JP2016135563A - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016135563A JP2016135563A JP2015011430A JP2015011430A JP2016135563A JP 2016135563 A JP2016135563 A JP 2016135563A JP 2015011430 A JP2015011430 A JP 2015011430A JP 2015011430 A JP2015011430 A JP 2015011430A JP 2016135563 A JP2016135563 A JP 2016135563A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- adhesive
- head chip
- conductive particles
- wiring
- electrodes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
【課題】導電性粒子を含む接着剤によってヘッドチップと配線基板とを接合する場合に、接着剤中の凝集した導電性粒子による配線基板の配線電極同土のショートを防止することである。【解決手段】インクジェットヘッドは、複数のチャネルと、チャネル内に臨む複数の駆動壁と、を有し、当該駆動壁の駆動電極に接続された複数の接続電極が表面に形成されたヘッドチップと、接続電極と電気的に接続されるとともにヘッドチップとの接合領域の外側に延びる複数の配線電極33A,33Bが表面に並設された配線基板と、を備える。インクジェットヘッドは、ヘッドチップの接続電極が形成された面に、導電性粒子P1を含む接着剤を介して配線基板が接合されることにより接続電極及び配線電極が電気的に接続される。接着剤は、非導電性粒子P2が混合されている。【選択図】図7
Description
本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
従来、チャネル内のインクを吐出させることによって各種画像の記録を行うインクジェットヘッドとして、せん断モード型のインクジェットヘッドがある。これは、多数並設されるチャネルの間を区画する隔壁を圧電素子によって形成することで駆動壁としている。駆動壁の両面には駆動電極が形成されており、これら1対の駆動電極に所定電圧の駆動信号を印加することによって駆動壁をせん断変形させ、そのときのチャネルの容積変化による圧力を利用してチャネル内のインクをノズルから吐出させる。
このようなインクジェットヘッドに使用されるヘッドチップとして、いわゆるハーモニカ型のヘッドチップがある。このヘッドチップは一般に六面体形状をしており、相反する前面と後面とにそれぞれインクの出口と入口となるチャネルの閉口部が配置され、両開口部に亘るストレート状のチャネルを有している。このようなストレート状のチャネルを有するヘッドチップは、駆動壁両面の駆動電極がチャネルの内部にあって外部に露出していないため、各駆動電極へ電圧印加を行うことが難しい。
このため、従来、ヘッドチップの後面に駆動電極と電気的に接続(導通)する接続電極をチャネル毎に個別に形成しておくと共に、接続電極と電気的に接続する配線電極が並設された配線基板を、ヘッドチップの後面に接合することにより、配線基板を利用して各駆動電極をヘッドチップの外部に電気的に引き出し、駆動電極への電圧印加の容易化を図る工夫が採られている。配線基板には各チャネルに対応する位置にインク供給用の貫通穴が開設され、配線基板の背面側に接合されるマニホールド内のインクを、この貫通穴を介して各チャネル内に供給できるようにしている(特許文献1参照)。
ヘッドチップと配線基板との接合時、接続電極と配線電極とが重なり合うことによって、ヘッドチップと配線基板との間には両電極の厚みを足し合わせた分の間隙が形成される。接合に使用される接着剤はこの間隙に存在し、貼り合せ直後の低粘度状態にあるときに間隙内を毛細管力によって流動する。流動した接着剤は、ヘッドチップと配線基板との間のほぼ全域に広がった後、硬化することによって両者が接合される。
接着剤は、導電性粒子を含むものが用いられる。これは、接続電極と配線電極との間に位置する接着剤の導電性粒子が、接続電極と配線電極との間の電気的な接続を介し電気的な接続を確実にするためである。接合時に接着剤が流動することによって、接着剤中の導電性粒子がヘッドチップと配線基板との間で凝集することがある。
特に、導電性粒子の凝集は、チャネルの開口部の周囲に多く見られ、これが原因で、ヘッドチップと配線基板との間で近接している電極同士をショートさせるおそれがあった。
そこで本願出願人は、導電性粒子の凝集によってヘッドチップ側の電極と配線基板側の電極との間で発生するショートについて、チャネル間のピッチ、配線電極の配置、配線基板の厚みやヤング率等の条件を規定することによって防止する技術を提案している(特許文献2参照)。
本願発明者が確認したところ、接着剤中の導電性粒子の凝集によって引き起こされる電極間のショートは、ヘッドチップ側の電極と配線基板側の電極との間で発生するのみならず、配線基板の表面に並設されている隣り合う配線電極の間でも発生する場合があることがわかった。
ここで、図12を参照して、導電性粒子の凝集の例を説明する。図12(a)は、従来のインクジェットヘッドのヘッドチップ接合後の配線基板3cの平面図である。図12(b)は、従来のインクジェットヘッドのヘッドチップ接合後の配線基板3cの写真である。
図12(a)に示すように、導電性粒子P1を含む接着剤を用いてヘッドチップを接合した配線基板3cにおいて、破線の下側にヘッドチップが配置され、配線基板3c上の隣り合う配線電極33Ac,33Bc間に導電性粒子P1の凝集が発生している。
図12(b)に示すように、導電性粒子P1を含む接着剤を用いてヘッドチップを接合した配線基板の写真の一例において、黒い部分が配線基板上の配線電極であり、複数の略円形部分が導電性粒子P1である。また、図12(b)において、破線の下側にヘッドチップが配置され、点線の内側の領域に接着剤フィレットが形成されている。図12(b)の接着剤フィレットにおいて、導電性粒子P1の凝集が発生している。
すなわち、ヘッドチップと配線基板とを接合する際、接着不良の発生を防ぐため、通常はやや多めの接着剤が塗布されている。これにより、ヘッドチップと配線基板との間を外側に向けて流動した接着剤の一部がヘッドチップの外側にはみ出し、ヘッドチップの外周縁に接着剤フィレットを形成する。この接着剤フィレットは、ヘッドチップの側面と配線基板の表面とに亘って形成される。このとき、接着剤が流動するのに伴って多くの導電性粒子が接着剤フィレットに集まり、これが凝集することによって、接着剤フィレットの下を通っている配線電極同士をショートさせるおそれがあった。
そこで本発明の課題は、導電性粒子を含む接着剤によってヘッドチップと配線基板とを接合する場合に、接着剤中の凝集した導電性粒子による配線基板の配線電極同土のショートを防止することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数のチャネルと、当該チャネル内に臨む複数の駆動壁と、を有し、当該駆動壁の駆動電極に接続された複数の接続電極が表面に形成されたヘッドチップと、
前記接続電極と電気的に接続されるとともに前記ヘッドチップとの接合領域の外側に延びる複数の配線電極が表面に並設された配線基板と、を備え、
前記ヘッドチップの前記接続電極が形成された面に、導電性粒子を含む接着剤を介して前記配線基板が接合されることにより前記接続電極及び前記配線電極が電気的に接続されたインクジェットヘッドであって、
前記接着剤は、非導電性粒子が混合されていることを特徴とする。
複数のチャネルと、当該チャネル内に臨む複数の駆動壁と、を有し、当該駆動壁の駆動電極に接続された複数の接続電極が表面に形成されたヘッドチップと、
前記接続電極と電気的に接続されるとともに前記ヘッドチップとの接合領域の外側に延びる複数の配線電極が表面に並設された配線基板と、を備え、
前記ヘッドチップの前記接続電極が形成された面に、導電性粒子を含む接着剤を介して前記配線基板が接合されることにより前記接続電極及び前記配線電極が電気的に接続されたインクジェットヘッドであって、
前記接着剤は、非導電性粒子が混合されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記導電性粒子の粒子径は、前記非導電性粒子の粒子径以上であることを特徴とする。
前記導電性粒子の粒子径は、前記非導電性粒子の粒子径以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記接着剤に対する前記非導電性粒子の体積混合比率は、前記導電性粒子の体積混合比率の2倍以上であることを特徴とする。
前記接着剤に対する前記非導電性粒子の体積混合比率は、前記導電性粒子の体積混合比率の2倍以上であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記導電性粒子のヤング率は、前記非導電性粒子のヤング率よりも大きいことを特徴とする。
前記導電性粒子のヤング率は、前記非導電性粒子のヤング率よりも大きいことを特徴とする。
請求項5に記載の発明のインクジェット記録装置は、
請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備え、
前記インクジェットヘッドの前記接続電極及び前記配線電極を介して前記駆動電極に電圧を印加することによって、前記チャネルのうちの駆動チャネル内のインクを当該駆動チャネルに設けられたノズルから吐出させ、用紙に画像を記録することを特徴とする。
請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備え、
前記インクジェットヘッドの前記接続電極及び前記配線電極を介して前記駆動電極に電圧を印加することによって、前記チャネルのうちの駆動チャネル内のインクを当該駆動チャネルに設けられたノズルから吐出させ、用紙に画像を記録することを特徴とする。
本発明によれば、導電性粒子を含む接着剤によってヘッドチップと配線基板とを接合する場合に、接着剤中の凝集した導電性粒子による配線基板の配線電極同土のショートを防止できる。
添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図1〜図7を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。先ず、図1を参照して、本実施の形態のインクジェット記録装置1000の概略構成について説明する。図1は、インクジェット記録装置1000を示す概略構成図である。なお、インクジェット記録装置について一例として、以下においてラインヘッドを用いる例を説明しているがこれに限定されない。例えば、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向にインクジェットヘッドを走査することによって画像を形成するスキャン方式のインクジェット記録装置に適用することも可能である。また、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色を設ける例を記載したが、これに限定されず単色でも適用することができる。例えばK(ブラック)のみを使用する構成であってもよい。
インクジェット記録装置1000は、搬送部200と、画像形成部300と、インク供給部400と、制御部500と、を備えている。インクジェット記録装置1000では、制御部500の制御に基づいて、搬送部200により搬送される記録媒体Pに対して、インク供給部400から供給されたインクにより画像形成部300で画像を形成する。
搬送部200は、画像形成が行われる記録媒体Pを保持し、画像形成部300に供給する。搬送部200は、巻き出しロール210、ローラー220,230及び巻き取りロール240等を有する。ロール状に巻かれた長尺状の記録媒体Pは、巻き出しロール210から繰り出され、ローラー220,230に支持されながら搬送され、巻き取りロール240に巻き取られる。
画像形成部300は、記録媒体P上にインクを吐出して画像を形成する。画像形成部300は、複数のラインヘッド310、複数のラインヘッド310を保持するキャリッジ330等を有している。また、インクとしてエネルギー線で硬化するインクを使用する場合、さらに照射部320を備えることが好ましい。
ラインヘッド310は、搬送部200に搬送される記録媒体Pに対してインクを吐出し、画像を形成する。ラインヘッド310は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色について個別に設けられている。図1では、搬送部200による記録媒体Pの搬送方向に対して上流からY、M、C、Kの各色に対応したラインヘッド310が順番に設けられている。
本実施形態のラインヘッド310は、キャリッジ330に、記録媒体Pの搬送方向に略垂直な方向(幅方向)について記録媒体Pの全体をカバーする長さ(幅)で設けられている。すなわち、インクジェット記録装置1000は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。ラインヘッド310は、複数のインクジェットヘッド100(図2参照)が配列されて構成されている。また、図示の通り、キャリッジ330にはキャリッジヒーター330aを設け、インクを加熱するようにしても良い。
照射部320は、インクジェット記録装置1000で用いられるインクが記録媒体P上に吐出された後に当該インクを硬化させるためのエネルギー線を照射する。照射部320は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、当該蛍光管を発光させて紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部320は、ラインヘッド310よりも記録媒体Pの搬送方向下流側に設けられている。照射部320は、画像形成後の記録媒体Pに対してエネルギー線を照射することで、記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させる。
紫外線を発する蛍光管としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa〜1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオード等が挙げられる。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば、発光ダイオード等)がより望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であれば良く、光源もエネルギー線の波長などに応じて置換される。
インク供給部400は、インクタンク410、ポンプ420、インクチューブ430、サブタンク440、インクチューブ450、ヒーター460等を有している。インク供給部400は、インクを貯留して、当該インクを画像形成部300のラインヘッド310に供給し、各色のインクをラインヘッド310の各ノズルから吐出可能とする。インクタンク410内のインクは、ポンプ420により、インクチューブ430を介してインクジェットヘッド100のインクの背圧を調整するサブタンク440に送られる。サブタンク440には、フロートセンサー440aが設けられ、フロートセンサー440aによる液面位置の検出データに基づいて制御部500がポンプ420を動作させることにより所定量のインクが貯留されるようになっている。サブタンク440内のインクは、インクチューブ450を介してインクジェットヘッド100に供給される。なお、本例では、インクタンク410、ポンプ420、インクチューブ430、サブタンク440、インクチューブ450、ヒーター460を備える構成を例示したが、これに限定されず、インクジェットヘッド100にインクが供給される構成であれば種々の構成を適用することができる。
また、上記インク供給部400には、ヒーター460が設けられ、インクジェットヘッド100の外側でインクを加熱する外部ヒーターを構成している。図1に示す例では、ヒーター460は、インク供給部400の全てを覆うように設けられているが、インク供給部400を構成する部材のうちいずれかに個別に設けられているものとしても良い。これにより、インク供給部400内のインクが加熱及び保温されて、インクの温度が所定温度以上に保たれるように構成されている。ヒーター460としては、例えば、電熱線や伝熱部材によって構成され、インク供給部400を構成する各部材を覆ったり、インク供給部400を構成する部材の外面に貼り付けられたりして設けられている。
本実施形態のインクジェット記録装置1000に用いられるインクは、特に限られないが、例えば、紫外線(UV)硬化型のインクや相転移温度を境にゲル状態とゾル状態との間を可逆的に相転移する相転移インクであっても良いし、相転移温度を境に固体状態と液体状態との間を可逆的に相転移する相転移インクを適用することができる。
制御部500は、インクジェット記録装置1000の各部の動作を制御し、全体の動作を統括する。制御部500は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部500では、ROMに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムが読み出されてRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、例えば、画像形成処理や上記したインク供給処理等の種々の制御処理が実行される。
次いで、図2〜図7を参照して、インクジェットヘッド100の構成を説明する。図2は、本実施の形態のインクジェットヘッド100の分解斜視図である。図3は、インクジェットヘッド100におけるヘッドチップ1の部分背面図である。図4は、ヘッドチップ1と配線基板3との接合状態を配線基板3側から見た図である。図5は、図4のヘッドチップ1、配線基板3のv−v線に沿って切断した断面の一部を示す図である。図6(a)は、図5のヘッドチップ1、配線基板3のvia−via線に沿う断面図である。図6(b)は、図5のヘッドチップ1、配線基板3のvib−vib線に沿う断面図である。図7(a)は、インクジェットヘッド100のヘッドチップ1接合後の配線基板3の平面図である。図7(b)は、インクジェットヘッド100のヘッドチップ1接合後の配線基板3の写真である。なお、図2〜図5においてヘッドチップ1と配線基板3との間に存在する接着剤5は図示省略している。
図2に示すように、インクジェットヘッド100は、ヘッドチップ1、ヘッドチップ1の前面1aに接合されるノズルプレート2、ヘッドチップ1の後面1bに接合される配線基板3、配線基板3の端部3aに接続されるFPC(Flexible Printed Circuit:フレキシブル基板)4、配線基板3の後面に接合されるインクマニホールド(共通インク室)(図示略)等を備える。
ヘッドチップ1は、六面体からなり、A列、B列の2列のチャネル列を有している。ここでは、図3に示す下側のチャネル列をA列、上側のチャネル列をB列とする。各チャネル列は、それぞれ駆動チャネル11A,11Bとダミーチャネル12A,12Bとが交互に配置されることによって構成されている。隣り合う駆動チャネル11A又は11Bとダミーチャネル12A又は12Bとの間の隔壁は、圧電素子からなる駆動壁13となっている。
各駆動チャネル11A,11B及び各ダミーチャネル12A,12Bは、ヘッドチップ1の前面1aと後面1bとにそれぞれ開口しており、前面1aと後面1bとに亘るストレート状に形成されている。各駆動チャネル11A,11B内及び各ダミーチャネル12A,12B内に臨んでいる壁面のうちの少なくとも駆動壁13の表面には、駆動電極14がそれぞれ形成されている。
ヘッドチップ1は、各チャネル列において駆動チャネル11A,11Bとダミーチャネル12A,12Bとが相互に配置される独立駆動型のヘッドチップであり、各駆動電極14に所定電圧の駆動信号を印加することによって、1対の駆動電極14,14に挟まれた駆動壁13をせん断変形させる。これによって駆動チャネル11A,11B内に供給されたインクに吐出のための圧力変化を与え、ヘッドチップ1の前面1aに接合されたノズルプレート2のノズル21からインク滴として吐出させる。
本実施の形態では、ヘッドチップ1において、ノズル21が記置されてインクが吐出される側の面を「前面」、その反対側の面を「後面」と定義する。また、ヘッドチップ1の前面1a又は後面1bと平行な方向であってヘッドチップ1から離れる方向をヘッドチップ1の「側方」と定義する。
また、駆動チャネルとは、画像記録時に画像データに応じてインク吐出を行うチャネルであり、ダミーチャネルとは、画像データに関わらず常にインク吐出を行わないチャネルである。ダミーチャネル12A,12Bはインク吐出を行う必要がないため、通常、インクが充填されないか、ノズルプレート2にノズル21が形成されない。本実施の形態に示すノズルプレート2は、各駆動チャネル11A,11Bに対応する位置のみにノズル21が開設されている。
ヘッドチップ1の後面1bには、駆動チャネル11A,11B及びダミーチャネル12A,12Bに1対1に対応するように接続電極15A,15Bが形成されている。各接続電極15A,15Bの一端は、対応する駆動チャネル11A,11B又はダミーチャネル12A,12B内の駆動電極14と電気的に接続している。
A列の駆動チャネル11A及びダミーチャネル12Aに対応する各接続電極15Aの他端は、各チャネル11A,12A内からヘッドチップ1の後面1bにおける一方の端縁1cに向けて延び、端縁1cとの間に200μm程度の間隔をあけて止まっている。また、B列の駆動チャネル11B及びダミーチャネル12Bに対応する各接続電極15Bの他端は、各チャネル11B,12B内からA列側に向けて延び、該A列のチャネル列との間に200μm程度の間隔をあけて止まっている。従って、接続電極15A,15Bのいずれも、各チャネル11A,11B,12A,12Bから同一方向に向けて延びている。
配線基板3は、接合領域31を確保する観点からヘッドチップ1の後面1bの面積よりも大きな面積を有する平板状の基板であることが好ましく、接着剤5を介してヘッドチップ1の後面1bに接合されている。接合後の配線基板3の少なくとも一つの端部3aは、ヘッドチップ1が接合される接合領域31(図2中に一点鎖線で示す)の外側に延びており、ヘッドチップ1のチャネル列の並び方向に沿う側方に大きく張り出していることが好ましい。
なお、この接合領域31は、配線基板3の表面が、接合されたヘッドチップ1によって覆われる領域であり、ヘッドチップ1の後面1bの外周縁から配線基板3に垂下した線によって規定される。
配線基板3の材質は、ガラス、セラミックス、シリコン、プラスチック等の適宜の材料を用いることができる。中でも適度に剛性を備え、安価で加工も容易である点でガラスが好ましい。
配線基板3は、ヘッドチップ1の後面1bに配置される全てのチャネルを覆うように接合されるが、この配線基板3におけるヘッドチップ1の接合領域31内には、ヘッドチップ1の駆動チャネル11A,11Bに対応する位置のみに、配線基板3の背面側からインクを各駆動チャネル11A,11Bに供給するための貫通穴32A,32Bがそれぞれ個別に開設されている。各貫通穴32A,32Bは、ヘッドチップ1側の閉口部が、各駆動チャネル11A,11Bの後面1b側の開口部と同一形状となるように形成されている。
一方、配線基板3におけるダミーチャネル12A,12Bに対応する部位にはこのような貫通穴が形成されていない。このため、ダミーチャネル12A,12Bは配線基板3によって塞がれている。なお、本実施態様においては一例としてダミーチャネルを有するヘッドチップを例示したが、これに限定されない。例えば、ダミーチャネル12A,12Bに対応する部位に対応して同様に図示しない貫通穴、及び接続電極を設けると共に、該接続電極に電気的な接続を行い、ノズルからインクを吐出するように構成しても良い。
配線基板3のヘッドチップ1との接合面となる表面には、ヘッドチップ1の後面1bに配列されている各接続電極15A,15Bに1対1に対応するように配線電極33A,33Bが形成されている。配線電極33AはA列のチャネル列の各接続電極15Aに対応し、配線電極33BはB列のチャネル列の各接続電極15Bに対応している。
図4に示すように、配線電極33Aの一端は、対応する駆動チャネル11A及びダミーチャネル12Aの近傍に達し、対応する接続電極15Aと重なり合っていると共に、他端は、ヘッドチップ1の側方へ張り出した配線基板3の同一の端部3aに向けて延びている。また、配線電極33Bの一端は、対応する駆動チャネル11B及びダミーチャネル12Bの近傍に達し、対応する接続電極15Bと重なり合っていると共に、他端は、A列のチャネル列の隣り合う駆動チャネル11A,11A間を通ってA列のチャネル列を跨ぎ、配線電極33Aと同様に、配線基板3の端部3aに向けて延びている。このため、ヘッドチップ1の側方に張り出した配線基板3の表面には、接合領域31の内側から端部3aにかけて、配線電極33A,33Bが交互となるように並設されている。
配線基板3の端部3aには、外部配線部材の一例であるFPC4が、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)等を介して接続され、不図示の駆動回路との間を電気的に接続している。これにより、駆動回路からの所定電圧の駆動信号が、FPC4、配線基板3の各配線電極33A,33B、ヘッドチップ1の接続電極15A,15Bを介して、各チャネル11A,11B,12A,12B内の駆動電極14に印加されるようになっている。
ヘッドチップ1と配線基板3との接合に使用される接着剤5は、導電性粒子P1及び非導電性粒子P2を含有させた導電性接着剤である。接着剤5としては常温で硬化させる常温硬化型接着剤、加熱によって重合を促進させて硬化させる熱硬化型接着剤、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって重合を促進させて硬化させる活性エネルギー線硬化型接着剤等を用いることができる。
特に、熱硬化型接着剤は、接合後に硬化のために所定温度まで加熱を行うと、接着剤の粘度が一時的に抵下して流動しやすくなり、これに伴って接着剤中の導電性粒子の流動も活発化することで、ヘッドチップ1からはみ出した接着剤による接着剤フィレットF中において導電性粒子P1による凝集が発生し易い(凝集とは、数個〜数十個の粒子が集って集塊となることである)。したがって熱硬化型接着剤で接合を行う際、本発明を好適に用いることができる。熱硬化型接着剤としてはエポキシ系接着剤が好ましく用いられるが、特にこれに限定されない。
導電性粒子P1としては、AuやNi等の金属粒子そのものの他、ジビニルベンゼン等の樹脂の粒子の表面にAuやNi等の金属膜をめっき等によって被覆したもの等があり、本実施の形態ではいずれを用いることもできる。非導電性粒子P2としては、ジビニルベンゼン等の樹脂の粒子を用いる。
図5における図6(a)は、ヘッドチップ1と配線基板3とを接着剤5によって接合した際に、配線電極33A,33B間の平面領域において、ヘッドチップ1と配線基板3との間からはみ出した接着剤5による接着剤フィレットFが形成された様子を断面で示している。接着剤フィレットFは、配線基板3の接合領域31の外側でヘッドチップ1の外周縁に沿って、ヘッドチップ1の側面と配線基板3の表面とに亘るように形成されている。図中の符号Faは、接着剤フィレットFの形成領域である。
接合領域31の外側に出た配線電極33A,33Bは、この接着剤フィレットFの下を通って配線基板3の端部3aまで延びている。
このように配線電極33A,33Bは、接合領域31の近傍の接着剤フィレットFを通る部位が、凝集した導電性粒子P1と直に接触するおそれがある。このため、接着剤5には、非導電性粒子P2が含まれている。
図7(a)は、図6(a)の断面図に対応する部分に接着剤5中の粒子の凝集が発生した場合の平面図であり、破線の下側にヘッドチップ1が配置される。隣り合う配線電極33A,33B間に、粒子の凝集が発生したとしても、導電性粒子P1のみの凝集とはならず、導電性粒子P1及び非導電性粒子P2が混合した粒子の凝集となる。このため、接着剤フィレットF中で導電性粒子P1によって引き起こされる配線電極33A,33B同士のショートを防止することができる。
図7(b)に示すように、導電性粒子P1及び非導電性粒子P2を含む接着剤5を用いてヘッドチップ1を接着した配線基板3の写真の一例において、黒い部分が配線基板3上の配線電極33A,33Bであり、複数の略円形部分が導電性粒子P1であり、白くぼやけた部分が非導電性粒子P2である。
また、図7(b)において、破線の下側にヘッドチップ1が配置され、点線の内側の領域に接着剤フィレットFが形成されている。図12(b)の接着剤フィレットにおいて、導電性粒子の凝集が発生している。図7(b)からも、導電性粒子P1のみの凝集により配線電極33A,33B間のショートが発生していないことが視認できる。
図5における図6(b)は、ヘッドチップ1と配線基板3とを接着剤によって接合した際に、配線電極33Aの平面領域において、ヘッドチップ1と配線基板3との間からはみ出した接着剤5による接着剤フィレットFが形成された様子を断面で示している。接続電極15Aと配線電極33Aとの間には、導電性粒子P1及び非導電性粒子P2を含む接着剤5が流れ込んでいる。そのうちの導電性粒子P1を介して、接続電極15Aと配線電極33Aとの電気的な接続を確実にしている。
次いで、図8を参照して、インクジェットヘッド100における好ましい条件を説明する。図8は、粒子径に対する粒子数の分布を示すグラフである。
先ず、図6(b)に示すように、接続電極15Aと配線電極33Aとの間には、導電性粒子P1及び非導電性粒子P2が入り込むため、接続電極15Aと配線電極33Aとの電気的な接続を確実に確保するためには、接続電極15Aと配線電極33Aとの間で導電性粒子P1が電気的な接続を媒介する必要がある。このため、導電性粒子P1の粒子径が非導電性粒子P2の粒子径以上であることが好ましい。
粒子は、図8に示すような粒子径に対応する粒子数の分布をとる。この分布曲線が線対称となる場合、粒子数のピークの粒子径が平均粒子径となる。これを用いて、導電性粒子P1の平均粒子径が非導電性粒子P2の平均粒子径以上であることが好ましい。
但し、導電性粒子P1の材質を非導電性粒子P2の材質よりも柔らかくして、導電性粒子P1を変形しやすい形態とすることで、接続電極15Aと配線電極33Aとの電気的な接続を確実にできる。このため、導電性粒子P1のヤング率が非導電性粒子P2のヤング率よりも大きいであることが好ましい。非導電性粒子P2のヤング率は、例えば、5〜10[GPa]である。
また、接着剤5の粘度は、特に限定されないが、配線基板3へのヘッドチップ1の接着時に、接着剤5がヘッドチップ1の駆動チャネル11A,11Bの開口部に入り込むのを防止し、ショートを起こすことを防ぐという観点では、粘度が高くしておくことが好ましい。一方、接着剤5に気泡が混入した場合に気泡が抜けやすくするという観点では粘度を低くしておくことが好ましい。なお、駆動チャネル11A,11Bの開口部に入り込むのを防止でき、接着剤5に気泡が混入した場合に気泡が抜けやすくする観点では、接着剤5の粘度を例えば、5〜15[mPas・s]とすることが好ましい。
次いで、インクジェットヘッド100の製造方法の一例について、図9〜図11を用いていて説明する。
図9は、インクジェットヘッド100の製造方法における配線基板3の表面を示す平面図である。先ず、貫通穴32A,32B、各配線電極33A,33Bが形成された配線基板3の表面に対し、ヘッドチップ1の各接続電極15A,15Bと各配線電極33A,33Bとが重なり合う部分に亘って帯状となるように接着剤5を塗布し、その後、接合領域31にヘッドチップ1を位置決めして貼り合せる。
次いで、ヘッドチップ1における配線基板3との接合面と反対側に位置する前面1aに開口するダミーチャネル12A,12Bを密閉する。
図10は、ヘッドチップ1と配線基板3とを一対の加圧板6a,6bで挟持した状態を示す断面図である。貼り合わされたヘッドチップ1及び配線基板3は、上下一対の加圧板6a,6bの間に装着され両加圧板6a,6b間で挟持することにより所定の圧力をかける。これにより、帯状に塗布された接着剤5は毛細管力によってヘッドチップ1と配線基板3との間を流動していく。なお、図10では接着剤5は図示省略している。
配線基板3へのヘッドチップ1の接着時に、1つのヘッドチップ1にかける力は、例えば50[kgf]であり、このヘッドチップ1の面積が、例えば82[mm]×4.6[mm]であるとすると、かける圧力は、1.3[MPa]となる。
このとき、ダミーチャネル12A,12Bに到達した接着剤5は、その一部が配線基板3を伝ってダミーチャネル12A,12B内部に入り込む。ダミーチャネル12A,12Bの開口部は配線基板3によって閉塞されているためである。一方、駆動チャネル11A,11Bには、その開口部と同一形状で貫通穴32A,32Bが形成されているため、接着剤5は配線基板3を伝って駆動チャネル11A,11Bの開口部から同部に入り込みにくい。
両加圧板6a,6bのうち、ヘッドチップ1の前面1a側に配置される加圧板6aの表面には、弾性材料からなるシート状のシール材7が設けられており、このシール材7がヘッドチップ1の前面1aと当接するようになっている。弾性材料としては一般にはゴムを用いることができ、中でもシリコンゴムが好ましい。
このシール材7を設ける理由は次の通りである。一般にヘッドチップ1はダイシングブレード等によってセラミックスをフルカットすることによって作製されるため、フルカット面(前面1a及び後面1b)に切断時の痕跡が微細な凹凸状となって残っていることがある。この状態では、平板状の加圧板6aのみではダミーチャネル12A,12Bを密閉し難いものとなる。この問題はフルカット面を研摩することによって改善されるが、図示するように弾性材料からなるシール材7を間に挟むことによって、ヘッドチップ1の前面1aが凹凸状となっていても、わざわざ研摩作業を行うことなくヘッドチップ1の前面1aの閉口部を効果的に密閉することができる。
配線基板3側のダミーチャネル12A,12Bの開口部は、その周囲に流れ込んだ接着剤5と配線基板3とによって密閉状態にある。このため、この配線基板3側の加圧板6bには必ずしもシール材7を設ける必要はない。ヘッドチップ1のダミーチャネル12A,12Bは、加圧板6aのシール材7と配線基板3との間で密閉され、内部に気体(空気)が封入された状態となる。
次いで、この状態でヘッドチップ1と配線基板3とを加熱することにより、ダミーチャネル12A,12B内に封入されている気体を膨張させる。
この加熱に、接着剤5が熱硬化型接着剤である場合は加熱硬化時の熱を利用することができる。接着剤5が熱硬化型でない場合は、加圧板6a,6bで挟持された状態でオーブン等の適宜の加熱手段によって加熱すればよい。ここでは接着剤5が熱硬化型であり、加熱硬化時の熱を利用して上記の加熱を行う場合について図11を用いて説明する。図11は、ダミーチャネル12A,12B内の気体を加熱膨張させた状態の説明図である。
ヘッドチップ1の加熱によってダミーチャネル12A,12B内の気体が膨張すると、図11に示すように、この気体の膨張によってダミーチャネル12A,12B内に入り込んだ接着剤5は、ダミーチャネル12A,12Bから、ヘッドチップ1の後面1bと配線基板3との間に押し出される。そして、この状態で接着剤5を硬化させることによって、ダミーチャネル12A,12Bの開口部内に残留する接着剤5による接着剤フィレット51を、該開口部の四隅に独立して存在させる。これにより、ダミーチャネル12A,12Bの開口部の周囲は接着剤フィレット51によって取り囲まれ、封止される。また同時に、ダミーチャネル12A,12Bの内部が接着剤5によって閉塞されてしまうことが避けられる。
この加熱膨張によってダミーチャネル12A,12Bから押し出された接着剤5が、ヘッドチップ1と配線基板3との間を広がっていくと、ヘッドチップ1からはみ出した接着剤5によって、図6に示すように接着剤フィレットFが形成される。このようにダミーチャネル12A,12B内から接着剤5を押し出すようにすると、押し出しによる流動によって多くの導電性粒子P1が接着剤フィレットFまで運ばれ易くなり、ここで凝集することによって配線電極33A,33B同士のショートを発生させるおそれはより高くなる。しかし、本実施の形態によれば、非導電性粒子P2によって接着剤フィレットF中で凝集した導電性粒子P1による配線電極33A,33B同士のショートを防止できるため、このような製造方法に適用することで特に顕著な効果を得ることができる。
気体を膨張させる際の加熱温度や加熱時間は、接着剤硬化温度にする前にダミーチャネル12A,12B内の気体を適切に膨張させる必要があり、接着剤5の粘度を上昇させすぎず、流動状態を維持し得ると共に、ある程度の流動の後は流動しないレベルとなる程度の温度及び時間である必要がある。具体的な温度や時間は、使用される接着剤5の種類(硬化温度、粘度)、ダミーチャネル12A,12Bの容積、ヘッドチップ1の大きさや熱伝導率等に応じて適宜調整される。
このようにしてヘッドチップ1と配線基板3とを接合した後、ヘッドチップ1の前面1aにノズルプレート2を接合すると共に、配線基板3の背面側にマニホールド(図示略)を接合する。また更に、配線基板3の端部3aにFPC4を接続することによって配線電極をインクジェットヘッド100の外側に引き出すようにしても良い。
なお、駆動電極14の表面にパリレン膜等の保護膜を被覆形成する場合は、このようにヘッドチップ1と配線基板3とを接合した後、ノズルプレート2を接合する前に施工することができる。保護膜を形成する必要がない場合は、ノズルプレート2を接合後のヘッドチップ1と配線基板3とを接合するようにしてもよい。この場合、ヘッドチップ1の前面1a側のダミーチャネル12Bの開口部はノズルプレート2によって密閉されるため、シール材7は必ずしも設けなくてもよい。
以上、本実施の形態によれば、インクジェットヘッド100は、複数のチャネル11A,12A,11B,12Bと、チャネル11A,12A,11B,12B内に臨む複数の駆動壁13と、を有し、駆動壁13の駆動電極14に接続された複数の接続電極15A,15Bが表面に形成されたヘッドチップ1と、接続電極15A,15Bと電気的に接続されるとともにヘッドチップ1との接合領域31の外側に延びる複数の配線電極33A,33Bが表面に並設された配線基板3と、を備える。インクジェットヘッド100は、ヘッドチップ1の接続電極15A,15Bが形成された面に、導電性粒子P1を含む接着剤5を介して配線基板3が接合されることにより接続電極15A,15B及び配線電極33A,33Bが電気的に接続されており、接着剤5は、導電性粒子P1及び非導電性粒子P2が混合されている。
このため、導電性粒子P1を含む接着剤5によってヘッドチップ1と配線基板3とを接合する場合に、接着剤5中の非導電性粒子P2により、接着剤5中の凝集した導電性粒子P1による配線基板3の配線電極33A,33B同土のショートを防止できる。
また、導電性粒子P1の平均粒子径を、非導電性粒子P2の平均粒子径以上とする。このため、ヘッドチップ1の接続電極15A,15Bと、配線基板3の配線電極33A,33と、の電気的な接続を確実に確保でき、断線を防ぐことができる。
また、導電性粒子P1のヤング率を、非導電性粒子P2のヤング率よりも大きくする。このため、導電性粒子P1の材質を非導電性粒子P2の材質よりも柔らかくすることができ、ヘッドチップ1の接続電極15A,15Bと、配線基板3の配線電極33A,33と、の電気的な接続を確実に確保でき、断線を防ぐことができる。
また、インクジェット記録装置1000により、上記の効果を奏するインクジェットヘッド100を備えるインクジェット記録装置を実現できる。
次に、インクジェットヘッド100の実施例を説明する。インクジェットヘッド100を複数の条件で形成し、それらの評価を行った。装置条件としては、ヘッドチップ1として、ハーモニカ型4列独立駆動チップを使用し、その駆動チャネル数が1024のものとした。また、導電性粒子P1として、ジビニルベンゼンの樹脂粒子にNi−Auメッキ処理した粒子を使用し、その粒子径が粒子径規格±0.5[μm]のものとした。±0.5[μm]とは、図8の曲線が平均値としての粒子径規格値から±0.5[μm]の範囲に収まっていることを示す。
また、非導電性粒子P2として、ジビニルベンゼンの樹脂粒子を使用し、その粒子径が粒子径規格±0.5[μm]のものとした。また、配線電極33A,33Bは、材質がアルミであり、厚みが3[μm]のものとした。
次表1に、13通りの比較例、実施例のインクジェットヘッド100の各種条件及び評価を示す。
表1において、「番号」とは、比較例、実施例の識別番号である。「0」を、比較例としての非導電性粒子P2を使用していない接着剤5を用いたインクジェットヘッド100とし、「1」〜「12」を、実施例としての導電性粒子P1及び非導電性粒子P2を含む接着剤5を用いたインクジェットヘッド100とした。
「粒子径」とは、複数の粒子の平均粒子径である。「混合比率」とは、接着剤5に対する粒子の体積混合比率である。「不良発生率」とは、10個のヘッドチップ1に発生した「断線」、「ショート」の発生率を示す。「断線」とは、番号0の比較例に比べて、配線電極33A,33Bと接続電極15A,15Bとの間の不良としての断線の発生率が増加したか否かを示す情報である。「断線」の「○」は、断線が増加していないことを示し、「△」が、断線が少し増加したことを示す。「ショート」とは、番号0の比較例に比べて、隣り合う配線電極33A,33B間のショートが改善(減少)したか否かを示す情報である。「ショート」の「×」は、ショートが改善していないことを示し、「△」が、ショートが少し改善したことを示し、「○」が、ショートが大きく改善したことを示す。
表1に示すように、導電性粒子P1及び非導電性粒子P2を含む接着剤5を用いることは、ショートの改善に必要な前提条件である。「粒子径」については、導電性粒子P1の平均粒子径が、非導電性粒子P2の平均粒子径以上である場合(番号1〜8)に、安定して接続され、断線が増加せず特に好ましいという結果になった。
「混合比率」については、非導電性粒子P2の体積混合比率が、導電性粒子P1の体積混合比率以上である場合(番号1〜12)に、ショートが改善して好ましく、非導電性粒子P2の体積混合比率が、導電性粒子P1の体積混合比率の2倍以上である場合(番号3、4、7、8、11、12)に、ショートが大きく改善してより好ましいという結果になった。また、断線及びショートの両方の観点から特に好ましいものは、番号3、4、7、8のインクジェットヘッド100となった。
このように、接着剤5に対する非導電性粒子P2の体積混合比率は、接着剤5に対する導電性粒子P1の体積混合比率の2倍以上であるものとする。このため、配線基板3の隣り合う配線電極33A,33Bのショートを防ぐことができる。
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適なインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置の一例であり、これに限定されるものではない。
また、以上の実施の形態におけるインクジェット記録装置1000を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
1000 インクジェット記録装置
200 搬送部
210 巻き出しロール
220,230 ローラー
240 巻き取りロール
300 画像形成部
310 ラインヘッド
320 照射部
330 キャリッジ
400 インク供給部
410 インクタンク
420 ポンプ
430 インクチューブ
440 サブタンク
450 インクチューブ
460 ヒーター
500 制御部
100 インクジェットヘッド
1 ヘッドチップ
1a 前面
1b 後面
1c 端縁
11A,11B 駆動チャネル
12A,12B ダミーチャネル
13 駆動壁
14 駆動電極
15A,15B 接続電極
2 ノズルプレート
21 ノズル
3,3c 配線基板
3a 端部
31 接合領域
32A,32B 貫通穴
33A,33B,33Ac,33Bc 配線電極
4 FPC
5 接着剤
51 接着剤フィレット
6a,6b 加圧板
7 シール材
F 接着剤フィレット
Fa 按着剤フィレットの形成領域
P1 導電性粒子
P2 非導電性粒子
200 搬送部
210 巻き出しロール
220,230 ローラー
240 巻き取りロール
300 画像形成部
310 ラインヘッド
320 照射部
330 キャリッジ
400 インク供給部
410 インクタンク
420 ポンプ
430 インクチューブ
440 サブタンク
450 インクチューブ
460 ヒーター
500 制御部
100 インクジェットヘッド
1 ヘッドチップ
1a 前面
1b 後面
1c 端縁
11A,11B 駆動チャネル
12A,12B ダミーチャネル
13 駆動壁
14 駆動電極
15A,15B 接続電極
2 ノズルプレート
21 ノズル
3,3c 配線基板
3a 端部
31 接合領域
32A,32B 貫通穴
33A,33B,33Ac,33Bc 配線電極
4 FPC
5 接着剤
51 接着剤フィレット
6a,6b 加圧板
7 シール材
F 接着剤フィレット
Fa 按着剤フィレットの形成領域
P1 導電性粒子
P2 非導電性粒子
Claims (5)
- 複数のチャネルと、当該チャネル内に臨む複数の駆動壁と、を有し、当該駆動壁の駆動電極に接続された複数の接続電極が表面に形成されたヘッドチップと、
前記接続電極と電気的に接続されるとともに前記ヘッドチップとの接合領域の外側に延びる複数の配線電極が表面に並設された配線基板と、を備え、
前記ヘッドチップの前記接続電極が形成された面に、導電性粒子を含む接着剤を介して前記配線基板が接合されることにより前記接続電極及び前記配線電極が電気的に接続されたインクジェットヘッドであって、
前記接着剤は、非導電性粒子が混合されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記導電性粒子の粒子径は、前記非導電性粒子の粒子径以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記接着剤に対する前記非導電性粒子の体積混合比率は、前記導電性粒子の体積混合比率の2倍以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記導電性粒子のヤング率は、前記非導電性粒子のヤング率よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備え、
前記インクジェットヘッドの前記接続電極及び前記配線電極を介して前記駆動電極に電圧を印加することによって、前記チャネルのうちの駆動チャネル内のインクを当該駆動チャネルに設けられたノズルから吐出させ、用紙に画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015011430A JP2016135563A (ja) | 2015-01-23 | 2015-01-23 | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 |
EP16150184.6A EP3047973A3 (en) | 2015-01-23 | 2016-01-05 | Inkjet head, method of producing inkjet head, and inkjet recording device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015011430A JP2016135563A (ja) | 2015-01-23 | 2015-01-23 | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016135563A true JP2016135563A (ja) | 2016-07-28 |
Family
ID=56512830
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015011430A Pending JP2016135563A (ja) | 2015-01-23 | 2015-01-23 | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016135563A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5120941A (ja) * | 1974-08-14 | 1976-02-19 | Seikosha Kk | Dodenseisetsuchakuzai |
JPH0659268A (ja) * | 1992-08-05 | 1994-03-04 | Sharp Corp | 異方性導電膜およびそれを用いる端子の接続構造 |
JP2011249661A (ja) * | 2010-05-28 | 2011-12-08 | Kyocera Corp | インターポーザー及びそれを用いた実装構造体 |
WO2014007237A1 (ja) * | 2012-07-03 | 2014-01-09 | 積水化学工業株式会社 | 絶縁性粒子付き導電性粒子、導電材料及び接続構造体 |
JP2014128941A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Konica Minolta Inc | インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法 |
-
2015
- 2015-01-23 JP JP2015011430A patent/JP2016135563A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5120941A (ja) * | 1974-08-14 | 1976-02-19 | Seikosha Kk | Dodenseisetsuchakuzai |
JPH0659268A (ja) * | 1992-08-05 | 1994-03-04 | Sharp Corp | 異方性導電膜およびそれを用いる端子の接続構造 |
JP2011249661A (ja) * | 2010-05-28 | 2011-12-08 | Kyocera Corp | インターポーザー及びそれを用いた実装構造体 |
WO2014007237A1 (ja) * | 2012-07-03 | 2014-01-09 | 積水化学工業株式会社 | 絶縁性粒子付き導電性粒子、導電材料及び接続構造体 |
JP2014128941A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Konica Minolta Inc | インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10717277B2 (en) | Flow path structure, liquid ejecting head, and liquid ejecting apparatus | |
JP5336774B2 (ja) | ヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2011093200A (ja) | 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法 | |
US8128199B2 (en) | Ink jet print head, method for manufacturing ink jet print head, and printing apparatus | |
JP2009292061A (ja) | ヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
US9751305B2 (en) | Liquid discharge head and recording device using the same | |
JP2012091510A (ja) | 液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置 | |
JP5679713B2 (ja) | 液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法 | |
US20120293588A1 (en) | Flow passage assembly and method for manufacturing flow passage assembly, inkjet recording head, and recording apparatus | |
JP6939856B2 (ja) | 流路構造体および液体噴射装置 | |
JP2016179599A (ja) | 液体吐出ヘッド | |
GB2525737A (en) | Liquid jet head, method for manufacturing liquid jet head, and liquid jet apparatus | |
US9834004B2 (en) | Flow channel structure and liquid ejecting apparatus | |
US7213911B2 (en) | Ink-jet head | |
CN107825850B (zh) | 喷墨头、喷墨记录装置以及喷墨头的制造方法 | |
US10086610B2 (en) | Inkjet head and method of manufacturing inkjet head | |
JP6610117B2 (ja) | 接続構造体、インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置 | |
US8147029B2 (en) | Liquid ejection apparatus | |
JP2016135563A (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 | |
WO2015190409A1 (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP2010089402A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2016083882A (ja) | 記録装置及び記録ヘッドの駆動方法 | |
US11345147B2 (en) | Liquid ejection head | |
JP2007175894A (ja) | インクジェットヘッドの製造方法 | |
JP2009234087A (ja) | 配線構造体及び接合方法並びに液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180104 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190122 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190716 |