以下、本発明の実施形態について図1ないし図12を参照しながら説明する。尚、各図における方向は、X1を左、X2を右、Y1を前、Y2を後、Z1を上、Z2を下とする。図1は、本発明の第1実施形態に係る回転入力装置の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る回転入力装置の構成を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る本体部の構成を示す分解斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る操作部材の構成を示す分解斜視図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係る磁石の構成を示す説明図である。図5(a)は、磁石30を上から見た場合の模式図であり、図5(b)は、磁石30を前からみた場合の模式図である。図5において、実線の矢印Rは回転操作に伴う磁石30の回転の向きを示している。図6は、本発明の第1実施形態に係る基板の構成を示す説明図である。図6(a)は、基板40を下から見た場合の模式図であり、図6(b)は、基板40を前からみた場合の模式図である。図7は、本発明の第1実施形態に係る磁性体の構成を示す説明図である。図7(a)は、磁性体61を上から見た場合の模式図であり、図7(b)は、磁性体61を前からみた場合の模式図である。図8は、本発明の第1実施形態に係る磁石と磁気センサと磁性体との位置関係を示す説明図である。図8(a)は、磁石30と磁気センサ51と磁性体61とを上から見た場合の位置関係を示す模式図であり、図8(b)は、磁石30と磁気センサ51と磁性体61とを前からみた場合の位置関係を示す模式図である。
図9は、本発明の第1実施形態に係る節度付与の方法に関連する説明図である。図9(a)は、初期位置における磁石30と磁性体61との状態を示している。図9(b)は、初期位置から磁石30がわずかに回転した時の磁石30と磁性体61との状態を示している。図9(c)は、図9(b)に示す状態から磁石30が更に回転した時の磁石30と磁性体61との状態を示している。図9(d)は、図9(c)に示す状態から磁石30が更に回転した時の磁石30と磁性体61との状態を示している。
尚、図9では、前から見た場合の磁石30と磁性体61との状態を示している。また、図9において、磁石30は上から見て時計方向に回転するものとする。また、図9において、実線の矢印Rは回転操作に伴う磁石30の回転の向きを示し、太い点線の矢印Fは磁石30と磁性体61との間の磁力によって磁石30の回転方向に働く力の向きを示し、細い点線の矢印Hは磁石30の下側に形成される磁界における磁力線の方向を示している。
図10は、本発明の第1実施形態に係る回転検出の方法に関連する説明図である。図10(a)は、磁気センサ51が第1着磁領域31との正対位置にある時の磁石30と磁気センサ51との状態を示している。図10(b)は、図10(a)に示す状態から磁石30がわずかに回転した時の磁石30と磁気センサ51との状態を示している。図10(c)は、図10(b)に示す状態から磁石30が更に回転した時の磁石30と磁気センサ51との状態を示している。図10(d)は、図10(c)に示す状態から磁石30が更に回転した時の磁石30と磁気センサ51との状態を示している。
尚、図10では、前から見た場合の磁石30と磁気センサ51との状態を示している。また、図10において、磁石30は上から見て時計方向に回転するものとする。また、図10において、実線の矢印Rは回転操作に伴う磁石30の回転の向きを示し、点線の矢印Hは磁石30の上側に形成される磁界における磁力線の方向を示している。
図11は、本発明の第1実施形態に係る回転検出と連動した節度付与の方法に関連する説明図である。図11(a)は、回転操作に伴って変化する磁石30の回転角度と、磁石30と磁性体61との間の磁力によって磁石30の回転方向に働く力との関係を示している。横軸は時計方向を正の値として表した磁石30の回転角度であり、縦軸は反時計方向を正の値として表した磁石30の回転方向に働く力の強さである。図11(b)は、回転操作に伴って変化する磁石30の回転角度と、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気との関係を示している。横軸は時計方向を正の値として表した磁石30の回転角度であり、縦軸は反時計方向を正の値として表した磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の強さである。図11(c)は、回転操作に伴って変化する磁石30の回転角度と、磁気センサ51の検出信号との関係を示している。横軸は時計方向を正の値として表した磁石30の回転角度であり、縦軸は検出信号の電圧である。
図12は、本発明の第2実施形態に係る磁石と磁気センサと磁性体との位置関係を示す説明図である。図12(a)は、磁石130と磁気センサ51と磁性体61とを上から見た場合の位置関係を示す模式図であり、図12(b)は、磁石130と磁気センサ51と磁性体61とを前からみた場合の位置関係を示す模式図である。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る回転入力装置の構成について、図1ないし図8を用いて説明する。本発明の第1実施形態に係る回転入力装置1は、車載ナビゲーション装置等の図示しない電子機器の入力操作用として使用される回転式の入力装置である。回転入力装置1は、図1及び図2に示すように、本体部10と、操作部材20と、磁石30と、基板40と、回転検出手段50と、節度付与手段60とを備えている。
本体部10は、図3に示すように、支持部材11と、ベアリング部材12と、配線部材13とを組み合わせて構成される。
支持部材11は、図3に示すように、筒状部11aと、ベアリング保持部11bと、磁性体保持部11cと、嵌合ピン部11dとを有している。筒状部11aは、上下方向に沿って延びる仮想線L1を中心軸とする略円筒状の部分である。ベアリング保持部11bは、ベアリング部材12を保持する部分であり、筒状部11aの上端部側の外周部に設けられている。磁性体保持部11cは、磁性体61を保持する部分であり、ベアリング保持部11bの上側に設けられている。嵌合ピン部11dは、筒状部11aの上端部から上方に延びる柱状の部分である。また、筒状部11aの下端部側には、筒状部11aの内壁で囲まれた空間と繋がる切欠部11eが設けられている。
ベアリング部材12は、図3に示すように、仮想線L1を中心軸とするリング状の部材であり、内周部12aと、外周部12bとを有している。内周部12aは、支持部材11のベアリング保持部11bに保持されている。外周部12bは、図示しないベアリングボール等を介して内周部12aと連結され、内周部12aに対して回転可能となっている。そして、外周部12bには、操作部材20が取り付けられるようになっている。
配線部材13は、図3に示すように、第1端部13aと第2端部13bとを有している。そして、配線部材13の第1端部13a寄りの部分が筒状部11aの内壁で囲まれた空間に収容されると共に、第1端部13aが筒状部11aの上側に露出し、第2端部13bが切欠部11eから外部に露出している。
操作部材20は、図示しない操作者からの入力操作を受け付けている。操作者からの入力操作は、仮想線L1を回転軸として、操作部材20を上から見て時計方向又は反時計方向に回転させる操作である。以下、操作部材20に対するこのような入力操作を回転操作と略称し、回転入力装置1の動作に関する説明では、操作部材20を上から見て時計方向に回転させる場合の動作に関して説明を行うものとする。
操作部材20は、図4に示すように、上部ケース21と、下部ケース22とを組み合わせて構成される。上部ケース21は、図4に示すように、仮想線L1を中心軸として上下方向に延びる円筒状の側壁部21aと、側壁部21aの上端部を覆う円板状の天板部21bとを有している。
下部ケース22は、図4に示すように、仮想線L1を中心軸として上下方向に延びる円筒状の上部側壁部22aと、上部側壁部22aの下端部から内側に延出するリング状の底板部22bと、仮想線L1を中心軸として底板部22bから下方に延びる円筒状の下部側壁部22cとを有している。底板部22bの内側には、磁石30を載置するための磁石載置部22dが設けられ、その内側には、上下方向に貫通する開口部22eが設けられている。
磁石30は、図4に示すように、仮想線L1を中心軸とするリング状の磁石である。磁石30は、下部ケース22の磁石載置部22dの上に載置されている。磁石30には、図5に示すように、N極に着磁された7個の第1着磁領域31と、S極に着磁された7個の第2着磁領域32とが設けられている。第1着磁領域31と第2着磁領域32とは、磁石30の周方向に沿って等間隔で配設され、しかも、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが交互に隣接するように配設されている。以下、互いに隣接する第1着磁領域31と第2着磁領域32との間の角度間隔を角度θとして説明を進める。このような磁石30は、ステンレスやネオジム等の強磁性体の金属を所定の形状に加工し、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが前述した配置となるように着磁することで得られる。
基板40は、図4に示すように、仮想線L1を中心軸とする円板状の配線基板であり、上面と下面とを有している。また、基板40は、図2に示すように、基板保持部材41に保持されている。
基板保持部材41は、図4に示すように、仮想線L1を中心軸として上下方向に延びる円筒状の側壁部41aと、側壁部41aの下端部から内側に延出するリング状の底板部41bとを有している。底板部41bの内側には、基板40を載置するための基板載置部41cが設けられている。また、基板載置部41cの内側には、支持部材11の嵌合ピン部11dと嵌合する被嵌合部41dと、上下方向に貫通する開口部41eとが設けられている。そして、基板40は、基板載置部41cの上に載置されている。
回転検出手段50は、操作部材20の回転を検出している。回転検出手段50は、図2に示すように、磁気センサ51を有して構成される。磁気センサ51は、ホール素子等の磁気の強さによって電気的特性が変化する素子を内蔵したセンサである。磁気センサ51は、図6及び図8に示すように、基板40の下面の所定の位置に実装されて、磁石30と近接するように磁石30の上側に配設されている。そして、磁気センサ51は、磁気の強さに対応した電気信号を検出信号として出力している。
尚、磁気センサ51が出力する検出信号は、回転入力装置1に要求される規格等に合わせて適宜変更して構わないが、本実施形態では、磁気センサ51が受ける所定の方向を向いた磁気の強さが閾値以上となったタイミングに合わせて所定の電圧の検出信号を出力するようになっている。
節度付与手段60は、操作部材20の回転に対する節度を付与している。節度を付与するとは、操作部材20を所定の回転位置に引き込んで保持したり、操作部材20の回転に伴ってクリック感触と呼ばれる操作感触を発生させたりすることを意味する。節度付与手段60は、図2に示すように、磁性体61を有して構成される。
磁性体61は、図7及び図8に示すように、仮想線L1を中心軸とし(磁石30と中心軸を共有し)、磁石30とほぼ同じ外径を有するリング状の磁性体である。磁性体61は、支持部材11の磁性体保持部11cに保持されて、磁石30と上下に対向するように磁石30の下側に配設されている。磁性体61の上端部側には、上方に突出する14個の凸部62が設けられている。凸部62は、磁性体61の周方向に沿って等間隔で配設されている。このような磁性体61は、ステンレス等の強磁性体の金属を所定の形状に加工することで得られる。回転入力装置1は、このような構成となっている。
次に、回転入力装置1の組み立て方法について説明する。まず、ベアリング12の内周部12aを支持部材11のベアリング保持部11bに、嵌合等の方法によって固定する。また、磁性体61を支持部材11の磁性体保持部11cの上に、接着材等を用いて固定する。そして、配線部材13を支持部材11に取り付けると共に、第1端部13aを筒状部11aの上側に露出させ、第2端部13bを切欠部11eから外部に露出させる。本体部10は、このようにして組み立てられる。
次に、磁石30を操作部材20の下部ケース22の磁石載置部22dの上に、接着材等を用いて固定する。また、磁気センサ51を基板40の所定の位置に実装すると共に、基板40を基板保持部材41の基板載置部41c上に、接着材等を用いて固定する。次に、下部ケース22の下部側壁部22cをベアリング部材12の外周部12bに、嵌合等の方法によって固定する。そして、基板保持部材41を下部ケース22の底板部22bの上に、下部ケース22に対して相対的に回転可能な状態で載置し、支持部材11の嵌合ピン部11dを基板保持部材41の被嵌合部41dと嵌合させる。基板保持部材41は、このようにして支持部材11側に固定される。
次に、上部ケース21の側壁部21aを下部ケース22の上部側壁部22aに、嵌合等の方法によって固定する。そして、上部ケース21が下部ケース22と共に、支持部材12に回転可能な状態で支持される。尚、支持部材11は、図示しない電子機器の筐体等に固定される。また、磁気センサ51は、図示しない配線電極やコネクタ等を介して配線部材13の第1端部13aと接続され、配線部材13の第2端部13bは、図示しない電子機器側の外部回路と接続される。回転入力装置1は、このようにして組み立てられる。
その結果、磁気センサ51が、磁石30と近接するように磁石30の上側に固定される。また、磁性体61が、磁石30と上下に対向するように磁石30の下側に固定される。そして、操作部材20に対する回転操作に伴って、磁石30が操作部材20と連動して回転するようになる。尚、磁石30の回転方向は仮想線L1を回転軸とした回転(自身の周方向に沿った回転)となり、磁石30の回転の向きは操作部材20の回転の向きと同じとなる。そして、磁石30の回転に伴って、磁石30の第1着磁領域31や第2着磁領域32と磁気センサ51との位置関係が変化し、磁石30の第1着磁領域31や第2着磁領域32と磁性体61の凸部62との位置関係が変化するようになる。
次に、操作部材20の回転に対する節度付与の方法について、図9を用いて説明する。尚、磁石30の回転位置に関連して、第1着磁領域31が凸部62のほぼ真上に位置していることを、第1着磁領域31が凸部62との正対位置にあると略称し、第2着磁領域32が凸部62のほぼ真上に位置していることを、第2着磁領域32が凸部62との正対位置にあると略称して説明を進める。そして、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが、それぞれ所定の凸部62と正対位置にある時の磁石30の回転位置を、磁石30の初期位置として説明を進める。
本実施形態のような構造の磁石30では、第1着磁領域31の下側では磁力線が下方に向かい、第2着磁領域32の下側では磁力線が上方に向かうように、磁石30の下側に磁界が形成される。また、磁石30の下側には磁性体61が固定され、磁性体61には磁石30側に突出する凸部62が設けられているので、磁石30の回転に伴って、第1着磁領域31や第2着磁領域32が磁性体61の凸部62と近接したり離反したりするようになる。
そのため、例えば、図9(a)に示すように、初期位置において、第1着磁領域31と、第1着磁領域31との正対位置にある凸部62とが近接し、第2着磁領域32と、第2着磁領域32との正対位置にある凸部62とが近接した場合には、第1着磁領域31から、第1着磁領域31との正対位置にある凸部62と、その凸部62と隣接する凸部62とを経由して、第1着磁領域31と隣接する第2着磁領域32に向かう磁路が形成される。そして、第1着磁領域31との正対位置にある凸部62がS極に磁化され、第2着磁領域32との正対位置にある凸部62がN極に磁化される。
その結果、第1着磁領域31は、第1着磁領域31との正対位置にある凸部62から下向きの磁気吸引力を受け、その両隣に配置された凸部62からほぼ同じ強さの磁気反発力を受けるようになる。また、第2着磁領域32は、第2着磁領域32との正対位置にある凸部62から下向きの磁気吸引力を受け、その両隣に配置された凸部62からほぼ同じ強さの磁気反発力を受けるようになる。そして、これらの磁気吸引力と磁気反発力とが共に磁石30をその場に留めるように働き、磁石30の位置が安定するようになる。
次に、図9(b)に示すように、回転操作に伴って磁石30が初期位置からわずかに回転し、第1着磁領域31や第2着磁領域32が凸部62との正対位置から遠ざかると、前述した磁気吸引力と磁気反発力とによって、第1着磁領域31や第2着磁領域32を凸部62との正対位置に引き戻そうとする方向に働く力、すなわち、回転操作に伴う磁石30の回転の向きとは反対の向きの力が働くようになる。そして、操作部材20の回転操作に必要な力は大きくなる。
次に、図9(c)に示すように、回転操作に伴って磁石30が更に回転し、第1着磁領域31や第2着磁領域32が、初期位置において正対位置にあった凸部62と隣接する次の凸部62(以下、次の凸部62と略称)に近付くと、今度は、第1着磁領域31や第2着磁領域32は、次の凸部62から磁気吸引力を受け、初期位置において正対位置にあった凸部62から磁気反発力を受けるようになる。その結果、第1着磁領域31や第2着磁領域32を次の凸部62との正対位置に引き込もうとする力、すなわち、回転操作に伴う磁石30の回転の向きと同じ向きの力が働くようになる。そして、操作部材20の回転操作に必要な力は小さくなる。
次に、図9(d)に示すように、回転操作に伴って磁石30が更に回転し、第1着磁領域31や第2着磁領域32が、次の凸部62との正対位置に来ると、再び磁石30の位置が安定するようになる。節度付与手段60は、磁石30の回転方向に働く力のこのような変化を利用して、操作部材20の回転操作に必要な力を変化させている。そして、節度付与手段60は、操作部材20の回転操作に必要な力を変化させることによって、操作部材20の回転に対する節度を付与し、操作部材20を所定の回転位置に引き込んで保持したり、操作部材20の回転に伴ってクリック感触と呼ばれる操作感触を発生させたりしている。
次に、操作部材20の回転検出の方法について、図10を用いて説明する。尚、磁石30の回転位置に関連して、磁気センサ51が第1着磁領域31のほぼ真上に位置していることを、磁気センサ51が第1着磁領域31との正対位置にあると略称し、磁気センサ51が第2着磁領域32のほぼ真上に位置していることを、磁気センサ51が第2着磁領域32との正対位置にあると略称して説明を進める。
本実施形態のような構造の磁石30では、第1着磁領域31の上側では磁気が上方に向かい、第2着磁領域32の上側では磁気が下方に向かうように、磁石30の上側に磁界が形成される。また、磁気センサ51は、磁石30と近接するように磁石30の上側に固定されているので、磁石30の回転に伴って、第1着磁領域31や第2着磁領域32が磁気センサ51と近接したり離反したりするようになる。
そして、磁気センサ51が第1着磁領域31の上側に来た時には、磁気センサ51が上向きの磁気を検出し、磁気センサ51が第2着磁領域32の上側に来た時には、磁気センサ51が下向きの磁気を検出するようになる。尚、上向きの磁気は、第1着磁領域31の中心付近に集中し、下向きの磁気は、第2着磁領域32の中心付近に集中している。
そのため、例えば、図10(a)に示すように、磁気センサ51が第1着磁領域31との正対位置に来た時に、磁気センサ51が検出する上向きの磁気の強さが最大となる。そして、図10(b)に示すように、回転操作に伴って磁石30がわずかに回転し、磁気センサ51が第1着磁領域31との正対位置から遠ざかると、磁気センサ51が検出する上向きの磁気の強さが小さくなる。
そして、図10(c)に示すように、回転操作に伴って磁石30が更に回転し、磁気センサ51が第2着磁領域32との正対位置に近付くと、今度は、磁気センサ51が下向きの磁気を検出するようになる。そして、図10(d)に示すように、回転操作に伴って磁石30が更に回転し、磁気センサ51が第2着磁領域32との正対位置に来た時に、磁気センサ51が検出する下向きの磁気の強さが最大となる。回転検出手段50は、磁気センサ51が磁石30から検出する磁気のこのような変化を利用して、操作部材20の回転を検出している。
次に、回転検出と連動した節度付与の方法について、図11を用いて説明する。尚、図11では、磁石30の回転方向に働く力が最大となる磁石30の回転角度を角度φ1及び角度φ3とし、磁石30の回転方向に働く力が最小となる磁石30の回転角度を角度φ2及び角度φ4として説明を進める。また、角度φ1及び角度φ2の間の回転角度において、磁気センサ51が受ける磁気の強さが所定の閾値Th未満から閾値Th以上に変化する磁石30の回転角度を角度φ5とし、磁気センサ51が受ける磁気の強さが閾値Th以上から閾値Th未満に変化する磁石30の回転角度を角度φ6として説明を進める。
本実施形態のような回転入力装置1では、入力操作における操作感触と電子機器の設定の切り替えとの一体感を出すために、節度付与手段60による節度付与が、回転検出手段50による回転検出と連動していることが望ましい。本実施形態では、節度付与が回転検出と連動しているとは、節度付与手段60によってクリック感触と呼ばれる操作感触が発生するタイミングに合わせて、磁気センサ51が検出信号を出力することを意味する。
このような回転検出と連動した節度付与は、磁石30の回転方向に働く力を、磁気センサ51が出力する検出信号の変化と同期して変化させることによって実現することができる。そして、磁石30の回転方向に働く力を、磁気センサ51が出力する検出信号の変化と同期して変化させるために、本実施形態では、磁性体61に設けられた凸部62の数を、磁石30の第1着磁領域31の2倍の数としている。すなわち、磁石30には、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが、それぞれ同じ数(7個)だけ磁石30の周方向に沿って等間隔で配設され、磁性体61には、第1着磁領域31の2倍の数(14個)の凸部62が、磁性体61の周方向に沿って等間隔で配設されている。
第1着磁領域31と第2着磁領域32と凸部62とをこのような配置とすることによって、互いに隣接する第1着磁領域31と第2着磁領域32との間の角度間隔と、互いに隣接する2つの凸部62の間の角度間隔とは共に角度θとなる。そして、回転操作に伴って磁石30が角度θだけ回転する度に、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが、それぞれ凸部62との正対位置に来るようになる。そのため、図11(a)に示すように、磁石30の回転方向に働く力の強さは、角度θを周期として変化する。
一方、回転操作に伴う磁石30の回転によって、磁石30と磁気センサ51との位置関係も変化する。そして、磁気センサ51が第1着磁領域31との正対位置にある状態から、磁石30が角度θだけ回転する度に、磁気センサ51が第2着磁領域32との正対位置に来たり、磁気センサ51が第1着磁領域31との正対位置に来たりするようになる。そして、磁石30の回転に伴う、このような磁気センサ51の状態の変化に対応して、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の強さが変化する。そのため、図11(b)に示すように、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の強さは、角度θの2倍の角度(以下、角度2θと略称)を周期として変化する。
その結果、磁石30の回転方向に働く力の強さと、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の強さとは、共に磁石30が角度2θだけ回転する度に同じ変化を繰り返すようになり、磁石30の回転に伴って、磁石30の回転方向に働く力を、磁気センサ51が出力する検出信号の変化と同期して変化させることができるようになる。そして、それによって、回転検出と連動した節度付与を行うことができるようになる。
尚、検出信号を出力するタイミングは、電子機器の規格等に合わせて適宜設定して構わないが、例えば、磁石30の回転方向に働く力の強さが最大又は最小となる磁石30の回転位置付近では、磁石30の回転に対する力の変化が小さくなる。そのため、このような回転位置において検出信号を出力させても、操作部材20の回転を操作者が実感し難くなる可能性が有る。
それに対して、本実施形態では、図11(b)に示すように、磁石30の回転角度が、磁石30の回転方向に働く力が最大となる磁石30の回転角度φ1と、磁石30の回転方向に働く力が最小となる磁石30の回転角度φ2との間の回転角度φ5となるタイミングで、磁気センサ51が磁石30から受ける上向きの磁気の強さが閾値Th未満から閾値Th以上に変化するように磁気センサ51が配設されている。そして、磁気センサ51が磁石30から受ける上向きの磁気の強さが閾値Th未満から閾値Th以上に変化したタイミング、すなわち、磁石30の回転方向に働く力の強さが最大又は最小となる磁石30の回転位置を避けた磁石30の回転位置において、磁気センサ51が所定の電圧V1の検出信号を出力するように磁気センサ51が設定されている。そして、それによって、操作部材20の回転を操作者が実感し易い磁石30の回転位置において、磁気センサ51が所定の検出信号を出力できるようになっている。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の回転入力装置1では、磁石30から磁気センサ51側(上側)に磁界を形成することができる。そして、磁石30の回転に伴って、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の強さを変化させることができる。そのため、回転検出手段50は、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の強さの変化に基づいて、操作部材20の回転を検出することができる。また、磁石30から磁性体61側(下側)に磁界を形成し、磁石30と磁性体61との間の磁力(磁気吸引力と磁気反発力と)によって、磁石30の回転方向に力を働かせることができる。そして、磁石30の回転に伴って、磁石30の回転方向に働く力の強さを変化させることができる。そのため、節度付与手段60は、磁石30の回転方向に働く力の強さの変化によって、操作部材20の回転に対する節度を付与することができる。その結果、回転を検出するための磁石と、節度を付与するための磁石とを、共に磁石30として共用することができ、使用される磁石の数が少なくても、操作部材20の回転検出と、操作部材20の回転に対する節度付与とを行うことができるようになる。
また、本実施形態の回転入力装置1では、磁石30には、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが、それぞれ同じ数(7個)だけ磁石30の周方向に沿って等間隔で配設され、磁性体61には、第1着磁領域31の整数倍(2倍)の数の凸部62が、磁性体61の周方向に沿って等間隔で配設されている。そのため、磁石30の回転に伴う、磁石30の回転方向に働く力の変化の周期と、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の変化の周期とを一致させることができるようになる。その結果、磁石30の回転方向に働く力の変化の周期と、磁気センサ51が出力する検出信号の変化の周期とを一致させることができるようになり、回転検出と連動した節度付与を行うことができるようになる。
尚、第1着磁領域31の整数倍の数の凸部62が磁性体61に配設されていれば、磁石30の回転方向に対する磁力の変化の周期と、磁気センサ51が出力する検出信号の変化の周期とを一致させることができるが、本実施形態の回転入力装置1では、磁性体61には、第1着磁領域31の2倍の数の凸部62、すなわち、第1着磁領域31と第2着磁領域32とを合わせた数と同じ数の凸部62が配設されている。そのため、第1着磁領域31と第2着磁領域32とに対して、それぞれ1対1で凸部62を近接させることができる。そのため、磁性体61の凸部62と磁石30の第1着磁領域31及び第2着磁領域32との間で形成される磁路を安定させ易くなる。その結果、回転検出と連動した節度付与を更に確実に行うことができるようになる。
また、本実施形態の回転入力装置1では、磁気センサ51は、磁石30の回転方向に働く力の強さが最大又は最小となる磁石30の回転位置を避けた磁石30の回転位置において、磁気センサ51が磁石30から受ける磁気の強さが所定の閾値Thとなるように配設されている。そのため、磁石30の回転方向に働く力の強さが最大又は最小となる磁石30の回転位置を避けた磁石30の回転位置、すなわち、操作部材20の回転を操作者が実感し易い磁石30の回転位置において、所定の検出信号を出力させることができるようになる。その結果、回転検出と連動した節度付与を更に確実に行うことができるようになる。
また、本実施形態の回転入力装置1では、磁気センサ51と磁性体61とは、磁石30を挟んで互いに上下に対向するように配置されている。そのため、磁石30から磁気センサ51側(上側)に形成された磁界と、磁石30から磁性体61側(下側)に形成された磁界との干渉を抑制することができる。その結果、操作部材20の回転検出と、操作部材20の回転に対する節度付与とをより容易に行うことができるようになる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る回転入力装置の構成について、図12を用いて説明する。尚、本実施形態において、前述した第1実施形態と同一の構成である場合、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態に係る回転入力装置101は、図12に示すように、第1実施形態に係る回転入力装置1の磁石30が磁石130に置き換わったものである。磁石130は、磁石30と同様に、仮想線L1を中心軸とするリング状の磁石であり、磁石130にも、N極に着磁された第1着磁領域31と、S極に着磁された第2着磁領域32とが設けらている。そして、磁石130の上方に磁気センサ51が配置され、磁石130の下方に磁性体61が配置されている。
但し、磁石130には、上端部側と下端部側とで磁極が異なるように、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが配置されている。すなわち、磁石130の上端部側には、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが、磁石30の周方向に沿って等間隔で配設され、しかも、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが交互に隣接するように配設されている。そして、磁石130の下端部側には、磁石130の上端部側の第1着磁領域31の下に第2着磁領域32が位置し、磁石130の上端部側の第2着磁領域32の下に第1着磁領域31が位置するように、第1着磁領域31と第2着磁領域32とが配設されている。
このような磁石130は、ステンレスやネオジム等の強磁性体の金属を所定の形状に加工し、所定の領域を上端部側と下端部側とのうちの一方がN極となり他方がS極となるように着磁し、且つ、着磁の向きが互いに反対向きとなる領域が磁石130の周方向に沿って交互に並ぶように配置することで実現できる。そして、磁石130をこのように上下方向に沿って着磁することによって、第1実施形態と比較して、磁石130の上側及び下側に磁界を発生させ易くすることができる。
尚、磁石130をこのような構成とした場合には、第1着磁領域31及び第2着磁領域32の位置が、上端部側と下端部側とで角度θだけずれて配置されることになるが、ずれに合わせて磁気センサ51の配置や検出信号が出力されるタイミングを適宜調整することによって、第1実施形態の回転入力装置1と同様の効果を得ることができるようになる。
しかも、前述したように、回転入力装置101では、第1実施形態と比較して、磁石130の上側及び下側に磁界を発生させ易くなるので、磁石130の上方に磁気センサ51を配置した場合に、磁気センサ51が磁石130からの磁気を検出し易くなり、磁石130の下方に磁性体61を配置した場合に、磁石130と磁性体61との間で磁力を発生させ易くなる。そのため、磁石130の上下方向に磁気センサ51と磁性体61とを配置した場合に更に好適となる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することができる。
例えば、本発明の実施形態において、所定の機能を実現できるのであれば、回転入力装置1の構成や各部材の材質や形状等を適宜変更しても構わない。例えば、回転入力装置1は、磁気センサ51を制御するための電子回路等を更に備えていても構わない。また、操作部材20は、一体の部材として形成されていても構わない。
また、本発明の実施形態において、磁気センサ51や磁性体61の配置を、適宜変更しても構わない。例えば、磁気センサ51を磁石30の外周方向に配置し、磁石30の外周部と磁性体61の内周部とが対向するように磁石30と磁性体61とを配置しても構わない。また、磁気センサ51を磁石30の内周方向に配置し、磁石30の内周部と磁性体61の外周部とが対向するように磁石30と磁性体61とを配置しても構わない。また、磁気センサ51と磁性体61とを、磁石30を挟んで互いに対向させなくても構わない。
また、本発明の実施形態において、第1着磁領域31や第2着磁領域32の数を、適宜変更しても構わない。また、第1着磁領域31と第2着磁領域32との間に、着磁されていない非着磁領域が配置されていても構わない。また、磁石30は、所定の方向に着磁された複数の磁石を組み合わせて形成されていても構わない。
また、本発明の実施形態において、磁気センサ51はホール素子以外の素子を用いた素子であっても構わない。例えば、磁気センサ51は、GMR素子を用いたセンサや電磁誘導方式のセンサ等であっても構わない。また、磁気センサ51は、磁石30から受ける磁気の強さに対応して変化するアナログの電気信号を検出信号として出力しても構わない。
また、本発明の実施形態において、凸部62の数は、前述した以外の数であっても構わない。例えば、磁性体61には、第1着磁領域31の数の4倍の数の凸部62が設けられていても構わない。そして、一部の凸部62の形状が他の凸部62の形状と異なっていても構わない。