以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されるTPMSの全体構成を示す図である。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるTPMSについて説明する。
図1に示すように、TPMSは、車両1に備えられるもので、送信機2、受信機の役割を果たすTPMS用のECU(以下、TPMS−ECUという)3およびメータ4を備えて構成されている。車輪位置検出装置は、TPMSに備えられる送信機2およびTPMS−ECU3を用いると共に、ブレーキ制御用ECU(以下、ブレーキECUという)10から各車輪5(5a〜5e)に対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの検出信号から得られる歯車情報を取得することで、車輪位置の特定を行っている。
図1に示すように、送信機2は、走行車輪5a〜5dおよびスペア輪5eを含む各車輪5a〜5eに取り付けられる。送信機2は、車輪5a〜5eに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示すタイヤ空気圧に関する情報を各送信機2の固有のID情報と共にフレーム内に格納して送信する。また、フレーム内には、後述する加速度センサ22がオンの状態になったことを示す加速度オンデータ(以下、G−ONデータという)もしくはオンの状態になっていないことを示す加速度オフデータ(以下、G−OFFデータという)が格納される。これらG−ONデータおよびG−OFFデータが本発明における加速度センサ22の状態を示すデータに相当する。加速度センサ22は、常に加速度検出を行っているものの、車輪速度が所定速度に至ると遠心方向の加速度成分が他の成分よりも十分に大きくなって的確な加速度検出が行えるようになる。このように加速度センサ22が的確な加速度検出が行えるようになったことを加速度センサ22がオンの状態と言っている。送信機2には、加速度センサ22がオンの状態になったことを検知する機能が備えられており、その検知結果に基づいて、フレーム内にG−ONデータもしくはG−OFFデータを格納している。例えば、送信機2には、遠心方向の加速度に応じて変位する可動接点が固定接点に接する物理スイッチ(図示せず)が備えられており、この物理スイッチがオンして導通すると、加速度センサ22がオンの状態になったと検知している。
一方、TPMS−ECU3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、送信機2から送信されたフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことで車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行う。
送信機2は、例えばFSK(周波数偏移変調)によりフレームを作成し、TPMS−ECU3は、そのフレームを復調することでフレーム内のデータを読取り、車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行っている。図2(a)、(b)に送信機2およびTPMS−ECU3のブロック構成を示す。
図2(a)に示すように、送信機2は、センシング部21、加速度センサ22、マイクロコンピュータ23、送信回路24および送信アンテナ25を備えた構成となっており、図示しない電池からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサ21aや温度センサ21bを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。加速度センサ22は、送信機2が取り付けられた走行車輪5a〜5dでのセンサ自身の位置検出、つまり送信機2の位置検出や車速検出を行うために用いられる。本実施形態の加速度センサ22は、例えば、走行車輪5a〜5dの回転時に走行車輪5a〜5dに働く加速度のうち、各走行車輪5a〜5dの径方向、つまり周方向に垂直な両方向の加速度に応じた検出信号を出力する。
マイクロコンピュータ23は、制御部(第1制御部)などを備えた周知のもので、制御部内のメモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部内のメモリには、各送信機2を特定するための送信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
マイクロコンピュータ23は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、そのタイヤ空気圧に関する情報を各送信機2のID情報と共にフレーム内に格納する。また、マイクロコンピュータ23は、加速度センサ22の検出信号をモニタし、各送信機2が取り付けられた走行車輪5a〜5dでの送信機2の位置検出(角度検出)を行ったり、車速検出を行っている。そして、マイクロコンピュータ23は、フレームを作成すると、送信機2の位置検出の結果や車速検出の結果に基づいて、送信回路24を介して送信アンテナ25よりTPMS−ECU3に向けてフレーム送信(データ送信)を行う。
具体的には、マイクロコンピュータ23は、車両1が走行中であることを条件としてフレーム送信を開始しており、加速度センサ22の検出信号に基づいて加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングで繰り返しフレーム送信を行っている。走行中であることについては、車速検出の結果に基づいて判定しており、加速度センサ22の角度については加速度センサ22の検出信号に基づく送信機2の位置検出の結果に基づいて判定している。
すなわち、マイクロコンピュータ23で加速度センサ22の検出信号を利用して車速検出を行い、車速が所定速度(例えば5km/h)以上になると車両1が走行中であると判定している。加速度センサ22の出力には遠心力に基づく加速度(遠心加速度)が含まれる。この遠心加速度を積分して係数を掛けることにより、車速を演算することが可能となる。このため、マイクロコンピュータ23では、加速度センサ22の出力から重力加速度成分を取り除いて遠心加速度を演算し、その遠心加速度に基づいて車速の演算を行っている。
また、加速度センサ22によって各走行車輪5a〜5dの回転に応じた検出信号を出力させていることから、走行時には、その検出信号に重力加速度成分が含まれることになり、車輪回転に応じた振幅を有する信号となる。例えば、検出信号の振幅は、送信機2が走行車輪5a〜5dの中心軸を中心として上方位置に位置しているときには負の最大振幅、水平位置に位置しているときにはゼロ、下方位置に位置しているときには正の最大振幅となる。このため、この振幅に基づいて加速度センサ22の位置検出を行え、送信機2の位置の角度、例えば各走行車輪5a〜5dの中心軸を中心として、加速度センサ22が上方位置に位置しているときを0°としたときの加速度センサ22の成す角度を把握できる。
したがって、車速が所定速度に達すると同時もしくは車速が所定速度に達したのち加速度センサ22が所定角度になったときを開始タイミングとして、各送信機2からのフレーム送信を行うようにしている。そして、加速度センサ22の成す角度が1回目のフレーム送信のときと同じ角度になるタイミングに、それを送信タイミングとして繰り返しフレーム送信を行うようにしている。なお、送信タイミングについては、加速度センサ22の成す角度が1回目のフレーム送信のときと同じ角度になる毎としても良いが、電池寿命を考慮して、その角度になる毎に常にフレーム送信を行わず、例えば所定時間(例えば15秒間)に1回のみフレーム送信を行うようにすると好ましい。
送信回路24は、送信アンテナ25を通じて、マイクロコンピュータ23から送られてきたフレームをTPMS−ECU3に向けて送信する出力部としての機能を果たす。フレーム送信には、例えばRF帯の電波を用いている。
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪5a〜5eのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。そして、送信機2は、送信機2が取り付けられた車輪のタイヤ空気圧を検出し、上記したように車速が所定速度を超えると、各走行車輪5a〜5dの加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングで繰り返し各送信機2に備えられた送信アンテナ25を通じてフレーム送信を行う。その後も、送信機2から各走行車輪5a〜5dの加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングでフレーム送信を行うようにすることもできるが、電池寿命を考慮して送信間隔を長くした方が良いため、車輪位置検出に必要と想定される時間が経過すると車輪位置確定モードから定期送信モードに切り替わり、より長い一定周期毎(例えば1分毎)にフレーム送信を行うことで、TPMS−ECU3側にタイヤ空気圧に関する信号を定期送信する。このとき、例えば送信機2毎にランダムディレイを設けることで、各送信機2の送信タイミングがずれるようにすることができ、複数の送信機2からの電波の混信によってTPMS−ECU3側で受信できなくなることを防止することができる。
また、図2(b)に示すように、TPMS−ECU3は、受信アンテナ31、受信回路32およびマイクロコンピュータ33などを備えた構成とされている。TPMS−ECU3は、CANなどの車内LANを通じて、後述するようにブレーキECU10から歯車情報を取得することで各走行車輪5a〜5dと共に回転させられる歯車の歯のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置を取得している。
受信アンテナ31は、各送信機2から送られてくるフレームを受信するためのものである。受信アンテナ31は、車体6に固定されており、TPMS−ECU3の本体内に配置された内部アンテナでも良いし、本体から配線を引き伸ばした外部アンテナとされていても良い。
受信回路32は、受信アンテナ31によって受信された各送信機2からの送信フレームを入力し、そのフレームをマイクロコンピュータ33に送る入力部としての機能を果たす。受信回路32は、受信アンテナ31を通じて信号(フレーム)を受信すると、その受信した信号をマイクロコンピュータ33に伝えている。
マイクロコンピュータ33は、第2制御部に相当するもので、マイクロコンピュータ33内のメモリに記憶されたプログラムに従って車輪位置検出処理を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ33は、ブレーキECU10から取得する情報と、各送信機2からの送信フレームを受信した受信タイミングとの関係に基づいて車輪位置検出を行っている。ブレーキECU10からは、各走行車輪5a〜5dの車輪速度情報に加えて各走行車輪5a〜5dに対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの歯車情報を所定周期(例えば10ms)毎に取得している。
歯車情報とは、各走行車輪5a〜5dと共に回転させられる歯車(ギア)の歯位置を示す情報である。車輪速度センサ11a〜11dは、例えば歯車の歯に対向して配置される電磁ピックアップ式センサによって構成され、歯車の歯の通過に伴って検出信号を変化させる。このようなタイプの車輪速度センサ11a〜11dでは、検出信号として歯の通過に対応する方形パルス波を出力していることから、その方形パルス波の立上りおよび立下りが歯車の歯のエッジの通過を表すことになる。したがって、ブレーキECU10では、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号の立上りおよび立下りの数から歯車の歯のエッジ数、つまりエッジの通過数をカウントし、所定周期毎に、そのときの歯のエッジ数を、歯位置を示す歯車情報としてマイクロコンピュータ33に伝えている。これにより、マイクロコンピュータ33では、歯車のどの歯が通過したタイミングであるかを把握することが可能になっている。
歯のエッジ数は、歯車が1回転する毎にリセットされる。例えば、歯車に備えられた歯の数が48歯である場合、エッジ数は0〜95の合計96個でカウントされ、カウント値が95に至ると再び0に戻ってカウントされる。
なお、ここではブレーキECU10から歯車情報として歯車の歯のエッジ数をマイクロコンピュータ33に伝えるようにしたが、歯の通過数のカウント値である歯数であっても良い。また、所定周期の間に通過したエッジ数もしくは歯数をマイクロコンピュータ33に伝え、マイクロコンピュータ33で前回までのエッジ数もしくは歯数に所定周期の間に通過したエッジ数もしくは歯数を加算させ、その周期でのエッジ数もしくは歯数をカウントさせるようにしても良い。つまり、マイクロコンピュータ33で最終的に歯車情報としてその周期でのエッジ数もしくは歯数が取得できれば良い。また、ブレーキECU10では、歯車の歯のエッジ数(もしくは歯数)を電源オフのたびにリセットすることになるが、電源オンすると同時もしくは電源オンしてから所定車速になったときから再び計測している。このように、電源オフのたびにリセットされたとしても、電源オン中には同じ歯が同じエッジ数(もしくは歯数)で表されることになる。
そして、マイクロコンピュータ33は、各送信機2から送信されたフレームを受信したときにその受信タイミングを計測し、取得している歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中からフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて車輪位置検出を行っている。これにより、各送信機2がどの走行車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行うことが可能となる。この車輪位置検出の具体的な方法については後で詳細に説明する。
また、マイクロコンピュータ33は、車輪位置検出の結果に基づいて、各送信機2のID情報と各送信機2が取り付けられている各走行車輪5a〜5dの位置とを関連づけて記憶する。そして、その後は各送信機2からの送信フレーム内に格納されたID情報およびタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各走行車輪5a〜5dのタイヤ空気圧検出を行い、タイヤ空気圧に応じた電気信号をCANなどの車内LANを通じてメータ4に出力する。例えば、マイクロコンピュータ33は、タイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較することでタイヤ空気圧の低下を検知し、タイヤ空気圧の低下を検知するとその旨の信号をメータ4に出力する。これにより、4つの走行車輪5a〜5dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことがメータ4に伝えられる。
メータ4は、警報部として機能するものであり、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置されるメータディスプレイ等によって構成される。このメータ4は、例えばTPMS−ECU3におけるマイクロコンピュータ33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、走行車輪5a〜5dを特定しつつタイヤ空気圧の低下を示す表示を行うことでドライバに特定車輪のタイヤ空気圧の低下を報知する。
続いて、本実施形態のTPMSの作動について説明する。以下、TPMSの作動について説明するが、TPMSで行われる車輪位置検出とタイヤ空気圧検出とに分けて説明する。まず、図3〜図6を参照して車輪位置検出の具体的な方法を説明する。
送信機2側では、マイクロコンピュータ23が電池からの電力供給に基づいて所定のサンプリング周期毎に加速度センサ22の検出信号をモニタすることで車速および車輪5a〜5eそれぞれでの加速度センサ22の角度を検出している。そして、マイクロコンピュータ23は、車速が所定速度に達すると、加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングで繰り返しフレーム送信を行う。例えば、車速が所定速度に達した時を所定角度として、もしくは車速が所定速度に達したのち加速度センサ22が所定角度になったときを開始タイミングとして、各送信機2からのフレーム送信を行うようにしている。そして、加速度センサ22の成す角度が1回目のフレーム送信のときと同じ角度になるタイミングに、それを送信タイミングとして繰り返しフレーム送信を行うようにしている。
すなわち、加速度センサ22の検出信号の重力加速度成分を抽出すると、図3に示すようなsin波となる。このsin波に基づいて加速度センサ22の角度が分かる。このため、sin波に基づいて加速度センサ22が同じ角度になるタイミングで、フレーム送信を行うようにしている。
一方、TPMS−ECU3側では、ブレーキECU10から各走行車輪5a〜5dに対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの歯車情報を所定周期(例えば10ms)毎に取得している。そして、TPMS−ECU3は、各送信機2から送信されたフレームを受信したときにその受信タイミングを計測し、取得している歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中からフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得する。
このとき、各送信機2から送信されたフレームの受信タイミングとブレーキECU10から歯車情報を取得している周期とが一致するとは限らない。このため、ブレーキECU10から歯車情報を取得した周期の中からフレームの受信タイミングに最も近い周期、つまりその直前または直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)を、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)として用いることができる。また、ブレーキECU10から歯車情報を取得した周期の中からフレームの受信タイミングの直前および直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)を用いて、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を演算しても良い。例えば、フレームの受信タイミングの直前および直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中間値を、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)として用いることができる。
そして、このようなフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得する動作がフレームを受信する毎に繰り返され、取得したフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて車輪位置検出を行う。具体的には、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキが前回の受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて設定される所定範囲内であるか否かを判定することにより、車輪位置検出を行う。
フレームを受信した車輪については、加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングでフレーム送信を行っていることから、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置が前回のときとほぼ一致する。このため、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキが小さく、所定範囲内に収まることになる。このことは、複数回フレームを受信した場合でも成り立ち、各フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキは、1回目のフレーム受信タイミングのときに決められる所定範囲内に収まる。一方、フレームを受信した車輪とは異なる車輪については、他の車輪の送信機2から送信されたフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がばらつく。
すなわち、車輪速度センサ11a〜11dの歯車の回転は各走行車輪5a〜5dと連動しているため、フレームを受信した車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がほぼ一致する。しかし、道路状況や旋回もしくは車線変更などによって各走行車輪5a〜5dの回転状態が変動したりするため、走行車輪5a〜5dの回転状態が完全に同じになることはあり得ない。このため、フレームを受信した車輪とは異なる車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がばらつくのである。
したがって、図4に示したように、イグニッションスイッチ(IG)がオンした当初に歯車12a〜12dのエッジ数が0であった状態から、走行開始後に徐々にフレームを受信した車輪とは異なる車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置にバラツキが生じる。このバラツキが所定範囲内であるか否かを判定することにより、車輪位置検出を行う。
例えば、図5(a)に示すように、1回目のフレーム送信時の送信機2の位置が1回目受信角度であったとする。また、歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキとして許容できる幅であるバラツキ許容幅が1回目受信角度を中心とした180°の範囲(1回目受信角度±90°の範囲)相当の値であるとする。エッジ数であれば1回目受信時のエッジ数を中心とした±24のエッジ数範囲、歯数であれば1回目受信時の歯数を中心とした±12の歯数範囲であるとする。この場合において、図5(b)に示すように、2回目のフレーム受信時の歯車のエッジ数(もしくは歯数)が1回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲内であれば、そのエッジ数(もしくは歯数)の車輪はフレーム送信が行われた車輪と一致している可能性があり、TRUE(正しい)となる。
ただし、この場合にも2回目のフレーム受信時の送信機2の角度である2回目受信角度を中心としてバラツキ許容幅が決まり、2回目受信角度を中心とした180°(±90°)相当の値となる。このため、前回のバラツキ許容幅となる1回目受信角度を中心とした180°(±90°)のバラツキ許容幅と、2回目受信角度を中心とした180°(±90°)のバラツキ許容幅の重なる部分が新たなバラツキ許容幅(エッジ数範囲が12〜48)となり、その重複範囲に新たなバラツキ許容幅を狭めることができる。
したがって、図5(c)に示すように、3回目のフレーム受信時の歯車のエッジ数(もしくは歯数)が1、2回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲外であれば、そのエッジ数(もしくは歯数)の車輪はフレーム送信が行われた車輪と一致していないため、FALSE(誤り)となる。このとき、たとえ1回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲内であっても、1、2回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲外であれば、FALSEと判定している。このようにして、受信したフレームを送信した送信機2が走行車輪5a〜5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定することが可能となる。
すなわち、図6(a)に示すように、ID情報としてID1が含まれたフレームについては、そのフレームの受信タイミングの毎に歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得し、それを対応する車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RR)毎に記憶する。そして、フレームを受信するたびに、取得した歯車のエッジ数(もしくは歯数)がバラツキ許容幅の範囲内であるか否かを判定し、その範囲から外れた車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪候補から除外していく。そして、最後まで除外されなかった車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録する。ID1が含まれたフレームの場合、右前輪FR、右後輪RR、左後輪RLの順に候補から除外され、最終的に残った左前輪FLをフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪としてID情報と対応付けて登録する。
そして、図6(b)〜(d)に示すように、ID情報としてID2〜ID4が含まれたフレームについてもID1が含まれたフレームと同様の処理を行う。これにより、各フレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪を特定することができ、送信機2が取り付けられた4輪すべてを特定することが可能となる。
このようにして、各フレームが走行車輪5a〜5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する。そして、マイクロコンピュータ33は、フレームを送信してきた各送信機2のID情報を、それが取り付けられた車輪の位置と関連付けて記憶する。
なお、TPMS−ECU3では、車速が所定速度になったときに送信されたフレームを受信することで、その受信タイミングにおける歯車情報を記憶するようにしているが、所定の走行停止判定時速(例えば5km/h)以下になったときに、それまでの歯車情報を破棄している。そして、再び走行開始したときに、新たに上記のようにして車輪位置検出を行うようにしている。
以上のような手法によって、基本的な車輪位置検出を行っている。これにより、走行車輪5a〜5dである左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRの車輪位置検出を行うことが可能となる。なお、車輪位置検出の際に、他車両の送信機から送信されたフレームが受信された場合には、そのフレームに格納されたID情報も登録する候補となるID情報(以下、候補IDという)となり得る。しかしながら、上記した車輪位置特定ロジックを用いた車輪位置の特定中に、他車両の送信機から送信されたフレームが受信されるタイミングが自車両のいずれの車輪の歯車の歯位置とも一致しなくなる。このため、他車両の送信機のID情報が登録されることを避けて、自車両の送信機2のID情報のみが登録されるようにすることができる。
この場合、例えば、特許文献1に示す登録手法を採用すれば、より他車両の送信機のID情報が登録されることを防止することができる。すなわち、上記の車輪位置検出において、自車両の既存のID情報が全く登録されていない場合の車輪位置検出中に他車両の車輪に取り付けられた送信機からのID情報を含むフレームを受信した場合には、その送信機のID情報も候補IDとなり得る。同様に、自車両の既存のID情報が登録されている場合であっても、自車両の走行車輪5a〜5dに取り付けられた送信機2が取り替えられ、受信できているフレームのID情報の数が登録されているID情報の数よりも少ない場合もある。このような場合において、車輪位置検出中に他車両の車輪に取り付けられた送信機からのID情報を含むフレームを受信した場合に、その送信機のID情報も候補IDとなり得る。
これらの場合には、車輪が特定された後、所定回数(例えば10回)連続してフレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲内に含まれている場合にのみ、ID情報を登録するようにしている。
他車両の車輪に取り付けられた送信機のフレームを受信している場合、当該フレームについても、自車両の場合と同様に、そのフレームの受信タイミングの毎に取得された歯車のエッジ数(もしくは歯数)がバラツキ許容幅の範囲内であるか否かが判定される。そして、自車両の送信機2と同様に、他車両の送信機から送信されたフレームについても、バラツキ許容幅の範囲から外れた車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪候補から除外していくことになる。このとき、消去法が用いられているため、各フレームそれぞれで除外されずに最終的に1つの車輪のみが残った時点で、その車輪がそのフレームを送信した送信機2の取り付けられた車輪候補となる。この時点でそのID情報を登録してしまうと、他車両の車輪に取り付けられた送信機のID情報なのに、誤って自車両のものと登録されることになる。特に、他車両の車輪に取り付けられた送信機から送信されるフレームは、自車両のものではないためバラツキが生じ易く、自車両の走行車輪5a〜5dに取り付けられた送信機2から送信されるフレームよりも早く車輪候補から除外されがちである。このため、他車両の車輪の送信機から送信されたフレームについては、殆どが、早い段階でバラツキ許容幅から外れ、偶然外れなかった車輪がフレームを送信した送信機の取り付けられた車輪候補として特定された状態になり易い。
しかし、車輪が特定された後、所定回数連続してフレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲内に含まれていることをID情報の登録条件とすれば、その間に他車両の送信機からのフレームの受信タイミングの歯位置はバラツキ許容幅から外れる。したがって、他車両の車輪に取り付けられた送信機のID情報なのに、誤って自車両のものと登録されることを防止することが可能となる。
なお、ここでは車輪が特定された後から所定回数連続してフレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲内に含まれているか否かを判定する場合を想定しているが、勿論、車輪位置検出の開始から所定回数連続しているかの判定としても良い。
このように、上記の手法によって、走行車輪5a〜5dである左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRの車輪位置検出を行うことが可能である。ただし、上記の手法によって車輪位置検出を行えるのは走行車輪5a〜5dである左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRである。このため、本実施形態では、さらにスペア輪5eを特定するための処理を行っている。
具体的には、TPMS−ECU3にて、受信したフレームに格納されたG−ONデータもしくはG−OFFデータと自車両が走行中であるか否かなどを判定し、その判定結果などに基づいて自車両のスペア輪5eの送信機2のID情報についても登録する。図7を参照して、TPMS−ECU3が実行するスペア輪登録処理について説明する。なお、本処理は、上記した走行車輪5a〜5dの車輪位置検出の処理と共に実行される。例えば、IGオンによってTPMS−ECU3に電源が投入されているときに、図示しない車輪位置検出の実行スイッチが操作されると、TPMS−ECU3がID登録モードとなる。そして、上記した走行車輪5a〜5dの車輪位置検出の処理と共に本処理を所定の制御周期毎に実行する。
まず、ステップ100において、RF受信、つまりRF帯の電波として送信されたフレームを受信すると、ステップ110以降の処理を実行する。
ステップ110では、車両状態が走行中であり、かつ、受信したフレームにG−OFFデータが格納されているか否かを判定する。すなわち、ここでは自車両が走行中にもかかわらず、送信機2に備えられた加速度センサ22がオン状態になっていない状態であるか否かを判定している。
走行車輪5a〜5dの場合、自車両が走行中の際には、走行車輪5a〜5dの車輪速度が所定速度に至っていれば、その走行車輪5a〜5dに取り付けられた送信機2のフレームにはG−ONデータが格納されることになる。しかしながら、スペア輪5eの場合には、車両が走行中であったとしても回転させられないため、スペア輪5eに取り付けられた送信機2のフレームにはG−OFFデータが格納されている。したがって、車両状態が走行中であり、かつ、受信したフレームにG−OFFデータが格納されている場合には、その受信したフレームはスペア輪5eの送信機2から送信されたものである可能性が高い。よって、本ステップで肯定判定された場合には、ステップ120以降に進み、否定判定された場合にはステップ100に戻る。
なお、車両状態が走行中であるか否かは、例えばブレーキECU10で車輪速度センサ11a〜11dの検出信号に基づいて車速演算を行っていることから、ブレーキECU10から車速データを入手することによって判定することができる。その場合、一般的には車速が発生していれば車両状態が走行中であるとされるが、ここでは加速度センサ22がオンの状態になる車速が発生している場合を車両状態が走行中であるとしている。加速度センサ22がオンの状態になる車速は、加速度センサ22の性能によって異なるが、例えば40km/h以上であれば、確実に加速度センサ22がオンの状態になることから、車速が40km/h以上のときを車両状態が走行中であるとしている。
ステップ120では、今回受信したフレームに格納されたID情報が初めて受信したIDであるか否かを判定する。ここで、肯定判定された場合には、ステップ130に進んで候補IDに登録する。そして、否定判定された場合には、既に今回受信したフレームに格納されたID情報が登録済みであることから、ステップ140に進んで登録済みとなっている候補IDの受信数を加算する。
その後、ステップ150以降に進み、受信したフレームが自車両のスペア輪5eの送信機2と他車両の送信機のいずれのものであるかの判定を行う。そして、自車両のスペア輪5eの送信機2から送信されたフレームであれば、そのフレームのID情報をスペア輪5eのものとして登録する。
具体的には、ステップ150では、最大受信数と2番目に多い受信数の差が3以上であり、かつ、最大受信回数が4以上であるか否かを判定する。これにより、受信したフレームが自車両のスペア輪5eの送信機2と他車両の送信機のいずれのものであるかを判定している。これについて、図8および図9に示すタイムチャート例を参照して説明する。
自車両の車両状態が走行中である場合において、受信したフレームにG−OFFデータが格納されている場合、基本的にはそのフレームを送信してきたのは自車両のスペア輪5eに取り付けられた送信機2と想定される。しかしながら、そのフレームを送信してきたのが自車両のスペア輪5eの送信機2ではない場合も有り得る。例えば、自車両に対して併走する他車両が存在する場合、その他車両のスペア輪の送信機から送信されたフレームである可能性がある。また、自車両に他車両もしくは車輪を積載している場合、積載中の他車両の車輪もしくは積載輪の送信機から送信されたフレームである可能性もある。
しかしながら、積載後には、積載した他車両もしくは積載輪が自車両から離れることになることから、積載した他車両の車輪や積載輪の送信機から送信されたフレームが受信できなくなる。このため、フレームの受信数に差が生じて、受信数が多いフレームが自車両のスペア輪5eの送信機2から送信されたもので、それよりも受信数が少ないフレームが他車両の車輪もしくは積載輪の送信機から送信されたものと判別できる。
例えば、図8に示すように、自車両のスペア輪5eの送信機2から送信されたフレームと他車両または積載輪の送信機から送信されたフレームを所定のフレームの送信タイミング毎(例えば96s間隔)に受信したとする。送信機2は、消費電流を抑えるために通常低頻度で加速度検出などを行っており(例えば16s間隔)、加速度センサ22がオンの状態ではないときには、通常よりも更に低頻度(例えば96s間隔)で加速度検出などを行っている。
ここで、仮に、最初に他車両または積載輪の送信機から送信されたフレームを受信し、続いて自車両のスペア輪5eの送信機2から送信されたフレームを受信したとする。
その場合、最初に他車両または積載輪の送信機から送信されたフレームを受信して直ぐのときには、まだスペア輪5eの送信機2から送信されたフレームが受信されていない。このため、最大受信数と2番目に多い受信数との差は、スペア輪5eの送信機2から送信されたフレームの受信数が0、他車両または積載輪の送信機から送信されたフレームの受信数が1であるため、1となる。
続いて、スペア輪5eの送信機2から送信されたフレームが受信されると、最大受信数と2番目に多い受信数との差は、スペア輪5eの送信機2から送信されたフレームの受信数が1、他車両または積載輪の送信機から送信されたフレームの受信数が1であるため、0となる。このように、最大受信数と2番目に多い受信数との差が0または1の状態が繰り返されたのち、積載後には、積載した他車両もしくは積載輪が自車両から離れると、他車両または積載輪の送信機から送信されたフレームの受信数が増えなくなる。このため、最終的に最大受信数と2番目に多い受信数との差が3以上となり、最大受信数のフレームのID情報がスペア輪5eの送信機2のID情報であると判別できる。
ここで、最大受信数と2番目に多い受信数との差が2以上になったときに、最大受信数のフレームのID情報がスペア輪5eの送信機2のID情報であると判別することも可能である。しかしながら、送信の際のデータの衝突や妨害電波の干渉などによってスペア輪5eの送信機2の送信したフレームがTPMS−ECU3で受信されないことも有り得る。その場合、図9に示すように、スペア輪5eの送信機2の送信したフレームがTPMS−ECU3で受信されなかったときに、最大受信数と2番目に多い受信数との差が2になってしまう。
したがって、最大受信数と2番目に多い受信数との差が3以上になったときに、最大受信数のフレームのID情報がスペア輪5eの送信機2のID情報であると判別している。これにより、1回のデータ抜けのために、積載した他車両もしくは積載輪の送信機のID情報を誤って自車両のスペア輪5eの送信機2のID情報として登録することを防止できる。特に、送信タイミングが短いほど、データの衝突が起き易く、スペア輪5eの送信機が送信したフレームがTPMS−ECU3で受信できなくなる可能性があり、本実施形態のように最大受信数と2番目に多い受信数との差を3以上に設定するのが有効である。
なお、ステップ150では、最大受信回数が4以上であることも判定しているが、これは、受信回数3回のみでは少な過ぎる可能性があり、ある程度の受信回数を確保することで、信頼性を向上させるためである。ここでは最大受信回数を4回以上としたが、下限値については多いほうが信頼性向上には良い。ただし、下限値を多くするほど車輪位置検出に時間を要することになるため、ここでは最大受信回数の下限値を4回にセ低している。
このように、ステップ150において、最大受信数と2番目に多い受信数の差が生じていることを判定している。そして、ステップ150で肯定判定されたときに、ステップ160に進んで最大受信数のフレームのID情報を自車両のスペア輪5eの送信機2のID情報として登録することで、スペア輪5eの送信機2のID情報の登録が完了する。
このようにして車輪位置検出が行われると、その後は、タイヤ空気圧検出が行われる。具体的には、タイヤ空気圧検出の際には、一定周期毎に各送信機2からフレームが送信され、各送信機2からフレームが送信されるたびに、走行車輪4輪分とスペア輪分のフレームがTPMS−ECU3で受信される。そして、TPMS−ECU3では、各フレームに格納されたID情報に基づいて車輪5a〜5eに取り付けられたいずれの送信機2から送られてきたフレームであるかを特定し、タイヤ空気圧に関する情報より各車輪5a〜5eのタイヤ空気圧を検出する。これにより、各車輪5a〜5eのタイヤ空気圧の低下を検出でき、車輪5a〜5eのいずれのタイヤ空気圧が低下しているかを特定することが可能となる。そして、タイヤ空気圧の低下が検出されると、その旨をメータ4に伝えることで、メータ4によって車輪5a〜5eを特定しつつタイヤ空気圧の低下を示す表示を行い、ドライバに特定車輪のタイヤ空気圧の低下を報知する。
この場合、スペア輪5eについては、タイヤ空気圧が低下していても走行には支障がないためタイヤ空気圧低下時の報知対象から除外し、走行車輪5a〜5dのタイヤ空気圧の低下が合った場合にのみ、タイヤ空気圧の低下が報知されるようにしても良い。
以上説明したように、車輪5a〜5dと連動して回転させられる歯車12a〜12dの歯の通過を検出する車輪速度センサ11a〜11dの検出信号に基づいて、歯車12a〜12dの歯位置を示す歯車情報を所定周期毎に取得している。そして、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づいてバラツキ許容幅を設定し、該バラツキ許容幅を設定した後におけるフレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲外であれば、該フレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪の候補から除外していき、残った車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録している。このため、多くのデータ量が揃わなくても走行車輪5a〜5dの車輪位置の特定を行うことができる。
また、スペア輪登録処理として、車両状態が走行中の際にG−OFFデータが格納されているか否かを判定し、走行中にG−OFFデータが格納されたフレームのID情報のみをスペア輪5eの候補IDとして登録する。そして、この登録IDの中から、スペア輪5eのID情報を特定している。具体的には、走行中にG−OFFデータが格納されたフレームの受信回数を計測し、最大受信数と2番目に多い受信数の差が所定数(例えば3)以上であるかを判定している。そして、最大受信数と2番目に多い受信数の差が所定数以上となった場合に、最大受信数のフレームのID情報がスペア輪5eの送信機2のID情報であると登録している。これにより、スペア輪5eの送信機2のID情報を登録できると共に、1回のデータ抜けのために、積載した他車両もしくは積載輪の送信機のID情報を誤って自車両のスペア輪5eの送信機2のID情報として登録することを防止できる。
そして、このようにして走行車輪5a〜5dとスペア輪5eの送信機2のID情報を登録できることから、車輪毎にアンテナを備えなくても良く、追加部品が必要になることによる部品点数の増加ひいてはコスト高を避けることが可能となる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、図7のステップ110における車両状態が走行中であることの判定条件を変更しても良い。例えば、ステップ110の判定で1度肯定判定されて候補IDとして登録されたID情報については、車両状態が走行中であると判定する際の閾値となる車速を低下させたり、走行中であることを条件としないようにすることで、車速条件を緩くしても良い。つまり、車速が低下したり、停車した際にも、候補IDとして登録されたID情報については、フレーム受信したときに、候補IDの受信数のデータ更新を行うようにしても良い。
上記したように、加速度センサ22の検出信号に基づいて車速が所定速度を超えて車輪位置確定モードとなっているときには、それ以前よりも短い時間間隔で送信機2からフレーム送信が行われる。しかしながら、スペア輪5eについては加速度センサ22に走行に伴う加速度が印加されないことから、車輪位置確定モードにはならず、送信機2からは通常の定期送信モードの周期でフレーム送信が行われる。もしくは、停車中に定期送信モード中より長い送信周期を設定する停車中送信モードが設けられる場合には、さらに長い周期でフレーム送信が行われることになる。したがって、スペア輪5eの送信機2からのフレーム送信回数は走行車輪5a〜5dよりも大幅に少なくなることから、候補IDについては条件を緩めて、フレームを受信する毎にデータ更新がされるようにするのが好ましい。
これにより、送信周期が長いスペア輪5eについて、フレーム受信が行われる毎にデータ更新を行うことが可能となり、データ更新回数を増やすことが可能となって、より早くからスペア輪5eの車輪位置検出を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、走行車輪5a〜5d側の車輪位置検出として、フレームの受信タイミング毎にバラツキ許容幅を変更し、徐々にバラツキ許容幅が狭くなるようにする形態を例に挙げて説明した。しかしながら、走行車輪5a〜5d側の車輪位置検出の方法については、他の手法であっても良い。
また、上記実施形態では、フレームの受信タイミング毎にバラツキ許容幅を変更し、徐々にバラツキ許容幅が狭くなるようにしているが、歯位置を中心として設定されるバラツキ許容幅については一定としている。この歯位置を中心として設定されるバラツキ許容幅についても変更可能である。例えば、歯位置のバラツキは、車速が大きいほど大きくなる可能性がある。このため、車速が大きくなるほどバラツキ許容幅を大きくすることで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる。また、加速度センサ22で加速度検出を行うときのサンプリング周期が長いほど、加速度センサ22の角度が所定角度になったときのタイミングの検出精度が落ちることから、それに応じてバラツキ許容幅を変更することで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる。その場合、送信機2側でサンプリング周期などを把握していることから、送信機2が送信するフレーム内にバラツキ許容幅の大きさを決めるデータを含めて送信するようにすることができる。
また、上記実施形態では、フレーム送信を行う角度として、角度が0°の位置を各車輪5a〜5dの中心軸を中心として加速度センサ22が上方位置に位置しているときとしている。しかしながら、これは単なる一例であり、車輪の周方向の任意の位置を角度0°とすればよい。
上記実施形態では、TPMS−ECU3がブレーキECU10から歯車情報を取得するようにしている。しかしながら、TPMS−ECU3が歯車情報として歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得できればよいことから、他のECUから取得しても良いし、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号を入力し、その検出信号から歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得するようにしても良い。特に、上記実施形態では、TPMS−ECU3とブレーキECU10を別々のECUで構成する場合について説明したが、これらが一体化された単独のECUで構成される場合もあり得る。その場合には、そのECUが直接車輪速度センサ11a〜11dの検出信号を入力し、その検出信号から歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得することになる。また、その場合には、歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を常時取得することができるため、これらの情報を所定周期毎に取得する場合と異なり、フレームの受信タイミング丁度の歯車情報に基づいて車輪位置検出を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、走行車輪5a〜5dとスペア輪5eが備えられた車両1に対して備えられた車輪位置検出装置について説明したが、さらに走行車輪5a〜5dの車輪数が多い車両についても、同様に本発明を適用することができる。
なお、本発明では、車輪速度センサ11a〜11dにより車輪5a〜5dの回転に連動して回転させられる歯車の歯の通過を検出できれば良い。このため、歯車としては、外周面が導体とされた歯の部分と歯の間に位置する部分が交互に繰り返される磁気抵抗の異なる構造であれば良い。つまり、外縁部が凹凸とされることで外周面が導体となる凸部と非導体となる空間で構成された一般的なもののみではなく、例えば外周面が導体となる部分と非導体となる絶縁体で構成されたロータスイッチ等も含まれる(例えば特開平10−048233号公報参照)。
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。すなわち、ステップ110の処理を実行する部分が第1判定手段、ステップ120の処理を実行する部分が第2判定手段、ステップ130の処理を実行する部分が候補登録手段、ステップ140の処理を実行する部分が受信数加算手段に相当する。また、ステップ150の処理を実行する部分が第3判定手段、ステップ160の処理を実行する部分が登録手段に相当する。