本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1及び図2を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、記録媒体15が搬送され、記録媒体15の記録面16に画像が記録される。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体15を対象として画像が記録される。記録媒体15としては、例えば、布帛又は建築用資材が挙げられる。実施形態では、記録媒体15が長尺の布帛である場合を例に説明する。
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、搬送部20と、第一記録部30と、第二記録部40と、第一検出器61と、第二検出器62と、制御装置70を備える。搬送部20は、記録媒体15を、記録媒体15の長手方向に沿って搬送する。搬送部20によって搬送される記録媒体15は、第一記録部30と第二記録部40を通過する。実施形態では、搬送部20によって記録媒体15が搬送される方向を「第一方向」という。第一方向に直交する方向を「第二方向」という。
搬送部20は、ベルトコンベアである。搬送部20は、図1に示すように、一対の搬送ローラ21,22と、無端ベルト23と、モータ24を備える。搬送ローラ21は、第二記録部40より第一方向の下流側に設けられる。搬送ローラ22は、第一記録部30より第一方向の上流側に設けられる。無端ベルト23は、環状のベルトである。実施形態では、無端ベルト23は、均一な幅のベルトとされている。第二方向は、無端ベルト23の幅方向に一致する。無端ベルト23は、搬送ローラ21,22に、張力が作用した状態で架け渡される。無端ベルト23が搬送ローラ21,22に架け渡された状態において、無端ベルト23の外周面は、搬送ローラ21,22の間で、水平な状態となる。モータ24は、搬送ローラ21に連結される。モータ24は、搬送ローラ21を第一方向に対応する方向に回転させる。無端ベルト23は、搬送ローラ21の回転に伴い、第一方向に対応する方向に回転する。搬送ローラ22は、無端ベルト23の回転に従動して、第一方向に対応する方向に回転する。図1において、搬送ローラ21の内部に示す弧状の矢印は、搬送ローラ21の回転方向を示す。
第一記録部30と第二記録部40は、鉛直方向において搬送部20の上側の位置で、第一方向に所定の間隔で並んで設けられる。第一記録部30と第二記録部40は、記録媒体15に画像を記録する。図1で、第一記録部30と第二記録部40の間に図示された記録媒体15の部分に付した模様は、第一記録部30によって記録媒体15に記録された画像に対応する。第二記録部40より第一方向の下流側に図示された記録媒体15の部分に付した模様は、第一記録部30と第二記録部40によって記録媒体15に記録された画像に対応する。
第一記録部30は、第一インクジェットヘッド31と、第一キャリッジ32を備える。第一インクジェットヘッド31は、ライン型のインクジェットヘッドである。第一インクジェットヘッド31は、図2に示すように、複数のヘッドユニット50によって形成される。第一インクジェットヘッド31を形成する複数のヘッドユニット50は、同じヘッドユニットである。第一インクジェットヘッド31において、複数のヘッドユニット50は、第二方向に寸法Lだけ離間した状態で並べて設けられる。実施形態では、第一インクジェットヘッド31は、3個のヘッドユニット50を、第二方向に寸法Lだけ離間した状態で並べて形成されている。但し、第一インクジェットヘッド31において、ヘッドユニット50の個数は、2個又は4個以上としてもよい。
第一キャリッジ32には、第一インクジェットヘッド31が所定の位置に位置決めされた状態で搭載される。即ち、第一インクジェットヘッド31を形成する複数のヘッドユニット50は、上述した位置関係で、第一キャリッジ32の所定の位置にそれぞれ位置決めされた状態で設けられる。
第二記録部40は、第二インクジェットヘッド41と、第二キャリッジ42を備える。第二インクジェットヘッド41は、ライン型のインクジェットヘッドである。第二インクジェットヘッド41は、図2に示すように、複数のヘッドユニット50によって形成される。第二インクジェットヘッド41を形成する複数のヘッドユニット50は、同じヘッドユニットである。第二インクジェットヘッド41を形成するヘッドユニット50は、第一インクジェットヘッド31を形成するヘッドユニット50とも、同じである。
第二インクジェットヘッド41において、複数のヘッドユニット50は、第二方向に寸法Lだけ離間した状態で並べて設けられる。即ち、第二方向に隣り合うヘッドユニット50の間の寸法は、第一インクジェットヘッド31と同じ、寸法Lに設定される。実施形態では、第二インクジェットヘッド41は、第一インクジェットヘッド31における3個のヘッドユニット50より1個少ない2個のヘッドユニット50を、第二方向に寸法Lだけ離間した状態で並べて形成されている。但し、第二インクジェットヘッド41において、ヘッドユニット50の個数は、1個又は3個以上としてもよい。
第二キャリッジ42には、第二インクジェットヘッド41が所定の位置に位置決めされた状態で搭載される。即ち、第二インクジェットヘッド41を形成する複数のヘッドユニット50は、上述した位置関係で、第二キャリッジ42の所定の位置にそれぞれ位置決めされた状態で設けられる。
ヘッドユニット50には、インクを吐出するノズル51が複数形成される。複数のノズル51は、第二方向に所定の間隔で配列される。実施形態では、第二方向に隣り合うノズル51の間隔を「第一間隔W1」という。第一間隔W1は、第二方向に隣り合うノズル51の中心間距離である(図2参照)。第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41をそれぞれ形成する複数のヘッドユニット50の各ノズル51からは、同じ色のインクが吐出される。
第一インクジェットヘッド31が第一キャリッジ32に搭載され、第二インクジェットヘッド41が第二キャリッジ42に搭載された状態で、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の第一方向における位置関係は、次のように設定される。即ち、第二インクジェットヘッド41は、第一方向において第一インクジェットヘッド31より第二間隔W2だけ下流側に設けられる。第二間隔W2は、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の各ノズル51の中心間距離である(図2参照)。
第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41をそれぞれ形成するヘッドユニット50には、インクを貯留するインクタンクが、供給流路を介して接続される。インクは、インクタンクから流出し、前述した供給流路を流れて、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41を形成するヘッドユニット50にそれぞれ供給される。
インクタンクは、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41に対して各1個又は1個設けられる。インクタンクを、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41に対して1個とする場合、供給流路は、途中で、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41のそれぞれの側へと分岐する分岐部を含むようにしてもよい。インクタンクの個数は、諸条件を考慮して適宜決定される。インクタンクから第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41へのインクの送液は、公知のインクジェット記録装置と同様に行われる。例えば、インクの送液は、インクタンク内を加圧することで行われる。この他、インクの送液は、供給流路の途中にポンプを設けて行われる。実施形態における各図では、インクタンクと供給流路の図示は省略されている。実施形態における各図では、インクを送液する構成の図示も省略されている。
第一検出器61は、第一方向の第一位置P1で、第一方向に移動する無端ベルト23の第二方向の一方側の端部の位置を検出する変位センサである。第一検出器61は、検出値D1を出力する。検出値D1は、第一位置P1における無端ベルト23の第二方向の一方側の端部の位置に対応する位置情報である。第二検出器62は、第一方向の第二位置P2で、第一方向に移動する無端ベルト23の第二方向の一方側の端部の位置を検出する変位センサである。第二検出器62は、検出値D2を出力する。検出値D2は、第二位置P2における無端ベルト23の第二方向の一方側の端部の位置に対応する位置情報である。第一検出器61と第二検出器62としては、例えば、公知の接触式の変位センサを採用することができる。この場合、第一検出器61と第二検出器62は、前述した各位置で、無端ベルト23の第二方向の一方側の端部に接触する。但し、第一検出器61と第二検出器62は、公知の非接触式の変位センサとしてもよい。
実施形態では、第一検出器61と第二検出器62を、無端ベルト23に対して、第二方向の第一側に設けることとしている。従って、第一検出器61と第二検出器62によって検出される無端ベルト23の第二方向の一方側の端部は、第二方向の第一側の端部となる。第一位置P1は、第一記録部30と第二記録部40のうち、第一方向の上流側に設けられる第一記録部30で、第一インクジェットヘッド31に対応する位置である。更に、第一位置P1は、第一インクジェットヘッド31の複数のノズル51が第二方向に配列されている第一方向の位置に一致する位置である(図2参照)。第二位置P2は、第一方向において第一位置P1より第三間隔W3だけ下流側の位置である。第三間隔W3は、第二間隔W2と同一の寸法に設定される。そのため、第二位置P2は、第一方向の下流側に設けられる第二記録部40で、第二インクジェットヘッド41の複数のノズル51が第二方向に配列されている第一方向の位置に一致する位置となる(図2参照)。
制御装置70は、図1に示すように、CPU71と、記憶部72と、RAM73と、接続インターフェース74と、ヘッド駆動部75と、マスク回路76を備える。実施形態では、接続インターフェース74を「接続I/F74」と記載する。CPU71は、演算処理を実行し、インクジェット記録装置10で実行される各種の処理を制御する。記憶部72は、例えば、不揮発性のメモリ及び/又はハードディスクである。記憶部72には、インクジェット記録装置10で実行される各種の処理のプログラムが記憶される。例えば、記憶部72には、図3及び図4に示す吐出補正処理のプログラムと、図5に示すサブルーチン処理のプログラムが記憶される。サブルーチン処理として、図6に示すサブルーチン処理が採用される場合、記憶部72には、このサブルーチン処理のプログラムが記憶される。この他、例えば、記憶部72には、画像の記録に関する処理のプログラムが記憶される。RAM73は、CPU71が記憶部72に記憶されたプログラムを実行する際の作業領域となる。RAM73には、処理の実行途中に所定のデータが記憶される。インクジェット記録装置10では、CPU71が、RAM73を用いて、記憶部72に記憶された各プログラムを実行することで、各種の機能が実現され、各種の制御部が構成される。
接続I/F74は、制御装置70に所定の外部装置を接続するインターフェースである。例えば、接続I/F74には、第一検出器61と第二検出器62が、信号ケーブルを介して接続される。図1では、信号ケーブルの図示は省略されている。CPU71は、接続I/F74を介して、第一検出器61からの検出値D1と、第二検出器62からの検出値D2を取得する(後述する図3のS11及びS13参照)。
ヘッド駆動部75は、所定の電圧値の駆動電圧を所定の周期で出力する。ヘッド駆動部75から出力された駆動電圧は、ピエゾ素子に印加される。ピエゾ素子は、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の各ノズル51に対応して設けられる。ピエゾ素子は、ノズル51からインクを吐出させるエネルギを発生する駆動素子である。ピエゾ素子の他、前述したエネルギを発生させる駆動素子としては、例えば、ヒータが挙げられる。実施形態では、ピエゾ素子を例として説明する。実施形態における各図では、ピエゾ素子の図示は省略されている。
マスク回路76は、記録対象の画像に対応する画像データから生成される記録データの間引処理を実行する。インクジェット記録装置10では、後述する図5に示すサブルーチン処理に対応する、4種類の間引処理用の4個(4階調)のマスクデータが設定されている。4個のマスクデータのうちの第一マスクデータは、インクの吐出を、4ドット毎に1ドットだけ不吐出とする4ビットのマスクデータである。第一マスクデータを2進表記すると、例えば、「1101」となる。ここで、「1」は吐出に対応し、「0」は不吐出に対応する。4個のマスクデータのうちの第二マスクデータは、インクの吐出を、4ドット毎に2ドットだけ不吐出とする4ビットのマスクデータである。第二マスクデータを2進表記すると、例えば、「0101」となる。4個のマスクデータのうちの第三マスクデータは、インクの吐出を、4ドット毎に3ドットだけ不吐出とする4ビットのマスクデータである。第三マスクデータを2進表記すると、例えば、「0100」となる。4個のマスクデータのうちの第四マスクデータは、インクの吐出を、4ドット全てで不吐出とする4ビットのマスクデータである。第四マスクデータを2進表記すると、「0000」となる。
インクジェット記録装置10での画像の記録は、制御装置70で、画像の記録の開始指令が受け付けられ、CPU71が開始指令を取得した場合に開始される。搬送部20は、記録媒体15を第一方向に搬送する。第一記録部30では、インクが、所定のタイミングで、第一インクジェットヘッド31の各ノズル51から、記録媒体15に向けて吐出される。第一インクジェットヘッド31の各ノズル51から吐出されたインクは、記録媒体15の記録面16に着弾する。第二記録部40では、インクが、所定のタイミングで、第二インクジェットヘッド41の各ノズル51から、記録媒体15に向けて吐出される。第二インクジェットヘッド41の各ノズル51から吐出されたインクは、記録媒体15の記録面16に着弾する。着弾したインクによって記録媒体15の記録面16に、画像が記録される。搬送部20は、例えば、画像の記録が終了した後、所定のタイミングで停止する。搬送部20の停止に伴い、第一方向への記録媒体15の搬送は終了する。
<第二方向を基準としたノズルの位置関係>
第二方向を基準とした第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の各ノズル51の位置関係について、図2を参照して説明する。
先ず、第二インクジェットヘッド41を形成する2個のヘッドユニット50のうち、第二方向の第一側に設けられるヘッドユニット50は、第一インクジェットヘッド31を形成する3個のヘッドユニット50のうち、第二方向の第一側に設けられるヘッドユニット50に対して、次のような状態とされる。即ち、第二インクジェットヘッド41における前述したヘッドユニット50は、このヘッドユニット50の第二方向の第一側の領域に設けられる複数のノズル51が、第一インクジェットヘッド31における前述したヘッドユニット50において、第二方向の第二側の領域に設けられる複数のノズル51と、第二方向において重複した状態となる。更に、第二インクジェットヘッド41における前述したヘッドユニット50は、第一インクジェットヘッド31を形成する3個のヘッドユニット50のうち、第二方向の中央に設けられるヘッドユニット50に対して、次のような状態とされる。即ち、第二インクジェットヘッド41における前述したヘッドユニット50は、このヘッドユニット50の第二方向の第二側の領域に設けられる複数のノズル51が、第一インクジェットヘッド31における前述したヘッドユニット50において、第二方向の第一側の領域に設けられる複数のノズル51と、第二方向において重複した状態となる。実施形態では、重複するノズル51の数は、6個とされている。
次に、第二インクジェットヘッド41を形成する2個のヘッドユニット50のうち、第二方向の第二側に設けられるヘッドユニット50は、第一インクジェットヘッド31を形成する3個のヘッドユニット50のうち、第二方向の中央に設けられるヘッドユニット50に対して、次のような状態とされる。即ち、第二インクジェットヘッド41における前述したヘッドユニット50は、このヘッドユニット50の第二方向の第一側の領域に設けられる複数のノズル51が、第一インクジェットヘッド31における前述したヘッドユニット50において、第二方向の第二側の領域に設けられる複数のノズル51と、第二方向において重複した状態となる。更に、第二インクジェットヘッド41における前述したヘッドユニット50は、第一インクジェットヘッド31を形成する3個のヘッドユニット50のうち、第二方向の第二側に設けられるヘッドユニット50に対して、次のような状態とされる。即ち、第二インクジェットヘッド41における前述したヘッドユニット50は、このヘッドユニット50の第二方向の第二側の領域に設けられる複数のノズル51が、第一インクジェットヘッド31における前述したヘッドユニット50において、第二方向の第一側の領域に設けられる複数のノズル51と、第二方向において重複した状態となる。実施形態では、重複するノズル51の数は、上記同様、6個とされている。
<吐出補正処理>
吐出補正処理について、図3及び図4を参照して説明する。吐出補正処理は、上述したように、第二インクジェットヘッド41において、第一インクジェットヘッド31の所定のノズル51に対して第二方向に重複する、6個のノズル51を対象とする処理である。吐出補正処理は、第二インクジェットヘッド41におけるこれら6個のノズル51それぞれに対して、インクの吐出と不吐出を適宜設定する処理である。吐出補正処理の説明は、次のような事項を前提として行う。
即ち、この説明は、無端ベルト23が第一位置P1と第二位置P2の間を第一方向に移動する際、無端ベルト23が第二方向の第一側から第二側へと斜めに移動している状態、又は無端ベルト23が第一方向に沿って直線的に移動している状態を例とする。この説明では、第二インクジェットヘッド41を形成する2個のヘッドユニット50のうち、第二方向の第一側に設けられた第二ヘッドユニット50Bを対象とする(図2参照)。説明の対象となる第二ヘッドユニット50Bにおけるノズル51を「第二ノズル51B」という(図2参照)。複数の第二ノズル51Bは、第二インクジェットヘッド41の複数のノズル51の一部である。更に、複数の第二ノズル51Bのうちの一部で、第二方向の第一側の領域に設けられる6個のノズル51を吐出補正処理の処理対象とする。吐出補正処理の処理対象である6個の第二ノズル51Bをそれぞれ、「調整ノズルE」、「調整ノズルF」、「調整ノズルG」、「調整ノズルH」、「調整ノズルI」及び「調整ノズルJ」という(図2参照)。
調整ノズルE,F,G,H,I,Jは、第二方向の第一側から第二側に向けて、調整ノズルE、調整ノズルF、調整ノズルG、調整ノズルH、調整ノズルI及び調整ノズルJの順で配列されている。即ち、調整ノズルEは、第二方向の第一側端に設けられた第二ノズル51Bである。調整ノズルF,G,H,I,Jは、何れも、調整ノズルEから第二方向の第二側に離間した第二ノズル51Bである。調整ノズルFは、調整ノズルEの第二方向の第二側で調整ノズルEと直接隣り合う第二ノズル51Bである。調整ノズルGは、調整ノズルFの第二方向の第二側で調整ノズルFと直接隣り合う第二ノズル51Bである。調整ノズルHは、調整ノズルGの第二方向の第二側で調整ノズルGと直接隣り合う第二ノズル51Bである。調整ノズルIは、調整ノズルHの第二方向の第二側で調整ノズルHと直接隣り合う第二ノズル51Bである。調整ノズルJは、調整ノズルIの第二方向の第二側で調整ノズルIと直接隣り合う第二ノズル51Bである。調整ノズルFは、調整ノズルEと調整ノズルGの間に配置される。調整ノズルGは、調整ノズルFと調整ノズルHの間に配置される。調整ノズルHは、調整ノズルGと調整ノズルIの間に配置される。調整ノズルIは、調整ノズルHと調整ノズルJの間に配置される。調整ノズルJは、調整ノズルEを除く吐出補正処理の処理対象である5個の第二ノズル51Bのうち、調整ノズルEから第二方向に最も離間して配置される。
調整ノズルE,F,G,H,I,Jは、第一インクジェットヘッド31の第一ヘッドユニット50Aにおける複数の第一ノズル51Aのうちの6個の第三ノズルに対して、第二方向に重複する(図2参照)。第一ヘッドユニット50Aは、第一インクジェットヘッド31において、第二方向の第一側に設けられるヘッドユニット50である。複数の第一ノズル51Aは、第一インクジェットヘッド31の複数のノズル51の一部で、第一ヘッドユニット50Aに形成されたノズル51である。6個の第三ノズルは、複数の第一ノズル51Aのうちの一部で、第二方向の第二側の領域に設けられる6個の第一ノズル51Aである。図2において、破線の枠Rは、6個の第三ノズルを明示する説明用の枠である。
CPU71は、第一記録部30と第二記録部40による画像の記録の開始に合わせて、吐出補正処理を開始させる。吐出補正処理を開始させたCPU71は、第一検出器61から出力される検出値D1の取得を開始し(S11)、第二検出器62から出力される検出値D2の取得を開始する(S13)。CPU71は、検出値D1と検出値D2をそれぞれ一定間隔で繰り返して取得する。第一検出器61は、検出値D1を、一定間隔で繰り返して出力する。第二検出器62は、検出値D2を、一定間隔で繰り返して出力する。一定間隔で繰り返して取得される検出値D1は、取得順に従った順序でRAM73に記憶される。一定間隔で繰り返して取得される検出値D2は、取得順に従った順序でRAM73に記憶される。例えば、検出値D1は、取得順に従った順序でRAM73の第一記憶領域に記憶され、検出値D2は、取得順に従った順序でRAM73の第二記憶領域に記憶される。続けて、CPU71は、変位量D3を取得する(S15)。変位量D3は、第一方向に第三間隔W3だけ移動した無端ベルト23の第二方向における変位量である。詳細には、変位量D3は、無端ベルト23が第一位置P1から第二位置P2へと第一方向に第三間隔W3だけ移動した場合における、無端ベルト23の第二方向の第一側の端部の位置の第二方向のずれ量である。変位量D3は、無端ベルト23が第二方向に蛇行又は斜行する量(蛇行量又は斜行量)に対応する。CPU71は、例えば、検出値D1が示す位置と検出値D2が示す位置の差を、変位量D3として取得する。
変位量D3の取得に用いられる検出値D1,D2に関し、処理対象となる検出値D1は、処理対象となる検出値D2が取得されたタイミングから所定時間前に取得された検出値である。換言すれば、変位量D3の取得に用いられる検出値D1,D2に関し、処理対象となる検出値D2は、処理対象となる検出値D1が取得されたタイミングから所定時間後に取得された検出値である。ここで、前述の所定時間は、記録媒体15が第三間隔W3を搬送されるのに要する時間である。即ち、この所定時間は、第三間隔W3を搬送部20における記録媒体15の搬送速度で除した値に対応する時間である。上述したように、検出値D1,D2は、一定間隔で繰り返して取得される。従って、S15での変位量D3の取得に際し、CPU71は、例えば、最新の検出値D2を処理対象として特定しつつ、前述の所定時間と前述の一定間隔に従い、処理対象となる検出値D2に対応する検出値D1を特定する。但し、CPU71は、RAM73に記憶された所定の検出値D1を処理対象として特定しつつ、前述の所定時間と前述の一定間隔に従い、処理対象となる検出値D1に対応する検出値D2を特定するようにしてもよい。S15で取得された変位量D3は、RAM73に記憶される。上述した例に基づく、実施形態では、無端ベルト23が第二方向の第一側から第二側へと斜めに移動した場合の変位量D3は、正の値とされる。
次に、CPU71は、変位量D3が「0」であるか否かを判断する(S17)。変位量D3「0」は、無端ベルト23が第一方向に沿って直線的に移動していることを示す。この場合、記録媒体15は、第一方向に沿って直線的に搬送される。変位量D3が「0」である場合(S17:Yes)、CPU71は、調整ノズルE,F,Gを不吐出に設定し、調整ノズルH,I,Jを吐出に設定する(S19)。これに伴い、調整ノズルHに対応するピエゾ素子と調整ノズルIに対応するピエゾ素子と調整ノズルJに対応するピエゾ素子に、駆動電圧が印加される。調整ノズルE,F,Gのそれぞれに対応する各ピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。インクが、調整ノズルH,I,Jからそれぞれ吐出される。インクは、調整ノズルE,F,Gからは吐出されない。
変位量D3が「0」でない場合(S17:No)、CPU71は、変位量D3が第一間隔W1より小さいか否かを判断する(S21)。第一間隔W1は、例えば、吐出補正処理のプログラムに登録されている。CPU71は、吐出補正処理のプログラムから第一間隔W1を読み出し、RAM73に記憶する。変位量D3が第一間隔W1より小さい場合(S21:Yes)、CPU71は、調整ノズルE,F,Gを不吐出に設定し、調整ノズルI,Jを吐出に設定する(S23)。これに伴い、調整ノズルIに対応するピエゾ素子と調整ノズルJに対応するピエゾ素子に駆動電圧が印加される。調整ノズルE,F,Gのそれぞれに対応する各ピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。インクが、調整ノズルI,Jから吐出される。インクは、調整ノズルE,F,Gからは吐出されない。続けて、CPU71は、サブルーチン処理を実行する(S25)。S25でのサブルーチン処理は、調整ノズルHを対象として実行される。インクの吐出の制御に関し、調整ノズルHは、S25のサブルーチン処理の結果に従った状態に設定される。サブルーチン処理については後述する。
変位量D3が第一間隔W1以上である場合(S21:No)、CPU71は、処理を図4のS27に移行する。S27でCPU71は、変位量D3が第一間隔W1の2倍より小さいか否かを判断する(S27)。変位量D3が第一間隔W1の2倍より小さい場合(S27:Yes)、CPU71は、調整ノズルE,F,G,Hを不吐出に設定し、調整ノズルJを吐出に設定する(S29)。これに伴い、調整ノズルJに対応するピエゾ素子に駆動電圧が印加される。調整ノズルE,F,G,Hのそれぞれに対応する各ピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。インクが、調整ノズルJから吐出される。インクは、調整ノズルE,F,G,Hからは吐出されない。続けて、CPU71は、サブルーチン処理を実行する(S31)。S31でのサブルーチン処理は、調整ノズルIを対象として実行される。インクの吐出の制御に関し、調整ノズルIは、S31のサブルーチン処理の結果に従った状態に設定される。サブルーチン処理については後述する。
変位量D3が第一間隔W1の2倍以上である場合(S27:No)、CPU71は、変位量D3が第一間隔W1の3倍より小さいか否かを判断する(S33)。変位量D3が第一間隔W1の3倍より小さい場合(S33:Yes)、CPU71は、調整ノズルE,F,G,H,Iを不吐出に設定する(S35)。これに伴い、調整ノズルE,F,G,H,Iのそれぞれに対応する各ピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。インクは、調整ノズルE,F,G,H,Iからは吐出されない。続けて、CPU71は、サブルーチン処理を実行する(S37)。S37でのサブルーチン処理は、調整ノズルJを対象として実行される。インクの吐出の制御に関し、調整ノズルJは、S37のサブルーチン処理の結果に従った状態に設定される。サブルーチン処理については後述する。
変位量D3が第一間隔W1の3倍以上である場合(S33:No)、CPU71は、調整ノズルE,F,G,H,I,Jを不吐出に設定する(S39)。これに伴い、調整ノズルE,F,G,H,I,Jのそれぞれに対応する各ピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。インクは、調整ノズルE,F,G,H,I,Jからは吐出されない。図3のS19若しくはS25又は図4のS31、S37若しくはS39を実行した後、CPU71は、処理を図3のS11に戻す。その後、CPU71は、S11以降の処理を繰り返して実行する。吐出補正処理は、画像の記録の終了に伴い終了する。
<サブルーチン処理>
図3のS25又は図4のS31若しくはS37で実行されるサブルーチン処理について、図5を参照して説明する。この説明も、図3及び図4に基づき上述した吐出補正処理の説明と同じ事項を前提とする。図3のS25で実行されるサブルーチン処理では、上述した通り、調整ノズルHが処理対象とされる。図4のS31で実行されるサブルーチン処理では、上述した通り、調整ノズルIが処理対象とされる。図4のS37で実行されるサブルーチン処理では、上述した通り、調整ノズルJが処理対象とされる。後述する補正値は、図3のS15で取得された変位量D3に一致する値に設定される(図3のS25又は図4のS31若しくはS37参照)。サブルーチン処理の説明では、調整ノズルH,I,Jのうち、処理対象とされた所定の調整ノズルを、「処理対象の調整ノズル」という。
サブルーチン処理を開始させたCPU71は、補正値が第一間隔W1の1/4以下であるか否かを判断する(S41)。補正値が第一間隔W1の1/4以下である場合(S41:Yes)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第一マスクデータを適用する(S43)。第一マスクデータは、例えば、上述した通り、「1101」のデータである。この場合、第一マスクデータ「1101」と記録対象の画像に対応する画像データから生成される記録データの論理積が「1」となる場合、処理対象の調整ノズルは吐出に設定される。前述した論理積が「0」となる場合、処理対象の調整ノズルは不吐出に設定される。第一マスクデータが「1101」で、4ドット分の記録データが「1111」であるとする。処理対象の調整ノズルでは、1ドット目と2ドット目は吐出に設定され、3ドット目は不吐出に設定され、4ドット目は吐出に設定される。吐出に設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、駆動電圧が印加される。不吐出に設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。
補正値が第一間隔W1の1/4より大きい場合(S41:No)、CPU71は、補正値が第一間隔W1の2/4以下であるか否かを判断する(S45)。補正値が第一間隔W1の2/4以下である場合(S45:Yes)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第二マスクデータを適用する(S47)。第二マスクデータは、例えば、上述した通り、「0101」のデータである。この場合、第二マスクデータ「0101」と記録対象の画像に対応する画像データから生成される記録データの論理積が「1」となる場合、処理対象の調整ノズルは吐出に設定される。前述した論理積が「0」となる場合、処理対象の調整ノズルは不吐出に設定される。第二マスクデータが「0101」で、4ドット分の記録データが「1111」であるとする。処理対象の調整ノズルでは、1ドット目は不吐出に設定され、2ドット目は吐出に設定され、3ドット目は不吐出に設定され、4ドット目は吐出に設定される。吐出に設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、駆動電圧が印加される。不吐出に設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。
補正値が第一間隔W1の2/4より大きい場合(S45:No)、CPU71は、補正値が第一間隔W1の3/4以下であるか否かを判断する(S49)。補正値が第一間隔W1の3/4以下である場合(S49:Yes)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第三マスクデータを適用する(S51)。第三マスクデータは、例えば、上述した通り、「0100」のデータである。この場合、第三マスクデータ「0100」と記録対象の画像に対応する画像データから生成される記録データの論理積が「1」となる場合、処理対象の調整ノズルは吐出に設定される。前述した論理積が「0」となる場合、処理対象の調整ノズルは不吐出に設定される。第三マスクデータが「0100」で、4ドット分の記録データが「1111」であるとする。処理対象の調整ノズルでは、1ドット目は不吐出に設定され、2ドット目は吐出に設定され、3ドット目と4ドット目は不吐出に設定される。吐出に設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、駆動電圧が印加される。不吐出に設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、駆動電圧は印加されない。
補正値が第一間隔W1の3/4より大きい場合(S49:No)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第四マスクデータを適用する(S53)。第四マスクデータは、例えば、上述した通り、「0000」のデータである。この場合、第四マスクデータ「0000」と記録対象の画像に対応する画像データから生成される記録データの論理積は、4ドット全てにおいて「0」となる。つまり、処理対象の調整ノズルは、4ドット連続して不吐出に設定される。従って、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、4ドット連続して駆動電圧は印加されない。S43、S47、S51又はS53を実行した後、CPU71は、サブルーチン処理を終了し、処理を吐出補正処理に戻す。処理対象の調整ノズルでは、駆動電圧が印加されたタイミングでインクが吐出され、駆動電圧が印加されない場合にはインクは吐出されない。
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)インクジェット記録装置10では、第二インクジェットヘッド41における所定の6個のノズル51が、第一インクジェットヘッド31における所定の6個のノズル51に対して、第二方向に重複した状態で設けられる(図2参照)。第二インクジェットヘッド41における所定の6個のノズル51は、例えば、図2に示す、調整ノズルE,F,G,H,I,Jである。この場合、第一インクジェットヘッド31における所定の6個のノズル51は、図2に示す枠Rに囲まれた6個の第三ノズルである。インクジェット記録装置10では、第一検出器61が第一方向の第一位置P1に設けられ、第二検出器62が第一方向の第二位置P2に設けられる(図1及び図2参照)。第二位置P2は、第一方向において第一位置P1より第三間隔W3だけ下流側の位置である。第一検出器61は、第一方向に移動する無端ベルト23の第二方向の第一側の端部の位置を検出する(図1参照)。第二検出器62は、第一方向に移動する無端ベルト23の第二方向の第一側の端部の位置を検出する(図1参照)。
そのため、図3及び図4に示す吐出補正処理で、第一検出器61からの検出値D1と第二検出器62からの検出値D2から、変位量D3を取得することができる(図3のS15参照)。変位量D3は、無端ベルト23の蛇行量又は斜行量に対応する。吐出補正処理と図5に示すサブルーチン処理では、調整ノズルE,F,G,H,I,Jのそれぞれに対して、吐出又は不吐出を設定することができる(図3のS19,S23、図4のS29,S35,S39及び図5のS43,S47,S51,S53参照)。調整ノズルE,F,G,H,I,Jのそれぞれでは、この設定に応じて、インクが吐出され、又はインクが不吐出とされる。第一記録部30と第二記録部40では、第二方向において、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の各ノズル51が重複する領域で、記録媒体15の記録面16に記録された画像に、色斑が発生することを抑制することができる。
(2)インクジェット記録装置10では、第一方向において、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の距離は、第二間隔W2に設定される(図2参照)。インクジェット記録装置10では、第一検出器61が設けられる第一方向の第一位置P1が、第一インクジェットヘッド31の複数のノズル51が第二方向に配列されている第一方向の位置に一致する位置に設定される(図2参照)。第三間隔W3は、第二間隔W2と同じ寸法に設定される(図2参照)。第二検出器62が設けられる第一方向の第二位置P2は、第二インクジェットヘッド41の複数のノズル51が第二方向に配列されている第一方向の位置に一致する位置に設定される(図2参照)。そのため、変位量D3を、第一方向を基準とした、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の各ノズル51同士の位置関係に対応する値とすることができる。即ち、図3及び図4に示す吐出補正処理のS15(図3参照)で、前述した位置関係に対応する変位量D3を、取得することができる。
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
(1)上記では、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41において、複数のノズル51から吐出されるインクは、同じ色とした。第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41において、複数のノズル51から吐出されるインクは、異なる色であってもよい。
(2)上記では、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41のそれぞれにおいて、第二方向における複数のノズル51の配列を1列とした。第一インクジェットヘッドと第二インクジェットヘッドでは、複数のノズルの配列は、複数列としてもよい。この場合、第二間隔は、第一インクジェットヘッドと第二インクジェットヘッドにおいて、対応する列をそれぞれ形成する各ノズルの中心間距離となる。例えば、第一インクジェットヘッドと第二インクジェットヘッドにおけるノズルの配列が各2列であるとする。この場合、第二間隔は、第一インクジェットヘッドで第一方向の上流側に配列されるノズルと、第二インクジェットヘッドで第一方向の上流側に配列されるノズルの中心間距離とされる。第一インクジェットヘッドで第一方向の下流側に配列されるノズルと、第二インクジェットヘッドで第一方向の下流側に配列されるノズルの中心間距離は、第一方向の上流側に配列される各ノズルの中心間距離と等しくされる。
複数のノズルの配列を複数列とする場合、第二方向を基準としたノズルが重複する領域も、第一方向における位置関係が同一となる、第一インクジェットヘッドと第二インクジェットヘッドの各ノズルを対象として設定される。
(3)上記では、第一検出器61と第二検出器62を、無端ベルト23に対して第二方向の第一側に設けることとした(図1参照)。第一検出器61と第二検出器62は、無端ベルト23の第二方向の第一側の端部の位置をそれぞれ検出する。第一検出器61と第二検出器62は、無端ベルト23に対して第二方向の第二側に設けるようにしてもよい。この場合、第一検出器61と第二検出器62は、無端ベルト23の第二方向の第二側の端部の位置をそれぞれ検出する。
第一検出器61が設けられる第一方向の第一位置P1を、第一インクジェットヘッド31の複数のノズル51が第二方向に配列されている第一方向の位置に一致する位置とした(図2参照)。第一位置は、これとは異なる位置としてもよい。例えば、第一インクジェットヘッド31を基準としない、第一方向の位置としてもよい。第一検出器61が設けられる第一位置は、諸条件を考慮して適宜設定される。第三間隔W3を第二間隔W2と同じ寸法に設定することとした。第三間隔は、第二間隔W2より短い寸法に設定するようにしてもよい。第一検出器61と第二検出器62の間の第三間隔は、諸条件を考慮して、「0<第三間隔≦第二間隔W2」の範囲に適宜設定される。
(4)上記では、図3及び図4に示す吐出補正処理のS21(図3参照)を、変位量D3が第一間隔W1より小さいか否かに従い判断することとした。S21は、変位量D3が第一間隔W1以上であるか否かに従い判断するようにしてもよい。この判断が否定される場合、CPU71は、処理をS23に移行し、S23とS25を順次実行する。一方、この判断が肯定される場合、CPU71は、処理を図4のS27に移行する。S27では、変位量D3が第一間隔W1の2倍より小さいか否かが、上記同様に判断される。但し、S27についても、判断が否定される場合の移行先がS29となり、判断が肯定される場合の移行先がS33となる判断条件とするようにしてもよい。S33についても、判断が否定される場合の移行先がS35となり、判断が肯定される場合の移行先がS39となる判断条件とするようにしてもよい。図3のS23とS25の実行順は、上記とは逆であってもよい。図4のS29とS31の実行順は、上記とは逆であってもよい。図4のS35とS37の実行順は、上記とは逆であってもよい。
(5)上記では、図5に示すサブルーチン処理のS41を、補正値が第一間隔W1の1/4以下であるか否かに従い判断することとした。S41は、補正値が第一間隔W1の1/4より大きいか否かに従い判断するようにしてもよい。この判断が否定される場合、CPU71は、処理をS43に移行し、S43を実行する。一方、この判断が肯定される場合、CPU71は、処理をS45に移行する。S45では、補正値が第一間隔W1の2/4以下であるか否かが、上記同様に判断される。但し、S45についても、判断が否定される場合の移行先がS47となり、判断が肯定される場合の移行先がS49となる判断条件とするようにしてもよい。このことは、S49についても同様である。
(6)上記では、図5に示すサブルーチン処理において、処理対象とされる調整ノズルH,I,Jに対して、第一マスクデータ、第二マスクデータ、第三マスクデータ及び第四マスクデータの何れかを適用することとした(図5のS43,S47,S51,S53参照)。即ち、図5に示すサブルーチン処理では、インクの吐出の制御に関し、処理対象とされる調整ノズルH,I,Jは、吐出又は不吐出に設定される。図3及び図4に示す吐出補正処理のS25(図3参照)、S31又はS37(図4参照)で実行されるサブルーチン処理は、図6に示すような処理としてもよい。
図6に示すサブルーチン処理では、処理対象とされた調整ノズルH,I,Jのうちの何れかに対して、基準吐出サイズより小さくされた吐出サイズが適宜設定される。基準吐出サイズは、吐出サイズの基準であって、例えば、吐出補正処理のS19(図3参照)で、吐出に設定される調整ノズルH,I,Jから吐出されるインクの吐出サイズである。吐出サイズは、例えば、1滴のインクの体積、又は記録媒体15の記録面16に着弾した1滴のインクによるインクドットの面積によって定義される。以下、図6に示すサブルーチン処理について、説明する。この説明でも、上記同様、調整ノズルH,I,Jのうち、処理対象とされた所定の調整ノズルを、「処理対象の調整ノズル」という。
サブルーチン処理を開始させたCPU71は、補正値が第一間隔W1の1/4以下であるか否かを判断する(S61)。補正値が第一間隔W1の1/4以下である場合(S61:Yes)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第一吐出サイズを設定する(S63)。第一吐出サイズは、例えば、基準吐出サイズに対して、3/4のサイズとされる(第一吐出サイズ=3/4×基準吐出サイズ)。吐出サイズが第一吐出サイズに設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、第一吐出サイズに対応する電圧値及び/又は印加時間の駆動電圧が印加される。第一吐出サイズに対応する量のインクが、処理対象の調整ノズルから吐出される。
補正値が第一間隔W1の1/4より大きい場合(S61:No)、CPU71は、補正値が第一間隔W1の2/4以下であるか否かを判断する(S65)。補正値が第一間隔W1の2/4以下である場合(S65:Yes)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第二吐出サイズを設定する(S67)。第二吐出サイズは、例えば、基準吐出サイズに対して、2/4のサイズとされる(第二吐出サイズ=2/4×基準吐出サイズ)。吐出サイズが第二吐出サイズに設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、第二吐出サイズに対応する電圧値及び/又は印加時間の駆動電圧が印加される。第二吐出サイズに対応する量のインクが、処理対象の調整ノズルから吐出される。
補正値が第一間隔W1の2/4より大きい場合(S65:No)、CPU71は、補正値が第一間隔W1の3/4以下であるか否かを判断する(S69)。補正値が第一間隔W1の3/4以下である場合(S69:Yes)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第三吐出サイズを設定する(S71)。第三吐出サイズは、例えば、基準吐出サイズに対して、1/4のサイズとされる(第三吐出サイズ=1/4×基準吐出サイズ)。吐出サイズが第三吐出サイズに設定された場合、処理対象の調整ノズルに対応するピエゾ素子には、第三吐出サイズに対応する電圧値及び/又は印加時間の駆動電圧が印加される。第三吐出サイズに対応する量のインクが、処理対象の調整ノズルから吐出される。
補正値が第一間隔W1の3/4より大きい場合(S69:No)、CPU71は、処理対象の調整ノズルに対して、第四吐出サイズを設定する(S73)。第四吐出サイズは、例えば、「0」とされる。換言すれば、S73でCPU71は、処理対象の調整ノズルを不吐出に設定する。インクは、処理対象の調整ノズルからは吐出されない。S63、S67、S71又はS73を実行した後、CPU71は、サブルーチン処理を終了し、処理を、図3及び図4に示す吐出補正処理に戻す。
第一吐出サイズ、第二吐出サイズ又は第三吐出サイズに対応する駆動電圧に関し、駆動電圧の電圧値及び/又は印加時間と、吐出サイズの関係は、次の通りである。即ち、印加時間を一定とした場合、電圧値を低下させることで、吐出サイズを小さくすることができる。電圧値を一定とした場合、印加時間を短くすることで、吐出サイズを小さくすることができる。基準吐出サイズの駆動電圧を基準とする。この場合、電圧値を低下させ、又は印加時間を短くすることで、インクの吐出サイズを、基準吐出サイズより小さくすることができる。電圧値を低下させ、且つ印加時間を短くした場合、インクの吐出サイズを、より小さくすることができる。インクの吐出サイズを小さくすることで、小さなインクドットとすることができる。小さなインクドットによって、第一記録部30と第二記録部40では、第二方向において、第一インクジェットヘッド31と第二インクジェットヘッド41の各ノズル51が重複する領域で、記録媒体15の記録面16に記録された画像に、色斑が発生することを抑制することができる。
第一吐出サイズを基準吐出サイズの3/4のサイズとし、第二吐出サイズを基準吐出サイズの2/4のサイズとし、第三吐出サイズを基準吐出サイズの1/4のサイズとした。第四吐出サイズを「0」(不吐出)とした。第一吐出サイズと第二吐出サイズと第三吐出サイズのそれぞれについて、基準吐出サイズに対する比率は、諸条件を考慮して適宜設定される。第四吐出サイズの吐出サイズは、諸条件を考慮して適宜設定される。第四サイズは、「0」より大きな吐出サイズとするようにしてもよい。但し、第一吐出サイズと第二吐出サイズと第三吐出サイズと第四吐出サイズでは、「第一吐出サイズ>第二吐出サイズ>第三吐出サイズ>第四吐出サイズ」の関係が満足される。
上記では、説明を省略したが、S61は図5のS41に対応し、S65は図5のS45に対応し、S69は図5のS49に対応する。従って、S61,S65,S69は、図5のS41,S45,S49に関連して上述したような判断条件に従い判断するようにしてもよい。吐出補正処理では、図3のS19又はS23で不吐出に設定される調整ノズルE,F,Gと、図4のS29で不吐出に設定される調整ノズルE,F,G,Hと、図4のS35で不吐出に設定される調整ノズルE,F,G,H,Iと、図4のS39で不吐出に設定される調整ノズルE,F,G,H,I,Jについて、次のような条件の下、吐出に設定されるようにしてもよい。即ち、前述した不吐出に設定される調整ノズルでは、吐出サイズとして、前述した各処理で吐出に設定される調整ノズルの吐出サイズ(基準吐出サイズ)より、小さな吐出サイズが、適宜設定される。例えば、吐出サイズとして、「0<吐出サイズ<第三吐出サイズ(図6のS71参照)」を満足する吐出サイズが設定される。
図6に示すサブルーチン処理が採用される場合、インクジェット記録装置10では、上述した第一マスクデータと第二マスクデータと第三マスクデータと第四マスクデータは、省略するようにしてもよい。この場合、第一マスクデータと第二マスクデータと第三マスクデータと第四マスクデータに対応するマスク回路76も省略するようにしてもよい。