにクロロホルム層が中性となるまで水洗した。水洗後のクロロホルム層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4,4−ジエチルシクロヘキセノンが39.20g(収率86%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4,4−ジエチルシクロヘキセノンを38.79g(収率85%)で得た。
実施例3
アルデヒド化合物として2−メチルペンタナール30.03g(300mmol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、Rがメチル基、Rがプロピル基であるもの)とp−トルエンスルホン酸一水和物5.71g(30mmol)をクロロホルム120mlに溶解し、内温が65℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン31.54g(450mmol)を加えて、65℃で6時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のクロロホルムを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応後、この反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにクロロホルム層が中性となるまで水洗した。水洗後のクロロホルム層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4−メチル−4−プロピルシクロヘキセノンが37.85g(収率83%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4−メチル−4−プロピルシクロヘキセノンを36.94g(収率81%)で得た。
実施例4
アルデヒド化合物として2,2−ジシクロヘキシルエタナール31.23g(150mmol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、R、Rがシクロヘキシル基であるもの)とp−トルエンスルホン酸一水和物2.86g(15mmol)をクロロホルム130mlに溶解し、内温が65℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン15.77g(225mmol)を加えて、65℃で6時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のクロロホルムを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応後、この反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにクロロホルム層が中性となるまで水洗した。水洗後のクロロホルム層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4,4−ジシクロヘキシルシクロヘキセノンが30.60g(収率78%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4,4−ジシクロヘキシルシクロヘキセノンを29.89g(収率76%)で得た。
実施例5
アルデヒド化合物として2−フェニルプロパナール44.43g(300mmol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、Rがメチル基、Rがフェニル基であるもの)とp−トルエンスルホン酸一水和物5.71g(30mmol)をクロロホルム200mlに溶解し、内温が65℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン31.54g(450mmol)を加えて、65℃で6時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のクロロホルムを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応後、この反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにクロロホルム層が中性となるまで水洗した。水洗後のクロロホルム層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4−メチル−4−フェニルシクロヘキセノンが44.55g(収率79%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4−メチル−4−フェニルシクロヘキセノンを42.86g(収率76%)で得た。
実施例6
アルデヒド化合物として2−エチルブタナール30.03g(300mmol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、R、Rがエチル基であるもの)とp−トルエンスルホン酸一水和物5.71g(30mmol)をジクロロメタン120mlに溶解し、内温が50℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン31.54g(450mmol)を加えて、50℃で10時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のジクロロメタンを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応後、この反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにジクロロメタン層が中性となるまで水洗した。水洗後のジクロロメタン層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4,4−ジエチルシクロヘキセノンが35.68g(収率78%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4,4−ジエチルシクロヘキセノンを34.72g(収率76%)で得た。
実施例7
アルデヒド化合物として2−エチルブタナール30.03g(300mmol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、R、Rがエチル基であるもの)と濃硫酸3.0g(30mmol)をクロロホルム120mlに溶解し、内温が65℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン31.54g(450mmol)を加えて、65℃で5時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のジクロロメタンを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応後、この反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにジクロロメタン層が中性となるまで水洗した。水洗後のジクロロメタン層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4,4−ジエチルシクロヘキセノンが36.15g(収率79%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4,4−ジエチルシクロヘキセノンを35.63g(収率78%)で得た。
実施例8
アルデヒド化合物として2−エチルブタナール10.00kg(99.8mol:前記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物において、R、Rがエチル基であるもの)とp−トルエンスルホン酸一水和物1.90kg(9.98mol)をクロロホルム122lに溶解し、内温が65℃になるまで加熱した。この混合溶液中にメチルビニルケトン10.50kg(149.8mol)を加えて、65℃で6時間撹拌した。その際、反応進行に伴い生成した水を含む留出液は系中に戻さず、留出量と同量のクロロホルムを適宜追加した。回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンは含まれていなかった。反応gこの反応液を室温まで冷却し、水を加えて分液し、さらにクロロホルム層が中性となるまで水洗した。水洗後のクロロホルム層をガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量したところ、4,4−ジエチルシクロヘキセノンが12.77kg(収率84%)含まれていた。溶媒を留去し、減圧蒸留により精製して、4,4−ジエチルシクロヘキセノンを12.10kg(収率80%)で得た。
比較例1
実施例1のクロロホルムをベンゼンに替え、反応温度を75℃(本反応系中で水の共沸が起こる温度)に変更した以外は実施例1と同様に反応を行った。反応中、回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンが確認された。反応液を精製したところ、得られた4,4−ジメチルシクロヘキセノンは15.36g(収率41%)であった。
比較例2
実施例2のクロロホルムをベンゼンに替え、反応温度を75℃(本反応系中で水の共沸が起こる温度)に変更した以外は実施例2と同様に反応を行った。反応中、回収した留出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、留出液中にメチルビニルケトンが確認された。反応液を精製したところ、得られた4,4−ジエチルシクロヘキセノンは15.09g(収率33%)であった。
実施例1〜7に示されるように、本発明の製造方法によれば、シクロヘキセノン化合物単離収率75%以上と高い収率で製造することができる。一方、比較例に示されるように、反応溶媒にベンゼンを用いた場合には、留出液中にメチルビニルケトンが確認され、単離収率は40%程度と低かった。比較例においては、原料であるアルデヒド化合物やタール成分が多く系中に存在していることが確認された。

Claims (3)

  1. 酸触媒の存在下、下記一般式(1)
    Figure 2016138049
    (式中、RおよびRで示される基は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。)で示されるアルデヒド化合物と、メチルビニルケトンから、下記一般式(2)
    Figure 2016138049
    (式中、RおよびRで示される基は、上記式(1)と同義である。)で示されるシクロへキセノン化合物を製造する方法であって、
    溶媒としてハロゲン化炭化水素を用いることを特徴とするシクロへキセノン化合物の製造方法。
  2. 前記ハロゲン化炭化水素が、常圧での水との共沸点が70℃以下である請求項1記載のシクロへキセノン化合物の製造方法。
  3. 前記ハロゲン化炭化水素がジクロロメタン、クロロホルムより選ばれる少なくとも1つである請求項1記載のシクロへキセノン化合物の製造方法。
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