以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態にかかる車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置の全体構成について説明する。なお、図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機の役割を果たすタイヤ空気圧検出装置用ECU(以下、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)−ECUという)3およびメータ4を備えて構成されている。車輪位置検出装置は、タイヤ空気圧検出装置に備えられる送信機2およびTPMS−ECU3を用いると共に、ブレーキ制御用ECU(以下、ブレーキECUという)10から各車輪5(5a〜5d)に対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの検出信号より得られる歯車情報を取得することで、車輪位置の特定を行っている。
図1に示すように、送信機2は、各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示すタイヤ空気圧に関する情報をフレーム内に格納して送信する。TPMS−ECU3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、送信機2から送信されたフレームを受信すると共に、受信タイミングやフレーム中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことで車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行う。送信機2は、例えばFSK(周波数偏移変調)によりフレームを作成し、TPMS−ECU3は、そのフレームを復調することでフレーム内のデータを読取り、車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行っている。これら送信機2およびTPMS−ECU3の詳細構成について図2Aおよび図2Bを参照して説明する。
図2Aに示すように、送信機2は、センシング部21、加速度センサ22、マイクロコンピュータ23、送信回路24および送信アンテナ25を備えた構成となっており、図示しない電池からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサ21aや温度センサ21bを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。加速度センサ22は、送信機2が取り付けられた車輪5a〜5dでのセンサ自身の位置検出、つまり送信機2の位置検出や車速検出を行うために用いられる。本実施形態の加速度センサ22は、例えば、車輪5a〜5dの回転時に車輪5a〜5dに働く加速度のうち、各車輪5a〜5dの径方向、つまり周方向に垂直な両方向の加速度に応じた検出信号を出力する。
マイクロコンピュータ23は、制御部(第1制御部)などを備えた周知のもので、制御部内のメモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部内のメモリには、各送信機2を特定するための送信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
マイクロコンピュータ23は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、そのタイヤ空気圧に関する情報を各送信機2のID情報と共にフレーム内に格納する。また、マイクロコンピュータ23は、加速度センサ22の検出信号をモニタし、各送信機2が取り付けられた車輪5a〜5dでの送信機2の位置検出を行ったり、車速検出を行っている。そして、マイクロコンピュータ23は、フレームを作成すると、送信機2の位置検出の結果や車速検出の結果に基づいて、送信回路24を介して送信アンテナ25よりTPMS−ECU3に向けてフレーム送信(データ送信)を行う。
具体的には、マイクロコンピュータ23は、車両1が走行中であることを条件としてフレーム送信を開始し、加速度センサ22の検出信号に基づいて加速度センサ22が取り付けられた送信機2の角度が所定の基準角度になったタイミングから更に所定のディレイを設けたタイミングを送信タイミングとしてフレーム送信を行う。そして、マイクロコンピュータ23は、このフレーム送信を送信タイミングに至ったときにタイミングで繰り返し行っている。
走行中であることについては、車速検出の結果に基づいて判定しており、送信機2の角度については加速度センサ22の検出信号に基づく送信機2の位置検出の結果に基づいて判定している。すなわち、マイクロコンピュータ23では、加速度センサ22の検出信号を利用して車速検出を行い、車速が所定速度(例えば3km/h)以上になると車両1が走行中であると判定している。加速度センサ22の出力には遠心力に基づく加速度(遠心加速度)が含まれる。この遠心加速度を積分して係数を掛けることにより、車速を演算することが可能となる。このため、マイクロコンピュータ23では、加速度センサ22の出力から重力加速度成分を取り除いて遠心加速度を演算し、その遠心加速度に基づいて車速の演算を行っている。
また、加速度センサ22によって各車輪5a〜5dの回転に応じた検出信号を出力させていることから、走行時には、その検出信号に重力加速度成分が含まれることになり、車輪回転に応じた振幅を有する信号となる。例えば、図3Aに示すように、検出信号の振幅は、送信機2が車輪5a〜5dの中心軸を中心として上方位置に位置しているときには負の最大振幅、水平位置に位置しているときにはゼロ、下方位置に位置しているときには正の最大振幅となる。このため、この振幅に基づいて加速度センサ22が取り付けられた送信機2の位置検出を行え、送信機2の角度を検出できる。例えば、図3Bに示すように、各車輪5a〜5dの中心軸を中心として、送信機2が上方位置に位置しているときを0°としたときの送信機2の角度を把握できる。そして、図3Aに示すように、送信機2の角度と重力加速度成分の値とが対応付けられるため、重力加速度成分の値に基づいて送信機2の角度を検出できる。
したがって、車速が所定速度に達すると同時もしくは車速が所定速度に達したのち送信機2の角度が所定の角度になったときを基準角度として設定する。そして、その基準角度になったタイミングから更に所定のディレイを設けたタイミングを送信開始タイミングとして、各送信機2からのフレーム送信を行うことができる。その後、送信タイミングになると繰り返しフレーム送信を行うことができる。なお、送信タイミングについては、重力加速度成分の値の振幅周期1周期毎としても良いが、電池寿命を考慮して、その周期毎に常にフレーム送信を行わず、例えば所定周期(例えば15秒間)毎に1回の割合でフレーム送信を行うようにすると好ましい。
送信回路24は、送信アンテナ25を通じて、マイクロコンピュータ23から送られてきたフレームをTPMS−ECU3に向けて送信する出力部としての機能を果たす。フレーム送信には、例えばRF帯の電波を用いている。
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。そして、該当するタイヤ空気圧を検出し、上記したように、送信機2は、車速が所定速度を超えると、送信タイミングのときに繰り返し各送信機2に備えられた送信アンテナ25を通じてフレーム送信を行う。その後も、上記のように設定された送信タイミングでフレーム送信を行うようにすることもできるが、電池寿命を考慮して送信間隔を長くした方が良い。このため、車輪位置特定に必要と想定される時間が経過すると車輪位置確定モードから定期送信モードに切り替わり、より長い一定周期毎(例えば1分毎)にフレーム送信を行うことで、TPMS−ECU3側にタイヤ空気圧に関する信号を定期送信する。このとき、例えば送信機2毎にランダムディレイを設けることで、各送信機2の送信タイミングがずれるようにすることができ、複数の送信機2からの電波の混信によってTPMS−ECU3側で受信できなくなることを防止することができる。
また、図2Bに示すように、TPMS−ECU3は、受信アンテナ31、受信回路32およびマイクロコンピュータ33などを備えた構成とされている。TPMS−ECU3は、CANなどの車内LANを通じて、後述するようにブレーキECU10から歯車情報を取得することで各車輪5a〜5dと共に回転させられる歯車の歯のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置を取得している。
受信アンテナ31は、各送信機2から送られてくるフレームを受信するためのものである。受信アンテナ31は、車体6に固定されており、TPMS−ECU3の本体内に配置された内部アンテナでも良いし、本体から配線を引き伸ばした外部アンテナとされていても良い。
受信回路32は、受信アンテナ31によって受信された各送信機2からの送信フレームを入力し、そのフレームをマイクロコンピュータ33に送る入力部としての機能を果たす。受信回路32は、受信アンテナ31を通じて信号(フレーム)を受信すると、その受信した信号をマイクロコンピュータ33に伝えている。
マイクロコンピュータ33は、第2制御部に相当するもので、マイクロコンピュータ33内のメモリに記憶されたプログラムに従って車輪位置検出処理を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ33は、ブレーキECU10から取得する情報と、各送信機2からの送信フレームを受信した受信タイミングとの関係に基づいて車輪位置検出を行っている。ブレーキECU10からは、マイクロコンピュータ33は、各車輪5a〜5dに対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの歯車情報を所定周期(例えば10ms)毎に取得している。
歯車情報とは、各車輪5a〜5dと共に回転させられる歯車(ギア)の歯位置を示す情報である。車輪速度センサ11a〜11dは、例えば歯車の歯に対向して配置される電磁ピックアップ式センサによって構成され、歯車の歯の通過に伴って検出信号を変化させる。このようなタイプの車輪速度センサ11a〜11dでは、検出信号として歯の通過に対応する方形パルス波を出力していることから、その方形パルス波の立上りおよび立下りが歯車の歯のエッジの通過を表すことになる。したがって、ブレーキECU10では、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号の立上りおよび立下りの数から歯車の歯のエッジ数、つまりエッジの通過数をカウントし、所定周期毎に、そのときの歯のエッジ数を、歯位置を示す歯車情報としてマイクロコンピュータ33に伝えている。これにより、マイクロコンピュータ33では、歯車のどの歯が通過したタイミングであるかを把握することが可能になっている。
歯のエッジ数は、歯車が1回転する毎にリセットされる。例えば、歯車に備えられた歯の数が48歯である場合、エッジ数は0〜95の合計96個でカウントされ、カウント値が95に至ると再び0に戻ってカウントされる。
なお、ここではブレーキECU10から歯車情報として歯車の歯のエッジ数をマイクロコンピュータ33に伝えるようにしたが、歯の通過数のカウント値である歯数であっても良い。また、所定周期の間に通過したエッジ数もしくは歯数をマイクロコンピュータ33に伝え、マイクロコンピュータ33で前回までのエッジ数もしくは歯数に所定周期の間に通過したエッジ数もしくは歯数を加算させ、その周期でのエッジ数もしくは歯数をカウントさせるようにしても良い。つまり、マイクロコンピュータ33で最終的に歯車情報としてその周期でのエッジ数もしくは歯数が取得できれば良い。また、ブレーキECU10では、歯車の歯のエッジ数(もしくは歯数)を電源オフのたびにリセットすることになるが、電源オンすると同時もしくは電源オンしてから所定車速になったときから再び計測している。このように、電源オフのたびにリセットされたとしても、電源オフ中には同じ歯が同じエッジ数(もしくは歯数)で表されることになる。
マイクロコンピュータ33は、各送信機2から送信されたフレームを受信するとその受信タイミングを計測し、取得した歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中からフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて車輪位置検出を行う。このように、受信タイミングと歯車情報が示す歯位置に基づいて、各送信機2がどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行っている。この車輪位置検出の具体的な方法については後で詳細に説明する。
また、マイクロコンピュータ33は、車輪位置検出の結果に基づいて、各送信機2のID情報と各送信機2が取り付けられている各車輪5a〜5dの位置とを関連づけて記憶する。そして、その後は各送信機2からの送信フレーム内に格納されたID情報およびタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧検出を行い、タイヤ空気圧に応じた電気信号をCANなどの車内LANを通じてメータ4に出力する。例えば、マイクロコンピュータ33は、タイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較することでタイヤ空気圧の低下を検知し、タイヤ空気圧の低下を検知するとその旨の信号をメータ4に出力する。これにより、4つの車輪5a〜5dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことがメータ4に伝えられる。
メータ4は、警報部として機能するものであり、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置されるメータディスプレイ等によって構成される。このメータ4は、例えばTPMS−ECU3におけるマイクロコンピュータ33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、車輪5a〜5dを特定しつつタイヤ空気圧の低下を示す表示を行うことでドライバに特定車輪のタイヤ空気圧の低下を報知する。
続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。以下、タイヤ空気圧検出装置の作動について説明するが、タイヤ空気圧検出装置で行われる車輪位置検出とタイヤ空気圧検出とに分けて説明する。
まず、車輪位置検出について説明する。最初に、参考として、Nullを考慮に入れない場合の車輪位置検出の方法について、図4〜図7を参照して説明する。Nullを考慮に入れない場合として、送信機2の角度が所定の送信角度になるとフレーム送信を行い、それを受信機3が受信することで車輪位置検出を行う場合について説明する。
送信機2側では、マイクロコンピュータ23が電池からの電力供給に基づいて所定のサンプリング周期毎に加速度センサ22の検出信号をモニタすることで車速および車輪5a〜5dの送信機2の角度を検出している。そして、マイクロコンピュータ23は、車速が所定速度に達すると、送信機2の角度が所定の送信角度になったときを送信タイミングとして、繰り返しフレーム送信を行う。
すなわち、加速度センサ22の検出信号の重力加速度成分を抽出すると、図3Aに示すようなsin波となる。このsin波に基づいて送信機2の角度が分かる。このため、sin波に基づいて送信機2の角度が送信角度になったことを検出し、フレーム送信を行う。
一方、TPMS−ECU3側では、ブレーキECU10から各車輪5a〜5dに対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの歯車情報を所定周期(例えば10ms)毎に取得している。そして、TPMS−ECU3は、各送信機2から送信されたフレームを受信したときにその受信タイミングを計測し、取得している歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中からフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得する。
このとき、各送信機2から送信されたフレームの受信タイミングとブレーキECU10から歯車情報を取得している周期とが一致するとは限らない。このため、ブレーキECU10から歯車情報を取得した周期の中からフレームの受信タイミングに最も近い周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)を、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)として用いることができる。ここでいう受信タイミングに最も近い周期とは、受信タイミングの直前または直後の周期のいずれであっても良い。また、ブレーキECU10から歯車情報を取得した周期の中からフレームの受信タイミングの直前および直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)を用いて、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を演算しても良い。例えば、フレームの受信タイミングの直前および直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中間値を、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)として用いることができる。
そして、このようなフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得する動作がフレームを受信する毎に繰り返され、取得したフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて車輪位置検出を行う。具体的には、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキが前回の受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて設定される所定範囲内であるか否かを判定することにより、車輪位置検出を行う。
フレームを受信した車輪については、送信機2の角度が送信角度になるタイミングで送信機2からフレーム送信が行われている。このため、送信角度が同じ角度であるとした場合には、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置が前回のときとほぼ一致する。したがって、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキが小さく、所定範囲内に収まることになる。このことは、複数回フレームを受信した場合でも成り立ち、各フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキは、1回目のフレーム受信タイミングのときに決められる所定範囲内に収まる。一方、フレームを受信した車輪とは異なる車輪については、他の車輪の送信機2から送信されたフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がばらつく。
すなわち、車輪速度センサ11a〜11dの歯車の回転は各車輪5a〜5dと連動しているため、フレームを受信した車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がほぼ一致する。しかし、道路状況や旋回もしくは車線変更などによって各車輪5a〜5dの回転状態が変動するため、車輪5a〜5dの回転状態が完全に同じになることはあり得ない。このため、フレームを受信した車輪とは異なる車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がばらつくのである。
したがって、図5に示したように、フレームを受信した車輪とは異なる車輪については、イグニッションスイッチ(IG)がオンした当初に歯車12a〜12dのエッジ数が0であった状態から、走行開始後に徐々に受信タイミングのときの歯位置にバラツキが生じる。このバラツキが所定範囲内であるか否かを判定することにより、車輪位置検出を行うことができる。
例えば、図6Aに示すように、1回目のフレーム送信時の送信機2の位置が1回目受信角度であったとする。また、歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキとして許容できる幅であるバラツキ許容幅が1回目受信角度を中心とした180°の範囲(1回目受信角度±90°の範囲)相当の値であるとする。エッジ数であれば1回目受信時のエッジ数を中心とした±24のエッジ数範囲、歯数であれば1回目受信時の歯数を中心とした±12の歯数範囲であるとする。この場合において、図6Bに示すように、2回目のフレーム受信時の歯車のエッジ数(もしくは歯数)が1回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲内であれば、その車輪は車輪はフレーム送信が行われた車輪と一致している可能性がある。この場合には、判定結果がTRUE(正しい)となる。
ただし、この場合にも2回目のフレーム受信時の送信機2の角度である2回目受信角度を中心としてバラツキ許容幅が決まり、2回目受信角度を中心とした180°(±90°)相当の値となる。このため、前回のバラツキ許容幅となる1回目受信角度を中心とした180°(±90°)のバラツキ許容幅と、2回目受信角度を中心とした180°(±90°)のバラツキ許容幅の重なる部分が新たなバラツキ許容幅(エッジ数範囲が12〜48)となる。その重複範囲に新たなバラツキ許容幅を狭めることができる。
したがって、図6Cに示すように、3回目のフレーム受信時の歯車のエッジ数(もしくは歯数)が1、2回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲外であれば、その車輪はフレーム送信が行われた車輪と一致していない。このため、判定結果がFALSE(誤り)となる。このとき、たとえ1回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲内であっても、1、2回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲外であれば、FALSEと判定している。このようにして、受信したフレームを送信した送信機2が車輪5a〜5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定することが可能となる。
すなわち、図7(a)に示すように、識別情報としてID1が含まれたフレームについては、そのフレームの受信タイミングの毎に歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得し、それを対応する車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RR)毎に記憶する。そして、フレームを受信するたびに、取得した歯車のエッジ数(もしくは歯数)がバラツキ許容幅の範囲内であるか否かを判定し、その範囲から外れた車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪候補から除外していく。そして、最後まで除外されなかった車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録する。ID1が含まれたフレームの場合、右前輪FR、右後輪RR、左後輪RLの順に候補から除外され、最終的に残った左前輪FLをフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録する。
そして、図7(b)〜(d)に示すように、識別情報としてID2〜ID4が含まれたフレームについてもID1が含まれたフレームと同様の処理を行う。これにより、各フレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪を特定することができ、送信機2が取り付けられた4輪すべてを特定することが可能となる。
このようにして、各フレームが車輪5a〜5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する。そして、マイクロコンピュータ33は、フレームを送信してきた各送信機2のID情報を、それが取り付けられた車輪の位置と関連付けて記憶する。これにより、車輪位置検出を行うことができる。
ただし、上記のような方法によって送信機2が取り付けられた4輪すべてを特定できれば良いが、Nullのように送信されたフレームがTPMS−ECU3に届き難い場所とフレーム送信が行われる送信機2の角度である送信角度が一致する可能性がある。その場合、送信角度を常に同じ角度にしたのでは、毎回フレームがTPMS−ECU3に受信できなくなることがあり得る。
そこで、Nullを回避できるように、フレーム送信毎にフレームの送信角度を変更することが考えられる。しかし、フレーム送信毎にフレームの送信角度を変更したとしても、再びNullの位置となる角度となったときに、TPMS−ECU3で受信できなくなる。変更する角度にもよるが、例えば毎回180°ずつ送信角度をずらす場合には、送信角度とNullの位置とが一致した場合、2回に1回の割合でTPMS−ECU3で受信できなくなる可能性がある。車輪位置検出が実行される度にフレーム送信が開始される送信角度が同じ角度に設定される場合、所定の割合で送信角度とNullの位置とが一致することになってしまい何度車輪位置検出を行っても上記した問題が発生することになる。
このため、本実施形態では、送信機2で送信回数をカウントし、送信回数に応じて送信タイミングを設定するようにしている。具体的には、送信機2は、走行中と判定すると、車速が所定速度に達した瞬間の送信機2の角度もしくは予め決められた送信機2の角度を基準角度として、送信機2の角度が基準角度になったことを検出する。そして、基準角度となったタイミングから送信回数に応じて一定時間ずつ送信時間がずれるようにずれ量を決めてディレイ時間を設定し、そのディレイ時間だけ遅らせたタイミングを送信タイミングとしてフレーム送信を行う。
例えば、送信回数が多くなるほどディレイ時間を大きくなるようにずれ量を設定したり、送信回数が多くなるほどディレイ時間を小さくなるようにずれ量を設定したりできる。前者の場合、例えば図8に示すように、送信回数が1回目のときはディレイ時間が0ms、2回目はディレイ時間が5ms、その後は送信回数が多くなるにしたがって5ms間隔でディレイ時間を増やすようにすることができる。つまり、送信回数がN回目のときにはディレイ時間が(N−1)×5msとなるようにすることができる。
このように、送信回数に応じて基準角度からのディレイ時間を設定することで、フレーム送信が行われる送信機2の角度を変更することができる。例えば、図9に示したように送信機2の角度が0°のときを基準角度とすると、その基準角度を認識したのち送信回数に応じて図8に示したディレイ時間を設けてフレーム送信が行われる。これにより、図10に示すように、加速度センサ22の検出信号の重力加速度成分の振幅が負の最大振幅の位置からディレイ時間分ずれた角度でフレーム送信が行われるようにできる。このように、フレーム送信が行われる送信角度を送信回数に応じて変更できるため、そのうちの一部がNullの位置と一致したとしても、それ以外ではNullを回避することができ、より確実に送信されたフレームがTPMS−ECU3に届くようにすることができる。
一方、TPMS−ECU3では、フレームの受信タイミングにおける歯位置を検出したのち、その歯位置を受信タイミングがディレイ時間分だけ早くなったとした場合の歯位置に補正することで、基準となる一定角度でフレーム送信された場合の歯位置を演算する。例えば、基準角度を基準となる一定角度として、基準角度でフレーム送信された場合の歯位置を演算する。すなわち、TPMS−ECU3では、送信されたフレームの受信タイミングでの歯車のエッジ数(もしくは歯数)がバラツキ許容幅の範囲内に含まれるか否かを確認することで、車輪位置検出を行っている。このため、複数の異なる送信角度でフレーム送信が行われているときには、異なる送信角度で送信されたフレームの受信タイミングでの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を同じ送信角度で送信されたものに補正することが必要になる。
このとき、TPMS−ECU3において、ディレイ時間が把握できなければ上記補正を行うことができないが、TPMS−ECU3は受信したタイミングにより送信回数に応じてディレイ時間を認識できる。このため、TPMS−ECU3に予め送信回数が増える毎に毎回一定時間ずつディレイ時間がずらされるという関係(例えば、上記のように毎回5msずつ増加されること)について記憶させておき、それに基づいて上記補正を行うことができる。
送信回数については、送信開始からの送信回数をフレーム中に送信カウントのデータとして含めておけば、容易にTPMS−ECU3側で確認できるため、フレーム受信が行えなかった場合を加味して送信角度がずらされた分を補正できる。しかしながら、送信カウントのデータを含める分、送信データのデータ量が多くなり、電池寿命の低下を招く。このため、フレームの送信周期が定められていることを利用して、前回のフレーム受信から今回のフレーム受信までの送信回数をTPMS−ECU3側で推定している。そして、その送信回数から今回送信されたフレームのディレイ時間を推定している。ここでの送信回数としては、送信開始からの送信回数である必要はなく、前回のフレーム受信から今回のフレーム受信までの送信回数で良い。
つまり、前回のフレーム受信からの経過時間に対応した回数だけフレーム送信が行われていると考えられるため、その経過時間から前回のフレーム受信からの送信回数を把握できる。このため、前回のフレーム受信のときから今回のフレーム受信までの経過時間が送信周期の何周期分に相当するかを演算し、その周期数に対して一定時間ずつずらされるディレイ時間のずれ分を掛けることで、今回送信されたフレームのディレイ時間を演算できる。したがって、送信カウントのデータをフレーム中に含めなくても、また、送信開始からの送信回数を把握できなくても、前回のフレーム受信から今回のフレーム受信までの送信回数を把握でき、問題なく上記補正を行うことができる。
実際には、前回のフレーム受信のときから今回のフレーム受信までの経過時間には、ディレイ時間のずれ分も含まれるため、その時間を加味して前回のフレーム受信から今回のフレーム受信までの送信回数を演算できる。しかし、電池寿命を考慮して送信周期はディレイ時間よりも十分に長く設定されるため、ディレイ時間を無視して送信回数を演算しても構わない。
なお、Nullの位置でフレームを受信できなくなるときもあり得る。しかしながら、その場合にも、フレームの送信間隔と各フレームの受信間隔に基づいてディレイ時間を把握できるため、Nullの位置でフレームを受信できなくても、問題なく上記補正が行える。また、送信開始のときのフレームが受信されず、それ以降に送信されたフレームから受信された場合、初回に受信されたフレームが基準角度からディレイ時間分ずれた角度で送信されたことになる。このため、それ以降に受信したフレームの角度をディレイ時間分だけ補正する場合、その初回に受信されたフレームの角度、つまり基準角度からずれた角度に補正されることになる。しかしながら、その角度を基準となる一定角度として車輪位置検出が行われることになるだけであり、基準角度に補正しなければ車輪位置検出を行えない訳ではないため、問題はない。
このように、TPMS−ECU3でも送信回数を把握できることから、TPMS−ECU3にて、フレームを受信したときの送信回数からディレイ時間を推定できる。このため、ディレイ時間に関する情報や送信回数に関する情報、換言すれば角度情報をフレームに含めなくても、TPMS−ECU3でディレイ時間を把握して、正確に基準角度でフレーム送信が行われたとした場合の歯位置を演算することができる。
具体的には、各フレームの受信タイミングでの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を送信角度がずらされた分だけ補正し、送信角度がずらされていないとしたときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)にする。例えば、歯車の歯数が48とされている場合において、車速が40km/hのときにタイヤ1回転が200msであり、ディレイ時間が10msであったとすると、ディレイ時間に対応するエッジ数が96×10/200≒5となる。同様に、ディレイ時間に対応する歯数が×10/200≒2となる。したがって、TPMS−ECU3は、受信タイミングでの歯車のエッジ数(もしくは歯数)からディレイ時間に対応するエッジ数(もしくは歯数)を補正することで、基準角度でのエッジ数(もしくは歯数)を演算することができる。そして、補正後のエッジ数(もしくは歯数)がバラツキ許容幅の範囲内に含まれるか否かに基づいて車輪位置検出を行うことができる。
なお、TPMS−ECU3では、車速が所定速度になったときに送信されたフレームを受信し、その受信タイミングにおける歯車情報を記憶しているが、所定の走行停止判定時速(例えば3km/h)以下になると、それまでの歯車情報を破棄している。そして、再び走行開始したときに、新たに上記のようにして車輪位置検出を行うようにしている。
このようにして車輪位置検出が行われると、その後は、タイヤ空気圧検出が行われる。具体的には、タイヤ空気圧検出の際には、一定周期毎に各送信機2からフレームが送信され、各送信機2からフレームが送信されるたびに、4輪分のフレームがTPMS−ECU3で受信される。そして、TPMS−ECU3では、各フレームに格納されたID情報に基づいて車輪5a〜5dに取り付けられたいずれの送信機2から送られてきたフレームであるかを特定し、タイヤ空気圧に関する情報より各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を検出する。これにより、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧の低下を検出でき、車輪5a〜5dのいずれのタイヤ空気圧が低下しているかを特定することが可能となる。そして、タイヤ空気圧の低下が検出されると、その旨をメータ4に伝えることで、メータ4によって車輪5a〜5dを特定しつつタイヤ空気圧の低下を示す表示を行い、ドライバに特定車輪のタイヤ空気圧の低下を報知する。
以上説明したように、本実施形態では、送信回数に応じて基準角度からのディレイ時間を設定し、送信回数が増える毎に毎回一定時間ずつディレイ時間がずれるようにしている。そして、送信機2の角度が基準角度に達したのちディレイ時間経過したときにフレーム送信を行うようにしている。これにより、フレーム送信が行われる送信角度を送信回数に応じて変更できるため、そのうちの一部がNullの位置と一致したとしても、それ以外ではNullを回避することができ、より確実に送信されたフレームがTPMS−ECU3に届くようにすることができる。そして、前回のフレーム受信から今回のフレーム受信までの経過時間とフレームの送信周期とに基づいて、TPMS−ECU3側でも前回のフレーム受信から今回のフレーム受信までの送信回数を推定することができる。このため、フレームにディレイ時間もしくは送信回数に関する情報、換言すれば角度情報を含めなくても、TPMS−ECU3でディレイ時間を把握することができ、正確に基準となる一定角度でフレーム送信が行われたとした場合の歯位置を演算することができる。したがって、確実に送信機2からの送信フレームを受信できるようにしつつ、フレームに角度情報を含まなくても確実に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置にできる。
また、送信回数に応じて送信角度をずらしてフレーム送信が行われるため、Nullの位置等でフレームを受信できないときがあっても、それ以外の送信角度のときに確実にTPMS−ECU3側でフレームを受信できる。このため、繰り返しフレーム受信をできない場合と比較して、より短時間で正確に、かつ、より確実に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置とすることが可能となる。
また、車輪5a〜5dと連動して回転させられる歯車12a〜12dの歯の通過を検出する車輪速度センサ11a〜11dの検出信号に基づいて、歯車12a〜12dの歯位置を示す歯車情報を取得している。そして、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づいてバラツキ許容幅を設定し、その後のフレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲内であるか否かに基づいて車輪位置の特定を行っている。すなわち、フレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲外であれば、該フレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪の候補から除外していき、残った車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録している。このため、多くのデータ量が揃わなくても車輪位置の特定を行うことができる。
さらに、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づくバラツキ許容幅と、前回のフレームの受信タイミングに設定されたバラツキ許容幅と重なる部分を新たなバラツキ許容幅として設定している。このため、これらの重複範囲に新たなバラツキ許容幅を狭めることができる。したがって、より短時間で正確に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置とすることが可能となる。
また、車速が所定速度以上になったことをフレーム送信の条件にしたり、加速度センサ22を用いて各車輪5a〜5dでの送信機2の位置検出を行っているため、車両1が走行し始めてからしか車輪位置検出を行えないものの、走行後直ぐに車輪位置検出を行うことができる。さらに、トリガ機が出力した信号の受信強度などに基づいて車輪位置検出を行う場合のように、トリガ機などを必要としなくても車輪位置検出を行うことが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車輪位置検出機能におけるフレーム送信のディレイ時間の設定方法を変更したものである。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
上記実施形態では、送信回数が多くなるほどディレイ時間を大きくもしくは小さくするようにしているが、本実施形態では、送信回数に対応するディレイ時間を2つ設定し、それを送信回数に応じて交互に適用する。例えば、図11に示すように、送信回数が奇数回目のときにはディレイ時間を0msとし、送信回数が隅数回目のときにはディレイ時間を5msとする。
このように、送信回数が奇数回目と偶数回目とでディレイ時間を変更することで、送信回数に応じて基準角度からのディレイ時間を変更することも可能となる。
なお、奇数回目と偶数回目のいずれかのフレーム送信において、Nullの位置と一致してフレーム受信が行えないことがあり得る。しかしながら、基準角度からのディレイ時間によってフレームの送信角度を変更しており、同じディレイ時間であったとしても、車速が異なっていればディレイ時間中に回転するタイヤ回転角度が異なるため、Nullの位置が連続して続くことはほとんど無いと言える。また、フレーム受信が行えなかったか否かについては、フレームの送信間隔が所定周期で定められていることから、各フレームの受信間隔に基づいて容易にTPMS−ECU3側で把握できる。つまり、前回のフレーム受信からの経過時間に対応した回数だけフレーム送信が行われていると考えられるため、その経過時間から今回受信したフレームが奇数回目と隅数回目のいずれに送信されたかを把握できる。したがって、Nullの位置でフレームを受信できなかったときにも問題なく上記補正を行うことができる。
(他の実施形態)
上記第2実施形態では、ディレイ時間を送信回数が奇数回目か偶数回目かに分けて2つ設定する場合について説明したが、2つではなくそれ以上の数としても良い。その場合、送信毎に異なる各ディレイ時間が順番に設定されるようにし、送信回数がディレイ時間の数に至ったら、再度異なる各ディレイ時間が順番に設定されるように、異なるディレイ時間をローテーションで設定すれば良い。
また、上記実施形態では、フレーム送信を行う角度として、角度が0°の位置を各車輪5a〜5dの中心軸を中心として加速度センサ22が上方位置に位置しているときとしている。しかしながら、これは単なる一例であり、車輪の周方向の任意の位置を角度0°とすればよい。
また、上記実施形態では、ディレイ時間に応じてTPMS−ECU3でエッジ数もしくは歯数という歯位置の補正を行うようにしたが、バラツキ許容幅をディレイ時間に対応してずらしても良い。例えば、2回目のフレーム受信時の判定に用いるバラツキ許容幅を1回目受信角度を中心とした90°の範囲に対して1回目と2回目のディレイ時間の差に相当する角度だけ足した範囲とする。このように、各回のディレイ時間の差に相当する角度だけバラツキ許容幅を補正しても良い。
また、上記実施形態では、フレームの受信タイミング毎にバラツキ許容幅を変更し、徐々にバラツキ許容幅が狭くなるようにしているが、歯位置を中心として設定されるバラツキ許容幅については一定としている。この歯位置を中心として設定されるバラツキ許容幅についても変更可能である。例えば、歯位置のバラツキは、車速が大きいほど大きくなる可能性がある。このため、車速が大きくなるほどバラツキ許容幅を大きくすることで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる。また、加速度センサ22で加速度検出を行うときのサンプリング周期が長いほど、送信機2の角度が所定角度になったタイミングの検出精度が落ちることから、それに応じてバラツキ許容幅を変更することで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる。その場合、送信機2側でサンプリング周期などを把握していることから、送信機2が送信するフレーム内にバラツキ許容幅の大きさを決めるデータを含めて送信させるようにすることができる。
上記実施形態では、TPMS−ECU3がブレーキECU10から歯車情報を取得するようにしているが、TPMS−ECU3が歯車情報として歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得できれば良い。このため、他のECUから取得しても良いし、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号を入力し、その検出信号から歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得するようにしても良い。特に、上記実施形態では、TPMS−ECU3とブレーキECU10を別々のECUで構成する場合について説明したが、これらが一体化された単独のECUで構成される場合もあり得る。その場合には、そのECUが直接車輪速度センサ11a〜11dの検出信号を入力し、その検出信号から歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得することになる。また、その場合には、歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を常時取得することができるため、これらの情報を所定周期毎に取得する場合と異なり、フレームの受信タイミング丁度の歯車情報に基づいて車輪位置検出を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、4つの車輪5a〜5dが備えられた車両1に対して備えられた車輪位置検出装置について説明したが、さらに車輪数が多い車両についても、同様に本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、歯車情報に基づいて車輪位置特定を行う際に、歯位置に基づいてバラツキ許容幅を設定し、その範囲外であるか否かに基づいて車輪位置特定を行っている。そして、前回のバラツキ許容幅と今回のバラツキ許容幅とが重なる部分を新たなバラツキ許容幅として設定することでバラツキ許容幅を狭くしている。これにより、より短期間で車輪位置特定を行うことが可能となるが、バラツキ許容幅を狭くしなくても、送信角度を送信回数に応じたディレイ時間に基づいて変更することで、TPMS−ECU3で確実にフレームが受信できる。このことから、繰り返しフレーム受信をできない場合と比較して、より短時間で正確に、かつ、より確実に車輪位置の特定を行うことが可能となる。
さらに、歯位置のバラツキ許容幅を利用して車輪位置特定を行うようにしたが、複数回のフレーム送信時の歯位置の標準偏差などに基づいて車輪位置特定を行う場合であっても、送信角度をフレーム送信毎にずらすことで、上記と同様の効果が得られる。
なお、本発明では、車輪速度センサ11a〜11dにより車輪5a〜5dの回転に連動して回転させられる歯車の歯の通過を検出できれば良い。このため、歯車としては、外周面が導体とされた歯の部分と歯の間に位置する部分が交互に繰り返される磁気抵抗の異なる構造であれば良い。つまり、外縁部が凹凸とされることで外周面が導体となる凸部と非導体となる空間で構成された一般的なもののみではなく、例えば外周面が導体となる部分と非導体となる絶縁体で構成されたロータスイッチ等も含まれる(例えば特開平10−048233号公報参照)。