JP2016135746A - 新規トリペプチド及びそれを含有する医薬 - Google Patents

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Ryota Tanaka
亮太 田中
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Abstract

【課題】酸化ストレス及び/又はアポトーシスに起因する疾患の予防又は治療剤の提供。【解決手段】グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩、及びこれを含有する医薬。【選択図】なし

Description

本発明は、新規トリペプチド及びそれを含有する医薬に関する。
近年、加齢に伴いヒトの体内で起こる変化、あるいは癌、心疾患、脳卒中に代表される多くの疾患の発症過程で、酸化ストレス、アポトーシスが重要な役割を担っていることが明らかになってきている。例えば脳梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー病などはアポトーシス、酸化ストレスが細胞障害に関与している。
活性酸素種の発生によって生じる酸化ストレスは、神経変性疾患や代謝性疾患、がんなどヒトのさまざまな疾患の病態に関与する。重度の酸化ストレスは細胞を死に至らしめる。生体内での活性酸素種の過剰な産生は、生体を構成するタンパク質や核酸、脂質などに傷害を与え、その機能不全を引き起こす。生物は活性酸素種を適切に解毒するさまざまな防御機構を備えているが、それでも処理しきれない重篤な酸化ストレスが生じた場合、細胞死が誘導される。このような細胞死は、脳梗塞、心筋梗塞、神経変性疾患や代謝性疾患、がんなどヒトのさまざまな疾患の病態に関与する。
アポトーシスとは、生命体を健全に維持するために、生命体の維持には必要なくなった細胞(寿命を迎えたり、傷害を受けたりしてきちんと機能しなくなった細胞)に自ら消滅してもらうという、細胞自身にあらかじめ備わった現象である。アポトーシスが正常に働かなくなると、結果として生命体は病気になるケースが多くなる。例えばアルツハイマー病ではアポトーシスが起きやすくなっていることが発症の一つの原因となっている。アポトーシスは神経変性疾患や代謝性疾患、アレルギ―性疾患、がんなどヒトのさまざまな疾患の病態に関与する。
前記の疾患のうち、脳梗塞急性期の神経症状や機能障害を改善するための脳保護剤としてフリーラジカルスカベンジャーであるエダラボンが知られているが、エダラボンは肝機能障害や腎機能障害という重篤な副作用を生じることが問題とされている。また、L−アラニル−L−ヒスチジン又はグリシル−L−ヒスチジンが脳虚血障害治療剤として有用であることも報告されている(特許文献1)。
国際公開第2009/081991号
しかしながら、本発明者の検討によれば、L−アラニル−L−ヒスチジン等のジペプチドの抗酸化ストレス作用やアポトーシス抑制作用は十分でないことが判明した。
従って、本発明の課題は、さらに優れた抗酸化ストレス作用又はアポトーシス抑制作用を有し、細胞保護作用に優れた新たな化合物及びそれを含有する医薬を提供することにある。
そこで本発明者は、種々の化合物を合成し、その抗酸化ストレス作用及びアポトーシス抑制作用を検討してきたところ、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩が、L−アラニル−L−ヒスチジン等のジペプチドに比べて格別顕著な抗酸化ストレス作用、アポトーシス抑制作用を有し、かつ脳虚血障害に対する抑制作用も有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
〔1〕グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩。
〔2〕グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩を含有する医薬。
〔3〕酸化ストレス又はアポトーシスに起因する疾患の予防又は治療剤である〔2〕記載の医薬。
〔4〕細胞保護剤又は脳虚血障害治療剤である〔2〕又は〔3〕記載の医薬。
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩は、酸化ストレスによる細胞死及びアポトーシスを強く抑制し、かつ脳虚血障害を抑制することから、酸化ストレス及び/又はアポトーシスに起因する種々の疾患の予防治療剤、特に細胞保護剤及び/又は脳虚血障害治療剤として有用である。酸化ストレス及び/又はアポトーシスに起因する疾患としては、例えば脳梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー病、心筋梗塞、神経変性疾患、代謝性疾患、がんなどが挙げられる。
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの過酸化水素による細胞死抑制効果を示す。 グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの過酸化水素による細胞死抑制効果を示す。 グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンのスタウロスポリンによる細胞死抑制効果を示す。 グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンのアクチノマイシンDによる細胞死抑制効果を示す。 グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの過酸化水素による細胞死抑制効果を示す。 グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンによる脳梗塞領域低減効果を示す。 グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンによる脳梗塞領域低減効果を示す。
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン(配列番号1)は、トリペプチドであるが、実際に合成したことを示す文献は存在しないため、新規化合物である。
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の他、塩酸塩、硝酸塩等の酸付加塩が挙げられる。
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンは、例えば、固相法でも液相法でも合成することができる。固相合成法では、例えば、アミノ基で修飾したポリスチレン高分子ゲルのビーズなどを固相として用い、N−保護ヒスチジンを結合させ、次いで保護基を脱離させ、次にN−保護アラニンを結合させ、次いで保護基を離脱させ、次にN−保護グリシンを反応させ、次いで保護基を脱離させ、固相からトリペプチドを離脱させる。N−保護基としては、Fmoc基、Boc基等が使用でき、縮合反応には1−ヒドロキシベンゾトリアゾールやジシクロヘキシルカルボジイミド等が使用できる。また、Boc基の脱離にはトリフルオロ酢酸等が用いられる。
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩は、後記実施例に示すように、酸化ストレスによる細胞死及び/又はアポトーシスを顕著に抑制する作用を有し、その抑制効果はグリシル−L−ヒスチジンよりも強力である。また、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンは、酸化ストレスによる脳梗塞モデルであるマウス中大脳動脈閉塞/再灌流モデルによる脳梗塞領域を顕著に減少し、脳機能障害を防止した。
従って、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩は、酸化ストレス及び/又はアポトーシスに起因する種々の疾患の予防又は治療用の医薬、例えば細胞保護剤、脳虚血障害治療剤として有用である。
細胞保護剤及び/又は脳虚血障害治療剤としては、脳梗塞、心筋梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー病、神経変性疾患、代謝性疾患等の予防治療剤が挙げられる。
ここで、脳梗塞は、脳血管が閉塞又は狭窄することにより、脳虚血を来たし、脳組織が壊死した状態をいう。脳梗塞の原因は、主に血栓性、塞栓性及び血行力学性に分けられ、具体的にはアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他に分けられる。いずれの場合も、閉塞又は狭窄した脳血管の下流の細胞が壊死するため、麻痺、言語障害、失明、めまい、失調、意識障害、高次脳機能障害を生じ、死に至ることも多い。脳梗塞においては、脳虚血状態から脱したときにフリーラジカルが発生し、それが周辺の脳組織のさらなる障害を引き起こすことにより、脳虚血障害がさらに進行することが知られている。従って、酸化ストレス及び/又はアポトーシスを抑制する本発明の医薬は、脳梗塞の進展防止、症状改善に有効である。
本発明の医薬は、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有する各種の剤形の医薬組成物とすることができる。当該剤形としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、粉末剤、カプセル剤、液剤等の経口投与用製剤、静脈投与用製剤等の注射剤、経皮投与用製剤、経直腸投与用製剤等が挙げられる。
これらの医薬組成物の形態とするには、薬学的に許容される担体とともに製剤化することができる。そのような担体としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール、澱粉、結晶セルロース、炭酸カルシウム、カオリン、デンプン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、エタノール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム塩、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アセチルセルロース、白糖、酸化チタン、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、アラビアゴム、トラガント、メチルセルロース、卵黄、界面活性剤、白糖、単シロップ、クエン酸、蒸留水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、リン酸−水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、ブドウ糖、塩化ナトリウム、フェノール、チメロサール、パラオキシ安息香酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム等があり、製剤の形に応じて、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩と混合して使用される。
さらに、本発明の医薬組成物中における本発明の有効成分の含有量は、製剤の形によって大きく変動し、特に限定されるものではないが、通常は、組成物全量に対して0.01〜100質量%、好ましくは1〜100質量%である。
本発明の医薬の投与量は、投与する患者の症状、年齢、投与方法によって異なるが、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩として、成人に対して1日あたり10〜2000mgであるのが好ましい。またこの投与量は1日に1〜4回に分けて投与することもできる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
合成例1
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの合成(固相ペプチド合成法)
9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)でアミノ基を保護したL−ヒスチジンをWang resinに結合させ、Fmocでアミノ基を保護したL−アラニン及びグリシンを順次反応、及び脱保護反応を行い、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを得た。
実施例1:過酸化水素による酸化ストレス誘導PC12細胞死に対するグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの保護効果LDH活性測定による細胞死測定
過酸化水素は一般的に良く使用される酸化ストレス誘導物質である。PC12細胞を、10%容積FBSを加えたD−MEM培地で希釈して、ポリリジンコートした48ウエルプレートに、2×10個/mLで播種して24時間培養した。その後、過酸化水素水(和光純薬工業株式会社販売)を終濃度5000mM濃度になるよう投与さらに10容積%FBS D−MEM培地で希釈したとグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを、終濃度0.0034mol/Lを同時に添加して、インキュベーター内で1時間培養後、培養液中のLDH活性を測定した。対照として過酸化水素及びグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった以外は同様に培養を行った。グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった対照のLDH活性(吸光度)を100(%)とした時の相対値を求めて各ウエルの細胞の死細胞率(%)として図1に併せて示す。その結果、過酸化水素による培養神経細胞の障害は、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンにより有意に改善した(図1:P<0.0001)。さらにはグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンは、L−アラニル−L−ヒスチジンより有意に(図2:P<0.0001)細胞死を抑制した。
以上より、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンが酸化ストレス誘導神経細胞死に対して保護作用を有することが示された。
実施例2:過酸化水素による酸化ストレス誘導PC12細胞死に対するグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの保護効果LIVE/DEADTM Cell Viability Kitによる解析
PC12細胞を、10%容積FBSを加えたD−MEM培地で希釈して、ポリリジンコートした8ウエルスライドチャンバーに、2×10個/mLで播種して24時間培養した。その後、過酸化水素水(和光純薬工業株式会社販売)を終濃度5000mM濃度になるよう投与さらに10容積%FBS D−MEM培地で希釈したとグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを、終濃度0.0034mol/Lを同時に添加して、インキュベーター内で4時間培養後、LIVE/DEADTM Cell Viability Kit (life technology販売)にて死細胞数を計測した。対照として過酸化水素及びグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった以外は同様に培養を行った。100細胞あたりの死細胞数を図2に示す。その結果、過酸化水素による培養神経細胞の障害は、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンにより有意に改善した(図2:P<0.0001)。さらにはグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンは、L−アラニル−L−ヒスチジンより有意に(図1:P<0.0001)細胞死を抑制した。
以上より、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンが酸化ストレス誘導神経細胞死に対して保護作用を有することがさらに示された。
実施例3:スタウロスポリンによるPC12細胞死に対するグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの保護効果LDH活性測定による細胞死測定
スタウロスポリンは一般的に良く使用されるアポトーシス誘導物質である。
PC12細胞を、10%容積FBSを加えたD−MEM培地で希釈して、ポリリジンコートした48ウエルプレートに、2×10個/mLで播種して24時間培養した。その後、スタウロスポリン(和光純薬工業株式会社販売)を終濃度10μM濃度になるよう投与さらに10容積%FBS D−MEM培地で希釈したとグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを、終濃度0.0034mol/Lを同時に添加して、インキュベーター内で1時間培養後、培養液中のLDH活性を測定した。対照として過酸化水素及びグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった以外は同様に培養を行った。グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった対照のLDH活性(吸光度)を100(%)とした時の相対値を求めて各ウエルの細胞の死細胞率(%)として表1に併せて示す。その結果、過酸化水素による培養神経細胞の障害は、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンにより有意に改善した(図3:P<0.0001)。さらにはグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンは、L−アラニル−L−ヒスチジンより有意に(図1:P<0.0001)細胞死を抑制した。
以上より、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンがアポトーシスを抑制し細胞死を抑制することが示された。
実施例4:アクチノマイシンDによるPC12細胞死に対するグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの保護効果LDH活性測定による細胞死測定
アクチノマイシンは一般的に良く使用されるアポトーシス誘導物質である。
PC12細胞を、10%容積FBSを加えたD−MEM培地で希釈して、ポリリジンコートした48ウエルプレートに、2×10個/mLで播種して24時間培養した。その後、アクチノマイシンD(和光純薬工業株式会社販売)を終濃度500μg/mL濃度になるよう投与さらに10%容積FBS D−MEM培地で希釈したとグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを、終濃度0.0034mol/Lを同時に添加して、インキュベーター内で12時間培養後、培養液中のLDH活性を測定した。対照として過酸化水素及びグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった以外は同様に培養を行った。グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった対照のLDH活性(吸光度)を100(%)とした時の相対値を求めて各ウエルの細胞の死細胞率(%)として表1に併せて示す。その結果、過酸化水素による培養神経細胞の障害は、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンにより有意に改善した(図4:P<0.0001)。さらにはグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンは、L−アラニル−L−ヒスチジンより有意に(図1:P<0.0001)細胞死を抑制した。
以上より、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンがアポトーシスを抑制し細胞死を抑制することが示された。
実施例5:過酸化水素による酸化ストレス誘導Jurkat細胞死に対するグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの保護効果
LDH活性測定による細胞死測定Jurkat細胞を、10%容積FBSを加えたD−MEM培地で希釈して、ポリリジンコートした48ウエルプレートに、2×10個/mLで播種して24時間培養した。その後、過酸化水素水(和光純薬工業株式会社販売)を終濃度5000mM濃度になるよう投与さらに10容積%FBS D−MEM培地で希釈したとグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを、終濃度0.0034mol/Lを同時に添加して、インキュベーター内で1時間培養後、培養液中のLDH活性を測定した。対照として過酸化水素及びグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった以外は同様に培養を行った。グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを添加しなかった対照のLDH活性(吸光度)を100(%)とした時の相対値を求めて各ウエルの細胞の死細胞率(%)として表1に併せて示す。その結果、過酸化水素による培養神経細胞の障害は、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンにより有意に改善した(図1:P<0.0001)。
以上より、グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンがJurkat細胞においても酸化ストレス誘導神経細胞死に対して保護作用を有することが示された。
実施例6:脳硬塞に対するグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンの保護作用
(1)マウス中大脳動脈閉塞/再灌流モデル(マウス一過性局所脳虚血モデル)は次のように作成した。即ち、8週齢、雄性の野生型マウスであるC57BL/6(C57BL6 Wt mice)、体重は20−22gのものを用い、麻酔下で直腸温を37±0.5℃に維持しつつ、頸部を切開し左頸動脈の分岐部を露出、内外頸動脈を剥離した。その後、総頸動脈より(全体的に)シリコンコートで固めた8−0ナイロン糸を挿入し、内頸動脈を通じ中大脳動脈(MCA)起始部に到達・固定することで左側中大脳動脈領域の血流を遮断し、虚血を負荷した。虚血1時間後、ナイロン糸を中大脳動脈血管外に引き抜くことで再灌流を施した。再還流時に、100μLのリン酸緩衝液に溶解した500μgグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジンを尾静脈より投与した(n=5)。対照はリン酸緩衝液のみを投与した(n=5)。
(2)脳梗塞巣領域、脳浮腫の測定
マウス中大脳動脈1時間閉塞/再灌流モデルに対し、再灌流24時間後にsacrificeを行った(MCAO(60)24h)。PBSおよび4%PFAで灌流し、脳を摘出。摘出した脳を4%パラホルムアルデヒドにつけて24時間fix、その後30%sucroseに48時間程度つけて置換。凍結後、クリオスタット(CM−1900,Leica)にて20μmずつスライスし、20切片ごとにスライドグラスに貼り付けを行った。各切片の左側に認めるクレジールバイオレット染色の脱落した箇所を梗塞領域とし、測定した各梗塞領域の面積を積算し脳梗塞巣のvolumeを算出した。
(数1)
全脳または大脳皮質の梗塞体積 (%)
=〔全脳または大脳皮質の梗塞体積/全脳体積〕×100
(3)脳機能障害(Neurological Dysfunctions)の判定
MCAO処置を施し再灌流24時間後に、表1に示すスコアに従って脳機能障害を評価した。
脳梗塞領域の染色像を図6(グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン投与)及び図7(グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン非投与)に示した。
図6及び図7から明らかなように、HSP27投与により、脳梗塞巣が顕著に縮少していることがわかる(P<0.019)。
さらに、HSP投与により、脳機能障害スコアが2.3点から1.3点に改善された。
製剤例
グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン(バイオゲート社製)5gを注射用水に溶解して全量100mLの溶液を調製後密封して注射液の剤型を有する脳虚血障害治療剤を製造した。この脳虚血障害治療剤中のグリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン濃度は0.17mol/Lである。

Claims (4)

  1. グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩。
  2. グリシル−L−アラニル−L−ヒスチジン又はその塩を含有する医薬。
  3. 酸化ストレス又はアポトーシスに起因する疾患の予防又は治療剤である請求項2記載の医薬。
  4. 細胞保護剤又は脳虚血障害治療剤である請求項2又は3記載の医薬。
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