JP2016136118A - 粒子ビーム照射装置および粒子ビーム照射システム - Google Patents
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【課題】所望の照射領域を低コストで形成する粒子ビーム照射装置および粒子ビーム照射システムを提供する。【解決手段】本実施形態による粒子ビーム照射装置は、複数の第1電磁石と、第2電磁石とを備える。複数の第1電磁石は、加速器から供給される粒子ビームを互いに異なる複数の走査方向に走査して標的における照射領域に照射する。第2電磁石は、複数の走査方向の少なくとも1つに対応する粒子ビームの偏向角度を変更可能である。【選択図】図1
Description
本発明による実施形態は、粒子ビーム照射装置および粒子ビーム照射システムに関する。
一般に、加速器から供給される粒子ビームを標的に照射する粒子ビーム照射装置においては、標的上に、照射点(以下、アイソセンターともいう)を含みビーム軸に直交する照射領域(以下、照射野ともいう)を形成する。照射野を形成するために、粒子ビーム照射装置は、照射野に到達する前のビーム軸上に、粒子ビームを走査する2つの二重極電磁石(以下、照射野形成電磁石ともいう)を備える。2つの照射野形成電磁石において、粒子ビームの走査方向は互いに異なる。
ところで、照射野形成電磁石からアイソセンターまでのビーム軸上の距離(以下、照射距離ともいう)は、加速された粒子ビームのエネルギーと、照射野形成電磁石の出力範囲(以下、最大偏向角ともいう)とによって決定されていた。また、最大偏向角は、照射野形成電磁石の電源の容量によって決定されていた。したがって、照射野のサイズすなわち面積は、粒子ビームのエネルギーと、照射野形成電磁石の電源の容量とによって制限されていた。
このため、例えば、照射野のサイズを維持しながら、照射距離を短縮して装置を小型化(コストダウン)しようとしても、照射野のサイズを維持するために最大偏向角を大きくしなければならなかった。最大偏向角を大きくすると、電源の容量の増大によるコストアップが生じ、小型化によるコストダウンとトレードオフとなるおそれがあった。また、例えば、照射距離を維持しながら照射野のサイズを大きくしようとする場合にも、最大偏向角を大きくしなければならないため、コストが増大するおそれがあった。
したがって、従来は、所望の照射領域を低コストで形成することが困難であった。
所望の照射領域を低コストで形成する粒子ビーム照射装置および粒子ビーム照射システムを提供する。
本実施形態による粒子ビーム照射装置は、複数の第1電磁石と、第2電磁石とを備える。複数の第1電磁石は、加速器から供給される粒子ビームを互いに異なる複数の走査方向に走査して標的における照射領域に照射する。第2電磁石は、複数の走査方向の少なくとも1つに対応する粒子ビームの偏向角度を変更可能である。
本発明によれば、所望の照射領域を低コストで形成することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態として、照射野のサイズを所望のサイズに維持しつつ装置を小型化する実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。粒子ビーム照射システム1は、大別して、加速器12と、粒子ビーム照射装置11とによって構成されている。粒子ビーム照射システム1は、例えば、粒子線治療装置として用いることができる。
先ず、第1の実施形態として、照射野のサイズを所望のサイズに維持しつつ装置を小型化する実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。粒子ビーム照射システム1は、大別して、加速器12と、粒子ビーム照射装置11とによって構成されている。粒子ビーム照射システム1は、例えば、粒子線治療装置として用いることができる。
加速器12は、粒子ビームBを加速し、加速された粒子ビームBを粒子ビーム照射装置11に供給する。本実施形態の粒子ビームBは、電荷を帯びた荷電粒子ビームであり、例えば、陽子や炭素イオンのビーム等であってもよい。また、加速器12は、例えば、シンクロトロン加速器等であってよい。
図1に示すように、粒子ビーム照射装置11は、加速器12側から順に、第1の照射野形成電磁石111と、第2の照射野形成電磁石112と、ステアリング電磁石113とを備える。第1の照射野形成電磁石111および第2の照射野形成電磁石112は、複数の第1電磁石の一例である。ステアリング電磁石113は、第2電磁石の一例である。照射野形成電磁石111、112は、照射電磁石ということもできる。ステアリング電磁石113は、二重極電磁石ということもでき、また、補正電磁石ということもできる。
第1の照射野形成電磁石111は、加速器12と標的(照射対象物)とを結ぶビーム軸BA上(光路上)に配置されている。標的は、例えば、患者の患部であってよい。第1の照射野形成電磁石111には、加速器12から供給された粒子ビームBが入射する。第1の照射野形成電磁石111は、入射した粒子ビームBを図1に示すx方向に走査して第2の照射野形成電磁石112側に出射する。
第1の照射野形成電磁石111で走査された粒子ビームBは、第2の照射野形成電磁石112およびステアリング電磁石113を経た後に、標的における照射野F1(照射領域)に照射される。照射野F1は、アイソセンターCを中心としたビーム軸BAに直交する領域である。第1の照射野形成電磁石111によるx方向の走査範囲は、照射野F1のx方向の幅に影響するため、第1の照射野形成電磁石111は、照射野F1を形成するということができる。
第1の照射野形成電磁石111は、例えば、y方向において対向する2つの磁極を備えていてよい。この場合、第1の照射野形成電磁石111は、両磁極間にy方向の磁場を印加することで、両磁極間にz方向から入射した粒子ビームBを、電磁力によってx方向に偏向させてよい。また、第1の照射野形成電磁石111は、不図示の交流電源に接続され、また、システム1全体を制御する不図示の制御装置によって制御されてよい。
第2の照射野形成電磁石112は、第1の照射野形成電磁石111とステアリング電磁石113との間のビーム軸BA上に配置されている。第2の照射野形成電磁石112には、第1の照射野形成電磁石111から出射された粒子ビームBが入射する。第2の照射野形成電磁石112は、入射した粒子ビームBを、第1の照射野形成電磁石111の走査方向と異なるy方向に走査してステアリング電磁石113側に出射する。
第2の照射野形成電磁石112で走査された粒子ビームBは、ステアリング電磁石113を経た後に照射野F1に照射される。第2の照射野形成電磁石112によるy方向の走査範囲は、照射野F1のy方向の幅に影響するため、第2の照射野形成電磁石112は、照射野F1を形成するということができる。すなわち、第2の照射野形成電磁石112は、第1の照射野形成電磁石111と協働して照射野F1を形成し、照射野F1に粒子ビームBを照射する。
第2の照射野形成電磁石112は、例えば、x方向において対向する2つの磁極を備えていてよい。この場合、第2の照射野形成電磁石112は、両磁極間にx方向の磁場を印加することで、両磁極間に入射した第1の照射野形成電磁石111からの粒子ビームBを、電磁力によってy方向に偏向させてよい。また、第2の照射野形成電磁石112は、不図示の交流電源に接続され、また、システム1全体を制御する制御装置によって制御されてよい。
なお、第1の照射野形成電磁石111の走査方向は、第2の照射野形成電磁石112の走査方向と異なるのであれば、x方向に限定されない。同様に、第2の照射野形成電磁石112の走査方向は、第1の照射野形成電磁石111の走査方向と異なるのであれば、y方向に限定されない。
ステアリング電磁石113は、第2の照射野形成電磁石112と標的との間のビーム軸BA上に配置されている。ステアリング電磁石113には、第2の照射野形成電磁石112から出射された粒子ビームBが入射する。ステアリング電磁石113は、x方向およびy方向の双方に対応する粒子ビームBの偏向角度を変更可能である。ステアリング電磁石113は、粒子ビームBの偏向角度を、x方向およびy方向の双方において変更可能ということもできる。なお、偏向角度は、ビーム軸BAを基準とした粒子ビームBの走査方向への傾斜角ということもできる。ステアリング電磁石113は、偏向角度を変更した後の粒子ビームBを、標的側に出射する。
なお、ステアリング電磁石113は、x方向およびy方向の双方に対応する偏向角度を変更可能であることに限定されず、x方向およびy方向のいずれか一方に対応する偏向角度を変更可能であってもよい。
したがって、図1のステアリング電磁石113は、x方向およびy方向の偏向角度を変更可能な1つのステアリング電磁石ということもできるし、x方向の偏向角度を変更可能なステアリング電磁石と、y方向の偏向角度を変更可能なステアリング電磁石との2つのステアリング電磁石ということもできる。図1のステアリング電磁石113を2つのステアリング電磁石という場合、ステアリング電磁石113は、複数の第2電磁石の一例である。
ステアリング電磁石113は、例えば、y方向において対向する2つの磁極と、x方向において対向する2つの磁極とを備えていてよい。この場合、ステアリング電磁石113は、y方向において対向する2つの磁極間にy方向の磁場を印加することで、粒子ビームBのx方向の偏向角度を変更させてよい。また、ステアリング電磁石113は、x方向において対向する2つの磁極間にx方向の磁場を印加することで、粒子ビームBのy方向の偏向角度を変更させてよい。また、ステアリング電磁石113は、不図示の交流電源に接続され、また、システム1全体を制御する制御装置によって制御されてよい。
また、第1の照射野形成電磁石111および第2の照射野形成電磁石112は、電源によって高速で励磁されるのに対して、ステアリング電磁石113は、電源によって低速で励磁されてよい。すなわち、ステアリング電磁石113は、照射野形成電磁石111、112による粒子ビームBの偏向角度を変更できるのであれば、励磁速度において照射野形成電磁石111、112に追従しなくてよい。高速励磁を要さないことで、ステアリング電磁石113の電源を低コストで製造できる。
次に、図1の粒子ビーム照射システム1の作用について説明する。
先ず、加速器12は、粒子ビームBを加速し、加速された粒子ビームBを第1の照射野形成電磁石111側に出射する。
次いで、第1の照射野形成電磁石111は、加速器12側から入射した粒子ビームBに磁場を印加することで、粒子ビームBをx方向に走査する。第1の照射野形成電磁石111は、走査した粒子ビームBを、第2の照射野形成電磁石112側に出射する。
次いで、第2の照射野形成電磁石112は、第1の照射野形成電磁石111側から入射した粒子ビームBに磁場を印加することで、粒子ビームBをy方向に走査する。第2の照射野形成電磁石112は、走査した粒子ビームBを、ステアリング電磁石113側に出射する。
次いで、ステアリング電磁石113は、第2の照射野形成電磁石112側から入射した粒子ビームBに磁場を印加することで、x方向、y方向に対応する粒子ビームBの偏向角度を変更する。例えば、ステアリング電磁石113は、第1の照射野形成電磁石111によってx方向に走査された粒子ビームBのx方向の偏向角度を、増加させることができる。また、ステアリング電磁石113は、第2の照射野形成電磁石112によってy方向に走査された粒子ビームBのy方向の偏向角度を、増加させることができる。ステアリング電磁石113は、偏向角度を変更した後の粒子ビームBを、標的側に出射する。
以上のようにして、加速器12から供給された粒子ビームBは、照射野形成電磁石111、112とステアリング電磁石113とを経ることで、x方向およびy方向に広がる矩形の照射野F1に照射される。
ここで、図1のB0_1は、ステアリング電磁石113を設けずに照射野形成電磁石111、112のみで照射野F1と同サイズの照射野F0を得る場合の粒子ビームである。もし、ステアリング電磁石113を設けずに、照射野F1と同サイズの照射野F0を得ようとする場合、図1に示すように、照射距離を距離Dだけ長くしなければならない。なぜならば、ステアリング電磁石113を設けない場合、照射距離を長くしなければ粒子ビームB0_1がx方向およびy方向に広がらないため、照射野F0を照射野F1と同サイズにすることができないからである。
これに対して、本実施形態では、ステアリング電磁石113によって走査範囲を拡大する(ビームを広げる)ことができるので、ステアリング電磁石113を設けない場合に比較して、同サイズの照射野を得るための照射距離を距離Dだけ短縮することができる。これにより、粒子ビーム照射装置11、粒子ビーム照射システム1およびこれらを収納する建屋を小型化できるので、コストを削減できる。したがって、本実施形態によれば、所望の照射野を低コストで形成できる。
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例として、図1の粒子ビーム照射システム1に対して電磁石の配置順を入れ替えた変形例について説明する。なお、本変形例の説明にあたって、図1と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図2は、第1の実施形態の変形例を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図2において、加速器12は省略されている(第2〜第4の実施形態も同様である)。
次に、第1の実施形態の変形例として、図1の粒子ビーム照射システム1に対して電磁石の配置順を入れ替えた変形例について説明する。なお、本変形例の説明にあたって、図1と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図2は、第1の実施形態の変形例を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図2において、加速器12は省略されている(第2〜第4の実施形態も同様である)。
図2に示すように、本変形例において、第1の照射野形成電磁石111および第2の照射野形成電磁石112は、ステアリング電磁石113と標的との間のビーム軸BA上に配置されている。すなわち、本変形例においては、ステアリング電磁石113が第1の照射野形成電磁石111より加速器12側に配置されている。
本変形例の粒子ビーム照射システム1において、加速器12から供給された粒子ビームBは、先ず、ステアリング電磁石113によって広げられる。そして、粒子ビームBは、第1の照射野形成電磁石111および第2の照射野形成電磁石112において順に走査された後に、照射野F1に照射される。本変形例においても、ステアリング電磁石113によって走査範囲を拡大できるので、ステアリング電磁石113を設けない場合に比較して、同サイズの照射野を得るための照射距離を距離Dだけ短縮することができる。したがって、本変形例においても、所望の照射野を低コストで形成できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、照射野形成電磁石の最大偏向角を拡大することなく照射野のサイズを拡大する実施形態について説明する。なお、第2の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図3は、第2の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。
次に、第2の実施形態として、照射野形成電磁石の最大偏向角を拡大することなく照射野のサイズを拡大する実施形態について説明する。なお、第2の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図3は、第2の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。
図3の粒子ビーム照射システム1(以下、図3の構成ともいう)は、図1の粒子ビーム照射システム1(以下、図1の構成ともいう)に対して、照射距離が距離D(図1参照)だけ拡大している点が異なる。
ステアリング電磁石113において広げられた粒子ビームBは、ステアリング電磁石113から出射された時点での偏向角を有したまま標的側に進行する。このため、粒子ビームBは、標的側に進行するほど、x、y方向への広がりが大きくなる。図3の構成は、図1の構成よりも照射距離が拡大しているので、粒子ビームBのx、y方向への広がりが大きくなる。
粒子ビームBのx、y方向への広がりが大きいことで、図3の構成では、図1の構成で得られる照射野F1よりもサイズが大きい照射野F2を得ることができる。
ここで、図3のB0_2は、ステアリング電磁石113を設けない場合の粒子ビームである。もし、ステアリング電磁石113を設けない場合、図3に示すように、所望のサイズの照射野F2よりも小さいサイズの照射野F0しか形成することができない。また、もし、ステアリング電磁石113を設けずにサイズが大きい照射野F2を得ようとする場合、第1の照射野形成電磁石111および第2の照射野形成電磁石112の電源のスペックを上げて最大偏向角を拡大する必要がある。この場合、電源の容量の増加にともなうコストの上昇を招いてしまう。
これに対して、本実施形態によれば、ステアリング電磁石113によって粒子ビームBを広げることができるので、照射野形成電磁石111、112の電源の容量を増加せずとも所望のサイズの照射野F2を形成することができる。したがって、本実施形態においても、所望の照射野を低コストで形成できる。
(第2の実施形態の変形例)
次に、第2の実施形態の変形例として、図3の粒子ビーム照射システム1に対して電磁石の配置順を入れ替えた変形例について説明する。なお、本変形例の説明にあたって、図3と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図4は、第2の実施形態の変形例を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。
次に、第2の実施形態の変形例として、図3の粒子ビーム照射システム1に対して電磁石の配置順を入れ替えた変形例について説明する。なお、本変形例の説明にあたって、図3と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図4は、第2の実施形態の変形例を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。
図4に示すように、本変形例の粒子ビーム照射システム1(以下、図4の構成ともいう)は、図3の構成に対して、ステアリング電磁石113が第1の照射野形成電磁石111より加速器12側に配置されている点のみが異なる。
図4の構成では、加速器12から供給された粒子ビームBが、ステアリング電磁石113によって広げられた後に、第1および第2の照射野形成電磁石111、112において走査されて、照射野F2に照射される。本変形例においても、図3の構成と同様に、照射野形成電磁石111、112の電源の容量を増加せずに大きいサイズの照射野F2を形成できる。したがって、本変形例においても、所望の照射野を低コストで形成できる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、照射野を所望のサイズに維持しながら照射野形成電磁石の最大偏向角を縮小する実施形態について説明する。なお、第3の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図5は、第3の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図6(A)は、図5の粒子ビーム照射システム1の模式的な平面図であり、図6(B)は、図5の粒子ビーム照射システム1の模式的な側面図である。
次に、第3の実施形態として、照射野を所望のサイズに維持しながら照射野形成電磁石の最大偏向角を縮小する実施形態について説明する。なお、第3の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図5は、第3の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図6(A)は、図5の粒子ビーム照射システム1の模式的な平面図であり、図6(B)は、図5の粒子ビーム照射システム1の模式的な側面図である。
図5、図6において、B0_3は、図5の粒子ビーム照射システム1と同サイズの照射野Fを、ステアリング電磁石113を設けず照射野形成電磁石111、112のみで形成する場合(以下、比較例ともいう)の粒子ビームである。これに対して、Bは、本実施形態の粒子ビーム照射システム1の粒子ビームBである。
図5、図6において、θx0は、第1の照射野形成電磁石111に基づく比較例の粒子ビームB0_3のx方向における最大偏向角である。これに対して、θx1は、第1の照射野形成電磁石111に基づく本実施形態の粒子ビームBのx方向における最大偏向角である。x方向における最大偏向角は、第1の照射野形成電磁石111の電源の容量に影響され、電源の容量が大きいほど大きい。
図5、図6において、θy0は、第2の照射野形成電磁石112に基づく比較例の粒子ビームB0_3のy方向における最大偏向角である。これに対して、θy1は、第2の照射野形成電磁石112に基づく本実施形態の粒子ビームBのy方向における最大偏向角である。y方向における最大偏向角は、第2の照射野形成電磁石112の電源の容量に影響され、電源の容量が大きいほど大きい。
図5、図6において、θSTxは、ステアリング電磁石113に基づく粒子ビームBのx方向の偏向角度である。また、θSTyは、ステアリング電磁石113に基づく粒子ビームBのy方向の偏向角度である。
図6において、αは、比較例の粒子ビームB0_3と、ステアリング電磁石113後の本実施形態の粒子ビームBとのなす角度である。αは、正値である。
図5に示すように、本実施形態の粒子ビームBは、ステアリング電磁石113に到達するまでは、比較例の粒子ビームB0_3に対して偏向角度が小さい。その後、ステアリング電磁石113に到達した本実施形態の粒子ビームBは、ステアリング電磁石113によって偏向角をx方向においてθSTx拡大される。同時に、粒子ビームBは、ステアリング電磁石113によって偏向角をy方向においてθSTy拡大される。偏向角度が拡大されることで、本実施形態の粒子ビームBは、最終的に比較例の粒子ビームB0_3と同サイズの照射野Fを形成できる。
ここで、θx0、θx1、θSTx、αの間には、次式が成立する。
θx0−θx1=θSTx−α (1)
θSTx>α (2)
よって、θx0、θx1は、次式の関係を有する。
θx1<θx0 (3)
すなわち、本実施形態によれば、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第1の照射野形成電磁石111の最大偏向角を縮小できる。最大偏向角を縮小できるので、第1の照射野形成電磁石111の電源として、比較例の場合よりも容量が小さい低コストの電源を用いることができる。
θx0−θx1=θSTx−α (1)
θSTx>α (2)
よって、θx0、θx1は、次式の関係を有する。
θx1<θx0 (3)
すなわち、本実施形態によれば、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第1の照射野形成電磁石111の最大偏向角を縮小できる。最大偏向角を縮小できるので、第1の照射野形成電磁石111の電源として、比較例の場合よりも容量が小さい低コストの電源を用いることができる。
また、θy0、θy1、θSTy、αの間には、次式が成立する。
θy0−θy1=θSTy−α (4)
θSTy>α (5)
よって、θy0、θy1は、次式の関係を有する。
θy1<θy0 (6)
すなわち、本実施形態によれば、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第2の照射野形成電磁石112の最大偏向角を縮小できる。最大偏向角を縮小できるので、第2の照射野形成電磁石112の電源として、比較例の場合よりも容量が小さい低コストの電源を用いることができる。
θy0−θy1=θSTy−α (4)
θSTy>α (5)
よって、θy0、θy1は、次式の関係を有する。
θy1<θy0 (6)
すなわち、本実施形態によれば、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第2の照射野形成電磁石112の最大偏向角を縮小できる。最大偏向角を縮小できるので、第2の照射野形成電磁石112の電源として、比較例の場合よりも容量が小さい低コストの電源を用いることができる。
したがって、本実施形態においても、所望の照射野を低コストで形成できる。
(第3の実施形態の変形例)
次に、第3の実施形態の変形例として、図5、図6の粒子ビーム照射システム1に対してステアリング電磁石113を最も加速器12側に並べ替えた変形例について説明する。図7は、第3の実施形態の変形例を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図8(A)は、図7の粒子ビーム照射システム1の模式的な平面図であり、図8(B)は、図7の粒子ビーム照射システム1の模式的な側面図である。
次に、第3の実施形態の変形例として、図5、図6の粒子ビーム照射システム1に対してステアリング電磁石113を最も加速器12側に並べ替えた変形例について説明する。図7は、第3の実施形態の変形例を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図8(A)は、図7の粒子ビーム照射システム1の模式的な平面図であり、図8(B)は、図7の粒子ビーム照射システム1の模式的な側面図である。
図8において、βは、比較例の粒子ビームB0_3と本実施形態の粒子ビームBとのなす角度である。βは、正値である。その他の図8中のパラメータの意義は、図5、図6中の同一記号のパラメータの意義と同様である。
図7に示すように、ステアリング電磁石113は、第1の照射野形成電磁石111よりも加速器12に配置されている。したがって、本実施形態の粒子ビームBは、第1の照射野形成電磁石111に到達した時点でx方向およびy方向に広がっている。一方、比較例の粒子ビームB0_3は、第1の照射野形成電磁石111に到達するまでは走査されない。このため、第1の照射野形成電磁石111の位置において、比較例の粒子ビームB0_3の広がりは、本実施形態の粒子ビームBよりも狭い。一方、比較例の粒子ビームB0_3は、本実施形態の粒子ビームBより最大偏向角が大きいことで、最終的に本実施形態の粒子ビームBと同サイズの照射野Fを形成できる。
ここで、θx0、θx1、θSTx、βの間には、次式が成立する。
θx0−θx1=β+θSTx (7)
β>0 (8)
θSTx>0 (9)
よって、θx0、θx1は、上記(3)式の関係(θx1<θx0)を有する。
すなわち、本変形例においても、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第1の照射野形成電磁石111の最大偏向角を縮小できる。
θx0−θx1=β+θSTx (7)
β>0 (8)
θSTx>0 (9)
よって、θx0、θx1は、上記(3)式の関係(θx1<θx0)を有する。
すなわち、本変形例においても、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第1の照射野形成電磁石111の最大偏向角を縮小できる。
また、θy0、θy1、θSTy、βの間には、(8)式に加え、次式が成立する。
θy0−θy1=β+θSTy (10)
θSTy>0 (11)
よって、θy0、θy1は、上記(6)式の関係(θy1<θy0)を有する。
すなわち、本変形例においても、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第2の照射野形成電磁石112の最大偏向角を縮小できる。
θy0−θy1=β+θSTy (10)
θSTy>0 (11)
よって、θy0、θy1は、上記(6)式の関係(θy1<θy0)を有する。
すなわち、本変形例においても、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第2の照射野形成電磁石112の最大偏向角を縮小できる。
したがって、本変形例においても、所望の照射野を低コストで形成できる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態として、複合電磁石を備えた粒子ビーム照射システムの実施形態について説明する。本実施形態は、複数の照射野形成電磁石の間の光路上にステアリング電磁石を配置する実施形態でもある。なお、第4の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図9は、第4の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図10(A)は、図9の粒子ビーム照射システム1の模式的な平面図であり、図10(B)は、図9の粒子ビーム照射システム1の模式的な側面図である。
次に、第4の実施形態として、複合電磁石を備えた粒子ビーム照射システムの実施形態について説明する。本実施形態は、複数の照射野形成電磁石の間の光路上にステアリング電磁石を配置する実施形態でもある。なお、第4の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図9は、第4の実施形態を示す粒子ビーム照射システム1の斜視図である。図10(A)は、図9の粒子ビーム照射システム1の模式的な平面図であり、図10(B)は、図9の粒子ビーム照射システム1の模式的な側面図である。
図4に示すように、本実施形態の粒子ビーム照射システム1は、加速器12側から順に、第1の照射野形成電磁石111と、ステアリング電磁石113と、第2の照射野形成電磁石112とを備える。ただし、第1の照射野形成電磁石111とステアリング電磁石113とは、一体の複合電磁石114を構成する。ここで、一体とは、第1の照射野形成電磁石111とステアリング電磁石113とが単一の電磁石114として作られている(すなわち、構造的に一体である)ことをいう。複合電磁石114の態様において、ステアリング電磁石113は、y方向の偏向角度を拡大する機能を備えている。
図9、図10において、B0_4は、図9の粒子ビーム照射システム1と同サイズの照射野Fを、ステアリング電磁石113を設けず照射野形成電磁石111、112のみで形成する場合(以下、比較例ともいう)の粒子ビームである。これに対して、Bは、本実施形態の粒子ビーム照射システム1の粒子ビームBである。
図10(B)において、θy2は、複合電磁石114に基づく本実施形態の粒子ビームBのy方向における偏向角度である。その他の図中のパラメータの意義は、図5、図6中の同一記号のパラメータの意義と同様である。
ここで、θy0、θy1、θy2、βの間には、(8)式に加え、次式が成立する。
θy0−θy1=β+θy2 (12)
θy2>0 (13)
よって、θy0、θy1は、上記(6)式の関係(θy1<θy0)を有する。
すなわち、本変形例においては、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第2の照射野形成電磁石112の最大偏向角を縮小できる。また、第1の照射野形成電磁石111とステアリング電磁石113とを複合電磁石114に統一することで、更なる小型化、部品点数の削減および組み立て容易性の向上が可能となる。
θy0−θy1=β+θy2 (12)
θy2>0 (13)
よって、θy0、θy1は、上記(6)式の関係(θy1<θy0)を有する。
すなわち、本変形例においては、照射野Fのサイズを維持しながら比較例に比べて第2の照射野形成電磁石112の最大偏向角を縮小できる。また、第1の照射野形成電磁石111とステアリング電磁石113とを複合電磁石114に統一することで、更なる小型化、部品点数の削減および組み立て容易性の向上が可能となる。
したがって、本実施形態においても、所望の照射野を低コストで形成できる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態として、照射野を分割する実施形態について説明する。なお、第5の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図11は、第5の実施形態を示す照射野の図である。
次に、第5の実施形態として、照射野を分割する実施形態について説明する。なお、第5の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図11は、第5の実施形態を示す照射野の図である。
本実施形態において、第1の照射野形成電磁石111および第2の照射野形成電磁石112は、照射野Fを分割した複数の分割領域F_1〜F_4(第1〜第4象限)毎に、粒子ビームBを個別に走査する。本実施形態によれば、例えば、分割領域F_1〜F_4を分割する分割点DP付近に粒子ビームBを照射すべきでない箇所がある場合に、その箇所を避けた走査が可能である。本実施形態は、第1〜第4の実施形態の粒子ビーム照射システム1のいずれと組み合わせてもよい。
また、照射野形成電磁石111、112とステアリング電磁石113との個数および配置順は、上記の各実施形態に限定されない。例えば、複数のステアリング電磁石113の少なくとも1つを、第1の照射野形成電磁石111および第2の照射野形成電磁石112の少なくとも1つに対する加速器12側または標的側の光路BA上に配置してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 粒子ビーム照射システム
11 粒子ビーム照射装置11
12 加速器
111 第1の照射野形成電磁石
112 第2の照射野形成電磁石
113 ステアリング電磁石
11 粒子ビーム照射装置11
12 加速器
111 第1の照射野形成電磁石
112 第2の照射野形成電磁石
113 ステアリング電磁石
Claims (8)
- 加速器から供給される粒子ビームを互いに異なる複数の走査方向に走査して標的における照射領域に照射する複数の第1電磁石と、
前記複数の走査方向の少なくとも1つに対応する前記粒子ビームの偏向角度を変更可能な第2電磁石と、を備える粒子ビーム照射装置。 - 前記第2電磁石は、前記第1電磁石と前記標的との間の光路上に配置されている、請求項1に記載の粒子ビーム照射装置。
- 前記第1電磁石は、前記第2電磁石と前記標的との間の光路上に配置されている、請求項1に記載の粒子ビーム照射装置。
- 前記第2電磁石は、前記複数の第1電磁石同士の間の光路上に配置されている、請求項1に記載の粒子ビーム照射装置。
- 前記第2電磁石を複数備え、
前記複数の第2電磁石の少なくとも1つは、前記複数の第1電磁石の少なくとも1つに対する前記加速器側または前記標的側の光路上に配置されている、請求項1に記載の粒子ビーム照射装置。 - 前記複数の第1電磁石の少なくとも1つと前記第2電磁石とは、一体の複合電磁石を構成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒子ビーム照射装置。
- 前記第1電磁石は、前記照射領域を分割した複数の分割領域に対して、前記粒子ビームを個別に走査する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子ビーム照射装置。
- 粒子ビーム照射装置と、
粒子ビームを加速し、加速された前記粒子ビームを前記粒子ビーム照射装置に供給する加速器と、を備え、
前記粒子ビーム照射装置は、
前記粒子ビームを互いに異なる複数の走査方向に走査して標的における照射領域に照射する複数の第1電磁石と、
前記複数の走査方向の少なくとも1つに対応する前記粒子ビームの偏向角度を変更可能な第2電磁石と、を備える粒子ビーム照射システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015011497A JP2016136118A (ja) | 2015-01-23 | 2015-01-23 | 粒子ビーム照射装置および粒子ビーム照射システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015011497A JP2016136118A (ja) | 2015-01-23 | 2015-01-23 | 粒子ビーム照射装置および粒子ビーム照射システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016136118A true JP2016136118A (ja) | 2016-07-28 |
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ID=56512931
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015011497A Pending JP2016136118A (ja) | 2015-01-23 | 2015-01-23 | 粒子ビーム照射装置および粒子ビーム照射システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016136118A (ja) |
-
2015
- 2015-01-23 JP JP2015011497A patent/JP2016136118A/ja active Pending
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